JP2004245451A - 貯湯式給湯システム - Google Patents

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桂嗣 滝本
Shin Iwata
伸 岩田
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Abstract

【課題】比較的簡単な構成でもって、貯湯タンクの温水としての蓄熱量を正確に演算することができる貯湯式給湯システムを提供すること。
【解決手段】温水を成層状態で貯湯する貯湯タンクと、貯湯タンク内に配設されたサーミスタ36〜42と、貯湯タンク内の温水による蓄熱量を演算するための蓄熱量演算手段66と、を具備する貯湯式給湯システム。蓄熱量演算手段66は、温水の成層境界部がサーミスタ36〜42のいずれかを通過すると、貯湯タンク内に蓄えられた温水量とサーミスタの検知温度を利用して、貯湯タンク内の温水による蓄熱量を演算する。また、現蓄熱量演算手段72は、蓄熱量演算手段66による蓄熱量、入熱量演算手段68による入熱量及び出漁演算手段70による出熱量を用いて貯湯タンクの現蓄熱量を演算する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱を温水として貯える貯湯タンクを備えた貯湯式給湯システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭用コージェネレーションシステムなどに適用される貯湯式給湯システムは、熱源機としての熱電併給装置(例えば、内燃機関と発電機との組合せ)と、熱電併給装置からの排熱を温水として貯える貯湯タンクと、この熱電併給装置を運転制御するための制御手段とを備えている。このような給湯システムにおいては、貯湯タンク内の温水を検知する温度センサ(例えば、サーミスタ)が間隔をおいて数個(例えば4〜5個)設けられ、これら温度センサの検知温度を用いて貯湯タンク内の温水に蓄熱された熱量が演算される。即ち、温度センサの検知温度、貯湯タンクの入水温度差、及び隣接する温度センサ間の部分のタンク保有水量に基づいて、貯湯タンクの温水としての蓄熱量が演算される(例えば、特許文献1参照)。貯湯タンクに蓄熱された熱量を演算することによって、今後必要とされる熱負荷(例えば、浴槽の湯張りなど)に対してどの程度まかなうことができるかが判断でき、温水の不足、放熱ロスなどを少なくし、熱電併給装置の効率的な運転制御が可能となる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−248907号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような貯湯式給湯システムでは、貯湯タンク内の温水は成層状態で貯湯され、成層境界部よりも上側は温水となり、貯湯温度(例えば60℃程度)に保たれ、この成層境界部よりも下側は水となり、入水温度(例えば5℃程度)に保たれる。このように温水が成層状態で貯湯される場合、成層境界部の位置を検知することによって、貯湯タンクの蓄熱量をほぼ正確に演算することができる。
【0005】
しかし、従来の給湯システムでは、数個の温度センサが配設されているのみであり、それ故に、隣接する温度センサ間に温水の成層境界部が位置していると、温度状態を正確に検知することができない。このような状態では、貯湯タンクの蓄熱量が不正確になり、熱電併給装置からの必要熱量を把握することができず、熱電併給装置の運転制御を効率的に行うことができなくなる。
【0006】
本発明の目的は、比較的簡単な構成でもって、貯湯タンクの温水としての蓄熱量を正確に演算することができる貯湯式給湯システムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の貯湯式給湯システムは、温水を成層状態で貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内に配設された温度検知手段と、前記貯湯タンク内の温水による蓄熱量を演算するための蓄熱量演算手段と、を備え、
前記蓄熱量演算手段は、温水の成層境界部が前記温度検知手段を通過すると、前記貯湯タンク内に蓄えられた温水量と前記温度検知手段の検知温度を利用して、前記貯湯タンク内の温水による蓄熱量を演算することを特徴とする。
【0008】
