JP5113376B2 - 躯体の補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は、既存建物の躯体を補強するための躯体の補強構造に関する。
阪神大震災以前に設計及び施工された既存建物の中には、現在の基準強度を有していないものがある。このような、所定の基準強度を有していない既存建物は、レベル2地震動に対するせん断力が不足している場合があり、速やかに補強を行う必要がある。
従来、鉄筋コンクリート構造(以下「RC構造」という場合がある)からなる既設建物を補強する構造として、躯体の表面にアンカーボルトをアンカーボルトの端部が突出した状態で打ち込み、このアンカーボルトが打ち込まれた躯体の表面から所定の隙間を形成した状態でスタッドが突設された鋼板または形鋼を配置し、この躯体と鋼板または形鋼との間の隙間にグラウト等を充填したものがある。この構成により、アンカーボルトとグラウトとスタッドを介して、躯体と鋼板または形鋼との間の力が伝達される。
また、例えば、特許文献1に示すように、柱等の躯体に、ボルト挿入孔を形成し、柱せい(部材厚)と同程度の長さからなる補強鉄筋等をこのボルト挿入孔に埋設することで、躯体のせん断力を向上させる場合もある。
また、例えば、特許文献2に示すように、当該躯体が独立柱の場合には、周囲を鋼板や繊維シートなどにより被覆することで拘束補強を施して、変形性能を改善する場合がある。
特開2000−110365号公報 特開平9−151610号公報
しかし、アンカーボルトとグラウトとスタッドによる前記従来の補強構造は、既設の躯体に多数のアンカーボルトを打ち込む作業や、鋼板や形鋼にスタッドを突設する作業に手間が掛かるという問題点を有していた。また、鋼板または形鋼と躯体との間に、アンカーボルトおよびスタッドを配置可能な隙間を形成する必要があるため、既設建物の内部空間が減少するという問題点を有していた。
また、特許文献1に記載の補強構造は、躯体のせん断耐力を向上させることが可能であるものの、曲げ耐力を向上させることができなかった。また、各ボルト挿入孔には、補強部材との間に形成された隙間に充填材を充填する必要があるため、手間を要していた。
さらに、特許文献2に記載の補強構造は、耐震壁や袖壁がある柱には拘束補強をすることができないという問題点を有していた。また、せん断力を向上させることが可能であるものの、曲げ耐力を向上させることはできなかった。
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、既設建物の躯体について、簡易な施工により構成することが可能で、せん断耐力とともに曲げ耐力を向上させることを可能とした、躯体の補強構造を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、請求項1の躯体の補強構造は、表面に複数の凹部が削孔された既存建物の躯体と、前記躯体の表面から所定の隙間を有した状態で、該躯体の表面の所定範囲を覆うように配置された補強用板材と、前記隙間および前記凹部に充填されて固化する充填材と、からなり、前記躯体と前記補強用板材とが前記充填材を介して一体に固着されるとともに、前記凹部の内部において固化した前記充填材がシアキーを構成し、前記補強用板材の端部にある前記凹部が他の前記凹部よりも深く形成されることでピーリング力に対する抵抗が高められていることを特徴としている。
かかる躯体の補強構造は、凹部に充填された充填材が固化することでシアキーを構成するため、補強用板材と躯体との間のずれや開き(剥離)に対する抵抗が大きくなり、せん断耐力とともに、曲げ耐力を向上させることが可能となる。また、この躯体の補強構造は、躯体と躯体の表面に配置された補強用板材との隙間に充填材を充填するのみで、作業が完了するため、施工性に優れている。ここで、補強用板材として使用される部材は限定されるものではなく、例えば、鋼板、繊維補強シート、強化プラスチックからなる板材等を使用するなど、適宜公知の材料から選定して使用すればよい。
請求項2に記載の発明は、表面に複数の凹部が削孔された既存建物の躯体と、前記躯体の表面から所定の隙間を有した状態で、該躯体の表面の所定範囲を覆うように配置された補強用板材と、前記補強用板材の前記躯体側の面に突設されて、前記凹部に挿入されるせん断伝達部材と、前記隙間および前記凹部に充填されて固化する充填材と、からなり、前記躯体と前記補強用板材とが前記充填材を介して一体に固着されるとともに、前記凹部の内部において固化した前記充填材がシアキーを構成し、前記補強用板材の端部にある前記凹部が他の前記凹部よりも深く形成されされることでピーリング力に対する抵抗が高められていることを特徴としている。
