JP5116420B2 - サーマルヘッドおよびサーマルプリンタ - Google Patents

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Description

本発明は、ファクシミリ、バーコードプリンタ、ビデオプリンタあるいはデジタルフォトプリンタなどの画像記録デバイスとして用いられるサーマルヘッド、およびそれを備えたサーマルプリンタに関する。
図12は、従来のサーマルヘッドの一例の概略平面図である。図12に示したように、サーマルヘッド9は、基板90の上面に、複数の発熱部91を列状に並べた構成を有している。発熱部91は、第1導体層92(連結部)および第2導体層93によって印加される電圧によりジュール熱を発生するものである。発熱部91、電極(第1および第2導体層92,93)は、図示しない保護層により被覆されている。
このようなサーマルヘッド9では、外部の搬送機構によって記録媒体を発熱部91に接触させた状態で搬送しつつ、記録信号に応じて各発熱部91を個別に発熱させることにより記録媒体への画像記録が行われる。サーマルヘッド9では、各発熱部毎に個別に記録媒体を加熱できるよう、隣接して並んだ各発熱部91間は離間している。また、各発熱部91を個別に発熱させるために、隣接する第1導体層の間および第2導体層の間も離間している。
サーマルヘッド9を用いて画像記録を行う際、発熱部91を発熱させると、記録可能となる程度に発熱部91の温度は上昇する。また、発熱部91で生じたジュール熱は、電極(第1導体層92および第2導体層93)に伝わって、第1導体層92および第2導体層93の温度も上昇する。発熱部91や各導体層92,93の熱は発熱部91の近傍部分に伝わり、発熱部92や各導体層の近傍部分の温度も上昇する。このように、熱エネルギーは周囲に分散するものだが、画像記録の最中、隣接する発熱部91の間隙や各導体層の間隙領域は、発熱部91や各導体層に比べて低い温度となる。このため、画像記録の最中、発熱部91および上記近傍部分に接触しつつ搬送される記録媒体には、発熱部91や各導体層と各間隙領域との温度の違いに応じた温度分布が生じていた。かかる温度分布は、感熱紙やインクフィルムなどの搬送速度の分布(搬送ムラ)や皺の発生につながる。従来のサーマルヘッドでは、かかる搬送速度の分布や皺に起因して、画像の歪み等の画質の劣化や、サーマルプリンタの動作エラーなどが発生していた。
下記特許文献1には、特にインクリボン等の熱転写フィルムに発生する皺の程度を低減することを目的としたサーマルプリントヘッドが記載されている。下記特許文献1記載のサーマルヘッドでは、図13に示すように、複数の発熱抵抗部91よりも記録媒体の搬送方向(図12中のD1´方向。以降、副走査方向とする。)の下流側に、副走査方向に延びた凸状部が主走査方向に間隔を隔てて並んだ凹凸面部95を設けている。下記特許文献1では、上記インクリボンの一部分を上記凹凸面部95に対して押し付けるように搬送することで、上記インクリボンを上記凹凸面部95の各凸状部の長手方向にガイドしようとする摩擦力を発生させている。下記特許文献1には、この摩擦力によって、インクリボンに主走査方向の皺を発生し難くすることができ、その結果、インクリボンの皺に起因する記録紙への印刷不良が発生する虞れが減少すると記載されている。
特開2005−205822号公報
しかし、感熱紙やインクフィルムなどの搬送速度の分布(搬送ムラ)や皺の発生は、温度分布にも起因しており、特許文献1のように、インクリボンをガイドしようとする摩擦力を発生させるだけでは、インクリボンに生じる皺を十分に抑制することはできなかった。そこで、本発明は、記録媒体の搬送ムラや皺を予防するとともに、記録媒体に発生した若干の皺をも平坦化し、画像歪みや欠陥を防止することができるサーマルヘッドを提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、基板上に特定方向に沿って並んで配置された複数の発熱部と、前記発熱部それぞれに電力を供給する電極を備えて構成され、前記発熱部上に記録媒体を搬送しながら前記発熱部からの熱を前記記録媒体に伝導させて、前記記録媒体に画像を記録するサーマルヘッドであって、前記電極は、各々が少なくとも2つの前記発熱部と接続された、前記特定方向に沿って並んだ複数の連結部を有し、さらに、前記基板上に、前記連結部に対して前記記録媒体の下流側に搬送方向に離間して配置された、前記特定方向に連続した伝熱層が設けられており、該伝熱層に対して前記搬送方向の下流側に、前記特定方向に連続したダミー電極層が設けられ、前記伝熱層の前記搬送方向に沿った幅が、前記ダミー電極層の前記搬送方向に沿った幅よりも小さいことを特徴とするサーマルヘッドを提供する。
なお、前記伝熱層は、表面が平坦であることが好ましい。
また、前記基板上に設けられた蓄熱部を備え、前記蓄熱部は、前記基板の主面から突出した突状部分を有する場合、前記伝熱層は、前記突状部分に対応する領域に配置されていることが好ましい。
また、前記伝熱層は、前記発熱部の中心を通り前記特定方向と平行な第1直線と、前記連結部の端部から前記搬送方向の下流側に10μm離間した、前記第1直線と平行な第2直線とに挟まれた領域に配置されていることが好ましい。
また、前記連結部の端部から前記発熱部までの、前記搬送方向に沿った長さは、前記発熱部の、前記搬送方向に沿った長さに比べて短いことが好ましい。
た、前記伝熱層が1つ、かつ、前記ダミー電極層が2つ設けられていることが好ましい。
また、さらに、前記発熱部に対し前記搬送方向のより上流側に、前記電極の間隙に配置された伝熱補助層が備えられていることが好ましい。
本発明は、また、記録媒体に、記録情報に応じた画像を記録するサーマルプリンタであって、上述したサーマルヘッドと、前記記録媒体を搬送する搬送機構と、前記サーマルヘッドの前記電極部に、前記記録情報に応じた電圧信号を供給する駆動手段と、を備えて構成されていることを特徴とするサーマルプリンタを、併せて提供する。
