JP2001043736A - 絶縁フィルムその使用方法と電動機及び冷媒圧縮機 - Google Patents

絶縁フィルムその使用方法と電動機及び冷媒圧縮機

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JP2001043736A
JP2001043736A JP11217624A JP21762499A JP2001043736A JP 2001043736 A JP2001043736 A JP 2001043736A JP 11217624 A JP11217624 A JP 11217624A JP 21762499 A JP21762499 A JP 21762499A JP 2001043736 A JP2001043736 A JP 2001043736A
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insulating film
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less
polyester
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Akira Takahashi
明 高橋
Yasushi Sasaki
靖 佐々木
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、冷媒圧縮機用電動機等にお
ける代替冷媒・合成オイル雰囲気下でのPETフィルム
の脆化による破断伸度の低下防止と空洞含有構造に由来
する低誘電特性と良好なハンドリング性とを併せ持った
フィルムによってもたらされる高信頼性、低漏れ電流で
ある絶縁フィルムを得ることである。 【解決手段】 本発明は、冷媒圧縮機容器内に圧縮装置
と共に内蔵される電動機用等の絶縁フィルムであって、
前記フィルムが見掛け比重が1.3未満かつ本文中に規
定する脱湿速度が98%/時以下の空洞含有ポリエステ
ルフィルムであることによって前記課題を解決しようと
するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫あるいは空
調機等に組み込まれる冷媒圧縮機用の電動機絶縁フィル
ムに関するものであり、更に詳しくは主として代替フロ
ンガスを冷媒とし、有極性オイルを用いる高温度下での
使用に適した耐熱性冷媒圧縮機用の電動機絶縁フィルム
を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の冷媒圧縮機は、密閉されたケース
内にステータおよびロータで構成される電動機と、この
電動機に接続される圧縮装置とを内蔵し、該圧縮装置に
外部循環冷媒を導き入れる構成を有する。このケース内
摺動部品の潤滑のためにオイルを冷媒と共に共存させて
いる。上記の冷媒圧縮機用電動機の絶縁シートとしては
従来、主としてポリエチレンテレフタレート(PET)
のフィルムが使用されている。PETフィルムは、その
耐熱性、剛性の高さなどの特徴を有しており、通常のP
ETフィルムおよび高分子量PETフィルムなどが電動
機用絶縁材料として広く利用されていた。
【0003】上記の冷媒には、特定フロンの規制前に
は、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロ
ロフルオロカーボン(HCFC)が広く使われていた
が、オゾン層破壊係数、地球温暖化係数の軽減の目的で
ハイドロフルオロカーボン(HFC)およびこれらの混
合冷媒が現在の主流を占めるようになってきた。これら
に組み合わされる潤滑オイルとしては、従来の鉱物オイ
ルに代わって、冷媒との相溶性、エネルギー効率低下を
補う為の高圧作動化・高温高圧環境下での潤滑性の維持
・油膜強化等の点で、ポリオールエステル(POE)
系、ポリアルキレングリコール(PAG)系、ポリカー
ボネート(PC)系などの有極性合成オイルが使われる
ようになってきた。
【0004】しかし、代替冷媒、合成オイル使用時に
は、主に合成オイルに含まれる吸湿水分の影響で、PE
Tフィルムの加水分解が生じ脆化し易く絶縁性能の低下
が問題視されていた。その対策として、オイルおよびケ
ース内構成材の脱水処理を施す方法も有るが、PETフ
ィルムおよび合成系オイルの完全脱水の困難さ、再吸水
し易さのためPETフィルムの脆化による破断伸度の大
幅な低下を生じるという問題点がある。これはPETの
分子量アップによってある程度改善できるが本質的な対
策にはならない。さらに特公平6−76796号あるい
は同6−76797号公報に記載されるような耐熱性、
耐加水分解性に優れたポリフェニレンサルファイド(P
PS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の使用
