JP2828885B2 - 感熱孔版製版装置 - Google Patents

感熱孔版製版装置

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JP2828885B2 JP32004393A JP32004393A JP2828885B2 JP 2828885 B2 JP2828885 B2 JP 2828885B2 JP 32004393 A JP32004393 A JP 32004393A JP 32004393 A JP32004393 A JP 32004393A JP 2828885 B2 JP2828885 B2 JP 2828885B2
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Ricoh Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、実質的に熱可塑性樹脂
フィルムのみからなる感熱孔版用のマスタに対してサー
マルヘッドを用いて穿孔画像を形成する感熱孔版製版装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】簡便な印刷方式としてデジタル式感熱孔
版印刷装置がよく知られている。この印刷装置における
製版装置を図5及び図6の(a)、(b)(c)に示
す。
【0003】この製版装置は、感熱孔版用のマスタ71
に主走査方向Sに1列に配列された抵抗発熱素子721
を有するサーマルヘッド72を接触させ、抵抗発熱素子
721の配列方向に直交する副走査方向Fへマスタ71
をプラテンローラ73によりサーマルヘッド72に相対
的に移動させ、抵抗発熱素子721の選択的加熱により
ドットマトリクス式に穿孔画像91を形成し、この穿孔
画像91が形成されたマスタ71を搬送ローラ対76に
より搬送して版胴79の外周面に自動的に巻き付け、カ
ッタ手段74の回転刃741によりマスタ71を切断
し、マスタ71に印刷用紙をプレスローラ等の押圧手段
によって連続的に押し付けて、マスタ71の穿孔部より
インキを滲み出させて印刷を行っている。
【0004】上記マスタは、非常に薄いポリエステル等
の熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」とい
う)と、多孔質の可撓性の支持体として合成繊維や和
紙、或いは和紙及び合成繊維を混抄したものとを貼り合
わせたラミネート構造となっており、フィルムの表面に
はサーマルヘッド表面との融着と、帯電防止のためにオ
ーバーコート層が設けられている。
【0005】特開平4−265783号公報には、熱可
塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせてなる
マスタに穿孔画像を形成する方法が紹介されている。ま
た、特開平5−220919号公報には、支持体レスマ
スタの熱可塑性樹脂フィルムの厚さを0.5〜30μ
m、その溶融開始温度を50〜300℃にし、プラテン
ローラの熱伝導率を0.01〜1W/m・Kにした技術
が紹介されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記マスタは、その支
持体として和紙等を使用しているため和紙繊維が絡み合
った部分においてはインキの通過が阻害されインキが印
刷用紙に転移せずに、ベタ部に繊維模様が出たり、細線
等がかすれる俗に言う繊維目という不具合が発生する。
また印刷時において、インキの通過が和紙により遮られ
るので、画像の立上りが悪く、無駄なヤレ紙が発生する
という問題がある。
【0007】そこで、支持体となる和紙等を使用しない
でフィルム単体のみからなるマスタで印刷を行うように
することで繊維目を発生させないようにすることがで
き、画像の立上りを良くすることができるが、フイルム
自体の厚さは、たかだか約2〜8μm程度であり、和紙