なお、前記記録媒体は、熱転写フィルムと被記録体とで構成され、前記搬送機構は、前記熱転写フィルムを、前記サーマルヘッドの少なくとも前記発熱部および前記伝熱層と接触させつつ、前記記録媒体を搬送してもよい。
本願発明によれば、電極の連結部と離間して配置された、特定方向に連続した伝熱層を有することで、記録媒体との接触領域における、特定方向の温度分布を抑制することができる。本発明によれば、画像記録の最中、発熱部や各導体層から上記伝熱部に熱エネルギーが伝わり、この伝熱部において、伝わった熱が主走査方向に良好に伝導する(すなわち主走査方向に分散する)。これにより、画像記録の最中、主走査方向に連続した伝熱層の温度はある程度高くなり、かつ、主走査方向の熱分布は著しく小さい。本発明では、このように、特定方向の温度分布を抑制するので、温度分布に起因する搬送ムラや皺の発生を抑制することができる。さらに、本発明によれば、記録媒体は、搬送中、比較的高い温度で主走査方向の熱分布が極めて小さいこの伝熱層に接触することで、この伝熱層によって、記録媒体の皺が伸ばされて平坦化することとなる。このように本発明によれば、発熱部および導電層と接触した段階で生じた、発熱部および導電層の温度分布に起因した若干の皺が平坦化されるといった効果も奏する。また、本発明のサーマルヘッドでは、記録媒体との接触領域の表面に、伝熱層の形状に応じた凸形状が形成されるので、記録媒体は、この凸形状のエッジ部分によって表面がなぞられながら移動する。本発明では、伝熱層に応じた凸状部(特に凸状部のエッジ)によって、記録媒体に生じている皺を引き伸ばし、記録媒体表面を平坦化するといった効果も奏する。このように、本発明によれば、接触領域の温度分布を低減して皺の発生を抑制することができ、かつ、発生した若干の皺さえも、伝熱層によって引き伸ばすことによって、十分に平坦化させることができる。
本発明のサーマルヘッドでは、伝熱パターンの表面を平坦とすることで、発熱部において発生した記録媒体の皺をより確実に平坦化する。また、主走査方向に連続した伝熱パターンを、発熱部の中心を通る第1直線と、電極の連結部の端部から10μm離間した第2
直線とに挟まれた領域に設けることで、伝熱パターンを、皺を防止するに適当な温度にすることができる。すなわち、伝熱パターンを、接触領域の中でも特に高い温度となる領域に設けることで、画像記録中の伝熱パターンの温度を、皺を平坦化するに十分な温度とすることができる。また、この領域は、主走査方向の温度分布が特に大きくなる領域である。この領域に、特定方向に連続した伝熱パターンを設けることで、領域の温度分布の程度を抑制し、皺や搬送速度ムラの発生を、より確実に防止することができる。
また、本発明では、連結部の端部から発熱部までの上記搬送方向に沿った長さを、発熱部の上記搬送方向に沿った長さに比べて短くすることで、熱効率を向上することができる。
本発明によれば、伝熱層に平行な少なくとも1つ以上のダミー電極層を、伝熱層に対して搬送方向のより下流側に設けているので、このダミー電極層によって基板のチッピングを防止することができる。逆にいえば、本発明では、基板のチッピングを防止するためのダミー電極に加えて、記録媒体の皺の発生を防止するための伝熱層を別途設けることで、基板のチッピングと記録媒体の皺の発生の双方とを、確実に防止することを可能としている。本発明では、また、伝熱層およびダミー電極層の中で、搬送方向(副走査方向)に沿った方向の幅を、伝熱層について最も小さくしている。これによって、伝熱層においては、主走査方向に十分早く確実に熱エネルギーを伝導させて、記録媒体の皺を確実に抑制するとともに、十分幅が広いダミー電極層によって、基板のチッピングを確実に防止している。本発明は、また、伝熱層を1つ、かつダミー電極層を2つ設けることで、確実に皺を抑制することを可能としている。
さらに、本発明においては、上流側においても、電極の間隙それぞれに伝熱補助層が配置されていることで、記録媒体の皺の発生をより確実に防止することができる。上流側においても、電極の間隙それぞれに伝熱補助層が配置されることで、この上流側にある電極の間隙領域それぞれにも、発熱部の発熱による熱エネルギーが良好に伝わる。すなわち、このような伝熱補助層が設けられているので、このような上流側において、サーマルヘッド表面の、特定方向に沿った温度分布を低減することができる。加えて、電極の間隙に、このような伝熱補助層が設けられているので、電極と各電極の間隙が、基板に対してほぼ同じ高さになっている。このような伝熱補助層が設けられていることで、記録媒体との接触領域において、サーマルヘッド表面の凹凸の大きさを低減することができる。すなわち、本発明では、電極の間隙それぞれに伝熱補助層が配置されることで、サーマルヘッド表面の記録媒体との接触領域において、特定方向に沿った温度分布および凹凸の大きさの双方を、比較的低く抑えておくことができ、ひいては、記録媒体における皺の発生を確実に防止することができる。
図1に示したサーマルプリンタ1は、サーマルヘッド2、搬送機構30,31A,31B,32A,32Bおよび駆動手段4を備えたものである。このサーマルプリンタ1は、搬送機構30,31A,31B,32A,32Bによって、感熱紙や被記録部材(例えば、後述する熱転写フィルムと紙等からなる)などの記録媒体5を、サーマルヘッド2に接触させた状態で図中の矢印D1方向に搬送させる。サーマルヘッド2上の記録媒体5との接触領域E1(図4、図8等を参照)には、複数の発熱部23が設けられており、画像信号に応じて各発熱部23を個別に発熱させることにより記録媒体5への画像記録が可能とされている。サーマルヘッド2は、ファクシミリ、バーコードプリンタ、ビデオプリンタあるいはデジタルフォトプリンタなどの画像記録デバイスとして用いられるものである。
図5ないし図8等に示したように、このサーマルヘッド2は、基板20、グレーズ層21、耐エッチング層22、複数の発熱部23、複数の第1導体層24および複数の第2導体層25とで構成された電極、保護層26、駆動IC27、伝熱層28、およびダミー電極層29を備えている。