・表面層への貼付などの解決策も有るが、コストの増
加、成型加工性の低下などの問題点があり解決にはなっ
ていない。
【0005】さらに別の問題として安全性の向上として
の漏れ電流低減、電動機の小型化、省エネ化を図るため
に絶縁材料の低誘電化が求められて来ている。近年、こ
の低誘電化を図るものとしてポリエチレンテレフタレー
トに代表されるポリエステルを主原料として用いた空洞
含有ポリエステル系フィルムがその耐熱性、剛性の特徴
から注目を浴びている。例えば、空洞含有構造によって
得られる低誘電率を利用し、電気モータ用絶縁材料とし
ての活用(特開平9-149576号公報等)が検討されている
が加水分解などによる脆化のため実用化には至っていな
い。
【0006】このように、従来技術においては、冷媒圧
縮機用電動機における代替冷媒・合成オイル雰囲気下で
のPETフィルムの脆化防止対策と空洞含有構造に由来
する低誘電特性と良好なハンドリング性とを併せ持った
電動機用絶縁フィルムは得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の欠点を解消し、冷媒圧縮機用電動機等におけ
る代替冷媒・合成オイル雰囲気下でのPETフィルムの
脆化による破断伸度の低下防止と空洞含有構造に由来す
る低誘電特性と良好なハンドリング性とを併せ持ったフ
ィルムによってもたらされる高信頼性、低漏れ電流であ
る絶縁フィルムを得ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、冷
媒圧縮機容器内に圧縮装置と共に内蔵される電動機用等
の絶縁フィルムであって、前記フィルムが見掛け比重が
1.3未満かつ本文中に規定する脱湿速度が98%/時
以下の空洞含有ポリエステルフィルムであることによっ
て前記課題を解決しようとするものである。
【0009】本発明における冷媒圧縮機用電動機に用い
られるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン
酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレン
グリコール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグ
リコールのごときグリコールとを重縮合させて製造され
るポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族
ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法のほ
か、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコー
ルとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、ある
いは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮
合させるなどの方法によって製造することができる。か
かるポリエステルの代表例としてはポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレンブチレンテレフタレートあるい
はポリエチレン−2、6−ナフタレートなどが挙げられ
る。このポリエステルはホモポリマーであってもよく、
第三成分を共重合したものであっても良い。いずれにし
ても本発明においては、エチレンテレフタレート単位、
ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレン−2、6
−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80
モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリ
エステルが好ましい。
【0010】本発明の冷媒圧縮機用電動機に用いられる
空洞含有ポリエステルフィルムにおける空洞の形成方法
は、本発明の要件である見掛け比重1.3未満、脱湿速
度98%/時以下を実現できる方法である事が重要であ
る。より具体的には空洞が偏平形状でありフィルム厚み
方向に積層した構造にすると水分の拡散による脱水が遅
くなり脱湿速度98%/時以下を実現できる。好ましく
はポリエステル樹脂と非相溶性の熱可塑性樹脂等をポリ
エステル中に混合・分散させて空洞形成の核として利用
してもよい。ポリエステル樹脂と非相溶性の熱可塑性樹
脂を空洞形成の核として用いる場合には、ポリスチレン
系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオレフィ
ン系樹脂などが例示されるが、これらに制限されるもの
ではない。無機微粒子を空洞形成の核として用いる場合
には空洞が偏平形状でありフィルム厚み方向に積層した
構造に出来る方法を選ぶ必要がある。無機微粒子として
は炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン等を利用
することが出来るが、これらに制限されるものではな
い。
【0011】その中でも特に好ましい実施態様として、
ポリスチレン系樹脂と特定のポリオレフィン系樹脂とを
特定の比率で混合して用いる場合が例示される。すなわ
ち、ポリエステルに非相溶の熱可塑性樹脂として、少な
くともポリスチレン系樹脂とポリメチルペンテン系樹脂
およびポリプロピレン系樹脂を含有し、ポリスチレン系
樹脂の含有量(a重量%)とポリメチルペンテン系樹脂の含
有量(b重量%)およびポリプロピレン系樹脂の含有量(c重
量%)が以下の関係を満足する場合が最も好ましい。 0.01≦a/(b+c)≦1 c/b≦1 3≦a+b+c≦20 そして、上記範囲よりポリスチレン系樹脂が少ない場合
には、ポリメチルペンテン系樹脂が粗粒分散しやすく、
フィルムの斑や可撓性の低下、ひいてはハンドリング性
の低下を生じる。
【0012】また上記範囲よりポリスチレン系樹脂が多
い場合は十分な軽量化効果が得られなくなる。 ここ
で、ポリスチレン系樹脂とは、ポリスチレン構造を基本
構成要素として含む熱可塑性樹脂を指し、アタクティッ
クポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、
アイソタクティックポリスチレン等のホモポリマーの
外、その他の成分をグラフトあるいはブロック共重合し
た改質樹脂、例えば耐衝撃性ポリスチレン樹脂や変性ポ
リフェニレンエーテル樹脂等、更にはこれらのポリスチ
レン系樹脂と相溶性を有する熱可塑性樹脂例えばポリフ
ェニレンエーテルとの混合物を含む。
【0013】ここで、ポリメチルペンテン系樹脂とは、
80モル%以上、好ましくは90モル%以上が4−メチ
ルペンテン−1から誘導される単位を有するポリマーで
あり、他の成分としてはエチレン単位、プロピレン単
位、ブテン−1単位、3−メチルブテン−1等からの誘
導単位が例示される。 かかるポリメチルペンテンのメ
ルトフローレートは200g/10分以下であることが
好ましく、更に好ましくは30g/10分以下である。
これは、メルトフローレートが200g/10分を超え
る場合には、フィルムの軽量化効果を得にくくなるから
である。
【0014】また、本発明におけるポリプロピレン系樹
脂としては、アイソタクティックポリプロピレン、シン
ジオタクティックポリプロピレン等のホモポリマーの
外、その他の成分をグラフトあるいはブロック共重合し
た改質樹脂も含まれる。また、本発明におけるポリプロ
ピレン系樹脂の存在状態としては、上記のポリプロピレ
ン系樹脂を前記ポリメチルペンテンとは別に混合して用
いてもよいし、ポリメチルペンテン系樹脂中にプロピレ
ン単位を共重合成分として導入したものを用いても構わ
ない。
【0015】これらの空洞形成剤すなわちポリエステル
に非相溶な熱可塑性樹脂のポリエステルに対する混合量
は、目的とする空洞の量によって異なってくるが、フィ
ルム全体に対して3〜20重量%の範囲とすることが好
ましく、更には5〜18重量%が好ましい。そして、3
重量%未満では、空洞の生成量を多くすることに限界が
ある。逆に、20重量%以上では、フィルムの延伸性が
著しく損なわれ、また耐熱性や強度、腰の強さが損なわ
れるため好ましくない。
【0016】これらの空洞形成剤をポリエステル中に分
散させ粒径をコントロールさせる手段として例えばポリ
アルキレングリコールまたはその共重合体、誘導体など
の相溶化剤の添加、または界面活性剤などの添加もあ
る。しかしこれらの添加剤は水分の吸湿し易さに問題点
が有り、本発明で定義するフィルムの水分率を100p
pm以下に制御する際に問題となる場合がある。これら
の添加剤の含有量は好ましくは0〜1%である。
【0017】また、フィルム中には、隠蔽性等を向上さ
せるため、ポリエステル中あるいは非相溶樹脂中に無機
または有機の粒子を必要に応じて添加してもよい。添加
可能な粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、
炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウ
ム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜
鉛、有機白色顔料等が例示されるが特に限定されるもの
ではない。
【0018】本発明の冷媒圧縮機用電動機に用いられる
空洞含有ポリエステル系フィルムは、見掛け比重が1.
