ところで、前述した従来の複合操作型入力装置では、回転操作時の検出信号とスライド操作時の検出信号を可動基体(配線基板)から取り出すという構成にしてあるため、この可動基体の端子部を外部回路と電気的に接続しておかねばならない。しかしながら、可動基体に対して電気的かつ機械的に接続した信号ケーブルをハウジングの孔部を介して外部へ引き出しても、この信号ケーブルにはスライド操作力が作用して可動基体のスライド移動に追動してしまうため、信号ケーブルが周辺の部材と干渉して擦れたり引っ掛かったりする虞がある。そして、こうした信号ケーブルの擦れが繰り返されると導通不良に至る危険性があり、また、信号ケーブルが周辺の部材に引っ掛かると可動基体のスライド移動が阻害されるため円滑なスライド操作が困難となる。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外部回路との導通の信頼性が高めやすく良好なスライド操作が可能な複合操作型入力装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、可動基体の一面側に操作体が起立姿勢で回転可能に支持されていると共に、前記可動基体がハウジング内で前記操作体の回転軸線と交差する方向へスライド移動可能に支持されており、前記操作体を前記可動基体に対して回転させたときの回転操作情報が該可動基体の一面側で回転検出手段によって検出され、かつ前記操作体を前記可動基体と一体的にスライド移動させたときのスライド操作情報が該可動基体の他面側でスライド検出手段によって検出されるようになっている複合操作型入力装置において、前記操作体および前記回転検出手段を有すると共に複数の端子が設けられて前記可動基体上に保持された回転型電気部品と、リードパターンを有して前記ハウジングに一体化され前記可動基体の他面側に略平行に配置された固定基体と、一端部が前記端子に接合または係合されて他端部が前記リードパターンの所定位置に接合または係合された弾性変形可能な複数の導電部材とを備え、前記導電部材が、前記可動基体のスライド移動に追随して弾性変形する導電性のコイルばねからなり、かつ前記端子が、前記コイルばねの一端部が挿入される挿入部を有する導電性金属板からなり、前記導電部材を介して前記端子と前記リードパターンとを導通させて、前記回転操作情報と前記スライド操作情報が共に前記固定基体側から外部へ出力されるように構成した。
このように構成された複合操作型入力装置は、可動基体の一面側に回転検出手段を配設して他面側(固定基体側)にスライド検出手段を配設すればよいため、平面的な大きさを抑制した小型化が図りやすい。また、この複合操作型入力装置は、回転型電気部品の端子が導電部材に直接接続されているため、これら端子と導電部材とを導通させるための配線パターンを可動基体に設ける必要がなく、それゆえ導通接続箇所の少ない高信頼性の引き回し経路を介して回転型電気部品を外部回路と接続させることができる。しかも、この複合操作型入力装置は、弾性変形可能な導電部材を可動基体のスライド移動に無理なく追随させることが容易であると共に、ハウジングに一体化されている固定基体を介してスライド操作情報および回転操作情報が外部へ出力されるようになっているため、スライド操作に支障を及ぼす信号ケーブルが省略でき、外部回路との導通接続の信頼性も高めやすい。さらに、導電部材が、可動基体のスライド移動に追随して弾性変形する導電性のコイルばねからなり、かつ回転型電気部品の端子が、該コイルばねの一端部が挿入される挿入部を有する導電性金属板からなるため、可動基体のスライド移動を阻害せず、かつ回転型電気部品の端子との導通を維持したまま、コイルばねを無理なく弾性変形させることができる。したがって、可動基体のスライド移動時にコイルばねが弾性変形しても導通不良や切断事故を引き起こす危険性は極めて小さく、導通の信頼性が一層高まる。
上記の構成において、操作体の非操作時にコイルばねの少なくとも端子と固定基体との間に存する部分が無負荷状態になっていると、コイルばねの長寿命化が図れるため好ましい。また、可動基体の一面側に複数の端子が並んで配置されている場合には、隣接する端子どうしの間に介在する規制突起を可動基体に突設しておけば、操作体のスライド操作時に弾性変形したコイルばねが端子を付勢しても規制突起によって該端子の位置ずれが防止できるため、隣接する端子どうしが接触するという短絡事故を防止できる。
また、上記の構成において、端子の挿入部が、コイルばねの一端部に挿入される筒状に形成されていると、端子の挿入部とコイルばねの一端部との接触面積が増大させやすくなるため、導通接続の信頼性をさらに高めることができる。その際、端子の挿入部とコイルばねの一端部とが例えばレーザ溶接等によって溶接されていると、端子とコイルばねとの接合強度が高まるため好ましい。また、固定基体のリードパターンがコイルばねの他端部が挿入される第2挿入部を有する導電性金属板からなり、この第2挿入部がコイルばねの他端部が挿入される筒状に形成されていると、リードパターンの第2挿入部とコイルばねの他端部との接触面積を増大させやすくなるため、導通接続の信頼性をさらに高めることができる。この場合において、端子の挿入部とリードパターンの第2挿入部が互いに離反する向きに突出する筒状に形成されていると共に、これら挿入部と第2挿入部にコイルばねの両端部が溶接されていると、コイルばねの両端部を挿入部と第2挿入部に強固に接合できるのみならず、これら両端部どうしを大きく離隔させることによってコイルばねを弾性変形させやすくなるため好ましい。
