しかしながら、釣糸504が糸巻501から引き出される際に、次のような問題がある。すなわち、釣糸504は、図44が示す要領で内フレーム502のコア508、509に巻き掛けられ、且つ図42が示すように内フレーム502が折り畳まれることによって糸巻501内で保持されているから、釣糸504が糸巻501から引き出されると、釣糸504は、フランジ510、511の周縁に対して摺動しながらほどけることになる(図42及び図44参照)。
詳述すれば、折り畳まれた状態での釣糸504は、フランジ510の傾斜面514で屈曲すると共に対向するフランジ511の傾斜面515で再度屈曲してコア509の方へ向かっている(図44参照)。すなわち、釣糸504は、立体的に略Uの字を描くように保持されており、釣糸504が引っ張られると当該略Uの字が解かれるように引き出される。このとき、釣糸504は、上記傾斜面514、515を迫り上がっていくことになるが、この傾斜面514、515の上端516、517を乗り越えることができずに、当該上端516、517に釣糸504が引っ掛かってしまうことがある。ただし、釣糸504の引張力が十分に大きい場合には、釣糸504がフランジ510、511を撓ませることになり、これにより、上記上端516、517が内側に変位し、釣糸504は当該上端516、517から外れて引き出される。
ところが、このように釣糸504がフランジ510、511に対して強く摺動すると、釣糸504が損傷するおそれがある。特にフランジ510、511の剛性が高い場合、釣糸504の外径が小さい場合、及び釣糸504がいわゆるPEラインの場合等はなおさらである。
もっとも、この問題は、フランジ510が十分に柔らかくて釣糸504に対する摩擦係数がきわめて小さい材料から構成されるならば解消され得る。ところが、そのような材料により内フレーム502が構成された場合には、内フレーム502に釣糸504を巻き取る作業が困難となるし、そもそもそのような材料は一般的なものではない。そのため、製品としての釣糸の製造コストが上昇するという新たな問題が発生する。
そこで、本発明の目的は、釣糸その他の糸状体を巻き癖が付くことなく保持すると共にこの糸状体が損傷を受けることなく円滑に引き出される安価な糸巻、およびこの糸巻に糸状体が巻き取られた糸状体ユニットを提供することである。
[1−(1) ]上記目的が達成されるため、本発明に係る糸巻は、センタープレート及び当該センタープレートの両側に連続する一対のサイドプレートを有し、センタープレートと各サイドプレートとの境界で屈曲されることによって各サイドプレートが対向する折畳姿勢と各サイドプレートが離反する展開姿勢との間で姿勢変化するベースプレートを備える。ベースプレートが折畳姿勢となった状態で端面同士が対向するように一対の糸掛ボスが各サイドプレートに設けられている。当該糸巻は、各糸掛ボスの端面に設けられると共に当該端面から上記センタープレート側へ延設されてベースプレートに固定された一対の補助プレートを有する。当該補助プレートは、上記各糸掛ボスの中心を結ぶ仮想中心線と平行に配置された仮想切断線に沿って切断されることによって真直な切断縁が形成されている。上記補助プレートは、上記端面にフランジを形成する円形部並びに脚部を備えた板状部材により構成される。上記脚部は、上記ベースプレートに固定される底縁、当該底縁の一端に連続し且つ上記円形部の一端側に接するように延びた第1側縁、上記底縁の他端に連続し且つ上記円形部の他端側に接するように延びた第2側縁及び上記円形部に連続すると共に上記第1側縁と上記第2側縁とを接続する円弧縁を有する。
この糸巻は、長尺の糸状体を保持することができる。糸状体としては、釣糸が例示される。糸状体は、次の要領で糸巻に巻き取られる。まず、ベースプレートが展開姿勢に変化され、センタープレートの両側に一対のサイドプレートが配置される。この状態で、一対の糸掛ボスがベースプレートの両端部に配置されることになる。続いて、糸状体の一方の端部がベースプレートの所定部位、例えば一対の糸掛ボスの中間に固定される。糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。このとき、糸状体は、例えば補助プレートの上記仮想切断線に沿って切断された側から糸掛ボスに巻き掛けられる。さらに、この糸状体は、他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。この場合も、補助プレートの上記仮想切断線に沿って切断された側から糸掛ボスに巻き掛けられる。もっとも、この糸状体は、補助プレートの上記仮想切断線に沿って切断された側と反対側から各糸掛ボスに巻き掛けられてもよい。この糸状体は、互いにクロスするように一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。同様にして、この糸状体は、一対の糸掛ボスに交互に連続して巻き掛けられる。すなわち、この糸状体は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス間に巻き取られ、ベースプレートに保持される。この状態でベースプレートが折畳姿勢に変化される。これにより、一対の糸掛ボスに8の字を呈するように巻き付けられていた糸状体は、ベースプレート内で環状に形成される。
前述のように、糸状体が一対の糸掛ボスに8の字を呈するように巻き付けられるから、当該糸状体が一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体が撚れることはない。糸状体は、強く引っ張られることなくきわめて緩やかに一対の糸掛ボスに巻き付けられる。糸状体が各糸掛ボスに巻き付けられた状態でベースプレートが折畳姿勢に変化されると、糸状体は環状に形成され、ほとんど無張力の状態でベースプレートに保持される。したがって、糸状体がベースプレートに長時間保持されたとしても巻き癖がつくことがない。
この糸状体の使用者は、ベースプレートに保持された糸状体の他方の端部を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体をベースプレートから引き出すことができる。このとき、一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられた糸状体は、これら各糸掛ボスから交互に解けるように引き出される。したがって、糸状体は、使用者の意に反して一気に多量にベースプレートから引き出されることはない。
上記糸状体は、次の要領で引き出される。まず、糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該端部の直近に形成された糸状体のループ、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられている糸状体のループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。当該ループの径が小さくなると、当該糸状体は、上記一方の補助プレートの縁部に沿ってスライドする。このとき、各補助プレートは上記真直縁を備えているから、当該糸状体は、当該真直縁に沿って円滑にスライドし、一方の補助プレートが変形しなくても円滑に一方の糸掛ボスから外れ、当該ループが解けることになる。このループに隣り合うループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体は、ストレスなく順に解けることになる。
前述のように、糸状体が保持されている状態ではベースプレートが折畳姿勢となっている。すなわち、一対の糸掛ボスは互いに対向し、当該糸掛ボスに設けられた補助プレートも互いに対向している。糸状体は、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に一方の補助プレートの脚部の第2側縁及び他方の補助プレートの脚部の第1側縁を経て他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、続いて他方の補助プレートの脚部の第2側縁及び一方の補助プレートの脚部の第1側縁を経て一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。ただし、糸状体は、逆方向に巻かれていてもよい。すなわち、糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に一方の補助プレートの脚部の第1側縁及び他方の補助プレートの脚部の第2側縁を経て他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、続いて他方の補助プレートの脚部の第1側縁及び一方の補助プレートの脚部の第2側縁を経て一方の糸掛ボスに巻き掛けられていてもよい。つまり、糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に、螺旋ループを描くように当該一方の糸掛ボスと対向する他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、その後同様に各糸掛ボスに交互に巻き掛けられている。糸状体は、このように幾重にも重なった螺旋ループ状に巻回される。螺旋ループ状に巻回された糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該他方の端部に最も近いループが解け、続いて当該ループに隣り合うループが順に解ける。
糸状体の螺旋ループは、次の要領で解ける。まず、糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該端部の直近の螺旋ループ、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられている螺旋ループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。このとき、当該糸状体は、一方の補助プレートの脚部の第1側縁、一方の糸掛ボス、一方の補助プレートの脚部の第2側縁に巻き掛けられているから、上記螺旋ループの径が小さくなると、当該糸状体は、上記一方の補助プレートの脚部の第1側縁に沿って当該脚部から円形部側へ移動する。しかも、当該第1側縁は途中で上記仮想切断線に沿って切断されているから、当該糸状体は、一方の補助プレートが変形しなくても上記第1側縁に沿って移動した後に円滑に一方の糸掛ボスから外れ、当該螺旋ループが解ける。そして、この螺旋ループに隣り合う螺旋ループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体は、ストレスなく解ける。
[1−(3)] 上記補助プレートは、上記端面にフランジを形成する円形部並びに脚部を備えた板状部材により構成されているのが好ましい。上記脚部は、上記ベースプレートに固定される底縁部、当該底縁部の一端と上記切断縁の下端とを接続するように延びた第1側縁、上記底縁部の他端と上記円形部の他端側とを接続するように延びた第2側縁及び上記円形部に連続すると共に上記第1側縁と上記第2側縁とを接続する円弧縁を有する脚部を有する。上記仮想中心線に対する上記第1側縁の傾斜角度θ1(0°<θ1<90°)及び上記仮想中心線に対する上記第2側縁の傾斜角度θ2(0°<θ2<90°)の関係がθ1<θ2となるように設定されているのが好ましい。
前述のように、糸状体が保持されている状態ではベースプレートが折畳姿勢となっている。すなわち、一対の糸掛ボスは互いに対向し、当該糸掛ボスに設けられた補助プレートも互いに対向している。糸状体は、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に一方の補助プレートの脚部の第2側縁及び他方の補助プレートの脚部の第1側縁を経て他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、続いて他方の補助プレートの脚部の第2側縁及び一方の補助プレートの脚部の第1側縁を経て一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。ただし、糸状体は、逆方向に巻かれていてもよいことは前述の通りである。すなわち、糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に一方の補助プレートの脚部の第1側縁及び他方の補助プレートの脚部の第2側縁を経て他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、続いて他方の補助プレートの脚部の第1側縁及び一方の補助プレートの脚部の第2側縁を経て一方の糸掛ボスに巻き掛けられていてもよい。つまり、糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に、螺旋ループを描くように当該一方の糸掛ボスと対向する他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、その後同様に各糸掛ボスに交互に巻き掛けられる。糸状体は、このように幾重にも重なった螺旋ループ状に巻回される。螺旋ループ状に巻回された糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該他方の端部に最も近いループが解け、続いて当該ループに隣り合うループが順に解ける。
糸状体の螺旋ループは、次の要領で解ける。まず、糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該端部の直近の螺旋ループ、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられている螺旋ループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。このとき、当該糸状体は、一方の補助プレートの脚部の第1側縁、一方の糸掛ボス、一方の補助プレートの脚部の第2側縁に巻き掛けられているから、上記螺旋ループの径が小さくなると、当該糸状体は、上記一方の補助プレートの脚部の第1側縁に沿って当該脚部から円形部側へ移動する。しかも、当該第1側縁は途中で上記仮想切断線に沿って切断されているから、当該糸状体は、一方の補助プレートが変形しなくても上記第1側縁に沿って移動した後に円滑に一方の糸掛ボスから外れ、当該螺旋ループが解ける。そして、この螺旋ループに隣り合う螺旋ループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体は、ストレスなく解ける。
上記第1側縁の傾斜角度θ1は上記第2側縁の傾斜角度θ2よりも小さい。すなわち、上記第2側縁は、上記仮想中心線に対して横方向に大きく張り出している。したがって、ループ状の糸状体が上記第1側縁に沿って円滑に移動する一方で、当該糸状体は、第2側縁に引っ掛かった状態になる傾向にある。このため、当該ループ状の糸状体が勢いよく糸掛ボスから外れ、これに引かれて一気に糸状体が解けてしまうことが防止される。なお、この第1側縁及び第2側縁は、上記傾斜角度がθ1、θ2となる部分を備えていれば十分である。したがって、第1側縁の一部及び第2側縁の一部に上記仮想中心線と平行になる部分が形成されていてもよい。
[1−(4)] 上記補助プレートは、上記端面にフランジを形成するフランジ部、上記ベースプレートに固定される底縁部、及びフランジ部と底縁部とを連続する脚部を備えた板状部材により構成されていてもよい。脚部は、上記底縁部の一端と上記切断縁の下端とを接続するように延びた第1側縁及び上記底縁部の他端と上記フランジ部の他端側とを接続するように延びた第2側縁を有し、上記仮想中心線に対する上記第1側縁の傾斜角度θ1(0°<θ1<90°)と、上記仮想中心線に対する上記第2側縁の傾斜角度θ2(0°<θ2<90°)との関係は、θ1<θ2であるのが好ましい。
前述のように、糸状体が保持されている状態ではベースプレートが折畳姿勢となっている。すなわち、一対の糸掛ボスは互いに対向し、当該糸掛ボスに設けられた補助プレートも互いに対向している。糸状体は、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に一方の補助プレートの脚部の第2側縁及び他方の補助プレートの脚部の第1側縁を経て他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、続いて他方の補助プレートの脚部の第2側縁及び一方の補助プレートの脚部の第1側縁を経て一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。ただし、糸状体は、逆方向に巻かれていてもよいことは前述の通りである。すなわち、糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に一方の補助プレートの脚部の第1側縁及び他方の補助プレートの脚部の第2側縁を経て他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、続いて他方の補助プレートの脚部の第1側縁及び一方の補助プレートの脚部の第2側縁を経て一方の糸掛ボスに巻き掛けられていてもよい。つまり、糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に、螺旋ループを描くように当該一方の糸掛ボスと対向する他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、その後同様に各糸掛ボスに交互に巻き掛けられる。糸状体は、このように幾重にも重なった螺旋ループ状に巻回される。螺旋ループ状に巻回された糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該他方の端部に最も近いループが解け、続いて当該ループに隣り合うループが順に解ける。
糸状体の螺旋ループは、次の要領で解ける。まず、糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該端部の直近の螺旋ループ、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられている螺旋ループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。このとき、当該糸状体は、一方の補助プレートの脚部の第1側縁、一方の糸掛ボス、一方の補助プレートの脚部の第2側縁に巻き掛けられているから、上記螺旋ループの径が小さくなると、当該糸状体は、上記一方の補助プレートの脚部の第1側縁に沿って当該脚部から円形部側へ移動する。しかも、当該第1側縁は途中で上記仮想切断線に沿って切断されているから、当該糸状体は、一方の補助プレートが変形しなくても上記第1側縁に沿って移動した後に円滑に一方の糸掛ボスから外れ、当該螺旋ループが解ける。そして、この螺旋ループに隣り合う螺旋ループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体は、ストレスなく解ける。
上記第1側縁の傾斜角度θ1は上記第2側縁の傾斜角度θ2よりも小さい。すなわち、上記第2側縁は、上記仮想中心線に対して横方向に大きく張り出している。したがって、ループ状の糸状体が上記第1側縁に沿って円滑に移動する一方で、当該糸状体は、第2側縁に引っ掛かった状態になる傾向にある。このため、当該ループ状の糸状体が勢いよく糸掛ボスから外れ、これに引かれて一気に糸状体が解けてしまうことが防止される。なお、この第1側縁及び第2側縁は、上記傾斜角度がθ1、θ2となる部分を備えていれば十分である。したがって、第1側縁の一部及び第2側縁の一部に上記仮想中心線と平行になる部分が形成されていてもよい。
[1−(5)] 上記底縁部は、一対の脚部同士を連結するように帯状に形成されていてもよい。この底縁部は、上記ベースプレートが折畳姿勢に変化したときに、当該底縁部の両端部が一方の脚部の内側及び他方の脚部の内側に対称に折り返されるための一対の第1折曲補助線と、当該底縁部の中間部が上記ベースプレート側に凸となるように湾曲されるための一対の第2折曲補助線とを備えているのが好ましい。
この場合、一対の脚部同士が連結され、一対の補助プレートが単一の部品として構成される。したがって、ベースプレートが折畳姿勢に変化したときは、重ね合わされたベースプレート及び補助プレートが折り畳まれることになる。一般に2枚のシートが重ね合わされた状態で折り畳まれると、内側のシートに弛みが生じる。したがって、ベースプレートが折畳姿勢に変化すると、補助プレートに弛みが生じる。この弛みは補助プレートの弾性変形を起こす。補助プレートの一部が内側に凸となるように変形した場合、補助プレート間に形成される空間が狭くなり、糸掛ボスに巻き取られた糸状体が圧迫されるなどの不都合が生じる。
この発明では、上記第1折曲補助線及び第2折曲補助線が設けられているから、ベースプレートが折畳姿勢に変化すると、上記底縁部が第1折曲補助線が設けられた部分及び第2折曲補助線が設けられた部分で屈曲される。すなわち、底縁部の両端部が一方の脚部の内側及び他方の脚部の内側に対称に折り返されると共に、当該底縁部の中間部が上記ベースプレート側に凸となるように湾曲される。これにより、補助プレート間に形成される空間が狭くならず、糸掛ボスに巻き取られた糸状体が圧迫されるなどの不都合が生じない。
[1−(6)] 上記サイドプレートは、上記センタープレートに対して蛇腹状に折り畳まれるための第3折曲補助線を備えているのが好ましい。
この構成では、サイドプレートがセンタープレートに対して蛇腹状に折り畳まれるから、ベースプレートが折畳姿勢に変化したときは、ベースプレートの長さが短くなる。すなわち、糸巻全体の全長が短くなり、糸巻の使用者にとってコンパクトで使いやすいものとなる。