ラミネートマスタの厚さ約40乃至50μmに比べその
約20分の1程度と非常に薄くなり、マスタの腰が弱く
なり、従来の孔版印刷装置では、案内部材や、搬送ロー
ラなどに貼り付いたりして搬送性が悪くなるいう問題が
ある。そこで、フィルムの搬送性を良くするためにフィ
ルムの厚さを厚くすると、穿孔性が悪くなり、完全開孔
(インキの通過が十分可能な大きさの孔が開いているこ
と)、独立開孔(主走査方向及び副走査方向に隣接する
画素の孔同士が連結することなく孔が開いていること)
が形成されないという問題がある。
【0008】本発明の目的は、上述したような問題点を
解決し、マスタに完全開孔、独立開孔を形成でき、鮮明
な印刷画像が得られる感熱孔版製版装置を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
主走査方向に配列した複数の抵抗発熱素子を有するサー
マルヘッドを、上記抵抗発熱素子に対向し、上記抵抗発
熱素子と略平行に配置されたプラテンローラの押圧によ
り、感熱孔版用のマスタに接触させ、上記抵抗発熱素子
の配列方向に直交する副走査方向に上記マスタを上記サ
ーマルヘッドに対し相対的に移動させ、上記抵抗発熱素
子の選択的加熱により穿孔画像の形成を行う感熱孔版製
版装置において、上記マスタが実質的に熱可塑性樹脂フ
ィルムのみから成り、上記マスタの厚さをt(cm)、
その密度をσ(g/cm3)、その比熱をCp{J/
(g・K)}、その溶融開始点をTm(℃)、その結晶
融解熱をX(J/g)、上記抵抗発熱素子の大きさをS
(cm2)、上記抵抗発熱素子に印加する電圧をV
(V)、上記抵抗発熱素子の抵抗値をR(Ω)、上記抵
抗発熱素子への通電時間をT(S)としたとき、穿孔画
像の形成時の一画素当たりの印加エネルギーE(J)
が、E=20(1+k){Cp(Tm−25)+X}σ
St、E=(V2/R)T、−0.1≦k≦0.1を満
たすように、上記抵抗発熱素子の製版条件を制御する制
御手段を有する。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の感
熱孔版製版装置において、上記マスタの厚さt(cm)
が、2×10~ 4≦t≦10×10~ 4を満たす範囲にある
ことを特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1記載の感
熱孔版製版装置において、上記マスタの溶融開始点Tm
(℃)が、70≦Tm≦260を満たす範囲にあること
を特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1記載の感
熱孔版製版装置において、上記マスタの結晶融解熱X
(J/g)が、0≦X≦50を満たす範囲にあることを
特徴とする。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項1記載の感
熱孔版製版装置において、上記抵抗発熱素子の実質的な
発熱部分の形状が矩形であり、その画素密度をr(do
t/mm)としたとき、上記抵抗発熱素子の主走査方向
の長さa(cm)と副走査方向の長さb(cm)とが、
0.5≦b/a≦1.7、0.032/r≦a≦0.0
8/r、0.032/r≦b≦0.08/rを満たす範
囲にあることを特徴とする。
【0014】請求項6記載の発明は、請求項1記載の感
熱孔版製版装置において、上記プラテンローラの表面の
熱伝導率が1.0{W/(m・K)}以下であり、か
つ、上記プラテンローラの中心線の平均の粗さ(Ra)
が12.5以下であることを特徴とする。
【0015】請求項7記載の発明は、請求項1記載の感
熱孔版製版装置において、上記プラテンローラのサーマ
ルヘッドへの押圧力が65(gf/cm)から490
(gf/cm)を満たす範囲にあることを特徴とする。
【0016】ここに、副走査方向とは感熱孔版用のマス
タの搬送方向をいい、主走査方向とは、副走査方向に直
交する方向をいう。さらに、実質的に熱可塑性樹脂フィ