また、上記の構成において、コイルばねの一端部と他端部の巻径が同等であると、コイルばねを組み込む際に、その両端部を区別する必要がなくなるため、組立作業性の向上が図れる。
また、上記の構成において、可動基体に一体化されて摺動ケースを構成すると共に該可動基体と協働して回転型電気部品を保持する可動カバーと、ハウジングに一体化されて摺動ケースを摺動可能に支持する支持部材とを備え、かつ摺動ケースに支持部材に摺接する摺動突起を設け、操作体のスライド操作時に摺動ケースが支持部材に対して摺動するようにしてあると、スライド操作時に回転型電気部品が摺動ケース(可動基体および可動カバー)と一体的にスライド移動することになり、その際、摺動ケースの摺動抵抗は摺動突起によって抑制できるため円滑にスライド移動させることができる。なお、この場合、スライド移動する全ての部材、つまり回転型電気部品と可動基体と可動カバーをユニット品として取り扱うことができるため、組立作業性が良好で生産管理も容易となる。
また、上記の構成において、回転型電気部品が、回転検出手段を内蔵する筐体部と、この筐体部を拘持する板金製の枠板とを有していると共に、回転型電気部品の複数の端子がアース端子を含んでおり、このアース端子を導出しているリード部が筐体部の底面に露出して枠板に常時接触していると、導電性のコイルばねを介してアース端子を外部のアース回路に接続させることができるため、回転型電気部品を接地するために部品を追加したり半田付けを行う必要がなくなる。
なお、上記の構成において、回転型電気部品が、操作体を回転軸線方向へ押圧操作することによって動作するプッシュスイッチを内蔵していれば、さらに多機能な複合操作型入力装置となる。
また、上記の構成において、操作体の回転軸線を挟んで対向する位置に複数のコイルばねが分散して配設されていれば、固定基体と回転型電気部品との間に作用するコイルばねの弾性力(反力)がバランスよく分散されるため、操作体のスライド操作時に回転型電気部品に傾きが生じにくくなる。
また、上記の構成において、固定基体が、リードパターンを形成している導電性金属板の一部を絶縁性樹脂基板に埋設して構成されており、リードパターンの一部をスライド検出手段に含まれる固定接点として固定基体の一面に露出させていると共に、スライド検出手段に固定接点に接離する可動接点を設け、この可動接点が操作体および可動基体のスライド移動に応じてスライド移動するようにしてあると、印刷工程が不要なインサート成形加工によって固定基体を比較的容易に形成できると共に、スライド検出手段としてスライド型電気部品を組み込む必要がなくなるため部品コストが低減できる。この場合において、スライド検出手段が、固定基体の一面に沿って互いに直交する方向へスライド移動可能な一対のスライダを有しており、これら一対のスライダにそれぞれ可動接点が保持されていると共に、これら一対のスライダが可動基体に駆動されてスライド移動するようにしてあると、スライド検出手段の機構が簡素化できるため低コスト化や信頼性向上が図りやすくなる。
本発明の複合操作型入力装置は、可動基体の一面側に回転検出手段を配設して他面側(固定基体側)にスライド検出手段を配設すればよいため、平面的な大きさを抑制した小型化が図りやすくなる。また、この複合操作型入力装置は、回転型電気部品の端子が導電部材に直接接続されているため、これら端子と導電部材とを導通させるための配線パターンを可動基体に設ける必要がなく、導通接続箇所の少ない高信頼性の引き回し経路を介して回転型電気部品を外部回路と接続させることができる。しかも、この複合操作型入力装置は、弾性変形可能な導電部材を可動基体のスライド移動に無理なく追随させることが容易であると共に、ハウジングに一体化されている固定基体を介してスライド操作情報および回転操作情報が外部へ出力されるようになっているため、スライド操作に支障を及ぼす信号ケーブルが省略でき、外部回路との導通の信頼性も高めやすくなる。
さらに、導電部材が導電性のコイルばねからなると共に、回転型電気部品の端子が該コイルばねの一端部が挿入される挿入部を有する導電性金属板からなるため、可動基体のスライド移動を阻害せず、かつ回転型電気部品の端子との導通を維持したまま、コイルばねを無理なく弾性変形させることができる。したがって、操作体および可動基体のスライド移動時にコイルばねが弾性変形しても導通不良や切断事故を引き起こす危険性は極めて小さく、導通の信頼性を一層高めることができる。
