JP3720667B2 - グレーズド基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワードプロセッサー並びに電子プリンター等に使用されるサーマルプリンターヘッド用のグレーズド基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルプリンターヘッド用グレーズド基板は、ワードプロセッサー及びファクシミリ及び多機能やフルカラー記録の可能なプリンター等に用いられ、近年特に印字の高密度化、高画質化、高速化が求められている。
【0003】
中でも図10に示すように、セラミック基板1に形成された第一グレーズ層3上に凸状の第二グレーズ層4を形成するグレーズド基板2は、第二グレーズ層4の先端曲率半径Rが小さく出来ることから、図11に示すようにサーマルプリンターヘッド17として用いられたときに、凸状の第二グレーズ層4並びに発熱抵抗体層18上に形成された保護膜層20と印字媒体である紙との接触圧力が高く印字性が良いために、高密度、高画質が要求されるビデオプリンターサーマルヘッド用として主に用いられている。
【0004】
従来この第一グレーズ層3上に凸状の第二グレーズ層4を形成する方法として、スクリーン印刷法、ケミカルエッチング処理法、サンドブラスト処理法等が良く知られている。
【0005】
図12にスクリーン印刷法の製造方法を示している。この方法は特開2000−25259号公開公報に示されているように、セラミック基板1に第一グレーズ層3をスクリーン印刷により印刷し所定の温度で焼成し、この第一グレーズ層3上に第一グレーズ層3より軟化点の低いガラス含有ペーストを用いスクリーン印刷で凸状の第二グレーズ層4を形成し所定の温度で焼成することにより丸みを帯びた第二グレーズ層4を形成するものである。
【0006】
図13にケミカルエッチング処理法の製造方法を示している。この方法は特開平7−329332号公開公報に示されているように、第一グレーズ層3の形成方法は前記スクリーン印刷法と同じで、次に第二グレーズ層4となる部分にペースト状のレジスト膜7をスクリーン印刷した後、レジスト膜7部を残してケミカルエッチングすることにより凸状の第二グレーズ層4を形成し、その後所定の温度で焼成して第二グレーズ層4に丸みを持たせるものである。
【0007】
図14にサンドブラスト処理法の製造方法を示している。この方法は特開平6−40064号、特開平6−171128号及び特開平7−178943号の各公開公報で示されているが、第一グレーズ層3の形成はスクリーン印刷法と同じであり、その後スクリーン印刷によりレジスト膜7を形成しこのレジスト膜7によりマスキングした部分を残してサンドブラストで砥粒9を吹き付け、所定深さ迄研削し凸状の第二グレーズ層4を形成した後、所定の温度で焼成することにより第二グレーズ層4に丸みを持たせるものである。
【0008】
上記特開平6−171128号によれば、図14に示すサンドブラスト処理法で形成された第二グレーズ層4は、図15(a)に示す、第二グレーズ層4のパターン長さ方向の表面うねり5の最大振幅Aが長さ5.0mm当たり1μmという実施例のデーターが得られていて少なくとも長さ2.7mm当たり1μm以下と出来ることが記載され、また上記特開平7−178943号によれば図11に示す第二グレーズ層4の先端曲率半径Rは、サーマルプリンターヘッド17の発熱部との紙当たり等を総合的に勘案すると0.5mm〜1.5mmが好ましいと記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記図12に示すスクリーン印刷法は生産コスト面では最も優れているものの、スクリーンをスキージで押圧し第二グレーズ層4を形成する際にスクリーンの伸びが生ずるために、図15(b)に示す第二グレーズ層4のパターン間寸法Bや、図15(c)に示すパターン長さ方向の直線度Cの寸法精度は約30μmが量産における技術限界であり市場要求を満足するものではなかった。
【0010】
