JP3856356B2 - 蛍光体ペースト組成物及び真空紫外線励起発光素子 - Google Patents

蛍光体ペースト組成物及び真空紫外線励起発光素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長が200nm以下の真空紫外線で励起され、青色に発光するアルミン酸塩蛍光体を含有する蛍光体ペースト組成物、及びこれを用いて形成された蛍光膜を備えた真空紫外線励起発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、Ar、Xe、He、Ne、Xe−Ne等の希ガスを、ガラスなどの外囲器に封入し、その希ガスの放電によって放射される真空紫外線により、外囲器内部又は外部の蛍光膜を励起して発光させる真空紫外線励起発光素子の開発が盛んに行われている。
【0003】
その一例がスキャナーの読み取り用光源等に使われる細管ランプである。ランプ用の細管には、Xe、Xe−Ne等の希ガスが封入されており、その管の内面には、真空紫外線により励起されて発光する蛍光体からなる蛍光膜が形成されている。例えば、管の両端に設けた電極から電気エネルギーを印加すると、セル内に希ガス放電が発生し、真空紫外線が放射される。この真空紫外線により蛍光体が励起されて可視光を発する。
【0004】
真空紫外線励起発光素子用の蛍光体としては赤、青、緑に発光する単色の蛍光体と、それぞれの単色を発光する3色の蛍光体を混合したものがある。赤色蛍光体として、(Y,Gd)BO3 :Eu、緑色蛍光体としては、LaPO4 :Ce,Tb、青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu,Mn等が使用されている。
【0005】
真空紫外線励起発光素子の他の例として、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という)がある。PDPは原理的には、上記の真空紫外線励起の細管ランプを小さくし、異なる3色のランプをマトリックス状に並べたものと考えることができる。つまり、狭い放電空間(以下「セル」という)がマトリックス状に配置されたものである。各セルには電極が設けられ、各セルの内側又は外側に蛍光体を塗布することによって蛍光膜が形成されており、各セル内にはXe,Xe−Ne等の希ガスが封入されている。
【0006】
上記セルは、電極から電気エネルギーを印加すると、セル内に希ガス放電が発生し、真空紫外線が放射される。この真空紫外線により蛍光体が励起され、可視光を発し、この発光によって画像が表示される。フルカラーPDPの場合、真空紫外線により赤、青、緑に発光する蛍光体をマトリックス状に塗り分けることにより、フルカラーの表示を行うことができる。この場合、赤色蛍光体としては、(Y,Gd)BO3 :Eu、緑色蛍光体としては、Zn2 SiO4 :Mn、青色蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu等が使用されている。(工業調査会発行、「電子材料誌」1997年12月号参照)
【0007】
細管ランプもPDPも蛍光体を塗布して蛍光膜を形成するときには、蛍光体をバインダー樹脂に分散させた蛍光体ペーストを使用する。
細管ランプは、通常蛍光体とニトロセルロースなどの樹脂を酢酸ブチルなどの溶媒を用いて混合し、蛍光体ペーストとしてガラス管の内面に塗布し、乾燥した後、焼成することによりガラス管の内面に蛍光体塗布膜を形成する。
【0008】
また、PDPは、蛍光体とエチルセルロースなどの樹脂とブチルカルビトールなどの溶媒を混合して蛍光体ペーストを作製し、これをスクリーン印刷法によりPDPの内面に塗布して乾燥した後、焼成することによりPDPセル内に蛍光体塗布膜を形成するのが一般的である。また、フィルム上に感光性樹脂を含有する蛍光体ペースト組成物を塗布、乾燥し、PDPの内面に貼付した後、所定のパターンに露光、現像して必要部分を残し、焼成することにより、PDPセル内に蛍光膜を形成する方法も提案されている。この方法も蛍光体ペースト組成物を塗布し、乾燥、焼成を行う点では他の方法と変わりはない。
【0009】