発明の実施の形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る複合操作型入力装置の外観斜視図、図2は該入力装置の外観平面図、図3は該入力装置を一方向から見た外観側面図、図4は該入力装置を他方向から見た外観側面図、図5は該入力装置の外観底面図、図6は該入力装置の各構成部品を斜め上方から見た外観を示す分解斜視図、図7は該入力装置の各構成部品を斜め下方から見た外観を示す分解斜視図、図8は図2のA−A線に沿う断面図、図9は図8のE部拡大図、図10は図8のF部拡大図、図11は図2のB−B線に沿う断面図、図12は図2のC−C線に沿う断面図、図13は図2のD−D線に沿う断面図、図14は該入力装置で用いられた可動ユニットの外観斜視図、図15は該可動ユニットを構成する回転型電気部品の底面構造を示す分解斜視図である。また、図16は該入力装置の可動ユニットおよび第1および第2のスライダの位置変化を示す動作説明図で、同図(a)はX方向へスライド操作した状態、同図(b)は非操作時の状態、同図(c)はY方向へスライド操作した状態を示している。また、図17は図12と同じ切断面に沿う断面図で該入力装置のスライド操作時の状態を示す動作説明図、図18は図13と同じ切断面に沿う断面図で該入力装置のスライド操作時の状態を示す動作説明図である。なお、図16では、固定基体やカバー部材、コイルばね等を図示省略して、支持部材や可動基体、スライダ等を底面側から見た状態を示している。
これらの図に示す複合操作型入力装置は、底部が開放端となっているハウジング1と、ハウジング1の底部を蓋閉するように固定された支持部材2と、支持部材2の底部を蓋閉するように固定された固定基体3と、固定基体3を載置してハウジング1に固定されたカバー部材4と、摺動子5を有して固定基体3上でX方向(図1参照)へスライド移動可能な第1のスライダ6と、摺動子7を有して固定基体3上でY方向(図1参照)へスライド移動可能な第2のスライダ8と、ハウジング1に被着されて支持部材2、固定基体3およびカバー部材4を抱持するようにかしめ固定された取付板9と、ハウジング1内に収納されてX,Y方向へスライド移動可能な可動基体10と、可動基体10上に搭載された回転型電気部品11と、可動基体10と協働して回転型電気部品11を保持する可動カバー12と、両端部が回転型電気部品11の端子26と固定基体3の導電性金属板20とに接合された導電性のコイルばね13と、ハウジング1の天板部と可動カバー12との間に介設された駆動ピン14および復帰ばね15と、可動カバー12上に搭載されてハウジング1内でY方向へスライド移動可能なガイドスライダ16とによって主に構成されている。なお、可動基体10と可動カバー12はスナップ結合等により一体化されて箱形の摺動ケース17を構成しており、この摺動ケース17が支持部材2上に摺動可能に支持されている。また、本実施形態例では、コイルばね13を6個使用して駆動ピン14および復帰ばね15を2個ずつ使用しているが、これらの使用個数は適宜選択可能である。
ハウジング1は樹脂成形品であり、その天板部には環状突堤1aに囲繞された円形の中央開口1bと、環状突堤1aを介して対向する一対の位置決めボス1cとが形成されている。ハウジング1の天板部の裏面側には環状突堤1aの周囲の略等間隔な4箇所に、略円椀形状の凹所であるカム面1dと、略十字形状の凹溝であるストッパ溝1eとが交互に形成されている。また、ハウジング1の外壁下端部には略等間隔な4箇所に、支持部材2に係合させるための幅狭な係合凸部1fと幅広な係合凸部1gが交互に形成されている。
取付板9は1枚の金属板からフォーミングされており、その天板部には環状突堤1aに外嵌される円形の開口9aと、位置決めボス1cが挿入される一対の長孔9bとが穿設されている。取付板9の天板部の周縁からは、相対向する一対の側板部9cと4片の取付片9dが延設されて垂下している。側板部9cには内向きに折曲されて固定基体3およびカバー部材4に圧着される複数のかしめ片9fが形成されており、取付片9dには後述する支持部材2の係合フック2dに係合させるための係合孔9e(図3参照)が形成されている。なお、取付片9dは、この複合操作型入力装置を図示せぬ母基板に取り付けるためのものである。
支持部材2は樹脂成形品であり、中央部に矩形開口2aを有し、矩形開口2aの周縁に沿って裏面側に枠状突堤2bが形成されている。また、枠状突堤2bの外側には矩形開口2aを挟むように一対の逃げ孔2cが形成されており、これら逃げ孔2cを貫通して複数個のコイルばね13が配置されるようになっている。支持部材2の外壁部には複数箇所に、ハウジング1の係合凸部1fと係合する凹陥部2eと、取付板9の係合孔9eと係合する係合フック2d(図4参照)とが形成されており、これら凹陥部2eや係合フック2d等を利用して支持部材2はハウジング1に位置決めされた状態で一体化されている。また、支持部材2の裏面側には、枠状突堤2bを介して対向する一対の位置決め筒部2fが突設されている。