補強用板材に突設されたせん断伝達部材が、凹部に挿入されている状態で、充填材が一体固化されるため、力の伝達性がさらに向上し、せん断耐力および曲げ耐力がより一層向上する。また、せん断伝達部材により、補強用板材が躯体から剥がれることが防止される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の躯体の補強構造であって、前記せん断伝達部材が、前記補強用板材の端部に形成されていることを特徴としている。
かかる躯体の補強構造によれば、補強用板材の端部に配置されたせん断伝達部材を介して、補強用板材の端部と躯体との一体化をより強固に行うことが可能となり、補強用板材を端部から捲るような力(ピーリング力)に対する抵抗が高まり、補強用板材が躯体から剥がれることを防止する。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の躯体の補強構造であって、前記補強用板材が、前記躯体を構成する部材同士の接合部に跨って配置されていることを特徴としている。
かかる躯体の補強構造によれば、柱部材と梁部材等の接合部を覆うことで、補強用板材が主筋の役目を果たし、部材の曲げ耐力が向上する。
本発明の躯体の補強構造によれば、既設建物の躯体について、簡易な施工により構成されて、剛性やせん断耐力とともに曲げ耐力を向上させることが可能になった。
本発明の補強構造の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1は、本実施形態に係る躯体の補強構造を示す斜視図である。図2は、図1に示す躯体の補強構造の分解斜視図である。図3(a)〜(c)は、図1に示す躯体の補強構造の施工手順を示す断面図である。図4(a)〜(f)は、本発明の躯体の補強構造の変形例を示す断面図である。
本実施形態に係る躯体の補強構造1は、図1に示すように、表面に複数の凹部13,13,…が形成された既存建物の躯体10と、躯体10の表面から所定の隙間を有した状態で、躯体10の表面の所定範囲を覆うように配置された補強用板材20と、隙間および凹部11に充填されて固化する充填材30と、から構成されている。
この補強構造1は、躯体10と補強用板材20とが充填材30を介して一体に固着されるとともに、凹部13の内部において固化した充填材30がシアキーを構成する。
躯体10は、図1に示すように、柱部材11と、柱部材11の側面に接続された状態で形成された壁部材12,12とにより構成されている。
柱部材11は、主筋11aと帯筋11bが配筋された鉄筋コンクリート構造である。また、壁部材12も図示しない主筋と配力筋とが配筋された鉄筋コンクリート構造である。なお、本実施形態における壁部材12の目的は限定されるものではなく、例えば、耐震壁、袖壁、仕切り壁、その他の構造壁等、あらゆる壁が含まれるものとする。
本実施形態に係る柱部材11は、図1に示すように、断面視が略正方形に形成されているが、柱部材11の形状は限定されるものではなく、円形断面や矩形断面またはその他の多角形断面を呈していてもよい。また、柱部材11の幅(直径)寸法等は適宜設定されるものであって、限定されるものではない。さらに、柱部材11に配筋される主筋11aおよび帯筋11bの配筋ピッチや本数等は適宜設定されることはいうまでもない。
柱部材11には、図1および図2に示すように、補強用板材20側の側面(以下、「補強面」という場合がある)に、複数の凹部13,13,…が形成されている。なお、凹部13の配置や箇所数は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
凹部13は、後記するスタッド22のボルト径の3倍程度の内径からなる略円形断面形状に形成されている。また、凹部13の深さは、内径と同程度に形成されており、本実施形態では、主筋11aのコンクリート被り厚さと同程度に構成されている(図3(a)参照)。なお、凹部13の断面形状は限定されるものではなく、正方形や矩形などの多角形断面でもよい。また、凹部13の形状寸法は、前記のものに限定されないことはいうまでもない。つまり、凹部の内径(幅)は、躯体10に配筋された隣り合う主筋11a,11aおよび帯筋11b,11bの間隔(内法)よりも小さければよい。また、凹部の深さは深いほど一体性が高まるが、施工性を考慮すると、実際には内径の1/2〜1倍程度、または被り厚さの1/2〜2倍程度の範囲内であればよく、凹部がカバーコンクリート部分に形成され、底面がコア部に達していなくてもよい。
また、全ての凹部の深さを同じに形成する必要はなく、適宜深さを変えてもよい。例えば、補強部材の端部にある凹部だけ深くすることで、ピーリング力に対する抵抗を高めることができる。
