図1は、本発明の第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1の概略構成を表す平面図である。図2は、図1に示すサーマルヘッドX1の要部拡大斜視図である。
サーマルヘッドX1は、基板10、蓄熱層20、導電層30、発熱抵抗体層40、保護層50、および駆動IC60を備えており、ファクシミリ、バーコードプリンタ、ビデオプリンタあるいはデジタルフォトプリンタなどの印画デバイスとして用いられるものである。本実施形態におけるサーマルヘッドXは、フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits)FPCなどを介して外部より印画信号が駆動IC60に供給されるように構成されている。なお、図2においては、図面の見易さの観点から保護層50が省略されている。
基板10は、蓄熱層20、導電層30、発熱抵抗体層40、保護層50、および駆動IC60の支持母材として機能するものである。基板10の構成材料としては、セラミックスや樹脂などの電気絶縁性材料が挙げられる。なお、本実施形態における基板10としては、その構成材料がアルミナセラミックス(熱伝導率:約25W/m・K)である長矩形状のものを採用する。
蓄熱層20は、サーマルヘッドXの熱応答特性を高めるべく、後述する発熱抵抗体層30の発熱部Hにおいて発生する熱の一部を蓄積するためのものである。蓄熱層20の構成材料としては、ガラス(熱伝導率:約0.99W/m・K)や低熱伝導性樹脂などが挙げられ、中でもガラスは耐熱性の観点において好適である。なお、本実施形態において蓄熱層20は、全体にわたって略平坦状に形成されている。
導電層30は、後述する発熱抵抗体層40に所定の電圧を印加するためのものであり、蓄熱層20上に形成されている。導電層30の構成材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、金、銀などが挙げられ、中でも酸化に対する安定性の観点においてはアルミニウムやアルミニウム合金が好適であり、導電性の観点においては銅や銅合金が好適である。本実施形態において導電層30の厚さは、その全体を通じてほぼ均等となるように設定されており、その範囲は例えば0.1μm以上2.0μm以下に設定される。これは、導電層30の厚さが0.1μm未満の場合、導電層30における抵抗値が許容範囲外まで高まってしまい、導電層30の厚さが2.0μmを超えると、後述する発熱部Hと記録媒体Pとを適切に接触させ難くなってしまうからである。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
ここで、導電層30の詳細構造について図3を参照しつつ説明する。図3は、サーマルヘッドX1の概略構成を表す要部拡大平面図である。なお、図3においては、図面の見易さの観点から保護層50が省略されている。
導電層30は、第1導電部31および第2導電部32を含んで構成されている。第1導電部31は、主要部である第1導通部311および第1接続部312を含んで構成されている。第1導通部311は、一端が後述する第1接続部312の一端に接続されており、他端が後述する駆動IC60に接続されている。第1接続部312は、一端が発熱部Hの一端に接続されており、他端が第1導通部311の一端に接続されている。第2導電部32は、主要部である第2導通部321および第2接続部322を含んで構成されている。第2導通部321は、一端が後述する第2接続部322の一端に接続されており、他端が電源(図示せず)に接続されている。第2接続部322は、一端が発熱部Hの他端に接続されており、他端が第2導通部321の一端に接続されている。本実施形態において、第1導通部311の一端(第1接続部312との接続端)における平面視幅W11は、第2導通部321の一端(第2接続部322との接続端)における平面視幅W21とほぼ均等となるように設定されている。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
発熱抵抗体層40は、導電層30を介して導かれた電気により発熱(例えば200℃〜450℃)するものであり、第1導電部31の第1接続部312と第2導電部32の第2接続部322との間に発熱部Hが形成されている。本実施形態における発熱部Hは、記録媒体の搬送方向(矢印AB方向)に対して交差する方向(矢印CD方向)に沿って複数配列形成されている。発熱抵抗体層40の構成材料としては、TaN系、TaSiO系、TiSiO系、TiCSiO系などの電気抵抗材料が挙げられ、中でも抵抗値安定性(例えば耐パルス性)の観点において、TaSiO系の電気抵抗材料が好適である。発熱抵抗体層40の厚さは、その全体を通じてほぼ均等となるように設定されており、その範囲は例えば0.01μm以上1.0μm以下に設定される。これは、発熱抵抗体層40の厚さが0.01μm未満の場合、発熱抵抗体層40が熱ストレスに対して充分な耐久性を確保できなくなってしまい、発熱抵抗体層40の厚さが1.0μmを超えると、抵抗値が許容範囲外にまで高まってしまうからである。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
ここで、発熱抵抗体層40における発熱部Hの形状について図3を参照しつつ説明する。
