・発電源は、発電運転により電気エネルギを生成すると共に発電に伴う熱エネルギを生成する。発電源は、燃料(気体燃料、液体燃料、固体燃料のいずれでも良い)の燃焼で駆動するエンジンが採用されるが、場合によっては、アノード流体とカソード流体とで発電する燃料電池でも良い。
・貯留タンクは、発電源の発電時において生成された熱エネルギに起因する廃熱に基づいて加熱された加熱液を溜める貯留室と、貯留室の高さ方向に沿って間隔を隔てて並設された複数の温度センサをもつ温度センサ群とを有する。加熱液としては加熱水が一般的である。水は純水、水道水、井戸水が例示される。温度センサは公知の温度センサを採用できる。温度センサの数は3個以上が好ましく、4個以上、5個以上が例示される。なお、貯留タンクの高さが高いと、温度センサの数は増加する傾向がある。
・吐液部は、貯留タンクの貯留室の加熱液を貯留タンク外に吐出するためのものである。吐液部は、貯留タンクの貯留室の加熱液を吐出する吐出配管と、吐出配管を開閉させる開閉部(例えばバルブ)とを備えることができる。給液部は、貯留タンクの貯留室の貯留量が不足するとき、水等の補充液を貯留室に供給するものである。給液部は、貯留タンクの貯留室に液を供給する供給配管と、供給配管を開閉させる開閉部(バルブ等)とを備えることができる。
・制御装置は、温度センサ群のうち少なくとも一つの温度センサの計測値(計測温度)について、正常範囲を規定する第1しきい値と、正常範囲と重複しつつ正常範囲よりも広い1次不調範囲を規定する第2しきい値とを備えている形態が例示される。当該温度センサの計測値が正常範囲を越え且つ1次不調範囲内であるとき、第1手段は、当該温度センサが1次不調であると判定する。当該温度センサの計測値が1次不調範囲を越えるとき、第2手段は、当該温度センサが2次不調であると判定する。なお、制御装置は単一品でも良いし、複数に分割されていても良い。
・温度センサが1次不調であると判定されるとき、発電源に対して発電運転維持を実施する手段と、温度センサが2次不調であると判定されるとき、制御装置は、発電源に対して発電運転停止、発電量低減運転、および2次警告(1次警告よりも重い警告)のうちの少なくとも一つを実施する手段とを備えている形態が例示される。更には、発電源で発電を継続させつつ、発電源の熱エネルギを別の蓄熱部(例えば加熱液を貯留する別の貯留タンク等)に移して蓄熱させる運転としても良い。
・温度センサが1次不調または2次不調であると判定されるとき、制御装置は、当該温度センサよりも高さが高い位置(例えば、直上の温度センサ)に設けられている温度センサの計測値と、当該温度センサよりも高さが低い位置に設けられている温度センサ(例えば、直下の温度センサ)の計測値との間の中間値(単純平均値を含む)を基準として、当該温度センサの計測値を推定する推定手段を有する形態が例示される。これにより温度センサが1次不調または2次不調であると判定されるときであっても、貯留タンクに蓄えられている熱量を推定することができる。
・第1しきい値は、正常範囲の高温側を規定する高温側第1しきい値と、正常範囲の低温側を規定する低温側第1しきい値とで形成されている形態が例示される。この場合、温度センサ群のうち最も上側の温度センサおよび最も下側の温度センサを除いた中間位置に配置されており且つ上(または下)からi番目の温度センサの計測値をTiとする。温度センサTiの直上の温度センサの計測値をTi−1とし、温度センサTiの直下の温度センサの計測値をTi+1とし、且つ、温度センサの計測値Tiについての高温側第1しきい値をTiHFTとし、低温側第1しきい値をTiLFTとするとき、TiHFT=Ti−1+α1であり、TiLFT=Ti+1−α3である形態が例示される。各しきい値はしきい値温度を意味する。α1、α3は任意値であり、0を含むことができ、正の値とすることが好ましい。
上記したように上(または下)からi番目の温度センサの計測値Tiについて、その温度センサの直上の温度センサの計測値Ti−1と、その温度センサの直下の温度センサの計測値Ti+1とに基づいて、i番目の温度センサの正常範囲を規定する第1しきい値が設定される。このため貯留タンクの貯留室における上側の液温と下側の液温との温度差が大きいときには、計測値Ti−1と計測値Ti+1との温度差が大きくなるため、正常範囲と判定される温度幅が拡大する傾向がある。従って、正常範囲を規定する高温側第1しきい値、低温側第1しきい値が自動的に緩和される。このため貯留室における上側の液温と下側の液温との温度差が大きいときには、貯留室に対する水の出入りの影響等で貯留室の水が動くときであっても、温度センサが正常であれば正常範囲と判定される確率が高くなり、1次不調または2次不調であると誤判定されることが抑制される。
・また、第2しきい値は、1次不調範囲の高温側を規定する高温側第2しきい値と、1次不調範囲の低温側を規定する低温側第2しきい値とで形成されている形態が例示される。この場合、温度センサTiについての高温側第2しきい値をTiHSTとし、低温側第2しきい値をTiLSTとするとき、TiHST=Ti−1+α2であり、TiLST=Ti+1−α4である形態が例示される。ここで、α2,α4は任意値(0を含まない)であり、正の値とすることが好ましい。上記したように上(または下)からi番目の温度センサの計測値Tiについて、その温度センサの直上の温度センサの計測値Ti−1と、その温度センサの直下の温度センサの計測値Ti+1とにも基づいて、i番目の温度センサの1次不調範囲を規定する第2しきい値が設定される。
このため貯留タンクの貯留室における上側の液温と下側の液温との温度差が大きいときには、計測値Ti−1と計測値Ti+1との温度差が大きくなるため、1次不調範囲と判定される温度幅が拡大する傾向がある。従って、1次不調範囲および2次不調範囲の境界を規定する高温側第2しきい値、低温側第2しきい値が自動的に緩和される。このため貯留室に対する水の出入りの影響等で貯留室の水が動くときであっても、温度センサが正常であれば、2次不調であると誤判定されることが抑制される。
・前述したように、貯留タンクの貯留室における上側の液温と下側の液温との温度差が大きいときには、計測値Ti−1と計測値Ti+1との温度差が大きくなるため、正常範囲の温度幅が拡大する傾向がある。従って、正常範囲を規定する高温側第1しきい値、低温側第1しきい値が自動的に緩和される。逆からみれば、貯留タンクの加熱液全体が高温であり、貯留タンクの貯留室における上側の液温と下側の液温との温度差が小さいときには、計測値Ti−1と計測値Ti+1との温度差が小さくなるため、正常範囲と判定される温度幅が狭くなる傾向がある。従って、正常範囲を規定する高温側第1しきい値、低温側第1しきい値がきつくなる。この場合、温度センサが正常であるにも拘わらず、1次不調または2次不調であると誤判定されるおそれがある。そこで、貯留タンクの加熱液が長時間にわたりあまり消費されておらず、温度センサ群のうち高さ方向に間隔を隔てた複数の温度センサの温度差が所定温度未満であるとき、制御装置は、正常範囲を規定する第1しきい値および/または1次不調範囲を規定する第2しきい値を、正常範囲および/または1次不調範囲を拡大させる方向に緩和させる形態が例示される。
・吐液部および/または給液部を流れる液の単位時間あたりの流量が所定流量を超えるとき、貯留タンクの貯留室に貯留されている液の移動性が高いと考えられる。この場合、貯留室における液の動きが通常時よりも大きく、温度センサは正常であるにも拘わらず、1次不調または2次不調であると誤判定されるおそれがある。そこで、次の形態が例示される。即ち、吐液部および/または給液部を流れる液の流量を検知する流量検知部が設けられている形態が例示される。流量検知部により検知された単位時間あたりの流量が所定流量を超えるとき、制御装置は、正常範囲を規定する第1しきい値および/または1次不調範囲を規定する第2しきい値を、正常範囲および/または1次不調範囲を拡大させる方向に緩和(所定流量を越えないときに比較して緩和)させる。この場合、所定時間経過したり、計測回数が所定回数越えたら、貯留室における液の動きが沈静化していると推定されるため、緩和を解除し、第1しきい値および/または第2しきい値を元に戻すことができる。