壁部材12は、図1に示すように、柱部材11の側面に端面が当接した状態で、柱部材11に接合されている。本実施形態では、壁部材12は、柱部材11の側面の幅の略中央に位置するように、接合されているが、柱部材11と壁部材12との位置関係は限定されるものではなく、例えば、柱部材11の前面(背面)と壁部材12の前面(背面)とが平面をなすように形成されていてもよい(図4(b)または(f)参照)。
本実施形態に係る補強用板材20は、図1および図2に示すように、柱部材11の補強面と同形状に形成された矩形状の鋼板からなる補強板本体21と、この補強板本体21の柱部材11側の面において、柱部材11の補強面に形成された凹部13,13,…の位置に応じて突設されたスタッド(せん断伝達部材)22,22,…と、から構成されている。
補強板本体21の部材厚は、躯体10に発生することが想定される応力の大きさに応じて適宜設定される。本実施形態では、補強板本体21として、鋼板を使用するものとしたが、これに限定されるものではなく、繊維補強シートや強化プラスチック等、適宜公知の材料を選定して使用すればよい。また、本実施形態では、補強板本体21として、柱部材11の表面(補強面)全体を覆うように、柱部材11の補強面と同形状の矩形状の板材により構成するものとしたが、補強板本体21の形状は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。例えば、柱部材11の一部分のみを覆う形状でもいいし、また、格子状に形成された板状部材により構成されていてもよい。
スタッド22は、図1および図2に示すように、ボルトを所定のピッチにより補強板本体21の柱部材11側の面から立設することにより構成されている。
そして、スタッド22は、図1に示すように、補強用板材20を柱部材11の補強面に設置した状態で、凹部13に挿入されている。
本実施形態において使用するスタッド22は、帯筋11bと同程度のボルト径を有し、先端にはこのボルト径よりも大きな直径からなる頭部が形成されている。また、スタッド22の長さは、凹部13の深さと同程度の長さを有しており、補強用板材20を柱部材11の補強面に設置した状態で、凹部13の底面とスタッド22の先端との間に、所定に隙間が形成されるように構成されている。
スタッド22は、先端に形成された頭部により、凹部13の内部において固化した充填材と強固にかみ合うため、力の伝達性に優れている。
なお、スタッド22の直径(ボルト径)や長さは、凹部13の内部に挿入可能な範囲で必要な伝達力に応じて定める。スタッド22の長さは長い方が力の伝達には有利な傾向にあるが、充填性を考慮すると、凹部の底面との間に数ミリ以上の隙間を確保するのが好適である。また、スタッド22の補強板本体21への固定方法は限定されるものではなく、溶接や摩擦圧接など、適宜公知の方法から選定して行えばよい。
また、本実施形態では、スタッド22として、ボルトを使用するものとしたが、スタッド22を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、鉄筋や鉤形に形成された鋼製部材等により構成してもよい。また、スタッド22の断面形状も限定されないことはいうまでもなく、円形断面の他、多角形断面でもよい。
充填材30は、図1に示すように、柱部材11と補強板本体21との間に形成された隙間および凹部13とスタッド22との間に形成された隙間に充填されて固化することにより、躯体10(柱部材11)と補強用板材20とを一体に接合する。
本実施形態では、充填材30として、エポキシ樹脂を使用するとしたが、充填材30を構成する材料はこれに限定されない。例えば、ポリマー樹脂や樹脂を混合したモルタル、セメント系モルタル等、補強用板材を構成する材料や想定される躯体に作用する応力等に応じて、力の伝達に必要な強度を有する材料を使用すればよい。なお、充填材30を構成する材料としては、鉄筋コンクリートからなる柱部材11と鋼板からなる補強板本体21との接着性に優れているとともに、躯体10と補強用板材20との隙間への充填性に優れた材料を使用する。また、充填材30には、必要に応じて骨材を混合してもよい。
なお、符号31は、躯体10と補強用板材20との間に形成された隙間の周縁を設けられて、固化前の充填材30の流出を防止するシール材である。
シール材31を構成する材料は限定されるものではなく、充填材や充填時の充填材の圧力等に応じて、適宜公知の材料から選定して使用すればよい。
次に、図3を参照して、本実施形態に係る補強構造1の施工方法を説明する。
本実施形態に係る躯体の補強構造1の施工方法は、躯体10の補強面に凹部13を形成する削孔工程と、躯体10の補強面と所定の隙間を空けた状態で補強用板材20を配置する補強用板材配置工程と、この隙間の周縁部にシール材を配置するシール工程と、隙間に充填材を充填する充填工程とを備えている。
