JP5112513B2 - 青色蛍光体およびそれを用いた発光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記載する。)や無水銀蛍光ランプ等に使用される青色蛍光体と、当該青色蛍光体を用いた発光装置(特にPDP)に関するものである。
省エネルギーの蛍光ランプ用蛍光体として、様々なアルミン酸塩蛍光体が実用化されている。例えば、青色蛍光体として(Ba,Sr)MgAl1017:Eu(以下、BAM:Euと記載する。)、緑色蛍光体としてCeMgAl1119:TbまたはBaMgAl1017:Eu,Mn等が挙げられる。
近年では、PDP用青色蛍光体に、真空紫外光励起による輝度が高いBAM:Euが使用されている。
しかしながら、青色蛍光体BAM:Euを用いた発光装置を長時間駆動すると、輝度が著しく劣化する。そのため、発光装置用途、特にPDP用途においては、長時間駆動しても輝度劣化が少ない蛍光体が強く求められている。
青色蛍光体BAM:Euの輝度劣化メカニズムについて充分には解明されていないが、発光装置作製工程での水分や不純物ガスの混入と熱処理、および発光装置駆動時の真空紫外光照射により、蛍光体の輝度が劣化するものと考えられる。
この輝度の劣化を防止すべく、蛍光体にガドリニウムを添加する方法(例えば、特許文献1参照)、蛍光体をアルカリ土類金属等の2価金属ケイ酸塩で被覆する方法(例えば、特許文献2参照)、さらに、蛍光体をアンチモン酸化物で被覆する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。これらの他にも、青色発光成分の輝度が改善された、真空紫外光励起による輝度が高い蛍光体が提案されている(特許文献4および5参照)。
特公平6−29418号公報 特開2000−34478公報 特開平10−330746号公報 特開2000−26855号公報 特開2003−147352号公報
しかしながら、前記従来の方法による蛍光体を使用した発光装置においては、ほとんどの場合、高い輝度を保ちながら駆動時の蛍光体の輝度劣化を抑制することができていなかった。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、輝度が高く、発光装置駆動時の輝度劣化が少ない青色蛍光体を提供することを目的とする。また、当該青色蛍光体を用いた長寿命の発光装置、特にPDPを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の青色蛍光体は、一般式aBaO・bSrO・(1−a−b)EuO・cMgO・dAlO3/2・eWO3(0.70≦a≦0.95、0≦b≦0.15、0.95≦c≦1.15、9.00≦d≦11.00、0.001≦e≦0.200、ただしa+b≦0.97)で表される金属アルミン酸塩とZrO2とからなり、ZrO2が0.01〜1.00重量%の割合で含まれており、波長0.774ÅのX線で測定したX線回折パターンにおいて、ピークトップが回折角2θで13.0〜13.6度の範囲内にある、2つのピークが存在する。
また、本発明は、上記本発明の青色蛍光体を含む蛍光体層を備えた発光装置を提供する。
本発明によれば、輝度が高く、かつ発光装置作製時および駆動時での輝度劣化が少ない青色蛍光体を提供することができる。また、本発明によれば、長時間駆動しても輝度が劣化しない長寿命のPDP等の発光装置を提供することができる。
本発明の発光装置の一例であるPDPの構成を示す概略断面図である。 実施例で測定した試料番号13の粉末X線回折パターン(13.0〜13.6度)である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<青色蛍光体の組成>
本発明の青色蛍光体は、一般式aBaO・bSrO・(1−a−b)EuO・cMgO・dAlO3/2・eWO3(0.70≦a≦0.95、0≦b≦0.15、0.95≦c≦1.15、9.00≦d≦11.00、0.001≦e≦0.200、ただしa+b≦0.97)で表される金属アルミン酸塩とZrO2とからなり、ZrO2が0.01〜1.00重量%の割合で含まれている。a、b、c、dおよびeについて、好ましい範囲はそれぞれ、0.80≦a≦0.95、0≦b≦0.05、1.00≦c≦1.15、9.50≦d≦10.00、0.005≦e≦0.040である。また、本発明の青色蛍光体は、ZrO2を0.01〜0.10重量%の割合で含むことが好ましい。