このような真空紫外線励起発光素子の製造過程においては、蛍光膜を形成するときに、蛍光体ペーストを塗布、乾燥、焼成することが必須となっている。この焼成工程において蛍光体が劣化することがしばしば問題となっていた。特に、青色蛍光体のBaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu,Mn等のEuを付活剤としたアルミン酸塩蛍光体の劣化が顕著であり、高輝度の青色蛍光体を用いて素子化しても、得られた真空紫外線励起発光素子の青色発光成分の発光輝度の低下を避けることができなかった。このため、焼成工程時の劣化の少ない青色蛍光体用ペースト組成物の開発が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消し、真空紫外線励起発光素子の成膜工程における発光輝度の劣化の少ない青色発光アルミン酸塩蛍光体ぺ一スト組成物、及び青色発光成分の輝度を改善した真空紫外線励起発光素子を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu,Mn等のEuを付活剤とするアルミン酸塩蛍光体を含む蛍光体ペースト組成物について種々検討したところ、上記蛍光体ペースト組成物に発光機能を有しないEuAlO3 を混在させることにより、焼成工程における蛍光体の劣化を大幅に抑制することができ、このペーストを用いて蛍光膜を形成した真空紫外線励起発光素子は、輝度劣化が少なく、蛍光体の有する高輝度の青色発光が維持されることを見出し、本発明を完成することができた。本発明の構成は以下のとおりである。
【0012】
(1) ▲1▼Ba、Sr及びCaの群より選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属元素、▲2▼Eu元素、▲3▼Mg、Zn及びMnの群より選択された少なくとも1種の元素、並びに▲4▼Al元素を含有するアルミン酸塩蛍光体と、EuAlO3 との混合物をバインダー樹脂中に分散してなることを特徴とする蛍光体ぺ一スト組成物。
【0013】
(2) 上記アルミン酸塩蛍光体が、下記一般式で表されることを特徴とする上記(1) 記載の蛍光体ペースト組成物。
(M1 1-xEux )O・a(M2 1-y, Mny )O
・(5.5−0.5a)Al2 3
(但し、上記式中、M1 はBa,Sr及びCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M2 はMg及び/又はZnを表し、a、x及びyはそれぞれ0<a≦2、0<x<1、及び0≦y<1 なる条件を満たす数である)
【0014】
(3) 上記一般式において、a、x及びyがそれぞれ0<a≦2、0.05≦x≦0.5、及び0≦y≦0.2なる条件を満たす数であることを特徴とする上記(2) 記載の蛍光体ペースト組成物。
(4) 上記一般式において、a、x及びyがそれぞれ1≦a≦2、0.05≦x≦0.5、及び0≦y≦0.2なる条件を満たす数であることを特徴とする上記(2) 記載の蛍光体ペースト組成物。
(5) 上記一般式において、a、x及びyがそれぞれ1≦a≦2、0.05≦x≦0.5、及びy=0なる条件を満たす数であることを特徴とする上記(2) 記載の蛍光体ペースト組成物。
【0015】
(6) 上記混合物にCuKα1特性X線を入射させたときに得られる粉末X線回折パターンのうち、上記アルミン酸塩蛍光体結晶に固有の回折指数107の強度に対する上記EuAlO3 結晶に固有の回折指数200の強度の比が0.005〜0.30の範囲、好ましくは0.01〜0.20の範囲にあることを特徴とする上記(1) 〜(5) のいずれか1つに記載の蛍光体ペースト組成物。
(7) 上記ペースト組成物中の上記混合物の含有率が5〜60重量%、好ましくは10〜45重量%であることを特徴とする上記(1) 〜(6) のいずれか1つに記載の蛍光体ペースト組成物。
【0016】
(8) 上記バインダー樹脂が、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエチレンオキサイド及びアクリル樹脂の群から選択される1種以上の樹脂であることを特徴とする上記(1) 〜(7) のいずれか1つに記載の蛍光体ペースト組成物。
(9) 上記バインダー樹脂を溶解する溶媒として、水、酢酸ブチル、ブチルカルビトール及びテルピオネールの群から選択された1種以上のものを含有することを特徴とする上記(1) 〜(8) のいずれか1つに記載の蛍光体ペースト組成物。
【0017】
(10)蛍光膜を有する真空外囲器内に希ガスを封入し、該希ガスの放電によって放射される真空紫外線で上記蛍光膜を励起して発光させる真空紫外線励起発光素子において、上記蛍光膜が、上記(1) 〜(9) のいずれか1つに記載の混合物を含有することを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、その理由は定かではないが、Eu付活アルミン酸塩蛍光体を含有する蛍光体ペースト組成物において、発光に寄与しないEuAlO3 を混在させることによって、蛍光体ペースト組成物を用いて蛍光膜を形成するときの、蛍光膜化工程での輝度劣化が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
