JP4232915B2 - 電気絶縁用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気絶縁用ポリエステルフィルム及び積層フィルムに関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、冷凍機や空調機などの冷媒システムに用いられているコンプレッサー用モーターの絶縁用途や各種電気絶縁用途などに使用されるポリエステルフィルム及び積層フィルムに関するものであり、漏れ電流の低減、セット組込み易さ、オリゴマーの低減、組込み後のセット安定性、着色によるセット組込み確認の容易性、成形加工性などの向上をはかるものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、極限粘度の高いポリエステルフィルムを用いオリゴマーの低減をはかったり、また、末端封鎖剤を用いポリエステルフィルムの耐加水分解性を向上させることなどが行われてきた。
【0004】
さらに、上記両特性を同時に満足させるために、各種の耐熱フィルムの利用が行われてきたが、コストの上昇やセット組込みにくさやセット後の安定性、成形加工性の不良などの各種問題を有している。
【0005】
ところで、特開平9−100363号公報には空孔を有し、誘電率が特定値以下の耐熱性低誘電率プラスチック絶縁フィルムの開示がある。このフィルムの目的は、機器の高周波化に伴う絶縁部での漏洩電力損失を低減させるために低誘電率化を行うことであり、実際に電気絶縁用途に使用される際の、低オリゴマー性やセット組込み易さなどについて何ら考慮されておらず、実用に耐えるものではなかった。また、特開平5−194773号公報には、特定の見かけ密度と、引張弾性率のポリエステルフィルムの開示があるが、電気絶縁用途に使用することの記載はなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの電気絶縁用フィルムにおいては、次のような課題が存在する。
【0007】
(1)地球環境問題から環境汚染性の低い冷媒、オイルへの変更が進行しつつあり、これらを達成するためにさらなるオリゴマーの低減が望まれている。
【0008】
(2)上記冷媒システムに耐熱性フィルムを単独で用いたのではコスト高となる。
【0009】
(3)モーター絶縁用などで使用する際の成形加工性(熱成形、スリット折り曲げ成形)、セット組み込み後の安定性(ズレ、がたつき)、視認性などが不十分である。
【0010】
(4)冷媒、オイルの変更により、漏れ電流が増大する。
【0011】
本発明は、これらの問題点を解決することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、引張弾性率が3.0〜4.5GPaであり、誘電率が2.2〜3.0であり、ポリメチルペンテンまたはポリプロピレンホモポリマーより選ばれる微粒子を5〜20重量%含有し、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の極限粘度が0.68〜1.5dl/gであることを特徴とする電気絶縁用ポリエステルフィルム。を提供する。
【0013】
さらに本発明は、上記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に該ポリエステルフィルムよりも耐熱性の優れたフィルムを積層してなることを特徴とする電気絶縁用積層フィルムを提供する。
【0014】
また本発明は、かかる電気絶縁用ポリエステルフィルムや電気絶縁用積層フィルムを、一部水素化されたハロゲン化炭化水素を主成分とする冷媒と有極性オイルとの雰囲気下で電気絶縁用途に使用する絶縁システム、および該絶縁システムを励磁用コイルの絶縁用に使用したモーターを組み込んでなる密閉型コンプレッサーを提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の電気絶縁用ポリエステルフィルムの引張弾性率は、3.0〜4.5GPaである必要がある。引張弾性率が2.0GPa未満であると、フィルムに腰がなく、例えばモーターの励磁用コイル周辺に組み込む際の折れ込みの問題が生じる場合がある。引張弾性率が4.5GPaを越えると、腰がありすぎ、折り曲げ、あるいは湾曲させて組み込む際の形態保持性が悪く、作業性が悪くなる場合がある。引張弾性率をかかる範囲とすることは、フィルム空孔の割合と、延伸の条件で達成することができる。