糸巻について単なるコンパクト設計を行うことは簡単である。ところが、一対の糸掛ボス間の距離が短くなると、所定長さの糸状体が各糸掛ボス間に巻き取られる場合に巻き回数が増加して巻取作業のコストが増大する。本発明では、サイドプレートがセンタープレートに対して蛇腹状に折り畳まれるから、ベースプレートが展開姿勢のときは一対の糸掛ボス間の距離が長くなり、ベースプレートが折畳姿勢のときは一対の糸掛ボス間の距離が短くなる。したがって、ベースプレートが展開姿勢に変化した状態で糸状体が巻き取られることにより、所定長さの糸状体が各糸掛ボス間に巻き取られる際の巻き回数が少なくなり、巻取作業のコストの増大が避けられる。
[1−(7)] 上記糸掛ボスは、外径がdである円柱状に形成されていてもよい。その場合、上記仮想切断線は、上記仮想中心線から距離Sの位置に配置され、当該距離Sは、d/2<S≦D/2−(D−d)/6に設定されるのが好ましい。
[1−(8)] 上記サイドプレートの縁部から上記補助プレートの縁部に向かって延びる堤部がさらに設けられているのが好ましい。
前述のように、糸状体は糸掛ボスの周りにループ状に幾重にも巻回されている。糸状体は、その剛性により糸掛ボスを中心にして外側へ拡がる傾向にあるから、ループ状の糸状体が一気に解けてしまうおそれがある。前述のように、糸状体に撚りが生じないのは、一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺されるからである。糸状体が引き出されて一のループが解けていく際に、糸状体が一方の糸掛ボス側から外れた瞬間に撚りが発生する。この撚りは、当該糸状体が他方の糸掛ボスからも外れることによって相殺される。但し、この撚りが相殺されるまでに当該糸状体が大きく拡がり、これに引きずられるようにして他のループが補助プレートの外側に外れてしまうことがある。このため、糸状体が引き出される際に絡みついてしまうおそれがある。しかし、この構成では、上記堤部が設けられているから、糸状体が糸掛ボスを中心にして外側へ拡がることが防止される。すなわち、糸状体によって形成される各ループが補助プレートから外側へ外れてしまうことが防止される。したがって、糸状体の絡みが防止され、糸状体が円滑に引き出される。
[1−(9)] 上記サイドプレートの縁部から上記補助プレートの縁部に向かって延びる堤部に代えて、上記補助プレートの縁部から上記サイドプレートの縁部に向かって延びる堤部が設けられていてもよい。
前述のように、糸状体は糸掛ボスの周りにループ状に幾重にも巻回されており、糸掛ボスを中心にして外側へ拡がる傾向にあるから、ループ状の糸状体が一気に解けてしまうおそれがある。前述のように、糸状体に撚りが生じないのは、一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺されるからである。糸状体が引き出されて一のループが解けていく際に、糸状体が一方の糸掛ボス側から外れた瞬間に撚りが発生する。この撚りは、当該糸状体が他方の糸掛ボスからも外れることによって相殺される。但し、この撚りが相殺されるまでに当該糸状体が大きく拡がり、これに引きずられるようにして他のループが補助プレートの外側に外れてしまうことがある。このため、糸状体が引き出される際に絡みついてしまうおそれがある。しかし、この構成では、上記堤部が設けられているから、糸状体が糸掛ボスを中心にして外側へ拡がることが防止される。すなわち、糸状体によって形成される各ループが補助プレートから外側へ外れてしまうことが防止される。したがって、糸状体の絡みが防止され、糸状体が円滑に引き出される。
上記糸状体は、ベースプレートが展開姿勢にある状態で一対の糸掛ボスに巻き掛けられて、その後ベースプレートが折畳姿勢に変化されることにより、前述のような多重螺旋ループ状に形成されている。このため、糸状体は、多重螺旋ループの中央(折り畳まれた糸状体の中央)から引き出される。
上記ベースプレートが折畳姿勢となったときは、サイドプレートの内側に上記補助プレートが配置される。したがって、上記堤部は、補助プレートからサイドプレートに向かって、すなわち折り畳まれたベースプレートの中央から外側に突出する。このため、上記糸状体は、上記多重螺旋ループの中央から引き出され、上記堤部によってサイドプレート側へ導かれる。つまり、糸状体は、多重螺旋ループの中央から一旦外側へ導かれた後に外部へ引き出される。
前述のように、糸状体が引っ張られて一の螺旋ループが解けていく際に、当該螺旋ループに隣り合う螺旋ループあるいは当該螺旋ループの近傍に位置する螺旋ループが引きずられて当該糸状体と一緒に引き出される可能性がある。その場合、当該糸状体が引っ張られる方向と螺旋ループが引きずられる方向とが略一致するならば、引きずられる螺旋ループと引き出される糸状体とが絡み合う可能性が高くなる。この構成では、引っ張られる糸状体は堤部によって一旦外側へ導かれるから、当該糸状体が引っ張られる方向と螺旋ループが引きずられる方向とが異なる。したがって、仮に螺旋ループが引きずられたとしても、引っ張られる糸状体と絡みつくことが確実に防止される。
[1−(10)]上記堤部は、上記糸掛ボスを中心とする円弧状に形成された突条から構成されているのが好ましい。
この構成によれば、仮に糸状体が糸掛ボスを中心に外側に拡がろうとしても、堤部が糸状体の周囲に均等に当接する。したがって、糸状体の拡がりが確実に防止される。
[1−(11)]上記糸掛ボスの周辺領域が糸掛ボスの中心を通る仮想軸線の方向であって上記堤部が突出する向きに陥没するように上記補助プレートに段差が形成されていてもよい。
上記ベースプレートが折畳姿勢となったときは、上記補助プレート同士が重ねられた状態となる。上記段差が形成されることにより、上記糸掛ボスの周辺領域が糸掛ボスの中心を通る仮想軸線の方向であって上記堤部が突出する向き、すなわち、折り畳まれたベースプレートの中央から外側に向かって陥没する。したがって、上記ベースプレートが折畳姿勢となったときは、補助プレートの陥没した部分同士が背中合わせの状態で重ねられる。このため、重ねられた補助プレートの間であって上記糸掛ボスの周辺領域に空洞部が形成される。
糸状体が引っ張られると、前述のように螺旋ループが順に解け、当該糸状体は、重ねられた補助プレート同士の間をすり抜ける。このとき、引っ張られる糸状体が形成する螺旋ループに隣り合う螺旋ループあるいはこの近傍に位置する螺旋ループが引きずられて当該糸状体と一緒に上記補助プレート同士の間に進入する可能性がある。しかし、上記空洞部が形成されているから、仮に上記糸状体と一緒に螺旋ループが補助プレート同士の間に進入しても、上記空洞内では当該糸状体のみが引っ張られ、当該螺旋ループは、当該空洞内で待機する。したがって、引きずられる螺旋ループと引き出される糸状体とが絡み合うことが確実に防止される。
[1−(12)]折畳姿勢のベースプレートの周囲を被覆して当該ベースプレート、糸掛ボス及び補助プレートを収容保持するケーシングがさらに備えられていてもよい。当該ケーシングは、一対の糸掛ボス間に巻き取られた糸状体が挿通し得る糸引出孔を有し、当該糸引出孔は、ベースプレートがケーシングに保持された状態で上記糸掛ボスの中心よりも上記切断縁が設けられた側にオフセットされているのが好ましい。
糸状体は糸引出孔から引き出されるから、糸状体は、糸引出孔の方へ引っ張られる。この糸引出孔は、糸掛ボスの中心よりも上記切断縁が設けられた側にオフセットされているから、糸状体は、上記第1縁部をより一層滑らかに移動する。したがって、糸状体は、なお一層ストレス無く円滑に引き出される。
[1−(13)]上記糸巻と、上記一対の糸掛ボス間に巻き付けられた状態で保持された糸状体とを有する糸状体ユニットが構成され得る。この場合、当該糸状体は、上記補助プレートの第2側縁側から第1側縁側に向かって一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後、当該糸状体とクロスして他方の糸掛ボスの方に導かれて上記補助プレートの第2側縁側から第1側縁側に向かって当該他方の糸掛ボスに8の字状を呈するように巻き掛けられているのが好ましい。
糸状体が糸掛ボスに対して上記方向に巻き掛けられることによって、糸状体は、もっともストレス無く円滑に引き出される。
[1−(A)]上記目的が達成されるため、本発明に係る糸状体ユニットは、センタープレート及び当該センタープレートの両側に連続する一対のサイドプレートを有し、センタープレートと各サイドプレートとの境界で屈曲されることによって各サイドプレートが対向する折畳姿勢と各サイドプレートが離反する展開姿勢との間で姿勢変化するベースプレートと、ベースプレートが折畳姿勢となった状態で端面同士が対向するように各サイドプレートに設けられた一対の糸掛ボスと、各糸掛ボスの端面に固定されると共に当該端面から上記センタープレート側へ延設されてベースプレートに固定された一対の補助プレートと、ベースプレートが展開姿勢となった状態で、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に続いて他方の糸掛ボスに巻き掛けられることにより、一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き取られた長尺の糸状体と、糸状体、糸掛ボス及びベースプレートを当該ベースプレートが折畳姿勢となった状態で収容保持するケーシングと、ケーシングに設けられ、糸状体をケーシングの内部から外部へ案内する案内部とを備える。上記補助プレートは、上記端面にフランジを形成する円形部並びに上記ベースプレートに固定される底縁、当該底縁の一端に連続し且つ上記円形部の一端側に接するように延びた第1側縁、上記底縁の他端に連続し且つ上記円形部の他端側に接するように延びた第2側縁及び上記円形部に連続すると共に上記第1側縁と上記第2側縁とを接続する円弧縁を有する脚部を備えた板状部材が、上記各糸掛ボスの中心を結ぶ仮想中心線と平行に配置された仮想切断線に沿って切断されることにより形成され得る。上記糸状体は、上記補助プレートの上記仮想切断線に沿って切断された側から上記糸掛ボスに巻き取られているのが好ましい。
上記糸状体は、この糸巻に保持される。糸状体としては、釣糸が例示される。糸状体は、次の要領で糸巻に巻き取られる。まず、ベースプレートが展開姿勢に変化され、センタープレートの両側に一対のサイドプレートが配置される。これにより、一対の糸掛ボスがベースプレートの両端部に配置される。続いて、糸状体の一方の端部がベースプレートの所定部位、例えば一対の糸掛ボスの中間に固定される。糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。糸状体は補助プレートの上記仮想切断線に沿って切断された側から糸掛ボスに巻き掛けられる。さらに、この糸状体は、他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。この場合も、糸状体は補助プレートの上記仮想切断線に沿って切断された側から糸掛ボスに巻き掛けられる。つまり、この糸状体は、互いにクロスするように一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。この糸状体は、同様にして一対の糸掛ボス間に交互に連続して巻き掛けられる。すなわち、この糸状体は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス間に巻き取られ、ベースプレートに保持される。この状態でベースプレートが折畳姿勢に変化される。これにより、一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられていた糸状体は、ベースプレート内で環状に形成される。
前述のように、糸状体が一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられる。このため、当該糸状体が一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体が撚れることはない。糸状体は、強く引っ張られることなくきわめて緩やかに一対の糸掛ボスに巻き付けられる。糸状体が各糸掛ボスに巻き付けられた状態でベースプレートが折畳姿勢に変化されることにより、糸状体は環状に形成され、ほとんど無張力の状態でベースプレートに保持される。したがって、糸状体がベースプレートに長時間保持されたとしても巻き癖がつくことがない。
この糸状体の使用者は、ベースプレートに保持された糸状体の他方の端部を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体をベースプレートから引き出すことができる。このとき、一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられた糸状体は、これら各糸掛ボスから交互にほどけるように引き出される。したがって、糸状体は、使用者の意に反して多量にベースプレートから引き出されることはない。
糸状体が保持されている状態ではベースプレートが折畳姿勢となっている。すなわち、一対の糸掛ボスは互いに対向し、当該糸掛ボスに設けられた補助プレートも互いに対向している。糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に一方の補助プレートの脚部の第2側縁及び他方の補助プレートの脚部の第1側縁を経て他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、続いて他方の補助プレートの脚部の第2側縁及び一方の補助プレートの脚部の第1側縁を経て一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。つまり、糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられた後に、螺旋ループを描くように当該一方の糸掛ボスと対向する他方の糸掛ボスに巻き掛けられ、その後同様に各糸掛ボスに交互に巻き掛けられる。糸状体は、幾重にも重なった螺旋ループ状に巻回される。このように螺旋ループ状に巻回された糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該他方の端部に最も近いループが解け、続いて当該ループに隣り合うループが順に解ける。
糸状体の螺旋ループは、次の要領で解ける。まず、上記他方の端部が引っ張られると、当該端部の直近の螺旋ループ、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられている螺旋ループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。このとき、当該糸状体は、一方の補助プレートの脚部の第1側縁、一方の糸掛ボス、一方の補助プレートの脚部の第2側縁に巻き掛けられているから、上記螺旋ループの径が小さくなると、当該糸状体は、上記一方の補助プレートの脚部の第1側縁に沿って当該脚部から円形部側へ移動する。しかも、当該第1側縁は途中で上記仮想切断線に沿って切断されているから、当該糸状体は、一方の補助プレートが変形しなくても上記第1側縁に沿って移動した後に円滑に一方の糸掛ボスから外れ、当該螺旋ループが解ける。そして、この螺旋ループに隣り合う螺旋ループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体は、ストレスなく解ける。
[1−(B)]上記目的が達成されるため、本発明に係る糸状体ユニットの製造方法は、センタープレート及び当該センタープレートの両側に連続する一対のサイドプレートを有し、センタープレートと各サイドプレートとの境界で屈曲されることによって各サイドプレートが対向する折畳姿勢と各サイドプレートが離反する展開姿勢との間で姿勢変化するベースプレートと、ベースプレートが折畳姿勢となった状態で端面同士が対向するように各サイドプレートに設けられた一対の糸掛ボスと、各糸掛ボスの端面に固定されると共に当該端面から上記センタープレート側へ延設されてベースプレートに固定された一対の補助プレートとを有し、当該補助プレートは、上記端面にフランジを形成する円形部並びに上記ベースプレートに固定される底縁、当該底縁の一端に連続し且つ上記円形部の一端側に接するように延びた第1側縁、上記底縁の他端に連続し且つ上記円形部の他端側に接するように延びた第2側縁及び上記円形部に連続すると共に上記第1側縁と上記第2側縁とを接続する円弧縁を有する脚部を備えた板状部材が、上記各糸掛ボスの中心を結ぶ仮想中心線と平行に配置された仮想切断線に沿って切断されることにより形成されている糸巻に、上記ベースプレートが展開姿勢となった状態で、糸状体が一方の糸掛ボスに上記補助プレートの上記仮想切断線に沿って切断された側から巻き掛けられた後に続いて他方の糸掛ボスに上記補助プレートの上記仮想切断線に沿って切断された側から巻き掛けられることにより、一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられる工程と、上記糸状体が各糸掛ボス間に巻き付けられた状態で上記ベースプレートが折畳姿勢に姿勢変化される工程と、折畳姿勢に姿勢変化されたベースプレートが、糸状体が引出可能な状態でケーシングに収容保持される工程とを含む。
この製法によれば、糸巻は糸状体とは別個に製造され、糸巻に対して糸状体が巻き付けられることにより糸状体ユニットが完成する。換言すれば、糸巻のみが予め大量に製造され得る。したがって、部品としての糸巻が効率的に生産され、部品コストが削減される。予め大量に製造された糸状体が糸巻に効率的に巻き付けられる。したがって、糸状体を糸巻に巻き付ける作業のコストが低減される。その結果、糸巻ユニットが効率的に安価に製造され得るという利点がある。糸巻は、上記のように姿勢変化するベースプレートを備えているから、糸状体が使用された後は、ベースプレートが展開姿勢に変化されることにより、再び糸状体のみが糸巻に巻き付けられる。すなわち、糸巻のリサイクルが可能であり、ゴミの発生が抑制される。
[2−(14)]上記目的が達成されるため、本発明に係る糸巻は、センタープレート及び当該センタープレートの両側に連続する一対のサイドプレートを有し、センタープレートと各サイドプレートとの境界で屈曲されることによって各サイドプレートが対向する折畳姿勢と各サイドプレートが離反する展開姿勢との間で姿勢変化するベースプレートと、ベースプレートが折畳姿勢となった状態で端面同士が対向するように各サイドプレートに設けられた一対の糸掛ボスと、各糸掛ボスの端面に設けられると共に当該端面から上記センタープレート側へ延設されてベースプレートに固定された一対の補助プレートと、上記サイドプレートの縁部から上記補助プレートの縁部に向かって延びる第1堤部とを備える。
この糸巻は、長尺の糸状体を保持することができる。糸状体としては、釣糸が例示される。糸状体は、次の要領で糸巻に巻き取られる。まず、ベースプレートが展開姿勢に変化され、センタープレートの両側に一対のサイドプレートが配置される。これにより、一対の糸掛ボスがベースプレートの両端部に配置される。続いて、糸状体の一方の端部がベースプレートの所定部位、例えば一対の糸掛ボスの中間に固定される。糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。さらに、この糸状体は、他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。糸状体は互いにクロスするように一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。同様にして、この糸状体は、一対の糸掛ボス間に交互に連続して巻き掛けられる。この糸状体は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス間に巻き取られ、ベースプレートに保持される。この状態でベースプレートが折畳姿勢に変化される。一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられていた糸状体は、ベースプレート内で幾重にも重なった螺旋ループ状に形成される。
前述のように、糸状体が一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられる。このため、当該糸状体が一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体が撚れることはない。糸状体は、強く引っ張られることなく緩やかに一対の糸掛ボスに巻き付けられ得る。糸状体が各糸掛ボスに巻き付けられた状態でベースプレートが折畳姿勢に変化されることにより、糸状体は環状に形成され、ほとんど無張力の状態でベースプレートに保持される。したがって、糸状体がベースプレートに長時間保持されたとしても巻き癖がつくことがない。
この糸状体の使用者は、ベースプレートに保持された糸状体の他方の端部を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体をベースプレートから引き出すことができる。このとき、一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられた糸状体は、これら各糸掛ボスから交互に解けるように引き出される。したがって、糸状体は、使用者の意に反して多量にベースプレートから引き出されることはない。
上記糸状体は、次の要領で引き出される。まず、上記他方の端部が引っ張られると、当該端部の直近に形成された糸状体のループ、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられている糸状体のループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。当該ループの径が小さくなると、当該糸状体は、上記一方の補助プレートの縁部に沿ってスライドする。このとき、当該糸状体は、一方の補助プレートが変形しなくても円滑に一方の糸掛ボスから外れ、当該ループが解ける。このループに隣り合うループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体は、ストレスなく順に解けることになる。