基板20は、各要素21〜27の支持母材として機能するものである。この基板20は、アルミナセラミックスなどの電気絶縁性材料によって長矩形状に形成されている。このようなアルミナセラミックス製の基板20は、たとえば熱伝導率が25W/m・K程度とされる。
グレーズ層21は、発熱部23において発熱したジュール熱の一部を蓄積し、サーマルヘッドの熱応答特性を良好に維持する作用を有するものである。すなわち、グレーズ層21は、発熱部23の温度を、画像記録に必要な所定の温度まで短時間で上昇させる蓄熱層として作用するものである。このグレーズ層21は、たとえばガラスにより基板20の長手方向D2−D3に延びる帯状に形成されているとともに、曲率半径1mm〜4mm、頂点高さが20μm〜160μmの断面円弧状に形成されている。上記D2−D3方向は、サーマルヘッド2がサーマルプリンタ1に設置された際、記録媒体5の搬送方向D1に直交する方向(図1において紙面に垂直な方向)である。以降、サーマルヘッド2における搬送方向D1に対応する方向を、副走査方向とする。また、サーマルヘッド2における、D2−D3方向に対応する方向を主走査方向とする。このようなガラス製のグレーズ層21は、たとえば熱伝導率が0.99/m・K程度とされる。グレーズ層21は、例えば樹脂により形成してもよい。
なお、グレーズ層21は、図5に示すように、基板表面に部分的に凸状に形成されていてもよく、また図7(a)に示したグレーズ層21′のように一様な厚みを有する全面グレーズとして、あるいは図7(b)に示したグレーズ層21″ように全面グレーズ21A″上に部分グレーズ21B″を形成した形態であってもよい。
耐エッチング層22は、発熱部23や第1および第2導体層24,25A,25Bをエッチングによりパターン形成するときにグレーズ層21を保護するためのものである。この耐エッチング層22は、たとえば窒化珪素(Si3N4)やサイアロン(Si・Al・O・N)などのSi−N系やSi−N−O系の無機材料により形成されている。
複数の発熱部23は、記録媒体に対して熱エネルギを付与するために発熱させられる部分であり、たとえばTaN、TaSiOあるいはTiSiOなどの電気抵抗材料によりに形成されている。発熱部23は、第1および第2導体層24,25を利用した電圧の印加よりジュール発熱を起こし、記録媒体5に画像を形成するのに必要な所定の温度、たとえば200℃〜350℃の温度に発熱させられる。
これらの発熱部23は、従来周知のスパッタリング法及びフォトリソグラフィー技術を採用することによってグレーズ層21上にパターンに形成することより、たとえば厚みが0.01μm〜0.5μmとしてグレーズ層21上に列状に並ぶように形成されている。
複数の第1および第2導体層24,25は、発熱部23に電圧を印加するために利用されるものであり、たとえばアルミニウムあるいはアルミニウム合金により、厚みが0.5μm〜2.0μmに形成されている。これらの導体層24,25は、従来周知のスパッタリング法及びフォトリソグラフィー技術を採用することによって、以下に説明するパターンに形成されている。
各第1導体層24は本願発明の連結部に対応し、グレーズ層21上に形成された接続部24Aおよび折り返し部24Bを有している。接続部24Aは、発熱部23と接触する部分であり、発熱部23と同程度の主走査方向長さを有している。折り返し部24Bは、隣接する発熱部23を繋ぐ部分であり、コの字状に形成されている。この折り返し部24Bは、接続部24Aにおける主走査方向の中央部分から副走査方向に直線状に延出する部分24Baを有している。この部分は、副走査方向の長さが主走査方向の長さよりも小さくされており、当該部分24Baは、低熱伝導部を構成している。
複数の第2導体層25は、入力用導体層25Aおよびグランド用導体層25Bを含んで構成されている。入力用導体層25Aは、グレーズ層21上に形成された接続部25Aaおよび低熱伝導部25Abを有している。グランド用導体層25Bも、グレーズ層21上に形成された接続部25Baおよび低熱伝導部25Bbを有している。接続部25Aa,25Baは、発熱部23と接触する部分であり、発熱部23と同程度の主走査方向長さを有している。低熱伝導部25Ab,25Bbは、接続部24Aa,25Baにおける、主走査方向の中央部分から延出しており、副走査方向の長さが接続部25Aa,25Ba(発熱部23)の主走査方向の長さよりも小さくされている。
サーマルヘッド2では、第1導体層24および第2導体層25から発熱部23に電圧を印可し、発熱部23にジュール熱を発生させる。この際、発熱部23において発生したジュール熱の一部は、第1および第2導体層24,25に伝達される。サーマルヘッド2では、第1および第2導体層24,25に低熱伝導部24Ba,25Ab,25Bbが形成されている。低熱伝導部24Ba,25Ab,25Bbは、接続部24A,25Aa,25Ba(発熱部23)よりも主走査方向の長さが小さくされている。そのため、サーマルヘッド2では、発熱部23において発生したジュール熱が第1および第2導体層24,25A,25Bに伝達するのを抑制できる。
サーマルヘッド2ではさらに、第1導体層24が折り返し部24Bを有しており、この折り返し部24Bによって第1導体層24への伝熱、第1導体層24での放熱を抑制することが可能となる。すなわち、第1導体層24は、たとえば折り返し部24Bによって隣接する発熱部23相互を接続するものとされる。この場合、折り返し部24Bには、隣接する2つの発熱部23からの熱が伝達されることとなる。1つの発熱部23から伝達される場合には、第1導体層24において熱の流れが生じやすいが、折り返し部24Bの両端部(接続部24A)のそれぞれにおいて、2方向から熱が伝達される場合には、熱の流れが生じにくくなる。その結果、隣接する発熱部23を繋ぐ折り返し部24Bを有する構成では、第1導体層24への伝熱、第1導体層24での放熱を抑制することが可能となる。