<青色蛍光体のX線回折に関する特性>
本発明の青色蛍光体には、波長0.774ÅのX線で測定したX線回折パターンにおいて、ピークトップが回折角2θで13.0〜13.6度の範囲内にある、2つのピークが存在する。また、波長0.774ÅのX線で測定したX線回折パターンにおいて、前記2つのピークのうちの1つのピークのピークトップが、回折角2θで13.0〜13.2度の範囲内にあることが、輝度および輝度劣化耐性の観点から好ましい。
本発明者等は、実験結果に基づく詳細な検証により、上記の組成を有し、上記のX線回折パターンに関する特徴を満たす青色蛍光体によれば、輝度が高く、発光装置作製時および駆動時の輝度劣化が少ない蛍光体が得られることを見出した。なお、従来のBAM:Eu青色蛍光体では、上記の回折角2θの範囲内(13.0〜13.6度)にピークトップがあるピークは1つであった。上記のX線回折パターンに関する特徴を満たす本発明の青色蛍光体の発光特性が優れたものとなる理由は定かではないが、本発明者等の実験によれば、後述する特殊な条件で焼成することによって得られる本発明の青色蛍光体では、蛍光体の格子定数が変化し、この変化が蛍光体の発光特性(輝度劣化耐性)を向上させたものと推測される。
本発明においては、前記X線回折パターンにおいて、ピークをノイズ等によるシグナル強度の変化と区別するために、シグナル強度の変化のうち、回折角2θで13.4度付近にあるピークの強度の1/10以上の強度を有するものを、ピークと認めるものとする。そして本発明において「2つのピークが存在する」とは、スペクトルを構成している各角度点についての微分値を、所定の範囲においてみた場合に、ノイズを除いて考えて微分値の符号が3回逆転する場合をいう。従って、ここでは、2つのピークが重複して、1つの2峰性のピークとなっている場合でも、「2つのピークが存在する」ものとする。
<粉末X線回折測定>
次に、本発明の青色蛍光体のX線回折パターンを得るための粉末X線回折測定に関して記述する。
粉末X線回折測定には、例えば、大型放射光施設SPring8のBL19B2粉末X線回折装置(イメージングプレートを使用したデバイシェラー光学系、以降BL19回折装置と呼ぶ。)を使用する。内径200μmのリンデマン製のガラスキャピラリーに蛍光体粉体を隙間なく充填する。入射X線波長をモノクロメータにより約0.774Åに設定する。試料をゴニオメータで回転させながら回折強度をイメージングプレート上に記録する。測定時間はイメージングプレートの飽和が生じないように注意して決定する。例えば5分間とする。イメージングプレートを現像し、X線回折スペクトルを読み取る。
なお、現像したイメージングプレートからデータを読み出す際のゼロ点の誤差は、回折角2θで0.03度程度である。
入射X線の正確な波長は、格子定数が5.4111ÅであるNIST(National Institute of Standards and Technology)のCeO2粉末(SRM No.674a)を用いて確認する。CeO2粉末の測定データを格子定数(a軸長)のみ動かしてリートベルト解析を行い、設定したX線波長λ’に対して得られた値a’と真値(a=5.4111Å)との差を元に、真のX線波長λを下記式に基づき算出する。
λ=aλ’/a’
リートベルト解析には、RIETAN−2000プログラム(Rev.2.3.9以降、以下、RIETANと呼ぶ。)を用いる(中井 泉、泉 富士夫 著、「粉末X線解析の実際―リートベルト法入門」、日本分析化学会X線分析研究懇談会 編、朝倉書店、2002年、およびhttp://homepage.mac.com/fujioizumi/を参照)。
なお、X線回折は、結晶格子とX線の入射、回折の幾何的配置がブラッグの条件
2dsinθ=nλ
を満たした際に観測される現象であり、一般的なX線回折計においてもスペクトルの観測は可能である。しかしながら、入射するX線波長により得られる観測強度が異なるため、観測される回折プロファイルには差が生じる。
<青色蛍光体の製造方法>
以下、本発明の青色蛍光体の製造方法について説明する。