複数の発熱部Hのうちの第1発熱部H1は、拡大部H11および縮小部H12を含んで構成されている。拡大部H11は、平面視における中心Mより第1導電部31との接続側に位置しており、複数の発熱部Hの配列方向(矢印CD方向)に沿った平面視幅W31が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより大きく設定されている。特に、本実施形態における拡大部H11は、その平面視幅W31が中心Mに隣接する部位から第1導電部31との接続部位にかけて漸次大きくなるように設定されている。縮小部H12は、平面視における中心Mより第2導電部32との接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅W32が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより小さく設定されている。特に、本実施形態における縮小部H12は、その平面視幅W32が中心Mに隣接する部位から第2導電部32との接続部位にかけて漸次小さくなるように設定されている。
第1発熱部H1に隣り合う第2発熱部H2は、縮小部H21および拡大部H22を含んで構成されている。縮小部H21は、平面視における中心Mより第1導電部31との接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅W41が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより小さく設定されている。特に、本実施形態における縮小部H21は、その平面視幅W41が中心Mに隣接する部位から第1導電部31との接続部位にかけて漸次小さくなるように設定されている。拡大部H22は、平面視における中心Mより第2導電部32との接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅W42が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより大きく設定されている。特に、本実施形態における拡大部H22は、その平面視幅W42が中心Mに隣接する部位から第2導電部32との接続部位にかけて漸次大きくなるように設定されている。
保護層50は、例えば大気と接触することにより該大気中の水分などに起因して腐食したり、物理的な外力が直接作用したりするのを防ぐべく、導電層30や発熱抵抗体層40を保護するためのものである。保護層50の構成材料としては、窒化珪素(Si3N4)およびサイアロン(SiAlON)などのSi−N系やSi−N−O系、Si−C系の無機材料などが挙げられ、中でも密着性や封止性の観点においてはSi−N系やSi−N−O系の無機材料が好適であり、硬度の観点においてはSi−C系の無機材料が好適である。
駆動IC60は、図外の外部機構から入力される印画信号に基づいて複数の発熱部Hを選択的に発熱させるべく、該印画信号に基づいて導電層30を介して発熱部Hに印加される電圧のオン・オフを制御するものである。駆動IC60は、図示しない半田やボンディングワイヤなどの導電性接続部材を介して第1導電部31の他端に対して電気的に接続されている。
本実施形態に係るサーマルヘッドX1では、第1導通部311の一端における配列方向(矢印CD方向)に沿った断面積と、第2導通部321の一端における矢印CD方向に沿った断面積とが略均等である。そのため、サーマルヘッドX1では、各発熱部Hで発生した熱の第1導通部311に移動する熱量と第2導通部321に移動する熱量とを略均等にすることができる。したがって、サーマルヘッドX1では、各発熱部Hに対して連続通電を行っても、各発熱部Hにおけるヒートスポットの位置が初期通電時の位置(発熱部Hの中心M近傍)より第1導体部31側あるいは第2導体部32側に過剰にシフトするのを抑制することができるため、ヒートスポットが各発熱部Hにおける矢印CD方向に沿った断面積の最小部位まで移動させずに済む。つまり、サーマルヘッドX1では、第1発熱部H1におけるヒートスポットと第2発熱部H2におけるヒートスポットとの矢印CD方向における離間距離を大きくせずに済み、その分、画質低下を抑制することができるのである。
また、サーマルヘッドX1では、複数の発熱部Hが第1導電部31との接続端と第2導電部32との接続端とが矢印CD方向に沿って形成されている。そのため、サーマルヘッドX1では、初期通電時の段階から各発熱部Hのヒートスポットが位置ずれしてしまうことがなく、隣り合う発熱部H1,H2間の伝熱を効果的に利用することができる。したがって、サーマルヘッドX1では、初期通電時のように各発熱部Hの近傍において蓄熱が充分にない状態での熱応答性の低下を抑制することができる。