前述のように、糸状体は糸掛ボスの周りにループ状に幾重にも巻回されている。糸状体は、その剛性により糸掛ボスを中心にして外側へ拡がる傾向にあるから、ループ状の糸状体が一気に解けてしまうおそれがある。前述のように、糸状体に撚りが生じないのは、一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺されるからである。但し、糸状体が引き出される場合、一つのループが解けていく際に、糸状体が一方の糸掛ボス側から外れた瞬間に撚りが発生する。この撚りは、当該糸状体が他方の糸掛ボスからも外れることによって相殺される。この撚りが相殺されるまでに当該糸状体が大きく拡がり、これに引きずられるようにして他のループが補助プレートの外側に外れてしまうことがある。そのため、糸状体が引き出される際に絡みついてしまうおそれがある。しかし、この糸巻は上記第1堤部を備えているから、糸状体が糸掛ボスを中心にして外側へ拡がることが抑制され、各ループが補助プレートから外側へ外れてしまうことが防止される。したがって、糸状体の絡みが防止され、糸状体が円滑に引き出される。
[2−(15)]上記第1堤部は、当該第1堤部の先端が上記補助プレートに接触するように設けられているのが好ましい。
この構成では、糸掛ボスに巻かれた状態の糸状体の拡がりが第1堤部によって確実に防止される。糸状体が引っ張られると当該糸状体に一定のテンションが発生する。このテンションによって糸状体は第1堤部の先端と補助プレートとの間をすり抜けて外部に引き出される。
[2−(16)]上記第1堤部は、上記糸掛ボスを中心とする円弧状に形成された突条から構成されているのが好ましい。
この構成によれば、仮に糸状体が糸掛ボスを中心に外側に拡がろうとしても、第1堤部が糸状体の周囲に均等に当接する。したがって、糸状体の拡がりが確実に防止される。
[2−(17)]上記サイドプレートの側部に第2堤部がさらに設けられているのが好ましい。
この構成によれば、サイドプレートの側部の方向へ糸状体が拡がろうとしても、第2堤部に糸状体が当接する。したがって、糸状体が糸掛ボスを中心にして外側へ拡がることがより一層防止される。特に、サイドプレートの側部方向への糸状体の拡がりが確実に防止される。
[2−(18)]上記糸巻に糸状体が巻き付けられた状態で糸状体ユニットが構成される。糸状体は、一対の糸掛ボス間に巻き付けられた状態で保持される。具体的には、当該糸状体は、一方の糸掛ボスの一方側から他方側へ巻き掛けられた後、当該糸状体とクロスして他方の糸掛ボスの方に導かれて当該他方の糸掛ボスの一方側から他方側へ8の字状を呈するように巻き掛けられるのが好ましい。
このように構成された糸状体ユニットは、上記第1堤部が設けられているから、糸状体が糸掛ボスを中心にして外側へ拡がることはない。したがって、糸状体の絡みが防止され、糸状体は、より一層滑らかに解けることになる。
[3−(19)]上記目的が達成されるため、本発明に係る糸巻は、センタープレート及び当該センタープレートの両側に連続する一対のサイドプレートを有し、センタープレートと各サイドプレートとの境界で屈曲されることによって各サイドプレートが対向する折畳姿勢と各サイドプレートが離反する展開姿勢との間で姿勢変化するベースプレートと、ベースプレートが折畳姿勢となった状態で端面同士が対向するように各サイドプレートに設けられた一対の糸掛ボスと、各糸掛ボスの端面に設けられると共に当該端面から上記センタープレート側へ延設されてベースプレートに固定された一対の補助プレートと、上記補助プレートの縁部から上記サイドプレートの縁部に向かって延びる堤部とを備える。
この糸巻は、長尺の糸状体を保持することができる。糸状体としては、釣糸が例示される。糸状体は、次の要領で糸巻に巻き取られる。まず、ベースプレートが展開姿勢に変化され、センタープレートの両側に一対のサイドプレートが配置される。これにより、一対の糸掛ボスがベースプレートの両端部に配置される。続いて、糸状体の一方の端部がベースプレートの所定部位、例えば一対の糸掛ボスの中間に固定される。糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。さらに、この糸状体は、他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。糸状体は互いにクロスするように一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。同様にして、この糸状体は、一対の糸掛ボス間に交互に連続して巻き掛けられる。この糸状体は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス間に巻き取られ、ベースプレートに保持される。この状態でベースプレートが折畳姿勢に変化される。一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられていた糸状体は、ベースプレート内で幾重にも重なった螺旋ループ状に形成される。
前述のように、糸状体が一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられる。このため、当該糸状体が一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体が撚れることはない。糸状体は、強く引っ張られることなく緩やかに一対の糸掛ボスに巻き付けられ得る。糸状体が各糸掛ボスに巻き付けられた状態でベースプレートが折畳姿勢に変化されることにより、糸状体は環状に形成され、ほとんど無張力の状態でベースプレートに保持される。したがって、糸状体がベースプレートに長時間保持されたとしても巻き癖がつくことがない。
この糸状体の使用者は、ベースプレートに保持された糸状体の他方の端部を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体をベースプレートから引き出すことができる。このとき、一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられた糸状体は、これら各糸掛ボスから交互に解けるように引き出される。したがって、糸状体は、使用者の意に反して多量にベースプレートから引き出されることはない。
上記糸状体は、次の要領で引き出される。まず、上記他方の端部が引っ張られると、当該端部の直近に形成された糸状体のループ、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられている糸状体のループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。当該ループの径が小さくなると、当該糸状体は、上記一方の補助プレートの縁部に沿ってスライドする。このとき、当該糸状体は、一方の補助プレートが変形しなくても円滑に一方の糸掛ボスから外れ、当該ループが解ける。このループに隣り合うループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体は、ストレスなく順に解けることになる。
前述のように、糸状体は糸掛ボスの周りにループ状に幾重にも巻回されている。糸状体は、その剛性により糸掛ボスを中心にして外側へ拡がる傾向にあるから、ループ状の糸状体が一気に解けてしまうおそれがある。前述のように、糸状体に撚りが生じないのは、一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺されるからである。但し、糸状体が引き出される場合、一つのループが解けていく際に、糸状体が一方の糸掛ボス側から外れた瞬間に撚りが発生する。この撚りは、当該糸状体が他方の糸掛ボスからも外れることによって相殺される。この撚りが相殺されるまでに当該糸状体が大きく拡がり、これに引きずられるようにして他のループが補助プレートの外側に外れてしまうことがある。そのため、糸状体が引き出される際に絡みついてしまうおそれがある。しかし、この糸巻は上記堤部を備えているから、糸状体が糸掛ボスを中心にして外側へ拡がることが抑制され、各ループが補助プレートから外側へ外れてしまうことが防止される。したがって、糸状体の絡みが防止され、糸状体が円滑に引き出される。
上記糸状体は、サイドプレートが展開姿勢にある状態で一対の糸掛ボスに巻き掛けられて、その後サイドプレートが折畳姿勢に変化されることにより、前述のような多重螺旋ループ状に形成されている。このため、糸状体は、多重螺旋ループの中央(折り畳まれた糸状体の中央)から引き出される。
上記サイドプレートが折畳姿勢となったときは、当該サイドプレートの内側に上記補助プレートが配置される。したがって、上記堤部は、補助プレートからサイドプレートに向かって、すなわち折り畳まれたサイドプレートの中央から外側に突出する。このため、上記糸状体は、上記多重螺旋ループの中央から引き出され、上記堤部によってサイドプレート側へ導かれる。つまり、糸状体は、多重螺旋ループの中央から一旦外側へ導かれた後に外部へ引き出される。
前述のように、糸状体が引っ張られて一の螺旋ループが解けていく際に、当該螺旋ループに隣り合う螺旋ループあるいは当該螺旋ループの近傍に位置する螺旋ループが引きずられて当該糸状体と一緒に引き出される可能性がある。その場合、当該糸状体が引っ張られる方向と螺旋ループが引きずられる方向とが略一致するならば、引きずられる螺旋ループと引き出される糸状体とが絡み合う可能性が高くなる。この構成では、引っ張られる糸状体は堤部によって一旦外側へ導かれるから、当該糸状体が引っ張られる方向と螺旋ループが引きずられる方向とが異なる。したがって、仮に螺旋ループが引きずられたとしても、引っ張られる糸状体と絡みつくことが確実に防止される。
[3−(20)]上記堤部は、当該堤部の先端が上記サイドプレートに接触するように設けられているのが好ましい。
この構成では、糸掛ボスに巻かれた状態の糸状体の拡がりが堤部によって確実に防止される。糸状体が引っ張られると当該糸状体に一定のテンションが発生する。このテンションによって糸状体は堤部の先端とサイドプレートとの間をすり抜けて外部に引き出される。
[3−(21)]上記堤部は、上記糸掛ボスを中心とする円弧状に形成された突条から構成されているのが好ましい。
この構成によれば、仮に糸状体が糸掛ボスを中心に外側に拡がろうとしても、堤部が糸状体の周囲に均等に当接する。したがって、糸状体の拡がりが確実に防止される。
[3−(22)]上記糸巻に糸状体が巻き付けられた状態で糸状体ユニットが構成される。糸状体は、一対の糸掛ボス間に巻き付けられた状態で保持される。具体的には、当該糸状体は、一方の糸掛ボスの一方側から他方側へ巻き掛けられた後、当該糸状体とクロスして他方の糸掛ボスの方に導かれて当該他方の糸掛ボスの一方側から他方側へ8の字状を呈するように巻き掛けられるのが好ましい。
このように構成された糸状体ユニットは、上記堤部が設けられているから、糸状体が糸掛ボスを中心にして外側へ拡がることはない。したがって、糸状体の絡みが防止され、糸状体は、より一層滑らかに解けることになる。
[4−(23)]上記目的が達成されるため、本発明に係る糸巻は、センタープレート及び当該センタープレートの両側に連続する一対のサイドプレートを有し、センタープレートと各サイドプレートとの境界で屈曲されることによって各サイドプレートが対向する折畳姿勢と各サイドプレートが離反する展開姿勢との間で姿勢変化するベースプレートと、先端面を有し、ベースプレートが折畳姿勢となった状態で当該先端面同士が対向するように各サイドプレートに設けられた一対の糸掛ボスと、各糸掛ボスの先端面に設けられると共に当該先端面から上記センタープレート側へ延びてベースプレートに連結された一対の補助プレートと、折畳姿勢のベースプレートの周囲を被覆して当該ベースプレート、糸掛ボス及び補助プレートを収容保持するケーシングとを備える。このケーシングは、一対の糸掛ボス間に巻き取られた糸状体が挿通し得る糸引出孔を有し、当該糸引出孔は、ベースプレートがケーシングに保持された状態で各糸掛ボスの中心を通る仮想軸線に直交し且つサイドプレートの長手方向に沿う仮想中心線に対して糸掛ボスの径方向にオフセットされた位置に設けられている。
この糸巻は、長尺の糸状体を保持することができる。糸状体としては、釣糸が例示される。糸状体は、次の要領で糸巻に巻き取られる。まず、ベースプレートが展開姿勢に変化され、センタープレートの両側に一対のサイドプレートが配置される。これにより、一対の糸掛ボスがベースプレートの両端部に配置される。糸状体の一方の端部がベースプレートの所定部位、例えば一対の糸掛ボスの中間に固定される。糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられる。さらに、この糸状体は、他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。この場合に、糸状体は互いにクロスするように一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。同様にして、この糸状体は、一対の糸掛ボス間に交互に連続して巻き掛けられる。この糸状体は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス間に巻き取られ、ベースプレートに保持される。この状態でベースプレートが折畳姿勢に変化される。これにより、一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられていた糸状体は、ベースプレート内で幾重にも重なった螺旋ループ状に形成される。そして、折畳姿勢に変化したベースプレートは、ケーシングに収容され糸状体と共に保持される。
前述のように、糸状体が一対の糸掛ボス間に8の字を呈するように巻き付けられるから、当該糸状体が一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体が撚れることはない。糸状体は、強く引っ張られることなく緩やかに一対の糸掛ボスに巻き付けられる。このため、糸状体が各糸掛ボスに巻き付けられた状態でベースプレートが折畳姿勢に変化されると、糸状体は環状に形成され、ほとんど無張力の状態でベースプレートに保持される。したがって、糸状体がベースプレートに長時間保持されたとしても巻き癖がつくことがない。
糸状体は、ケーシングの糸引出孔から外部に導かれている。この糸状体を使用しようとする者は、糸状体の他方の端部を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体を糸引出孔から引き出すことができる。このとき、一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられた糸状体は、これら各糸掛ボスから交互にほどけるように引き出される。すなわち、幾重にもループ状に巻回された糸状体は、各ループが一つづつ消滅するように上記糸引出孔から引き出される。
糸引出孔は、上記仮想中心線に対して糸掛ボスの径方向にオフセットされている。この仮想中心線の方向は、各糸掛ボスの中心を通る仮想軸線に直交し且つサイドプレートの長手方向に沿う方向である。つまり、仮想中心線はケーシングの中心を貫いており、糸引出孔は、ケーシングの中心から変位した位置に設けられている。前述のように、糸状体は幾重にも重ねられたループ状に形成されているから、糸状体が引っ張られることにより、各ループが解けて消滅するようにケーシングから引き出される。したがって、糸引出孔が前述のようにオフセットされていることにより、上記ループが解けやすくなる。これにより、糸状体は、補助プレート等に強く摺動することなく滑らかにストレス無く解けることになる。
[4−(24)]上記糸巻に糸状体が巻き付けられた状態で糸状体ユニットが構成される。糸状体は、前述のように、一対の糸掛ボス間に巻き付けられた状態で保持される。具体的には、当該糸状体は、一方の糸掛ボスの一方側から他方側へ巻き掛けられた後、当該糸状体とクロスして他方の糸掛ボスの方に導かれて当該他方の糸掛ボスの一方側から他方側へ8の字状を呈するように巻き掛けられるのが好ましい。そして、糸引出孔は、上記仮想中心線に対して上記糸掛ボスの他方側にオフセットされているのが好ましい。
この糸状体ユニットでは、糸状体が引き出される際に、一対の糸掛ボスに環状に巻回された糸状体が解け始める側に糸引出孔が配置されている。したがって、糸状体は、より一層滑らかに解けることになる。
[5−(25)]上記目的が達成されるため、本発明に係る糸巻は、センタープレート及び当該センタープレートの両側に連続する一対のサイドプレートを有し、センタープレートと各サイドプレートとの境界で屈曲されることによって各サイドプレートが対向する折畳姿勢と各サイドプレートが離反する展開姿勢との間で姿勢変化するベースプレートとを備える。ベースプレートが折畳姿勢となった状態で端面同士が対向するように、一対の糸掛ボスが各サイドプレートに設けられている。当該糸巻は、各糸掛ボスの端面に設けられると共に当該端面から上記センタープレート側へ延設されてベースプレートに固定された一対の補助プレートとを有する。当該糸巻は、各補助プレートを連結するように各補助プレートと一体的に形成された帯状の底縁部を有する。当該底縁部は、上記ベースプレートが折畳姿勢に変化したときに、当該底縁部の両端部が一方の補助プレートの内側及び他方の補助プレートの内側に対称に折り返されるための一対の第1折曲補助線と、当該底縁部の中間部が上記ベースプレート側に凸となるように湾曲されるための一対の第2折曲補助線とを備える。
この糸巻は、長尺の糸状体を保持することができる。糸状体としては、釣糸が例示される。糸状体は、次の要領で糸巻に巻き取られる。まず、ベースプレートが展開姿勢に変化され、センタープレートの両側に一対のサイドプレートが配置される。この状態で、一対の糸掛ボスがベースプレートの両端部に配置されることになる。続いて、糸状体の一方の端部がベースプレートの所定部位、例えば一対の糸掛ボスの中間に固定される。糸状体は、一方の糸掛ボスに巻き掛けられ、さらに、他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。この糸状体は、例えば一方の糸掛ボスに時計回りに巻き掛けられ、他方の糸掛ボスに反時計回りに巻き掛けられる。糸状体は、互いにクロスするように一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられる。同様にして、この糸状体は、一対の糸掛ボスに交互に連続して巻き掛けられる。すなわち、この糸状体は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス間に巻き取られ、ベースプレートに保持される。この状態でベースプレートが折畳姿勢に変化される。これにより、一対の糸掛ボスに8の字を呈するように巻き付けられていた糸状体は、ベースプレート内で環状に形成される。
前述のように、糸状体が一対の糸掛ボスに8の字を呈するように巻き付けられるから、当該糸状体が一方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボスに巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体が撚れることはない。糸状体は、強く引っ張られることなくきわめて緩やかに一対の糸掛ボスに巻き付けられる。糸状体が各糸掛ボスに巻き付けられた状態でベースプレートが折畳姿勢に変化されると、糸状体は環状に形成され、ほとんど無張力の状態でベースプレートに保持される。したがって、糸状体がベースプレートに長時間保持されたとしても巻き癖がつくことがない。
この糸状体の使用者は、ベースプレートに保持された糸状体の他方の端部を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体をベースプレートから引き出すことができる。このとき、一方の糸掛ボス及び他方の糸掛ボスに巻き掛けられた糸状体は、これら各糸掛ボスから交互に解けるように引き出される。したがって、糸状体は、使用者の意に反して一気に多量にベースプレートから引き出されることはない。
上記糸状体は、次の要領で引き出される。まず、糸状体の他方の端部が引っ張られると、当該端部の直近に形成された糸状体のループ、例えば一方の糸掛ボスに巻き掛けられている糸状体のループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。当該ループの径が小さくなると、当該糸状体は、上記一方の補助プレートに沿ってスライドし、一方の糸掛ボスから外れ、当該ループが解ける。このループに隣り合うループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体は、ストレスなく順に解ける。
本発明では、底縁部によって一対の補助プレートが連結され、一対の補助プレートは、単一の部品として構成される。したがって、ベースプレートが折畳姿勢に変化したときは、重ね合わされたベースプレート及び補助プレートが折り畳まれることになる。一般に2枚のシートが重ね合わされた状態で折り畳まれると、内側のシートに弛みが生じる。したがって、ベースプレートが折畳姿勢に変化すると、補助プレートに弛みが生じる。この弛みは補助プレートの弾性変形を起こす。補助プレートの一部が内側に凸となるように変形した場合、補助プレート間に形成される空間が狭くなり、糸掛ボスに巻き取られた糸状体が圧迫されるなどの不都合が生じる。