【0016】
さらに、本発明の電気絶縁用ポリエステルフィルムの誘電率は2.2〜3.0であることが必要であり、より好ましくは2.4〜3.0、最も好ましくは2.5〜3.0である。誘電率が大きすぎると、漏れ電流が大きく機器の安全上使用できない場合があり、誘電率が小さすぎると、機械特性とのバランスが取れず実用に耐えない場合がある。
【0017】
本発明のポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとは、エステル化によって高分子化されている結晶性の熱可塑性樹脂組成物であり、このようなポリエステルはジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合することによって得られる。
【0018】
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸などが用いられ、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが用いられる。これらのうち酸成分としては、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸が好ましく、グリコール成分としてはエチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。
【0019】
該ポリエステルの融点としては250℃以上であるのが耐熱性の点から好ましく、300℃以下であるのが生産性の点から好ましい。このような好ましいポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどが例示できるが、中でもポリエチレンテレフタレートとポリエチレン−2,6−ナフタレートが特性、コストのバランスから最も好ましい。これらのポリマーには他の成分が共重合、ブレンドされていても差し支えない。
【0020】
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、その極限粘度[η]が0.6〜1.5dl/gが好ましく、より好ましくは0.7〜1.4dl/g、特に好ましくは0.8〜1.3dl/gである。極限粘度[η]が0.6dl/g未満であると、オリゴマー量が多くなりすぎ電気絶縁用途として不適になる場合があり、また長期耐熱性に問題が生じる場合がある。極限粘度[η]が1.5dl/gを越えると、粘度が高くなりすぎ成形性が悪くなる場合がある。
【0021】
また、該ポリエステルのM/Pは1.8以下が好ましく、より好ましくは1.4以下、さらに好ましくは1.2以下、特に好ましくは1以下であるのが常温および高温における絶縁抵抗が向上し好ましい。ここにM/Pは重合触媒を除くポリマー中の全金属元素(M)とリン元素(P)とのモル比を示す。
【0022】
本発明のポリエステルフィルムは、二軸延伸フィルムであるのが機械的特性、熱的特性、電気的特性、成形加工性、見かけ密度から好ましい。
【0023】
本発明の電気絶縁用ポリエステルフィルムの見かけ密度は1.37〜0.85g/cm3 であることが好ましい。より好ましくは1.3〜0.9g/cm3 、最も好ましくは1.2〜0.9g/cm3 である。1.37g/cm3 を超える場合、オリゴマーの増大、成形加工性、漏れ電流の増大などの問題が生じる場合がある。見かけ密度を小さくした場合にオリゴマー量が低減する理由は定かではないが、内部に形成される空孔周辺あるいは内壁へのオリゴマーの濃縮、偏析等により見かけのオリゴマー量が低減するものと推定される。さらに、見かけ密度を小さくすることにより、同一厚みのフィルムを使用した場合のポリエステルの使用量が減少し、オリゴマー量の絶対値が減少するという効果も認められる。0.85g/cm3 未満の場合、機械的強度、耐衝撃性が不足し、例えばモーターの励磁用コイル周辺に組み込む際(ウェッジやスロットライナー)、組み込み後の折れが起こり、実用上問題を生じる。見かけ密度をかかる範囲とすることは、フィルム内部に形成する空孔の割合を制御することで達成できる。
【0024】