本発明の青色蛍光体は、弱還元性雰囲気下での焼成と、弱酸化性雰囲気下での焼成とによって得ることができる。この弱酸化性雰囲気下での焼成は、焼成時の降温過程において行われる。具体的には、焼成工程において、まず、水素、窒素および酸素を含む弱還元性混合ガス中で焼成し、さらに降温過程において、窒素および酸素を含む弱酸化性混合ガス中で焼成を行う焼成期間(弱酸化性混合ガス領域)を設けることによって作製できる。以下に、本発明の青色蛍光体を製造する方法の一例について説明する。
バリウム原料としては、高純度(純度99%以上)の水酸化バリウム、炭酸バリウム、硝酸バリウム、ハロゲン化バリウムまたはシュウ酸バリウム等、焼成により酸化バリウムになり得るバリウム化合物または高純度(純度99%以上)の酸化バリウムを用いることができる。
ストロンチウム原料としては、高純度(純度99%以上)の水酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、ハロゲン化ストロンチウムまたはシュウ酸ストロンチウム等、焼成により酸化ストロンチウムになり得るストロンチウム化合物または高純度(純度99%以上)の酸化ストロンチウムを用いることができる。
ユーロピウム原料としては、高純度(純度99%以上)の水酸化ユーロピウム、炭酸ユーロピウム、硝酸ユーロピウム、ハロゲン化ユーロピウムまたはシュウ酸ユーロピウム等、焼成により酸化ユーロピウムになり得るユーロピウム化合物または高純度(純度99%以上)の酸化ユーロピウムを用いることができる。
マグネシウム原料としては、高純度(純度99%以上)の水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、ハロゲン化マグネシウム、シュウ酸マグネシウムまたは塩基性炭酸マグネシウム等、焼成により酸化マグネシウムになり得るマグネシウム化合物または高純度(純度99%以上)の酸化マグネシウムを用いることができる。
アルミニウム原料としては、高純度(純度99%以上)の水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウムまたはハロゲン化アルミニウム等、焼成によりアルミナになり得るアルミニウム化合物または高純度(純度99.9%以上)のアルミナを用いることができる。
タングステン原料およびジルコニウム原料についても同様に、焼成により酸化物になり得る様々な原料を用いることができる。
本発明の青色蛍光体の製造は、上記の原料を混合し、焼成して行うが、原料の混合方法としては、溶液中での湿式混合でも乾燥粉体の乾式混合でもよく、工業的に通常用いられるボールミル、媒体攪拌ミル、遊星ミル、振動ミル、ジェットミル、V型混合機、攪拌機等を用いることができる。なお、原料中の粗大粒子は、発光特性に悪影響を及ぼすので、粒度を揃えるため分級を実施しておくことが好ましい。
本発明の青色蛍光体の製造において、混合粉体の焼成は、水素、窒素および酸素を含む混合ガス中で、1200〜1600℃で1〜50時間行う。混合ガスにおいて、水素濃度は0.1〜10体積%とし、酸素分圧は1×10-7〜1×10-2Pa(1×10-12〜1×10-7atm)付近に調整する。より好ましい条件としては、1×10-6〜1×10-4Pa(1×10-11〜1×10-9atm)付近の酸素分圧に調整した弱還元性雰囲気下において、1300〜1400℃で4時間焼成し、さらに降温過程において窒素および酸素を含む弱酸化性混合ガス領域を設ける。ここで、弱酸化性雰囲気における酸素分圧は、弱還元性雰囲気における酸素分圧よりも高ければよい。
焼成に用いる炉には、工業的に通常用いられる炉を用いることができる。プッシャー炉等の連続式またはバッチ式の電気炉やガス炉を用いることができる。
原料として水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩等、焼成により酸化物になり得るものを使用した場合、本焼成の前に、800〜1400℃の温度範囲にて仮焼することが好ましい。また、反応を促進するために、原料フッ化物等のフラックスを添加することが好ましい。
得られた蛍光体粉末を、ボールミルやジェットミル等を用いて再度解砕し、さらに必要に応じて洗浄あるいは分級することにより、蛍光体粉末の粒度分布や流動性を調整することができる。
<青色蛍光体の用途>
