JP2012112210A - 耐震壁及び耐震壁の施工方法 - Google Patents

耐震壁及び耐震壁の施工方法 Download PDF

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慶一 平井
Takao Uchida
孝夫 内田
Yasumasa Miyauchi
靖昌 宮内
Ayumu Higaki
歩 槍垣
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Abstract

【課題】コストの上昇を抑制しつつ、耐震壁の耐震性能を向上させる。
【解決手段】鋼製型枠130に設けられた他方の面外方向に突出する頭付スタッド140によって、鉄筋コンクリート壁110と鋼製型枠130との間で応力が伝達される。更に後施工アンカー120によって、鉄筋コンクリート壁110と柱12及び梁14との間に応力が伝達される。つまり、鋼製型枠130と鉄筋コンクリート壁110とが頭付スタッド140よって一体化されると共に、鉄筋コンクリート壁110と柱12及び梁14とが後施工アンカー120によって一体化されている。したがって、鋼製型枠130が耐震要素として機能するので、コストの上昇を抑制しつつ、耐震壁100の耐震性能が向上する。また、耐震性能が確保される範囲において、本発明が適用されていない場合と比較し、耐震壁100の厚みを薄くすることが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、既存建物の耐震補強用の耐震壁及び耐震壁の施工方法に関する。
既存建物の耐震性能を向上させるために、耐震壁が設けられている。
例えば、特許文献1には、資材搬入用の開口部を設けて、柱、梁、床を構築した後、開口部に型鋼板パネルで壁の中央部を形成し、モルタルを吹き付けで造成する鉄筋コンクリート造の耐震壁の設置工法が記載されている。
また、特許文献2には、補強リブが形成された補強鉄板を、既存のコンクリート壁に隙間を設けて配置し、補強鉄板をコンクリート壁に打ち込まれたアンカーでボルト止めし、コンクリート壁と補強鉄板との間にモルタルを充填したコンクリート壁の補強構造が記載されている。
或いは、特許文献3には、既存柱の両側に袖壁が増設された補強構造において、既存柱の一面に添設されその両側に延在する鋼板と、既存柱の両側に既存柱を介して鋼板と一体化された袖壁本体と、から構成された既存柱の補強構造が記載されている。
特開平8−49330号公報 特開2001−329699号公報 特開2008−163646号公報
ここで、施工性を向上し、コストの上昇を抑制しつつ、耐震壁の耐震性能を向上させることが望まれている。
本発明は、施工性を向上し、コストの上昇を抑制しつつ、耐震壁の耐震性能を向上させることが目的である。
請求項1の発明は、構造躯体に設けられた鉄筋コンクリート壁と、前記構造躯体と前記鉄筋コンクリート壁とに跨って埋設された埋設部材と、前記鉄筋コンクリート壁の一方の面に設けられた板部材と、前記板部材に設けられ、面外方向に突出し前記鉄筋コンクリート壁に埋設された突出部材と、を備えている。
したがって、埋設部材によって構造躯体との間で応力が伝達される鉄筋コンクリート壁と板部材との間が、板部材に設けられた面外方向に突出する突出部によって応力が伝達される。つまり、板部材と鉄筋コンクリート壁とが突出部によって一体化され、板部材を耐震要素として機能させている。よって、耐震壁の耐震性能が向上する。すなわち、板部材に応力を伝達する突出部が形成されていない構成と比較し、耐震壁の耐震性能が向上する。
このように、板部材が耐震要素として機能するので、コストの上昇を抑制しつつ、耐震壁の耐震性能が向上する。また、耐震壁の厚みを薄くすることが可能である。
また、板部材を撤去しない構成であると共に、板部材を設置したのち他方の面側から全て施工することが可能である。よって、施工性が良く、耐震壁の設置場所の自由度が広い。
請求項2の発明は、前記埋設部材と前記板部材とが接合されている。
したがって、埋設部材を介して、直接、板部材と構造躯体との間で応力が伝達される。別の言い方をすると、充填壁を介さないで、板部材と構造躯体の間で応力が伝達される。よって、板部材が耐震要素として、更に効果的に機能するので、耐震壁の耐震性能が更に向上する。