ルムのみからなる感熱孔版用のマスタとは、マスタが熱
可塑性樹脂フィルムのみからなるものの他、熱可塑性樹
脂フィルムに帯電防止剤等の微量成分を含有してなるも
の、さらには熱可塑性樹脂フィルムの両主面、即ち表面
又は裏面のうち少なくとも一方に、オーバーコート層等
の薄膜層を1層又は複数層形成してなるものを含む。
【0017】本発明の感熱孔版製版装置に適用される熱
可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステル系、ナイロ
ン系、塩化ビニル系等の熱可塑性樹脂フィルムであれば
良い。また、熱可塑性樹脂フィルムの片面もしくは両面
に、帯電防止、ステッキング防止のためのコーティング
剤を塗布したり、熱可塑性樹脂フィルムの内部に混入し
ても構わない。
【0018】本発明の感熱孔版製版装置に適用されるサ
ーマルヘッドとしては、その抵抗発熱素子がTa−N系
等からなり、サーマルヘッドに印加される印加エネルギ
ーの最大値がサーマルヘッドの定格内に納まるものであ
れば良い。また、抵抗発熱素子の解像度は、特に制約さ
れない。さらに、サーマルヘッドへの印加エネルギーの
制御は、印加パルス幅により行っても、印加電圧により
行って良い。印加エネルギーのデータは、予め登録済み
のROM形態で提供されても、孔版印刷装置の入力操作
により提供されても良い。
【0019】本発明の感熱孔版製版装置に適用されるプ
ラテンローラとしては、シリコンゴム、ニトリルゴム、
クロロプレンゴム等のゴム材料であれば良く、その硬度
は、JIS硬度で25°〜60°が望ましい。また、ゴ
ム材料に導電材料、断熱材料等を混入したり、導電材
料、断熱材料等をプラテンローラ表面にコーティングし
ても良い。
【0020】
【作用】請求項1記載の発明によれば、制御手段が、穿
孔画像の形成時の一画素当たりの印加エネルギーE
(J)が、E=20(1+k){Cp(Tm−25)+
X}σSt、E=(V2/R)T、−0.1≦k≦0.
1、を満たすように抵抗発熱素子の製版条件を制御する
ので、マスタにインキの通過が十分可能な大きさの孔が
開き、主走査方向及び副走査方向に隣接する画素の孔同
士が連結しなくなる。
【0021】請求項2記載の発明によれば、マスタは、
その厚さt(cm)を、2×10~ 4≦t≦10×10~ 4
の範囲にあるように形成される。
【0022】請求項3記載の発明によれば、マスタは、
その溶融開始点Tm(℃)を、70≦Tm≦260の範
囲にあるように形成される。
【0023】請求項4記載の発明によれば、マスタは、
その結晶融解熱X(J/g)を、0≦X≦50の範囲に
あるように形成される。
【0024】請求項5記載の発明によれば、画素密度r
(dot/mm)と抵抗発熱素子の主走査方向の長さa
(cm)と副走査方向の長さb(cm)とは、0.5≦
b/a≦1.7、0.032/r≦a≦0.08/r、
0.032/r≦b≦0.08/rを満たす範囲にある
ように形成される。
【0025】請求項6記載の発明によれば、プラテンロ
ーラは、その表面の熱伝導率を、1.0{W/(m・
K)}以下に、その中心線の平均の粗さ(Ra)を1
2.5以下に形成される。
【0026】請求項7記載の発明によれば、プラテンロ
ーラは、サーマルヘッドを65(gf/cm)から49
0(gf/cm)の押圧力で押圧する。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1において、符号100は、孔版印刷装置にお
ける感熱孔版製版装置を示す。感熱孔版製版装置100
は、マスタ1を保持する保持手段としての軸1sと、マ
スタ1を副走査方向Fへ搬送するプラテンローラ3と、
プラテンローラ3と平行に延在していて、プラテンロー
ラ3に対して接離自在に設けられたサーマルヘッド2
と、サーマルヘッド2に印加する印加エネルギーを制御
する制御手段18と、マスタ1を挾持しつつ版胴7の外