このように、サーマルヘッド2ひいては後述のサーマルプリンタ1では、第1および第2導体層24,25に低熱伝導部24Ba,25Ab,25Bbを形成し、また折り返し部24Bを有するものとすることにより、第1および第2導体層24,25A,25Bにおける放熱を抑制し、発熱部23において発生したジュール熱を発熱部23において有効に利用できる。このため、発熱部23を所望の温度に発熱させるのに必要な電力を、比較的少なくしている。とくに、第1および第2導体層24,25がアルミニウムまたはアルミニウム合金により形成され、第1および第2導体層24,25における熱伝導性が高くなり得る場合には、低熱伝導部24Ba,25Ab,25Bbを形成し、折り返し部24Bを有するものとすることによる第1および第2導体24,25A,25B層における放熱の抑制、必要電力の低減効果は大きなものとなる。また、必要電力を低減することができれば、ランニングコストを抑制することも可能となる。
なお、本発明のサーマルヘッドにおいて、低熱伝導部の形態は、図3および図4に示す形態に特に限定されない。例えば、本発明のサーマルヘッドにおいて、必ずしも導電層が低熱伝導部を備えている必要はなく、また、本発明のサーマルヘッドでは、複数の第1導体層を連結する部分が、コの字型の折返し形状(折返し部)であることに限定されない。
図5に示したように、保護層26は、発熱部23、第1および第2導体層24,25を保護するためのものである。より具体的には、保護層26は、発熱部23、第1および第2導体層24,25が大気と接触するのを防止して大気中の水分などにより腐食するのを防止し、それらの要素23,24,25を外力から保護し、あるいはそれらの要素23,24,25が短絡するのを防止するためのものである。この保護層26は、耐エッチング層22と同種の材料、たとえば窒化珪素(Si3N4)やサイアロン(Si・Al・O・N)などのSi−N系やSi−N−O系の無機材料により形成されている。
伝熱層28は、記録媒体5との接触領域E1に少なくとも一部または全部が含まれた状態で、発熱部23よりも搬送方向のより下流側に設けられている。ここで接触領域E1とは、サーマルヘッド2が備えられて構成されたサーマルプリンタ1を用いた画像記録動作の最中、記録媒体5とサーマルヘッド2とが接触する部分に対応する領域である(後述の図8等参照)。本実施形態のサーマルヘッド2では、保護層26が最表面層となっており、記録媒体5と保護層26とが接触する。本発明における接触領域とは、最表面層である保護層26の一部のみを意味するのでなく、基板上に設けられた各層の、接触領域に対応する部分それぞれを含んでいる。伝熱層28は、この接触領域E1の温度を主走査方向に沿って均一化し、接触領域E1において記録媒体に温度分布が生じることを抑制する。さらに、伝熱層28は、搬送方向の下流側において搬送中の記録媒体5と接触し、発熱部23および発熱部近傍と接触した段階で生じた記録媒体の皺を、平坦化する。
さらに、本実施形態の伝熱層28は、領域E3内に配置されている。ここで、領域E3は、発熱部23の中心を通り主走査方向と平行な第1直線L1(図4参照)と、第1電極24の折り返し部24Bの端部から搬送方向(副走査方向)の下流側に10μm離間した、第1直線と平行な第2直線L2(図4参照)とに挟まれた領域のことをいう。
本発明では、伝熱層の配置位置は特に限定されない。ただし、記録媒体の皺をより確実に防止するには、上記領域内に伝熱層が設けられていることが好ましい。また、グレーズ層が突状部分を有する場合は、この突状部分に対応する対応領域E2に伝熱層が設けられていることが好ましい。この点については、後に詳述する。
本実施形態の伝熱層28は、第1および第2導体層24、25の形成時に、第1および第2導体層24とともにパターニングされて形成されている。すなわち、本実施形態の伝熱層28は、第1および第2導体層24、25と同じ材料、例えばアルミニウムあるいはアルミニウム合金で構成されており、良好な熱伝導性を有する。本発明の伝熱層は、第1および第2導体層と同時に形成されることに限定されず、また、第1および第2導体層と同じ材料で構成されていることに限定されない。ただし、伝熱層のみを形成のための特別な工程(作業)を経ることなく、比較的低いコストで伝熱層を形成可能とする点で、伝熱層28を第1および第2導体層と同時に形成することが好ましい。また本発明の伝熱層は、材質についても特に限定されないが、例えば金属など、熱伝導性が良好な材質で形成されていることが好ましい。
伝熱層28が設けられていることで、保護層26の表面は、伝熱層28の形状に応じた凸形状となる。上述のように、伝熱層28は、主走査方向に連続して伸びた長方形状であり、記録媒体5への画像記録動作の最中、保護層26の伝熱層28に対応する部分(上記凸形状部)の表面は、主走査方向に沿って記録媒体5と連続して接触している。本実施形態では、伝熱層28は、画像記録中に記録媒体5と接触する表面が平坦となっている。ここで平坦とは、伝熱層28の厚さの変動(最も厚い部分と最も薄い部分との差)が1.0μm以下であることをいう。なお、本発明のサーマルヘッドでは、より好ましくは、上述の伝熱層28の厚さの変動が、0.1μm以下であることが好ましい。なお、伝熱層28の厚さとは、伝熱層28の1つ下層の表面(本実施形態では、発熱抵抗体層)に垂直な垂線に沿った伝熱層28の長さであり、より具体的には、上記垂線と上記下層の表面との交点と、上記垂線と伝熱層28の表面との交点との間隔のことをいう。伝熱層28の表面が平坦であることで、保護膜26の凸形状部の表面も、十分に平坦なものとなる。本発明において、伝熱層の起伏の大きさは、上記範囲に特に限定されない。記録媒体に発生する皺をより確実に防止する点で、伝熱層の起伏の大きさは上記範囲にあることが好ましく、起伏はなるべく小さいことが好ましい。