本発明の蛍光体ぺ一スト組成物は、Ba、Sr及びCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類元素と、付活剤であるEu元素と、Mg及び/又ばZn元素と、Al元素とを含むEu付活アルミン酸塩蛍光体に対して、EuAlO3 粉体を所定量混在させ、これにバインダー樹脂と、粘度調整用の溶媒を添加し、十分に混練して蛍光体ぺースト組成物を得る。
【0020】
本発明のEu付活アルミン酸塩蛍光体には、MgやZn以外にMnを添加してもよい。これらの蛍光体としては、発光輝度を考慮すると下記の一般式で表されるEu付活アルミン酸塩蛍光体が好ましい。
(M1 1-xEux )O・a(M2 1-y, Mny )O
・(5.5−0.5a)Al2 3
(但し、上記式中、M1 はBa,Sr及びCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M2 はMg及び/又はZnを表し、a、x及びyは、それぞれ0<a≦2、0<x<1、及び0≦y<1なる条件、好ましくは0<a≦2、0.05≦x≦0.5、及び0≦y≦0.2なる条件、より好ましくは1≦a≦2、0.05≦x≦0.5、及び0≦y≦0.2なる条件、より一層好ましくは1≦a≦2、0.05≦x≦0.5、及びy=0なる条件を満たす数を表す)
【0021】
上記一般式において、xは、結晶構造的には0から1までの値を取り得るが、十分な発光強度を得るためには、xが0.05〜0.5の範囲が好ましい。この範囲を外れると、蛍光体の発光強度が低くなってしまう。yも、結晶構造的には0から1までの値を取り得るが、十分な発光強度を得るためには、yが0.2以下であることが好ましく、y=0であってもよい。また、aは、蛍光体の粉末X線回折に基づくリートベルト解析法によると、1≦a≦2のときに特に高輝度の蛍光体となる。
【0022】
本発明のEu付活アルミン酸塩蛍光体の製造法は特別なものではない。従来法と同様に、蛍光体を構成する各金属の炭酸塩、酸化物等の化合物原料を化学量論的に秤量して十分に混合した後、アルミナ坩堝等の耐熱容器に充填して還元性雰囲気中で1200〜1700℃の温度で2〜40時間かけて1回以上焼成し、得られた焼成物を分散、水洗、乾燥、篩分を行って得る。また、焼成時にフッ化物等のフラックスを使用してもよい。
本発明で用いるEuAlO3 は、Eu、Alの炭酸塩、酸化物等の化合物原料を化学量論的に秤量し、上記の蛍光体と同様に製造することができる。
【0023】
本発明において、Eu付活アルミン酸塩蛍光体とEuAlO3 と混合物は、該混合物に対してCuKα1特性X線を入射し、得られる粉末X線回折パターンのうち、アルミン酸塩蛍光体結晶に固有の回折指数107の強度に対するEuAlO3 結晶に固有の回折指数200の強度の比(以下、この比の値を「α値」という)が0.005〜0.30の範囲、好ましくは0.01〜0.20の範囲になるように調製する。α値が0.005を下回ると、ペースト焼成時の劣化防止効果が弱く、一方、0.30を超えると、EuAlO3 不純物量が多くなりすぎて発光輝度が低下する。
【0024】
本発明において、Eu付活アルミン酸塩蛍光体とEuAlO3 との混合物を分散させるバインダー樹脂としては、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエチレンオキサイド、アクリル樹脂等を使用することができる。
また、本発明の蛍光体ペースト組成物の粘度を調整するために、水、酢酸ブチル、ブチルカルバトール、テルピオネール等の溶媒を使用することができる。
【0025】
本発明の蛍光体ペースト組成物における上記混合物の混合割合は、溶媒を含む蛍光体ペースト組成物の全重量に対し、5〜60重量%の範囲が適当である。この範囲は、所望の膜厚の蛍光膜を得るために、また、得られたペーストの塗布特性を確保するためにも重要である。なお、上記の混合割合の好ましい範囲は10〜45重量%である。
【0026】
このようにして得た本発明の蛍光体ペースト組成物は、細管ランプ、PDPを初め、その種類、形態等の如何に関係なく、蛍光膜形成に際して、所定の形状の真空外囲器の内側又は外側に塗布し、これを乾燥し、さらに焼成する工程を必要とする真空紫外線励起発光素子の製造において、発光輝度の劣化防止に有効である。