周面のマスタ係止手段6へ向けてマスタ1を搬送する押
さえローラ対4と、押さえローラ対4とマスタ係止手段
6との間に上下動自在に配置され、マスタ1を溶断する
ヒータ線9とから主に構成されている。図1中符号5
は、マスタ1を版胴7の外周面のマスタ係止手段6へ向
けて案内する案内板を示す。
【0028】マスタ1は、幅320mmのポリエステル
等により形成されロール状に巻かれ、軸1sに繰り出し
可能に支持されている。マスタ1には、サーマルヘッド
2と接する面にシリコン系の滑剤と帯電防止剤との混合
液が塗布されている。
【0029】プラテンローラ3は、カーボンを添加し導
電処理されたシリコンゴムで、主走査方向Sの長さを3
08mm、肉厚を5mm、外径を24mmに形成され、
図示しないステッピングモータにより回転駆動される。
【0030】サーマルヘッド2は、図2の(a)、
(b)、(c)に示すように、主走査方向Sに1列に配
列された複数の抵抗発熱素子8と、この抵抗発熱素子8
を保持・冷却するホルダ部10とにより主に構成されて
いる。サーマルヘッド2は、図示しない手段により、プ
ラテンローラ3に対して接離自在に設けられている。サ
ーマルヘッド2は、図示しない原稿読取部のA/D変換
部及び制御手段18で処理されて送出されるデジタル画
像信号に基づきマスタ1を選択的に溶融、穿孔し、穿孔
画像11を形成する周知の機能を有する。なお、本実施
例において、サーマルヘッド2は、16DPM(dot
/mm)の画素密度の矩形の抵抗発熱素子8を有し、こ
れらの抵抗発熱素子8が主走査方向Sに293mm(A
3対応)の長さにわたって4608個、1列に一定ピッ
チで配列され、第1乃至第4のブロックに分割されてい
る。
【0031】制御手段18は、マスタ1の厚さをt(c
m)、その密度をσ(g/cm3)、その比熱をCp
{J/(g・K)}、その溶融開始点をTm(℃)、そ
の結晶融解熱をX(J/g)、抵抗発熱素子8の大きさ
をS(cm2)、抵抗発熱素子8に印加する電圧をV
(V)、抵抗発熱素子8の抵抗値をR(Ω)、抵抗発熱
素子8への通電時間をT(S)としたとき、穿孔画像1
1の一画素当たりの印加エネルギーE(J)が、E=2
0(1+k){Cp(Tm−25)+X}σSt、E=
(V2/R)T、−0.1≦k≦0.1、を満たすよう
に抵抗発熱素子8の製版条件を制御し、穿孔画像11を
形成する。本実施例において制御手段18は、図3に示
すように、印加エネルギーEの一つとしての印加パルス
幅(通電時間T)を変化させて、穿孔画像11を形成す
る。制御手段18のROMには、予め、図3に示す穿孔
画像11の形成用の通電時間Tのマップが入力されてい
る。また、マスタ1の組成、厚さ等と異なるマスタに製
版する場合は、制御手段18のROMの読み出し領域の
変更やROMチップの交換により行われる。
【0032】次に、この感熱孔版製版装置100の動作
について以下に記す。マスタ1は、図2の(a)に示す
ように、押さえローラ対4よりも僅かに下流側の位置に
おいて、その先端部が押さえローラ対4と略平行な方向
に揃えられた状態で待機している。図示しない製版スタ
ートキーを押すことにより製版指令が図示しないステッ
ピングモータに送出されてプラテンローラ3が回転を始
める。プラテンローラ3の回転と同時に押さえローラ対
4も回転を始める。図示しないA/D変換部及び制御手
段18にて処理されて送出されるデジタル画像信号によ
って、マスタ1を挾んでプラテンローラ3に圧接してい
るサーマルヘッド2の抵抗発熱素子8が選択的に発熱さ
れ、マスタ1が選択的に溶融、穿孔され、図2の(b)
に示すように、穿孔画像11が形成される。
【0033】プラテンローラ3及び押さえローラ対4の
更なる回転により、マスタ1は、図1に示すように、押
さえローラ対4の間に挾持されつつ案内板5に沿って、
マスタ係止手段6へ向けて送出され、マスタ1の先端部
がマスタ係止手段6へ到達すると、マスタ係止手段6に