・温度センサ群のうち高さ方向に間隔を隔てた複数の温度センサの温度差が所定温度を越える状態がある。即ち、複数の温度センサの温度差が大きく、貯留室に貯留されている加熱液のうち、上側の加熱液の温度と下側の加熱液の温度との差が大きいときがある。この場合、貯留室の加熱液が吐液部から吐出されたり貯留室に補充液が給液部から供給されたりすると、温度が相対的に低めおよび高めの液が貯留室において動くため、温度センサが正常であるにも拘わらず、1次不調または2次不調であると判定されるおそれがある。そこで次の形態が例示される。即ち、温度センサ群のうち高さ方向に間隔を隔てた複数の温度センサの温度差が所定温度を越えるとき、制御装置は、正常範囲を規定する第1しきい値および/または1次不調範囲を規定する第2しきい値を、正常範囲および/または1次不調範囲を拡大させる方向に緩和(所定温度を越えないときに比較して緩和)させることができる。この場合、基準時間から所定時間経過したり、計測回数が所定回数越えたら、貯留室における液の動きが沈静化していると推定されるため、しきい値の緩和を解除し、第1しきい値および/または第2しきい値を元に戻すことができる。
(実施形態1)
図1〜図11は実施形態1を示す。図1に示すように、システムは、発電源を構成するエンジン1および発電機2と、発電機2の電気エネルギの交流を直流に変換して電力消費部30(例えば一般家庭、業務店など)に給電する変換器3と、加熱水を貯留する貯留タンク4と、貯留タンク4に繋がれる吐水部6(吐液部)と、貯留タンク4に繋がれる給水部7(給液部)と、制御装置8とを備えている。発電機2はエンジン1で駆動されて電気エネルギを生成する。エンジン1は、発電機2を駆動させることにより電気エネルギを生成すると共に、高温となり熱エネルギを生成する。エンジン1は、燃料(気体燃料、液体燃料、固体燃料のいずれでも良い)の燃焼で駆動する。
貯留タンク4は、発電機2を発電させるときにエンジン1において生成された熱エネルギに起因する廃熱に基づいて加熱された加熱水(加熱液)を溜める貯留室40をもつ。貯留室40には水位センサ49が設けられており、通常の状態では貯留室40に貯留されている水位は温度センサ群9の上方であり、実質的に満水状態とされている。
貯留室40には温度センサ群9が配置されている。温度センサ群9は、貯留室40の高さ方向(深さ方向)に沿って上側から所定の間隔を隔てて並設された第1温度センサ91と、第2温度センサ92と、第3温度センサ93と、第4温度センサ94とをもつ。間隔は等間隔が好ましいが、場合によっては、等間隔でなくても良い。このように温度センサ群9を構成する温度センサの数は4個とされているが、これに限定されるものではない。5個以上でも良い。
吐水部6は、貯留タンク4に溜められている加熱水を加熱水消費部5に吐出するものである。吐水部6は、貯留タンク4の貯留室40の上部に連通することにより上部の加熱水を加熱水消費部5に向けて吐出するための吐出配管60と、吐出配管60を開閉させる吐出バルブ(開閉部)61と、ポンプ62(搬送源)を備える。重力のみで吐水できるときには、ポンプ62を廃止しても良い。給水部7は、貯留タンク4の貯留室40の水量が不足するとき、水を貯留室40に補充するものである。給水部7は、給水源79に繋がり貯留タンク4の貯留室40の下部に水を供給するための給水配管71と、給水配管71を開閉させる給水バルブ72(開閉部)とを備える。
このような貯留タンク4の貯留室40においては、通常の状態では、加熱水の水温は上側が高温となり、下側が低温となる傾向がある。貯留室40の下側から水源79から給水部7を介して水が補充され、貯留室40の上側から加熱水が吐水部6を介して吐出されるためである。また、貯留室40における加熱水の自然対流による影響でもある。
貯留タンク4に補充される水の流量を検知する流量検知部としての第1流量センサ75が、給水部7または貯留タンク4に設けられている。貯留タンク4から吐出される水の流量を検知する第2流量検知部としての第2流量センサ65が、吐水部6または貯留タンク4に設けられている。なお、場合によっては、第1流量センサ75および第2流量センサ65を装備せずとも良い。
制御装置8は、入力処理回路と、時間計測機能付きのCPUと、出力処理回路と、メモリ(RAM,ROM等)とを備えている。制御装置8のCPUは、エンジン1に燃料を供給する燃料供給部10と、エンジン1に空気を供給する空気供給部11と、吐出バルブ61と、ポンプ62、供給バルブ72等を指令する指令信号を出力処理回路を介して出力する。制御装置8の入力処理回路には、第1温度センサ91、第2温度センサ92、第3温度センサ93、第4温度センサ94の検知信号、変換器3、エンジン1、発電機2の信号、流量センサ75,65の検知信号、更には、電力消費部30の信号が入力される。
図2は、制御装置8が実行する発電処理の基本フローチャートを示す。図2に示すように、各温度センサ91〜94について故障判定処理を実行する(ステップS102)。ここで、故障(2次不調)と判定されたセンサについては故障判定フラグが立つ。2次不調よりも軽微な異状(1次不調)と判定されたセンサについては異状フラグが立つ。正常と判定されたセンサについては正常フラグが立つ。
第1温度センサ91〜第4温度センサ94の各正常フラグが立っているか否か判定する(ステップS104)。各正常フラグが立っていれば、全ての温度センサ、即ち、第1温度センサ91〜第4温度センサ94が正常である。第1温度センサ91〜第4温度センサ94が正常であれば、給湯負荷データを蓄積する蓄積処理を実行する(ステップS106)。給湯負荷データは所定時間(例えば1週間)ぶん蓄積し、メモリの所定のエリアに格納にする。
次に、現時点までに求められている給湯負荷データに基づいて、その日における給湯負荷予測を行う(ステップS108)。これによりその日における加熱水使用量が多い時間帯を予測し、予測に基づいてエンジン1を駆動させる。次に、タンク熱量推定処理を実行し、第1温度センサ91〜第4温度センサ94の検知結果に基づいて、貯留タンク4に貯留されている加熱水による現在の熱量を推定する(ステップS110)。
コージェネレーションにおける省エネルギ効果が上がるように、発電の有無の判定の準備を行う(ステップS112)。現時点で発電停止した方が良いか判定する(ステップS114)。発電停止した方が良いならば、発電停止制御を実行する(ステップS116)。具体的には、エンジン1の燃料供給部10および空気供給部11を制御し、エンジン1を停止させる。発電停止せずともよいならば、発電維持制御(必要に応じて発電量を低減させる場合も含む)を実行する(ステップS118)。その後、ステップS102にリターンする。
ステップS104における判定の結果、第1温度センサ91〜第4温度センサ94の全部が正常でなければ、軽警告(1次警告)を警告器85に出力する(ステップS132)。次に、第1温度センサ91〜第4温度センサ94が故障(2次不調)でないか否か判定する(ステップS134)。故障(2次不調)でなければ(ステップS134のYes)、第1温度センサ91〜第4温度センサ94の全部が正常ではなく、且つ、第1温度センサ91〜第4温度センサ94のうちの少なくとも一つが異状(1次不調)であることに相当する。
このように第1温度センサ91〜第4温度センサ94のうちの少なくとも一つが軽微な異状(1次不調)であるとき、その温度センサの計測値を推定可能か否か判定する(ステップS136)。ここで、第1温度センサ91〜第4温度センサ94のうち複数のセンサが異状であると判定されるときには、推定できないと判定される。計測値を推定可能であれば(ステップS136のYes)、異状と判定された温度センサの計測値を推定する推定値を求める推定処理を実行(ステップS138)する。更に、ステップS110に進み、第1温度センサ91〜第4温度センサ94の検知結果(計測値の推定値を含む)に基づいて、タンク熱量推定処理を実行し、貯留タンク4に貯留されている加熱水による現在の熱量を推定する(ステップS110)。