固定基体3はインサート成形加工によって形成されたものであり、外部回路(プリント配線基板等)との電気的な接続部である端子21群およびこれら端子21群とそれぞれ一体につながった複数のリードパターン22を形成している導電性金属板20の一部を絶縁性樹脂基板19に埋設して構成されている。固定基体3の一面である天面には、所定のリードパターン22の露出部である第1の固定接点22aおよび第2の固定接点22bと、絶縁性樹脂基板19の突起部である一対の位置決めボス19aとが配設されている。これら位置決めボス19aは支持部材2の位置決め筒部2f内に嵌合して挿入されるため、固定基体3上に支持部材2を高い位置精度で載置することができる。固定基体3の他面となる底面には、複数(例えば6本)のリードパターン22の露出部である複数(例えば6個)の筒状挿入部22cと、絶縁性樹脂基板19の突起部である一対の位置決めボス19bとが配設されており、これら位置決めボス19bは後述するカバー部材4の位置決め孔4a内に挿入される。なお、リードパターン22は、母材であるリン青銅にニッケル下地層の銀メッキを施した導電性金属板で形成しているが、溶接される筒状挿入部22cには、メッキは施されずリン青銅が露出したものとなっている。第2挿入部である筒状挿入部22cは絶縁性樹脂基板19の貫通孔19cを臨む位置に配置されている。つまり、図7や図10に示すように、貫通孔19cの下部開口端が切欠き部19dに連通しており、この切欠き部19d内に、図示下方へ向かって突出する円筒形状の筒状に絞り加工(バーリング加工)された筒状挿入部22cが配置されている。そして、コイルばね13の図示下端部が貫通孔19cおよび筒状挿入部22cに挿通された状態で該筒状挿入部22cにレーザ溶接されている。ここで、レーザ光は切欠き部19dが形成された固定基体3の外側から照射しており、図10に示すように、レーザ光が照射された側のコイルばね13と筒状挿入部22cとが溶融・凝固して接合される。なお、図10においてカバー部材4は図示省略されている。また、複数の筒状挿入部22cを露出させている複数のリードパターン22は互いに電気的に独立している。
カバー部材4は樹脂成形品であり、固定基体3の位置決めボス19bが挿入される一対の位置決め孔4aと、取付板9のかしめ片9fがかしめつけられる複数の凹段部4bとが形成されている。そのため、カバー部材4は固定基体3を高い位置精度で載置することができると共に、取付板9によってハウジング1、支持部材2、固定基体3およびカバー部材4を一体化することができる。カバー部材4には固定基体3の複数の筒状挿入部22cと対向する凹溝4cが形成されており、この凹溝4cによってコイルばね13の下端部との干渉を回避している。また、カバー部材4の底面の中央部には、前記母基板に嵌入される取付突起4dが突設されている。なお、取付板9とハウジング1と支持部材2と固定基体3とカバー部材4は、外形の平面視形状が略同等である。
第1のスライダ6と第2のスライダ8にはそれぞれY方向とX方向に延びる長孔6a,8aが形成されており、これら長孔6a,8aに可動基体10の後述する駆動突起10aが摺動可能に挿入される。各スライダ6,8の底面の一側部にはそれぞれ可動接点である摺動子5,7をかしめ固定するかしめ突起6b,8bが形成されている。また、各スライダ6,8の天面にはそれぞれ支持部材2の枠状突堤2bに摺接する案内部であるガイドレール6c,8cが形成されている。そのため、枠状突堤2bの対向する内側面に一対のガイドレール6cが案内されて第1のスライダ6はX方向へ円滑にスライド移動可能であり、同様に、枠状突堤2bの対向する内側面に一対のガイドレール8cが案内されて第2のスライダ8はY方向へ円滑にスライド移動可能である。つまり、第1および第2のスライダ6,8は、固定基体3の天面に沿って互いに直交する方向へスライド移動可能な機構を構成している。そして、可動基体10がスライド移動すると駆動突起10aが第1のスライダ6や第2のスライダ8を駆動するため、可動基体10のスライド移動方向に応じて第1のスライダ6または第2のスライダ8がX方向またはY方向へスライド移動し、それに伴って摺動子5または摺動子7が第1の固定接点22aまたは第2の固定接点22bに対して摺動するようになっている。なお、本実施形態例では、駆動突起10aによって駆動される一対のスライダ6,8と、各スライダ6,8に個別に保持されて可動接点として機能する一対の摺動子5,7と、各摺動子5,7が個別に接離する一対の固定接点22a,22bとによって、スライド検出手段が構成されている。
可動基体10は樹脂成形品であり、その底面中央部に駆動突起10aが垂設されていると共に、複数箇所にばね挿通孔10bや取付孔10c、かしめ孔10d等が設けられている。また、可動基体10の外側面には一対の爪部10eが突設されており、可動基体10の天面(回転型電気部品11を搭載する面)には、ばね挿通孔10bと隣接する位置にそれぞれ規制突起10fが突設されている。駆動突起10aは前述したように、長孔6a,8aを介して第1および第2のスライダ6,8を駆動するためのものである。ばね挿通孔10bは可動基体10の両側縁に沿って複数(例えば6個)穿設されており、図9に示すように、各ばね挿通孔10bにそれぞれコイルばね13の一端(上端)近傍が挿通されている。なお、各ばね挿通孔10bは操作体18が操作されていない非操作時には固定基体3の貫通孔19cや筒状挿入部22cの真上に位置している。取付孔10cには回転型電気部品11の後述する筐体部23の取付突起23aが嵌入され、これにより可動基体10上に回転型電気部品11が高い位置精度で搭載できるようになっている。かしめ孔10dには回転型電気部品11の後述する枠板27のかしめ片27aが挿通され、このかしめ片27aを可動基体10の底面にかしめつけることにより、枠板27を介して回転型電気部品11の筐体部23と可動基体10とが一体化されるようになっている。この可動基体10は、爪部10eに後述する可動カバー12の掛止部12bをスナップ嵌合させることによって、該可動カバー12と共に箱形の摺動ケース17を構成し、この摺動ケース17が支持部材2上でX,Y方向へスライド移動可能な状態でハウジング1内に収納される。なお、このスライド移動方向は本実施形態例では操作体18の回転軸線と直交する方向である。
