JP5114701B2 - マイクロツール研削装置及び方法 - Google Patents
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Description
すなわち、アスペクト比が大きく極細のマイクロツールを加工する際は、加工抵抗により破断や曲がり(歪み)が発生しやすい問題点がある。
また、仮にさらに微細な加工ができたとしても、加工表面が粗ければ加工による凹凸(すなわちスクラッチ痕)を起点としてき裂が発生しやすくなるなど、さまざまな理由によりその加工は困難を極めている。
したがって、例えば、100μm以下の直径を有し、アスペクト比(直径に対する長さの比)が大きい(例えば10以上の)マイクロツールを、表面粗さが滑らかでかつ高い寸法精度で製造することは、従来非常に困難であった。
前記各砥石は、軸心からの半径が漸増するテーパ部を有する2枚の円錐形砥石と、軸心を中心に一定の半径を有する2枚の円筒形砥石とからなり、
前記円筒形砥石及び円錐形砥石は、それぞれ対にして構成され、該円筒及び円錐の側面でワークを研削するものであり、
前記砥石移動装置により、前記各砥石を、ワークに向けて軸対称又は等間隔に同期して移動し、研削時のワークの変形を砥石自体により抑制する、ことを特徴とするマイクロツール研削装置が提供される。
ワークの外周面を加工する形状の前記円筒形砥石又は前記円錐形砥石を有する複数の砥石装置を、ワークの軸心を中心に軸対称又は等間隔に配置し、
前記各円筒形形状及び前記各円錐形砥石を、ワークに向けて軸対称又は等間隔に同期して移動し、研削時のワークの変形を砥石自体により抑制する、ことを特徴とするマイクロツール研削方法が提供される。
更に、各砥石の外周面に近接して設けられた複数の電解用電極を備え、
複数対の電極と砥石との間に導電性研削液を流し、各砥石を電解ドレッシングで目立てしながら、複数の砥石でワークを研削する。
本発明では、前記砥石は、軸心からの半径が漸増するテーパ部を有する円錐形砥石である。
また、砥石が導電性砥石であり、各砥石の外周面に近接して設けられた複数の電解用電極を備えることにより、各砥石を電解ドレッシングで目立てしながら、複数の砥石でワークを研削することができ、表面粗さが滑らかで高い寸法精度を有するマイクロツールを製作することができる。
動力伝達手段24は、この例では、2組のプーリ24a、1対のタイミングベルト24b、及び動力伝達シャフト24cからなる。なお、プーリとタイミングベルトに代えて、歯車、その他の動力伝達機構を用いてもよい。
回転駆動装置26は、ワーク1を軸心を中心に回転駆動するワーク回転装置であっても、ワーク1を軸心を中心に所定の角度ずつ回転させるインデックス装置であってもよい。
なお、この例において、ワーク1の軸心(Z軸)は、水平に支持されているが、これに限定されず、Z軸を鉛直、その他の任意の向きとすることができる。
図3に示すように、砥石移動装置40は、この例では、砥石31を駆動する電動機32が固定された左右1対のテーブル42、各テーブルの下部に取り付けられたボールネジ用ナット43、各ナットと螺合する1対のボールネジ44、各ボールネジをその軸心(X軸)を中心に回転駆動する手動ハンドル45とステッピングモータ46、及び1対のボールネジの端部を着脱可能に連結する電磁クラッチ47とからなる。
1対のボールネジ44は、一方が右ネジ、他方が左ネジであり、電磁クラッチ47で連結した状態で回転駆動することにより、各砥石31を、ワーク1に向けて軸対称に同期して移動させ、研削時のワークの変形を軸対称位置の砥石により抑制するようになっている。
なお、電磁クラッチ47を切って1対のボールネジ44を分離することにより、手動ハンドル45とステッピングモータ46でそれぞれ別々に移動させることもできる。また、左右の位置調整のみに手動ハンドル45を用いてもよい。
上述した装置を用い、この図に示すように、細長い棒状のワーク1をワーク保持装置20により所定の位置に保持し、同一形状の複数の砥石31をワーク1の軸心(Z軸)を中心に軸対称又は等間隔に配置し、砥石移動装置40により各砥石31を、ワーク1に向けて軸対称又は等間隔に同期してX軸方向に移動してワークの外周面を又は等間隔位置で研削することにより、ワークに作用する加工力が軸対称又は等間隔となり、研削時のワークの変形を砥石自体により抑制する。
砥石31が偶数の場合は、砥石をワーク1の軸心を中心に軸対称に配置する。また砥石31が奇数の場合は、砥石をワーク1の軸心を中心に周方向に等間隔に配置する。
従って、極細のマイクロツールを加工するためには、(A)のように2枚のストレート砥石を用いるのが最も好ましい。
この図のように先端が円錐状の砥石を使用すれば、3、4と砥石枚を増やしても、加工可能なマイクロツール最小径への制約は少なくできる。