さらに、サーマルヘッドX1では、第1発熱部H1が、平面視における中心Mより第1導電部31との接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より大きい拡大部H11と、中心Mより第2導電部32との接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より小さい縮小部H12とを有し、第2発熱部H2が、中心Mより第2導電部32との接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より大きい拡大部H22と、中心Mより第1導電部31との接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より小さい縮小部H21とを有している。そのため、サーマルヘッドX1では、連続通電時のように各発熱部Hの近傍で蓄熱が充分にある状態において、各拡大部H11,H22と各縮小部H12,H21との間における大気側や蓄熱層側への伝熱量の差を利用して、ヒートスポットを初期通電時の位置(発熱部Hの中心M近傍)より、所定距離位置ずれさせることができる。つまり、サーマルヘッドX1では、連続通電時のような各発熱部Hの近傍で蓄熱が充分にある状態において、隣り合う発熱部H1,H2間における伝熱の影響を低減することができる。したがって、サーマルヘッドX1では、複数の発熱部Hからなる発熱部群の中央部と両端部との間における蓄熱量のバラツキを低減することができため、該発熱部群の中央部と両端部との間における画像ムラの発生を抑制することが可能となるのに加え、感熱紙や転写用リボンなどの搬送におけるスティッキングの発生を抑制することが可能となる。
サーマルヘッドX1において、第1導電部31の構成材料と第2導電部32の構成材料とが同一である場合、各発熱部Hで発生した熱の第1導通部311側に移動する熱量と第2導通部321側に移動する熱量とをより均等に近づけることができる。したがって、サーマルヘッドX1では、画質低下を抑制することができるのである。また、サーマルヘッドX1では、第1導電部31と第2導電部32とを同時的に形成することができるため、その分、製造効率を高めることができる。
サーマルヘッドX1において、平面視における発熱部Hの幅が第1導電部31との接続端から第2導電部32との接続端にかけて漸次減少または漸次増大しているため、各発熱部Hにおける抵抗値をより容易に制御することができる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るサーマルヘッドX2の概略構成を表す要部拡大平面図である。サーマルヘッドX2は、導電層30に代えて導電層30Aを有する点、および、発熱抵抗体層40に代えて発熱抵抗体層40Aを有する点において、サーマルヘッドX1と異なる。サーマルヘッドX2の他の構成については、サーマルヘッドX1に関して上述したのと同様である。なお、図4においては、図面の見易さの観点から保護層50が省略されている。
導電層30Aは、後述する発熱抵抗体層40Aに所定の電圧を印加するためのものであり、蓄熱層20上に形成されている。導電層30Aの構成材料としては、導電層30と同様のものが挙げられる。本実施形態において導電層30Aの厚さは、その全体を通じてほぼ均等となるように設定されており、その範囲は例えば0.1μm以上2.0μm以下に設定される。これは、導電層30Aの厚さが0.1μm未満の場合、導電層30Aにおける抵抗値が許容範囲外まで高まってしまい、導電層30Aの厚さが2.0μmを超えると、発熱部Hと記録媒体Pとを適切に接触させ難くなってしまうからである。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
ここで、導電層30Aの詳細構造について図4を参照しつつ説明する。
導電層30Aは、第1導電部31Aおよび第2導電部32Aを含んで構成されている。第1導電部31Aは、主要部である第1導通部311Aおよび第1接続部312Aを含んで構成されている。第1導通部311Aは、一端が後述する第1接続部312Aの一端に接続されており、他端が駆動IC60に接続されている。第1接続部312Aは、一端が発熱部HAの一端に接続されており、他端が第1導通部311Aの一端に接続されている。第2導電部32Aは、主要部である第2導通部321Aおよび第2接続部322Aを含んで構成されている。第2導通部321Aは、一端が後述する第2接続部322Aの一端に接続されており、他端が電源(図示せず)に接続されている。第2接続部322Aは、一端が発熱部HAの他端に接続されており、他端が第2導通部321Aの一端に接続されている。本実施形態において、第1導通部311Aの一端(第1接続部312Aとの接続端)における平面視幅WA11は、第2導通部321Aの一端(第2接続部322Aとの接続端)における平面視幅WA21とほぼ均等となるように設定されている。また、本実施形態において、第1接続部312Aの一端(発熱部HAとの接続端)における平面視幅WA12は、第2接続部322Aの一端(発熱部HAとの接続端)における平面視幅WA22とほぼ均等となるように設定されている。さらに、本実施形態において、第1接続部312Aの矢印AB方向における平面視長さLA12は、第2接続部322Aの矢印AB方向における平面視長さLA22とほぼ均等となるように設定されている。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
