JP5651868B2 - 表面仕上げ判定装置 - Google Patents
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Description
また、研磨対象の金属材料を回転させながら研磨する工程において、例えば研磨対象がベアリングの構成部品である、ベアリングの内輪または外輪(以下、ワークと呼ぶ)におけるボールやコロの軌道面である場合、軌道面の同心軸にてワークを回転させ、ワークの回転方向に直交する方向にて砥石を接触かつ揺動する工程にて研磨を行っている(特許文献1〜7および非特許文献1参照。)。図5〜図7に、特許文献から引用したワークの研磨例を示す。このワークにおいて、前述の接触式や光学式の粗さ計により研磨状態を検査するとなると、粗さ計をワークの回転方向に直交する方向に一ラインスキャンして粗さ分布を調べることになる。なお、本発明では、ベアリングとは、ボールや内輪、外輪などの部品ではなく、軸受け構造に組み上げられた製品を指すものとする。このため、ボールを指す時は、ベアリング球または単にボールと呼び、区別する。
しかし、ワークの研磨面は、転がり方向または直角方向に曲面であるとともに、面の粗さの評価基準であるRa値が0.2μm以下であることが望ましい鏡面または鏡面に近い状態であるため、研磨痕の分布状態を観測することが困難であり、例えば、ベアリングの生産ラインにおいて、ワークの研磨状態を検査および評価できる装置が普及していない。このため、ワークの研磨面の仕上がりは、完成したベアリングが音や振動や耐久性などを評価されることにより、間接的に評価されることとなる。
すなわち、本発明の目的は、金属表面の仕上げを評価する装置であって、製造現場における使用に適する装置を提供することにある。
上記第1の観点による表面仕上げ判定装置では、例えば、図1に示す構成とすることができる。図1では、加工表面200aを有する加工対象200をモータ105の回転軸に接続し、ラインスキャンカメラ(ラインセンサカメラとも言う)101にてレンズ102を介して撮影する。このとき、ラインスキャンカメラ101の走査線方向は、加工対象200の回転軸に平行な方向とすることが望ましい。また図中には、ラインスキャンカメラ102による撮影視野300を模式的に示す。このとき、照明は、例えばレンズ102を介して撮影視野300と同方向に加工対象200に向かって落射する照明とすることができる。また、撮影視野300と加工表面200aのなす角を反射角とする入射角に位置した照明や、加工表面200aの周囲にて拡散光を発する照明とすることもできる。モータ105を駆動するモータドライバ105aおよびラインスキャンカメラ101は、パーソナルコンピュータ(PC)103に接続され、PC103に設定したプログラムにより、ラインスキャンカメラ101およびモータ105の制御を行うことができる。また、PC103にはディスプレイ104が接続され、PC103によりモータ105を回転させながらラインスキャンカメラ101にて撮影した画像を表示することや、その撮影画像を画像処理した結果の画像表示や、画像処理した結果を用いた良否判定結果を表示することができる。なお、画像処理結果を用いた良否判定は、例えば、予め記録しておいた良品ワークの画像との類似度をテンプレートマッチングにて計測して、任意の閾値にて良否を分別することができる。すなわち、ラインスキャンカメラを用いて撮影対象の加工対象を回転させることにより、加工対象が回転方向に対して曲面の加工面であっても、加工表面の画像を取得することができ、加工表面全域に対する画像処理による判定が可能となる。
上記第2の観点による表面仕上げ判定装置では、加工表面の画像を2次元的に取得する利点を活かし、2次元画像上において表面粗さの方向性を画像処理により解析し、これまでの一ライン上の粗さ分布の計測ではなしえなかった、回転方向と表面粗さの形態、特に、表面粗さの方向性を新しい粗さの評価基準に提供できる。特に、前記加工対象がベアリングのワークにおけるボールやコロの軌道面であった場合、単純に表面粗さを計測して解析するのではなく、ワークの回転方向に対してどのような表面粗さの形態がベアリングの耐久性や静動性などに有効であるかを、方向性を踏まえて評価することができる。
上記第3の観点による表面仕上げ判定装置では、撮影した画像の画像処理段階において、加工痕の模様を視認しやすいように強調する処理を行うものであり、例えば、撮影画像の明るさの平均値を基準に正規化することや、移動平均や局所平均によるノイズ除去、エッジ検出により加工痕を強調することができる。