この貯湯式給湯システムにおいては、貯湯タンク内の温水の成層境界部が温度検知手段を通過すると、その時点で蓄熱量演算手段は貯湯タンク内の蓄熱量を演算する。成層境界部が温度検知手段を通過した時点においては、この成層境界部の位置、換言すると貯湯タンク内の温水量を正確に知ることができ、この温水量、温度検知手段の検知温度を利用して貯湯タンクの蓄熱量を正確に演算することができる。尚、温水としての蓄熱量は、例えば、貯湯タンク内の温水量と、温水と水(貯湯タンクに入水される水)との温度差とに基づいて算出することができる。温度検知手段は、例えば、サーミスタから構成され、1又は2個以上のサーミスタが貯湯タンク内に配設される。
【0009】
本発明の請求項2記載の貯湯式給湯システムでは、熱を発生する熱源機と、熱を消費する熱負荷手段と、前記熱源機から前記貯湯タンクに温水として入熱される入熱量を演算する入熱量演算手段と、前記貯湯タンク内の温水から出熱される出熱量を演算する出熱量演算手段と、現時点の前記貯湯タンクの蓄熱量を演算する現蓄熱量演算手段とを更に具備し、
前記温度検知手段が温水の成層境界部を検知すると、前記蓄熱量演算手段は前記貯湯タンク内に蓄えられた温水量と前記温度検知手段の検知温度を利用して、前記貯湯タンク内の温水による蓄熱量を演算し、前記現蓄熱量演算手段は、前記蓄熱量演算手段による演算蓄熱量、前記入熱量演算手段による演算入熱量及び前記出熱量演算手段による演算出熱量に基づいて前記貯湯タンクの現時点の現蓄熱量を演算することを特徴とする。
【0010】
この貯湯式給湯システムにおいては、蓄熱量演算手段に加えて、入熱量演算手段、出熱量演算手段及び現蓄熱量演算手段が設けられている。蓄熱量演算手段は、温水の成層境界部が温度検知手段を通過した時点で貯湯タンクに貯えられた蓄熱量を演算し、その後、この蓄熱量を基準にして貯湯タンクの現蓄熱量が演算される。入熱量演算手段は熱源機から貯湯タンクに入熱される入熱量を演算し、出熱量演算手段は貯湯タンクから出熱される出熱量を演算し、現蓄熱量演算手段は、蓄熱量演算手段による蓄熱量、入熱量演算手段による入熱量及び出熱量演算手段による出熱量に基づいて現蓄熱量を演算し、このように演算することによって、温水の成層境界部位置を常時正確に検知しなくても貯湯タンクの現蓄熱量をほぼ正確に知ることができる。熱源機とは、家庭用コージェネレーションシステムにおける熱電併給装置(エンジンと発電機との組合せ、燃料電池など)、太陽熱利用温水発生器などであり、また貯湯タンクからの出熱とは、カランからの出湯などがある。
【0011】
また、本発明の請求項3記載の貯湯式給湯システムでは、現蓄熱量をクリアする熱量値クリア手段を更に備え、前記温度検知手段が温水の成層境界部を検知する毎に、前記熱量値クリア手段は前記現蓄熱量演算手段による現蓄熱量をクリアし、前記蓄熱量演算手段は前記貯湯タンク内に蓄えられた温水量と前記温度検知手段の検知温度を利用して、前記貯湯タンク内の温水による蓄熱量を再演算することを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、温水の成層境界部が温度検知手段を通過する毎に、熱量値クリア手段が現蓄熱量をクリアし、蓄熱量演算手段が貯湯タンクの蓄熱量の演算を行い、このようにすることによって、温水の成層境界部が通過する毎に蓄熱量の修正が行われ、貯湯タンクの温水としての現蓄熱量を正確に知ることができる。
【0013】
また、本発明の請求項4記載の貯湯式給湯システムでは、前記熱源機は熱電併給装置であり、前記熱電併給装置の排熱が温水として前記貯湯タンクに蓄熱されることを特徴とする。
【0014】
この貯湯式給湯システムによれば、熱源機が熱電併給装置であり、熱電併給装置からの排熱が温水として貯湯タンクに蓄えられる。熱電併給装置の排熱利用に提供される貯湯式給湯システムにおいて、貯湯タンクの蓄熱量を上述したようにして演算することによって、比較的簡単に且つ正確に知ることができ、これによって、熱電併給装置の効率的な運転制御が可能となる。
【0015】
また、本発明の請求項5記載の貯湯式給湯システムでは、前記温度検知手段が前記貯湯タンク内に上下方向に間隔をおいて複数個配設されていることを特徴とする。
【0016】
この貯湯式給湯システムにおいては、温度検知手段が貯湯タンク内に上下方向に間隔をおいて複数個設けられるので、出湯などによって温水量がある程度変動すると、温水の成層境界部が温度検知手段のいずれかを通過するようになり、これによって、貯湯タンクの蓄熱量の修正が適度の頻度でもって行われ、貯湯タンクの蓄熱量を正確に知ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う貯湯式給湯システムの実施形態について説明する。