ステップS136において推定不能と判定されると(ステップS136のNo)、システムの発電を停止した方が良いか否か判定する(ステップS1426)。発電を停止した方が良ければ(ステップS142のYes)、発電停止制御を実行する(ステップS116)。温度センサ91〜94の異状または故障が本システムに与える影響が大きいときには、発電を停止させることができる。
発電を停止する必要がなければ(ステップS142のNo)、発電量を低減させる制御(代替制御)を実行する(ステップS144)。
ステップS134における判定の結果、温度センサ91〜94のいずれかが故障(2次不調)していれば(ステップS134のNo)、重警告(2次警告)を警告器85に出力する(ステップS140)。次に、システムの発電を停止した方が良いか否か判定する(ステップS142)。発電を停止した方が良ければ(ステップS142のYes)、発電停止制御を実行する(ステップS116)。
発電を停止する必要がなければ(ステップS142のNo)、発電量を低減させる制御を実行する(ステップS144)。具体的には、発電させつつエンジン1および/または発電機2の回転数を低減させることができる。
このように本実施形態によれば、温度センサ91〜94のうちのいずれかが異状(1次不調)であると判定されるときであっても、発電運転を直ちに停止させること無く、その異状(1次不調)であると判定された温度センサの計測値が推定可能であるとき(ステップS136のYes)には、ステップS138を介してステップS110に進み、制御装置8は、エンジン1および発電機2に対して発電運転の維持を実施する。そして、1次不調であると一旦判定された当該温度センサの計測値が正常範囲Tnormalに戻ったときには、その温度センサが計測した実際の計測値に基づいて、発電運転の維持を継続させる。このように温度センサ91〜94のうちの少なくとも一つが、一旦、異状(1次不調)であると判定されるときであっても、エンジン1および発電機2(発電源)を停止させずとも良いため、エンジン1および発電機2(発電源)の起動処理を逐一実施せずとも良い。更に、コージェネレーションシステムによる省エネルギ効果を継続して利用することができ、コスト低減効果を得ることができる。ステップS134、ステップS136、ステップS138は、温度センサ91〜94のうちのいずれかが異状(1次不調)であると判定されるときであっても、発電運転を直ちに停止させること無く、発電運転を継続させる第1継続手段を構成する。ステップS134、ステップS140、ステップS142は、温度センサ91〜94のうちのいずれかが故障(2次不調)であると判定されるときであっても、発電運転を直ちに停止させること無く、重警告(2次警告)しつつ発電運転を継続させる第2継続手段を構成する。
図3は、第2温度センサ92(第1温度センサ91と第3温度センサ93との間に中間配置されている温度センサ)の判定のしきい値を示す。第2温度センサ92の計測値T2については、その上側の第1温度センサ91の計測値T1に対してプラスα21の高温側第1しきい値T2HFT(T2HFT=T1+α21)と、上側の第1温度センサ91の計測値T1に対してプラスα22の高温側第2しきい値T2HST(T2HST=T1+α22)が設定されている。
同様に、図3に示すように、第2温度センサ92の計測値T2については、その下側の第3温度センサ93の計測値T3に対してマイナスα23の低温側第1しきい値T2LFT(T2LFT=T3−α23)と、下側の第3温度センサ93の計測値T3に対してマイナスα24の低温側第2しきい値T2LST(T2LST=T3-α24)が設定されている。
ここで、高温側第1しきい値T2HFTに付されているHFTは、Higher First Threshold を意味する。低温側第1しきい値T2LFTに付されているLFTは、Lower First Threshold を意味する。高温側第2しきい値T2HSTに付されているHSTは、Higher Second Threshold を意味する。低温側第1しきい値T2LSTに付されているLSTは、Lower Second Threshold を意味する。
ここで、図3から理解できるように、第2温度センサ92の計測値T2が、高温側第1しきい値T2HFTと低温側第1しきい値T2LFTとの間に存在するとき、第2温度センサ92は正常範囲Tnormalであると判定される。
貯留タンク4等に応じて、上記したα21およびα23は0または正の値として適宜設定される。α21=0,α23=0でも良い。α21=0,α23=0であれば、T2HFT=T1となり、T2LFT=T3となり、第2温度センサ92の計測値T2が、その上方の隣の第1温度センサ91の計測値T1と、下方の隣の第3温度センサ93の計測値T3との範囲内に存在するとき、第2温度センサ92は正常範囲Tnormalと判定される。
また図3から理解できるように、第2温度センサ92の計測値T2が高温側第1しきい値T2HFTと高温側第2しきい値T2HSTとの間に位置するとき、第2温度センサ92は異状(1次不調)と判定される。更に、第2温度センサ92の計測値T2が高温側第2しきい値T2HSTを高温側に越えるとき、第2温度センサ92は故障(2次不調)と判定される。
同様に、図3から理解できるように、第2温度センサ92の計測値T2が、低温側第1しきい値T2LFTと低温側第2しきい値T2LSTとの間に存在するとき、第2温度センサ92は異状(1次不調)と判定される。更に、第2温度センサ92の計測値T2が低温側第2しきい値T2LSTを低温側に越えるとき、第2温度センサ92は故障(2次不調)と判定される。
なお、第2温度センサ92の計測値T2が、第1しきい値T2HFT、第2しきい値T2HST、第1しきい値T2LFT、第2しきい値T2LSTのそのものの値であるときには、正常範囲Tnormalに属するのか、異状範囲に属するのか、故障範囲に属するのかが不明となるおそれがある。この点については、正常範囲Tnormal、異状範囲、故障範囲を判定する各しきい値には、以下、以上、未満の区別がなされ、優先判定処理がなされている。第1温度センサ91、第3温度センサ93、第4温度センサ94についても同様である。
図3によれば、第2温度センサ92の計測値T2が、その上方の第1温度センサ91の計測値T1と、その下方の第3温度センサ93の計測値T3との間に存在するとき、第2温度センサ92は正常範囲Tnormalと判定される。このため貯留室40の加熱水が適度に吐出され、貯留室40における上側の水温と下側の水温との温度差が大きいときには、計測値T1と計測値T3との温度差が大きくなるため、正常範囲Tnormalであると判定される温度幅が拡大する傾向がある。従って、正常範囲Tnormalを規定する高温側第1しきい値T1HFT、低温側第1しきい値T1LFTが緩和される。このため貯留室40における上側の水温と下側の水温との温度差が大きいときには、貯留室40に対する水の出入りの影響等で、貯留室40の水が動くときであっても、第2温度センサ92が正常であれば、正常範囲Tnormalと判定され、誤判定されることが抑制される。他の温度センサの場合も同様である。
なお、貯留室40の加熱水が長時間にわたり消費されないときには、貯留室40に加熱水全体が高温となり、上側の水温と下側の水温との温度差が小さくなることがある。この場合、計測値T1と計測値T3との温度差が小さくなるため、正常範囲Tnormalであると判定される温度幅が狭くなる傾向がある