さらに、本発明の電気絶縁用ポリエステルフィルムの見かけ密度D(g/cm3 )と引張弾性率Y(GPa)の関係は、2.5<Y/D<4であることが好ましい。Y/Dが高いということは、十分配向が行われ、配向結晶化によるオリゴマー量の低減、耐熱性の向上に繋がる。すなわちY/Dが2.5以下であると、オリゴマー量あるいは耐熱性に問題が生じる場合がある。Y/Dが4以上であるとフィルムの延伸時に破れやすく製膜性に問題が生じる場合がある。
【0025】
次に、本発明の製造方法の一例について説明する。
【0026】
まず前述したポリエステルに非相溶なポリマーや微粒子を添加し、これを押出機に供給し、Tダイより押出し、シート状に成形する。このシートをポリエステルのガラス転移温度以上に加熱し、長手方向に延伸する。このフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導きガラス転移温度以上に加熱し、長手に垂直な方向(幅方向)に延伸し、引続き熱処理(必要により、幅方向、長手方向に弛緩を加えてもよい)を行うことにより二軸延伸ポリエステルフィルムが得られる。
【0027】
上記非相溶なポリマーや微粒子とは、本発明に必要な見かけ密度の得られるものであり、非相溶なポリマーの具体例としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどが用いられ、これらのポリマーは必ずしもホモポリマーに限定されるものでなく、これらのコポリマーであってもよいが、本発明では、非相溶なポリマーとしては中でも臨界表面張力の小さく、誘電率の小さいポリオレフィンがよく、ポリプロピレンやポリメチルペンテンなどを用いる。これらは見かけ密度の低減、耐熱性、漏れ電流低減などから好ましい。
【0028】
これらの非相溶ポリマーは、ポリエステル中において粒状に存在する。この粒径をコントロールするため相溶化剤を添加してもよく、例えばポリアルキレングリコールまたはその共重合体など、より具体的にはポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどが用いられる。界面活性剤等によっても微細化できるが電気特性の悪化を招かない範囲でなければならない。
【0029】
微粒子の具体例としては有機粒子や無機粒子が用いられ、有機粒子の具体例としてはシリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋スチレン−ジビニルベンゼン共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、“テフロン”(登録商標名)粒子などが用いられる。無機粒子としては、炭酸カルシウムや二酸化珪素、硫酸バリウムなどがあげられる。微粒子の場合は界面活性剤などを使用しないのが好ましい。
【0030】
次に、ポリエステルに添加する方法としては、特に制限されるものではないが、非相溶ポリマーを用いる場合、あらかじめポリエステル樹脂とコンパウンドしたものを製膜押出機に供給してもよく、製膜押出機にポリエステル樹脂とブレンドして供給してもよいが、ポリエステル樹脂の熱的な劣化による極限粘度[η]の低減を避けるためにブレンド法、特に、安息角の問題から製膜押出機に供給される直前に機械的方法で強制的にブレンドする方法が最も好ましい。
【0031】
また、微粒子を用いる場合、重合段階で添加する方法が好ましい。具体的にはエチレングリコールに添加しておく方法などが好ましい。また、炭酸カルシウム粒子の場合は添加時にリン化合物を添加し、黄化や発泡を防ぐのが好ましい。
【0032】
本発明のポリエステルフィルムの厚みは特に限定されることはないが、モーター絶縁用途に好適に用いられる25〜350μmの範囲が絶縁性能、作業性両立のために好ましく、50〜250μmの範囲がより好ましい。
【0033】
本発明のポリエステルフィルムは必ずしも単膜フィルムである必要はなく、基層とその少なくとも一方の表面に設けられた表層とからなる多層構造であることが好ましい。表層は両方の表面に設けられることがフィルムのカールを抑えるためにもより好ましい。また、表層の見かけ密度は、基層の見かけ密度より大きいことが、機械的強度、耐衝撃性、組込み(ウェッジやスロットライナー)時、折れ防止の点から好ましい。この多層構造フィルムの場合も、基層、表層を構成するポリエステル樹脂の極限粘度は0.68〜1.5dl/gであることが好ましく、また両層が共にポリエチレンテレフタレートを主体とするものか、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを主体とするものであることが好ましい。