ダミー電極29は、伝熱層28よりも記録媒体の搬送方向の下流側に、2本並列して設けられている。ダミー電極29は、主に、基板エッジのチッピングを防止することに寄与する。ここで、チッピングとは、基板エッジ部分で生じる膜剥がれ現象を総称して指し、主に基板エッジからの保護膜の剥がれのことをいう。すなわち、ダミー電極29は、保護膜26とその下地層(例えば図7の場合、抵抗体層23)との間に設けられ、保護膜26と下地層との密着強度を補強することに寄与する。なお、上記チッピングは、サーマルヘッドの製造工程中、例えばダイシングなどによって複数のサーマルヘッドを切り分ける最中において多発するが、ダミー電極29は、このダイシング工程において発生するチッピングを防止する効果も奏する。
本実施形態のダミー電極29は、第1および第2導体層24、25の形成時に、第1および第2導体層24、25とともにパターニングされて形成されている。すなわち、本実施形態のダミー電極29も、第1および第2導体層24、25と同じ材料、例えばアルミニウムあるいはアルミニウム合金で構成されており、良好な熱伝導性を有する。ダミー電極29も、伝熱層28と同様、主走査方向に沿って延びた長方形状をなしており、サーマルヘッド2における主走査方向に沿った温度分布を低減することに、少なからず寄与する。ダミー電極29の材質および形成方法については、特に限定はされない。サーマルヘッド2において、伝熱層28およびダミー電極29の中で、副走査の幅は伝熱層28が最も狭くなっている。
駆動IC27は、外部より入力される画像記録信号に基づいて発熱部23を選択的にジュール発熱させるためのものである。すなわち、駆動IC27は、画像記録信号に基づいて第1および第2導体層24,25A,25Bを介して発熱部23に印加される電圧のオン・オフを制御するものである。駆動IC27は、図面上省略されているが、半田やボンディングワイヤを介して第2導体層25A,25Bに導通接続されている。
図1に示した搬送機構30,31A,31B,32A,32Bは、記録媒体5をD1方向に搬送し、記録媒体5をサーマルヘッド2の発熱部23に接触させるためのものである。この搬送機構3は、プラテンローラ30、搬送ローラ31A,31B,32A,32Bを含んでいる。
プラテンローラ30は、記録媒体5を発熱部23に押し付けるためのものであり、発熱部23に接触した状態で回転可能に支持されている。このプラテンローラ30は、円柱状の基体の外表面を弾性部材により被覆した構成を有している。基体は、たとえばステンレスなどの金属により形成されており、弾性部材は、たとえば厚みが3mm〜15mmのブタジエンゴムにより形成されている。
搬送ローラ31A,31B,32A,32Bは、記録媒体5を所定の経路に沿って搬送するためのものである。すなわち、搬送ローラ31A,31B,32A,32Bは、サーマルヘッド2の発熱部23とプラテンローラ30との間に記録媒体5を供給するとともに、サーマルヘッド2の発熱部23とプラテンローラ30との間から記録媒体5を引き抜くためのものである。これらの搬送ローラ31A,31B,32A,32Bは、金属製の円柱状部材により形成してもよいし、プラテンローラ30と同様に円柱状の基体の外表面を弾性部材により被覆した構成であってもよい。
駆動手段4は、駆動IC27に画像記録信号を入力するためのものである。すなわち、駆動手段4は、発熱部23を選択的にジュール発熱させるために、第1および第2導体層24,25A,25Bを介して発熱部23に印加される電圧のオン・オフを制御するための画像記録信号を供給するためのものである。
以下、サーマルプリンタ1の動作について説明する。サーマルプリンタ1では、搬送ローラ31A,31B,32A,32Bによって、プラテンローラ30とサーマルヘッド2の発熱部23との間に記録媒体5が供給される。図8は、図1を部分的に拡大して示す図であり、サーマルヘッド2における接触領域E1の近傍の拡大断面図である。図8で示す記録媒体5は、インクリボン5aと被記録紙5bとからなる。記録媒体5は、プラテンローラ30によって発熱部23に押し付けられた状態で、プラテンローラ30に沿ってD1方向に搬送される。記録媒体5は、弾性部材により表面が被服されたプラテンローラ30によってサーマルヘッド2に押し付けられており、記録媒体5とサーマルヘッド2とは、発熱部23のみならず上記接触領域E1の範囲で接触する。接触領域E1には伝熱層28が設けられており、記録媒体5(本実施形態では、特にインクリボン5a)の各部分は、発熱部23に押し付けられて移動した後に、搬送方向の下流側において、伝熱層28に押し付けられつつ移動する。発熱部に押し付けられて移動した後、搬送方向下流側の接触領域において伝熱層に押し付けられて移動するのは、図2〜図7に示すサーマルヘッドのいずれの形態であっても、また記録媒体が例えば感熱紙など他の形態であっても、同様である。
記録媒体5が搬送されている最中、サーマルプリンタ1では、駆動手段4によって駆動IC27に画像記録信号が供給される。駆動IC27は、画像記録信号に基づいて発熱部23に印加される電圧のオン・オフを制御し、目的とする発熱部23を選択的に発熱させる。この際、インクリボン5aのうち、発熱した発熱部23に対応する部分に含まれるインクが溶融し、溶融したインクが被記録紙5bに転写される。サーマルプリンタ1では、このようにして、記録媒体5(より詳しくは、被記録紙5b)に、文字やイラスト等の所望の画像パターンを形成して記録する。
上述のように、本実施形態のサーマルヘッド2では、低熱伝導部を有することで、発熱部23において発生したジュール熱の、第1および第2導体層24,25への伝達が、ある程度抑制され、画像記録における必要電力は最小限に抑えられる。しかし一方、各低熱伝導部(25Ab,25Bb、24Ba,25Ab,25Bb)は、副走査方向の長さが接続部(25Aa,25Ba,24A,25Aa,25Ba)(発熱部23)の主走査方向の長さよりも小さくされているので、主走査方向に隣接する導体層(第1導体層24および第2導体層25)の間隙は、比較的大きくなる。このため、仮に伝熱層28が配置されていない場合では、各導体層(第1導体層24および第2導体層25)の間隙は、発熱部23や各折返し部24Bに比べて著しく低い温度となってしまう。すなわち、低熱伝導部を有することで、接触領域E1には、主走査方向に沿った温度分布が比較的生じやすくなっているといえる。