3以下、より好ましくは1.2以下、最も好ましくは
1.15未満である必要がある。見掛け比重が1.3よ
り大きい場合は、フィルムに内在する空洞の量が少な過
ぎ、空洞含有構造によって得られる優れた特性(例えば
低誘電性)が不十分となる。本発明における好ましい誘
電率は2.9未満、より好ましくは2.7未満、最も好
ましくは2.6未満である。一方、見掛け比重の下限は
特に制限されるものではないが、見掛け比重が0.8を
下回ると、フィルムのハンドリング性が特に大きく低下
し好ましくない。
【0019】本発明の冷媒圧縮機用電動機に用いられる
絶縁フィルムは、脱湿速度が98%/時以下の空洞含有
ポリエステルフィルムを用い、かつ該空洞含有ポリエス
テルフィルムの水分率が100ppm以下に制御されてな
ることを要する。これは本発明の最も重要な用件であ
り、この関係を満足することにより、PETフィルムの
脆化による破断伸度の大幅な低下を防止し、ポリエステ
ルフィルム本来の剛直な特性を実質的に確保しつつ、良
好なハンドリング性を得ることが出来る。
【0020】具体的には、脱湿速度を98%/時以下と
することによって、形成した空洞が偏平形状でフィルム
厚み方向に積層した構造となる。これによりフィルム中
の水分の拡散による移動速度が遅くなり脱水処理後の再
吸水の防止、ひいては実装後の加水分解の防止が得られ
る。また面方向での折り曲げ加工に対しフィルムが柔軟
となり、空洞の無い剛直なPETフィルムに比べ厚み方
向への亀裂の広がりが抑制され急激な破断が防止でき
る。脱湿速度が98%を上回る場合は、通常の空洞の含
有しないPETフィルム並の加水分解、急激な破断が生
じる。また、空洞含有ポリエステルフィルムの水分率を
100ppm以下に制御する事によって、使用中の電動機にお
いて絶縁シートの加水分解による脆化進行を防ぐことが
出来る。水分率が100ppmを超える場合には急激な脆
化が生じ、絶縁状態の不良による電動機内の鉄心とコイ
ルとの短絡が生じ易い。
【0021】本発明の冷媒圧縮機用電動機に用いられる
空洞含有ポリエステル系フィルムは単層であっても、同
種または異種の合成樹脂フィルム層を複合した複層構成
としてもよい。かかる複合に用いられる合成樹脂フィル
ム層は、共押出し法によって得られる外、コーティング
法、接着剤層等を介するラミネート法によっても形成す
ることが出来る。
【0022】また、かかる合成樹脂フィルムとしては、
たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレ
ートまたはポリイミドの1種または2種以上を主成分とす
るフィルムを用いることが出来るが、これらに制限され
るものではない。また、前記合成樹脂フィルム層には、
必要に応じて溶出物が浮遊しない範囲で末端封鎖剤、着
色剤、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤などを添加すること
も可能である。
【0023】本発明の冷媒圧縮機用電動機に用いられる
空洞含有ポリエステル系フィルムの製造方法は任意であ
り、特に制限されるものではないが、例えば前述の組成
からなる混合物をフィルム状に成形して未延伸フィルム
とした後、該未延伸フィルムを延伸するという一般的な
方法を用いる事が出来る。
【0024】未延伸シートを延伸・配向処理する条件
は、空洞の生成と密接に関係する。以下では、最も好ん
で用いられる逐次2軸延伸方法、特に未延伸シートを長
手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・
配向条件を説明する。まず、第1段の縦延伸工程では、
周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸す
る。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる
方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それ
らを併用してもよい。ただし、非相溶性樹脂界面に空洞
を多数発現させるためには、延伸温度をポリエステルの
2次転移温度Tg+50℃以下で3〜5倍に延伸する。次
いで1軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向にポ
リエステルの融点Tm−10℃以下の温度で2.5〜5倍に
延伸する。このようにして得られた2軸延伸フィルムに
対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中
で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50℃〜
Tmの範囲で行うのが好ましい。
【0025】このようにして得られた微細空洞含有ポリ
エステル系フィルムは、空洞含有構造に由来する優れた