しかし、上記第1折曲補助線及び第2折曲補助線が設けられているから、ベースプレートが折畳姿勢に変化すると、上記底縁部は、第1折曲補助線が設けられた部分及び第2折曲補助線が設けられた部分で屈曲される。すなわち、底縁部の両端部が一方の補助プレートの内側及び他方の補助プレートの内側に対称に折り返されると共に、当該底縁部の中間部が上記ベースプレート側に凸となるように湾曲される。これにより、補助プレート間に形成される空間が狭くならず、糸掛ボスに巻き取られた糸状体が圧迫されるなどの不都合が生じない。
[5−(26)]上記サイドプレートは、上記センタープレートに対して蛇腹状に折り畳まれるための第3折曲補助線を備えているのが好ましい。
この構成では、サイドプレートがセンタープレートに対して蛇腹状に折り畳まれるから、ベースプレートが折畳姿勢に変化したときは、ベースプレートの長さが短くなる。すなわち、糸巻全体の全長が短くなり、糸巻の使用者にとってコンパクトで使いやすいものとなる。
糸巻について単なるコンパクト設計を行うことは簡単である。ところが、一対の糸掛ボス間の距離が短くなると、所定長さの糸状体が各糸掛ボス間に巻き取られる場合に巻き回数が増加して巻取作業のコストが増大する。本発明では、サイドプレートがセンタープレートに対して蛇腹状に折り畳まれるから、ベースプレートが展開姿勢のときは一対の糸掛ボス間の距離が長くなり、ベースプレートが折畳姿勢のときは一対の糸掛ボス間の距離が短くなる。したがって、ベースプレートが展開姿勢に変化した状態で糸状体が巻き取られることにより、所定長さの糸状体が各糸掛ボス間に巻き取られる際の巻き回数が少なくなり、巻取作業のコストの増大が避けられる。
本発明に係る糸巻は、巻き癖を付けることなく糸状体を巻き取ることができるので、この糸巻に糸状体が巻き付けられた糸巻ユニットでは、当該糸巻から引き出された糸状体は、真直で滑らかな状態が維持される。糸状体は、滑らかにストレス無く引き出されるので、糸状体が損傷を受けることがない。糸状体が補助プレート等に強く摺動することが防止されるので、補助プレートは可撓性を備えている必要はなく、補助プレートを構成する材料は特に限定されることはない。その結果、安価な糸巻が提供され得る。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る糸状体ユニットの斜視図である。図2は、この糸状体ユニットの分解斜視図である。
この糸状体ユニット10は、糸巻11と、この糸巻11に巻き取られて保持された糸状体12と、糸状体12及び糸巻11を収容するケーシング13とを備えている。本実施形態では、糸状体12は釣糸である。したがって、本実施形態に係る糸状体ユニット10は、釣糸が糸巻に巻き取られた釣糸ユニットとして構成されている。もっとも、糸状体12は釣糸に限定されるものではない。
図3は、上記糸巻11の拡大斜視図である。図4は、糸巻11の平面図、図5は、図4におけるV−V断面図である。
図2及び図3が示すように、糸巻11は、ベースプレート14と、糸掛ボス15、16と、補助プレート17、18とを備えている。
ベースプレート14は、樹脂、紙、金属等からなる。ベースプレート14は、薄肉の平板からなり、細長の矩形に形成されている。ベースプレート14は、センタープレート53と、サイドプレート54、55とを備えている。サイドプレート54は、センタープレート53の一方側に設けられ、サイドプレート55は、センタープレート53の他方側に設けられている。本実施形態では、各サイドプレート54、55は、センタープレート53と一体的に形成されている。サイドプレート54は、センタープレート53に対して折り曲げられるようになっている。すなわち、サイドプレート54は、第1境界部位19でセンタープレート53に対して屈曲可能となっている。サイドプレート55もセンタープレート53に対して折り曲げられるようになっている。すなわち、サイドプレート55は、第2境界部位20でセンタープレート53に対して屈曲可能となっている。このため、ベースプレート14は、図3が示すように真直に延びた姿勢(展開姿勢)と、当該姿勢から図2が示すように折り曲げられた姿勢(折畳姿勢)との間で姿勢変化することができる。ベースプレート14が折畳姿勢となったときは、サイドプレート54、55同士が対向する(図2及び図9参照)。ベースプレート14が展開姿勢となったときは、ベースプレート14の両端部同士(すなわち、サイドプレート54、55同士)がセンタープレート53を中心に対称に離反する(図3及び図4参照)。
糸掛ボス15及び糸掛ボス16は、樹脂、木材、金属等からなる。糸状体12は、後述の要領で糸掛ボス15、16に巻き掛けられる。本実施形態では、糸掛ボス15は、円柱状に形成されている。したがって、糸掛ボス15の外周面22は円弧状に形成されており、糸掛ボス15に巻き掛けられた糸状体12は、円弧を呈する。糸掛ボス15は、サイドプレート54の内面23に立設されており、ベースプレート14が折畳姿勢となった状態で内側に突出する。この糸掛ボス15の軸方向29(仮想軸線の方向)の寸法(図3において上下方向の寸法t)は、例えば5mm〜10mmに設定される。ただし、この寸法tは、糸状体12の線径に対応して適宜設計変更され得る。
糸掛ボス16は、糸掛ボス15と同様の構造を有する。すなわち、糸掛ボス16は、円柱状に形成されており、その外周面24は円弧状に形成されている。したがって、糸掛ボス16に巻き掛けられた糸状体12は、円弧を呈する。糸掛ボス16は、糸掛ボス15と同様にベースプレート14のサイドプレート55の内面21に立設されており、ベースプレート14が折畳姿勢となった状態で内側に突出する。すなわち、糸掛ボス16は、センタープレート53を基準として糸掛ボス15と対称位置に配置されており、ベースプレート14が折畳姿勢に変化したときは、糸掛ボス15の先端面25と糸掛ボス16の先端面26とが対向する。糸掛ボス16の軸方向30(仮想軸線の方向)の寸法(同図において上下方向の寸法)は、糸掛ボス15の軸方向29の寸法tと同様に5mm〜10mmに設定される。ただし、糸掛ボス16側の軸方向30の寸法は、糸掛ボス15の軸方向29の寸法tに応じて変化し、糸掛ボス15の軸方向29の寸法tと同一寸法に設定される。
本実施形態では、糸掛ボス15、16は、円柱状に形成されているが、これら糸掛ボス15、16の形状は円柱状に限定されるものではない。すなわち、これら糸掛ボス15、16は、巻き掛けられた糸状体12が滑らかな曲線状を呈するような外周面を備えていれば十分であり、糸掛ボス15、16は、他の種々の形状が採用され得る。したがって、糸掛ボス15、16は、断面が半円形の柱状に形成されていてもよいし、外周面の一部に曲面を有する異形の柱状に形成されていてもよい。なお、本明細書において、ベースプレート14が展開姿勢に変化した状態で、糸掛ボス15の中心と糸掛ボス16の中心とを結ぶ仮想線は、仮想中心線58(図4参照)と定義される。
補助プレート17は、樹脂、金属等からなる。補助プレート17は、薄肉の板状部材からなる。図3及び図5が示すように、補助プレート17は、糸掛ボス15の先端面25に固定されている。補助プレート17の固定手段は、接着剤のほか熱融着その他の既知の固着手段が採用され得る。図3及び図4が示すように、この補助プレート17は、糸掛ボス15に固定されると共にセンタープレート53側へ延びて上記第1境界部位19に連結されている。糸掛ボス15の先端面25と上記第1境界部位19との間には高低差があるため、補助プレート17の中間部分が折り曲げられている。
この補助プレート17は、円形部27と、脚部28とを備えている。本実施形態では、円形部27は、脚部28と一体的に形成されている。図4が示すように、円形部27は、二点差線56で示される円形に形成されている。換言すれば、二点鎖線56は、円形部27の外形を規定している。円形部27の一部は、後に詳述される仮想切断線57に沿って切断されている。脚部28は、円形部27に連続してセンタープレート53側へ延びている。この脚部28の幅方向寸法Wは、円形部27からセンタープレート53側へ向かう向きに沿って漸次小さくなっている。ここで、上記幅方向寸法Wとは、上記円形部27の径方向であって仮想中心線58に直交する方向の寸法である。
円形部27の中心は、糸掛ボス15の中心と一致されている。円形部27は、糸掛ボス15の先端面25に設けられたフランジを構成している。
脚部28は、略台形状に形成されている。脚部28は、底縁59、第1側縁60、第2側縁61及び円弧縁62を備えている。脚部28の底縁59は、上記第1境界部位19に固定されており、仮想中心線58を中心として上記寸法Wの方向に対称に延びている。第1側縁60及び第2側縁61は、仮想中心線58を中心として上記寸法Wの方向に対称に配置されている。第1側縁60は、底縁59の一端に連続して円形部27の一端側(図4において上側)へ延びている。第1側縁60は、円形部27を規定する上記二点鎖線56に外接している。第2側縁61は、底縁59の他端に連続して円形部27の他端側(図4において下側)へ延びている。第2側縁61も円形部27を規定する上記二点鎖線56に外接している。円弧縁62は、円形部27に連続している。すなわち、円弧縁62は、第1側縁60と第2側縁61とを連続するものであり、上記二点鎖線56と一致している。前述のように、円形部27と脚部28とが一体的に形成されているから、円弧縁62は、円形部27と脚部28との仮想の境界を示すものである。
上記仮想切断線57は、上記仮想中心線58と平行に配置されている。仮想切断線57は、仮想中心線58から距離Sの位置に配置されている。この距離Sは、
d/2<S≦D/2−(D−d)/6 −−−−−−−−−−(1)
で示される範囲に設定される。但し、dは糸掛ボス15の外径であり、Dは円形部27の外径である。
補助プレート18も樹脂、金属等からなり、補助プレート17と同様の構造である。なお、図3では、補助プレート18及び糸掛ボス16の構造が明瞭に図示されるように、補助プレート18が起立した状態で描かれている。ただし、実際には、補助プレート18は、糸掛ボス16に固定されている。図4及び図5が示すように、補助プレート18は、センタープレート53を基準にして補助プレート17と対称に配置されている。
補助プレート18は、糸掛ボス16の先端面26に固定されている。補助プレート18の固定手段は、接着剤のほか熱融着その他の既知の固着手段が採用され得る。図3及び図4が示すように、この補助プレート18は、糸掛ボス16に固定されると共にセンタープレート53側へ延びて上記第2境界部位20に連結されている。補助プレート18は、円形部64と、脚部65とを備えている。本実施形態では、円形部64は、脚部65と一体的に形成されている。図4が示すように、円形部64は、二点差線66で示される円形に形成されている。換言すれば、二点鎖線66は、円形部64の外形を規定している。円形部64の一部は、上記仮想切断線57に沿って切断されている。脚部65は、円形部64に連続してセンタープレート53側へ延びている。この脚部65の幅方向寸法Wは、円形部64からセンタープレート53側へ向かう向きに沿って漸次小さくなっている。ここで、上記幅方向寸法Wとは、上記円形部64の径方向であって仮想中心線58に直交する方向の寸法である。
円形部64の中心は、糸掛ボス16の中心と一致されている。円形部64は、糸掛ボス16の先端面26に設けられたフランジを構成している。
脚部65は、略台形状に形成されている。脚部65は、底縁69、第1側縁70、第2側縁71及び円弧縁72を備えている。底縁69は、上記第2境界部位20に固定されており、仮想中心線58を中心として上記寸法Wの方向に対称に延びている。第1側縁70及び第2側縁71は、仮想中心線58を中心として上記寸法Wの方向に対称に配置されている。第1側縁70は、底縁69の一端に連続して円形部64の一端側(図4において上側)へ延びている。第1側縁70は、円形部64を規定する上記二点鎖線66に外接している。また、第2側縁71は、底縁69の他端に連続して円形部64の他端側(図4において下側)へ延びている。第2側縁71も円形部64を規定する上記二点鎖線66に外接している。円弧縁72は、円形部64に連続している。すなわち、円弧縁72は、第1側縁70と第2側縁71とを連続するものであり、上記二点鎖線66と一致している。前述のように、円形部64と脚部65とは一体的に形成されているから、円弧縁72は、円形部64と脚部65との仮想の境界を示すものである。
上記仮想切断線57は、補助プレート17を切断する仮想切断線57と一致しており、上記仮想中心線58と平行に配置されている。すなわち、補助プレート18を切断する仮想切断線57は、仮想中心線58から距離Sの位置に配置されている。この距離Sは、
d/2<S≦D/2−(D−d)/6 −−−−−−−−−−(1)
で示される範囲に設定される。但し、dは糸掛ボス16の外径であり、Dは円形部64の外径である。
補助プレート17及び補助プレート18が上記仮想切断線57で切断されることにより、上記第1側縁60、70が屈曲され、真直縁63、73(真直な切断縁)が形成される。上記第1側縁60、70が屈曲され且つ真直縁63、73が形成されることによる作用効果は、後述される。
図1及び図2が示すように、ケーシング13は、直方体の箱状に形成されている。本実施形態では、ケーシング13は、樹脂や紙等から構成される。ケーシング13の前面に開口が設けられている。この開口に連続してケーシング13の内部に収容室35が区画されている。折畳姿勢となったベースプレート14は、収容室35に収容される。この収容室35は、折畳姿勢となったベースプレート14の外形形状に対応して形成されている。このため、ベースプレート14が図2において矢印37の向きに沿って収容室35に収容された状態では、ケーシング13は、ベースプレート14の周囲を囲繞した状態で所定の保持力で当該ベースプレート14を保持する。
ケーシング13は、前面蓋36を備えている。この前面蓋36は、ケーシング13と一体的に形成されており、上記収容室35の開口を開閉することができる。この前面蓋36は、面ファスナー38(図1参照)を備えている。この面ファスナー38は、フックテープ39及びループテープ40を有する(図2参照)。ループテープ40がケーシング13に設けられ、フックテープ39が前面蓋36側の内側に設けられている。したがって、前面蓋36が閉じられたときは、フックテープ39とループテープ40とが係合し、前面蓋36は、閉じた状態が維持される。なお、本実施形態では、前面蓋36がケーシング13に設けられているが、この前面蓋36がベースプレート14に設けられていてもよい。
図6は、前面蓋36の要部拡大断面図である。
図1及び図2が示すように、前面蓋36は、ガイドリング41を備えている。このガイドリング41は、樹脂、金属その他の材料からなる。典型的には、ガイドリング41は、SiC(シリコーンカーバイド)から構成される。図6が示すように、ガイドリング41は、チューブ状に形成されている。ガイドリング41は、前面蓋36を貫通し、当該前面蓋36に固定されている。具体的には、ガイドリング41は、リング本体42と固定具43とを備えている。リング本体42及び固定具43は、それぞれ貫通孔44、45を備えている。リング本体42は、前面蓋36の内側から当該前面蓋36を貫通して嵌め込まれている。固定具43は、前面蓋36を貫通したリング本体42に当該前面蓋36の外側から嵌め込まれている。したがって、リング本体42及び固定具43は、協働して前面蓋36を挟み込み、これにより、ガイドリング41が前面蓋36に取り付けられている。
ガイドリング41が前面蓋36に取り付けられた状態で、上記貫通孔44、45が連通し、ケーシング13の内部と外部とを連通する挿通孔46(糸引出孔)が構成される。上記糸状体12は、この挿通孔46に挿通され、ケーシング13の内部から外部へと円滑に案内される。本実施形態では、この挿通孔46の一部が拡径されている。具体的には、上記貫通孔44の内径寸法は、ケーシング13の内側に向かって漸次大きくなるように設定されている。つまり、挿通孔44は、ケーシング13の内側に向かって開く漏斗状に形成されている。挿通孔46がかかる形状に形成されることによる作用効果については後述される。
図7は、ケーシング13の要部拡大断面図である。
図1及び図2が示すように、ケーシング13は糸止具47を備えている。図7が示すように、この糸止具47は、円形の平板からなる。糸止具47は、中央部48と外縁部49とを有し、外縁部49は、中央部48の周縁に連続して若干上方へ折り曲げられている。この糸止具47は、糸状体12を仮保持する。具体的には、図1が示すように、ケーシング13から引き出された糸状体12の先端部が、ケーシング13と外縁部49との間に形成される隙間50(図7参照)に押し込まれる。これにより、糸状体12は、糸止具47に保持される。ただし、糸状体12が引っ張られることにより、糸状体12は、簡単に糸止具47から離脱する。
図8は、糸状体12の巻取要領を模式的に示す図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は側面図である。
前述のように、本実施形態では糸状体12は釣糸である。ベースプレート14が展開姿勢に変化された状態で、糸状体12の一端51がベースプレート14の内面23に固定される。糸状体12の固定位置は特に限定されるものではない。本実施形態では、糸状体12は、両糸掛ボス15、16中間に固定されている。この糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート17との間を糸掛ボス15の方に引き回され、当該糸掛ボス15の外周面22に時計回りに巻き掛けられる。続いて、糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート17との間からベースプレート14と補助プレート18との間に引き回され、当該糸掛ボス16の外周面24に反時計回りに巻き掛けられる。さらに、糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート18との間からベースプレート14と補助プレート17との間に引き回される。このとき、糸状体12は、当該糸状体12とクロスするように引き回される。そして、当該糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に時計回りに巻き掛けられた後、前述と同様に糸掛ボス16に巻き掛けられる。なお、本実施形態では、糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に時計回りに巻き掛けられた後、糸掛ボス16の外周面24に反時計回りに巻き掛けられるが、糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に反時計回りに巻き掛けられた後、糸掛ボス16の外周面24に時計回りに巻き掛けられてもよい。
換言すれば、ベースプレート14が展開姿勢に変化された状態で、糸状体12の一端51が前述の位置に固定される。糸状体12は、一方の糸掛ボス15に巻き掛けられる。このとき、糸状体12は補助プレート17の真直縁63が設けられた側(上記仮想切断線57に沿って切断された側)から糸掛ボス15に巻き掛けられる。さらに、この糸状体12は、他方の糸掛ボス16に巻き掛けられる。この場合も、糸状体12は補助プレート18の真直縁73(上記仮想切断線57に沿って切断された側)から糸掛ボス16に巻き掛けられる。つまり、この糸状体12は、互いにクロスするように糸掛ボス15及び糸掛ボス16に巻き掛けられる。この糸状体12は、同様にして一対の糸掛ボス15、16間に交互に連続して巻き掛けられる。
この糸状体12は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス15、16間に巻き取られ、ベースプレート14に保持される。なお、所定長さの糸状体12がベースプレート14に巻き付けられると、当該糸状体12が切断され、その他端52が糸巻11から外部へ導かれる(図8、図1参照)。糸状体12は、一対の糸掛ボス15、16間に8の字を呈するように巻き付けられるから、糸状体12が糸掛ボス15に巻かれる際に発生する撚りと、糸掛ボス16に巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体12が撚れることはない。しかも、糸状体12は、強く引っ張られることなくきわめて緩やかに糸掛ボス15、16に巻き付けられる。
図9は、ベースプレート14が折畳姿勢に変化したときの糸巻11の側面図である。
前述のように糸巻11に糸状体12が巻き掛けられた状態でベースプレート14が折畳姿勢に変化される。これにより、同図が示すように、糸状体12は、糸掛ボス15及び糸掛ボス16に交互に巻き掛けられた環状に形成される。このとき、糸状体12は、ほとんど無張力の状態で糸掛ボス15、16に巻き付けられ、ベースプレート14に保持される。したがって、糸状体12がベースプレート14に長時間保持されたとしても糸状体12に巻き癖がつくことがない。
この糸巻11は、図2が示すようにケーシング13に収容される。このとき、ケーシング13の前面蓋36が開かれ、糸巻11がケーシング13に挿入される。換言すれば、糸巻11は、ケーシング13によって囲繞され保持される。糸状体12の他端52は、ケーシング13の前面蓋36に設けられたガイドリング41に挿通され、この状態で当該前縁蓋36が閉じられる。これにより、糸状体12は、ケーシング13の外部に引き出され、糸状体ユニット10の組み立てが完了する。
この糸状体12の使用者(典型的には釣人)は、糸状体12の他端52を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体12をベースプレート14から引き出すことができる。このとき、糸掛ボス15及び糸掛ボス16に巻き掛けられた糸状体12は、これら各糸掛ボス15、16から交互に解けるように引き出される。したがって、糸状体12は、使用者の意に反して多量にベースプレート14から引き出されることはない。