発熱抵抗体層40Aは、導電層30Aを介して導かれた電気により発熱(例えば200℃〜450℃)するものであり、第1導電部31Aの第1接続部312Aと第2導電部32Aの第2接続部322Aとの間に発熱部HAが形成されている。本実施形態における発熱部HAは、記録媒体の搬送方向(矢印AB方向)に対して交差する方向(矢印CD方向)に沿って複数配列形成されている。発熱抵抗体層40Aの構成材料としては、発熱抵抗体層40と同様のものが挙げられる。発熱抵抗体層40Aの厚さは、その全体を通じてほぼ均等となるように設定されており、その範囲は例えば0.01μm以上1.0μm以下に設定される。これは、発熱抵抗体層40Aの厚さが0.01μm未満の場合、発熱抵抗体層40Aが熱ストレスに対して充分な耐久性を確保できなくなってしまい、発熱抵抗体層40Aの厚さが1.0μmを超えると、抵抗値が許容範囲外にまで高まってしまうからである。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
ここで、発熱抵抗体層40Aにおける発熱部HAの形状について図4を参照しつつ説明する。
複数の発熱部HAのうちの第1発熱部HA1は、拡大部HA11および縮小部HA12を含んで構成されている。拡大部HA11は、平面視における中心Mより第1導電部31Aとの接続側に位置しており、複数の発熱部HAの配列方向(矢印CD方向)に沿った平面視幅WA31が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより大きく設定されている。特に、本実施形態における拡大部HA11は、その平面視幅WA31が中心Mに隣接する部位から第1導電部31Aとの接続部位に向けて途中までは漸次大きくなり、該途中から漸次小さくなるように設定されている。縮小部HA12は、平面視における中心Mより第2導電部32Aとの接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅WA32が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより小さく設定されている。特に、本実施形態における縮小部HA12は、その平面視幅WA32が中心Mに隣接する部位から第2導電部32Aとの接続部位にかけて漸次小さくなるように設定されている。
上述の第1発熱部HA1に隣り合う第2発熱部HA2は、縮小部HA21および拡大部HA22を含んで構成されている。縮小部HA21は、平面視における中心Mより第1導電部31Aとの接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅WA41が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより小さく設定されている。特に、本実施形態における縮小部HA21は、その平面視幅WA41が中心Mに隣接する部位から第1導電部31Aとの接続部位にかけて漸次小さくなるように設定されている。拡大部HA22は、平面視における中心Mより第2導電部32Aとの接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅WA42が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより大きく設定されている。特に、本実施形態における拡大部HA22は、その平面視幅WA42が中心Mに隣接する部位から第2導電部32Aとの接続部位に向けて途中まで漸次大きくなり、該途中から漸次小さくなるように設定されている。
本実施形態に係るサーマルヘッドX2では、第1導電部31Aの発熱部HAとの接続端における配列方向(矢印CD方向)に沿った断面積と、第2導電部32Aの発熱部HAとの接続端における矢印CD方向に沿った断面積とが略均等である。そのため、サーマルヘッドX2では、各発熱部HAで発生した熱の第1導電部31A側に移動する熱量と第2導電部32A側に移動する熱量とを略均等にすることができる。したがって、サーマルヘッドX2では、各発熱部HAに対して連続通電を行っても、各発熱部HAにおけるヒートスポットの位置が初期通電時の位置(発熱部HAの中心M近傍)より第1導電部31A側あるいは第2導電部32A側に過剰にシフトするのを抑制することができるため、ヒートスポットが各発熱部HAにおける矢印CD方向に沿った断面積の最小部位まで移動させずに済む。つまり、サーマルヘッドX2では、第1発熱部HA1におけるヒートスポットと第2発熱部HA2におけるヒートスポットとの矢印CD方向における離間距離を大きくせずに済み、その分、画質低下を抑制することができるのである。
また、サーマルヘッドX2では、複数の発熱部HAが第1導電部31Aとの接続端と第2導電部32Aとの接続端とが矢印CD方向に沿って形成されている。そのため、サーマルヘッドX2では、初期通電時の段階から各発熱部HAのヒートスポットが位置ずれしてしまうことがなく、隣り合う発熱部HA1,HA2間の伝熱を効果的に利用することができる。したがって、サーマルヘッドX2では、初期通電時のように各発熱部HAの近傍において蓄熱が充分にない状態での熱応答性の低下を抑制することができる。