【0027】
なお、本発明の蛍光体ペースト組成物による蛍光膜形成時の焼成工程での劣化の程度は次のようにして評価する。即ち、蛍光体ペースト組成物をガラス板上に100μmの厚さで塗布し、120℃で30分乾燥した後、これを450℃で30分間焼成して蛍光体塗布膜を得る。この蛍光体塗布膜に146nmの真空紫外線を照射して蛍光体を励起して発光させ、その時の発光色の色度と、発光輝度を測定する。青色蛍光体の輝度は、その発光色(色度点のy値)に比例して大きく変わるので、発光色y値の異なる蛍光体間の発光効率を比較する簡便な方法として、発光輝度をy値で割った値を比較することが一般に行われている。
【0028】
そこで、本発明においても、各蛍光体ペースト組成物の焼成後の発光輝度をそのy値で割った値(発光効率=発光輝度/y値)をそれぞれ求め、EuAlO3 を含まないEu付活アルミン酸塩蛍光体含有ペースト組成物の場合の発光効率を100%とした時の相対値を求めて評価した。
【0029】
また、本発明の真空紫外線励起発光素子は、本発明の蛍光体ペースト組成物を用いる以外は、従来の真空紫外線励起発光素子と同様にして蛍光膜を形成して製造する。即ち、本発明の蛍光体ペースト組成物を外囲器の内外に塗布し、乾燥し、焼成して蛍光膜を形成し、さらに電極を取り付け、内部を排気した後、希ガス等を封入して完成する。
【0030】
【実施例】
(比較例)
Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体(α値=0) 30重量%
ブチルカルビトール 10重量%
ブチルカルビトールアセテート 53重量%
エチルセルロース 7重量%
上記ペースト原料を混練して蛍光体ペースト組成物を作製した。この蛍光体ペーストをガラス板上に100μmの厚さで塗布し、120℃で30分間乾燥した後、450℃で30分間焼成して比較例の蛍光膜を得た。
得られた蛍光膜に146nmの真空紫外線を照射して蛍光体を励起させ発光させて比較例の蛍光膜の発光効率(発光輝度/色度点のy値)を求めこれを100%として以下の実施例の発光効率を表記した。
なお、上記のBa0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体のCuKα1線による粉末X線回折パターンを調べて、EuAlO3 に対応する回折線のないことを確認した。
【0031】
(実施例1)
Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体とEuAlO3 の混合物
(α値=0.06) 30重量%
ブチルカルビトール 10重量%
ブチルカルビトールアセテート 53重量%
エチルセルロース 7重量%
上記ペースト原料を混練して蛍光体ペースト組成物を作製した。この蛍光体ペーストをガラス板上に100μmの厚さで塗布し、120℃で30分間乾燥した後、450℃で30分間焼成して実施例1の蛍光膜を得た。
実施例1の蛍光膜に146nmの真空紫外線を照射して蛍光体を励起させて発光させたところ、発光効率(発光輝度/y値)は、比較例の蛍光膜(α値=0)の発光効率の130%であった。
なお、上記蛍光体混合物は、CuKα1線による粉末X線回折パターンがBa0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体の回折指数107の強度に対する、EuAlO3 の回折指数200の強度の比(α値)が0.06になるように調製した。以下の実施例も同様である。
【0032】
(実施例2)
Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体とEuAlO3 の混合物
(α値=0.20) 30重量%
ブチルカルビトール 10重量%
ブチルカルビトールアセテート 53重量%
エチルセルロース 7重量%
上記ペースト原料を用いて実施例1と同様にして実施例2の蛍光膜を得た。この蛍光膜の発光効率(発光輝度/y値)は、比較例の蛍光膜(α値=0)の発光効率の134%であった。
【0033】
(実施例3)
Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体とEuAlO3 の混合物
(α値=0.04) 30重量%
ブチルカルビトール 10重量%
ブチルカルビトールアセテート 53重量%
エチルセルロース 7重量%
上記ペースト原料を用いて実施例1と同様にして実施例3の蛍光膜を得た。この蛍光膜の発光効率(発光輝度/y値)は、比較例の蛍光膜(α値=0)の発光効率の142%であった。