回転型電気部品11は、操作体18と、操作体18を回転可能かつ昇降可能に支持する筐体部23と、この筐体部23に内蔵された回転検出手段であるロータリエンコーダ部24およびプッシュスイッチ部25と、インサート成形加工によって筐体部23と一体的に形成された複数の端子26と、複数のかしめ片27bによって筐体部23を拘持している板金製の枠板27とを備えて構成されるユニット品である。操作体18は中央開口1bや開口9aを貫通してハウジング1の上方へ突出しており、この操作体18と筐体部23の上端部を除いて回転型電気部品11はハウジング1内に収納されている。筐体部23の底面には複数の取付突起23aが垂設されており、これら取付突起23aは可動基体10の取付孔10cに嵌入される。端子26群は、ロータリエンコーダ部24から導出された端子と、プッシュスイッチ部25から導出された端子と、図15において符号26bで示すアース端子とからなる。また、各端子26にはそれぞれコイルばね13の一端部(上端部)が挿入される筒状挿入部26aが形成されている。なお、各端子26はリン青銅からなる導電性金属板により形成されている。そして、各端子26と一体でロータリエンコーダ部24やプッシュスイッチ部25の接点部を構成する部分には、母剤となる該リン青銅にニッケル下地層の銀メッキが施されているが、各端子26の少なくとも筒状挿入部26aには、メッキは施されずリン青銅が露出したものとなっている。図6や図9に示すように、筒状挿入部26aは図示上方へ向かって突出する円筒形状の筒状に絞り加工(バーリング加工)されて、可動基体10のばね挿通孔10bと連通する位置に配置されており、コイルばね13の図示上端部が筒状挿入部26aに挿通された状態でレーザ溶接されている。つまり、筒状挿入部26aは固定基体3の対応する筒状挿入部22cとは逆向き(離反する向き)に突出する筒状に形成されている。なお、レーザ溶接する際には、固定基体3側と同様に、可動基体10の外側(図9の左側)からレーザ光を照射している。このため、図9に示すように、レーザ光が照射された側の筒状挿入部26aとコイルばね13とが溶融・凝固して接合される。そして、前述したように、枠板27のかしめ片27aを可動基体10の底面にかしめつけることにより、枠板27を介して筐体部23と可動基体10とが一体化されて、操作体18が可動基体10上に起立姿勢で回転可能かつ押下可能に支持されるようになっている。また、図15に示すように、筐体部23の底面にはアース端子26bを導出しているリード部28が露出しており、枠板27の所定のかしめ片27bを筐体部23にかしめつけることによって該かしめ片27bがリード部28と常時接触するようになっている。なお、各端子26は回転型電気部品11の周縁部に略対称に配設されており、隣接する端子26どうしの間に可動基体10の規制突起10fが介在して端子26の位置ずれを防止している。
可動カバー12は樹脂成形品であり、可動基体10と一体化されて箱形の摺動ケース17(図14参照)を構成していると共に、可動基体10と協働して回転型電気部品11の筐体部23を挟持している。この可動カバー12には操作体18を上方へ突出させる開口12aが設けられており、回転型電気部品11の筐体部23の上端部が開口12aに嵌入されるようになっている。可動カバー12の外側面には一対の掛止部12bが垂設されており、これら掛止部12bを可動基体10の一対の爪部10eにスナップ嵌合させることによって摺動ケース17が構成され、かつ可動カバー12の天板部と可動基体10との間に筐体部23が挟持されて回転型電気部品11が摺動ケース17に保持された状態となる。これにより、回転型電気部品11と摺動ケース17とがユニット化されるため、図14に示すような可動ユニット30が得られる。可動カバー12の四隅の上端側には、ハウジング1のストッパ溝1eに摺動可能に挿入される先端が球面状のガイドボス12cと、駆動ピン14および復帰ばね15が配置される円柱状の凹所12dとが交互に形成されている。また、可動カバー12の四隅の下端側には膨出形状の摺動突起12eが突設されており、これら摺動突起12eを支持部材2の天面に摺接させた状態で可動ユニット30が該支持部材2上に摺動可能に搭載されている。したがって、この可動ユニット30は摺動抵抗が小さく、ハウジング1に対して円滑にX,Y方向へスライド移動させることができる。ただし、摺動突起12eと同様の摺動突起を可動基体10に設けてもよい。