第1の実施形態
図1〜図5を参照して、本発明に従う貯湯式給湯システムの第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態の貯湯式給湯システムを適用したコージェネレーションシステムの一例を簡略的に示す図であり、図2は、図1の給湯システムの貯湯タンク及びこれに関連する構成を簡略的に示す図であり、図3は、図2の貯湯タンク内の水(温水)の温度分布状態を説明するための図であり、図4は、図1の給湯システムの制御系を簡略的に示すブロック図であり、図5は、図4の制御系による現蓄熱量の演算の流れを示すフローチャートである。
【0018】
図1において、図示の貯湯式給湯システムは、コージェネレーションシステムに適用されており、電力と熱とを発生する熱電併給装置2(熱を発生する熱源機を構成する)と、熱電併給装置2にて発生した熱を回収して温水として貯える貯湯タンク4とを備えている。この形態では、熱電併給装置2は、内燃機関6(例えばガスエンジン、ディーゼルエンジンから構成される)及び内燃機関6により駆動される発電装置8の組合せから構成され、内燃機関6にて発生する排熱が後述する如くして貯湯タンク4に貯えられる。尚、熱源機としての熱電併給装置は、例えば外燃機関と発電装置との組合せ、燃料電池などから構成するようにしてもよい。
【0019】
発電装置8の出力側には系統連係用のインバータ10が設けられ、このインバータ10は発電装置8の出力電力を商業系統12から供給される電力と同じ電圧及び周波数にする。商用系統12は電力供給ライン14を介して各家庭の電力負荷16(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、照明装置など)に接続され、インバータ10はコージェネ用供給ライン18を介して電力供給ライン14に電気的に接続され、発電装置8からの発電電力がインバータ10及びコージェネ用供給ライン18を介して電力負荷16に供給される。
【0020】
貯湯タンク4には温水を循環する温水循環流路20が設けられ、その一端側が貯湯タンク4の底部に接続され、その他端側が貯湯タンク4の上端部に接続されている。この温水循環流路20には、熱交換器21及び温水循環ポンプ22が配設されている。従って、温水循環ポンプ22が作動すると、貯湯タンク4の底部の温水が温水循環流路20を通して流れ、熱交換器21にて後述する如く熱交換された後その上端部に流れ、このようにして貯湯タンク4内の水が加熱され温水となる。
【0021】
この貯湯タンク4の底部には、更に、水(例えば水道水)を供給するための給水流路26が接続され、その上端部には、温水を出湯するための温水出湯流路28が接続され、この温水出湯流路28には1又は2個以上のカラン(図示せず)が接続される。従って、カランを開栓すると、貯湯タンク4内の温水が温水出湯流路28を通して給湯される。
【0022】
熱電併給装置2は、更に、内燃機関6の冷却水を循環する冷却水循環流路30を含み、この冷却水循環流路30が、温水循環流路20に配設された熱交換器21に接続されている。従って、熱交換器21において、冷却水循環流路30を流れる冷却水と温水循環流路20を流れる水(温水)との間で熱交換が行われ、温水循環流路20を流れる水(温水)が加熱され、このようにして熱電併給装置2の排熱が温水として貯湯タンク4に蓄熱される。尚、冷却水循環流路30には、冷却水を循環するための冷却水循環ポンプ32が配設される。
【0023】
図2及び図3をも参照して、貯湯タンク4には、温水として貯えられる蓄熱量を計測するための蓄熱検知用手段34が設けられている。図示の蓄熱検知用手段34は4個のサーミスタ、即ち第1〜第4サーミスタ36,38,40,42(温度検知手段を構成する)から構成され、第1〜第4サーミスタ36,38,40,42が貯湯タンク4内に上下方向に所定間隔をおいて配設されている。第1〜第4サーミスタ36は貯湯タンク4の底部から上側にこの順序で配置され、その底部に第1サーミスタ36(図3においてST1と付す)が、この底部から約1/3の個所に第2サーミスタ38(図3においてST2と付す)が、この底部から約2/3の個所に第3サーミスタ40(図3においてST3と付す)が、またその上端部に第4サーミスタ42(図3においてST4と付す)がそれぞれ設けられる(図2参照)。