また、図13に示すケミカルエッチング処理法は生産コスト面では良いものの、第二グレーズ層4の表面うねり5や寸法精度が悪いという問題があった。尚、レジスト膜7を高精度に形成するためには、露光法によるパターンマスキングの手法をとることが考えられるが、硝酸や硫酸又は弗酸等のエッチング液に対し耐酸性を持たせるためには、レジスト膜7を厚く形成する必要があり、この場合図16に示すように、光15のレジスト膜7内での直進性が妨げられることと、またセラミック基板1の表面からの反射光15aが再度レジスト膜7に乱反射することにより正確な解像が出来ないという問題があった。
【0011】
従って、ケミカルエッチング処理法のレジスト膜7形成はスクリーン印刷の手法となるが、これはレジスト膜7となるペースト状のものを第二グレーズ層4の形成部となるところにスクリーン印刷する際に、スクリーンの印刷時の伸びによりパターンマスキングの寸法誤差が生じるためであった。或いはケミカルエッチングの際にエッチング液がレジスト膜7と第二グレーズ層4の界面に入り込み、図17(a)に示すように、第二グレーズ層4のエッジ部4aが凹凸状になることがあり、この後加熱処理すると図17(b)に示すように、エッジ部4aの凹凸の影響を受けて、第二グレーズ層4に表面うねり5が発生する原因となっていた。
【0012】
また、図14に示すサンドブラスト処理法は、上述したケミカルエッチング処理法と同様にレジスト膜7をスクリーン印刷で形成する手法がとられるが、この際に寸法誤差が生じたり、サンドブラスト時のチッピング10によって表面うねり5を小さく出来ないという問題があった。
【0013】
例えば、特開平6−171128号公報では、サンドブラストでの研削条件はAl2O3含有量99.5%以上のアランダム80#〜2000#の砥粒10を、圧力10Kgf/cm2(0.98KPa)の空気で吹き付けると記載されている。
【0014】
しかし、粒径が約800#以下の砥粒9を用いた場合は、図18(a)に示すように第二グレーズ層4のエッジ部4aにチッピング10が発生し易くその大きさWも20μmを超えるものが多く含まれていて、その後加熱処理するとこのチッピング10の影響で、図18(b)に示すように第二グレーズ層4の表面うねり5となって現れ、パターン長さ方向の表面うねり5の最大振幅Aは0.5μm程度までしか小さくできず、より高品質のグレーズド基板2が得られなかった。また逆に、約800#を超える砥粒9を用いると、研削に要する時間が著しく長くなり量産性に乏しいものであった。
【0015】
また、第二グレーズ層4の先端曲率半径Rは、最近では携帯用電子機器内包のサーマルプリンターヘッド17等の用途において、0.5mm以下の市場要求もあるが、このように小さな先端曲率半径Rを得ることは困難であった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記問題点に鑑みて本発明は、セラミック基板の全面または部分的に第一グレーズ層を形成し1200℃〜1300℃の温度で焼成する工程と、
上記第一グレーズ層に感光性樹脂のレジストフィルムを接着後ガラスマスクを用いて凸状の第二グレーズ層となる部分を感光させマスキングする工程と、マスキングされた前記第一グレーズ層表面をサンドブラスト処理しチッピングを20μm以下に抑えて所定の深さまで研削することにより凸状の第二グレーズ層を形成する工程と、該凸状の第二グレーズ層表面のレジストフィルムを剥離しグレーズ層を成すガラスの軟化点以上の温度で加熱処理する工程からなり、上記サンドブラスト処理は、30〜95重量%のAl2O3、残部にZrO2を有する組成の800〜1000#の砥粒を用いて、0.15〜0.44KPaの空気圧で吹き付けることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図1(a)はセラミック基板1のいずれかの主面全面に第一グレーズ層3を形成しその上に複数の凸状の第二グレーズ層4を有し、図1(b)は第一グレーズ層3が部分的に形成されその上に複数の凸状の第二グレーズ層4を有するいずれも本発明のグレーズド基板2である。
【0019】
図2(a)〜(g)に本発明のグレーズド基板2の製造方法を示す。
【0020】