本発明の青色蛍光体を、蛍光体層を有する発光装置に適用すれば、輝度および輝度劣化耐性が高い発光装置を構成することができる。具体的には、BAM:Euが使用される蛍光体層を有する発光装置において、BAM:Euを本発明の青色蛍光体に置き換え、公知方法に準じて発光装置を構成すればよい。発光装置の例としては、PDP、蛍光パネル、蛍光ランプ等が挙げられ、これらのうちPDPが好適である。
以下に、交流面放電型PDPを例として、本発明の青色蛍光体をPDPに適用した実施態様(本発明の発光装置をPDPとした例)について説明する。図1は、交流面放電型PDP10の主要構造を示す斜視断面図である。なお、ここで示すPDPは、便宜的に、42型の1024×768画素仕様に合わせたサイズ設定にて図示しているが、他のサイズや仕様に適用してもよいのは勿論である。
図1に示すように、このPDP10は、フロントパネル20とバックパネル26とを有しており、それぞれの主面が対向するようにして配置されている。
このフロントパネル20には、一対の電極が設けられている。具体的には、フロントパネル20は、前面基板としてのフロントパネルガラス21と、このフロントパネルガラス21の一方の主面上に設けられた帯状の一対の表示電極(X電極23、Y電極22)と、この表示電極を覆う厚さ約30μmの前面側誘電体層24と、この前面側誘電体層24の上に設けられた厚さ約1.0μmの保護層25とを含んでいる。
上記表示電極は、厚さ0.1μm、幅150μmの帯状の透明電極220,230と、この透明電極220,230上にそれぞれ重ね設けられた厚さ7μm、幅95μmのバスライン221,231とを含んでいる。また、各対の表示電極(X電極23、Y電極22)が、x軸方向を長手方向としてy軸方向に複数配置されている。
また、各対の表示電極(X電極23、Y電極22)は、それぞれフロントパネルガラス21の幅方向(y軸方向)の端部付近で、パネル駆動回路(図示せず)と電気的に接続されている。なお、Y電極22は一括してパネル駆動回路に接続され、X電極23はそれぞれ独立してパネル駆動回路に接続されている。パネル駆動回路を用いて、Y電極22と特定のX電極23とに給電すると、X電極23とY電極22との間隙(約80μm)に面放電(維持放電)が発生する。X電極23はスキャン電極として作動させることもでき、これにより、後述するアドレス電極28との間で書き込み放電(アドレス放電)を発生させることができる。
バックパネル26は、背面基板としてのバックパネルガラス27と、複数のアドレス電極28と、背面側誘電体層29と、隔壁30と、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに対応する蛍光体層31〜33とを含んでいる。蛍光体層31〜33は、隣り合う2つの隔壁30の側壁とその間の背面側誘電体層29とに接して設けられており、また、x軸方向に繰り返して配列されている。
青色蛍光体層(B)は、上述した本発明の青色蛍光体を含んでいる。他方、赤色蛍光体層および緑色蛍光体層は、一般的な蛍光体を含んでいる。例えば、赤色蛍光体としては(Y,Gd)BO3:EuやY23:Euが、緑色蛍光体としてはZn2SiO4:Mn,YBO3:Tbおよび(Y,Gd)BO3:Tbが挙げられる。
各蛍光体層は、対応する各蛍光体粒子を溶解させた蛍光体インクを、例えばメニスカス法やラインジェット法等の公知の塗布方法により隔壁30および背面側誘電体層29に塗布し、これを乾燥や焼成(例えば500℃で10分)することにより形成できる。例えば青色蛍光体層を作製する場合、上記蛍光体インクは、例えば青色蛍光体30質量%と、質量平均分子量約20万のエチルセルロース4.5質量%と、ブチルカルビトールアセテート65.5質量%とを混合して作製することができる。
アドレス電極28はバックパネルガラス27の一方の主面上に設けられている。また、背面側誘電体層29はアドレス電極28を覆うようにして設けられている。また、隔壁30は、高さが約150μm、幅が約40μmであり、y軸方向を長手方向とし、隣接するアドレス電極28のピッチに合わせて、背面側誘電体層29の上に設けられている。