【0024】
このような貯湯式給湯システムでは、貯湯タンク4内の温水は成層状態で貯えられ、それ故に、温水の成層境界部44より下側は水であり、この成層境界部44より上側が温水となり、貯湯タンク4内の温水が増加(又は減少)すると、温水の成層境界部44は下方(又は上方)に移動する。例えば、この成層境界部44が第3サーミスタ40の配設位置に位置していると、このときの貯湯タンク4内の水(温水)の温度分布は図3に示すようになり、成層境界部44において水(温水)の温度が急激に変化する。尚、図3では、温水が60℃の状態で貯湯され、水が5℃の状態のときの温度分布を示している。
【0025】
この貯湯給湯システムでは、更に、貯湯タンク4への入熱量を計測するための入熱検知用手段46と、貯湯タンク4からの出熱量を計測するための出熱検知用手段48とが設けられている。図示の入熱検知用手段46は第1温度センサ50、第2温度センサ52及び第1流量センサ54から構成されている。第1温度センサ50は、温水循環流路20における熱交換器21の配設部位より上流側に配設され、貯湯タンク4の底部から循環される水の温度(熱交換器21の流入側温度)を検知する。第2温度センサ52は、温水循環流路20における熱交換器21の配設部位より下流側に配設され、熱交換器21にて熱交換されて加熱された温水の温度(熱交換器21の流出側温度)を検知する。また、第1流量センサ54は温水循環流路20を流れる温水の流量を検知する。
【0026】
また、図示の出熱検知用手段48は、第3温度センサ56、第4温度センサ58及び第2流量センサ60から構成されている。第3度センサ56は、温水出湯流路28に配設され、貯湯タンク4から温水出湯流路28を通して出湯される温水の温度を検知する。第4温度センサ58は、給水流路26に配設され、貯湯タンク4に給水される水(水道水)の温度を検知し、第3温度センサ56及び第4温度センサ58の温度差を利用して入水温度差を計測する。また、第2流量センサ60は温水出湯流路28を流れる温水の流量を検知する。
【0027】
図4を参照して、この給湯システムは、例えばマイクロプロセッサから構成される制御手段62によって作動制御されるとともに、貯湯タンク4の蓄熱量及び現蓄熱量が演算される。図示の制御手段62は、作動制御手段64、蓄熱量演算手段66、入熱量演算手段68、出熱量演算手段70、現蓄熱量演算手段72及び熱量値クリア手段74を含んでいる。作動制御手段64は給湯システムの各種構成要素、例えば熱電併給装置2、インバータ10、温水循環ポンプ22、冷却水循環ポンプ32などを作動制御する。蓄熱量演算手段66は、蓄熱検知用手段34からの検知信号及び第4温度センサ58の検知信号を用いて貯湯タンク4の蓄熱量を演算し、この貯湯タンク4の蓄熱量T1は、T1=(温水量)×(入水温度差)となる。図2に示すように、例えば第3サーミスタ40が温水の成層境界部44を検知すると、この時点における貯湯タンク4の蓄熱量T1は、貯湯タンク4の貯湯温水量(第3サーミスタ40より上側の空間の容積)と入水温度差(第4サーミスタ42の検知温度と第4温度センサ58の検知温度との差)との積となり、蓄熱量T1を演算して正確に計測することができる。
【0028】
また、入熱量演算手段68は、入熱検知用手段46からの検知信号を用いて貯湯タンク4への入熱量を演算し、この入熱量T2は、T2=(温水量)×(水の上昇温度)、即ち温水循環流路20を流れる温水流量(第1流量センサ54の検知流量)と上昇温度(第2温度センサ52の検知温度と第1温度センサ50の検知温度との差)との積となり、入熱量T2を演算して正確に計測することができる。
【0029】
また、出熱量演算手段70は、出熱検知用手段48からの検知信号を用いて貯湯タンク4からの出熱量を演算し、この出熱量T3は、T3=(温水量)×(入水温度差)、即ち温水出湯流路28を流れる温水流量(第2流量センサ60の検知流量)と入水温度差(第3温度センサ56検知温度と第4温度センサ58の検知温度との差)との積となり、出熱量T3を演算して正確に計測することができる。
【0030】
更に、現蓄熱量演算手段72は、現時点における貯湯タンク4の蓄熱量を演算し、この現蓄熱量T4は、T4=(蓄熱量T1)+(入熱量T2)−(出熱量T3)となり、蓄熱量演算手段66、入熱量演算手段68及び出熱量演算手段70の演算値を用いて算出することができる。尚、現蓄熱量T4が演算されると、その後は、前の現蓄熱量T4、入熱量T2及び出熱量T3を用いて現蓄熱量T4が演算される。また、熱量値クリア手段74は、現蓄熱量演算手段72が演算した熱量値をクリアする。
