JP5111639B2 - ポリエチレンナフタレート−ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンナフタレートのポリマーフィルム - Google Patents
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Description
本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むポリマーフィルムに関し、特に電気絶縁体として使用するフィルムに関する。
本発明により、第1層の総重量に基づいて(a)ポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物、または(b)エチレンテレフタレート単位を50〜99.9質量%およびエチレンナフタレート単位を0.1〜50質量%含むコポリマーを含む第1層を含み、PENを含む第2層およびPENを含む第3層をさらに含み、並びに第1中間層および第2中間層をさらに含むポリマーフィルムであって、前記中間層の各々が層の総重量に基づいて(a)ポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物、または(b)エチレンテレフタレート単位を50〜99.9質量%およびエチレンナフタレート単位を0.1〜50質量%含むコポリマーを含み、並びに第1中間層が第1層および第2層との間に挿入され、第2中間層が第1層および第3層との間に挿入されたポリマーフィルムを提供する。
本明細書で記載されたポリエステルは、慣例な方法によって合成されることが可能である。一般的な方法は、直接的エステル化またはエステル交換反応、その後の重縮合を伴う。重縮合には、固相重合段階を含むことが好ましい。固相重合を、流動床、例えば窒素による流動化、または回転式真空乾燥機を使用した真空流動床で実施することができる。
促進熱老化を、空気循環炉で180℃で実施した。フィルムの破断伸び(elongation to break)(ETB)率の半減期(日)を測定した。機械的試験に対しASTM D882-83を使用して%ETB値を測定した。本発明によるポリエステルフィルムは、180℃での%ETBの半減期が8日を上回ることが好ましく、10日を上回ることがより好ましい。
PETポリマーのIVを、溶液粘度計により、25℃でo-クロロフェノール中にポリエステル溶液を1質量%使用することによって測定した。PENおよびPEN-PETコポリマーのIVを、溶融粘度計によって、以下の方法を使用して測定した。公知の温度および圧力で、校正されたダイを通過する予備乾燥押出物の流速を、コンピュータに接続した変換器によって測定する。コンピュータプログラムが、実験的に決定される回帰方程式から、溶融粘度値(log10粘度)および対応するIV値を算出する。時間(分)に対するIVのプロットをコンピュータで作成し、分解速度を算出する。ゼロ時間へのグラフの外挿は、初期のIVおよび対応する溶融粘度を生じる。ダイオリフィスの直径は0.020インチ(0.0508cm)であり、0.80までのIVに対し284℃、およびIV>0.80に対し295℃の溶融温度を有する。
溶媒抽出法を使用して測定した。フィルム試料をソックスレー抽出器の円筒濾紙に入れ、24時間キシレンで還流して抽出した。フィルム試料を取り出し、キシレン溶液を乾燥するまで蒸発させ、抽出された有機化合物の総量を算出して、初期のフィルム試料重量のパーセンテージとして表わした。
この方法は「The peeling of flexible laminates」A J Kinloch, C C Lau, J G Williams, International Journal of Fracture No. 66, 1994, p.45〜70に記載されている。この文献は、可撓性積層物の剥離試験による破損の界面仕事(Interfacial Work of Fracture)(GA)の測定に対する報告書を記載している。以下は、この文献にある剥離強度データを作成するために使用された方法の説明である。接着テープの一端がフィルムの端を超えて広がるように、接着テープをフィルムの片面に固定する。フィルムのもう1方の面を試験用ジグのベースプレートにしっかり取り付ける。剥離角度が試験中一定になるように、ジグをインストロンまたは同等の万能材料試験機に取り付ける。接着テープの自由端をインストロンのジョーに固定し、始動させると剥離試験が開始する。試験された材料に対して、ジョーの引き離し速度10mm/分および剥離角度110°を使用した。ソフトウェアパッケージを使用してGAを算出した。本発明のフィルムに対する破損の界面仕事(GA)は、少なくとも10J/m2、好ましくは少なくとも50J/m2、より好ましくは少なくとも100J/m2であることが望ましい。
フィルムの形態を、示差走査熱量計(DSC)、例えばPerkin Elmer DSC7を使用して特徴付けることができる。したがって、公知重量(10mg)の試料を、1分あたり20℃で30〜290℃まで加熱し、290℃で2分間維持して、その後1分あたり20℃で冷却した。DSCスキャンの結果を、温度(x軸)に対する熱流量(mWまたはmJ/s;y軸)のグラフとしてプロットすることができる。結晶化度を、スキャンの加熱部分からのデータを使用して測定する。主要な溶融転移(吸熱反応)の開始直前に測定された温度から、融解の完了が観察された直後の温度までのグラフの下方の面積を測定することによって、結晶溶融転移のための融解エンタルピーH(J/g)は算出される。試験試料の融解エンタルピーの真の値に至るために、適切であれば、DSCの試験条件下、試料に発見される加熱によって生じた余分な結晶化度の全てについて、算出されたH値を修正する。したがって、加熱による結晶化の生成に関連する発熱反応が観察された場合、この発熱反応は、Tch(加熱による結晶化温度)またはTn(核生成温度)と称する温度でピーク値を伴って一般的に発生するが、この発熱反応のエンタルピーが、主要な溶融転移吸熱反応のエンタルピーから差し引かれて、修正されたH値を得る。次に、算出されたH(または算出および修正されたH)を、約250℃の溶融温度での100%結晶性のPETに対して決められる理論上の融解エンタルピー(Hcは120J/g)と比較する。DSC結晶化度を、100(H/Hc)のパーセンテージとして表わす。