なお、ハウジング1内において摺動ケース17上には後述するガイドスライダ16が搭載されて、可動ユニット30のスライド移動を案内するようになっている。また、略十字形状の凹溝であるストッパ溝1eにガイドボス12cが摺動可能に挿入されているため、可動ユニット30がX方向やY方向へ所定量スライド移動すると、ガイドボス12cがストッパ溝1eの奥壁に当接して、さらなるスライド移動が規制されるようになっている。また、ストッパ溝1eとガイドボス12cとによって可動ユニット30のスライド移動方向がX方向とY方向に制限されており、この4方向以外のスライド移動ができないものとなっている。
導電部材であるコイルばね13は、弾性を有するリン青銅からなる金属線材で形成されており、メッキを施していないものである。このコイルばね13は、一端部である上端部が可動基体10のばね挿通孔10bおよび筒状挿入部26aに挿通されて端子26の筒状挿入部26aに溶接され、他端部である下端部が固定基体3の貫通孔19cおよび筒状挿入部22cに挿通されてリードパターン22の筒状挿入部22cに溶接される。そのため、回転型電気部品11のロータリエンコーダ部24やプッシュスイッチ部25で検出された信号が、端子26およびコイルばね13を介して固定基体3側へ伝達されて該固定基体3の端子21から外部回路へ取り出せるようになっている。このコイルばね13は両端部を含めて巻径がほぼ一定であり、コイルばね13のうち可動基体10と固定基体3との間に存する部分が可動ユニット30のスライド移動に追随して容易に弾性変形できるようになっている。ただし、図8に示すように、このコイルばね13は操作体18の非操作時には、少なくとも端子26と固定基体3との間に存する部分(本実施形態例ではコイルばね13の全領域)が無負荷状態で直立姿勢となっている。なお、本実施形態例では、回転型電気部品11の一側部と他側部にコイルばね13を3本ずつ、線対称な位置関係で取り付けている。すなわち、回転型電気部品11の複数の端子26に対応する複数のコイルばね13が、操作体18の回転軸線を挟んで対向する位置に分散状態で配設されたものとなっている。これにより、操作体18のスライド操作時に、固定基体3と回転型電気部品11との間に作用するコイルばね13の弾性力(反力)がバランスよく分散されるため、回転型電気部品11が固定基体3に対して平行移動しやすくなり、よってスライド操作時に回転型電気部品11に傾きが生じる可能性は低い。
駆動ピン14は復帰ばね15によって上方へ弾性付勢されているため、この駆動ピン14の球面状の先端面はハウジング1のカム面1dに弾接している。したがって、図12に示すように、操作体18の非操作時には、駆動ピン14の先端部がカム面1dの最奥部に入り込んで安定的に保持されており、よって可動ユニット30はガタのない状態で所定位置(中立位置)に保持されている。また、操作体18のスライド操作によって可動ユニット30がスライド移動したときには、図17に示すように、復帰ばね15を圧縮させながら駆動ピン14の先端部がカム面1dの最奥部から外れるため、このスライド操作力が取り除かれると復帰ばね15の弾発力で駆動ピン14の先端部がカム面1dの最奥部まで押し戻され、よって可動ユニット30は図12に示す元の位置へ自動復帰するようになっている。
ガイドスライダ16は平面視略長方形状をした樹脂成形品であり、ハウジング1の中央開口1bと対向する長孔16aが形成されている。このガイドスライダ16は可動カバー12上に摺動可能に搭載され、長孔16aに回転型電気部品11の筐体部23がX方向へのみスライド移動可能な状態で挿通される。また、ガイドスライダ16の長手方向(X方向)における両端部は、それぞれ固定基体3側である下方側に曲がったL字状の曲げ部16bとなっており、これら一対の曲げ部16bには、外方へ突出した突起16cが形成されている。そして、一対の曲げ部16bに設けられた各突起16cがハウジング1の対向する平行な一対の内壁面にそれぞれ案内されて、ガイドスライダ16はY方向へ円滑にスライド移動できるようになっている(図8参照)。したがって、可動ユニット30がY方向へスライド移動するときには、ガイドスライダ16も一体的にスライド移動して、操作軸である操作体18のガタが抑制される。また、可動ユニット30がX方向へスライド移動するときには、摺動ケース17がガイドスライダ16に対して摺動するが、長孔16aの互いに平行に延びる内壁面によって筐体部23の移動が案内されるため、操作体18のガタが抑制される。
次に、このように構成された複合操作型入力装置の動作について説明する。まず、スライド操作時の動作について説明すると、操作体18の非操作時には、図16(b)に示すように、可動基体10の駆動突起10aが支持部材2の矩形開口2aの中央部を貫通して各長孔6a,8aに挿入されており、よって第1のスライダ6はX方向の中央に位置し第2のスライダ8はY方向の中央に位置している。この状態で操作体18がX方向へスライド操作されると、駆動突起10aが長孔6aの一側部を同方向へ押し込むため、図16(a)に示すように、第1のスライダ6が可動ユニット30に追動してX方向へスライド移動する。そのため、固定基体3上の第1の固定接点22aに対する摺動子5の接触位置(接触状態)が変化して接点切換え信号が検出され、その検出信号を固定基体3の所定の端子21から取り出すことができる。ただし、駆動突起10aは長孔8aに沿ってX方向へ移動するため、第2のスライダ8の位置は変化せず、よって摺動子7と第2の固定接点22bの相対位置は変化しない。