【0031】
制御手段62は、更に、第1メモリ76、第2メモリ78及び計時手段80を含んでいる。第1メモリ76には、熱電併給装置2などを運転制御するための運転スケジュールなどが記憶され、第2メモリ78には各種演算値(蓄熱量T1、入熱量T2、出熱量T3、現蓄熱量T4)などが記憶される。また、計時手段52は、熱電併給装置2などを運転制御するために用いる時刻を計時する。
【0032】
次に、主として図4及び図5を参照して、上述した給湯システムにおける現蓄熱量の演算の流れを説明する。この給湯システムにおいては、貯湯タンク4内の温水の成層境界部44が蓄熱検知用手段34を通過する、換言すると、第1〜第4サーミスタ36〜42のいずれかを通過すると、ステップS1からステップS2に進み、この通過した時点における貯湯タンク4の蓄熱量の演算が行われる。即ち、蓄熱量演算手段66が、上述したように、蓄熱検知用手段34からの検知信号及び第4温度センサ58の検知信号を用いて蓄熱量T1を演算し、この蓄熱量T1が第2メモリ78に記憶される。
【0033】
その後、所定測定時間、例えば1分経過すると、ステップS3からステップS4に進み、所定測定時間における貯湯タンク4への入熱量の演算が行われる。即ち、入熱量演算手段68は、上述したように、入熱検知用手段46からの検知信号を用いて貯湯タンク4への入熱量T2を演算し、この入熱量T2が第2メモリ78に記憶される。また、所定測定時間における貯湯タンク4からの出熱量の演算が行われる(ステップS5)。即ち、出熱量演算手段70は、上述したように、出熱検知用手段48からの検知信号を用いて貯湯タンク4からの出熱量T3を演算し、この出熱量T3が第2メモリ78に記憶される。そして、この所定測定時間経過した現時点における貯湯タンク4の現蓄熱量が演算される。(ステップS6)即ち、現蓄熱量演算手段72は、上述したように、第2メモリ78に記憶された蓄熱量T1、入熱量T2及び出熱量T3を用いて現蓄熱量T4を演算し、この現蓄熱量T4が第2メモリ78に記憶される。
【0034】
温水の成層境界部44が再び蓄熱検知用手段34を通過するまでは、ステップS7からステップS3に戻り、上述したステップS3からステップS7が繰り返し遂行され、所定測定時間毎に現蓄熱量演算手段72により現蓄熱量T4が演算される。この演算は、前の現蓄熱量T4と、次の所定測定時間における入熱量T2及び出熱量T3とを用いて行われ、このように演算することによって、刻々と変動する貯湯タンク4の現蓄熱量を演算して正確に測定することができる。
【0035】
蓄熱又は出熱によって温水の成層境界部44が変動して蓄熱検知用手段34を再度通過すると、ステップS7からステップS8に進み、熱量値クリア手段74が現蓄熱量値をクリアし、貯湯タンク4の蓄熱量の再演算が上述したように行われ(ステップS9)、その後ステップS3以降が上述したように遂行される。このように現蓄熱量値がクリアされて蓄熱量が再演算されるので、温水の成層境界部44が蓄熱検知用手段34、即ち第1〜第4サーミスタ36〜42のいずれかを通過する毎に、現蓄熱量が修正され、これによって、貯湯タンク4の蓄熱量を正確に測定することが可能となる。
【0036】
上述した実施形態では、温水の成層境界部44が第1〜第4サーミスタ36〜42のいずれかを通過する毎に現蓄熱量をクリアして再演算するようにしているが、このような構成に限定されず、例えば、中間に配設された第2及び第3サーミスタ38,40のいずれかを通過する毎に現蓄熱量をクリアして再演算するようにしてもよい。
【0037】
図6は、熱電併給装置の排熱回収機構に修正が施されている。図6において、この変形例では、熱交換器21Aが貯湯タンク4A内に配設され、熱電併給装置2の内燃機関6の冷却水循環流路30Aがこの熱交換器21Aに接続され、冷却水循環流路30Aを流れる冷却水との熱交換によって、貯湯タンク4A内の水(温水)が直接的に加熱されるように構成されている。
【0038】
このような構成の貯湯システムにおいては、入熱検知用手段46Aの各種センサは、次のように設けられる。第1温度センサ50Aは、冷却水循環流路30Aにおける熱交換器21Aの配設部位より上流側に配設され、内燃機関6から熱交換器21Aに流れる冷却水の温度(熱交換器21Aの流入側温度)を検知する。第2温度センサ52Aは、冷却水循環流路30Aにおける熱交換器21Aの配設部位より下流側に配設され、熱交換器21Aにて熱交換されて冷却された冷却水の温度(熱交換器21Aの流出側温度)を検知する。また、第1流量センサ54Aは冷却水循環流路30Aを流れる冷却水の流量を検知する。