さらに、サーマルヘッドX2では、第1発熱部HA1が、平面視における中心Mより第1導電部31Aとの接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より大きい拡大部HA11と、中心Mより第2導電部32Aとの接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より小さい縮小部HA12とを有し、第2発熱部HA2が、中心Mより第2導電部32Aとの接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より大きい拡大部HA22と、中心Mより第1導電部31Aとの接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より小さい縮小部HA21とを有している。そのため、サーマルヘッドX2では、連続通電時のように各発熱部HAの近傍で蓄熱が充分にある状態において、各拡大部HA11,HA22と各縮小部HA12,HA21との間における大気側あるいは蓄熱層側への伝熱量の差を利用して、ヒートスポットを初期通電時の位置(発熱部HAの中心M近傍)より、所定距離位置ずれさせることができる。つまり、サーマルヘッドX2では、連続通電時のような各発熱部HAの近傍で蓄熱が充分にある状態において、隣り合う発熱部HA1,HA2間における伝熱の影響を低減することができる。したがって、サーマルヘッドX2では、複数の発熱部HAからなる発熱部群の中央部と両端部との間における蓄熱量のバラツキを低減することができため、該発熱部群の中央部と両端部との間における画像ムラの発生を抑制することが可能となるのに加え、感熱紙や転写用リボンなどの搬送におけるスティッキングの発生を抑制することが可能となる。
サーマルヘッドX2では、第1導通部311Aの一端における矢印CD方向に沿った断面積と、第2導通部321Aの一端における矢印CD方向に沿った断面積とが略均等である。そのため、サーマルヘッドX2では、各発熱部HAで発生した熱の第1導通部311A側に移動する熱量と第2導通部321A側に移動する熱量とを略均等にすることができる。したがって、サーマルヘッドX2では、各発熱部HAに対して連続通電を行っても、各発熱部HAにおけるヒートスポットの位置が初期通電時の位置(発熱部HAの中心M近傍)より第1導通部311A側あるいは第2導通部321A側に過剰にシフトするのを抑制することができるため、ヒートスポットが各発熱部HAにおける矢印CD方向に沿った断面積の最小部位まで移動させずに済む。つまり、サーマルヘッドX2では、発熱部HA1におけるヒートスポットと発熱部HA2におけるヒートスポットとの矢印CD方向における離間距離を大きくせずに済み、その分、画質低下を抑制することができるのである。
サーマルヘッドX2において第1接続部312Aの体積と第2接続部322Aの体積とが略均等であるため、各発熱部HAで発生した熱の第1導通部311A側に移動する熱量と第2導通部321A側に移動する熱量とをより均等に近づけることができる。したがって、サーマルヘッドX2では、画質低下を抑制することができる。
サーマルヘッドX2において、第1導電部31Aの構成材料と第2導電部32Aの構成材料とが同一であると、各発熱部HAで発生した熱の第1導電部31A側に移動する熱量と第2導電部32A側に移動する熱量とをより均等に近づけることができる。したがって、サーマルヘッドX2では、画質低下を抑制することができる。また、サーマルヘッドX2では、第1導電部31Aと第2導電部32Aとを同時的に形成することができるため、その分、製造効率を高めることができる。
サーマルヘッドX2において、平面視における発熱部HAの幅が第1導電部31Aとの接続端と第2導電部32Aとの接続端とで略均等であるため、各発熱部HAで発生した熱の第1導電部31A側に移動する熱量と第2導電部32A側に移動する熱量とをより均等に近づけることができる。したがって、サーマルヘッドX2では、画質低下を抑制することができる。また、サーマルヘッドX2では、各発熱部HAで発生した熱の第1導電部31A側に移動する熱量と第2導電部32A側に移動する熱量とをより均等に近づけるべく、第1導電部31Aと第2導電部32Aとの間に形状的な違い設けなくて済む。
図5は、本発明の第3の実施形態に係るサーマルヘッドX3の概略構成を表す要部拡大平面図である。サーマルヘッドX3は、導電層30に代えて導電層30Bを有する点、および、発熱抵抗体層40に代えて発熱抵抗体層40Bを有する点において、サーマルヘッドX1と異なる。サーマルヘッドX3の他の構成については、サーマルヘッドX1に関して上述したのと同様である。なお、図5においては、図面の見易さの観点から保護層50が省略されている。
導電層30Bは、後述する発熱抵抗体層40Bに所定の電圧を印加するためのものであり、蓄熱層20上に形成されている。導電層30Bの構成材料としては、導電層30と同様のものが挙げられる。本実施形態において導電層30Bの厚さは、その全体を通じてほぼ均等となるように設定されており、その範囲は例えば0.1μm以上2.0μm以下に設定される。これは、導電層30Bの厚さが0.1μm未満の場合、導電層30Bにおける抵抗値が許容範囲外まで高まってしまい、導電層30Bの厚さが2.0μmを超えると、発熱部Hと記録媒体Pとを適切に接触させ難くなってしまうからである。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
ここで、導電層30Bの詳細構造について図5を参照しつつ説明する。