【0034】
さらに多層フィルムの場合、表層の厚みはフィルム全体の厚みの5〜50%であることが、機械的強度、耐衝撃性、組込み時の作業性の点から好ましい。
【0035】
本発明の多層フィルムの場合、基層および表層を構成するポリエステル樹脂を融解し、口金より押し出す前に合流させて押し出し、冷却後二軸延伸を行うことによって製造することが基層と表層の界面での剥離を防止するために好ましい。基層を構成するポリエステル樹脂は、前述の該ポリエステル樹脂に非相溶なポリマまたは微粒子を含んでいることが好ましく、特にポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィンを含んでいることが好ましい。
【0036】
また、本発明は、上記本発明のポリエステルフィルムの少なくとも片面に、該ポリエステルフィルムよりも耐熱性の優れたフィルムが積層された電気絶縁用積層フィルムをも提供する。耐熱性フィルムを積層することにより、さらなる高耐熱性を要求される用途への利用が可能となる。耐熱性の優れたフィルムは、ポリエステルフィルムの両面に積層されることが、耐熱性、機械特性のためにより好ましい。
【0037】
ポリエステルフィルムと、該ポリエステルフィルムに積層される耐熱性に優れたフィルムの組合わせとしては、同一ポリエステル同士の場合は、耐熱性に優れたフィルムにはより高い極限粘度[η]を有するものを用い、異種ポリエステル同士の場合は、ポリエチレンテレフタレートを主体とするものとポリエチレンナフタレートかポリフェニレンスルフィドを主体とするものとの組合わせ、さらにはポリエチレンナフタレートを主体とするものとポリフェニレンスルフィドか芳香族ポリイミドを主体とするものとの組合わせなどがより好ましい。
【0038】
これら積層フィルムの、ポリエステル樹脂部分の極限粘度[η]は0.68〜1.5dl/gであることが好ましい。
【0039】
本発明のポリエステルフィルム及び積層フィルムは、一部水素化されたハロゲン化炭素を主成分とする冷媒と有極性オイルとの混合物雰囲気下で電気絶縁用途に使用する絶縁システムに好ましく用いられる。特に好ましくは、密閉型コンプレッサー中、一部水素化されたハロゲン化炭素を主成分とする冷媒と有極性オイルとの混合物雰囲気下で使用されるモーターの、励磁用コイルの絶縁用に使用される。
【0040】
現在、フロンガスによるオゾン層破壊の問題を解決するために、いわゆる「モントリオール議定書」に基づく代替フロンの開発及び代替フロンを用いた冷凍・空調機システムの開発が精力的に行われており、この場合、従来の完全にハロゲン化されたハロゲン化炭素に対し、ハロゲンの一部が水素に置き換わった冷媒いわゆる代替フロンが用いられる。代替フロンはハロゲン原子の代わりに水素が結合しており、極性を有することから従来の無極性鉱物オイルやアルキルベンゼン系オイルは溶解しにくく使用が困難であり、ポリオールエステルやポリアルキレングリコール、炭酸エステル、エーテル、フッ素化合物などの有極性オイルとの組み合わせで用いられようとしている。これら混合物雰囲気中で従来のポリエステルフィルムを使用した場合には、特に有極性オイルの誘電率の高さに起因すると考えられる絶縁システムの容量の増大による漏れ電流の増大が懸念されている。本発明のポリエステルフィルム及び積層フィルムを絶縁システムに用いた場合は、漏れ電流の低減により、安全性、信頼性の向上を図ることができる。特に密閉型コンプレッサー中で使用されるモーターの励磁用コイル周辺の絶縁に用いた場合効果が大きい。
【0041】
【物性及び効果の評価方法】
(1)見かけ密度:
電磁式はかり(研精工業(株)製SD−120L)で測定した。
【0042】
(2)極限粘度[η]:
試料を105℃で20分乾燥した後、6.8±0.005gを秤量し、o−クロロフェノール中で160℃で15分間撹拌して溶解した。冷却後、ヤマトラボテック(株)AVM−10S型自動粘度測定機により25℃における粘度を測定した。
【0043】
(3)オリゴマー量:
冷媒としてR407C(AC9000、CH2 F2 :CF3 CHF2 :CF3 CH2 F=23:25:52)オイルとしてポリオールエステル油(VG32)を用い、150℃、35kg/cm2 のオートクレーブ中に試料を入れ、1000時間処理し、オイル/冷媒中のオリゴマー量(環状3量体)を液体クロマトグラフィーにより求め、試料量に対する割合で以下の判定を行った。
【0044】
0.6重量%以上 :×
0.35重量%以下:○
この中間量のもの :△
(4)打ち込み性:
厚み250μmのフィルムサンプルを10cm×20cmに切り出し、20cmの辺を円形に丸め10cmの辺側を粘着テープで固定して円筒形の形状とし、円筒を平らな板に乗せ、円筒の上面側に平らな板を乗せて計10kgの重りを負荷したときのつぶれ性で以下の判定を行った。
【0045】
○:全く形状に変化がない
△:一部変形するが、形状を保つ
×:完全に押しつぶされる
(5)漏れ電流:
フィルムサンプルを、スロットライナーおよびウェッジとしてモーターに組込み、AC9000とVG32の冷媒、オイルの組み合わせでもれ電流を測定し以下の判定を行った。
【0046】
○:漏れ電流0.8mA以下
△:漏れ電流0.8〜1mA
×:漏れ電流1mA以上
(6)耐熱性:
試料を180℃のオーブン中で曝露し、240時間ごとに試料を取り出し、引張伸び率を測定し、初期値の1/2になるまでの時間で以下の判定を行った。引張伸び率の測定はASTM−D882−61Tにより測定した。
【0047】
○:200時間以上
△:100〜200時間
×:100時間以下
(7)引張弾性率:
JIS−Z1702に規定された方法に従って、“インストロン”タイプの引張試験機を用いて、25℃、65%RHにて測定した。
【0048】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、さらに詳しく説明する。
【0049】
比較例2〜6
ジメチレンテレフタレート85重量部、エチレングリコール60重量部と酢酸カルシウム0.09重量部を触媒として常法に従いエステル交換反応せしめ、トリメチルホスフェート含有量0.20重量%含有したエチレングリコール溶液を添加し、さらに平均粒径1.1μmの炭酸カルシウムを含有量を、表1に示すポリエチレンテレフタレートに対する含有量となるよう調製したエチレングリコールスラリーを添加し、次いで三酸化アンチモン0.03重量部を触媒として重縮合反応を行い極限粘度0.68dl/gのポリエチレンテレフタレートを得た。
【0050】
このポリエチレンテレフタレートを170℃で真空乾燥した後、280℃に加熱した押し出し機に供給し、Tダイより押し出し30℃の冷却ドラムで冷却固化し、未延伸フィルムを得た。さらにこのフィルムを85〜95℃に加熱し、長手方向に3.3〜4.1倍に延伸し、引き続き110℃に加熱したテンターで幅方向に3.2〜4.2倍延伸し、220℃で熱処理を行い、室温まで均一に冷却後巻き取り、250μmのフィルムを得た。
【0051】
比較例1
炭酸カルシウム及びトリメチルホスフォネートを用いない以外は比較例2と同様に重合し、極限粘度0.68dl/gのポリエチレンテレフタレートを得た。
【0052】
製膜条件としては表1に記載の通りとした。
【0054】
実施例6、7極限粘度が0.68のポリエチレンテレフタレートにポリメチルペンテン5重量%と10重量%を添加し、相溶化剤としてポリエチレングリコール0.5重量%を添加したものを表1に記載の製膜条件で製膜した。
【0055】
実施例8
実施例7におけるポリメチルペンテンの代わりにポリプロピレンホモポリマーを5重量%としたものを作製した。
【0061】
これら実施例6〜8、比較例1〜6のフィルム構成、評価結果等を表1、表2にまとめた。本発明のポリエステルフィルムは、打ち込み性にもほぼ問題なく、耐熱性にも優れることから、電気絶縁用途に好適に使用できる。またこれらの大半は、誘電率が低く、漏れ電流を小さくできることから、新フロンシステムにおいて安全に使用できる。
【0062】
比較例1は、誘電率が大きく、漏れ電流が大きくなり、比較例2、3は延伸が不十分なために、引張弾性率が低く、打ち込み性、耐熱性に問題があり、誘電率が高いことから漏れ電流が増大した。比較例4は、引張弾性率が低いことから打ち込み性に問題があり、モーター絶縁等には全く使用できないものとなった。
【0063】
【表1】
【表2】
実施例14、15