図4は、第2温度センサ92と第4温度センサ94との間に配置されている第3温度センサ93の判定のしきい値を示す。第3温度センサ93の計測値T3については、その上側の第2温度センサ92の計測値T2に対してプラスα31の高温側第1しきい値T3HFT(T3HFT=T2+α31)と、第2温度センサ92の計測値T2に対してプラスα32の高温側第2しきい値T3HST(T3HST=T2+α32)が設定されている。
同様に、図4に示すように、第3温度センサ93の計測値T3については、その下側の第4温度センサ94の計測値T4に対してマイナスα33の低温側第1しきい値T3LFT(T3LFT=T4−α33)と、下側の第4温度センサ94の計測値T4に対してマイナスα34の低温側第2しきい値T3LST(T3LST=T4−α34)が設定されている。
ここで、図4から理解できるように、第3温度センサ93の計測値T3が、高温側第1しきい値T3HFTと低温側第1しきい値T3LFTとの間に存在するとき、第3温度センサ93は正常であると判定される。貯留タンク4等に応じて、上記したα31およびα33は適宜設定される。α31=0,α33=0でも良い。α31=0,α33=0であれば、T3HFT=T2となり、T3LFT=T4となる。故に、第3温度センサ93の計測値T3が、上方の第2温度センサ92の計測値T2と、下方の第4温度センサ94の計測値T4との範囲内に存在するとき、第3温度センサ93は正常と判定される。
また図4から理解できるように、第3温度センサ93の計測値T3が高温側第1しきい値T3HFTと高温側第2しきい値T3HSTとの間に位置するとき、第3温度センサ93は異状(1次不調)と判定される。更に、第3温度センサ93の計測値T3が高温側第2しきい値T3HSTを高温側に越えるとき、第3温度センサ93は故障(2次不調)と判定される。
同様に、図4から理解できるように、第3温度センサ93の計測値T3が、低温側第1しきい値T3LFTと低温側第2しきい値T3LSTとの間に存在するとき、第3温度センサ93は異状(1次不調)と判定される。更に、第3温度センサ93の計測値T3が低温側第2しきい値T3LSTを低温側に越えるとき、第3温度センサ93は故障(2次不調)と判定される。
図5は、第1温度センサ91の判定のしきい値を示す。第1温度センサ91の計測値T1については、その上側に高温側ダミー温度センサが貯留室40内に存在すると仮定する。図5に示すように、第1温度センサ91の計測値T1ついては、高温側ダミー温度センサの計測値T0に対してプラスα11の高温側第1しきい値T1HFT(T1HFT=T0+α11)と、高温側ダミー温度センサの計測値T0に対してプラスα12の高温側第2しきい値T1HST(T1HST=T0+α12)が設定されている。なお、高温側ダミー温度センサの計測値T0は、第1温度センサ91の実際の計測値T1に対してγ1ぶん高温である旨を予め設定しておくことができる。
同様に、図5に示すように、第1温度センサ91の計測値T1については、その下側の第2温度センサ92の計測値T2に対してマイナスα13の低温側第1しきい値T1LFT(T1LFT=T2−α13)と、第2温度センサ92の計測値T2に対してマイナスα14の低温側第2しきい値T1LST(T1LST=T2-α14)が設定されている。
ここで、図5から理解できるように、第1温度センサ91の計測値T1が、高温側第1しきい値T1HFTと低温側第1しきい値T1HLTとの間に存在するとき、第1温度センサ91は正常であると判定される。貯留タンク4等に応じて、上記したα11およびα13は適宜設定される。α11=0,α13=0でも良い。α11=0,α13=0であれば、第1温度センサ91の計測値T1が、高温側ダミー温度センサの計測値T0と、下方の第2温度センサ92の計測値T2との範囲内に存在するとき、第1温度センサ91は正常と判定される。
また図5から理解できるように、第1温度センサ91の計測値T1が高温側第1しきい値T1HFTと高温側第2しきい値T1HSTとの間に位置するとき、第1温度センサ91は異状(1次不調)と判定される。更に、第1温度センサ91の計測値T1が高温側第2しきい値T1HSTを高温側に越えるとき、第1温度センサ91は故障(2次不調)と判定される。
同様に、図5から理解できるように、第1温度センサ91の計測値T1が、低温側第1しきい値T1LFTと低温側第2しきい値T1LSTとの間に存在するとき、第1温度センサ91は異状(1次不調)と判定される。更に、第1温度センサ91の計測値T1が低温側第2しきい値T1LSTを低温側に越えるとき、第1温度センサ91は故障(2次不調)と判定される。
図6は、第4温度センサ94の判定のしきい値を示す。第4温度センサ94の計測値T4については、図5に示すように、その上側の第3温度センサ93の計測値T3に対してプラスα41の高温側第1しきい値T4HFT(T4HFT=T3+α41)と、上側の第3温度センサ93の計測値T3に対してプラスα42の高温側第2しきい値T4HST(T4HST=T3+α42)が設定されている。
同様に、第4温度センサ94の下側に低温側ダミー温度センサが貯留室40内に存在すると仮定する。図6に示すように、第4温度センサ94の計測値T4については、その低温側ダミー温度センサの計測値T5に対してマイナスα43の低温側第1しきい値T4LFT(T4LFT=T5−α43)と、低温側ダミー温度センサの計測値T5に対してマイナスα44の低温側第2しきい値T4LST(T4LST=T5-α44)が設定されている。なお、低温側ダミー温度センサの計測値T5は、第4温度センサ94の実際の計測値T4に対してγ2ぶん低温である旨を予め設定しておくことができる。
ここで、図6から理解できるように、第4温度センサ94の計測値T4が、高温側第1しきい値T4HFTと低温側第1しきい値T4LFTとの間に存在するとき、第4温度センサ94は正常であると判定される。貯留タンク4等に応じて、上記したα41およびα43は適宜設定される。α41=0,α43=0でも良い。α41=0,α43=0であれば、第4温度センサ94の計測値T4が、低温側ダミー温度センサの計測値T5と、上方の第3温度センサ93の計測値T3との範囲内に存在するとき、第4温度センサ94は正常と判定される。
また図6から理解できるように、第4温度センサ94の計測値T4が高温側第1しきい値T4HFTと高温側第2しきい値T4HSTとの間に位置するとき、第4温度センサ94は異状(1次不調)と判定される。更に、第4温度センサ94の計測値T4が高温側第2しきい値T4HSTを高温側に越えるとき、第4温度センサ94は故障(2次不調)と判定される。
同様に、図6から理解できるように、第4温度センサ94の計測値T4が、低温側第1しきい値T4LFTと低温側第2しきい値T4LSTとの間に存在するとき、第4温度センサ94は異状(1次不調)と判定される。更に、第4温度センサ94の計測値T4が低温側第2しきい値T4LSTを低温側に越えるとき、第4温度センサ94は故障(2次不調)と判定される。
なお、上記したαに関する値は正の値(0を含む)であり、各温度センサ91〜94の位置、貯留タンク4の高さおよび形状、エンジン1の事情等に応じて適宜設定され、固定値でも良いし、時間または温度によって変動する変動値でも良い。