導電層30Bは、第1導電部31Bおよび第2導電部32Bを含んで構成されている。第1導電部31Bは、主要部である第1導通部311Bおよび第1接続部312Bを含んで構成されている。第1導通部311Bは、一端が後述する第1接続部312Bの一端に接続されており、他端が駆動IC60に接続されている。第1接続部312Bは、一端が発熱部HBの一端に接続されており、他端が第1導通部311Bの一端に接続されている。第2導電部32Bは、主要部である第2導通部321Bおよび第2接続部322Bを含んで構成されている。第2導通部321Bは、一端が後述する第2接続部322Bの一端に接続されており、他端が電源(図示せず)に接続されている。第2接続部322Bは、一端が発熱部HBの他端に接続されており、他端が第2導通部321Bの一端に接続されている。本実施形態において、第1導通部311Bの一端(第1接続部312Bとの接続端)における平面視幅WB11は、第2導通部321Bの一端(第2接続部322Bとの接続端)における平面視幅WB21とほぼ均等となるように設定されている。また、本実施形態において、第1接続部312Bの一端(発熱部HBとの接続端)における平面視幅WB12は、第2接続部322Bの一端(発熱部HBとの接続端)における平面視幅WB22とほぼ均等となるように設定されている。さらに、本実施形態において、第1接続部312Bの矢印AB方向における平面視長さLB12は、第2接続部322Bの矢印AB方向における平面視長さLB22とほぼ均等となるように設定されている。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
発熱抵抗体層40Bは、導電層30Bを介して導かれた電気により発熱(例えば200℃〜450℃)するものであり、第1導電部31Bの第1接続部312Bと第2導電部32Bの第2接続部322Bとの間に発熱部HBが形成されている。本実施形態における発熱部HBは、記録媒体の搬送方向(矢印AB方向)に対して交差する方向(矢印CD方向)に沿って複数配列形成されている。発熱抵抗体層40Bの構成材料としては、発熱抵抗体層40と同様のものが挙げられる。発熱抵抗体層40Bの厚さは、その全体を通じてほぼ均等となるように設定されており、その範囲は例えば0.01μm以上1.0μm以下に設定される。これは、発熱抵抗体層40Bの厚さが0.01μm未満の場合、発熱抵抗体層40Bが熱ストレスに対して充分な耐久性を確保できなくなってしまい、発熱抵抗体層40Bの厚さが1.0μmを超えると、抵抗値が許容範囲外にまで高まってしまうからである。ここで、「ほぼ均等」とは、一般的な製造誤差範囲内(設計値に対する誤差が10%以内)のものを含むことを意味する。
ここで、発熱抵抗体層40Bにおける発熱部HBの形状について図5を参照しつつ説明する。
複数の発熱部HBのうちの第1発熱部HB1は、拡大部HB11および縮小部HB12を含んで構成されている。拡大部HB11は、平面視における中心Mより第1導電部31Bとの接続側に位置しており、複数の発熱部HBの配列方向(矢印CD方向)に沿った平面視幅WB31が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより大きく設定されている。特に、本実施形態における拡大部HB11は、その平面視幅WB31が中心Mに隣接する部位から第1導電部31Bとの接続部位に向けて漸次大きくなるように設定されている。縮小部HB12は、平面視における中心Mより第2導電部32Bとの接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅WB32が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより小さく設定されている。特に、本実施形態における縮小部HB12は、その平面視幅WB32が中心Mに隣接する部位から第2導電部32Bとの接続部位に向けて途中まで漸次小さくなり、該途中から漸次大きくなるように設定されている。
上述の第1発熱部HB1に隣り合う第2発熱部HB2は、縮小部HB21および拡大部HB22を含んで構成されている。縮小部HB21は、平面視における中心Mより第1導電部31Bとの接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅WB41が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより小さく設定されている。特に、本実施形態における縮小部HB21は、その平面視幅WB41が中心Mに隣接する部位から第1導電部31Bとの接続部位に向けて途中まで漸次小さくなり、該途中から漸次大きくなるように設定されている。拡大部HB22は、平面視における中心Mより第2導電部32Bとの接続側に位置しており、矢印CD方向に沿った平面視幅WB42が中心Mにおける矢印CD方向に沿った平面視幅WMより大きく設定されている。特に、本実施形態における拡大部HB22は、その平面視幅WB42が中心Mに隣接する部位から第2導電部32Bとの接続部位に向けて漸次大きくなるように設定されている。