上記第4の観点による表面仕上げ判定装置では、撮影画像や加工痕の強調処理後の画像に対して、フーリエ変換(Fourier Transform)、離散的フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)、または高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を、画像の縦方向と横方向の2次元にて行い、その結果の2次元スペクトル画像を、縦軸に画像の一方の方向、横軸に画像の他方の方向を割り当てた周波数成分の2次元グラフに、各成分の濃淡にて示す。ここで、2次元スペクトル画像とは、フーリエスペクトルの実部の画像、虚部の画像、振幅スペクトルの画像、パワースペクトルの画像、位相スペクトルの画像など、フーリエ変換やDFTやFFTの結果得られたデータより作成された画像を指す(非特許文献2参照)。その周波数成分の2次元グラフに生じる模様を、例えば、良ワークにて生じた模様と例えばテンプレートマッチングにて比較して類似度を求め、表面仕上げの良否判定を行う。
ここで、画像におけるフーリエ変換(またはDFTまたはFFT)の概念を説明するために、パワースペクトル画像の例をとり、元画像と変換結果による周波数成分の2次元グラフの模式図を図2に示す。画像においてフーリエ変換(またはDFTまたはFFT)をしてスペクトル画像を求めることにより、画像における濃淡の変化が、大きな波長でゆっくり変化するものか、細かく小刻みに変化するものか、またはそれらの合成であるかを縦方向と横方向にて2次元的に把握することができる。なお、DFTは、フーリエ変換が連続信号を対象に行うものに対し、サンプル値などのデジタルデータに対するフーリエ変換を行う手法である。また、FFTはDFTを高速に計算するアルゴリズムである。なお、2次元フーリエ変換(または2次元DFTまたは2次元FFT)を行う領域は、画像の全領域にて行うのではなく、任意の大きさの領域に画像を区切って、この区切られた大きさ毎に2次元フーリエ変換(または2次元DFTまたは2次元FFT)を行うことが好ましい。このとき、合否判定の比較対象に用いる2次元スペクトル画像については、例えば、良品のワーク画像の同じ大きさの任意領域にて2次元フーリエ変換(または2次元DFTまたは2次元FFT)を行った結果を用いることができる。
上記第5の観点による表面仕上げ判定装置では、例えば、FFTを行った後の2次元グラフの模様を直線近似した結果の模式図を図3に示す。図3中、FFT表示結果400に、クロスする直線400aが生じる。直線400aは、元画像において斜め方向の模様成分が多かったことに起因すると考えられ、すなわち、あやめ模様の角度に関係していると考える。このため、直線400aの有無や傾きを評価することにより、あやめ模様の評価すなわち表面仕上げの良否判定を行うことができる。
特に現状のベアリングの製造工程では、工程の最終段階の振動検査(非特許文献3参照)などでなければ不良が発見できず、不良対策に遅れが生じる可能性があるが、本発明を利用することにより、研磨加工直後に表面粗さの判定が可能となるため、生産性の向上が期待できる。
さらに、本発明は、1ラインをスキャンする従来の粗さ評価方法では検出が非常に困難であった金属曲面の粗さ分布を二次元画像として取得できるため、最適な粗さ状態、粗さの方向性などを解析でき、より詳細な不良原因究明が可能となり、製品の品質改善にも好適である。
102 レンズ
103 PC
104 ディスプレイ
105 モータ
105a モータドライバ
200 加工対象
200a 加工表面
300 撮影視野
400 FFT表示結果
400a 近似直線
Claims (2)
- 回転させながら研削または研磨を行ったベアリングの内輪または外輪の軌道面である加工対象に対して、該加工対象の加工表面の仕上がりを評価する表面仕上げ判定装置において、上記加工対象を回転させながら加工表面の加工痕の画像をラインスキャンカメラにより撮影し、
撮影した加工痕の画像を画像処理した結果を用いて表面仕上げの良否判定を行う表面仕上げ判定装置であって、
前記画像処理が、任意領域の加工痕の画像に2次元フーリエ変換、2次元離散的フーリエ変換または2次元高速フーリエ変換を行う処理を含み、
上記2次元フーリエ変換、上記2次元離散的フーリエ変換または上記2次元高速フーリエ変換を行った結果の2次元スペクトル画像中の濃淡により生じる模様を表面仕上げの良否判定に用いること特徴とする表面仕上げ判定装置。 - 請求項1に記載の表面仕上げ判定装置において、
前記2次元フーリエ変換、前記2次元離散的フーリエ変換または前記2次元高速フーリエ変換を行った結果の2次元スペクトル画像中の濃淡により生じる模様から近似直線を抽出し、該近似直線の有無または傾き値を用いて表面仕上げの良否判定を行うことを特徴とする表面仕上げ判定装置。
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JP2009183027A JP5651868B2 (ja) | 2009-08-06 | 2009-08-06 | 表面仕上げ判定装置 |
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JP2009183027A JP5651868B2 (ja) | 2009-08-06 | 2009-08-06 | 表面仕上げ判定装置 |
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