図7(B)は、砥石が4つの場合の同様の断面図である。この図に例示するように、砥石間に棒状の(−)電極12を付設することでELID研削(電解インプロセスドレッシング研削)も容易に実施できる。
図20は、同一形状のストレート砥石2枚と円錐状砥石2枚を使用して加工する場合の第2の配置例であり、(A)は平面図、(B)は切断面における断面図である。この図に示すように、ストレート砥石2枚と円錐状砥石2枚をそれぞれ対にして構成するなどの複合方式でも、能率と微小化とたわみ抑制の効果が高い。
通常のストレート砥石を複数枚使用して、できるだけ小径のマイクロツールを加工する手段として、この図のように砥石31をできるだけ薄刃として、位置をずらして同時に加工する。厳密には、マイクロツールの軸線Z上の同位置からの切り込みではないが、砥石厚み分のずれであることから、変形は小さく実用可能である。
図9(A)において、2つの砥石軸は独立して制御可能であり、同時にワーク1に切り込むことも、別々に切り込むこともできる。また左右のZ軸移動は砥石軸を動かしても、砥石軸ではなくワーク軸を動かしてもよい。更に、2つの砥石軸のZ軸移動を別々にもできる。例えば特に長いワーク1で、両側をチャックして加工する場合は、片方の砥石だけでツール加工を行い、もう片方の砥石で先端部を切断することもできる。
図9(B)に示すように、砥石軸自体を回転/チルトさせることで、ストレート状のマイクロツール以外にテーパを付けることができる。
図10(A)に示すように、偶数角数に加工する場合には、対向する面を同時に加工することができる。
また、奇数角数に加工する場合には、3枚以上の砥石で加工しようとすると、砥石径をかなり小さくする必要があるため、図10(B)に示すように、片方の砥石回転軸をθ傾け、バックアップ部材2でワーク1の撓みを防止して加工することができる。
(参考例1)
特許文献1の旋回電極式ELID研削システムを搭載した小型立型円筒研削加工機によるマイクロツール加工を行った。その加工機の構造図を図11に、加工方式の模式図を図12に示す。図11、図12において、51はワーク、52は導電性砥石、56は電解用電極、60はZ軸送りステージ、61はELID電源、62は研削液供給装置である。
この加工機を用いて、表1に示す加工条件のもと、超硬合金のワークに回転運動を与えず、XYステージの制御動作によりピラミッド型マイクロツールの加工を行った。特に、鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石#4000を用いたELID研削システムと、高精度ツルーイング方法を併用することで、先端2μm角のピラミッド型マイクロツールの製作に成功した。
マイクロツール加工において、更なる加工効率の向上を目的として、2枚の砥石を用いた卓上型円筒研削加工機(図1に示したマイクロツール研削装置)の開発を行った。その開発した加工機の主な仕様を表2に示す。
すなわち、X軸上に対向するように設置された2頭の砥石31には、図3に示した電磁クラッチ47により両方向からステップ切り込みを与えることが可能であり、ワークに作用する加工力が軸対称となるため、切り込み時におけるワークの変形(たわみ)を抑制でき、高精度なマイクロツールを製作することが可能である。
ワーク寸法はφ0.5mm〜5.0mm、最大長さ120mmである。
なお、図2における回転駆動装置26は、ワーク1を軸心を中心に所定の角度ずつ回転させるインデックスユニットであってもよく、これにより、マイクロツールの断面形状を任意の多角形形状に加工できる。このインデックスユニットは、ワークの円周に対して100等分の割り出しが可能である。
さらに、本加工機には、図3に示したようにELID研削システムを搭載でき、多角形(断面形状)加工以外にも、長尺の円筒加工、端面加工、切断加工、テーパ加工のなど、数多くの加工方式が選択できる。
これら開発した本加工機を用いて、ELID研削加工による円筒形状および多角形形状のマイクロツールの加工を行ったので、その加工特性について次に述べる。
砥石31として鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石#1200を用いたELID研削加工により、マイクロ円筒ツールの加工を行った。なお、加工前には、加工機上にて、砥石のツルーイングによる砥石加工面の形状を修正した後、ELID初期ドレスを行い、加工を開始した。主な加工条件を表3に示すが、これらの加工条件は小型縦型円筒研削盤により実証された条件を参考にしている。
なお、上向き加工とは、ワークと砥石の接点において回転方向が反対の加工(いわゆるアップカット)、下向き加工とはワークと砥石の接点において回転方向が同一の加工(いわゆるダウンカット)を意味する。図14は、Type−Aの下向き加工/下向き加工を示している。