上記アドレス電極28は、それぞれが厚さ5μm、幅60μmであり、y軸方向を長手方向としてx軸方向に複数配置されている。また、このアドレス電極28は、ピッチが一定間隔(約150μm)となるように配置されている。なお、複数のアドレス電極28は、それぞれ独立して上記パネル駆動回路に接続されている。それぞれのアドレス電極に個別に給電することによって、特定のアドレス電極28と特定のX電極23との間でアドレス放電させることができる。
フロントパネル20とバックパネル26とは、アドレス電極28と表示電極とが直交するようして配置している。封着部材としてのフリットガラス封着部(図示せず)により両パネル20、26の外周縁部が封着されている。
フリットガラス封着部によって密封された、フロントパネル20とバックパネル26との間の密閉空間には、キセノン(Xe)を含有する放電ガス(例えば、Xeを含み、さらにHe、Ne等を含む、希ガス成分からなる放電ガス)が所定の圧力(通常6.7×104〜1.0×105Pa程度)で封入されている。
なお、隣接する2つの隔壁30の間に対応する空間が、放電空間34となる。また、一対の表示電極(X電極23、Y電極22)と1本のアドレス電極28とが放電空間34を挟んで交叉する領域が、画像を表示するセルに対応している。なお、本例では、x軸方向のセルピッチは約300μm、y軸方向のセルピッチは約675μmに設定されている。
また、PDP10の駆動時には、パネル駆動回路によって、特定のアドレス電極28と特定のX電極23とにパルス電圧を印加してアドレス放電させた後、一対の表示電極(X電極23、Y電極22)の間にパルスを印加し、維持放電させる。これにより発生させた短波長の紫外線(波長約147nmを中心波長とする共鳴線および172nmを中心波長とする分子線)を用いて、蛍光体層31〜33に含まれる蛍光体を可視光発光させることで、所定の画像をフロントパネル側に表示することができる。
本発明の青色蛍光体は、紫外線により励起、発光する蛍光層を有する蛍光パネルに適用することもできる。当該蛍光パネルは、輝度が良好であり、従来の蛍光パネルに比して輝度劣化耐性に優れたものとなる。当該蛍光パネルは、例えば液晶表示装置のバックライトとして適用することができる。
本発明の青色蛍光体は、公知方法に準じて、蛍光ランプ(例、無電極蛍光ランプ)に適用することもできる。当該蛍光ランプは、輝度が良好であり、従来の蛍光ランプに比して輝度劣化耐性に優れたものとなる。
以下、実施例により本発明の一形態を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例の蛍光体試料の作製>
出発原料として、BaCO3、SrCO3、MgCO3、Al23、AlF3、Eu23、WO3およびZrO2を用い、これらを表1の組成になるよう秤量し、遊星ミル(直径3mmのジルコニア製ビーズ)により純水中で湿式混合した。この混合物を乾燥させた後、大気中で1300℃で4時間仮焼した。得られた仮焼粉体を、遊星ミル(直径3mmのジルコニア製ビーズ)により純水中で湿式解砕して粒度を調整した。この仮焼粉体を乾燥させた後、1400℃で4時間本焼成して蛍光体(試料番号4〜14)を得た。なお、本焼成は、水素、窒素および酸素を含む混合ガス雰囲気下(水素濃度3体積%、ピーク温度での酸素分圧は1×10-5Pa(1×10-10atm)付近)で行い、降温過程では850℃で水素導入を停止し、さらに750℃で酸素導入を停止するという特殊な焼成方法を用いた。
<比較例の蛍光体試料の作製>
試料番号1〜3および15〜20の蛍光体試料については、本焼成を、水素を3体積%含む窒素を用いた一般的な還元性雰囲気での焼成(ピーク温度での酸素分圧は1×10-10Pa(1×10-15atm)付近)を行ったこと以外、実施例の蛍光体試料(試料番号4〜14)と同様の方法で作製した。
<粉末X線回折測定>
実施例および比較例の蛍光体試料について、大型放射光施設SPring8のBL19回折装置を用いて、上述の方法によりX線回折パターンを測定した。得られたX線回折パターンにおける、ピークトップが回折角2θで13.0〜13.6度の範囲内にあるピークの位置を、試料の組成と併せて表1に示す。なお、表1において*印を付した試料は比較例である。また、得られたX線回折パターンの例(試料番号13)を図2に示す。
<輝度測定>