糸状体12が保持されている状態ではベースプレート14が折畳姿勢となっている。すなわち、図9が示すように、一対の糸掛ボス15、16は互いに対向し、これら糸掛ボス15、16に設けられた補助プレート17、18も互いに対向している。図8及び図9が示すように、糸状体12は、糸掛ボス15に巻き掛けられた後に補助プレート17の脚部28の第2側縁61及び補助プレート18の脚部65の第1側縁70を経て糸掛ボス16に巻き掛けられ、続いて当該脚部65の第2側縁71及び補助プレート17の脚部28の第1側縁60を経て糸掛ボス15に巻き掛けられている。
つまり、糸状体12が保持されている状態では、当該糸状体12は、糸掛ボス15に巻き掛けられた後に、螺旋ループを描くように糸掛ボス16に巻き掛けられ、その後も同様に各糸掛ボス15、16に交互に巻き掛けられている。このように、糸状体12は幾重にも重なった螺旋ループ状に巻回される。糸状体12の使用者が当該糸状体12の他端52を引っ張ると、当該他端52に最も近いループが解け、続いて当該ループに隣り合うループが順に解ける。
糸状体12によって形成される螺旋ループは、次の要領で解ける。まず、糸状体12の他端52が引っ張られると、ガイドリング41(図1参照)から糸状体12が引き出される。これにより、上記他端52の直近の螺旋ループ、例えば糸掛ボス15に巻き掛けられている螺旋ループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。このとき、図8及び図9が示すように、糸状体12は、補助プレート17の脚部28の第1側縁60、糸掛ボス15、当該脚部28の第2側縁61に巻き掛けられているから、上記螺旋ループの径が小さくなると、当該糸状体12は、上記脚部28の第1側縁60に沿って当該脚部28から円形部27側へ移動する。しかも、当該第1側縁60は上記仮想切断線57(図4参照)に沿って切断されているから、当該糸状体12は、補助プレート17が変形しなくても上記第1側縁60及び真直縁63に沿って円滑に移動して糸掛ボス15から外れる。このようにして、上記螺旋ループが解けることになる。そして、この螺旋ループに隣り合う螺旋ループも同様に解け、その結果、幾重にも巻回された糸状体12は、ストレスなく順番に解ける。
このように本実施形態に係る糸巻11は、巻き癖を付けることなく糸状体12を巻き取ることができるので、この糸巻11から引き出された糸状体12は、真直で滑らかな状態が維持される。また、糸巻11の補助プレート17、18が上記仮想切断線57で切断されているから、糸状体12が糸巻11から引き出される際に補助プレート17、18等に強く摺動することがない。このため、糸状体12は、損傷を受けることなく円滑に引き出される。言い換えれば、糸状体12が補助プレート17、18等に強く摺動することがないので、補助プレート17、18が可撓性を備える必要がない。したがって、補助プレート17、18を構成する材料は特に限定される必要がなく、安価な材料が採用され得る。その結果、糸巻11がコスト安価に製造され、糸状体ユニット10の製造コストも低減され得る。
本実施形態では、糸掛ボス15、16は、外径がdである円柱状に形成されている。つまり、糸掛ボス15、16の構造がきわめて簡単であり、糸巻11の製造コストが一層低減されるという利点がある。特に本実施形態では、上記仮想切断線57が上記仮想中心線58から上記距離Sの位置に配置されているから、糸状体12の材質にかかわらず糸状体12が糸巻11から円滑に引き出される。すなわち、糸状体12がナイロン糸、フロロカーボン糸、いわゆるPEラインであっても円滑に糸巻11から引き出される。
本実施形態に係る糸状体ユニット10では、図1及び図2が示すようにガイドリング41が設けられている。したがって、糸状体12は、ガイドリング41に案内されて糸巻11の内部から円滑に引き出されるという利点がある。特に、図6が示すように、ガイドリング41の挿通孔46の一部が拡径されている。このため、糸状体12はケーシング13の内側からガイドリング41へ滑らかに進入することができる。したがって、糸状体12がガイドリング41に進入する際に屈曲することがなく、糸状体12の損傷がより一層防止される。
本実施形態に係る糸状体ユニット10は、前述のように、糸巻11が糸状体12とは別個に製造され、糸巻11に対して糸状体12が巻き付けられる工程、ベースプレート14が折畳姿勢に姿勢変化される工程及び糸巻11がケーシング13に収容される工程を経て完成される。すなわち、糸巻11のみが予め大量に製造され得るので、部品としての糸巻11がきわめて安価に製造され得るという利点がある。また、糸状体12も大量生産され得るものであるから、糸状体ユニット10の製造コストが一層低減される。しかも、糸巻11は、前述のように姿勢変化するベースプレート14を備えているから、糸状体12が使用された後は、ベースプレート14が展開姿勢に変化されることにより、再び糸状体12のみが糸巻11に巻き付けられる。すなわち、糸巻11のリサイクルが可能であり、ゴミの発生が抑制されるという利点もある。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明される。
図10は本発明の第2の実施形態に係る糸巻の平面図である。図11は図10におけるXI−XI断面図である。図12は、本実施形態に係る糸巻の側面図である。
本実施形態に係る糸巻80が上記第1の実施形態に係る糸巻11と異なるところは、係止部材81が設けられている点である。なお、糸巻80のその他の構成については、上記第1の実施形態に係る糸巻11と同様である。
この係止部材81は、一対の糸掛ボス15、16に巻回された糸状体12を当該巻回状態に安定させるためのものである。例えば糸状体12が線径の大きいナイロン糸等であるときは、糸状体12は、その剛性によって一対の糸掛ボス15、16に巻回された状態が維持されにくい。特に、糸状体12のうちセンタープレート53の近傍で折り畳まれた部分82(図12参照)が糸掛ボス15、16の方に移動する傾向にある。このように、糸状体12の折り畳まれた部分82が糸掛ボス15、16の方に移動すると、糸状体12が自然に解けてしまい、いわゆるバックラッシュが発生するおそれがある。
上記係止部材81は、挟持部83及び支持部84を備えている。この係止部材81は、樹脂あるいは金属等により構成され得る。挟持部83は、一対の挟持板85、86を有している。挟持部83の断面形状は、略C字状である。挟持部83は、図10が示すように、上記真直縁63、73が形成されている側(同図において上側)からセンタープレート53に嵌め込まれる。挟持板85及び挟持板86は、センタープレート53を挟持する。これにより、挟持部83がセンタープレート53に固定される。支持部84は、略L字状に形成された部材からなる。すなわち、支持部84は、挟持板86に連結された連結脚部87と、これに直交するように設けられた押さえ部88とを有する。この押さえ部88は、図10が示すように、センタープレート53と平行に配置され、上記真直縁63、73が設けられた側から真っ直ぐに(同図において上方から下方へ真直に)延びている。
本実施形態においても、糸状体12は、上記第1の実施形態に係る糸巻11と同様の要領で糸巻80に巻き取られる。すなわち、ベースプレート14が展開姿勢に変化された状態で(図8参照)、糸状体12の一端51が前述の位置に固定される。糸状体12は、一方の糸掛ボス15に巻き掛けられる。糸状体12は補助プレート17の真直縁63が設けられた側(上記仮想切断線57に沿って切断された側)から糸掛ボス15に巻き掛けられる。さらに、この糸状体12は、センタープレート53と係止部材81の押さえ部88との間を通って他方の糸掛ボス16に巻き掛けられる。この場合も、糸状体12は補助プレート18の真直縁73(上記仮想切断線57に沿って切断された側)から糸掛ボス16に巻き掛けられる。つまり、この糸状体12は、互いにクロスするように糸掛ボス15及び糸掛ボス16に巻き掛けられる。この糸状体12は、再びセンタープレート53と上記押さえ部88との間を通って糸掛ボス15に巻き掛けられる。同様にして、この糸状体12は、一対の糸掛ボス15、16間に交互に連続して8の字を呈するように巻き掛けられる。
図12が示すように、糸巻80に糸状体12が巻き掛けられた状態でベースプレート14が折畳姿勢に変化されると、同図が示すように、糸状体12は環状に形成される。このとき、糸状体12は、ほとんど無張力の状態で糸掛ボス15、16に巻き付けられ、ベースプレート14に保持される。したがって、糸状体12がベースプレート14に長時間保持されたとしても糸状体12に巻き癖がつくことがない。巻回された糸状体12のうちセンタープレート53の近傍で折り畳まれた部分82は、係止部材81によって押さえられる。糸状体12が高い剛性を有するナイロン糸等であった場合は、前述のように上記折り畳まれた部分82が糸掛ボス15、16の方に移動する傾向にある。しかし、仮にそうなった場合であっても、係止部材81の押さえ部88が上記折り畳まれた部分82を押圧するので、糸状体12がバックラッシュを起こすことが防止される。その結果、糸状体12の巻き量が多くなるという利点もある。
上記押さえ部88は、連結脚部87に片持ち状に設けられており、図10が示すように、上記真直縁63、73が設けられた側から真っ直ぐに延びている。糸状体12は、前述の要領で糸掛ボス15、16間に8の字を呈するように巻き掛けられる。したがって、この糸状体12が糸巻80から引き出されるときは、当該糸状体12は、センタープレート53上では必ず上記真直縁63、73が設けられた側から真っ直ぐ下方に移動しつつ解けることになる。したがって、上記押さえ部88が前述のように片持ち状に配置されていたとしても、糸状体12は円滑に糸巻80から引き出される。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明される。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る糸状体ユニットのケーシングの展開図である。図14及び図15は、本発明の第3の実施形態に係る糸状体ユニットのベースプレートの平面図及び一部断面側面図である。図16及び図17は、図14におけるXVI−XVI断面図及びXVII−XVII断面図である。図18は、本発明の第3の実施形態に係る糸状体ユニットの補助プレートの平面図であり、図19は、当該補助プレートの一部断面側面図である。図20は、ベースプレート及び補助プレートがケーシングに組み込まれた状態を示す平面図であり、図21は、一部断面側面図である。
本実施形態に係る糸状体ユニットが上記第1の実施形態に係る糸状体ユニットと異なるところは、(1) 図13及び図20が示すように、釣糸が引き出される挿通孔91(糸引出孔)がケーシング92の中心93から距離fだけオフセットされている点、(2) 図14及び図15が示すように、サイドプレート94、95に堤部96、97が立設されている点、(3) 図18が示すように、一対の補助プレート98、99が連結帯100により連結されることによって一体的に形成されている点、(4) 補助プレート98の第1側縁101の傾斜角θ1が第2側縁103の傾斜角θ2よりも小さく設定され、同様に、補助プレート99の第1側縁102の傾斜角θ1が第2側縁104の傾斜角θ2よりも小さく設定されている点、(5) 図14ないし図16が示すように、サイドプレート94、95にスタッド部105、106が設けられ、他方、図18及び図19が示すように、補助プレート98、99にソケット部107、108が設けられており、スタッド部105及びソケット部107が嵌合し且つスタッド部106及びソケット部108が嵌合することによって(図21参照)、補助プレート98、99がサイドプレート94、95に固定されると共にスタッド部105、106及びソケット部107、108によって糸掛ボス15、16が形成されるようになっている点である。
ケーシング92(図13参照)は、上記第1の実施形態と同様に樹脂や紙等から構成されている。本実施形態では、シート状の樹脂が、図13が示すような形状に裁断される。ケーシング92の側片部110〜113がそれぞれ折曲線114〜117で折り曲げられる。側片部110〜113は、中央部109に対して起立する。側片部110が折曲線118で折り曲げられると共に側片部113が折曲線119、120で折り曲げられる。これにより、直方体の箱状に形成されたケーシング92が組み立てられる。このとき、側片部113の端縁部121は、側片部111に重ね合わされて固定される。側片部112は、ケーシング92の底部を構成し、側片部110は、前面蓋36(図1参照)を構成する。第1の実施形態と同様に、この前面蓋36の端縁部122に面ファスナーが設けられ、これにより、前面蓋36は開閉可能となっている。なお、本実施形態に係るケーシング92の外形形状は、上記第1の実施形態に係るケーシング13(図1参照)と同様である。
上記中央部109の幅寸法Eは、ベースプレート14(図14参照)の幅寸法Eに対応している。ケーシング92は、折畳姿勢となったベースプレート14を収容保持する。このベースプレート14の周囲は、ケーシング92によって被覆される(図20及び図21参照)。ケーシング92にベースプレート14が収容された状態で、ケーシング92の中心93とベースプレート14の中心線(すなわち仮想中心線58)とが一致する。また、前面蓋36に上記挿通孔91が設けられており、この挿通孔91にガイドリング41(図1参照)が取り付けられている。図13及び図20が示すように、この挿通孔91は、ケーシング92の中心93から距離fの位置に設けられている。本実施形態では、この距離fは、補助プレート98、99における仮想中心線58から真直縁63(73)までの距離sに対応されている(図18参照)。もっとも、この距離fは、他の種々の値に設定され得るものである。要するに、挿通孔91が上記仮想中心線58から変位した位置に設けられていればよい。
図14が示すように、ベースプレート14は、上記第1の実施形態と同様にセンタープレート53及びサイドプレート94、95を備えている。サイドプレート94の縁部123に堤部96が設けられている。サイドプレート94に上記スタッド部105が設けられている。サイドプレート95の縁部124にも堤部97が設けられており、当該サイドプレート95に上記スタッド部106が設けられている。この堤部97は、堤部96と同様の形状であり、堤部96と左右対称の位置に配置されている。スタッド部106は、スタッド部105と同様の形状であり、スタッド部105と左右対称の位置に配置されている。これらスタッド部105、106は、糸掛ボス15、16の一部を構成するものであり、図3が示す糸掛ボス15、16の位置と同じ位置に設けられている。これら堤部97及びスタッド部106は、熱成形によりサイドプレート94と一体的に形成されている。
図14及び図15が示すように、堤部96、97は、サイドプレート94、95の内面23、21に隆起するように設けられている。補助プレート98、99がサイドプレート94、95の上に配置される(図21参照)。このため、堤部96は、サイドプレート94から補助プレート98側に向かって延びるように当該サイドプレート94に立設されている。堤部97は、サイドプレート95から補助プレート99側に向かって延びるように当該サイドプレート95に立設されている。具体的には、堤部96、97は細長の突条からなる。堤部96、97は、スタッド部105、106の中心(すなわち糸掛ボス15、16の中心)を中心として円弧状に形成されている。図15が示すように、堤部96、97の断面形状は三角形を呈している。つまり、堤部96、97は、サイドプレート94、95から補助プレート98、99側に向かって尖った形状となっている。
図15が示すように、スタッド部105、106は、それぞれ、基部125と嵌合部126とを備えている。なお、同図(b)は、同図(a)の部分拡大図であって、スタッド部106及びその周辺部分の構造を詳細に示している。基部125及び嵌合部126は円柱状に形成されている。両者の中心は一致されている。両者の中心を結ぶ線は、糸掛ボス15、16の軸方向29及び軸方向30を示している。基部125の外径よりも嵌合部126の外径が小さく設定されている。嵌合部126は、基部125の上に載せられた状態で形成されている。基部125及び嵌合部126は、サイドプレート94、95の内面23、21に隆起するように設けられている。嵌合部126は、上記堤部96、97が立設された向きと同じ向きに突出している。
図14及び図17が示すように、センタープレート53に一対の位置決め片127が設けられている。この位置決め片127は、ベースプレート14に対する補助プレート98、99の位置決めを行うものである。位置決め片127は、熱成形によりベースプレート14と一体的に形成されている。各位置決め片127は、所定の間隔で並設されている。この間隔は、補助プレート98、99を連結する連結帯100(図18参照)の幅寸法に対応されている。したがって、この連結帯100が一対の位置決め片127の間に嵌め込まれて固定されることにより、ベースプレート14に対して補助プレート98、99の位置が決められる。
図18が示すように、補助プレート98、99は、連結帯100を基準に左右対称に形成されている。補助プレート98、99は、中央部にソケット部107、108を備えている。このソケット部107、108は、それぞれ、図3が示す糸掛ボス15、16の位置と同じ位置に設けられている。ソケット部107は、上記スタッド部105と協働して糸掛ボス15を構成する。ソケット部108は、上記スタッド部106と協働して糸掛ボス16を構成する。これらソケット部107、108は、熱成形により補助プレート98、99と一体的に形成されている。
補助プレート98は、第1の実施形態に係る補助プレート17と同様に円形部27と、脚部28とを備えている。円形部27は、脚部28と一体的に形成されている。円形部27は、二点鎖線56で示される円形に形成されている。すなわち、二点鎖線56が円形部27の外形を規定している。円形部27は、仮想切断線57に沿って切断されており、真直縁63が形成されている。脚部28は、円形部27に連続して補助プレート99側へ延びている。換言すれば、補助プレート98がベースプレート14に取り付けられた状態では、脚部28は、センタープレート53側へ延びる(図20参照)。この脚部28の幅方向寸法Wは、円形部27からセンタープレート53側へ向かう向きに沿って漸次小さくなっている。この幅方向寸法Wとは、上記円形部27の径方向であって仮想中心線58に直交する方向の寸法である。
円形部27の中心はソケット部107の中心(すなわち糸掛ボス15の中心)と一致されている。前述のように、上記ソケット部107は上記スタッド部105と協働して糸掛ボス15を構成するから、ソケット部107の底面すなわち円形部27の上面は糸掛ボス15の先端面25を構成する。このため、円形部27は、糸掛ボス15の先端面25に設けられたフランジを構成している。
脚部28は略台形状に形成されている。脚部28は、底縁部128、第1側縁101、第2側縁103及び円弧縁62を備えている。本実施形態では、底縁部128は上記連結帯100により構成されている。底縁部128は、ベースプレート14の第1境界部位19に固定されている。図18が示すように、第1側縁101及び第2側縁103は、仮想中心線58の両側(同図において上側及び下側)に配置されている。第1側縁101は、底縁部128(すなわち連結帯100)から円形部27の一端側(同図において上側)へ延びている。第1側縁101は、連結帯100の一端(同図において上端)と真直縁63の下端129とを接続している。第2側縁103は、連結帯100の他端(同図において下端)に連続して円形部27の他端側(同図において下側)に接続されている。具体的には、第2側縁103は、円形部27を規定する上記二点鎖線56に外接している。円弧縁62は、上記第1の実施形態と同様に、円形部27に連続しており、上記二点鎖線56と一致している。前述のように、円形部27と脚部28とが一体的に形成されているから、円弧縁62は、円形部27と脚部28との仮想の境界を示している。
上記仮想切断線57は、上記仮想中心線58と平行に配置されている。仮想切断線57は、仮想中心線58から距離Sの位置に配置されている。この距離Sは、上記第1の実施形態と同様に、
d/2<S≦D/2−(D−d)/6 −−−−−−−−−−(1)
で示される範囲に設定される。但し、dは糸掛ボス15の外径であり、Dは円形部27の外径である。
補助プレート99は、補助プレート98と同様の構成である。補助プレート99は、円形部64と脚部65とを備えている。円形部64は、二点鎖線66で示される円形に形成されている。すなわち、二点鎖線66が円形部64の外形を規定している。円形部64も上記仮想切断線57に沿って切断されている。これにより、円形部64に真直縁73が形成されている。脚部65は、円形部64に連続して補助プレート98側へ(センタープレート53側)へ延びている。この脚部65の幅方向寸法Wは、円形部64センタープレート53側へ向かう向きに沿って漸次小さくなっている。この幅方向寸法Wとは、上記円形部64の径方向であって仮想中心線58に直交する方向の寸法である。
円形部64の中心はソケット部108の中心(すなわち糸掛ボス16の中心)と一致されている。前述のように、上記ソケット部108は上記スタッド部106と協働して糸掛ボス16を構成するから、ソケット部108の底面すなわち円形部27の上面は、糸掛ボス16の先端面26を構成する。このため、円形部64は、糸掛ボス16の先端面26に設けられたフランジを構成している。