本実施形態に係るサーマルヘッドX3では、第1導電部31Bの発熱部HBとの接続端における配列方向(矢印CD方向)に沿った断面積と、第2導電部32Bの発熱部HBとの接続端における矢印CD方向に沿った断面積とが略均等である。そのため、サーマルヘッドX3では、各発熱部HBで発生した熱の第1導電部31B側に移動する熱量と第2導電部32B側に移動する熱量とを略均等にすることができる。したがって、サーマルヘッドX3では、各発熱部HBに対して連続通電を行っても、各発熱部HBにおけるヒートスポットの位置が初期通電時の位置(発熱部HBの中心M近傍)より第1導電部31B側あるいは第2導電部32B側に過剰にシフトするのを抑制することができるため、ヒートスポットが各発熱部HBにおける矢印CD方向に沿った断面積の最小部位まで移動させずに済む。つまり、サーマルヘッドX3では、第1発熱部HB1におけるヒートスポットと第2発熱部HB2におけるヒートスポットとの矢印CD方向における離間距離を大きくせずに済み、その分、画質低下を抑制することができるのである。
また、サーマルヘッドX3では、複数の発熱部HBが第1導電部31Bとの接続端と第2導電部32Bとの接続端とが矢印CD方向に沿って形成されている。そのため、サーマルヘッドX3では、初期通電時の段階から各発熱部HBのヒートスポットが位置ずれしてしまうことがなく、隣り合う発熱部HB1,HB2間の伝熱を効果的に利用することができる。したがって、サーマルヘッドX3では、初期通電時のように各発熱部HBの近傍において蓄熱が充分にない状態での熱応答性の低下を抑制することができる。
さらに、サーマルヘッドX3では、第1発熱部HB1が、平面視における中心Mより第1導電部31Bとの接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より大きい拡大部HB11と、中心Mより第2導電部32Bとの接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より小さい縮小部HB12とを有し、第2発熱部HB2が、中心Mより第2導電部32Bとの接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より大きい拡大部HB22と、中心Mより第1導電部31Bとの接続側に位置し且つ矢印CD方向に沿った断面積が中心Mにおける矢印CD方向に沿った断面積より小さい縮小部HB21とを有している。そのため、サーマルヘッドX3では、連続通電時のように各発熱部HBの近傍で蓄熱が充分にある状態において、各拡大部HB11,HB22と各縮小部HB12,HB21との間における大気側あるいは蓄熱層側への伝熱量の差を利用して、ヒートスポットを初期通電時の位置(発熱部HBの中心M近傍)より、所定距離位置ずれさせることができる。つまり、サーマルヘッドX3では、連続通電時のような各発熱部HBの近傍で蓄熱が充分にある状態において、隣り合う発熱部HB1,HB2間における伝熱の影響を低減することができる。したがって、サーマルヘッドX3では、複数の発熱部HBからなる発熱部群の中央部と両端部との間における蓄熱量のバラツキを低減することができため、該発熱部群の中央部と両端部との間における画像ムラの発生を抑制することが可能となるのに加え、感熱紙や転写用リボンなどの搬送におけるスティッキングの発生を抑制することが可能となる。
サーマルヘッドX3では、第1導通部311Bの一端における矢印CD方向に沿った断面積と、第2導通部321Bの一端における矢印CD方向に沿った断面積とが略均等である。そのため、サーマルヘッドX3では、各発熱部HBで発生した熱の第1導通部311B側に移動する熱量と第2導通部321B側に移動する熱量とを略均等にすることができる。したがって、サーマルヘッドX3では、各発熱部HBに対して連続通電を行っても、各発熱部HBにおけるヒートスポットの位置が初期通電時の位置(発熱部HBの中心M近傍)より第1導通部311B側あるいは第2導通部321B側に過剰にシフトするのを抑制することができるため、ヒートスポットが各発熱部HBにおける矢印CD方向に沿った断面積の最小部位まで移動させずに済む。つまり、サーマルヘッドX3では、発熱部HB1におけるヒートスポットと発熱部HB2におけるヒートスポットとの矢印CD方向における離間距離を大きくせずに済み、その分、画質低下を抑制することができるのである。
サーマルヘッドX3において第1接続部312Bの体積と第2接続部322Bの体積とが略均等であるため、各発熱部HBで発生した熱の第1導通部311B側に移動する熱量と第2導通部321B側に移動する熱量とをより均等に近づけることができる。したがって、サーマルヘッドX3では、画質低下を抑制することができる。
サーマルヘッドX3において、第1導電部31Bの構成材料と第2導電部32Bの構成材料とは同一である場合、各発熱部HBで発生した熱の第1導電部31B側に移動する熱量と第2導電部32B側に移動する熱量とをより均等に近づけることができる。したがって、サーマルヘッドX3では、画質低下を抑制することができる。また、サーマルヘッドX3では、第1導電部31Bと第2導電部32Bとを同時的に形成することができるため、その分、製造効率を高めることができる。
サーマルヘッドX3において、平面視における発熱部HBの幅が第1導電部31Bとの接続端と第2導電部32Bとの接続端とで略均等であるため、各発熱部HBで発生した熱の第1導電部31B側に移動する熱量と第2導電部32B側に移動する熱量とをより均等に近づけることができる。したがって、サーマルヘッドX3では、画質低下を抑制することができる。また、サーマルヘッドX3では、各発熱部HBで発生した熱の第1導電部31B側に移動する熱量と第2導電部32B側に移動する熱量とをより均等に近づけるべく、第1導電部31Bと第2導電部32Bとの間に形状的な違い設けなくて済む。