輝度の測定は、真空中で波長146nmの真空紫外線を照射し、可視領域の発光を測定することで実施した。測定した輝度は、国際照明委員会XYZ表色系における輝度Yであり、標準試料BAM:Euに対する相対値として評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005112513
表1から明らかなように、組成比が本発明の組成範囲内にあり、回折角2θで13.0〜13.6度の範囲内に2つのピークが存在する蛍光体は、真空紫外光励起による輝度が高かった。中でも、13.0〜13.2度の範囲内にピークが1つ存在する蛍光体(試料番号9〜14)では、特に輝度が高かった。
図1の構成のPDP(42インチ)において、試料番号1〜20と同様の青色蛍光体を使用し、パネル作製後の初期輝度(標準試料BAM:Euを用いた場合に対する相対値)と加速駆動(実駆動1000時間相当)した後の輝度劣化を表2に示す。なお、試料のパネルは、実施態様として説明した上記PDPと同様となるように作製した。ただし、パネルは青色1色固定表示とした。なお、表2において、*印を付した試料は比較例である。
Figure 0005112513
表2から明らかなように、組成比が本発明の組成範囲内にあり、回折角2θで13.0〜13.6度の範囲内に2つのピークが存在する蛍光体を使用した場合の初期輝度は高く、輝度劣化が著しく抑制されていることが確認された。中でも、13.0〜13.2度の範囲内にピークが存在する蛍光体を使用した場合(試料番号29〜34)には、特に輝度が高かった。
これに対して、係数a、b、c、d、e、粉末X線回折測定における回折角2θで13.0〜13.6度の範囲内のピーク数、のうちのいずれかが本発明の範囲外である比較例の試料では、初期輝度が低く、PDP駆動時の輝度劣化が著しかった。
本発明の青色蛍光体は、発光装置、その中でも特にPDPに使用することができる。また、無電極蛍光ランプ等の蛍光ランプ、液晶表示装置のバックライトに主に用いられる蛍光パネル等の用途にも応用できる。

Claims (8)

  1. 一般式aBaO・bSrO・(1−a−b)EuO・cMgO・dAlO3/2・eWO3(0.70≦a≦0.95、0≦b≦0.15、0.95≦c≦1.15、9.00≦d≦11.00、0.001≦e≦0.200、ただしa+b≦0.97)で表される金属アルミン酸塩とZrO2とからなり、ZrO2が0.01〜1.00重量%の割合で含まれており、
    波長0.774ÅのX線で測定したX線回折パターンにおいて、ピークトップが回折角2θで13.0〜13.6度の範囲内にある、2つのピークが存在する、青色蛍光体。
  2. 0.80≦a≦0.95、0≦b≦0.05、1.00≦c≦1.15、9.50≦d≦10.00、0.005≦e≦0.040である、請求項1に記載の青色蛍光体。
  3. 前記波長0.774ÅのX線で測定したX線回折パターンにおいて、前記2つのピークのうちの1つのピークのピークトップが、回折角2θで13.0〜13.2度の範囲内にある、請求項1に記載の青色蛍光体。
  4. 弱還元性雰囲気下での焼成と、弱酸化性雰囲気下での焼成とによって得られ、
    焼成温度が1200〜1600℃の範囲であり、前記弱酸化性雰囲気下での焼成が降温過程において行われる、請求項1に記載の青色蛍光体。
  5. 前記弱還元性雰囲気における酸素分圧は、1×10-6〜1×10-4Paの範囲である、請求項4に記載の青色蛍光体。
  6. 請求項1に記載の青色蛍光体を含む蛍光体層を備えた発光装置。
  7. プラズマディスプレイパネルである、請求項6に記載の発光装置。
  8. 前記プラズマディスプレイパネルが、
    前面板と、
    前記前面板と対向配置された背面板と、
    前記前面板と前記背面板との間隔を規定する隔壁と、
    前記背面板または前記前面板に設けられた一対の電極と、
    前記一対の電極に接続された外部回路と、
    少なくとも前記一対の電極間に存在し、前記一対の電極間に前記外部回路により電圧を印加することによって真空紫外線を発生するキセノンを含有する放電ガスと、
    前記真空紫外線により可視光を発する蛍光体層と、を備え、
    前記蛍光体層が青色蛍光体層を含み、前記青色蛍光体層が前記青色蛍光体を含有する、請求項7に記載の発光装置。
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