【0034】
(実施例4)
Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体とEuAlO3 の混合物
(α値=0.02) 30重量%
ブチルカルビトール 10重量%
ブチルカルビトールアセテート 53重量%
エチルセルロース 7重量%
上記ペースト原料を用いて実施例1と同様にして実施例4の蛍光膜を得た。この蛍光膜の発光効率(発光輝度/y値)は、比較例の蛍光膜(α値=0)の発光効率の130%であった。
【0035】
(実施例5)
Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体とEuAlO3 の混合物
(α値=0.01) 30重量%
ブチルカルビトール 10重量%
ブチルカルビトールアセテート 53重量%
エチルセルロース 7重量%
上記ペースト原料を用いて実施例1と同様にして実施例5の蛍光膜を得た。この蛍光膜の発光効率(発光輝度/y値)は、比較例の蛍光膜(α値=0)の発光効率の124%であった。
【0036】
(実施例6)
Ba0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体とEuAlO3 の混合物
(α値=0.05) 30重量%
酢酸ブチル 45重量%
ニトロセルロース 25重量%
上記ペースト原料を混練して蛍光体ペースト組成物を作製した。この蛍光体ペースト組成物を外径4mmのガラス管内に塗布し、120℃で60分間乾燥した後、600℃で10分間焼成し、内壁に実施例6の蛍光膜を形成した。このガラス管の両端にニッケル製の電極を付け、管内を真空に排気した後Ne98%−Xe2%のガスを50Torr封入して真空紫外線励起発光素子を得た。
この真空紫外線励起発光素子に交流電圧を印加して発光させた。この時のガラス管の中心部の発光効率(発光強度/y値)は、α値=0のBa0.9 Eu0.1 MgAl1017蛍光体を用いた以外は上記と同様にして作製した比較用真空紫外線励起発光素子の発光効率(発光強度/y値)の120%であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、蛍光膜形成工程の焼成時における輝度劣化を大幅に抑制することができ、発光効率の改善された青色発光アルミン酸塩蛍光体からなる蛍光体ペースト組成物の提供と、この蛍光体ペースト組成物を用いて蛍光膜を形成した真空紫外線励起発光素子の提供を可能にした。

Claims (5)

  1. ▲1▼Ba、Sr及びCaの群より選択された少なくとも1種のアルカリ土類金属元素、▲2▼Eu元素、▲3▼Mg、Zn及びMnの群より選択された少なくとも1種の元素、並びに▲4▼Al元素を含有するアルミン酸塩蛍光体と、EuAlO3 との混合物をバインダー樹脂中に分散してなることを特徴とする蛍光体ぺ一スト組成物。
  2. 上記アルミン酸塩蛍光体が、下記一般式で表されることを特徴とする請求項1記載の蛍光体ペースト組成物。
    (M1 1-xEux )O・a(M2 1-y, Mny )O
    ・(5.5−0.5a)Al2 3
    (但し、上記式中、M1 はBa,Sr及びCaからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、M2 はMg及び/又はZnを表し、a、x及びyはそれぞれ0<a≦2、0<x<1、及び0≦y<1 なる条件を満たす数である)
  3. 上記混合物にCuKα1特性X線を入射させたときに得られる粉末X線回折パターンのうち、上記アルミン酸塩蛍光体結晶に固有の回折指数107の強度に対する上記EuAlO3 結晶に固有の回折指数200の強度の比が0.005〜0.30の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光体ペースト組成物。
  4. 上記ペースト組成物中の上記混合物の含有率が5〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体ペースト組成物。
  5. 蛍光膜を有する真空外囲器内に希ガスを封入し、該希ガスの放電によって放射される真空紫外線で上記蛍光膜を励起して発光させる真空紫外線励起発光素子において、上記蛍光膜が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の混合物を含有することを特徴とする真空紫外線励起発光素子。
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