記録媒体を構成するインクリボン5aは、加熱されることで膨張し冷却することで収縮する。インクリボン5aと接触する部分の温度に分布が生じていれば、この温度分布に応じてインクリボン5aの膨張および収縮の程度も異なることになる。仮に伝熱層28が設けられていない場合は、サーマルヘッド2の接触領域E1には主走査方向に沿った温度分布が定常的に生じているので、この膨張・収縮の程度の違いに起因した部分的な皺が、インクリボン5aに発生してしまう。
さらに、第1導体層24の配置部分では、保護層26の表面形状が第1導体層24の形状に応じて凸形状となる。上述のように、第1導体層24が低熱伝導部24Baを有することで、主走査方向に隣接する第1導体層24の間隙は比較的大きくなり、保護層26の表面には、主走査方向に沿って比較的大きな凹凸(起伏。すなわち、電極等の有無に起因する段差)が連続して形成される。仮に伝熱層が設けられていない場合、第1導体層24が低熱伝導部24Bを有することで、記録媒体5には、この起伏に起因した皺が比較的発生し易くなっているといえる。このように、低熱伝導部を有するサーマルヘッドでは、必要電力は最小限に抑えられるが、上記温度分布および上記起伏に起因した皺が、比較的生じやすいといえる。
本発明のサーマルヘッド2では、伝熱層28を有しており、伝熱層2において、主走査方向に沿って熱エネルギーが良好に伝達する(すなわち、熱エネルギーが主走査方向に十分に分散される)。これにより、伝熱層28は、インクリボン5aのインクを溶融させるまでではないが十分に高い温度となる。また、伝熱層28の温度は、主走査方向に沿っ
た分布を殆ど有さない。本願発明では、伝熱層28が配置されていることで、少なくとも接触領域E1における主走査方向の温度分布の発生を抑制する。本発明では、インクリボン5aにおける温度分布に起因した皺の発生を、抑制することができる。
伝熱層28は、さらに、発熱部23の搬送方向下流側でインクリボン5aに押し付けられることで、発熱部23の温度分布に起因して生じたインクリボン5aの若干の皺を平坦化させる。上述のように、発熱部23の近傍部分に設けられた伝熱層28は、インクリボン5aのインクを溶融させるまでではないが十分に高い温度となり、かつ、伝熱層28の温度は、D2、D3方向に沿って高精度に均一化されている。また、伝熱層28の表面は、厚さ方向の起伏の大きさ(最凸部と最凹部との差)が例えば0.1μm以下と平坦化されている。このような伝熱層28の表面に押し付けられてインクリボン5aが搬送されることで、発熱部23において皺が生じたインクリボン5aは、伝熱層28によって皺が引き伸ばされて平坦化される。
本実施形態では、伝熱層28は、領域E3内に配置されている。領域E3は、第1導体層24の折り返し部の端部から10μm未満の領域であり、発熱部23および第1導体層24から、多くの熱エネルギーが伝搬する領域である。この領域E3は、多くの熱エネルギーが伝搬するので、温度が上昇し易く、同時に主走査方向の温度分布が比較的生じ易い。伝熱層28を、この領域E3に配置することで、比較的温度分布が大きくなり易い領域E3であっても、温度分布を十分に低減することができる。また、伝熱層28に十分な量のエネルギーが供給されるので、伝熱層28を十分高温に昇温させ、十分に皺を平坦化させることを可能としている。なお、図5や図7(b)に記載されているように、グレーズ層が突状部分を有する場合は、このグレーズ層に対応する部分の温度が比較的上昇し易く、この突状部分で主走査方向の温度分布も大きくなり易い。図5や図7(b)に記載の例では、グレーズ層の突状部分に伝熱層28を設けることで、突状部分であっても温度分布の発生を抑制することができる。
また、伝熱層28が設けられていることで、保護層26の表面は、伝熱層28の形状に応じた凸形状となっている。すなわち、保護層26の表面には、主走査方向に一様に延びた凸形状が備えられている。搬送中の記録媒体5は、保護層26の、この凸形状のエッジ部分26Eによって表面がなぞられ、記録媒体5に生じている皺が伸ばされる。本実施形態の伝熱層28は、グレーズ層21の突状部分に配置されていることで、上記エッジ部分26Eと記録媒体5との接触状態が最適化されている。エッジ部分26Eと記録媒体5との接触状態が最適化されているとは、高い圧力をもって記録媒体5の表面をなぞることができ、記録媒体5に生じた皺を確実に平坦化できる状態のことをいう。この点でも、グレーズ層が突状部分を有する場合、この記録媒体の皺をより確実に防止するには、この突状部分に対応する領域E2に伝熱層を設けることが好ましい
本発明では、また、第1導体層の、発熱部との接合部から折り返し部の端部までの、特定方向と直行する方向の長さを、発熱部の、特定方向と直行する方向の長さに比べて短くなっている。これにより、熱効率を向上することができる。
また、サーマルヘッド2には、ダミー電極29も配置されている。ダミー電極29も、伝熱層28と同様に主走査方向に延在しており、接触領域E1における主走査方向の温度分布を低減させることに、少なからず寄与している。また、記録媒体5のインクリボン5aが、導電層28に加えてダミー電極29にも押し当てられつつ搬送させれば、導電層28に加えてダミー電極29においても皺を平坦化させることができる。なお、ダミー電極29は、伝熱層28よりも記録媒体5の搬送方向の下流側に設けられており、記録媒体における皺の発生防止および平坦化に対するダミー電極29の寄与度は、伝熱層28に比べて低い。サーマルヘッド2では、伝熱層28を有しているだけでも、記録媒体における皺の発生防止および平坦化について、十分な効果を有する。