同様に、図16(b)に示す状態で操作体18がY方向へスライド操作されたときには、駆動突起10aが長孔8aの一側部を同方向へ押し込むため、図16(c)に示すように、第2のスライダ8が可動ユニット30に追動してY方向へスライド移動し、それに伴い第2の固定接点22bに対する摺動子7の接触位置(接触状態)が変化して接点切換え信号が検出され、その検出信号を固定基体3の所定の端子21から取り出すことができる。このとき、駆動突起10aは長孔6aに沿ってY方向へ移動するため、第1のスライダ6の位置は変化しない。
また、こうして可動ユニット30がX方向またはY方向へスライド移動すると、一端部が回転型電気部品11の端子26の筒状挿入部26aに溶接されて他端部が固定基体3のリードパターン22の筒状挿入部22cに溶接されている各コイルばね13にもスライド操作力が作用するが、図18に示すように、各コイルばね13は可動基体10と固定基体3との間に存する部分が容易に弾性変形できるため両端部(溶接部位)にはさほど負荷が掛からず、よって各コイルばね13を可動ユニット30のスライド移動に無理なく追動させることができる。
なお、可動ユニット30がX方向またはY方向へスライド移動すると、前述したように復帰ばね15を圧縮させながら駆動ピン14の先端部がカム面1dの最奥部から外れる(図17参照)ため、スライド操作力が取り除かれると、復帰ばね15の弾発力で駆動ピン14の先端部がカム面1dの最奥部まで押し戻されて、可動ユニット30は元の位置へ自動復帰する。
次に、回転操作時の動作について説明する。操作体18を回転操作すると、その回転量や回転方向が回転型電気部品11の筐体部23に内蔵されているロータリエンコーダ部24によって検出される。この検出信号は回転型電気部品11の所定の端子26およびコイルばね13を介して、固定基体3の対応する筒状挿入部22cへ伝達されるため、この筒状挿入部22cに導通されている固定基体3の所定の端子21から回転操作時の検出信号を取り出すことができる。
次に、押下操作時の動作について説明すると、操作体18を押下操作は回転型電気部品11の筐体部23に内蔵されているプッシュスイッチ部25によって検出される。この検出信号は回転型電気部品11の所定の端子26およびコイルばね13を介して、固定基体3の対応する筒状挿入部22cへ伝達されるため、この筒状挿入部22cに導通されている固定基体3の所定の端子21から押下操作時の検出信号を取り出すことができる。
以上説明したように本実施形態例に係る複合操作型入力装置は、回転操作時や押下操作時には可動基体10上の回転型電気部品11によって回転操作情報や押下操作情報が検出され、その検出信号が導電性の金属線材からなるコイルばね13を介して固定基体3の端子21から取り出せるようになっており、かつ、スライド操作時には回転型電気部品11が可動基体10等と一体的にスライド移動して第1および第2のスライダ6,8の位置を変化させることによりスライド操作情報が検出され、その検出信号が固定基体3の別の端子21から取り出せるようになっている。このように可動基体10の天面側に回転検出手段や押下検出手段を配設して底面側にスライド検出手段を配設するという構成にしてあると、複合操作型入力装置の平面的な大きさを抑制した小型化が図りやすい。
また、この複合操作型入力装置は、可動ユニット30のスライド移動に導電性のコイルばね13を無理なく追随させることができると共に、ハウジング1に一体化されている固定基体3の端子21群をプリント配線基板等の母基板側の外部回路に簡単に接続することができるため、スライド操作に支障を及ぼす信号ケーブルが省略でき、外部回路との導通接続の信頼性も高めやすい。しかも、各コイルばね13は操作体18の非操作時には無負荷状態であり、スライド操作時には可動基体10と固定基体3との間で各コイルばね13が容易に弾性変形できるため、負荷の少ない状態で各コイルばね13を使用することができて、その長寿命化が図りやすくなっている。なお、コイルばね13は両端部を含めて巻径がほぼ一定なので、両端部を区別することなく組み込み作業が容易に行えるという利点もある。また、本実施形態例では可動基体10の一面側に複数の端子26が並んで配置されているが、隣接する端子26どうしの間には可動基体10の規制突起10fが介在しているため、操作体18のスライド操作時に弾性変形したコイルばね13が端子26を付勢しても規制突起10fによって該端子26の位置ずれが防止でき、それゆえ隣接する端子26どうしが接触するという短絡事故が確実に防止されている。