3種のポリエステルを、多層構造の製造で使用した。
水酸化ナトリウム50ppmおよびIrganox(登録商標)1010抗酸化剤500ppmの存在下、テレフタル酸をエチレングリコールと反応させて、標準的な直接エステル化反応でビス-(2-ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびその低オリゴマーを形成した。直接エステル化反応の終了時に、リン酸安定剤300ppm、次いで三酸化アンチモン重縮合触媒500ppmを添加した。粒径4μmのシリカ0.3%、および粒径0.2μmの二酸化チタン0.3%もまたこの段階で添加した。ポリエチレンテレフタレートの固有粘度(IV)が約0.52になるまで、標準的なバッチ式重縮合反応を行った。ポリエチレンテレフタレートの固有粘度が、約0.75〜0.79(ポリエステルA1)または0.90〜1.0(ポリエステルA2)のいずれかになるまで、バッチ式固相重縮合方法によってポリエチレンテレフタレートをさらに重合させた。
酢酸マンガン四水和物触媒400ppmの存在下、ジメチルナフタレートをエチレングリコールと反応させて、標準的エステル交換反応でビス-(2-ヒドロキシエチル)ナフタレートおよびその低オリゴマーをもたらした。エステル交換反応の終了時に、リン酸安定剤0.025%、次いで三酸化アンチモン重縮合触媒0.04%および陶土0.125%を添加した。ポリエチレンナフタレートの固有粘度(IV)が約0.50〜0.55(ポリエステルB1;真のPENのIV、PETに対応するIVは0.75〜0.80)または0.56〜0.65(ポリエステルB2;真のPENのIV、PETに対応するのは0.83〜0.92)になるまで、標準的なバッチ式重縮合反応を行った。
酢酸マンガン四水和物触媒400ppmの存在下、ジメチルナフタレートおよびジメチルテレフタレートをエチレングリコールと反応させて、標準的エステル交換反応でナフタレート基およびテレフタレート基を有するビス-(2-ヒドロキシエチル)モノマー並びにその低オリゴマーをもたらした。エステル交換反応の終了時に、リン酸安定剤0.025%、次いで三酸化アンチモン重縮合触媒0.04%を添加した。コポリマーの固有粘度(IV)が約0.60〜0.65(PETに対応するIV)になるまで、標準的なバッチ式重縮合反応を行った。コポリマーの固有粘度(PETに対応)が約0.75〜0.79(ポリエステルC1)または0.84〜0.95(ポリエステルC2)のいずれかになるまで、バッチ式固相重縮合方法によってコポリマーをさらに重合させた。
核層としてポリエステルA1および表面層としてポリエステルB1を使用して本明細書で示された方法によって、3層フィルムを作製した。押出成形の直前にエンゲルハルト(Engelhardt)サイドフィーダを使用して、ポリエステルB1を5%(w/w)、核のポリエステルA1に均一に混合した。フィルム全体の厚さは125μmで、表面層の厚さはそれぞれ12μmであった。フィルムに本明細書で記載された試験方法を行った。結果を表1に示す。
表面層がそれぞれ6μm厚であること以外は実施例1に従って3層フィルムを作製した。フィルムに本明細書で記載された試験方法を行った。結果を表1に示す。
フィルム全体の厚さが230μmであること以外は実施例1に従って3層フィルムを作製した。フィルムに本明細書で記載された試験方法を行った。結果を表1に示す。
フィルム全体の厚さが約230μmであること、および押出成形の直前にポリエステルB1を10%、核のポリエステルA1に均一に混合すること以外は実施例3に従って3層フィルムを作製した。フィルムに本明細書で記載された試験方法を行った。
結果を表1に示す。
フィルム全体の厚さが200μmで、表面層がそれぞれ17μm厚であること以外は実施例3に従って3層フィルムを作製した。
押出成形の直前に核のポリエステルA1に均一に混合されるポリエステルB1を10%有する、核層としてのポリエステルA1;外層としてのポリエステルB1;および中間層としてのポリエステルC1を、本明細書で記載された方法によって作製された5層フィルムは含む。フィルム全体の厚さは130μmで、外層はそれぞれ約10μm、および中間層はそれぞれ約5μmである。試験結果を表1に示す。
標準的な単層フィルムを、前述のフィルム形成条件下でポリエステルA1から作製した。単層フィルムの厚さは125μmである。フィルムに本明細書で記載された試験方法を行った。結果を表1に示す。
標準的な単層フィルムを、前述のフィルム形成条件下でポリエステルA1から作製した。単層フィルムの厚さは250μmである。フィルムに本明細書で記載された試験方法を行った。結果を表1に示す。
フィルム全体の厚さが約230μmであること、およびポリエステルB1を押出成形の直前に核のポリエステルA1に均一に混合しないこと以外は実施例3に従って3層フィルムを作製した。フィルムに本明細書で記載された試験方法を行った。結果を表1に示す。
核層としてのポリエステルA1、外表層およびまた中間層としてのポリエステルB1を、本明細書で示された方法によって作製された5層フィルムは含む。フィルム全体の厚さは130μmで、外層はそれぞれ約10μm、および中間層はそれぞれ約5μmである。試験結果を表1に示す。
1.第1層の総重量に基づいて(a)ポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物、または(b)エチレンテレフタレート単位を50〜99.9質量%およびエチレンナフタレート単位を0.1〜50質量%含むコポリマーを含む第1層を含み、PENを含む第2層およびPENを含む第3層をさらに含み、並びに第1中間層および第2中間層をさらに含むポリマーフィルムであって、前記中間層の各々が層の総重量に基づいて(a)ポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物、または(b)エチレンテレフタレート単位を50〜99.9質量%およびエチレンナフタレート単位を0.1〜50質量%含むコポリマーを含み、並びに第1中間層が第1層および第2層との間に挿入され、第2中間層が第1層および第3層との間に挿入されていることを特徴とするポリマーフィルム。