【0039】
上述した入熱検知用手段46Aを用いた場合、入熱量演算手段68は、第1及び第2温度センサ50A,52Aの検知温度並びに第1流量センサ54Aの検知流量を用いて貯湯タンク4Aへの入熱量を演算し、この入熱量T2は、T2=(温水量)×(冷却水の下降温度)、即ち冷却水循環流路30Aを流れる冷却水流量(第1流量センサ54Aの検知流量)と下降温度(第1温度センサ50Aの検知温度と第2温度センサ52Aの検知温度との差)との積となり、このように演算しても、入熱量T2を演算して正確に計測することができる。この変形形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一でよく、第1の実施形態と同様に、貯湯タンク4Aの現蓄熱量を演算により正確に計測することができる。
【0040】
第2の実施形態
図7〜図9を参照して、本発明に従う貯湯式給湯システムの第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態の貯湯式給湯システムを適用したコージェネレーションシステムの他の例を簡略的に示す図であり、図8は、図7の給湯システムの制御系を簡略的に示すブロック図であり、図9は、図8の制御系による現蓄熱量の演算の流れを示すフローチャートである。この第2の実施形態では、熱負荷として給湯熱負荷に加えて暖房熱負荷が作用する。尚、第2の実施形態において、第1の実施形態と実質上同一のものには同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図7及び図8において、この第2の実施形態では、貯湯タンク4に関連して暖房循環流路92が設けられ、この暖房循環流路92の一端側が温水循環流路24の上流側部(熱交換器21より上流側の部位)に接続され、その他端側が温水循環流路20の下流側部(熱交換器21より下流側の部位)に接続されている。この暖房循環流路92には暖房用熱交換器94が配設され、暖房熱負荷としての床暖房装置96の床暖房用循環流路98が暖房用熱交換器94に接続されている。また、温水循環流路20の上流端部(具体的には、暖房循環流路92との接続部と貯湯タンク4との間の部位)には第1開閉弁100が配設され、暖房循環流路92に第2開閉弁102が配設されている。
【0042】
このような給湯システムでは、第1開閉弁100が開状態になる(このとき、第2開閉弁102は閉状態に保持される)とともに、温水循環ポンプ22が作動すると、貯湯タンク4の底部からの水(温水)が温水循環流路20を通して流れ、熱交換器21にて冷却水との間で熱交換されて加熱され、かく加熱された温水が貯湯タンク4の上部に流入し、このようにして熱電併給装置2の排熱が温水として蓄熱される。また、第2開閉弁102が開状態になる(このとき、第1開閉弁100は閉状態に保持される)とともに、温水循環ポンプ22が作動すると、貯湯タンク4内の水(温水)が温水循環流路20及び暖房循環流路92を通して循環され、かく循環される間に、熱交換器21にて熱電併給装置2からの冷却水と温水循環流路20を流れる温水との間で熱交換が行われて温水が加熱され、また暖房用熱交換器94にて暖房循環流路92を流れる温水と床暖房用循環流路98を流れる温水との間で熱交換が行われて床暖房用循環流路98の温水が加熱され、貯湯タンク4に蓄熱された熱及び貯湯タンク4に入熱される熱が床暖房装置96に出熱して消費される。
【0043】
暖房用熱負荷(床暖房装置96)が設けられていることに関連して、制御手段34Aの出熱量演算手段70Aは、給湯熱負荷による出熱量を演算するための出湯熱量演算手段103と、暖房熱負荷による出熱量を演算するための暖房熱量演算手段104を含んでいる。また、床暖房装置96の運転制御するためのリモコン106が設けられ、このリモコン106によって、床暖房装置96の運転、運転停止、運転時間、暖房設定温度などが設定され、暖房熱量演算手段104は、単位時間当たりの出熱量を基準にして、床暖房装置96の運転時間との関連で出熱量を演算する。第2の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0044】