補助プレート99の脚部65は、略台形状に形成されている。脚部65は、底縁部130、第1側縁102、第2側縁104及び円弧縁72を備えている。底縁部130は、上記連結帯100により構成されている。底縁部130は、ベースプレート14の第2境界部位20に固定されている。図18が示すように、第1側縁102及び第2側縁104は、仮想中心線58の両側(同図において上側及び下側)に配置されている。第1側縁102は、円形部64の一端側(同図において上側)へ延びている。第1側縁102は、連結帯100(すなわち底縁部130)の一端(同図において上端)と切断縁73の下端131とを接続している。第2側縁104は、底縁部130の他端(同図において下端)に連続して円形部64の他端側(同図において下側)に接続されている。具体的には、第2側縁103は、円形部64を規定する上記二点鎖線66に外接している。さらに、円弧縁72は、上記第1の実施形態と同様に、円形部64に連続しており、上記二点鎖線66と一致している。前述のように、円形部64と脚部65とが一体的に形成されているから、円弧縁72は、円形部27と脚部28との仮想の境界を示すものである。
上記仮想切断線57は、上記仮想中心線58と平行に配置されている。仮想切断線57は、仮想中心線58から距離Sの位置に配置されている。この距離Sは、前述のように、 d/2<S≦D/2−(D−d)/6 −−−−−−−−−−(1)
で示される範囲に設定される。但し、dは糸掛ボス16の外径であり、Dは円形部64の外径である。
図18及び図19が示すように、ソケット部107は、円筒状に形成されている。なお、図19(b)は、同図(a)の部分拡大図であって、ソケット部107及びその周辺部分の構造を詳細に示している。ソケット部107の中心線は、糸掛ボス15の軸方向29を示している。ソケット部107は、補助プレート98の下面132に突設されている。ソケット部107は、熱成形により補助プレート98と一体的に形成されている。ソケット部107の内径寸法は、上記スタッド部105の嵌合部126の外径寸法に対応されている。このため、上記スタッド部105の嵌合部126は、ソケット部107に圧入され、一定の保持力で固定される。嵌合部126の保持力が確保されるために、ソケット部107の内壁面に凹部133が設けられている。本実施形態では、ソケット部107の4箇所に凹部133が設けられているが(図18参照)、凹部133の数は適宜変更され得る。この凹部133が設けられることにより、ソケット部107に嵌合部126が嵌め込まれると、ソケット部107が弾性的に拡径され、その緊迫力によってスタッド部105が確実にソケット部107と嵌合固定される。
また、ソケット部108は、ソケット部107と同様に円筒状に形成されている。ソケット部108の中心線は、糸掛ボス16の軸方向30を示している。ソケット部108は、熱成形により補助プレート99と一体的に形成され、補助プレート99の下面に突設されている。ソケット部108の内径寸法は、ソケット部107の内径寸法と同一であり、上記スタッド部106の嵌合部126の外径寸法に対応されている。このため、スタッド部106は、ソケット部108に圧入され、一定の保持力で固定される。この保持力が確保されるために、ソケット部108の内壁面にも凹部134が設けられている。本実施形態では、ソケット部108の4箇所に凹部134が設けられているが、凹部134の数は適宜変更され得る。この凹部134が設けられることによる作用効果は前述のとおりであり、スタッド部106が確実にソケット部108と嵌合固定される。
補助プレート98、99(図18参照)は、ベースプレート14(図14参照)に組み付けられる。具体的には、補助プレート98、99のソケット部107、108に、ベースプレート14のスタッド部105、106が嵌め合わされる。これにより、糸巻11が組み立てられ、上記第1の実施形態と同様の要領で糸状体(典型的には釣糸)が巻き付けられる。なお、図21が示すように、本実施形態では、ソケット部107とスタッド部105との間、及びソケット部108とスタッド部106との間に目張りシート135が設けられている。目張りシート135は、樹脂製の薄肉シートであり、環状に形成されている。この目張りシート135が設けられることにより、ソケット部107とスタッド部105との間、及びソケット部108とスタッド部106との間に隙間が生じることがない。したがって、糸掛ボス15、16に糸状体が巻き掛けられた場合に糸状体が糸掛ボス15、16に食い込むことが防止される。
図22は、糸状体12の巻取要領を模式的に示す図である。
前述のように、本実施形態では糸状体12は釣糸である。ベースプレート14が展開姿勢に変化された状態で、糸状体12の一端51がベースプレート14の内面23に固定される。第1の実施形態と同様に、糸状体12の固定位置は特に限定されるものではない。本実施形態では、糸状体12は、両糸掛ボス15、16の中間であって、補助プレート98、99の第2側縁103、104側(同図において下側)に固定されている。この糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート98との間を糸掛ボス15側に引き回されて、当該糸掛ボス15の外周面22に反時計回りに(第2側縁103側から第1側縁101側に)巻き掛けられる。続いて、糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート98との間からベースプレート14と補助プレート99との間に引き回されて、当該糸掛ボス16の外周面24に時計回りに(第2側縁104側から第1側縁102側に)巻き掛けられる。このとき、糸状体12は、図22が示すように、当該糸状体12とクロスするように引き回される。
さらに、糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート99との間からベースプレート14と補助プレート98との間に引き回される。糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に反時計回りに巻き掛けられた後、前述と同様に糸掛ボス16に巻き掛けられる。なお、本実施形態では、糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に反時計回りに巻き掛けられた後、糸掛ボス16の外周面24に時計回りに巻き掛けられるが、糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に時計回りに巻き掛けられた後、糸掛ボス16の外周面24に反時計回りに巻き掛けられてもよいことは勿論である。
換言すれば、ベースプレート14が展開姿勢に変化された状態で、糸状体12の一端51が前述の位置に固定される。糸状体12は、一方の糸掛ボス15に巻き掛けられる。このとき、糸状体12は補助プレート17の真直縁63が設けられた側と反対側(上記仮想切断線57に沿って切断された側と反対側)から糸掛ボス15に巻き掛けられる。さらに、この糸状体12は、他方の糸掛ボス16に巻き掛けられる。この場合も、糸状体12は補助プレート18の真直縁73が設けられた側と反対側(上記仮想切断線57に沿って切断された側と反対側)から糸掛ボス16に巻き掛けられる。この糸状体12は、互いにクロスするように糸掛ボス15及び糸掛ボス16に交互に幾重にも巻き掛けられる。
すなわち、この糸状体12は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス15、16間に巻き取られ、ベースプレート14に保持される。所定長さの糸状体12がベースプレート14に巻き付けられると、当該糸状体12が切断され、その他端52が糸巻11から外部へ導かれる(図1参照)。糸状体12が一対の糸掛ボス15、16の間に8の字を呈するように巻き付けられるから、糸状体12が糸掛ボス15に巻かれる際に発生する撚りと、糸掛ボス16に巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体12が撚れることはない。しかも、糸状体12は、強く引っ張られることなくきわめて緩やかに糸掛ボス15、16に巻き付けられる。
図20及び図21が示すように、糸巻11に糸状体12が巻き掛けられると、ベースプレート14が折畳姿勢に変化される。上記第1の実施形態と同様に、糸状体12は環状に形成される(図9参照)。このとき、糸状体12は、ほとんど無張力の状態で糸掛ボス15、16に巻き付けられ、ベースプレート14に保持される。したがって、糸状体12がベースプレート14に長時間保持されたとしても糸状体12に巻き癖がつくことがない。
この糸巻11は、ケーシング92(図13及び図1参照)に収容される。このとき、ケーシング92の前面蓋36が開かれ、糸巻11がケーシング92に挿入される。ベースプレート14は、ケーシング92に隙間なく収容され保持される。糸状体12の他端52は、ケーシング92の前面蓋36に設けられたガイドリング41に挿通される。この状態で前縁蓋36が閉じられる。糸状体12の他端52は、ケーシング92の外部に引き出され、糸状体ユニット10の組み立てが完成する。
この糸状体12の使用者(釣人)は、糸状体12の他端52を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体12をベースプレート14から引き出すことができる。このとき、糸掛ボス15及び糸掛ボス16に巻き掛けられた糸状体12は、これら各糸掛ボス15、16から交互に解けるように引き出される。したがって、糸状体12は、使用者の意に反して多量にベースプレート14から引き出されることはない。
ベースプレート14が折畳姿勢となったときは、第1の実施形態と同様に、一対の糸掛ボス15、16は互いに対向し、補助プレート98、99も互いに対向する。第1の実施形態と同様に、糸状体12は、糸掛ボス15に巻き掛けられた後、補助プレート98の脚部28の第1側縁101及び補助プレート99の脚部65の第2側縁104を経て糸掛ボス16に巻き掛けられる。続いて、糸状体12は、当該脚部65の第1側縁102及び補助プレート98の脚部28の第2側縁103を経て糸掛ボス15に巻き掛けられている。つまり、糸状体12は、糸掛ボス15に巻き掛けられた後に、螺旋ループを描くように糸掛ボス16に巻き掛けられ、その後同様に各糸掛ボス15、16に交互に巻き掛けられている。
このように、糸状体12は幾重にも重なった螺旋ループ状に巻回される。糸状体12の使用者が当該糸状体12の他端52を引っ張ると、当該他端52に最も近いループが解け、続いて当該ループに隣り合うループが順に解ける。糸状体12によって形成される螺旋ループは、第1の実施形態に係る糸巻11と同様の要領で解ける。まず、糸状体12の他端52が引っ張られると、ガイドリング41(図1参照)から糸状体12が引き出される。これにより、上記他端52の直近の螺旋ループ、例えば糸掛ボス15に巻き掛けられている螺旋ループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。このとき、図22が示すように、糸状体12は、補助プレート98の脚部28の第2側縁103、糸掛ボス15、当該脚部28の第1側縁101に巻き掛けられているから、上記螺旋ループの径が小さくなると、当該糸状体12は、上記脚部28の第1側縁101に沿って当該脚部28から円形部27側へ移動する。しかも、円形部27は、上記仮想切断線57(図18参照)に沿って切断されているから、糸状体12は、補助プレート98が変形しなくても上記第1側縁101(102)及び真直縁63(73)に沿って移動して円滑に糸掛ボス15から外れる。
本実施形態では、図18及び図20が示すように、上記第1側縁101(102)の傾斜角度θ1は上記第2側縁103(104)の傾斜角度θ2よりも小さい。換言すれば、上記第2側縁103(104)は、上記仮想中心線58に対して横方向に大きく張り出している。したがって、ループ状の糸状体12が第1側縁101(102)に沿って円滑に移動すると共に、当該糸状体12は、第2側縁103(104)に引っ掛かった状態になる傾向にある。このため、ループ状の糸状体12が勢いよく糸掛ボス15、16から外れ、これに引かれて一気に糸状体12が解けてしまうことが防止される。本実施形態では、傾斜角度θ1は17°(degree)に設定され、傾斜角度θ2は45°に設定されている。なお、各傾斜角度θ1、θ2の大きさは特に限定されるものではなく、要するに、傾斜角度θ1が傾斜角度θ2よりも小さく設定されていればよい。
第2側縁103は、図18において仮想中心線58に沿って左側に(糸掛ボス15から遠ざかる方向に)移動した位置(例えば、図20において二点鎖線144で示される位置)に配置されていてもよい。その場合、第2側縁104も、同図において仮想中心線58に沿って右側に(糸掛ボス16から遠ざかる方向に)移動した位置(例えば、図20において二点鎖線144で示される位置)に配置されていてもよい。このように、第2側縁103、104が糸掛ボス15、16から遠ざかることによって、糸状体12が解ける際に一定の制動力が作用し、当該ループ状が解けていくに連れて隣り合うループ状の糸状体12が引きずられて解けてしまうことが確実に防止される。その結果、幾重にも巻回された糸状体12は、縺れることなく順番に解ける。
第1側縁101(102)及び第2側縁103(104)は、真直な辺部により構成されている必要はない。図18が示すように、本実施形態では、第2側縁103(104)は折り曲げられた2つの辺部を備えている。第2側縁103(104)のうち一方の辺部136は、上記仮想中心線58と平行(すなわち傾斜角度θ2=90°)である。このように、第1側縁101及び第2側縁103は、上記傾斜角度がθ1、θ2(但し、0°<θ1<90°、0°<θ2<90°)となる部分を備えていれば十分である。
本実施形態に係る糸巻11は、上記第1の実施形態と同様に、巻き癖を付けることなく糸状体12を巻き取ることができるし、糸状体12が糸巻11から引き出される際に補助プレート98、99等に強く摺動することがない。そのため、補助プレート98、99は可撓性を備える必要がない。したがって、補助プレート98、99を構成する材料は特に限定される必要がなく、安価な材料が採用され得る。その結果、糸巻11がコスト安価に製造され、糸状体ユニット10の製造コストも低減される得る。
この糸巻11では、上記仮想切断線57が上記仮想中心線58から上記距離Sの位置に配置されているから、糸状体12の材質にかかわらず糸状体12が糸巻11から円滑に引き出される。すなわち、糸状体12がナイロン糸、フロロカーボン糸、いわゆるPEラインであっても円滑に糸巻11から引き出される。
本実施形態に係る糸状体ユニット10は、第1の実施形態と同様にガイドリング41を備えている。そのため、糸状体12は、より一層円滑に引き出されるという利点がある。
本実施形態に係る糸状体ユニット10は、糸巻11が糸状体12とは別個に製造され、糸巻11に対して糸状体12が巻き付けられる工程、ベースプレート14が折畳姿勢に姿勢変化される工程及び糸巻11がケーシング13に収容される工程を経て完成される。すなわち、糸巻11のみが予め大量に製造され得るので、部品としての糸巻11がきわめて安価に製造され得る。また、糸状体12も大量生産され得るものであるから、糸状体ユニット10の製造コストが一層低減される。しかも、糸巻11は、前述のように姿勢変化するベースプレート14を備えているから、糸状体12が使用された後は、ベースプレート14が展開姿勢に変化されることにより、再び糸状体12のみが糸巻11に巻き付けられる。すなわち、糸巻11のリサイクルが可能であり、ゴミの発生が抑制される。
この糸巻11は、図20ないし図22が示すように、堤部96、97を備えている。糸状体12は、糸掛ボス15、16の周りにループ状に幾重にも巻回されている。糸状体12は、その剛性により糸掛ボス15、16を中心にして外側へ拡がる傾向にある。そのため、糸状体12が糸巻11から引き出されると、ループ状の糸状体12が一気に解けてしまうおそれがある。前述のように、糸状体12に撚りが生じないのは、一方の糸掛ボス15(又は糸掛ボス16)に巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボス16(又は糸掛ボス15)に巻かれる際に発生する撚りとが相殺されるからである。すなわち、糸状体12が引き出されて一のループが解けていく際に、糸状体12が一方の糸掛ボス15(又は糸掛ボス16)側から外れた瞬間に撚りが発生する。この撚りは、当該糸状体12が他方の糸掛ボス16(又は糸掛ボス15)から外れることによって相殺される。但し、この撚りが相殺されるまでに糸状体12が大きく拡がり、この拡がる糸状体12に引きずられるようにして他のループが補助プレート98、99の外側に外れてしまうことがある。このため、糸状体12が引き出される際に絡みついてしまう可能性がある。
この糸巻11では、上記堤部96、97が設けられているから、糸状体12が糸掛ボス15、16を中心にして外側へ拡がることが規制される。糸状体12によって形成される各ループは、補助プレート98、99から外側へ外れてしまうことがない。したがって、糸状体12の絡みが防止され、糸状体12が糸巻11から円滑に引き出される。なお、堤部96、97の高さ寸法は、特に限定されるものではない。本実施形態では、図21が示すように、堤部96(97)の先端が補助プレート98(99)に接するように堤部96、97の高さ寸法が設定されている。したがって、糸状体12は、堤部96、97の先端と補助プレート98、99との間をすり抜けて引き出される。図20及び図22が示すように、この堤部96、97は突条からなり、糸掛ボス15、16を中心とする円弧状に形成されている。仮に糸状体12が糸掛ボス15、16を中心に外側に拡がろうとしても、堤部96、97がループ状の糸状体12の周囲に均等に当接する。このため、糸状体12の拡がりが確実に防止される。
本実施形態では、ガイドリング41は、糸掛ボス15、16の中心すなわち仮想中心線58に対してオフセットされている。このオフセット量は、距離fであり、本実施形態では、仮想切断線57の位置(距離s)に一致されている。もっとも、距離fが距離sと異なっていてもよいことは勿論である。糸状体12は、ガイドリング41から引き出されるから、糸状体12は、ガイドリング41の方へ引っ張られる。このガイドリング41は、前述のようにオフセットされているから、糸状体12は、上記第1縁部101をより一層滑らかに移動することができる。したがって、糸状体12は、なお一層ストレス無く円滑に引き出される。
<第3の実施形態の変形例>
図23は、本実施形態の第1の変形例に係るベースプレートの平面図である。
この変形例に係るベースプレート137が本実施形態に係るベースプレート14と異なるところは、上記ベースプレート14は、仮想中心線58を基準に上下方向に対称に配置された堤部96、97を有していたのに対し(図22参照)、本変形例では、堤部138、139が仮想中心線58から下側に延びている点である。このように堤部138、139が仮想中心線に対して非対称に形成されていても、糸状体12が糸掛ボス15、16を中心にして外側へ拡がることはない。したがって、ループ状の糸状体12が補助プレート98、99から外側へ外れてしまうことが防止される。
図24は、本実施形態の第2の変形例に係るベースプレートの平面図であり、図25は、一部断面側面図である。また、図26は、図24におけるXXVI−XXVI断面図である。
この変形例に係るベースプレート142が本実施形態に係るベースプレート14と異なるところは、サイドプレート94の側部147にも堤部140(第2堤部)が設けられており、サイドプレート95の側部148にも堤部141(第2堤部)が設けられている点である。この堤部140、141は、サイドプレート94、95と一体的に形成されている。堤部140、141の断面形状は、上記堤部96、97と同様であるが、堤部140、141は、サイドプレート94、95に沿って真直に延びている。図26が示すように、堤部140、141は三角形状に形成されている。各堤部140、141は、糸状体12が巻き取られた後に矢印75が示す方向に折り曲げられる。これにより、糸掛ボス15、16を中心にして糸状体12が外側へ拡がることがより一層防止される。特に、サイドプレート94、95の側部147、148に向かって糸状体12が拡がることが確実に防止される。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明される。
図27は、本発明の第4の実施形態に係る糸状体ユニットのケーシングの展開図である。図28及び図29は、本発明の第4の実施形態に係る糸状体ユニットのベースプレートの平面図及び一部断面側面図である。図30及び図31は、図28におけるXXX−XXX断面図及びXXXI−XXXI断面図である。図32は、本発明の第4の実施形態に係る糸状体ユニットの補助プレートの平面図である。図33は、本発明の第4の実施形態に係る糸状体ユニットの補助プレートの一部断面側面図であり、図34は、図33における要部拡大図である。図35は、ベースプレート及び補助プレートがケーシングに組み込まれた状態を示す平面図であり、図36は、一部断面側面図である。