実施例7と同じ条件で、厚み188μmのポリエステルフィルムを得た。25μmのポリエチレンナフタレートフィルムに、耐熱性ポリウレタン接着剤である東洋モートン(株)製“アドコート”(登録商標)76P1と同硬化剤100/8(重量比)とし、酢酸エチルの32溶液としてグラビアコート法で硬化後6μmとなるようにコートし、上記188μmのポリエステルフィルムの両面にロール温度80℃、線圧3kg/cmで張り合わせたものを実施例14とした。またポリエチレンナフタレートフィルムの代わりに、ポリフェニレンスルフィドフィルム(東レ(株)製“トレリナ”(登録商標))を用いたものを実施例15とした。
【0065】
実施例14〜17のフィルム構成、評価結果等を表3および表4に示す。
【0066】
本発明の積層フィルムは、打ち込み性、耐熱性に優れ、また誘電率も低いことから漏れ電流も小さく、電気絶縁用途に好適に用いることができる。
【0067】
【表3】
【表4】
【0068】
【発明の効果】
見かけ密度と引張弾性率と誘電率が特定範囲のポリエステルフィルムあるいはさらに耐熱性を有するフィルムを積層した積層フィルムを電気絶縁材料とすることにより、耐熱性、耐衝撃性、成形加工性に優れ、かつ組み込み安定性に優れ、視認性もよく、高誘電率の冷媒系を用いた場合に懸念される漏れ電流を小さくすることができる。
Claims (10)
- 引張弾性率が3.0〜4.5GPaであり、誘電率が2.2〜3.0であり、ポリメチルペンテンまたはポリプロピレンホモポリマーより選ばれる微粒子を5〜20重量%含有し、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の極限粘度が0.68〜1.5dl/gであることを特徴とする電気絶縁用ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムが基層とその少なくとも一方の表面に設けられた表層とから成る多層構造を有するものである請求項1に記載の電気絶縁用ポリエステルフィルム。
- 基層および表層を構成するポリエステル樹脂を融解し、口金より押し出す前に合流させて押し出し、冷却後二軸延伸を行うことによって得られる請求項2に記載の電気絶縁用ポリエステルフィルム。
- 基層および表層を形成するポリエステル樹脂が共に、ポリエチレンテレフタレートを主体とするものである請求項3に記載の電気絶縁用ポリエステルフィルム。
- 基層および表層を形成するポリエステル樹脂が共に、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを主体とするものである請求項3あるいは請求項4に記載の電気絶縁用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用ポリエステルフィルムの少なくとも片面に該ポリエステルフィルムより耐熱性の優れたフィルムが積層されて成る電気絶縁用積層フィルム。
- ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートを主体とするものであり、耐熱性の優れたフィルムがポリフェニレンスルフィドまたはポリエチレンナフタレートを主体とするものである請求項6に記載の絶縁用積層フィルム。
- ポリエステルフィルムがポリエチレンナフタレートを主体とするものであり、耐熱性の優れたフィルムがポリフェニレンスルフィドまたは芳香族ポリイミドを主体とするものである請求項6に記載の絶縁用積層フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電気絶縁用ポリエステルフィルムあるいは積層フィルムを、一部水素化されたハロゲン化炭素を主成分とする冷媒と有極性オイルとの雰囲気下で電気絶縁用途に使用することを特徴とする絶縁システム。
- 請求項9に記載の絶縁システムを励磁用コイルの絶縁用に使用したモーターを組込んでなることを特徴とする密閉型コンプレッサー。
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1997
- 1997-09-17 JP JP25185897A patent/JP4232915B2/ja not_active Expired - Lifetime
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