よりマスタ1の先端部が係止される。この係止動作と同
時に、版胴7が回転し、版胴7の外周面にマスタ1が巻
装され始める。この巻装時に、版胴7は、マスタ1にシ
ワや浮きを発生させずに版胴7に巻装するために、50
0〜2000(gf/mm2)の引張り荷重をマスタ1
に均等に与えている。マスタ1が所定の長さ搬送され、
穿孔画像11の最終列がヒータ線9の僅かに下流側の位
置に至ると、マスタ1を挾持した状態でプラテンローラ
3、押さえローラ対4及び版胴7の回転が停止し、ヒー
タ線9によりマスタ1が溶断され、製版工程が終了す
る。マスタ1の溶断と同時に版胴7は、回転を再開し、
マスタ1が版胴7の外周面に巻装された後、印刷工程が
開始される。
【0034】以下、本発明を、実施例及び比較例に基づ
いて説明する。マスタ1の厚さをt(cm)、その密度
をσ(g/cm3)、その比熱をCp{J/(g・
K)}、その溶融開始点をTm(℃)、その結晶融解熱
をX(J/g)、抵抗発熱素子8の大きさをS(c
2)、抵抗発熱素子8に印加する電圧をV(V)、抵
抗発熱素子8の抵抗値をR(Ω)、抵抗発熱素子8への
通電時間をT(S)としたとき、穿孔画像11の一画素
当たりの印加エネルギーE(J)が、E=20(1+
k){Cp(Tm−25)+X}σSt、E=(V2
R)T、−0.1≦k≦0.1、を満たすように製版条
件を設定した。
【0035】この式は、マスタ1の穿孔部分が溶融開始
点まで昇温、溶融するまでの熱容量とサーマルヘッド2
からマスタ1への熱伝導の効率とを考慮し、帰納的に導
き出したものである。すなわち、マスタ1の諸物性値及
び、サーマルヘッド2の諸元値を基にした印加エネルギ
ーのデータを算出した。以下これらの式について説明す
る。
【0036】 E=20(1+k){Cp(Tm−25)+X}σSt‥‥‥式1 E=(V2/R)T ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥式2 −0.1≦k≦0.1 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥式3 式1は、マスタ1を熱溶融し、穿孔するためのエネルギ
ーを表し、結晶固体などの熱力学における基本式を基に
している。式1は、二つの項から成り、マスタ1の温度
を室温(25℃)から溶融開始点Tm(℃)まで加熱昇
温させるための熱容量Cp(Tm−25)σStと、溶
融開始点Tm(℃)まで加熱昇温されたマスタ1が状態
変化を起こし溶融するための熱容量(結晶固体における
潜熱に相当する)XσStとからなる。従って、穿孔エ
ネルギーは、 E={Cp(Tm−25)+X}σSt ‥‥‥‥‥‥‥‥式4 となる。
【0037】よって、式4で求められた穿孔エネルギー
をサーマルヘッド2の抵抗発熱素子8からマスタ1へ供
給すれば良い。抵抗発熱素子8の発熱エネルギーは、式
2で与えられるから、(式4)=(式2)となるよう
に、サーマルヘッド2への印加電圧又は印加パルス幅を
規定すれば、マスタ1に穿孔画像を形成できるはずであ
る。なお、式2は、オームの法則を基にしたものであ
る。
【0038】ところが、式4は、熱の損失をまったく考
慮していないので、穿孔エネルギー値が非常に小さな値
となり、実際の穿孔製版において、この穿孔エネルギー
値を設定すると、マスタ1に穿孔できない。熱の損失に
は、サーマルヘッド2内での熱拡散による損失、サーマ
ルヘッド2からマスタ1への熱伝導による損失、マスタ
1内での熱拡散による損失、マスタ1からプラテンロー
ラ3への熱伝導による損失等が有る。これらの損失を分
離特定し、定量化することは困難である。そこで、実際
にマスタ1に穿孔できるエネルギーと式4とから、帰納
的に計算した値が、式1における(20)である。
【0039】実際の穿孔製版では、式1で求められた穿
孔エネルギーをサーマルヘッド2の抵抗発熱素子8から
マスタ1へ供給すれば良い。抵抗発熱素子8の発熱エネ