図2(a)に示すように、スクリーン印刷等によりセラミック基板1に全面或いは部分的に第一グレーズ層3を形成する。次に図2(b)に示すように第一グレーズ層3を1200℃〜1300℃の温度で焼成し、図2(c)に示すように、第一グレーズ層3に感光性のレジストフィルム6を熱圧着しガラスマスク8を用いて凸状の第二グレーズ層4となる部分を感光させ、図2(d)に示すように感光した部分以外のレジストフィルム6を現像液で除去し、第二グレーズ層4となる部分のみにレジスト膜7を形成する。次に図2(e)に示すように、レジスト膜7によりパターンニングされた第一グレーズ層3の表面をサンドブラストにより砥粒9を吹き付けて所定の深さ迄研削し、凸状の第二グレーズ層4を形成する。次に図2(f)に示すように、第二グレーズ層4の表面に接着しているレジスト膜7を剥離液で除去しガラス軟化点の約+50℃〜+150℃の温度で加熱し、図2(g)に示すように第二グレーズ層4に曲面を形成する。
【0021】
以下、各工程について詳述する。
【0022】
まず図2(a)に示す第一グレーズ層3の形成方法は、セラミック基板1の全面または部分的にグレーズ印刷出来る60#〜200#のステンレスメッシュのスクリーン製版を用いて、ペースト状になったグレーズガラスをスキージで圧力を加えセラミック基板1上に押し出し第一グレーズ層3を印刷する。
【0023】
尚、代表的なガラス組成としては、45〜60重量%SiO2、5〜30重量%BaO、10〜20重量%CaO、5〜10重量%Al2O3、0〜10重量%B2O3のものを用いる。このとき、サーマルプリンターヘッド17として用いられた際の蓄熱性並びに単一時間当たりの印字濃度を高くするためには、焼成後の第一グレーズ層3と第二グレーズ層4のトータルのグレーズ厚みTの好適範囲は約100μm〜約200μmであって、この工程での第一グレーズ層3は次工程の焼成後のグレーズ厚みTが前記範囲となるように形成することが好ましい。
【0024】
図2(b)に示すように、乾燥させた第一グレーズ層3を1200℃〜1300℃の温度で溶融焼成し非晶質化ガラスの状態にし、次に図2(c)に示すように、第一グレーズ層3の全面に感光性樹脂のレジストフィルム6を熱圧着し、ガラスマスク8を用いて第二グレーズ層4となる部分を感光させる。このとき露光処理を行うガラスマスク8の寸法精度は、3μm以内でなければならない、その理由は露光後のレジスト膜7のパターン幅D並びにパターン間寸法B並びにパターン長さ方向の直線度Cの寸法精度を10μm以内に制御するためである。
【0025】
次に図2(d)に示すように、レジストフィルム6の感光した部分以外を現像液で除去しレジスト膜7によりマスキングされた第一グレーズ層3の表面を残し、図2(e)に示すように、サンドブラストにより砥粒9を吹き付け、レジスト膜7でマスキングされている部分以外を所定の深さ迄研削し、凸状の第二グレーズ層4を形成する。この研削深さは、サーマルプリンターヘッド17の用途によっても異なるが通常30μm〜80μm程度であり、放熱性を重視する場合には、研削深さを深くし第一グレーズ層3の厚みを薄くすることが好ましい。
【0026】
サンドブラストの条件は、Al2O3含有率30〜95%で他SiO2、ZrO2等を含む研磨材からなり、不特定形状であって800#〜1000#の粒径の砥粒9を用い、これを約0.15〜約0.44KPaの空気で吹き付ける。上記材質、粒径の砥粒9を用いることで、凸状の第二グレーズ層4のエッジ部4aにチッピング10の大きさWを20μm以下に抑え、かつ量産性に適した研削が出来る。
【0027】
次に図2(f)に示すように、第二グレーズ層4の表面に接着しているレジスト膜7を剥離液で除去し、ガラス軟化点の約+50℃〜約+150℃の温度で加熱処理することにより、図2(g)に示すように第二グレーズ層4に所望の曲面をもたせる。
【0028】
加熱処理の条件は、例えばガラス軟化点が850℃の場合には約900℃〜約1000℃の範囲が好ましく、これが900℃未満になるとサンドブラストで切り立った凸形状に曲率を与えるのに必要な温度が不足するために、凸状の第二グレーズ層4の上部が曲面とならず、反対に1000℃を超すと凸状の第二グレーズ層4の曲率が大きくなるか或いは第一グレーズ層3に溶け込んで無くなる場合もある。