図7は、制御装置8が実行する温度センサ群9の故障判定処理(図2のステップS102に相当)を示す。図7に示すように、温度センサ群9を構成する温度センサについてしきい値を設定する(ステップS302)。次に、センサを示すカウント数iに1をインクリメントする(ステップS306)。そして、第1温度センサ91が故障(2次不調)状態であるか否か判定する(ステップS308)。第1温度センサ91が故障(2次不調)状態であれば、第1温度センサ91が故障している旨を示す故障フラグを立てる(ステップS310,第2手段)。第1温度センサ91が故障(2次不調)状態でなければ、第1温度センサ91が正常範囲Tnormalであるか否か判定する(ステップS312)。第1温度センサ91が正常範囲Tnormalであれば、第1温度センサ91が正常である旨を示す正常フラグを立てる(ステップS314,正常判定手段)。第1温度センサ91が正常でなければ、第1温度センサ91が異状(1次不調)である旨を示す異状フラグを立てる(ステップS316,第1手段)。次にカウント数iが4であるか否かを判定する(ステップS318)。カウント数iが4未満であれば(ステップS318のNo)、ステップS306に進み、センサを示すカウント数iに1をインクリメントする(ステップS306)。そして第2温度センサ92が故障(2次不調)状態であるか否か判定する(ステップS308)。第2温度センサ92が故障(2次不調)状態であれば、第2温度センサ92が故障していることを示す故障フラグを立てる(ステップS310)。第3温度センサ93が故障(2次不調)状態でなければ、第2温度センサ92が正常範囲Tnormalであるか否か判定する(ステップS312)。第2温度センサ92が正常範囲Tnormalであれば、第2温度センサ92が正常である旨を示す正常フラグを立てる(ステップS314)。第2温度センサ92が正常でなければ、第1温度センサ91が異状(1次不調)である旨を示す異状フラグを立てる(ステップS316)。次にカウント数iが4であるか否かを判定する(ステップS318)。カウント数iが4未満であれば(ステップS318のNo)、ステップS306に進み、センサを示すカウント数iに1をインクリメントし、第3温度センサ93について前述同様に判定処理を行い、更に第4温度センサ94についても前述同様に判定処理を行う。全部の温度センサ91〜94について正常、異状、故障の判定処理を実施したら、メインルーチンにリターンする。
図8は、制御装置8が実行する各温度センサについてのしきい値の設定処理を示す(図7のステップS302に相当)。まず、第1温度センサ91〜第2温度センサ94の計測値(計測温度)を読込む(ステップS402)。次にα11,α12,α13,α14……α41,α42,α43,α44を求める(ステップS404)。この場合、メモリに格納されているマップから読み込んでも良いし、演算で求めても良い。
即ち、第1温度センサ91についての高温側第1しきい値T1HFT、低温側第1しきい値T1LFT、高温側第2しきい値T1HST、低温側第2しきい値T1LSTを演算で求め設定する(ステップS406)。第2温度センサ92についての高温側第1しきい値T2HFT、低温側第1しきい値T2LFT、高温側第2しきい値T2HST、低温側第2しきい値T2LSTを演算で求め設定する。同様に、第3温度センサ93についての高温側第1しきい値T3HFT、低温側第1しきい値T3LFT、高温側第2しきい値T3HST、低温側第2しきい値T3LSTを演算で求め設定する。同様に、第4温度センサ94についての高温側第1しきい値T4HFT、低温側第1しきい値T4LFT、高温側第2しきい値T4HST、低温側第2しきい値T4LSTを演算で求め設定する(ステップS406)。そしてメインルーチンにリターンする。
図9は、制御装置8が実行する異状範囲の温度センサの計測値を推定する推定処理を示す(図2のフローチャートにおけるステップS138に相当する)。図9に示すように、最上側の第1温度センサ91、最下側の第4温度センサ94が異状か否か判定する(ステップS502)。最上側の第1温度センサ91、最下側の第4温度センサ94が異状であれば、発電停止処理または発電量低減処理を実行し(ステップS504)、メインルーチンにリターンする。
最上側の第1温度センサ91、最下側の第4温度センサ94が異状でなければ、温度センサの計測値の推定処理を実行する。即ち、中央側の温度センサである第2温度センサ92が異状であるか否か判定する(ステップS506)。第2温度センサ92が異状でなければ(ステップS506のNo)、中央側の温度センサである第3温度センサ93が異状であるか否か判定する(ステップS508)。第3温度センサ93が異状と判定されれば(ステップS508のYes)、異状と判定された第3温度センサ93よりも上側の第2温度センサ92の計測値T2と、異状と判定された第3温度センサ93よりも下側の第4温度センサ94の計測値T4とを求める(ステップS510)。そして、異状と判定された第3温度センサ93の計測値T3(推定値)を演算で求める(ステップS512,推定手段)。ステップS512においては、第3温度センサ93が異状であるため、その上側の隣の第2温度センサ92と、下側の隣の第4温度センサ94とが正常であるという条件のもとで、即ち、異状と判定された温度センサの上側および下側の隣の温度センサが正常であるという条件のもとで、制御装置8は、第2温度センサ92の計測値T2(異状と判定された温度センサの上側の温度センサの計測値)と、第4温度センサ94の計測値T4(異状と判定された温度センサの下側の温度センサの計測値)とを加算し、2で除算する。
即ち、制御装置8は、第2温度センサ92の計測値T2と第4温度センサ94の計測値T4との平均値(中間値)を求める演算を行い、平均値(中間値)を求める。そして、異状と判定された第3温度センサ93の計測値T3の推定値として、この平均値(中間値)を用いる。
また、ステップS506における判定の結果、第2温度センサ92が異状であれば(ステップS506のYes)、第3温度センサ93が異状であるか否か判定する(ステップS518)。第3温度センサ93が異状であれば(ステップS518のYes)、温度センサ群9を構成する中央側の第2温度センサ92および第3温度センサ93の双方が異状であるため、発電停止処理または発電量低減処理を実行する(ステップS504)。
第3温度センサ93が異状でなければ(ステップS518のNo)、第2温度センサ92が異状であるため、第2温度センサ92よりも上側の第1温度センサ91の計測値T1と、第2温度センサ92よりも下側の第3温度センサ93の計測値T3とを求める(ステップS520)。そして、第2温度センサ92の計測値(推定値)を演算する(ステップS522,推定手段)。即ち、ステップS522において、第2温度センサ92が異状であると判定されるとき、その上側の第1温度センサ91と、下側の第3温度センサ93とが正常であるという条件のもとで、制御装置8は、第1温度センサ91の計測値T1と第3温度センサ93の計測値T3とを加算し、2で除算する。即ち、制御装置8は、第1温度センサ91の計測値T1と第3温度センサ93の計測値T3との平均値を演算で求める。この平均値(中間値)を第2温度センサ92の計測値T2の推定値とする。そして、メインルーチンにリターンする。
なお、図9に示すフローチャートの説明において、異状の語句を故障の語句と置き換えることもできる。従って、ある温度センサ92が故障であると判定されるときであっても、その上側の温度センサと下側の第温度センサとが正常であるという条件のもとで、両者の温度センサの計測値の中間値を、制御装置8は、故障と判定された温度センサの計測値として推定することができる。
図10は、貯留タンク4の貯留されている加熱水による熱量を推定するタンク熱量推定処理(図2のステップS110)を示す。まず貯留タンク4に給水する水源の水温を計測する(ステップS602)。次に、第1温度センサ91、第2温度センサ92、第3温度センサ93、第4温度センサ94の温度を計測する(ステップS604)。次に加熱水による熱量を演算で求め(ステップS606)、メインルーチンにリターンする。図10は、貯留タンク4に加熱水として蓄積された熱量Q(給水される水に対する熱量)を求める演算式を示す。貯留タンク4に加熱水として蓄積された熱量Qをこの演算式に基づいて求める。