削孔工程は、図3(a)に示すように、柱部材11の表面(補強面)に、所定のピッチにより、複数の凹部13,13を形成する工程である。凹部13の形成数は限定されるものではなく、充填材30の引張強度、せん断強度、接着強度と想定される作用応力との関係により適宜設定する。
凹部13は、柱部材11の主鉄筋11aおよび11bに損傷を与えることがないように、柱部材11の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、横間隔は主筋11aと、縦間隔は配力筋11bと同間隔で隣り合う主筋11a,11aおよび配力筋11b,11bの中央に形成する(図1参照)。
補強用板材配置工程は、図3(b)に示すように、削孔工程において凹部13,13が形成された躯体10の表面から所定の隙間Sを空けた状態で躯体10の所定範囲(柱部材11の前面)を覆うように補強用板材20を配置する工程である。補強用板材20の配置は、スタッド22が、凹部13に挿入された状態で、図示しない仮止めボルトを介して補強板材本体21を仮固定することにより行う。
シール工程は、図3(b)に示すように、補強用板材配置工程において形成された柱部材11と補強板材本体21との間の隙間の周縁を、シール材31によりシールする工程である。なお、本実施形態では、補強用板材20を躯体10の表面に仮固定した後にシールするものとしたが、例えば、シール材31が予め補強用板材20の周縁または躯体10の補強用板材20の周縁に対応する箇所に固定された状態で、補強用板材20を躯体10の表面に仮固定する等、その順序を変えてもよい。
充填工程では、図3(c)に示すように、周縁がシール材31によりシールされた隙間Sに、充填材30を公知の方法で充填する。この時、充填材30は、凹部13において形成されたスタッド22と凹部13の内壁面との隙間S’(図3(b)参照)にも充填される。充填性を高めるために、補強用板材20の角部や上面に空気抜きを適宜設ける。
本実施形態に係る補強構造1によれば、柱部材11の表面を補強板材本体21により覆った状態で、躯体10と補強用板材20とが一体化されているため、躯体10の曲げ耐力とせん断耐力が向上するとともに、剛性も向上する。
凹部13に充填された充填材30が固化することにより、シアキーを構成し、躯体10と補強用板材20との力の伝達性が向上し、より強固に固定される。
補強構造1の施工は、凹部13の削孔、補強用板材20の配置、シール材31の設置、充填材30の充填のみで、簡易なため、施工性に優れている。
柱せい(部材厚)と同程度の長さからなる補強鉄筋を躯体に挿入する従来の補強構造と比較して、凹部13の深さが浅くまた、スタッド22の長さも短いため、施工が簡易であるとともに狭小な施工スペースでの施工も可能なため、好適である。そのため、建物の外部からの施工、内部からの施工を問わず、既存建物を増強することができる。故に、供用中の建物であっても、利用者に負担を強いることなく、施工を行うことが可能である。
本実施形態に係る補強構造1は、スタッド22が凹部13の内部に挿入されてせん断伝達性能が高まり、補強用板材20が、躯体10から剥離することが防止される。
凹部13の幅がスタッド22のボルト径の3倍程度に形成されているため、凹部13とスタッド22とが、互いに干渉することがなく、スタッド22の凹部13に挿入することが原因で施工性が低下することがない。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、補強用板材20がスタッド22を備えるものとしたが、スタッドは必要に応じて配置すればよく、図4(a)に示す補強構造2のように、スタッドを省略した構成としてもよい。かかる構成であっても、柱部材11と補強用板材20との間に形成された隙間と凹部13,13とに充填された充填材30が一体に固化することで、凹部13,13の内部において固化した充填材30がシアキーとして機能し、柱部材11と補強用板材20とが強固に一体化される。
また、前記実施形態では、柱部材11の表面を補強用板材20により覆う構成としたが、図4(b)に示す補強構造3のように、補強用板材20が、柱部材11とこの柱部材11の側面に接続された壁部材12や梁部材の接合部14に跨って配置される構成としてもよい。かかる補強構造3によれば、補強用板材20が、主筋の役目を果たし、躯体10の曲げ耐力が向上するため、好適である。なお、このとき、壁部材12(梁部材)には、柱部材11と同様に、凹部13が形成されており、凹部13に充填された充填材30が固化することで、シアキーを構成する。