【0029】
以上のように本発明による方法では、サンドブラスト処理法であるためレジスト膜7を厚く形成する必要がないことから、露光法によるパターンマスキングの手法をとることができ、これによってレジスト膜7を高精度に形成できるとともに、上述した砥粒9を用い20μmを超えるチッピング10を発生させずにサンドブラストすることによって高精度で表面うねり5の小さい第二グレーズ層4を形成できる。
【0030】
以上の方法で得られたグレーズド基板2は、前記、図15(a)に示す第二グレーズ層4の長さ方向の表面うねり5の最大振幅Aが0.2μm以下で、図15(b)に示すパターン間寸法Bの精度と図15(c)に示すパターン長さ方向の直線度Cがいずれも10μm以下で、図10に示す先端曲率半径Rが0.25mm以上とすることが出来る。
【0031】
第二グレーズ層4のパターン間寸法Bの精度が良いと、1枚のセラミック基板1に複数のグレーズド基板2の形成をし、サーマルプリンターヘッド17の製造工程で複数個同時に高精度なパターン形成が可能である。また、前記図11に示すようにサーマルプリンターヘッド17は、第二グレーズ層4上に発熱抵抗体層18、電極層19、保護膜層20が薄膜形成された際に、第二グレーズ層4の表面うねり5は印字媒体である紙と接触する保護膜層20の表面うねりに直接影響し、そのまま印字濃度へ影響するためにより小さい方が好ましい。また、求められる先端曲率半径Rは、サーマルプリンターヘッド17の用途により異なるが、小さい方が紙との接触圧力が高く従って印字濃度を高くできるために、より小さい先端曲率半径Rの要求もある。しかしこの値が0.25mm未満になると紙擦れ等のトラブルの原因となりやすく従って0.25mm以上が好ましい。
【0032】
尚、セラミック基板1の材質は、アルミナの他に窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素等でも良くグレーズを形成する主面の表面粗さはRa0.6μm以下程度であれば良い。またグレーズの材料としては、酸化珪素を主体とし、他にアルミニウム、カルシウム、バリウム等の金属酸化物を含むものを用い、第一グレーズ層3をスクリーン印刷後、1200℃〜1300℃の温度で焼成する際に結晶化しないことが必要で、また第一グレーズ層3の焼成後の表面粗さはRa0.020μm以下であれば良い。
【0033】
【実施例】
アルミナ含有率96重量%で外辺寸法が290mm×78mm、厚み1.0mmのセラミック基板1上全面に200#のステンレスメッシュで作製されたスクリーン製版を用いて、組成45〜60重量%Si02、5〜30重量%Ba0、10〜20重量%CaO、5〜10重量%Al2O3、0〜10重量%B2O3系のグレーズガラス(転移点685℃、軟化点845℃)を、スキージで圧力を加えながら焼成後のグレーズ厚みTが200μmとなるようにスクリーン印刷をし、乾燥後にトンネル型連続焼成炉で1200℃で焼成し非晶質化した第一グレーズ層3を形成した。
【0034】
次に、この第一グレーズ層3上全面に感光性樹脂であるポリウレタン樹脂系のレジストフィルム6を熱圧着し、凸状の第二グレーズ層4の形成部分を感光させるためのガラスマスク8を介し露光を行い、感光した部分以外を剥離液で除去し第二グレーズ層4を形成する部分のみレジスト膜7でマスキングした。
【0035】
このガラスマスク8のパターン寸法精度は2μm以内のものを用い、またサンドフラスト処理の砥粒9の材質はAl2O3含有率35重量%で他SiO2、ZrO2等を含む研磨材からなり、不特定形状で800#の砥粒9を0.17KPaの空気で吹き付け第一グレーズ層3を55μm研削し凸状の第二グレーズ層4を形成した。
【0036】
このサンドブラスト処理後、最高温度約900℃−10分間保持の温度プロファイルでIN−OUT2時間で加熱処理を施し、上部に所定の曲率を有する第二グレーズ層4を形成した。
【0037】
また比較例として、サンドブラストの砥粒9の粒径のみを500#とし他は本発明実施例と同条件で凸状の第二グレーズ層4を形成した。
【0038】