図11(A)(B)は、貯留タンク4に蓄積されている加熱水の熱量の変化のシュミュレーション結果を示す。図11(A)は、比較形態のシミュレーション結果を示す。比較形態では、温度センサが異状とされた後、その異状とされた温度センサの温度の値を使用せずに、シミュレーションしている。図11(B)は、実施形態1に係り、異状とされた温度センサの温度の推定を行ったときのシミュレーション結果を示す。図11(A)(B)では、全ての温度センサ91〜94が正常である場合の熱量を特性線X1,X2として示し、ある1個の温度センサが異状である場合の熱量を特性線Y1,Y2として示す。図11(A)(B)において、システムの始動開始から経過した時刻tcにおいて、温度センサ群9のうち1個の温度センサが異状となったことを前提とする。
図11(A)に示す比較形態によれば、時刻tcにおいて異状とされた温度センサは、実際の水温よりも低い温度を検知している。この比較形態によれば、貯留タンク4に加熱水として蓄積された熱量は、特性線X1と特性線Y1との比較から理解できるように、時刻tc以降からかなりずれる。即ち比較形態によれば、全ての温度センサが正常である場合の特性線X1に比較して、特性線Y1は、ΔW1ぶん大きくずれている。
これに対して図11(B)に示す実施形態1によれば、時刻tcにおいて温度センサが異状と判定されたときであっても、時刻tc以降において、異状とされた温度センサの温度を推定し、推定値を用いてコーネジェシステムを運転する。このため実施形態1によれば、特性線X2に示すように、時刻tc以降においても、温度センサが正常である場合とほぼ同様に、貯留タンク4内に加熱水として熱量を蓄積できる。即ち、貯留タンク4に加熱水として蓄積された熱量は、全ての温度センサ91〜94が正常である場合の特性線X2に比較して、時刻tc以降においてずれ量がないか、あるいは、かなり少ない。ずれたとしてもΔW3程度である。実施形態1に係るΔW3は、比較形態に係るΔW1,ΔW2よりもかなり小さい。
以上説明したように本実施形態によれば、温度センサ群9を構成する第1温度センサ91〜第4温度センサ94の計測値が正常範囲Tnormalを越え且つ異状(1次不調)範囲であるとき、制御装置8は、当該温度センサが異状(1次不調)であると推定する。当該温度センサの計測値が異状(1次不調)範囲を高温側または低温側に越えるとき、制御装置8は、当該温度センサが故障(2次不調)であると推定する。
更に本実施形態によれば、制御装置8は、温度センサ群9を構成する第1温度センサ91〜第4温度センサ94が異状(1次不調)状態であると推定されるとき、警告部85に1次警告(軽警告)を出力しつつも、エンジン1および発電機2に対して発電運転を維持させる。温度センサ群9を構成する第1温度センサ91〜第4温度センサ94が故障(2次不調)であると推定されるとき、エンジン1および発電機2に対して発電運転の停止または発電量低減処理を実施し、警告部85に2次警告(重警告)を実施する。2次警告により各温度センサ91〜94がメンテナンスされると共に、システムが必要に応じてメンテナンスされる。
ところで、温度センサ91〜94が正常であるにも拘わらず、温度センサ91〜94が異状(1次不調)であると判定されることがある。貯留タンク4内の水の動き等によるものと考えられる。そこで本実施形態によれば、図2に示すフローチャートのように、温度センサ91〜94のうちのいずれかが異状(1次不調)であると判定されるときであっても、その異状(1次不調)であると判定された温度センサの計測値が推定可能であるとき(ステップS122)には、ステップS136,ステップS138を介してステップS110に進み、制御装置8は、タンク熱量推定処理を実行しつつ、エンジン1および発電機2に対して発電運転の維持を実施する。
そして、1次不調であると一旦判定された当該温度センサの計測値が正常範囲Tnormalに戻ったときには、その温度センサが計測した実際の計測値に基づいて、タンク熱量推定処理を実行しつつ、発電運転の維持を継続させる。このように温度センサが一旦、異状(1次不調)であると判定されるときであっても、エンジン1および発電機2(発電源)を逐一停止させない。このためエンジン1および発電機2(発電源)の停止後の面倒な起動処理を逐一実施せずとも良い。更に、コージェネレーションシステムによる省エネルギ効果を継続して利用することができる。このようにコージェネレーションシステムのエンジン1および発電機2に対して発電運転の維持を実施するため、コージェネレーションによるコスト低減効果を得ることができる。更に、温度センサが故障(2次不調)状態であると判定されるときには(ステップS134のNo)、エンジン1および発電機2に対して重警告(2次警告)後に発電運転停止が必要か判定し、停止させる必要がなければ、発電量低減制御を実施しつつ発電運転を継続させる。
更に本実施形態によれば、温度センサ群9を構成する第1温度センサ91〜第4温度センサ94のうちいずれかが異状(1次不調)、または、故障(2次不調)であると判定されるとき、当該温度センサよりも高さが高い位置に設けられている温度センサの計測値と、当該温度センサよりも高さが低い位置に設けられている温度センサの計測値との間の中間値(例えば平均値など)を基準として、異状または故障と判定された当該温度センサの計測値を推定し、この推定値に基づいて、タンク熱量推定処理を実行する。従って、万一、温度センサが異状(1次不調)、または、故障(2次不調)であると判定されるときであっても、コージェネレーションシステムによるコスト低減効果を得ることができる。
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、図1〜図11を準用する。本実施例においても、第1温度センサ91、第2温度センサ92、第3温度センサ93、第4温度センサ94のうち、第2温度センサ92および/または第3温度センサ93(最上側でも、最下側でもない中間位置に配置されている温度センサ)が故障(または異状)のとき、制御装置8はその計測値を推定する。
ここで、第2温度センサ92が異状または故障しているときと判定されるとき、その上方の第1温度センサ91と、下方の第3温度センサ93とが正常であるという条件のもとで、制御装置8は、第1温度センサ91の計測値T1と第3温度センサ93の計測値T3とを加算し、η1(η1=は1.3〜2.7の範囲内、殊に、1.5〜2.5の範囲内の任意値)で除算する。η1は、貯留タンク4における各温度センサの位置等の要因に応じて温度分配に重みを付ける値である。
上記したように制御装置8は、第1温度センサ91の計測値T1と第3温度センサ93の計測値T3との中間値を求め、この中間値を第2温度センサ92の計測値T2の推定値とする。
また、第3温度センサ93が異状または故障しているときと判定されるとき、その上方の第2温度センサ92と、下方の第4温度センサ94とが正常であるという条件のもとで、制御装置8は、第2温度センサ92の計測値T2と第4温度センサ94の計測値T4とを加算し、η2(η2=は1.3〜2.7の範囲内、殊に、1.5〜2.5の範囲内の任意値)で除算する。即ち、制御装置8は、第2温度センサ92の計測値T2と第4温度センサ94の計測値T4との中間値を求め、この中間値を第3温度センサ93の計測値T3の推定値とする。η2は、貯留タンク4における各温度センサの位置等の要因に応じて温度分配に重みを付ける値である。
(実施形態3)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、図1〜図11を準用する。図1において、吐水部6および/または給水部7を流れる水の流量が第1所定流量VSETを超えて過剰に多いとき、貯留タンク4の貯留室40に出入りされる水の流量が多いため、貯留室40における水の移動性は高いと予測される。流量とは単位時間あたりの流量を意味する。
上記した場合には、貯留タンク4の貯留室40に出入りされる水の流量が多いため、貯留室40における水の動きの影響が通常時よりも多く、温度センサ91〜94が正常であるにも拘わらず、温度センサ91〜94の正否の誤判定が誘発されるおそれがある。ここで、通常時とは、吐水部6および/または給水部7を流れる水の流量が第1所定流量VSETを超えないときを意味する。