また、前記実施形態では、柱部材11の一面のみを補強用板材20により覆う構成としたが、図4(c)に示す補強構造4のように、柱部材11の複数の側面を、補強用板材20により、一体的に覆う構成としてもよい。この補強構造4は、L字形の補強板本体21により柱部材11の2つの側面を一体的に覆うことで、2方向のせん断補強が可能となるとともに、補強用板材20の剥離に対する抵抗力も増加する。なお、補強用板材20が一体的に覆う躯体の表面(側面)数は限定されるものではなく、躯体の形状や想定される応力の作用方向等に応じて適宜設定すればよい。
また、前記実施形態では、図4(d)に示す補強構造5のように、補強用板材20の柱部材11と反対側の面に、リブ材23が突設されていてもよい。かかる構成によれば、柱部材11の側面に壁部材12,12が一体に接合された躯体10について、補強面の面外方向の剛性をリブ23により高めることが可能となる。
なお、補強板本体21’として、図4(d)に示すように、幅方向の両端にフランジ24,24が一体に形成されたものを使用し、柱部材11の側面の一部を一体に覆う構成としてもよい。かかる構成によれば、フランジ24,24がリブ23と同様に、躯体10の補強面の面外方向の強度と剛性を同時に高めることが可能となる。
また、前記実施形態では、補強用板材20により、柱部材11の表面を覆うものとしたが、図4(e)に示すように、壁部材12または梁部材の表面を覆う構成としてもよい。また、補強用板材の重量を抑えるために、複数の補強用板材を組み合わせて所定範囲を覆うことも可能である。この場合において、必ずしも補強用板材同士を接合する必要はなく、柱や壁、梁などの要所を部分的に補強したり、間隔を開けて補強に必要な範囲だけを被覆してもよい。
なお、凹部13は、図4(e)に示す壁部材12または梁部材に形成された凹部13’のように、段毎に位置をずらすことで千鳥状に配置されていてもよい。
また、補強用板材20のスタッド22は、必ずしも全ての凹部13(13’)に対応して形成されている必要はなく、図4(f)に示す補強構造7のように、少なくとも補強用板材20の端部に対応する個所にスタッド22,22を形成し、他の凹部13に対応する箇所は省略してもよい。このように、補強用板材20の端部にスタッド22が形成されていれば、繰り返しせん断が作用した場合や、補強板本体21に捲り上がる力が作用することにより補強用板材20が剥離することを防止し、補強機能を長期に維持することが可能となる。
本発明の好適な実施の形態に係る躯体の補強構造を示す斜視図である。 図1に示す躯体の補強構造の分解斜視図である。 (a)〜(c)は、図1に示す躯体の補強構造の施工手順を示す断面図である。 (a)〜(f)は、本発明の好適な実施の形態の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1 補強構造(躯体の補強構造)
10 躯体
11 柱部材
12 壁部材
13 凹部
20 補強用板材
21 補強板本体
22 スタッド(せん断伝達部材)
30 充填材

Claims (4)

  1. 表面に複数の凹部が削孔された既存建物の躯体と、
    前記躯体の表面から所定の隙間を有した状態で、該躯体の表面の所定範囲を覆うように配置された補強用板材と、
    前記隙間および前記凹部に充填されて固化する充填材と、からなり、
    前記躯体と前記補強用板材とが前記充填材を介して一体に固着されるとともに、前記凹部の内部において固化した前記充填材がシアキーを構成し、
    前記補強用板材の端部にある前記凹部が他の前記凹部よりも深く形成されることでピーリング力に対する抵抗が高められていることを特徴とする、躯体の補強構造。
  2. 表面に複数の凹部が削孔された既存建物の躯体と、
    前記躯体の表面から所定の隙間を有した状態で、該躯体の表面の所定範囲を覆うように配置された補強用板材と、
    前記補強用板材の前記躯体側の面に突設されて、前記凹部に挿入されるせん断伝達部材と、
    前記隙間および前記凹部に充填されて固化する充填材と、からなり、
    前記躯体と前記補強用板材とが前記充填材を介して一体に固着されるとともに、前記凹部の内部において固化した前記充填材がシアキーを構成し、
    前記補強用板材の端部にある前記凹部が他の前記凹部よりも深く形成されることでピーリング力に対する抵抗が高められていることを特徴とする、躯体の補強構造。
  3. 前記せん断伝達部材が、前記補強用板材の端部に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の躯体の補強構造。
  4. 前記補強用板材が、前記躯体を構成する部材同士の接合部に跨って配置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の躯体の補強構造。
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