ルギーは、上述のように式2で与えられるので、(式
1)=(式2)となるように、サーマルヘッド2の印加
電圧又は印加パルス幅を規定すれば、マスタ1に穿孔画
像11を形成できる。
【0040】また、式1の係数(1+k)及び式3は、
マスタ1、サーマルヘッド2、プラテンローラ3等の特
性値のバラツキを考慮した印加エネルギーの許容範囲を
表す係数であり、本実施例では±10%に設定されてい
る。
【0041】実施例の各条件を表1〜4に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】表1〜表4に示した実施例のいずれの場合
にも、マスタに完全開孔、独立開孔が達成された。比較
例として、上述の印加エネルギーの範囲を超える印加エ
ネルギーを加えた場合及び、それを下回る印加エネルギ
ーを加えた場合について述べる。実施例及び比較例の結
果を図4に示す。図中○は、完全開孔、独立開孔(実施
例)を示し、×は、製版不良(比較例)を示す。
【0047】上述の印加エネルギーの範囲を超える印加
エネルギーを加えた場合は、マスタに完全開孔がなされ
たが、孔が連結して独立開孔は形成されなかった。上述
の印加エネルギーの範囲を下回る印加エネルギーを加え
た場合は、開孔できないか、または、開孔率が低く開孔
不良が発生した。よって、いずれの場合にも良好な穿孔
画像は形成できなかった。
【0048】また、マスタの厚さが2(μm)を下回る
と、マスタの腰が弱くなるため、マスタに不送りやジャ
ムが多発し搬送性が悪くなる。逆にその厚さが10(μ
m)を超えると、開孔性が悪くなり、サーマルヘッドの
製版性能を超える製版条件を設定しなければならなくな
った。よって、マスタに完全開孔、独立開孔を達成する
ために、マスタの厚さt(cm)は、2×10~ 4≦t≦
10×10~ 4に設定されている。
【0049】さらに、適正なマスタの溶融開始点(℃)
及び、マスタの結晶融解熱(J/g)を求める実験を行
った。それらの結果を表5、表6に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】表5に示す実験の結果より、マスタの溶融
開始点(℃)が70℃を下回ると、マスタの開孔性は良
くなるが、マスタは、感熱孔版製版装置の使用環境やマ
スタの保存状態により影響を受けやすくなる。特に、高
温環境下で、マスタは、熱収縮を起こしたり環境安定性
が悪くなる。逆に、マスタの溶融開始点(℃)が260
℃を超えると、マスタが溶融しにくくなり、サーマルヘ
ッドの抵抗発熱素子の昇温温度や昇温時間の余裕が取れ
なくなり、十分な開孔ができなくなる。よって、マスタ
の溶融開始点Tm(℃)は、70≦Tm≦260に設定
されている。
【0053】マスタの結晶融解熱(J/g)は、直接的
にマスタの開孔に寄与しないので、熱損失分と見做せ
る。よって、小さければ小さいほど望ましい。(即ち、
マスタには非晶質が望ましい)表6に示す実験の結果よ
り、マスタの結晶融解熱(J/g)が50(J/g)よ
り大きくなると、熱損失分の割合が増え、開孔性が悪化
するので、マスタの結晶融解熱X(J/g)は、0≦X
≦50に設定されている。
【0054】上述の実施例1〜実施例4で使用したサー
マルヘッドは、抵抗発熱素子の形状が矩形で、 画素密度r=16(dot/mm) 抵抗発熱素子の主走査方向の長さa(cm)=30×1
~ 4 抵抗発熱素子の副走査方向の長さb(cm)=40×1
~ 4 抵抗発熱素子の主走査方向のドットピッチ=1/16
(mm)=62.5μm 抵抗発熱素子の副走査方向のドットピッチ=1/16
(mm)=62.5μm のものを使用した。
【0055】比較例として、上述の実施例の抵抗発熱素
子と同一画素密度、矩形形状で、抵抗発熱素子の主走査
方向の長さa(cm)と、副走査方向の長さb(cm)
とが次の通りのサーマルヘッドを使用してマスタに製版
した。