そこで、本実施形態によれば以下のようにされている。即ち、前記したように吐水部6から吐出させる水の流量を検知する流量検知部としての第2流量センサ65が設けられている。給水部7に給水される水の流量を検知する流量検知部としての第1流量センサ75が設けられている。流量センサ65および75のうちの少なくとも一方により検知された流量が第1所定流量VSETを超えるとき、制御装置8は、正常範囲Tnormalを規定する第1しきい値および1次不調範囲を規定する第2しきい値を、正常範囲Tnormalおよび1次不調範囲を拡大させる方向に緩和させる。通常状態に戻ったら、前記しきい値を元に戻す。
このように本実施形態によれば、温度センサ91〜94が正常であるにも拘わらず、貯留タンク4内における水の動きの影響で、異状(1次不調)または故障(2次不調)であると誤判定されることが抑制される。第1所定流量VSETの値は、貯留タンク4の貯留室40の容積および形状等に応じて設定できる。なお、貯留タンク4の水位は一般的にはほぼ一定水位(最上側の第1温度センサ91よりも上方の水位,例えば満水状態)に維持されるため、貯留タンク4から吐出された水の流量と、貯留タンク4に補充される水の流量とは基本的には同一と考えられる。
従って本実施形態によれば、第2温度センサ92については、前記したしきい値T2HFT=T1+α21+Δβ21とする。しきい値T2HST=T1+α22+Δβ22とする。しきい値T2LFT=T3−α23−Δβ23とする。しきい値T2LST=T3-α24−Δβ24とする。
第3温度センサ93については、しきい値T3HFT=T2+α31+Δβ31とする。しきい値T3HST=T2+α32+Δβ32とする。しきい値T3LFT=T4−α33−Δβ33とする。しきい値T3LST=T4−α34−Δβ34とする。第1温度センサ91の計測値T1ついては、しきい値T1HFT=T0+α11+Δβ11とする。しきい値T1HST=T0+α12+Δβ12とする。
第1温度センサ91の計測値T1については、しきい値T1LFT=T2−α13−Δβ13とする。しきい値T1LST=T2−α14−Δβ14とする。
第4温度センサ94については、しきい値T4HFT=T3+α41+Δβ41とする。しきい値T4HST=T3+α42+Δβ42とする。しきい値T4LFT=T5−α43−Δβ43とする。第2しきい値T4LST=T5−α44−Δβ44とする。ここで、βに関する値は正の任意値(0を越える)であり、αに関する値の補正項に相当するものであり、固定値でも良いし、計測値等に応じて変動する変動値でも良い。
なお、αに関する値、βに関する値は、貯留室40における各温度センサ91〜94の高さ位置、貯留タンク4の貯留室40の高さおよび形状、エンジン1の事情等に応じて適宜設定される。αに関する値、βに関する値は、制御装置8のメモリに格納しておき、その都度読み込んでも良く、あるいは、演算式に基づいて演算で求めても良い。
また本実施形態によれば、第2流量センサ65が検知した流量Vs、第1流量センサ75が検知した流量Vfに応じて、しきい値の緩和量を増加させても良い。換言すると、流量Vsおよび/または流量Vfが大きいほど、貯留タンク4に対する水の出し入れ量が大きいため、貯留タンク4内では加熱水の動きが発生しがちであり、制御装置8が正常な温度センサ91〜94を異状または故障と誤判定するおそれがある。このため流量Vsおよび/または流量Vfが大きいほど、前記したαに関する値、前記βに関する値を増加させる。同様に、流量Vsおよび/または流量Vfが小さいほど、前記したαに関する値、前記βに関する値を減少させる。これによりしきい値を緩和させる方向に補正する。
この場合、αに関する値、前記βに関する値と、流量Vs(または流量Vf)との関係をマップ化してメモリに格納しておき、流量Vs(または流量Vf)の変化につれて、マップから読みこんでも良い。あるいは、αに関する値、前記βに関する値と、流量Vs(または流量Vf)との関係を演算式化しておき、流量Vs(または流量Vf)の変化につれて、その都度、演算で求めても良い。
(実施形態4)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、図1〜図11を準用する。貯留室40の加熱水が長時間にわたり使用されていないときには、上側の加熱水の温度と下側の加熱水の温度との差が小さくなる傾向がある。従って、温度センサ群9のうち高さ方向に間隔を隔てた最上側の第1温度センサ91と最下側の第4温度センサ94との温度差ΔTが第1所定温度未満のときがある。この場合、正常範囲と判定される温度幅が狭いため、貯留タンク4の貯留室40に対して水が能動的に出入りしないときであっても、温度センサ91〜94が正常であるにもかかわらず、温度センサ91〜94の正否の誤判定が誘発されるおそれがある。
例えば、第2温度センサ92の計測値T2についてのしきい値を示す図3によれば、第2温度センサ92よりも上側の第1温度センサ91の計測値T1と、第2温度センサ92よりも下側の第3温度センサ93の計測値T3とが、第2温度センサ92の計測値T2に対して接近する。このため第2温度センサ92が正常であると判定される正常範囲Tnormal(図3参照)の温度幅が狭くなる傾向がある。
そこで制御装置8は、第1温度センサ91と第4温度センサ94との温度差ΔTが第1所定温度未満のときには、制御装置8は、正常範囲Tnormalを規定する第1しきい値T2HFT,T2LFT、および/または、1次不調範囲を規定する第2しきい値T2HST,T2LSTを、正常範囲Tnormalおよび/または1次不調範囲を拡大させる方向に緩和させる。緩和は、実施形態3と同様に、αに関する値、および/または、βに関する値を増加させることにより行い得る。前記した第1所定温度、αに関する値、および/または、βに関する値は、貯留室40における各温度センサ91〜94の高さ位置、貯留タンク4の貯留室40の高さおよび形状、エンジン1の事情等に応じて適宜設定される。
なお本実施形態によれば、温度センサ群9のうち高さ方向に間隔を隔てた最上側の第1温度センサ91と最下側の第4温度センサ94との温度差ΔTを基準としているが、これに限らず、第1温度センサ91と第3温度センサ93との温度差を基準としても良い。更に第2温度センサ92と第4温度センサ94との温度差を基準としても良い。
(実施形態5)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を有するため、図1〜図11を準用する。温度センサ群9のうち高さ方向に間隔を隔てた最上側の第1温度センサ91と最下側の第4温度センサ94との温度差ΔTが第2所定温度を越える状態がある。即ち、第1温度センサ91と下側の第4温度センサ94との温度差ΔTが大きく、貯留室40に貯留されている加熱水のうち、上側の加熱水の温度と下側の加熱水の温度との差が大きいときがある。この場合、貯留室40の加熱水が吐水部6から吐出されたり、冷たい補充水が貯留室40に給水部7から供給されたりして、貯留タンク4の貯留室40に対する水の出入り量が大きいときには、貯留室40において底側の低温の水の位置が貯留室40において動くことがある。このため温度センサ91〜94が正常であるにもかかわらず、温度センサ91〜94の正否が誤判定されるおそれがある。
そこで制御装置8は、第1温度センサ91と第4温度センサ94との温度差ΔTが第2所定温度を越えるとき、および/または、貯留室40に対する水の出入り量が大きいとき(流量Vsおよび/または流量Vfが大きいとき)には、制御装置8は、正常範囲Tnormalを規定する第1しきい値および/または1次不調範囲を規定する第2しきい値を、正常範囲および/または1次不調範囲を拡大させる方向に緩和させる。緩和は、実施形態3と同様に、αに関する値、βに関する値を考慮することにより行い得る。