尚、本発明の実施例、比較例共、図3に示す第二グレーズ層4のパターン長さLは100mm、パターン幅Dは0.65mm、パターン間寸法BはB1が28mm、B2が39mm、B3が67mmである。
【0039】
本発明実施例のグレーズド基板2について試料数3個の第二グレーズ層4の各寸法値について測定を実施し、比較例については試料数3個について表面うねり5についてのみ測定した。その測定条件は下記の通りである。
【0040】
(1)表面うねり5の測定方法
図4に示すように、接触式表面粗さ計(小坂研究所(株)製SE−2300型)で第二グレーズ層4の先端部11を矢印の方向に30mm測定し、その最大振幅Aを表面うねり5とする。測定条件は触針径5μm(型式C5、斧状)、カットオフモードfh0.8mm、測定スピード0.5mm/Sec.、測定倍率は縦10000倍で横は2倍である。
【0041】
(2)パターン間寸法B
図5に示すように、工具顕微鏡を用い測定倍率30倍(接眼レンズ10倍、対物レンズ3倍)でグレーズド基板2の表面にハロゲン光を当てその反射光により測定を行うもので、凸部の先端部11は比較的明瞭な帯状に写る。この先端部11の中心11aと11b、11c、11d間の寸法値がパターン間寸法Bで各々B1、B2、B3である。
【0042】
(3)パターン長さ方向の直線度C
図6に示すように、上記パターン間寸法Bと同じように工具顕微鏡を用いて、第二グレーズ層4の長さ方向の先端部11の帯状のパターンの左右の先端部の中心11e、11kを結ぶ線を基準線12とし、この間で均等間隔に5ポイント前述と同様に先端部11の中心11f〜11jを測定し、基準線12と最も離れている値をパターン長さ方向の直線度Cとする。尚、この測定ポイント数は任意であって、パターン長さLとその直線度Cのレベルにより設定する。
【0043】
(4)先端曲率半径R
接触式表面粗さ計(小坂研究所(株)製SE−2300型)で第二グレーズ層4の表面を、図7に示す矢印方向のように横断するように表面形状13の測定を行う。測定条件は触針径5μm90°/4mNダイヤモンド、カットオフモードはR+W、測定スピード0.5mm/Sec.、測定倍率は縦2000倍で横200倍である。
【0044】
図8に示すように、この表面形状13の測定チャートより頂点14から垂線を引き当該パターン幅DをD1としその高さをhとしたとき、先端曲率半径Rは下記の計算式で求める。
【0045】
先端曲率半径R={D12/(8×h)}+(h/2)
尚、この高さhはサーマルプリンターヘッドの業界で慣用となっている0.015mmを用いる。
【0046】
以上の測定方法で、グレーズド基板2の表面うねり5の測定値を表1に、パターン間寸法Bの測定値を表2に、パターン長さ方向の直線度Cの測定値を表3に、先端曲率半径Rの測定値を表4に各各示し、また図9(a)に本発明実施例、図9(b)に比較例の第二グレーズ層4の表面うねり5の測定チャートを示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
この結果から解るように、比較例の第二グレーズ層4の表面のうねり5の最大振幅Aは0.52μmと大きかった。これは、サンドブラストの砥粒9が500#程度と粒径が大きく、サンドブラスト時に20μm以上のチッピング10が生じたためである。
【0052】
これに対し、本発明実施例の第二グレーズ層4の表面のうねり5の最大振幅Aは0.20μm以下、パターン間寸法Bの精度は0.007mm以下、パターン長さ方向の直線度Cは0.004mm以下、先端曲率半径Rは平均値0.340mmで、各々所望する結果を得ることが出来た。
【0053】