【0056】a=50×10~ 4、b=55×10~ 4 a=50×10~ 4、b=60×10~ 4 a=15×10~ 4、b=10×10~ 4 比較例のサーマルヘッドで製版した場合、抵抗発熱素子
のサイズすなわち画素サイズが大き過ぎ、孔が連結した
り、逆に開孔が形成されるものの、開孔の径が小さ過ぎ
てインキの通過が十分でなく、印刷画像濃度が低いな
ど、良好な製版結果は、得られなかった。したがって、
完全開孔、独立開孔を得るために、抵抗発熱素子の主走
査方向の長さaと、抵抗発熱素子の副走査方向の長さb
とは、 0.5≦b/a≦1.7 0.032/r≦a≦0.08/r 0.032/r≦b≦0.08/r に設定されている。
【0057】さらに、適正なプラテンローラの表面の熱
伝導率と、プラテンローラの中心線の平均の粗さ(R
a)を求める実験を行った。その結果を表7、表8に示
す。
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】実験の結果より、プラテンローラの表面の
熱伝導率が1.0{W/(m・K)}を超えると、サー
マルヘッドからの熱がマスタを通して逃げやすくなり、
マスタに開孔が形成されなかった。また、プラテンロー
ラの中心線の平均の粗さ(Ra)が12.5を超える
と、マスタとサーマルヘッドとの密着性が悪くなり、サ
ーマルヘッドからの熱がマスタに有効に伝わりにくくな
り、マスタに開孔が形成されなかった。よってプラテン
ローラの表面の熱伝導率は、1.0{W/(m・K)}
以下に、かつ、プラテンローラの中心線の平均の粗さ
(Ra)は、12.5以下に設定されている。
【0061】さらに、適正なプラテンローラのサーマル
ヘッドへの押圧力を求めるために実験を行った。その結
果を表9に示す。
【0062】
【表9】
【0063】実験の結果より、押圧力が65(gf/c
m)より小さい場合、マスタとサーマルヘッドとの密着
性や、プラテンローラのニップ幅が確保できなくなり、
マスタの開孔性が悪くなった。逆に、押圧力が490
(gf/cm)を超えると、マスタの搬送方向の送りが
不均一になったり、穿孔画像に切れや破れが発生した。
よって、プラテンローラのサーマルヘッドへの押圧力
は、65(gf/cm)から490(gf/cm)に設
定されている。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
制御手段が、穿孔画像の形成時の一画素当たりの印加エ
ネルギーEが、E=20(1+k){Cp(Tm−2
5)+X}σSt、E=(V2/R)T、−0.1≦k
≦0.1、を満たすように抵抗発熱素子の製版条件を制
御するので、マスタにインキの通過が十分可能な大きさ
の孔が開き、主走査方向及び副走査方向に隣接する画素
の孔同士が連結しなくなり、鮮明な印刷画像が得られる
感熱孔版製版装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す感熱孔版製版装置の正
面図である。
【図2】(a)は図1に示す感熱孔版製版装置の待機状
態におけるマスタを示す平面図、(b)は図1に示す感
熱孔版製版装置により穿孔画像が形成されたマスタを示
す平面図、(c)は溶断されたマスタを示す平面図であ
る。
【図3】図1に示す感熱孔版製版装置による穿孔画像の
形成時の印加パルス幅を示すタイムチャートである。
【図4】実施例及び比較例の各種製版条件による製版状
態の結果を示したグラフである。
【図5】従来の感熱孔版製版装置の正面図である。
【図6】(a)は図6に示す感熱孔版製版装置の平面
図、(b)は図6の(a)に示す感熱孔版製版装置にお
けるカッタ手段により切断部が形成されたマスタの平面
図、(c)は図6の(b)に示す切断部を境に切断され
たマスタを示す平面図である。
【符号の説明】