請求項3の発明は、前記板部材は、鋼板又は鋼製型枠で構成されている。
したがって、耐力が大きくなり、その結果、耐震壁の耐震性能が更に向上する。
請求項4の発明は、面外方向に突出する突出部を有する板部材を、構造躯体に設置する板部材設置工程と、前記板部材の前記突出部が設けられた面側に延出するように前記構造躯体に埋設部材を設ける埋設部材設置工程と、前記板部材の前記突出部が設けられた面に対向し、且つ前記埋設部材が間に配置されるように、型枠を設置する型枠設置工程と、前記板部材の前記突出部が設けられた面と前記型枠とで形成された空間に、前記突出部と前記埋設部材とが埋設された鉄筋コンクリート壁を構築する鉄筋コンクリート壁構築工程と、前記型枠を撤去する型枠撤去工程と、を有している。
したがって、板部材を撤去しない構成であると共に、板部材を設置したのち他方の面側から全て施工することが可能である。よって、耐震壁の設置場所の自由度が広い。
なお、板部材設置工程と埋設部材設置工程との順番は逆であってもよい。
また、板部材と鉄筋コンクリート壁とが突出部よって一体化され、板部材を耐震要素として機能させている。よって、耐震壁の耐震性能が向上される。このように、板部材が耐震要素として機能するので、コストの上昇を抑制しつつ、耐震壁の耐震性能が向上する。
請求項5の発明は、前記型枠設置工程の前に、前記埋設部材と前記板部材とを接合する接合工程を有している。
したがって、板部材を設置した後に、他方の面側から埋設部材と板部材とを接合することができる。よって、板部材の他方の面側から全て施工することが可能である。
また、埋設部材と板部材とが接合されているので、埋設部材を介して、直接、板部材と構造躯体との間で応力が伝達される。別の言い方をすると、充填壁を介さないで、板部材と構造躯体の間で応力が伝達される。よって、板部材が耐震要素として、更に効果的に機能するので、耐震壁の耐震性能が更に向上する。
本発明によれば、施工性が良く、コストの上昇を抑制しつつ、耐震壁の耐震性能を向上させることができる。
本発明の一の実施形態に係る耐震壁のない構造を示す斜視図である。 本発明の一の実施形態に係る耐震壁を他方の面側から見た図である。 本発明の一の実施形態に係る耐震壁を一方の面側から見た図である。 本発明の一の実施形態に係る耐震壁の、図2及び図3のA−A線に沿った水平断面図である。 本発明の一の実施形態に係る耐震壁の、図2及び図3のB−B線に沿った垂直断面図である。 本発明の一の実施形態に係る耐震壁の施工工程を(A)〜(D)へと順番に示す工程図である。
<耐震壁の構造>
図1〜図5を用いて、本発明の一の実施形態に係る耐震壁の構造について説明する。
図2〜図4に示すように構造物10の構造躯体を構成する鉄筋コンリート製の柱12と梁14とで構成された架構16に、耐震壁100が設けられている。
図1は耐震壁100の内部構造を示す斜視図である(後述する鉄筋コンクリート壁110を打設する前の状態の斜視図である)。図2は、耐震壁100を他方の面側から見た図である。図3は一方の面側から見た図である。図4は、図2及び図3のA−A線に沿った水平断面図である。図5は、図2及び図3のB−B線に沿った垂直断面図である。なお、図4、図5のLが一方の面側であり、Rが他方の面側である。
耐震壁100は、充填材としてのコンクリートが打設されて構築された鉄筋コンクリート壁110を有している(図2、図4、図5を参照)。鉄筋コンクリート壁110の中には、埋設部材124を構成する複数の後施工アンカー126が埋設されている(図1、図2、図4、図5を参照)。後施工アンカー126は、柱12と梁14との中にも埋設されている。つまり、後施工アンカー126は柱12及び梁14と、鉄筋コンクリート壁110と、に跨って埋設されている。なお、後施工アンカー126は、柱12の長手方向(Z方向)と梁14の長手方向(Y方向)と略直交する方向に沿って配置されている。
また、鉄筋コンクリート壁110の中には、埋設部材124を構成する複数のひげ鉄筋120が埋設されている(図1、図2、図4、図5を参照)。なお、ひげ鉄筋120は後施工アンカー126に当接するように、柱12の長手方向(Z方向)と梁14の長手方向(Y方向)と略直交する方向に沿って配置されている。