主として図8及び図9を参照してこの給湯システムにおける現蓄熱量の演算の流れを説明する。貯湯タンク4内の温水の成層境界部が蓄熱検知用手段34を通過すると、蓄熱量演算手段66によって貯湯タンク4の蓄熱量が演算され(ステップS12)、その後、所定測定時間経過する毎に、入熱量演算手段68によって貯湯タンク4への入熱量が演算され(ステップS14)、出湯熱量演算手段103によって給湯による出熱量が演算され(ステップS15)、また暖房熱量演算手段104によって床暖房による出熱量が演算され(ステップS16)。そして、現蓄熱量演算手段72Aは、蓄熱量演算手段66の蓄熱量(又は現蓄熱量演算手段72Aによる前の現蓄熱量)、入熱量演算手段68の入熱量、出湯熱量演算手段103の出熱量、暖房熱量演算手段104の出熱量に基づいて貯湯タンク4の現蓄熱量を演算し、この現蓄熱量T4は、T4=(蓄熱量演算手段66の蓄熱量T1)+(入熱量演算手段68の入熱量T2)−(出湯熱量演算手段103の出熱量)−(暖房熱量演算手段104の出熱量)となる。これらステップS11からステップS18の流れは、第1の実施形態におけるステップS1からステップS7の流れと基本的に同一であり、このようにして給湯による熱負荷及び床暖房による熱負荷を考慮して、貯湯タンク4の現蓄熱量が所定測定時間毎に演算される。
【0045】
その後、温水の成層境界部44が変動して蓄熱検知用手段34を再度通過すると、第1の実施形態と同様に、熱量値クリア手段74が現蓄熱量値をクリアし(ステップS19)、貯湯タンク4の蓄熱量の再演算が上述したように行われ(ステップS20)、その後ステップS13以降が上述したように遂行される。このように現蓄熱量値が再演算されるので、温水の成層境界部44が蓄熱検知用手段34を通過する毎に、現蓄熱量が修正され、第1の実施形態と同様に、貯湯タンク4の蓄熱量を正確に測定することが可能となる。
【0046】
以上、本発明に従う貯湯式給湯システムの実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0047】
例えば、図示の実施形態では、貯湯タンク4への入熱量を熱交換器21の流入側と流出側の温度差とそこを流れる流量とに基づいて算出しているが、このような構成に代えて、熱電併給装置2(内燃機関6)の単位時間当たりの運転による入熱量を基準にして、熱電併給装置2の運転時間との関連で入熱量を推定演算するようにしてもよい。
【0048】
また、例えば、上述した実施形態では、床暖房装置6による出熱量を単位時間当たりの運転による出熱量を基準に運転時間との関連で推定演算しているが、このような構成に代えて、暖房用熱交換器94の流入側と流出側の温度差とそこを流れる流量とに基づいて算出するようにしてもよい。
【0049】
また、例えば、上述した実施形態では、貯湯タンク4,4A内に温度検知手段を4個設けているが、1個以上設けることによって、上述した蓄熱量、現蓄熱量の計測が可能となる。
【0050】
また、例えば、第2の実施形態では、暖房用熱負荷として床暖房装置96を用いているが、これに代えて、又はこれに加えて浴室暖房乾燥機などを適用するようにしてもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の貯湯式給湯システムによれば、貯湯タンク内の温水の成層境界部が温度検知手段を通過すると、その時点で蓄熱量演算手段は貯湯タンク内の蓄熱量を演算するので、成層境界部が温度検知手段を通過した時点における貯湯タンクの蓄熱量を正確に演算することができる。
【0052】
また、本発明の請求項2記載の貯湯式給湯システムによれば、蓄熱量演算手段に加えて、入熱量演算手段、出熱量演算手段及び現蓄熱量演算手段が設けられているので、蓄熱量演算手段による蓄熱量、入熱量演算手段による入熱量、出熱量演算手段による出熱量に基づいて貯湯タンクの現蓄熱量を計測することができる。
【0053】
また、本発明の請求項3記載の貯湯式給湯システムによれば、温水の成層境界部が温度検知手段を通過する毎に、熱量値クリア手段が現蓄熱量をクリアし、蓄熱量演算手段が貯湯タンクの蓄熱量の演算を行うので、温水の成層境界部が通過する毎に蓄熱量の修正が行われ、貯湯タンクの温水としての現蓄熱量を正確に知ることができる。
【0054】
また、本発明の請求項4記載の貯湯式給湯システムによれば、熱電併給装置からの排熱を温水として貯湯タンクに蓄えることができ、貯湯タンクの蓄熱量を用いることによって、熱電併給装置を効率的に運転制御することができる。