1 マスタ 2 サーマルヘッド 3 プラテンローラ 4 押さえローラ対 5 案内板 6 マスタ係止手段 7 版胴 8 抵抗発熱素子 9 ヒータ線 10 ホルダ部 11 穿孔画像 18 制御手段 S 主走査方向 F 副走査方向 100 感熱孔版製版装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41C 1/00 - 1/18 B41L 13/04 B41N 1/24

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主走査方向に配列した複数の抵抗発熱素子
    を有するサーマルヘッドを、上記抵抗発熱素子に対向
    し、上記抵抗発熱素子と略平行に配置されたプラテンロ
    ーラの押圧により、感熱孔版用のマスタに接触させ、上
    記抵抗発熱素子の配列方向に直交する副走査方向に上記
    マスタを上記サーマルヘッドに対し相対的に移動させ、
    上記抵抗発熱素子の選択的加熱により穿孔画像の形成を
    行う感熱孔版製版装置において、 上記マスタが実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみから成
    り、 上記マスタの厚さをt(cm)、その密度をσ(g/c
    3)、その比熱をCp{J/(g・K)}、その溶融
    開始点をTm(℃)、その結晶融解熱をX(J/g)、 上記抵抗発熱素子の大きさをS(cm2)、上記抵抗発
    熱素子に印加する電圧をV(V)、上記抵抗発熱素子の
    抵抗値をR(Ω)、上記抵抗発熱素子への通電時間をT
    (S)としたとき、 穿孔画像の形成時の一画素当たりの印加エネルギーE
    (J)が E=20(1+k){Cp(Tm−25)+X}σSt E=(V2/R)T −0.1≦k≦0.1 を満たすように、上記抵抗発熱素子の製版条件を制御す
    る制御手段を有する感熱孔版製版装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の感熱孔版製版装置におい
    て、 上記マスタの厚さt(cm)が 2×10~ 4≦t≦10×10~ 4 を満たす範囲にあることを特徴とする感熱孔版製版装
    置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の感熱孔版製版装置におい
    て、 上記マスタの溶融開始点Tm(℃)が 70≦Tm≦260 を満たす範囲にあることを特徴とする感熱孔版製版装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の感熱孔版製版装置におい
    て、 上記マスタの結晶融解熱X(J/g)が 0≦X≦50 を満たす範囲にあることを特徴とする感熱孔版製版装
    置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の感熱孔版製版装置におい
    て、 上記抵抗発熱素子の実質的な発熱部分の形状が矩形であ
    り、その画素密度をr(dot/mm)としたとき、上
    記抵抗発熱素子の主走査方向の長さa(cm)と副走査
    方向の長さb(cm)とが 0.5≦b/a≦1.7 0.032/r≦a≦0.08/r 0.032/r≦b≦0.08/r を満たす範囲にあることを特徴とする感熱孔版製版装
    置。
  6. 【請求項6】請求項1記載の感熱孔版製版装置におい
    て、 上記プラテンローラの表面の熱伝導率が1.0{W/
    (m・K)}以下であり、かつ、上記プラテンローラの
    中心線の平均の粗さ(Ra)が12.5以下であること
    を特徴とする感熱孔版製版装置。
  7. 【請求項7】請求項1記載の感熱孔版製版装置におい
    て、 上記プラテンローラのサーマルヘッドへの押圧力が65
    (gf/cm)から490(gf/cm)を満たす範囲
    にあることを特徴とする感熱孔版製版装置。
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