そして、鉄筋コンクリート壁110の中で、埋設部材124を構成する複数のひげ鉄筋120と後施工アンカー126とが当接し重ね合わされることよって、すなわち、重ね継ぎ手によって、ひげ鉄筋120と後施工アンカー126とが連結されている。
なお、図2では、図が煩雑になるのを避けるため、ひげ鉄筋120は一本のみ図示し、他は図示を省略している。
後施工アンカー126は、コンクリート打設後にドリルなどで穴を空けてボルトを埋設させ定着させたアンカーとされている。また、金属系アンカーや接着系アンカー等があるとされている。なお、本実施形態では、柱12及び梁14を構築後に、柱12及び梁14に埋設(施工)することができる後施工アンカーであれば、どのような種類及び方式であってもよい。
また、鉄筋コンクリート壁110の中には横筋112と縦筋114とが配筋され埋設されている(図4、図5を参照)。なお、図1、図2等では、判りやすくするため横筋112と縦筋114の図示を省略している。
鉄筋コンクリート壁110の一方の面側には、板部材としての鋼製型枠130が設けられている(図1、図3〜図5を参照)。本実施形態の鋼製型枠130は、一般的に使用されている鋼製の型枠とされているので、詳しい説明は省略する。
鋼製型枠130には、他方面側の面外方向に突出し鉄筋コンクリート壁110に埋設された突出部材としての頭付スタッド140が複数設けられている。
埋設部材124を構成するひげ鉄筋120の先端部分122は鋼製型枠130側に湾曲されると共に、鋼製型枠130に溶接接合されている。
<耐震壁の施工方法>
つぎに、本実施形態の耐震壁100の施工方法について、図6を用いて説明する。
図6(A)に示すように、面外方向に突出する頭付スタッド140を設けた鋼製型枠130を、架構16に設置する(板部材設置工程)。また、鋼製型枠130の頭付スタッド140が設けられた他方の面側に延出するように柱12及び梁14に後施工アンカー126を設ける(埋設部材設置工程)。
図6(B)に示すように、ひげ鉄筋120を後施工アンカー120に沿って配置すると共に、ひげ鉄筋120の先端部分122を鋼製型枠130に接合する(埋設部材設置工程、接合工程)。
なお、鋼製型枠130の設置、後施工アンカー126の施工、及びひげ鉄筋120の施工の順番は任意である。
つぎに、図6(C)に示すように、横筋112と縦筋114とを配筋する。そして、鋼製型枠130の頭付スタッド140が突出する他方の面に対向するように木製の型枠200を配置する。なお、このとき鋼製型枠130と型枠200との間に、埋設部材124を構成する後施工アンカー126及びひげ鉄筋120とが配置される(型枠設置工程)。
図6(C)と図6(D)とに示すように、鋼製型枠130と型枠200との間の空間に、型枠200に形成された充填孔210等からコンクリートを充填し、後施工アンカー126及びひげ鉄筋120、横筋112及び縦筋114、が埋設された鉄筋コンクリート壁110(図6(D))を構築する(鉄筋コンクリート壁構築工程)。なお、コンクリートが充填され後施工アンカー126とひげ鉄筋120とが埋設されることによって、後施工アンカー126とひげ鉄筋120とが連結される。
図6(D)に示すように、コンクリートが完全又は、ほぼ完全に硬化したのち、木製の型枠200(図6(C))を撤去することで、耐震壁100が完成する(型枠撤去工程)。
<作用及び効果>
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
鋼製型枠130に設けられた他方の面外方向に突出する頭付スタッド140によって、鉄筋コンクリート壁110と鋼製型枠130との間で応力が伝達される。更に埋設部材124を構成する後施工アンカー126及びひげ鉄筋120によって、鉄筋コンクリート壁110と柱12及び梁14との間に応力が伝達される。つまり、鋼製型枠130と鉄筋コンクリート壁110とが頭付スタッド140よって一体化されると共に、鉄筋コンクリート壁110と柱12及び梁14とが埋設部材124(後施工アンカー126及びひげ鉄筋120)によって一体化されている。
したがって、鋼製型枠130が耐震要素として機能するので、コストの上昇を抑制しつつ、耐震壁100の耐震性能が向上する。また、所望の耐震性能が確保される範囲において、本発明が適用されていない場合と比較し、耐震壁100の厚みを薄くすることが可能である。