2.第1層が、エチレンテレフタレート単位を50〜99.9質量%およびエチレンナフタレート単位を0.1〜50質量%含むコポリマーを含むことを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
3.第1および/または第2中間層が、エチレンテレフタレート単位を50〜99.9質量%およびエチレンナフタレート単位を0.1〜50質量%含むコポリマーを含むことを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
4.前記混合物がPENを0.1〜30質量%、または前記コポリマーがエチレンナフタレート単位を0.1〜30質量%それぞれ含むことを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
5.前記混合物がPENを0.5〜15質量%、または前記コポリマーがエチレンナフタレート単位を0.5〜15質量%それぞれ含むことを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
6.第1層が抗酸化剤を含むことを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
7.有機性抽出物含有量が0.5質量%未満であることを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
8.前記第1層が結晶性であることを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
9.前記第1および/または第2中間層が結晶性であることを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
10.不透明であることを特徴とする上記1に記載のポリマーフィルム。
11.第1層の総重量に基づいて(a)ポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物、または(b)エチレンテレフタレート単位を50〜99.9質量%およびエチレンナフタレート単位を0.1〜50質量%含むコポリマーを含む第1層を提供する工程と、PENを含む第2層およびPENを含む第3層をさらに提供する工程と、並びに第1中間層および第2中間層をさらに提供する工程とを備えるポリマーフィルムの製造方法であって、前記中間層の各々が層の総重量に基づいて(a)ポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物または(b)エチレンテレフタレート単位を50〜99.9質量%およびエチレンナフタレート単位を0.1〜50質量%含むコポリマーを含み、並びに第1中間層が第1層および第2層との間に挿入され、第2中間層が第1層および第3層との間に挿入されたことを特徴とする方法。
12.前記フィルムが共押出成形によって製造されることを特徴とする上記11に記載の方法。
Claims (10)
- 第1層の総重量に基づいてポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物を含む第1層を含み、PENを含む第2層およびPENを含む第3層をさらに含み、並びに第1中間層および第2中間層をさらに含むポリマーフィルムであって、前記中間層の各々が層の総重量に基づいてポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物を含み、並びに第1中間層が第1層および第2層との間に挿入され、第2中間層が第1層および第3層との間に挿入され、第1層の組成物が第1中間層および第2中間層の組成物と異なっていることを特徴とするポリマーフィルム。
- 前記混合物がPENを0.1〜30質量%含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 前記混合物がPENを0.5〜15質量%含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 第1層が抗酸化剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 有機性抽出物含有量が0.5質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 前記第1層が結晶性であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 前記第1および/または第2中間層が結晶性であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 不透明であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
- 第1層の総重量に基づいてポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物を含む第1層を提供する工程と、PENを含む第2層およびPENを含む第3層をさらに提供する工程と、並びに第1中間層および第2中間層をさらに提供する工程とを備えるポリマーフィルムの製造方法であって、前記中間層の各々が層の総重量に基づいてポリエチレンテレフタレート(PET)を50〜99.9質量%およびポリエチレンナフタレート(PEN)を0.1〜50質量%含む混合物を含み、並びに第1中間層が第1層および第2層との間に挿入され、第2中間層が第1層および第3層との間に挿入され、第1層の組成物が第1中間層および第2中間層の組成物と異なっていることを特徴とする方法。
- 前記フィルムが共押出成形によって製造されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
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