上記した温度差ΔTが大きい場合には、貯留室40の水が動くとき、貯留室40の底側の水温の影響が大きいため、温度差ΔTが大きいほど、前記したαに関する値、前記βに関する値を増加させることができる。また温度差ΔTが小さいほど、前記したαに関する値、前記βに関する値を減少させることができる。これによりしきい値を緩和させる方向に補正することができる。
本実施形態によれば、貯留室40に対する水の出入りが停止されてから、基準時刻から第2所定時間経過したり、計測回数が第2所定回数越えたら、貯留室40における水の動きが沈静化していると推定されるため、しきい値の緩和を解除し、第1しきい値および/または第2しきい値を元に戻すことができる。
前記した第2所定温度、αに関する値、βに関する値は、貯留室40における各温度センサ91〜94の高さ位置、貯留タンク4の貯留室40の高さおよび形状、エンジン1の事情等に応じて適宜設定される。
本実施形態によれば、温度センサ群9のうち高さ方向に間隔を隔てた最上側の第1温度センサ91と最下側の第4温度センサ94との温度差ΔTを基準としているが、これに限らず、第1温度センサ91と第3温度センサ93との温度差を基準としても良い。更に第2温度センサ92と第4温度センサ94との温度差を基準としても良い。
(適用形態1)
図12は適用形態1を示す。図12に示すように、エンジン冷却水を循環させるエンジン冷却水循環路100が設けられている。エンジン冷却水循環路100には、第1ポンプ101、エンジン1、三方バルブ102(切替バルブ)、ラジエータ103、熱交換器104の放熱側の第1熱交換部104fが設けられている。貯留タンク4の加熱水を循環させる加熱水循環路200が設けられている。加熱水循環路200には、貯留タンク4、第2ポンプ202、熱交換器104の受熱側の第2熱交換部104sが設けられている。熱交換器104においては第1熱交換部104fと第2熱交換部104sとが熱交換する。エンジン1が駆動を開始した駆動初期では、エンジン1があまり加熱されておらず、エンジン冷却水循環路100を流れるエンジン冷却水の温度は低いため、三方バルブ102によりエンジン冷却水をラジエータ103側に流れないようにする。これに対してエンジン1が駆動を開始して時間が経過すると、エンジン1が次第に昇温し、エンジン冷却水循環路100を流れるエンジン冷却水の温度は昇温するため、熱交換器104だけでは熱交換が不足するため、三方バルブ102によりエンジン冷却水をラジエータ103側に流し、ラジエータ103で放熱させる。
エンジン冷却水循環路100をエンジン冷却水が循環するとき、第1熱交換部104fと第2熱交換部104sとは熱交換するため、第2ポンプ202が駆動して貯留タンク4の水を加熱水循環路200を介して循環させれば、加熱水循環路200を流れる水は次第に昇温する。ひいては貯留タンク4に貯留されている水が次第に昇温し、貯留タンク4に蓄熱される熱量が増加する。本適用形態によれば、貯留タンク4内の加熱水は加熱水消費部5(一般家庭または業務店など)で直接使用され、入浴用や飲食用としても使用できる。
(適用形態2)
図13は適用形態2を示す。図13に示すように、エンジン冷却水を循環させるエンジン冷却水循環路100が設けられている。エンジン冷却水循環路100には、第1ポンプ101、エンジン1、三方バルブ102(切替バルブ)、ラジエータ103、貯留タンク4が設けられている。エンジン冷却水は貯留タンク4に貯留される。貯留タンク4のタンク水を循環させるタンク水循環路300が設けられている。タンク水循環路300には、第3ポンプ303、熱交換器304の放熱側の第1熱交換部304fが設けられている。加熱水消費部5に繋がる使用水供給通路400が設けられている。使用水供給通路400に設けられている第4ポンプ404が駆動すると、使用水供給通路400の使用水は循環する。熱交換器304において第1熱交換部304fの第2熱交換部304sとは熱交換する。エンジン1が駆動を開始して時間が経過すると、エンジン1が次第に昇温し、エンジン冷却水循環路100を流れるエンジン冷却水の温度は昇温するため、三方バルブ102によりエンジン冷却水をラジエータ102側に流し、ラジエータ102で放熱させる。このとき、貯留タンク4のタンク水は次第に昇温し、蓄熱される。第3ポンプ303が駆動するため、貯留タンク4の水はタンク水循環路300を循環する。第4ポンプ404が駆動するため、水は使用水供給通路400を流れる。開閉バルブ406を開放すれば、使用水供給通路400の加熱水が得られる。本適用形態によれば、貯留タンク4内の水は、加熱水消費部5(一般家庭または業務店など)において飲食用などに直接使用されるものではなく、エンジン冷却水として使用される。
(その他)
上記した実施形態によれば、温度センサ群9を構成する温度センサの数は4個とされているが、これに限定されるものではない。5個以上でも良く、貯留タンク4の高さ等に応じて設定できる。温度センサ群を構成する複数の温度センサは、均等間隔で配置しても良いし、不均等間隔で配置しても良い。上記した実施形態および適用形態によれば、発電源としては、エンジン1で駆動される発電機2が採用されているが、これに限らず、燃料および酸化剤で発電する燃料電池としても良い。燃料電池は、起動や停止に時間がかかるため、燃料電池の不要な停止を抑制できることは有用である。吐水部6は貯留タンク4の貯留室40の上部に連通するが、これに限定されない。給水部7の給水配管71は貯留室40の下部に連通するが、これに限定されず、中間部でも良い。本発明は上記した実施形態および適用形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した記載から次の技術的思想が把握される。
[付記項1]発電運転により電気エネルギを生成すると共に発電に伴う熱エネルギを生成する発電源と、発電源の発電時に生成された熱エネルギに起因する廃熱に基づいて加熱された加熱液を溜める貯留室と、貯留室の高さ方向に沿って間隔を隔てて並設された複数の温度センサをもつ温度センサ群とを有する貯留タンクと、貯留タンクの貯留室の加熱液を貯留タンク外に吐出する吐液部と、貯留タンクの貯留室に補充液を供給する給液部と、発電源を制御する制御装置とを具備していることを特徴とするコージェネレーションシステム。
[付記項2]加熱された加熱液を溜める貯留室と、貯留室の高さ方向に沿って間隔を隔てて並設された複数の温度センサをもつ温度センサ群とを有する貯留タンクと、貯留タンクの貯留室の加熱液を貯留タンク外に吐出する吐液部と、貯留タンクの貯留室に補充液を供給する給液部と、発電源を制御する制御装置とを具備する貯留タンク装置において、前記制御装置は、前記温度センサ群のうち少なくとも一つの前記温度センサの計測値について、正常範囲を規定する第1しきい値と、前記正常範囲と重複しつつ前記正常範囲よりも広い1次不調範囲を規定する第2しきい値とを備え、当該温度センサの計測値が前記正常範囲を越え且つ前記1次不調範囲内であるとき、当該温度センサが1次不調であると判定する第1手段と、当該温度センサの計測値が前記1次不調範囲を越えるとき、当該温度センサが前記1次不調よりも不調度が高い2次不調であると判定する第2手段とを有することを特徴とする貯留タンク装置。
[付記項3]付記項2において、前記第1しきい値は、前記正常範囲の高温側を規定する高温側第1しきい値と、前記正常範囲の低温側を規定する低温側第1しきい値とで形成されており、前記温度センサ群のうち最も上側の前記温度センサおよび最も下側の前記温度センサを除いた中間位置に配置されており且つ上または下からi番目の前記温度センサの計測値をTiとし、前記温度センサTiの直上の温度センサの計測値をTi−1とし、前記温度センサTiの直下の前記温度センサの計測値をTi+1とし、且つ、前記温度センサTiについての前記高温側第1しきい値をTiHFTとし、前記低温側第1しきい値をTiLFTとするとき、TiHFT=Ti−1+α1であり、TiLFT=Ti+1−α3であることを特徴とする貯留タンク装置。α1,α3は任意値(0を含む)