更に、鋼製型枠130と、埋設部材124(後施工アンカー126及びひげ鉄筋120)と、が接合されているので、鋼製型枠130と柱12及び梁14との間の応力の伝達が、埋設部材124(後施工アンカー126及びひげ鉄筋120)を介して、直接的に伝達される。よって、鋼製型枠130が耐震要素として、更に効果的に機能するので、耐震壁100の耐震性能が更に向上する。
また、鋼製型枠130を撤去しない構成であると共に、鋼製型枠130を設置したのち他方の面側から全て施工することが可能である。よって、耐震壁100の設置場所の自由度が広い。
また、架構16の他方の開口側から全て施工して耐震壁100を設けることが可能である。よって、架構16を後から鉄筋コンクリート壁110で塞ぐ場合であっても、施工空間が容易に確保される。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態では、充填材としてコンクリートを用いたがこれに限定されない。例えば、セメントやモルタルであってもよい。
また、例えば、上記実施形態では、構造躯体の開口部として架構に耐震壁を設けたがこれに限定されない。例えば、間柱間に耐震壁を設けてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、板材として鋼製型枠を用いたがこれに限定されない。例えば、鋼板であってもよいし、或いは、所望する耐震性能を確保可能な剛性や強度を有することが可能であれば樹脂製や木製の板材であってもよい。
また、例えば、上記実施形態では、構造物10を施工後に耐震補強する場合で説明したが、これに限定されない。新築の際であっても本発明を適用することができる。なお、新築の場合は、後施工アンカー126でなく、柱12及び梁14(構造躯体)を構築の際にアンカーを予め埋設していてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、埋設部材124は、重ね継ぎ手によって連結された後施工アンカー126とひげ鉄筋120とで構成されていいたがこれに限定されない。埋設部材は一本の鉄筋等やアンカーで構成されていてもよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
10 構造物
12 柱(構造躯体)
14 梁(構造躯体)
16 架構
100 耐震壁
110 鉄筋コンクリート壁
120 ひげ鉄筋(埋設部材)
124 埋設部材
126 後施工アンカー(埋設部材)
130 鋼製型枠(板部材)
140 頭付スタッド(突出部材)

Claims (5)

  1. 構造躯体に設けられた鉄筋コンクリート壁と、
    前記構造躯体と前記鉄筋コンクリート壁とに跨って埋設された埋設部材と、
    前記鉄筋コンクリート壁の一方の面に設けられた板部材と、
    前記板部材に設けられ、面外方向に突出し前記鉄筋コンクリート壁に埋設された突出部材と、
    を備える耐震壁。
  2. 前記埋設部材と前記板部材とが接合されている、
    請求項1に記載の耐震壁。
  3. 前記板部材は、鋼板又は鋼製型枠で構成されている、
    請求項1又は請求項2に記載の耐震壁。
  4. 面外方向に突出する突出部を有する板部材を、構造躯体に設置する板部材設置工程と、
    前記板部材の前記突出部が設けられた面側に延出するように前記構造躯体に埋設部材を設ける埋設部材設置工程と、
    前記板部材の前記突出部が設けられた面に対向し、且つ前記埋設部材が間に配置されるように、型枠を設置する型枠設置工程と、
    前記板部材の前記突出部が設けられた面と前記型枠とで形成された空間に、前記突出部と前記埋設部材とが埋設された鉄筋コンクリート壁を構築する鉄筋コンクリート壁構築工程と、
    前記型枠を撤去する型枠撤去工程と、
    を有する耐震壁の施工工程。
  5. 前記型枠設置工程の前に、前記埋設部材と前記板部材とを接合する接合工程を有する、
    請求項4に記載の耐震壁の施工工程。
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