尚、本発明実施例の先端曲率半径Rについては、第二グレーズ層4の先端部11から0.015mmの高さhの垂線を引いたところのパターン幅D1は0.2mmであったが、本発明の製造方法ではパターン幅D1を最小値で0.10mmの形成が可能であることから、これにより得られる第二グレーズ層4の先端曲率半径Rの最小値は0.25mm迄可能である。従って、携帯用電子機器内包のサーマルプリンターヘッドに求められる先端曲率半径Rが0.5mm以下の要求にも応えることができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明のグレーズド基板の製造方法によれば、セラミック基板上に全面または部分的に第一グレーズ層を有し、第一グレーズ層上に凸状の第二グレーズ層を備えて、第二グレーズ層の表面うねりの最大振幅が0,2μm以下、パターン長さ方向の直線度が10μm以下、先端曲率半径が0.25mm以上、パターン間寸法精度が10μm以下のグレーズド基板を得ることが可能で、このグレーズド基板をサーマルプリンターヘッドとして用いた場合、印字媒体である紙とヘッドの接触性が良好で印字濃度ムラを解消し高画質化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は本発明のグレーズド基板の斜視図である。
【図2】(a)〜(g)は本発明のグレーズド基板の製造方法を示す図である。
【図3】本発明実施例におけるグレーズド基板の平面図である。
【図4】本発明実施例における表面うねり測定法を示すグレーズド基板の斜視図である。
【図5】本発明実施例におけるパターン間寸法測定位置を示すグレーズド基板の平面図である。
【図6】本発明実施例におけるパターン長さ方向の直線度測定方法を示すグレーズド基板の平面図である。
【図7】本発明実施例における先端曲率半径の測定方法を示す第二グレーズ層を横断した断面図である。
【図8】本発明実施例における表面形状の測定チャートの模式図である。
【図9】(a)は本発明実施例の表面うねりの測定チャート、(b)は比較例の表面うねりの測定チャートである。
【図10】グレーズド基板のパターン横断方向の断面図である。
【図11】サーマルプリンターヘッドの断面図である。
【図12】従来のスクリーン印刷法の製造方法を示す図である。
【図13】従来のケミカルエッチング処理法の製造方法を示す図である。
【図14】従来のサンドブラスト処理法の製造方法を示す図である。
【図15】(a)は第二グレーズ層の長さ方向の表面うねりを示す断面図、(b)は第二グレーズ層のパターンの平面図、(c)は第二グレーズ層のパターン直線度を示す平面図である。
【図16】従来のレジスト膜の露光処理を示す断面図である。
【図17】(a)は従来のケミカルエッチング後のグレーズパターンの平面図、(b)は焼成後のグレーズド基板のパターン長さ方向の断面図である。
【図18】(a)は従来のサンドブラスト処理後の第二グレーズ層の斜視図、(b)は焼成後のグレーズド基板のパターン長さ方向の断面図である。
【符号の説明】
1:セラミック基板
2:グレーズド基板
3:第一グレーズ層
4:第二グレーズ層
4a:エッジ部
5:表面うねり
6:レジストフィルム
7:レジスト膜
8:ガラスマスク
9:砥粒
10:チッピング
11:先端部
11a〜11k:先端部の中心
12:基準線
13:表面形状
14:頂点
15:光
15a:反射光
16:マスク
17:サーマルプリンターヘッド
18:発熱抵抗体層
19:電極層
20:保護膜層
A:最大振幅
B、B1〜B3:パターン間寸法
C:パターン長さ方向の直線度
D、D1:パターン幅
L:パターン長さ
R:先端曲率半径
T:グレーズ厚み
W:チッピングの大きさ
Claims (1)
- セラミック基板の全面または部分的に第一グレーズ層を形成し1200℃〜1300℃の温度で焼成する工程と、
上記第一グレーズ層に感光性樹脂のレジストフィルムを接着後ガラスマスクを用いて凸状の第二グレーズ層となる部分を感光させマスキングする工程と、
マスキングされた前記第一グレーズ層表面をサンドブラスト処理しチッピングを20μm以下に抑えて所定の深さまで研削することにより凸状の第二グレーズ層を形成する工程と、
該凸状の第二グレーズ層表面のレジストフィルムを剥離しグレーズ層を成すガラスの軟化点以上の温度で加熱処理する工程からなり、
上記サンドブラスト処理は、30〜95重量%のAl 2 O 3 、残部にZrO 2 を有する組成の800〜1000#の砥粒を用いて、0.15〜0.44KPaの空気圧で吹き付けることを特徴とするグレーズド基板の製造方法。
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