【0055】
また、本発明の請求項5記載の貯湯式給湯システムによれば、温度検知手段が貯湯タンク内に上下方向に間隔をおいて複数個設けられるので、出湯などによって温水量がある程度変動すると、温水の成層境界部が温度検知手段のいずれかを通過するようになり、これによって、貯湯タンクの蓄熱量の修正が適度の頻度でもって行われ、貯湯タンクの蓄熱量を正確に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の貯湯式給湯システムを適用したコージェネレーションシステムの一例を簡略的に示す図である。
【図2】図1の給湯システムの貯湯タンク及びこれに関連する構成を簡略的に示す図である。
【図3】図2の貯湯タンク内の水の温度分布状態を説明するための図である。
【図4】図1の給湯システムの制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図5】図4の制御系による現蓄熱量の演算の流れを示すフローチャートである。
【図6】熱電併給装置の排熱回収機構の変形形態の要部を簡略的に示す図である。
【図7】第2の実施形態の貯湯式給湯システムを適用したコージェネレーションシステムの他の例を簡略的に示す図である。
【図8】図7の給湯システムの制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図9】図8の制御系による現蓄熱量の演算の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 熱電併給装置
4,4A 貯湯タンク
6 内燃機関
8 発電装置
10 インバータ
16 電力負荷
20 温水循環流路
21,21A 熱交換器
28 温水出湯流路
30,30A 冷却水循環流路
34 蓄熱検知用手段
44 温水の成層境界部
46,46A 入熱検知用手段
48 出熱検知用手段
62,62A 制御手段
64 作動制御手段
66 蓄熱量演算手段
68 入熱量演算手段
70,72A 出熱量演算手段
72,72A 現蓄熱量演算手段
74 熱量値クリア手段
103 出湯熱量演算手段
104 暖房熱量演算手段

Claims (5)

  1. 温水を成層状態で貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内に配設された温度検知手段と、前記貯湯タンク内の温水による蓄熱量を演算するための蓄熱量演算手段と、を備え、
    前記蓄熱量演算手段は、温水の成層境界部が前記温度検知手段を通過すると、前記貯湯タンク内に蓄えられた温水量と前記温度検知手段の検知温度を利用して、前記貯湯タンク内の温水による蓄熱量を演算することを特徴とする貯湯式給湯システム。
  2. 熱を発生する熱源機と、熱を消費する熱負荷手段と、前記熱源機から前記貯湯タンクに温水として入熱される入熱量を演算する入熱量演算手段と、前記貯湯タンク内の温水から出熱される出熱量を演算する出熱量演算手段と、現時点の前記貯湯タンクの蓄熱量を演算する現蓄熱量演算手段とを更に具備し、
    前記温度検知手段が温水の成層境界部を検知すると、前記蓄熱量演算手段は前記貯湯タンク内に蓄えられた温水量と前記温度検知手段の検知温度を利用して、前記貯湯タンク内の温水による蓄熱量を演算し、前記現蓄熱量演算手段は、前記蓄熱量演算手段による演算蓄熱量、前記入熱量演算手段による演算入熱量及び前記出熱量演算手段による演算出熱量に基づいて前記貯湯タンクの現時点の現蓄熱量を演算する請求項1記載の貯湯式給湯システム。
  3. 現蓄熱量をクリアする熱量値クリア手段を更に備え、前記温度検知手段が温水の成層境界部を検知する毎に、前記熱量値クリア手段は前記現蓄熱量演算手段による現蓄熱量をクリアし、前記蓄熱量演算手段は前記貯湯タンク内に蓄えられた温水量と前記温度検知手段の検知温度を利用して、前記貯湯タンク内の温水による蓄熱量を再演算する請求項2記載の貯湯式給湯システム。
  4. 前記熱源機は熱電併給装置であり、前記熱電併給装置の排熱が温水として前記貯湯タンクに蓄熱される請求項2又は3記載の貯湯式給湯システム。
  5. 前記温度検知手段が前記貯湯タンク内に上下方向に間隔をおいて複数個配設されている請求項1〜4のいずれかに記載の貯湯式給湯システム。
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