なお、本発明では、伝熱層28およびダミー電極29の幅の相対的な関係については、特に限定されない。ただし、主走査方向に十分早く確実に熱エネルギーを伝導させ、接触領域における温度分布を十分に抑制しつつ、かつ、基板のチッピングを確実に防止するためには、副走査方向の幅は、伝熱層について最も狭くし、ダミー電極層については、接着強度を十分に確保できる程度の大きさの幅に保つことが好ましい。また、本発明では、ダミー電極層の本数について特に限定されない。本願発明者は、実験によって、ダミー電極層を2本並列に設けることで、記録媒体の皺とおよび基板のチッピングとを、確実に防止できることを確認している。伝熱層28に加えてダミー電極層を2本有することは好ましいといえる。
本実施形態のサーマルヘッド2を有して構成されたサーマルプリンタ1では、インクリボン5aにおける皺の発生を抑制することができる。ひいては、本実施形態のサーマルヘッドによれば、インクリボンの皺に起因して生じる記録紙への印刷不良を防止することができる。本発明のサーマルヘッドによれば、低熱伝導部や連結部(折返し部)を有することで必要電力を最小限に抑えるとともに、連結部による温度分布や起伏に起因した皺を予防し、かつ発生した若干の皺を平坦化することができる。本発明のサーマルプリンタを備えて構成された、本発明のサーマルプリンタによれば、少ない消費電力で、記録媒体の皺による装置エラーが発生することなく、記録媒体に高画質な画像を記録することができる。
なお、本発明のサーマルヘッドでは、図9に示すように、発熱部23に対して搬送方向のより上流に対応する側に、電極(第2導体層25)の間隙に配置された伝熱補助層41が備えられていてもよい。図9は、本発明のサーマルヘッドの、上記実施形態以外の他の例を示している。なお、図9では、図4と同様の部位については、図4と同じ番号を付している。図9に示すように、副走査方向の上流側においても、第2導体層25の間隙それぞれに伝熱補助層41が配置されることで、この上流側にある第2導体層25の間隙領域それぞれにも、発熱部23の発熱による熱エネルギーが良好に伝わる。すなわち、このような伝熱補助層41が設けられているので、発熱部23よりも上流側においても、サーマルヘッド表面の、主走査方向に沿った温度分布を低減することができる。加えて、第2導体層25の間隙に伝熱補助層41が設けられることで、主走査方向に隣接する第2導体層25の間隙は、基板に対してほぼ同じ高さになっている。このような伝熱補助層41が設けられていることで、接触領域E1において、サーマルヘッド表面の凹凸(すなわち、電極等の有無に起因する段差等)の大きさを低減することができる。
また、上述のように、第2導体層25が低熱伝導部25Bを有することで、発熱部23の上流側においても、主走査方向に隣接する第2導体層25の間隙が比較的大きくなり、保護層26の表面には、主走査方向に沿って比較的大きな凹凸(起伏)が連続して形成される。このように、第2導体層25が低熱伝導部25Bを有することで、発熱部23の上流側においても、記録媒体5には、この起伏に起因した皺が比較的発生し易くなっているといえる。図9に示すように、第2導体層25の間隙それぞれに伝熱補助層41を配置することで、発熱部23の上流側の、サーマルヘッド表面の記録媒体との接触領域において、特定方向に沿った温度分布および凹凸の大きさの双方を、比較的低く抑えておくことができる。本発明のサーマルヘッドにおいて、記録媒体における皺の発生を確実に防止するためには、図9に示すように、発熱部に対して搬送方向のより上流に対応する側に、電極の間隙に配置された伝熱補助層41を備えることが好ましいといえる。なお、伝熱補助層41のみを形成のための特別な工程(作業)を経ることなく、比較的低いコストで伝熱層を形成可能とする点で、伝熱補助層41は、第1導体層24および第2導体層25の作製時に、第1および第2導体層24とともにパターニングされて形成すればよい。ただし、本発明の伝熱補助層は、第1および第2導体層と同時に形成されることに限定されず、また、第1および第2導体層と同じ材料で構成されていることに限定されない。また本発明の伝熱層は、材質についても特に限定されないが、例えば金属など、熱伝導性が良好な材質で形成されていることが好ましい。
なお、上述の各実施形態では、伝熱層の一例として、副走査方向の幅が一定で主走査方向に沿って延びた直方体形状の例を説明した。本発明において、伝熱層28の形状は特に限定されない。図10および図11は、本発明のサーマルヘッドの伝熱層の、上記実施形態以外の他の形状の例を示している。なお、図10および図11では、図4と同様の部位については、図4と同じ番号を付している。例えば、本発明の伝熱層は、図1に示すように、副走査方向の下流になるほど中心線から遠ざかるように傾斜していてもよい。これにより、図1に示す例では、インクリボン5aには、主走査方向の中心部分から両側縁部に向けてインクリボン5aを広げようとする摩擦力が作用する。このため、インクリボン5aが主走査方向に縮むことが抑制され、このインクリボン5aに皺が生じ難くなるといった効果がある。
また、本発明のサーマルヘッドでは、伝熱層の副走査方向の幅が一定であることに限定されず、この副走査方向の幅が部分的に変化していても構わない。例えば、図1に示すように、主走査方向に延在した直方体形状部42と、この直方体形状部42から第1導体層24の各間隙領域まで突出した突出形状部43と、を備えた形状であってもよい。上述
のように、低熱伝導部を有するサーマルヘッドでは、主走査方向に沿った温度分布が比較的生じやすい。図1に示す例によれば、第1導体層24の各間隙領域まで突出した突出形状部43を有するので、第1導体層24の特に折り返し部から伝わる熱エネルギーを、主走査方向に延在した直方体形状部42に良好に伝搬させて、主走査方向に分散させることができる。これにより、サーマルヘッドの接触領域において発生する、主走査方向の熱分布を十分確実に抑制することができる。