図6は、サーマルヘッドX1を備えるサーマルプリンタYの概略構成を表す図である。サーマルプリンタYは、サーマルヘッドX1、搬送機構70および駆動手段80を備えている。なお、本実施形態では、サーマルヘッドX1を備えるサーマルプリンタYについて説明するが、サーマルヘッドX1に代えてサーマルヘッドX2,X3のいずれを採用してもよい。
搬送機構70は、記録媒体PをサーマルヘッドX1における複数の発熱部Hに接触させた状態で図中の矢印A方向に搬送させるためのものであり、プラテンローラ71および搬送ローラ72a,72b,73a,73bを含んで構成されている。プラテンローラ71は、記録媒体Pを発熱部Hに押し付けるためのものであり、発熱部Hに接触した状態で回転可能に支持されている。プラテンローラ71は、円柱状の基体71aの外表面を弾性部材71bにより被覆した構成を有している。基体71aは、ステンレスなどの金属により形成されている。弾性部材71bは、ブタジエンゴムなどにより形成されており、その厚さは例えば3mm以上15mm以下に設定されている。搬送ローラ72a,72b,73a,73bは、記録媒体Pを所定経路に沿って搬送するためのものである。すなわち、搬送ローラ72a,72b,73a,73bは、サーマルヘッドX1の発熱部Hとプラテンローラ71との間に記録媒体Pを供給するとともに、サーマルヘッドX1の発熱部Hとプラテンローラ71との間から記録媒体Pを引き抜くためのものである。搬送ローラ72a,72b,73a,73bは、金属製の円柱状部材により形成してもよいし、プラテンローラ71と同様の構成としてもよい。なお、記録媒体Pとしては、感熱紙やインクフィルムなどが挙げられる。
駆動手段80は、駆動IC60に印画信号を入力するためのものである。すなわち、駆動手段80は、発熱部Hを選択的に発熱させるために、導電層30を介して発熱部Hに印加される電圧のオン・オフを制御するための印画信号を供給するためのものである。
本実施形態に係るサーマルプリンタYは、サーマルヘッドX1を備えているため、上述のサーマルヘッドX1の有する効果を享受することができる。すなわち、サーマルプリンタYでは、連続通電時における画質低下を抑制しつつ、初期通電時における熱応答性の低下を抑制することができるのである。
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
サーマルヘッドX1〜X3において蓄熱層20は、平坦状に形成されているが、このような形状には限られない。例えば、平坦状の蓄熱層20に代えて、基板10の長手方向(矢印CD方向)に延びる略帯状で且つ該長手方向に直交する方向に沿った断面形状が略円弧状の凸状の蓄熱層としてもよいし、凸状部位と平坦状部位との両方を有する蓄熱層としてもよい。このような構成によると、例えば複数の発熱部Hを凸状の蓄熱層の部分に形成することによって、発熱部Hにおいて発生する熱の蓄熱性をより高めることができる。
サーマルヘッドX1〜X3において導電層30,30A,30Bの厚さは、その全体を通じてほぼ均等となるように設定されているが、このような構成には限られず、目的とする部位における矢印CD方向に沿った各導電層30,30A,30Bの断面積がほぼ均等となるように、厚さに応じて例えば平面視幅などを適宜調整すればよい。ここで、「目的とする部位」としては、第1導通部311,311A,311Bの一端と第2導通部321,321A,321Bの一端との間や、第1接続部312,312A,312Bの一端と第2接続部322,322A,322Bの一端との間が挙げられる。
サーマルヘッドX1〜X3において発熱抵抗体層40,40A,40Bの厚さは、その全体を通じてほぼ均等となるように設定されているが、このような構成には限られず、目的とする部位における矢印CD方向に沿った各発熱抵抗体層40,40A,40Bの断面積が所定の値となるように、厚さに応じて例えば平面視幅などを適宜調整すればよい。具体的には、サーマルヘッドX1〜X3では、各発熱抵抗体層40,40A,40Bの厚さをその全体を通じてほぼ均等にしつつ、各発熱抵抗体層40,40A,40Bの平面視幅を調整して断面積を所定の値となるようにしているが、例えば各発熱抵抗体層40,40A,40Bの平面視幅をその全体を通じてほぼ均等にしつつ、各発熱抵抗体層40,40A,40Bの厚さを調整して断面積を所定の値となるようにしてもよい。
サーマルヘッドX1において第1接続部312と第2接続部322との体積は異なるように設定されているが、これには限られず、例えば第1接続部312や第2接続部322の矢印AB方向における平面視長さを調整することにより、第1接続部312と第2接続部322との体積がほぼ均等となるように設定してもよい。このような構成によると、発熱部Hから第1接続部312への伝熱量と発熱部Hから第2接続部322への伝熱量とをより均等化させることができる。
なお、本実施形態においては、記録ヘッドとしてサーマルヘッドX1〜X3を用いて説明したが、例えばインクジェットヘッドでも同様の構成を採用することにより同様の効果を奏することができる。