本実施形態に係る糸状体ユニットが上記第1の実施形態に係る糸状体ユニットと異なるところは、(1) 図27及び図35が示すように、糸状体が引き出される挿通孔151(糸引出孔)がケーシング152の中心153から距離fだけオフセットされている点、(2) 図32ないし図36が示すように、補助プレート158に堤部156が立設され、補助プレート159に堤部157が立設されている点、(3) 図32が示すように、一対の補助プレート158、159が連結帯160により連結されることによって一体的に形成されている点、(4) 補助プレート158の第1側縁161の傾斜角θ1が第2側縁163の傾斜角θ2よりも小さく設定され、同様に、補助プレート159の第1側縁162の傾斜角θ1が第2側縁164の傾斜角θ2よりも小さく設定されている点、(5) 図28ないし図30が示すように、サイドプレート154にソケット部167が設けられ且つサイドプレート155にソケット部168が設けられており、図32及び図33が示すように、補助プレート158にスタッド部165が設けられ且つ補助プレート159にスタッド部166が設けられており、スタッド部165及びソケット部167が嵌合し且つスタッド部166及びソケット部168が嵌合することによって(図36参照)、補助プレート158、159がサイドプレート154、155に固定されると共にスタッド部165及びソケット部167によって糸掛ボス15が構成され且つスタッド部166及びソケット部168によって糸掛ボス16が構成されるようになっている点、(6) 図32ないし図33が示すように、補助プレート158、159に段差211が形成されており、ベースプレート14が折畳姿勢となった状態で補助プレート158と補助プレート159との間に空洞部212が形成されるようになっている点、(7) 図27が示すように、ケーシング152の縦/横比(F/E)が2/1に設定されている点である。
ケーシング152(図27参照)は、上記第1の実施形態と同様に樹脂や紙等から構成される。本実施形態では、シート状の樹脂が、図27が示すような形状に裁断される。ケーシング152の側片部170〜173がそれぞれ折曲線174〜177で折り曲げられる。側片部170〜173は、中央部169に対して起立する。側片部170が折曲線178で折り曲げられると共に側片部173が折曲線179、180で折り曲げられる。これにより、直方体の箱状に形成されたケーシング152が組み立てられる。側片部173の端縁部181は、側片部171に重ね合わされて固定される。側片部172は、ケーシング152の底部を構成し、側片部170は、前面蓋36(図1参照)を構成する。第1の実施形態と同様に、この前面蓋36の端縁部182に面ファスナーが設けられ、これにより、前面蓋36は開閉可能となっている。
本実施形態に係るケーシング152では、上記中央部169の幅寸法E(横方向の寸法)は、上記中央部169の長手方向寸法F(縦方向の寸法)の半分に設定されている。ケーシング152がこのような形状に形成された場合、糸状体12が巻き取られる際に(図37参照)、ベースプレート14の中央から糸掛ボス15、16までの距離が長くなる。つまり、糸状体12によって形成されるループが扁平した楕円形状となり、ケーシング152内でタイトに保持される。このため、一旦糸掛ボス15、16に巻回された糸状体12は、振動等によって容易に解けることがなく、ケーシング152内で絡みつくことが防止され、ケーシング152内で安定的に保持される。
上記中央部169の幅寸法E及び長手方向寸法Fは、ベースプレート14(図28参照)の横寸法E及び縦寸法Fに対応している。ケーシング152は、折畳姿勢となったベースプレート14を収容保持する。このベースプレート14の周囲は、ケーシング152によって被覆される(図35及び図36参照)。ケーシング152にベースプレート14が収容された状態で、ケーシング152の中心153とベースプレート14の中心線(すなわち仮想中心線58)とが一致する。
前面蓋36に上記挿通孔151が設けられており、この挿通孔151にガイドリング41(図1参照)が取り付けられている。図27及び図35が示すように、この挿通孔151は、ケーシング152の中心153から距離fの位置に設けられている。この距離fは適宜設定される。本実施形態では、この距離fは、補助プレート158、159における仮想中心線58から真直縁63(73)までの距離sよりも若干小さく設定されている(図35参照)。ただし、距離fは、距離sに対応されていてもよい。要するに、挿通孔151が上記仮想中心線58から変位した位置に設けられていればよい。
図28が示すように、ベースプレート14は、上記第1の実施形態と同様にセンタープレート53及びサイドプレート154、155を備えている。本実施形態では、センタープレート53の幅寸法(同図において上下方向の寸法)は、上記第1の実施形態に係るセンタープレート53の幅寸法よりも若干小さく設定されている。このため、ベースプレート14は、中央が絞られた形状となっている。もっとも、ベースプレート14の外形形状は、上記第1の実施形態に係るベースプレート14と同様の形状であってもよい。
図28及び図31が示すように、センタープレート53に一対の位置決め片187が設けられている。この位置決め片187は、ベースプレート14に対する補助プレート158、159の位置決めを行うものである。位置決め片187は、熱成形によりベースプレート14と一体的に形成されている。各位置決め片187は、所定の間隔で並設されている。この間隔は、補助プレート158、159を連結する連結帯160(図32参照)の幅寸法に対応されている。したがって、この連結帯160が一対の位置決め片187の間に嵌め込まれて固定されることにより、ベースプレート14に対して補助プレート158、159の位置が決められる。
サイドプレート155に上記ソケット部168が設けられている。サイドプレート154にも上記ソケット部167が設けられている。ソケット部167は、ソケット部168と同様の形状であり、ソケット部168と左右対称の位置に配置されている(図28参照)。これらソケット部167、168は、糸掛ボス15、16の一部を構成するものであり、図3が示す糸掛ボス15、16の位置と同じ位置に設けられている。これらソケット部167、168は、熱成形によりサイドプレート154、155と一体的に形成される。
図29が示すように、これらソケット部167、168は、それぞれ、サイドプレート154、155から隆起した隆起部213からなる。各隆起部213は、円形の凹部215を備えている。なお、同図(b)は、同図(a)の部分拡大図であって、ソケット部168の構造を詳細に示している。この凹部215は、隆起部213の上面214の中央に設けられている。凹部215の内径寸法は、後に詳述されるスタッド部165、166の外径寸法に対応されている。
図32が示すように、補助プレート158及び補助プレート159は、連結帯160を基準に左右対称に形成されている。補助プレート158は中央部にスタッド部165を備え、補助プレート159は中央部にスタッド部166を備えている。スタッド部166は、スタッド部165と同様の形状であり、スタッド部165と左右対称の位置に配置されている。これらスタッド部165、166は、それぞれ、図3が示す糸掛ボス15、16の位置と同じ位置に設けられている。スタッド部165は、上記ソケット部167と協働して糸掛ボス15を構成する。スタッド部166は、上記ソケット部168と協働して糸掛ボス16を構成する。これらスタッド部165、166は、熱成形により補助プレート158、159と一体的に形成されている。
図33及び図34が示すように、スタッド部165及びスタッド部166は、それぞれ、基部185と嵌合部186とを備えている。基部185及び嵌合部186は円柱状に形成されている。両者の中心は一致されている。スタッド部165の基部185及び嵌合部186の中心線は、糸掛ボス15の軸方向29と一致している。スタッド部166の基部185及び嵌合部186の中心線は、糸掛ボス16の軸方向30と一致している。基部185の外径よりも嵌合部186の外径が小さく設定されている。嵌合部186は、基部185の上に載せられた状態で形成されている。
基部185及び嵌合部186は、補助プレート158の内面216(ベースプレート14と対向する面)及び補助プレート159の内面217(ベースプレート14と対向する面)が陥没することによって形成されている。嵌合部186の外径寸法は、前述のように上記ソケット部167、168の凹部215の内径に対応されている。両者はがたつくことなく嵌合される。嵌合部186の外径寸法と凹部215の内径寸法との間に所定のはめあいが設定されるならば、上記嵌合部186はソケット部168に圧入され、一定の保持力で固定される。なお、スタッド部165、166がソケット部167、168に嵌め込まれた状態で、両者は熱融着により固着される。
補助プレート159の縁部219に上記堤部157が設けられている。補助プレート158の縁部218にも上記堤部156が設けられている。この堤部156は、堤部157と同様の形状であり、堤部157と左右対称の位置に配置されている。これら堤部156、157は、熱成形により補助プレート158、159と一体的に形成されている。
図33及び図34が示すように、堤部156は、補助プレート158の内面216が陥没することによって形成されている。同様に、堤部157は、補助プレート159の内面217が陥没することによって形成されている。補助プレート158、159は、サイドプレート154、155の内側に配置される(図35及び図36参照)。このため、堤部156は、補助プレート158からサイドプレート154側に向かって延びる。同様に、堤部157は、補助プレート159からサイドプレート155側に向かって延びる。
堤部156、157は細長の突条からなる。堤部156は、スタッド部165の中心(すなわち糸掛ボス15の中心)を中心として円弧状に形成されている。堤部157は、スタッド部166の中心(すなわち糸掛ボス16の中心)を中心として円弧状に形成されている。本実施形態では、図32が示すように、堤部156、157は、それぞれ、仮想中心線58を基準として上下方向に対称に延びている。もっとも、堤部156、157は、仮想中心線58を基準として対称に延びていなくてもよい。図34が示すように、堤部156及び堤部157の断面形状は三角形を呈している。堤部156は、補助プレート158からサイドプレート154に向かって尖った形状となっており、堤部157は、補助プレート159からサイドプレート155に向かって尖った形状となっている。本実施形態では、堤部156及び堤部157の先端は、それぞれ、サイドプレート154及びサイドプレート155に接触している。もっとも、堤部156、157の先端とサイドプレート154、155との間に隙間が形成されていもよい。上記堤部156、157が設けられていることによる作用効果及びこれら堤部156、157の先端がサイドプレート154、155に接触していることによる作用効果については後述される。
補助プレート158の内面216及び補助プレート159の内面217に上記段差211が形成されている。図34が示すように、補助プレート159に設けられた段差211は、上記内面217が陥没することによって形成されている。つまり、補助プレート159のうち糸掛ボス16の周辺領域221が、堤部157が突出する向きに凸となるように形成されている。この段差211が設けられることにより、上記周辺領域221は、軸方向30の方向であって堤部157が突出する向きに陥没している。
図33が示すように、補助プレート158にも段差211が設けられている。この段差211は、上記内面216が陥没することによって形成されている。つまり、補助プレート158のうち糸掛ボス15の周辺領域220が、堤部156が突出する向きに凸となるように形成されている。この段差211が設けられることにより、上記周辺領域220は、軸方向29の方向であって堤部156が突出する向きに陥没している。
図32が示すように、補助プレート158に形成された段差211によって陥没した領域220と、補助プレート159に形成された段差211によって陥没した領域221とは、左右対称に配置されている。したがって、ベースプレート14が折畳姿勢に変化したときは、領域220と領域221とが対向し(図36参照)、補助プレート158、159間に上記空洞部212が形成される。
補助プレート158は、フランジ部222と、底縁部223と、脚部224とを備えている。フランジ部222は、上記第1の実施形態に係る補助プレート17の円形部27に相当する。底縁部223は、上記連結帯160からなる。底縁部223は、ベースプレート14の第1境界部位19に固定されている。フランジ部222は、脚部224及び底縁部223と一体的に形成されている。フランジ部222は、仮想切断線57に沿って切断されており、真直縁63が形成されている。脚部224は、フランジ部222に連続して補助プレート159側へ延びている。補助プレート158がベースプレート14に取り付けられた状態で、脚部224は、センタープレート53側へ延びる(図35参照)。この脚部224の幅方向寸法Wは、フランジ部222からセンタープレート53側へ(すなわち連結帯160側へ)向かう向きに沿って漸次小さくなっている。
フランジ部222の中心は、スタッド部165の中心(すなわち糸掛ボス15の中心)と一致されている。前述のように、上記スタッド部165は、上記ソケット部167と協働して糸掛ボス15を構成するから、スタッド部165の底面、すなわちフランジ部222の上面は、糸掛ボス15の先端面25(図3参照)を構成する。換言すれば、フランジ部222は、糸掛ボス15の先端面25に設けられたフランジを構成している。
脚部224は、略台形状に形成されている。脚部224は、第1側縁161及び第2側縁163を備えている。図32が示すように、第1側縁161及び第2側縁163は、仮想中心線58の両側(同図において上側及び下側)に配置されている。第1側縁161は、底縁部223(すなわち連結帯160)からフランジ部222の一端側(同図において上側)へ延びている。第1側縁161は、連結帯160の一端(同図において上端)と真直縁63の下端129とを接続している。第2側縁163は、連結帯160の他端(同図において下端)に連続してフランジ部222の他端側(同図において下側)に接続されている。
上記仮想切断線57は、上記仮想中心線58と平行に配置されている。仮想切断線57は、仮想中心線58から距離Sの位置に配置されている。この距離Sは、上記第1の実施形態と同様に、
d/2<S≦D/2−(D−d)/6 −−−−−−−−−−(1)
で示される範囲に設定される。但し、dは糸掛ボス15の外径であり、Dはフランジ部222の幅寸法である。
補助プレート159は、補助プレート158と同様の構成である。補助プレート159は、フランジ部225と、底縁部226と、脚部227とを備えている。フランジ部225は、上記第1の実施形態に係る補助プレート18の円形部64に相当する。底縁部226は、上記連結帯160からなる。底縁部226は、ベースプレート14の第2境界部位20に固定されている。フランジ部225も上記仮想切断線57に沿って切断されており、フランジ部225は、真直縁73を備えている。脚部227は、フランジ部225及び底縁部226に連続して補助プレート158側へ(センタープレート53側)へ延びている。この脚部227の幅方向寸法Wは、フランジ部225からセンタープレート53側へ(すなわち連結帯160側へ)向かう向きに沿って漸次小さくなっている。
フランジ部225の中心は、スタッド部166の中心(すなわち糸掛ボス16の中心)と一致されている。前述のように、上記スタッド部166は、上記ソケット部168と協働して糸掛ボス16を構成するから、スタッド部166の底面、すなわちフランジ部225の上面は、糸掛ボス16の先端面26(図3参照)を構成する。換言すれば、フランジ部225は、糸掛ボス16の先端面26に設けられたフランジを構成している。
補助プレート159の脚部227は、略台形状に形成されている。脚部227は、第1側縁162及び第2側縁164を備えている。図32が示すように、第1側縁162及び第2側縁164は、仮想中心線58の両側(同図において上側及び下側)に配置されている。第1側縁162は、フランジ部225の一端側(同図において上側)へ延びている。第1側縁162は、連結帯160(すなわち底縁部226)の一端(同図において上端)と切断縁73の下端131とを接続している。第2側縁164は、底縁部226の他端(同図において下端)に連続してフランジ部225の他端側(同図において下側)に接続されている。
上記仮想切断線57は、上記仮想中心線58と平行に配置されている。仮想切断線57は、仮想中心線58から距離Sの位置に配置されている。この距離Sは、前述のように、 d/2<S≦D/2−(D−d)/6 −−−−−−−−−−(1)
で示される範囲に設定される。但し、dは糸掛ボス16の外径であり、Dはフランジ部225の幅寸法である。
補助プレート158、159(図32参照)は、ベースプレート14(図28参照)に組み付けられる。具体的には、連結帯160が位置決め片187に嵌め込まれ、補助プレート158のスタッド部165がベースプレート14のソケット部167に嵌め合わされると共に、補助プレート159のスタッド部166がベースプレート14のソケット部168に嵌め合わされる。これにより、糸巻11が組み立てられ、上記第1の実施形態と同様の要領で糸状体(典型的には釣糸)が巻き付けられる。なお、第3の実施形態が開示するように、ソケット部167とスタッド部165との間及びソケット部168とスタッド部166との間に、目張りシート135が設けられていてもよい。
図37は、糸状体12の巻取要領を模式的に示す図である。
前述のように、本実施形態では糸状体12は釣糸である。ベースプレート14が展開姿勢に変化された状態で、糸状体12の一端51がベースプレート14の内面23に固定される。第1の実施形態と同様に、糸状体12の固定位置は特に限定されるものではない。本実施形態では、糸状体12は、両糸掛ボス15、16の中間であって、補助プレート158、159の第2側縁163、164側(同図において下側)に固定されている。この糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート158との間を糸掛ボス15側に引き回されて、当該糸掛ボス15の外周面22に反時計回りに(第2側縁163側から第1側縁161側に)巻き掛けられる。続いて、糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート158との間からベースプレート14と補助プレート159との間に引き回されて、当該糸掛ボス16の外周面24に時計回りに(第2側縁164側から第1側縁162側に)巻き掛けられる。このとき、糸状体12は、図37が示すように、当該糸状体12とクロスするように引き回される。
さらに、糸状体12は、ベースプレート14と補助プレート159との間からベースプレート14と補助プレート158との間に引き回される。糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に反時計回りに巻き掛けられた後、前述と同様に糸掛ボス16に巻き掛けられる。なお、本実施形態では、糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に反時計回りに巻き掛けられた後、糸掛ボス16の外周面24に時計回りに巻き掛けられるが、糸状体12は、糸掛ボス15の外周面22に時計回りに巻き掛けられた後、糸掛ボス16の外周面24に反時計回りに巻き掛けられてもよいことは勿論である。
換言すれば、ベースプレート14が展開姿勢に変化された状態で、糸状体12の一端51が前述の位置に固定される。糸状体12は、一方の糸掛ボス15に巻き掛けられる。このとき、糸状体12は補助プレート17の真直縁63が設けられた側と反対側(上記仮想切断線57に沿って切断された側と反対側)から糸掛ボス15に巻き掛けられる。さらに、この糸状体12は、他方の糸掛ボス16に巻き掛けられる。この場合も、糸状体12は補助プレート18の真直縁73が設けられた側と反対側(上記仮想切断線57に沿って切断された側と反対側)から糸掛ボス16に巻き掛けられる。この糸状体12は、互いにクロスするように糸掛ボス15及び糸掛ボス16に交互に幾重にも巻き掛けられる。
すなわち、この糸状体12は、8の字を呈するように一対の糸掛ボス15、16間に巻き取られ、ベースプレート14に保持される。所定長さの糸状体12がベースプレート14に巻き付けられると、当該糸状体12が切断され、その他端52が糸巻11から外部へ導かれる(図1参照)。糸状体12が一対の糸掛ボス15、16の間に8の字を呈するように巻き付けられるから、糸状体12が糸掛ボス15に巻かれる際に発生する撚りと、糸掛ボス16に巻かれる際に発生する撚りとが相殺され、結果的に糸状体12が撚れることはない。しかも、糸状体12は、強く引っ張られることなくきわめて緩やかに糸掛ボス15、16に巻き付けられる。
図35及び図36が示すように、糸巻11に糸状体12が巻き掛けられると、ベースプレート14が折畳姿勢に変化される。上記第1の実施形態と同様に、糸状体12は環状に形成される(図9参照)。このとき、糸状体12は、ほとんど無張力の状態で糸掛ボス15、16に巻き付けられ、ベースプレート14に保持される。したがって、糸状体12がベースプレート14に長時間保持されたとしても糸状体12に巻き癖がつくことがない。
この糸巻11は、ケーシング152(図27及び図1参照)に収容される。このとき、ケーシング152の前面蓋36が開かれ、糸巻11がケーシング152に挿入される。ベースプレート14は、ケーシング152に隙間なく収容され保持される。糸状体12の他端52は、ケーシング152の前面蓋36に設けられたガイドリング41に挿通される。この状態で前縁蓋36が閉じられる。糸状体12の他端52は、ケーシング152の外部に引き出され、糸状体ユニット10の組み立てが完成する。
この糸状体12の使用者(釣人)は、糸状体12の他端52を引っ張ることにより、所望の長さの糸状体12をベースプレート14から引き出すことができる。このとき、糸掛ボス15及び糸掛ボス16に巻き掛けられた糸状体12は、これら各糸掛ボス15、16から交互に解けるように引き出される。したがって、糸状体12は、使用者の意に反して多量にベースプレート14から引き出されることはない。