上述の実施形態では、特に記録媒体5として、インクリボンと紙とからなる被記録体を用いた。本願発明においては、記録媒体として、例えば感熱紙など1枚のシート体を搬送する場合においても、同様の効果を奏する。例えば感熱紙も、加熱の程度に応じて保持層自体が軟らかくなる性質を有している。例えば記録媒体が感熱紙の場合も、接触領域で温度分布が生じていると、搬送中の感熱紙の軟らかさにも温度分布が発生する。本願発明によれば、伝熱層を有することで、搬送の最中、例えば感熱紙など各種記録媒体における皺の発生を抑制するとともに、搬送中に発生した皺を平坦化することができる。
以上、本発明のサーマルヘッドおよびサーマルプリンタについて説明したが、本発明のサーマルヘッドおよびサーマルプリンタは上記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
本発明のサーマルヘッドを備えて構成される、本発明のサーマルプリンタの一実施形態の概略断面図である。 本発明のサーマルヘッドの一実施形態に係る概略平面図である。 図2に示すサーマルヘッドの概略斜視図である。 図2に示すサーマルヘッドを部分的に拡大して示す概略平面図である。 図2に示すサーマルヘッドを部分的に拡大して示す概略断面図である。 図2に示すサーマルヘッドを部分的に拡大して示す概略断面図である。 (a)および(b)は、本発明のサーマルヘッドの他の実施形態について、部分的に拡大して示す概略断面図である。 図1を部分的に拡大して示す図であり、サーマルヘッドにおける接触領域近傍の拡大断面図である。 本発明のサーマルヘッドの他の実施形態を示す概略平面図である。 本発明のサーマルヘッドの他の実施形態を示す概略平面図である。 本発明のサーマルヘッドの他の実施形態を示す概略平面図である。 従来のサーマルヘッドを示す概略平面図である。 従来のサーマルヘッドを示す概略平面図である。
符号の説明
1 サーマルプリンタ
2 サーマルヘッド
4 駆動手段
5 記録媒体
9 サーマルヘッド
20 基板
21、21′21″ グレーズ層
21A″ 全面グレーズ
21B″ 部分グレーズ
22 耐エッチング層
23 発熱部
24 第1導体層
24A 接続部
24B 折り返し部
24Ba 部分
25 第2導体層
25A 入力用導体層
25Aa 接続部
25Ab 低熱伝導部
25B グランド用導体層
25Ba 接続部
25Bb 低熱伝導部
26 保護層
26E エッジ部分
27 駆動IC
28 伝熱層
29 ダミー電極層
30 プラテンローラ
31A,31B,32A,32B 搬送ローラ
41 伝熱補助層
42 直方体形状部
43 突出形状部
90 基板
91 発熱部
92 第1導体層
93 第2導体層
95 凹凸面部
E1 接触領域
E2 対応領域
E3

Claims (9)

  1. 基板上に特定方向に沿って並んで配置された複数の発熱部と、前記発熱部それぞれに電力を供給する電極を備えて構成され、前記発熱部上に記録媒体を搬送しながら前記発熱部の熱を前記記録媒体に伝導させて、前記記録媒体に画像を記録するサーマルヘッドであって、
    前記電極は、各々が少なくとも2つの前記発熱部と接続された、前記特定方向に沿って並んだ複数の連結部を有し、
    さらに、前記基板上に、前記連結部に対して前記記録媒体の搬送方向の下流側に離間して配置された、前記特定方向に連続した伝熱層が設けられており、
    該伝熱層に対して前記搬送方向の下流側に、前記特定方向に連続したダミー電極層が設けられ、前記伝熱層の前記搬送方向に沿った幅が、前記ダミー電極層の前記搬送方向に沿った幅よりも小さいことを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 前記伝熱層は、表面が平坦であることを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 前記基板上に設けられた蓄熱部をさらに備え、
    前記蓄熱部は、前記基板の主面から突出した突状部分を有し、
    前記伝熱層は、前記突状部分に対応する領域に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のサーマルヘッド。
  4. 前記伝熱層は、前記発熱部の中心を通り前記特定方向と平行な第1直線と、前記連結部の端部から前記搬送方向の下流側に10μm離間した、前記第1直線と平行な第2直線とに挟まれた領域に配置されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のサーマルヘッド。
  5. 前記連結部の端部から前記発熱部までの、前記搬送方向に沿った長さは、
    前記発熱部の、前記搬送方向に沿った長さに比べて短いことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のサーマルヘッド。
  6. 前記伝熱層が1つ、かつ、前記ダミー電極層が2つ設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のサーマルヘッド。
  7. 前記発熱部に対し前記搬送方向のより上流側に、前記電極の間隙に配置された伝熱補助層がさらに備えられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のサーマ
    ルヘッド。
  8. 記録媒体に、記録情報に応じた画像を記録するサーマルプリンタであって、
    請求項1〜のいずれかに記載のサーマルヘッドと、
    前記記録媒体を搬送する搬送機構と、
    前記サーマルヘッドの前記電極部に、前記記録情報に応じた電圧信号を供給する駆動手段と、を備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
  9. 前記記録媒体は、熱転写フィルムと被記録体とで構成され、
    前記搬送機構は、前記熱転写フィルムを、前記サーマルヘッドの少なくとも前記発熱部および前記伝熱層と接触させつつ、前記記録媒体を搬送することを特徴とする請求項8に記載のサーマルプリンタ。
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