また、三次元表面構造解析顕微鏡(Zygo社製:NewView 5032)により加工面粗さの計測を行った。その測定結果を図15に示す。砥石回転方向の相違を比較した結果はType−C; 下向き加工/下向き加工の結果がPV:1.265μm、Ra:0.089μm、と一番加工面粗さが良いことがわかる。次いで、Type−Aの結果がPV:1.427μm、Ra:0.113μmとなった。
さらに、形状精度の評価として、真円度測定器(ミツトヨ社製:真円度測定器)によるマイクロ円筒ツールの真円度測定を行った。その測定結果の一例を図16に示すが、それぞれの真円度は0.3μm以下となり、大きな差が認められなかった。これらのことにより、砥石回転方向により加工面粗さに影響をおよぼすことが示唆された。
主軸ヘッド部にインデックスユニットを搭載し、超硬合金を用いたマイクロ多角形(断面形状)ツールの加工を行った。特に、ここではマイクロツールを用いた実際の切削加工を考慮し、切れ刃となり得る多角形の形状加工に焦点を当てた。マイクロ多角形ツール加工の主な加工条件を表6に示す。この例では、図9(A)に示したようにワーク1を一端支持により加工した。
この観察結果から、主軸ヘッド部へインデックスを使用することにより、アスペクト比が大きく、良好な加工面粗さおよび形状精度を有する多角形形状のマイクロツール加工が施されていることがわかる。
また、砥石31が導電性砥石であり、各砥石の外周面に近接して設けられた複数の電解用電極12を備えることにより、各砥石31を電解ドレッシングで目立てしながら、複数の砥石でワークを研削することができ、表面粗さが滑らかで高い寸法精度を有するマイクロツールを製作することができる。
10 マイクロツール研削装置、12 電解用電極、14 ELID電源、
20 ワーク保持装置、22 チャック、24 動力伝達手段、
24a プーリ、24b タイミングベルト、
24c 動力伝達シャフト、26 回転駆動装置、
30 砥石装置、31 砥石(導電性砥石)、32 電動機、
40 砥石移動装置、42 テーブル、
43 ボールネジ用ナット、44 ボールネジ、
45 手動ハンドル、46 ステッピングモータ、
47 電磁クラッチ
Claims (7)
- 細長い棒状のワークを所定の位置に保持するワーク保持装置と、ワークの軸心を中心に軸対称又は等間隔に配置されワークの外周面を加工する形状の砥石を有する複数の砥石装置と、該複数の砥石をワークに向けて移動する砥石移動装置とを備え、
前記各砥石は、軸心からの半径が漸増するテーパ部を有する2枚の円錐形砥石と、軸心を中心に一定の半径を有する2枚の円筒形砥石とからなり、
前記円筒形砥石及び円錐形砥石は、それぞれ対にして構成され、該円筒及び円錐の側面でワークを研削するものであり、
前記砥石移動装置により、前記各砥石を、ワークに向けて軸対称又は等間隔に同期して移動し、研削時のワークの変形を砥石自体により抑制する、ことを特徴とするマイクロツール研削装置。 - 前記各円錐形砥石の先端が下方を向くように、前記各円錐形砥石が配置され、かつ、前記ワークが鉛直方向に配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロツール研削装置。
- 前記ワーク保持装置は、ワークを軸心を中心に回転駆動するワーク回転装置である、ことを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載のマイクロツール研削装置。
- 前記ワーク保持装置は、ワークを軸心を中心に所定の角度ずつ回転させるワークインデックス装置である、ことを特徴とする請求項1、2または3のいずれか一項に記載のマイクロツール研削装置。
- 前記砥石は、その軸心を中心に回転駆動される導電性砥石であり、
更に、各砥石の外周面に近接して設けられた複数の電解用電極を備え、
複数対の電極と砥石との間に導電性研削液を流し、各砥石を電解ドレッシングで目立てしながら、複数の砥石でワークを研削する、ことを特徴とする請求項1、2または3のいずれか一項に記載のマイクロツール研削装置。 - 軸心からの半径が漸増するテーパ部を有する2枚の円錐形砥石及び軸心を中心に一定の半径を有する2枚の円筒形砥石をそれぞれ対にして構成し、該円錐及び円筒の側面でワークを研削するマイクロツール研削方法であって、
細長い棒状のワークを所定の位置に保持し、
ワークの外周面を加工する形状の前記円筒形砥石又は前記円錐形砥石を有する複数の砥石装置を、ワークの軸心を中心に軸対称又は等間隔に配置し、
前記各円筒形形状及び前記各円錐形砥石を、ワークに向けて軸対称又は等間隔に同期して移動し、研削時のワークの変形を砥石自体により抑制する、ことを特徴とするマイクロツール研削方法。 - 前記各円錐形砥石の先端が下方を向くように、前記各円錐形砥石を配置し、かつ、前記ワークを鉛直方向に配置する、ことを特徴とする請求項6に記載のマイクロツール研削方法。
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