ベースプレート14が折畳姿勢となったときは、第1の実施形態と同様に、一対の糸掛ボス15、16は互いに対向し、補助プレート158、159も互いに対向する。第1の実施形態と同様に、糸状体12は、糸掛ボス15に巻き掛けられた後、補助プレート158の脚部224の第1側縁161及び補助プレート159の脚部227の第2側縁164を経て糸掛ボス16に巻き掛けられる。続いて、糸状体12は、当該脚部227の第1側縁162及び補助プレート158の脚部224の第2側縁163を経て糸掛ボス15に巻き掛けられている。つまり、糸状体12は、糸掛ボス15に巻き掛けられた後に、螺旋ループを描くように糸掛ボス16に巻き掛けられ、その後同様に各糸掛ボス15、16に交互に巻き掛けられている。
このように、糸状体12は幾重にも重なった螺旋ループ状に巻回される。糸状体12の使用者が当該糸状体12の他端52を引っ張ると、当該他端52に最も近いループが解け、続いて当該ループに隣り合うループが順に解ける。糸状体12によって形成される螺旋ループは、第1の実施形態に係る糸巻11と同様の要領で解ける。まず、糸状体12の他端52が引っ張られると、ガイドリング41(図1参照)から糸状体12が引き出される。これにより、上記他端52の直近の螺旋ループ、例えば糸掛ボス15に巻き掛けられている螺旋ループが絞られる。つまり、当該ループの径が小さくなる。
図37が示すように、糸状体12は、補助プレート158の脚部224の第2側縁163、糸掛ボス15、当該脚部224の第1側縁161に巻き掛けられている。同様に、糸状体12は、補助プレート159の脚部227の第2側縁164、糸掛ボス16、当該脚部227の第1側縁162に巻き掛けられている。したがって、上記螺旋ループの径が小さくなると、当該糸状体12は、上記脚部224の第1側縁161に沿って当該脚部224からフランジ部222側へ移動する。同様に、当該糸状体12は、上記脚部227の第1側縁162に沿って当該脚部227からフランジ部225側へ移動する。しかも、フランジ部222及びフランジ部225は、上記仮想切断線57(図32参照)に沿って切断されているから、糸状体12は、補助プレート158(159)が変形しなくても上記第1側縁161(162)及び真直縁63(73)に沿って移動して円滑に糸掛ボス15から外れる。
本実施形態では、図32及び図35が示すように、上記第1側縁161(162)の傾斜角度θ1は上記第2側縁163(164)の傾斜角度θ2よりも小さい。換言すれば、上記第2側縁163(164)は、上記仮想中心線58に対して横方向に大きく張り出している。したがって、ループ状の糸状体12が第1側縁161(162)に沿って円滑に移動すると共に、当該糸状体12は、第2側縁163(164)に引っ掛かった状態になる傾向にある。このため、ループ状の糸状体12が勢いよく糸掛ボス15、16から外れ、これに引かれて一気に糸状体12が解けてしまうことが防止される。本実施形態では、傾斜角度θ1は17°(degree)に設定され、傾斜角度θ2は45°に設定されている。なお、各傾斜角度θ1、θ2の大きさは特に限定されるものではなく、要するに、傾斜角度θ1が傾斜角度θ2よりも小さく設定されていればよい。
第2側縁163は、図32において仮想中心線58に沿って左側に(糸掛ボス15から遠ざかる方向に)移動した位置(例えば、図35において二点鎖線229で示される位置)に配置されていてもよい。その場合、補助プレート159の第2側縁164も、図32において仮想中心線58に沿って右側に(糸掛ボス16から遠ざかる方向に)移動した位置(例えば、図35において二点鎖線229で示される位置)に配置されていてもよい。このように、第2側縁163、164が糸掛ボス15、16から遠ざかることによって、糸状体12が解ける際に一定の制動力が作用する。したがって、当該ループ状が解けていくに連れて隣り合うループ状の糸状体12が引きずられて解けてしまうことが確実に防止される。その結果、幾重にも巻回された糸状体12は、縺れることなく順番に解ける。
第1側縁161(162)及び第2側縁163(164)は、真直な辺部により構成されている必要はない。図32が示すように、本実施形態では、第2側縁163(164)は折り曲げられた2つの辺部を備えている。第2側縁163(164)のうち一方の辺部230は、上記仮想中心線58と平行(すなわち傾斜角度θ2=90°)である。このように、第1側縁161(162)及び第2側縁163(164)は、上記傾斜角度がθ1、θ2(但し、0°<θ1<90°、0°<θ2<90°)となる部分を備えていれば十分である。
本実施形態に係る糸巻11は、上記第1の実施形態と同様に、巻き癖を付けることなく糸状体12を巻き取ることができるし、糸状体12が糸巻11から引き出される際に補助プレート158、159等に強く摺動することがない。そのため、補助プレート158、159は可撓性を備える必要がない。したがって、補助プレート158、159を構成する材料は特に限定される必要がなく、安価な材料が採用され得る。その結果、糸巻11がコスト安価に製造され、糸状体ユニット10の製造コストも低減される得る。
この糸巻11では、上記仮想切断線57が上記仮想中心線58から上記距離Sの位置に配置されているから、糸状体12の材質にかかわらず糸状体12が糸巻11から円滑に引き出される。すなわち、糸状体12がナイロン糸、フロロカーボン糸、いわゆるPEラインであっても円滑に糸巻11から引き出される。
本実施形態に係る糸状体ユニット10は、第1の実施形態と同様にガイドリング41を備えている。そのため、糸状体12は、より一層円滑に引き出されるという利点がある。
本実施形態に係る糸状体ユニット10は、糸巻11が糸状体12とは別個に製造され、糸巻11に対して糸状体12が巻き付けられる工程、ベースプレート14が折畳姿勢に姿勢変化される工程及び糸巻11がケーシング152に収容される工程を経て完成される。すなわち、糸巻11のみが予め大量に製造され得るので、部品としての糸巻11がきわめて安価に製造され得る。また、糸状体12も大量生産され得るものであるから、糸状体ユニット10の製造コストが一層低減される。しかも、糸巻11は、前述のように姿勢変化するベースプレート14を備えているから、糸状体12が使用された後は、ベースプレート14が展開姿勢に変化されることにより、再び糸状体12のみが糸巻11に巻き付けられる。すなわち、糸巻11のリサイクルが可能であり、ゴミの発生が抑制される。
この糸巻11は、図35ないし図37が示すように、堤部156、157を備えている。糸状体12は、糸掛ボス15、16の周りにループ状に幾重にも巻回されている。糸状体12は、その剛性により糸掛ボス15、16を中心にして外側へ拡がる傾向にある。そのため、糸状体12が糸巻11から引き出されると、ループ状の糸状体12が一気に解けてしまうおそれがある。前述のように、糸状体12に撚りが生じないのは、一方の糸掛ボス15(又は糸掛ボス16)に巻かれる際に発生する撚りと、他方の糸掛ボス16(又は糸掛ボス15)に巻かれる際に発生する撚りとが相殺されるからである。すなわち、糸状体12が引き出されて一のループが解けていく際に、糸状体12が一方の糸掛ボス15(又は糸掛ボス16)側から外れた瞬間に撚りが発生する。この撚りは、当該糸状体12が他方の糸掛ボス16(又は糸掛ボス15)から外れることによって相殺される。但し、この撚りが相殺されるまでに糸状体12が大きく拡がり、この拡がる糸状体12に引きずられるようにして他のループが補助プレート158、159の外側に外れてしまうことがある。このため、糸状体12が引き出される際に絡みついてしまう可能性がある。
この糸巻11では、上記堤部156、157が設けられているから、糸状体12が糸掛ボス15、16を中心にして外側へ拡がることが規制される。糸状体12によって形成される各ループは、補助プレート158、159から外側へ外れてしまうことがない。したがって、糸状体12の絡みが防止され、糸状体12が糸巻11から円滑に引き出される。なお、堤部156、157の高さ寸法は、特に限定されるものではない。本実施形態では、図36が示すように、堤部156(157)の先端がサイドプレート154(155)に接するように堤部156、157の高さ寸法が設定されている。したがって、糸状体12は、堤部156、157の先端とサイドプレート154(155)との間をすり抜けて引き出され、糸状体12の拡がりが確実に防止される。図35及び図37が示すように、この堤部156、157は突条からなり、糸掛ボス15、16を中心とする円弧状に形成されている。このため、仮に糸状体12が糸掛ボス15、16を中心に外側に拡がろうとしても、堤部156、157がループ状の糸状体12の周囲に均等に当接する。したがって、糸状体12の拡がりが一層確実に防止される。
特に本実施形態に係る糸巻11では、堤部156、157は、補助プレート158、159の縁部からサイドプレート154、155の縁部に向かって突出している。
上記糸状体12は、ベースプレート14が展開姿勢にある状態で糸掛ボス15、16に巻き掛けられる。この状態でベースプレート14が折畳姿勢に変化されると、糸状体12は、前述のような多重螺旋ループ状に形成される。糸状体12が引っ張られると、当該糸状体12は、多重螺旋ループの中央(折り畳まれた糸状体の中央)から引き出される。
前述のように、糸状体12が引き出される際に、糸状体12が糸掛ボス15(16)から外れた瞬間に撚りが発生し、この撚りは、糸状体12が糸掛ボス16(15)からも外れることによって相殺される。この撚りが相殺されるまでに糸状体12が大きく拡がり、これに引きずられるようにして他のループが補助プレート158、159の外側に外れてしまう可能性がある。
ベースプレート14が折畳姿勢となったときは、当該ベースプレート14の内側に補助プレート158、159が配置される。したがって、上記堤部156、157は、補助プレート158、159からサイドプレート154、155に向かって突出する。すなわち、堤部156、157は、図36が示すように、折り畳まれたベースプレート14の中央から外側に向かって突出する。このため、糸状体12は、多重螺旋ループの中央から引き出され、堤部156、157によってサイドプレート154、155側へ導かれる。すなわち、糸状体12は、多重螺旋ループの中央から一旦外側へ導かれた後にケーシング153の挿通孔151から外部へ引き出される。
前述のように、糸状体12が引っ張られて螺旋ループが解けていく際に、当該螺旋ループに隣り合う螺旋ループあるいは当該螺旋ループの近傍に位置する螺旋ループが引きずられて糸状体12と一緒に引き出される可能性がある。その場合、糸状体12が引っ張られる方向と螺旋ループが引きずられる方向とが略一致するならば、引きずられる螺旋ループと引き出される糸状体12とが絡み合う可能性が高くなる。本実施形態に係る糸巻11では、引っ張られる糸状体12は堤部156、157によって一旦外側へ導かれるから(図36参照)、糸状体12が引っ張られる方向と螺旋ループが引きずられる方向とが異なる。したがって、仮に螺旋ループが引きずられたとしても、引っ張られる糸状体12と絡みつくことが確実に防止される。
本実施形態では、図34及び図36が示すように、補助プレート158、159に段差211が形成されている。ベースプレート14が折畳姿勢となったときは、補助プレート158、159同士が重ねられた状態となる。上記段差211が形成されることにより、糸掛ボス15、16の周辺の領域220、221が前述のように陥没する。すなわち、この領域220、221は、折り畳まれたベースプレート14の中央から外側に向かって陥没する。このため、ベースプレート14が折畳姿勢となったときは、上記領域220、221が背中合わせの状態で重ねられ、補助プレート158と補助プレート159との間に空洞部212が形成される。
図36が示すように、糸状体12が引っ張られると、多重螺旋ループが順に解ける。糸状体12は、重ねられた補助プレート158と補助プレート159との間をすり抜ける。このとき、引っ張られる糸状体12が形成する螺旋ループに隣り合う螺旋ループあるいはこの近傍に位置する螺旋ループが引きずられて、引っ張られる糸状体12と一緒に補助プレート158、159同士の間に進入するおそれがある。その場合であっても、上記空洞部212が形成されているから、仮に糸状体12と一緒に他の螺旋ループが補助プレート158と補助プレート159との間に進入しても、上記空洞内212では糸状体12のみが引っ張られ、螺旋ループは、当該空洞内212で待機する。したがって、引きずられる螺旋ループと引き出される糸状体12とが絡み合うことが確実に防止される。
上記空洞部212は、上記段差211が設けられた補助プレート158、159が対向されることにより構成される。すなわち、補助プレート158、159が対向されることによって上記段差211同士が接触し、この段差211により区画される上記領域220(221)が上記空洞部212を構成する。糸状体12の使用者は、糸巻11を一方の手で把持し、他方の手で糸状体12を引っ張る。このとき、仮に使用者が強くケーシング152を握ったとしても、上記空洞部211が形成されているから、補助プレート158、158が容易に撓む。すなわち、上記空洞部211の中央が凹むように補助プレート158、159が変形する。このため、糸状体12が補助プレート158、159の間をすり抜ける際に、各補助プレート158、159に形成された段差211によって糸状体12が強く挟持されることはない。その結果、糸状体12は、損傷を受けることなく補助プレート158、159の間を通って外部へ引き出される。
本実施形態では、ガイドリング41は、糸掛ボス15、16の中心すなわち仮想中心線58に対してオフセットされている。糸状体12は、ガイドリング41から引き出されるから、糸状体12は、ガイドリング41の方へ引っ張られる。このガイドリング41がオフセットされているから、糸状体12は、補助プレート158、159の第1側縁161、162をより一層滑らかに移動することができる。したがって、糸状体12は、なお一層ストレス無く円滑に引き出される。
次に、本実施形態の変形例について説明される。
本実施形態においても上記第3の実施形態の変形例と同様の変形例が考えられる。すなわち、上記堤部156、157が仮想中心線58に対して非対称に形成されていてもよい。また、サイドプレート154、155の側部に他の堤部が設けられていてもよい。これにより、糸掛ボス15、16を中心にして糸状体12が外側へ拡がることがより一層防止される。
図38は、本実施形態の他の変形例に係る糸状体ユニットのベースプレート234の平面図である。図39は、本実施形態の他の変形例に係る糸状体ユニットの補助プレート235、236の平面図である。図40は、本実施形態の他の変形例に係る糸状体ユニットの一部断面側面図である。図41は、図40における一部拡大図である。
この変形例に係る糸状体ユニットが本実施形態に係る糸状体ユニットと異なるところは、図38が示すように、サイドプレート237に折曲補助線239、241(第3折曲補助線)が設けられ、サイドプレート238に折曲補助線240、242(第3折曲補助線)が設けられている点、図39が示すように、補助プレート235及び補助プレート236を接続する連結帯160(底縁部)に折曲補助線243、244(第1折曲補助線)及び折曲補助線245、246(第2折曲補助線)が形成されている点、及び図40が示すように、補助プレート235、236及びベースプレート234が折り畳まれることにより、糸状体ユニットの全長Lが短くなり糸状体ユニットが小型化される点である。
図39が示すように、折曲補助線243〜246は、連結帯160の中心247を基準にして対称に配置されている。具体的には、折曲補助線243、244は、同図において中心247を基準に左右対称の位置に配置されている。折曲補助線245、246も同図において中心247を基準に左右対称の位置に配置されている。折曲補助線243〜246は、例えば連結帯160に刻まれた微細溝から構成される。連結帯160は、これら折曲補助線243〜246の位置で容易に屈曲される。
図41(図40)が示すように、ベースプレート234が折畳姿勢に変化すると、連結帯160の両端部が折曲補助線243、244の位置で折り曲げられる。これにより、連結帯160の一端部248は、脚部224の内側へ折り曲げられ、当該脚部224と重なり合う。連結帯160の他端部249は脚部227の内側へ折り曲げられ、当該脚部227と重なり合う。折曲補助線243、244が左右対称に配置されているから、上記一端部248、249も左右対称に折り曲げられる。さらに、連結帯160は、折曲補助線245、246の位置で折り曲げられる。これにより、連結帯160の中間部250は、図41において下方へ、すなわちベースプレート234側に凸となるように湾曲する。
図38が示すように、折曲補助線239〜242は、センタープレート53の中心(すなわち、連結帯160の中心247)を基準にして対称に配置されている。具体的には、折曲補助線241、242は、同図において中心247を基準に左右対称の位置に配置されている。折曲補助線239、240も同図において中心247を基準に左右対称の位置に配置されている。折曲補助線239〜242は、例えばサイドプレート237、238に刻まれた微細溝から構成される。サイドプレート237、238は、これら折曲補助線239〜242の位置で容易に屈曲される。
図41(図40)が示すように、ベースプレート234が折畳姿勢に変化する際に、当該ベースプレート234も折曲補助線239〜242の位置で折り曲げられる。具体的には、サイドプレート237、238が折曲補助線241、242の位置で内側に折り曲げられる。さらに、サイドプレート237、238は、折曲補助線239、240の位置で外側に折り曲げられる。折曲補助線241、242は左右対称に配置され、折曲補助線239、240も左右対称に配置されているから、ベースプレート234及びサイドプレート237、238は、蛇腹状に折り畳まれる。
この変形例に係る糸状体ユニットでは、一対の補助プレート235、236が連結帯160によって連結され、単一の部品として構成される。したがって、ベースプレート234が折畳姿勢に変化したときは、重ね合わされたベースプレート234及び補助プレート235、236が折り畳まれることになる。そのため、ベースプレート234が折畳姿勢に変化すると、補助プレート235、236、特に連結帯160及び脚部224、227に弛みが生じ、補助プレート235、236が弾性的に変形する。仮に、補助プレート235、236の一部が内側に突出するように変形した場合、例えば連結帯160が図41において上側に凸となるように変形した場合、補助プレート235、236間に形成される空間251が狭くなる。その結果、糸掛ボス15、16に巻き取られた糸状体12が空間251内で圧迫されるおそれがある。
この糸状体ユニットでは、図41が示すように、ベースプレート234が折畳姿勢に変化したとき、連結帯160が折曲補助線243、244の位置で折り返されて脚部244、247の内側に重ねられ、さらに、連結帯160が折曲補助線245、246の位置で屈曲されることにより、中間部250がベースプレート234側に突出するように湾曲される。これにより、上記空間251が狭くならず、糸状体12が圧迫されることはない。したがって、糸状体12が引き出される際に、補助プレート235及び補助プレート236によって強く挟持されることがなく、糸状体12は損傷を受けることなく円滑に引き出される。
本変形例では、図41が示すように、サイドプレート237、238がセンタープレート53に対して蛇腹状に折り畳まれる。このため、ベースプレート234が折畳姿勢に変化したときは、ベースプレート234の長さが短くなる。すなわち、糸状体ユニットの全長Lが短くなる。したがって、釣人その他糸状体ユニットの使用者にとって、当該糸状体ユニットは、コンパクトで使いやすいものとなる。
糸巻11について単なるコンパクト設計を行うことは簡単である。ところが、一対の糸掛ボス15、16間の距離は短くなる。具体的には、図38が示すように、サイドプレート237、238が蛇腹状に折り畳まれることにより、糸掛ボス15、16間の距離は、2kだけ短くなる。ここで、kは、第1境界部位19と折曲補助線241との間の距離(第2境界部位20と折曲補助線242との間の距離)である。このように、糸掛ボス15、16間の距離が短くなると、所定長さの糸状体12が各糸掛ボス15、16間に巻き取られる場合に巻き回数が増加する。つまり、巻取作業のコストが増大する。しかし、本変形例では、ベースプレート234が展開姿勢のときは、一対の糸掛ボス15、16間の距離が長くなるので、糸状体12が巻き取られる際の巻き回数が増加することはない。したがって、巻取作業のコストの増大が避けられると共に、製品としての糸状体ユニットは、コンパクトなものになる。
本変形例では、折曲補助線239〜242及び折曲補助線243〜246の位置は、特に限定されるものではない。すなわち、これら折曲補助線239〜246は、上記中心247(図38、図39参照)を基準にして、任意の位置に配置され得る。したがって、ベースプレート234が展開姿勢の状態で、糸掛ボス15、16間の距離が一定以上に確保されたとしても、ベースプレート234が折畳姿勢となったときの糸状体ユニットの全長Lは、設計者の所望の寸法に設定され得る。
本変形例において、補助プレート235、236に真直縁63、73が省略されてもよい。すなわち、補助プレート235、236が仮想切断線57に沿って切断されずに、略扇形に形成されていてもよい。本変形例において、補助プレート235、236の第1側縁161と第2側縁163との傾斜角度θ1、θ2が同じであってもよい。本変形例において、堤部156、157、138、139、140、141が省略されていてもよい。本変形例において、ケーシング152の挿通孔151は、オフセットされていなくてもよい。このような場合であっても、補助プレート235、236が前述のように折り畳まれることにより、糸状体12は補助プレート235、236に強く挟持されることがなく、糸状体12は、損傷を受けることなく円滑に引き出される。