さらに、この複合操作型入力装置は、回転型電気部品11の各端子26が導電性のコイルばね13にレーザ溶接によって直接接続されているため、これら端子26とコイルばね13とを導通させるための配線パターンを可動基体10に設ける必要がない。そのため、導通接続箇所の少ない高信頼性の引き回し経路を介して回転型電気部品11を外部回路と接続させることができる。しかも、導電性のコイルばね13は一端部が端子26の筒状挿入部26aに挿通された状態で溶接され、かつ他端部がリードパターン22の筒状挿入部22cに挿通された状態で溶接されているため、コイルばね13の溶接部位で接触面積や接合強度が不足する虞はない。したがって、この複合操作型入力装置は導通接続の信頼性が高く、回転型電気部品11の検出信号を確実に取り出すことができる。さらに、本実施形態例においては、溶接されるコイルばね13と筒状挿入部26aおよび筒状挿入部22cとが同一種類の金属材料(リン青銅)からなるので、コイルばね13と筒状挿入部26a,22cとの溶接による接合が確実なものとなり、両者の導通接続の信頼性を極めて高いものとすることができる。ただし、溶接されるコイルばね13と筒状挿入部26a,22cとが同一種類の金属材料で形成されていることが望ましいが、両者が異種金属からなるものでも構わない。
なお、図10に示すように、筒状挿入部22cは固定基体3から突出してはいないが切欠き部19d内に配置されているため、絶縁性樹脂基板19に悪影響を及ぼすことなくレーザ溶接を行うことができる。また、対応する筒状挿入部26a,22cどうしが互いに離反する向きに突出していることから、コイルばね13は筒状挿入部26a,22cに拘束される両端部の間に比較的長い非拘束部分を確保することができて弾性変形させやすい。したがって、操作体18のスライド操作時にコイルばね13の両端部(溶接部位)に過大な応力が作用せず、この点からもコイルばね13の長寿命化が図りやすくなっている。
ただし、コイルばね13の両端部が挿通される端子26やリードパターン22の挿入部の形状は、本実施形態例における筒状挿入部26a,22cのような断面円形状をなした円筒状に限定されるわけではなく、例えば該挿入部の断面形状が多角形状をなしたものや一部が切り欠かれた断面C字形状等の略筒状のものであってもよく、さらには、貫通していない有底形状のものであってもよい。また、本実施形態例ではコイルばね13と回転型電気部品11や固定基体3との接合にレーザ溶接を採用しているが、アーク溶接やスポット溶接等の他の溶接を採用してもよく、溶接ではなく半田付けやかしめあるいは圧入等によってコイルばね13を回転型電気部品11や固定基体3と接合することも可能である。さらにまた、コイルばね13を回転型電気部品11や固定基体3と接合しない構造にすることも可能であり、その場合、コイルばね13の端部を端子26やリードパターン22の接続箇所に脱落不能に係合させて、コイルばね13と該接続箇所とが常に接触した状態に保たれるようにしておけばよい。
また、本実施形態例に係る複合操作型入力装置では、回転操作と押下操作とが行える回転型電気部品11を摺動ケース17(可動基体10および可動カバー12)で保持することによって可動ユニット30を構成しているため、スライド移動するほとんど全ての部材をユニット品として取り扱うことができて、組立作業性が向上し、生産管理が容易となる。しかも、この複合操作型入力装置は、回転型電気部品11を差し替えるだけで種々の仕様変更に容易に対応できるという利点もある。例えば、回転型電気部品11として、抵抗値の変化で回転操作情報を検出する可変抵抗器を内蔵したもの用いたり、プッシュスイッチを省略した構成のもの用いてもよい。
また、本実施形態例に係る複合操作型入力装置では、リードパターン22を形成している導電性金属板20の一部を絶縁性樹脂基板19に埋設して固定基体3が構成されており、スライド検出手段の第1および第2の固定接点22a,22bがリードパターン22の一部として固定基体3の一面に露出している。したがって、印刷工程が不要なインサート成形加工によって固定基体3を比較的容易に形成できると共に、スライド検出手段としてスライド型電気部品を組み込む必要がないため部品コストが低減できる。しかも、可動基体10に駆動されてスライド移動する一対のスライダ6,8が摺動子5,7を保持しており、これら摺動子5,7が可動接点として固定接点22a,22bに接離することによって操作体18のスライド操作情報が検出されるようになっているため、スライド検出手段の機構が簡素化できて低コスト化や信頼性向上が図りやすくなっている。ただし、スライド検出手段として、固定基体3に実装された切換えスイッチやGMRセンサ等を用いた非接触式の検出手段を用いることも可能である。
また、本実施形態例に係る複合操作型入力装置では、回転型電気部品11の筐体部23の底面にアース端子26bを導出してリード部28を露出させ、筐体部23を拘持する板金製の枠板27のかしめ片27bが該リード部28に常時接触するようにしてあるため、導電性のコイルばね13を介してアース端子26bを外部のアース回路に導通接続させることができる。したがって、回転型電気部品11を接地するために部品を追加したり半田付けを行う必要はない。
なお、上記の実施形態例では、ストッパ溝1eやガイドボス12cを利用して、スライド操作時に可動基体10等が4方向へスライド移動可能な構成になっているが、例えばガイドボス12cを省略して、さらに多方向へスライド移動できる構成にすることも可能である。