特性と良好なハンドリングとを有している。更に、ポリ
オレフィン系樹脂の分散剤として界面活性剤やポリエー
テル系樹脂を必要としないため、耐熱性にも優れてお
り、フィルム製造の安定性にも優れている。
【0026】実施例 次に本発明の実施例および比較例を示す。本発明に用い
る測定・評価方法を以下に示す。 1)見かけ比重 JIS−K7112浮沈法による。
【0027】2)オイルの水分率測定 JIS−K0068に規定された方法に従って、京都エ
レクトロニクス(株)製、MKC−3型電量法水分測定機
を用いて測定した。
【0028】 3)フィルム脱湿速度測定 フィルム水分率測定方法:JIS−K0068に規定された方法に準拠した 水分率測定機器:三洋化成(株)製、CA−06型電量法水分測定機 VA−06型水分気化装置 測定手順:測定試料は5mm×10mm角に切断し約1
gに計量した。続いてシーズニング処理(25℃、65
%RHの雰囲気下に240時間放置)し未乾燥時の試料
水分率(HB)を測定した。次に、測定試料の飛散防止
の為10cm角のアルミ箔に包み、140℃に調節した
真空乾燥機内に直置きし、26PaTorr)の真空下で1
時間乾燥処理した。乾燥終了後、真空乾燥機内を五酸化
リン乾燥カラムを用いて水分率を0ppmに調節した乾
燥窒素ガスを用いてパージし測定試料の水分再吸収を防
ぎながら取出し直ちに乾燥後の試料の水分率(HA)を
測定した。、フィルム脱湿速度は次式により求めた。 フィルム脱湿速度(%/hr.)= [(HB−HA)/H
B] ×100(%)
【0029】4)冷媒、オイル存在下での2000時間耐劣
化試験 使用冷媒としてHFC−134a(CH2F−CF3)
20g、使用オイルとしてPOE合成オイル50gを用
い、140℃、30気圧の120ccオートクレーブ中
に測定試料を入れ2000時間処理した。この際の試験
前脱水処理として以下の前処理を施した。 ・使用オイル:ガラス容器に入れたオイルを70℃、2
6Pa(0.2 Torr)の真空下にて16時間脱水処理
した。 ・測定試料 :オイル、冷媒投入前のオートクレーブ内
で140℃、26Pa(0.2 Torr)の真空下にて3
時間または1時間の脱水処理をほどこした。
【0030】5)劣化試験後の試料の破断強伸度測定 JIS−C2318に規定された方法に従って 東洋ボ
ールドウィン製の万能圧縮/引張り試験機を用いて試験
速度200mm/min.、25℃、65%RHの雰囲気下で
測定した。
【0031】6)フィルムのハンドリング性(低圧誘導
電動機スロット絶縁部分への実装性) 図1に示すスロットモデルへの挿入モデルテストを実施
した。各サンプルを図2に示す形状に100枚用意し、挿
入、実装性を比較した。判定基準は次の通り。 ○:100枚中で潰れ、折れ曲りによる挿入不良なし △:100枚中で潰れ、折れ曲りによる挿入不良は5回未
満 ×:100枚中で潰れ、折れ曲りによる挿入不良は5回以
【0032】7)誘電率 JIS C 2151-1990「電気用プラスチックフィルム試験方
法」による。
【0033】8)漏れ電流の減少測定 HFC−134a、POEオイルの組み合わせで冷蔵庫
用密閉型コンプレッサーの電動機に標準の電気絶縁用P
ETフィルム(250μm)と入れ替える形で挿入し、
漏れ電流値の変化を評価した。
【0034】実施例1 (空洞形成剤の調整)原料として、極限粘度0.62のポリ
エチレンテレフタレート樹脂70重量%にメルトフローレ
ート2.0 のポリスチレン樹脂(三井東圧株式会社製トー
ポレックス570-57U )6重量%、メルトフローレート1.7
のポリプロピレン樹脂(三井東圧株式会社製ノーブレ
ンFO-50F)6重量%および、メルトフローレート8のポ
リメチルペンテン樹脂(三井石油化学株式会社製TP
X,DX−845)18重量%をペレット混合し、2軸押
し出し機に供給して十分に混練りし、ストランドを冷
却、切断して空洞形成剤を含有するマスターペレット
(A)を調整した。次いで、固有粘度0.62のポリエチレ
ンテレフタレート樹脂80重量%と、上記の空洞形成剤
含有マスターペレット(A)20重量%とをペレット混
合して真空乾燥を施し、フィルムの原料とした。
【0035】(未延伸フィルムの作製)次いで上記のフ
ィルムの原料を押出し機に供給し、Tダイを用いて30℃
に調節された冷却ドラム上に押し出し、厚み約2600
μmの未延伸フィルムを作成した。
【0036】(2軸延伸フィルムの作製)得られた未延
伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱
し、周速が異なる2対のニップロール(低速ロール=1m
/min.、高速ロール=3.4m/min.)間で3.4倍に延伸した。
このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロー
ル中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格2
0W/cm)をフィルムの両面に対向して設置(フィル
ム表面から1cmの距離)、加熱した。このようにして
得られた1軸延伸フィルムをテンターに導き、150℃
に加熱して 3.7倍に横延伸し、幅固定して 220℃で5秒
間の熱処理を施し、更に210℃で幅方向に4%緩和させ
ることにより、冷媒圧縮機用電動機用の厚み250μm
空洞含有ポリエステル系フィルム(実施例1)を得た。
【0037】比較例1 原料として、真空乾燥を施した極限粘度0.62のポリ
エチレンテレフタレート樹脂のみを用いた。耐冷媒性試
験前の測定試料脱水時間を1時間とした。それ以外は実
施例1と同様の方法により、冷媒圧縮機用電動機用のポ
リエステルフィルムを得た。
【0038】比較例2 原料として、真空乾燥を施した極限粘度1.00のポリ
エチレンテレフタレート樹脂のみを用いた。耐冷媒性試
験前の測定試料脱水時間を1時間とした。それ以外は実
施例1と同様の方法により、冷媒圧縮機用電動機用のポ
リエステルフィルムを得た。
【0039】比較例3 原料として、真空乾燥を施した極限粘度0.62のポリエチ
レンテレフタレート樹脂60重量%に下記のマスターペ
レット40重量%を混合したものを用いた。マスターペ
レットの調整:極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレ
ート樹脂50重量%に平均粒子径1.1μmの炭酸カル
シウム50重量%を混合したものをベント式2軸押出し
機に供給し予備混練りした後、溶融ポリマーを連続的に
ベント式単軸混練り機に供給して微粒子(炭酸カルシウ
ム)含有マスターペレットを調整した。それ以外は実施
例1と同様の方法により、冷媒圧縮機用電動機用の空洞
含有ポリエステル系フィルムを得た。
【0040】実施例2 原料として、極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレー
ト樹脂49.5重量%に平均粒径0.3μm(電顕法)のアナ
タース型二酸化チタン(富士チタン株式会社製TA-300)
50重量%および、蛍光増白剤(イーストマンケミカル社
製OB-1)0.5重量%を混合したものをベント式2軸押し
出し機に供給して予備混練りした後、溶融ポリマーを連
続的にベント式単軸混練り機に供給して混練りして微粒
子(酸化チタン)含有マスターペレット(B)を調整し
た。
【0041】次いで、実施例1で用いた空洞形成剤含有
マスターペレット(A)25重量%と、前記微粒子含有
マスターペレット(B)5重量%および固有粘度0.64の
ポリエチレンテレフタレート樹脂70重量%をペレット
混合して真空乾燥を施し、フィルム原料(A)とした。
一方、固有粘度0.64のポリエチレンテレフタレート樹脂
のみを真空乾燥を施し、フィルム原料(B)とした。
【0042】これらの原料(AおよびB)を別々の押出
し機に供給し、フィードブロックを用いて原料Aの両面
に均等に原料Bを積層(B/A/B=5/90/5)
し、厚み約2600μmの未延伸フィルムを作成した。
次いで、実施例1と同様の方法(ただし、低速ロール速
度=2m/min.、高速ロール速度=6.8m/min.)により、冷媒
圧縮機用電動機用の厚み250μm空洞含有ポリエステ
ル系フィルム(実施例2)を得た。
【0043】実施例3 耐冷媒性試験前の試験オイルの水分率を300ppmと
した以外は実施例1と同様の方法により、測定結果(表
1中の実施例3)を得た。
【0044】比較例4、比較例5 耐冷媒性試験前の試験オイルの水分率を300ppmと
した以外は比較例2、3と同様の方法により、測定結果
(表1中の比較例4、5)を得た。
【0045】以上の方法で得られた空洞含有ポリエステ
ル系フィルムの測定結果を、表1に示した。実施例1及
び実施例2の冷媒圧縮機用電動機用のフィルムでは、本
発明で規定される要件を満足しているので、2000時
間の耐冷媒性試験終了後の破断伸度・残存率に加え、空
洞含有構造による優れた特性(低誘電率、漏れ電流の低
減効果)と良好な実装性が得られることが解る。これに
対し、同一の基材フィルムを使用しているにもかかわら
ず、脱水後の水分率が本発明で規定される要件を満たし
ていない比較例1では2000時間の耐冷媒性試験終了
後の破断伸度・残存率がいずれも50%を下回り、実際
の使用には適していない。
【0046】脱水後の水分率が本発明で規定される要件
を満たしているが、通常のPETフィルムを使用した比
較例2では、空洞含有構造による優れた特性が無く、2
000時間の耐冷媒性試験終了後の破断伸度・残存率が
いずれも50%を下回る。高粘度PETフィルムを使用
した比較例3では、2000時間の耐冷媒性試験終了後
の破断伸度・残存率がいずれも50%上回るが、空洞含
有構造による低誘電特性、柔軟性が無く、しかもコスト
高になる。空洞形成剤に炭酸カルシウムのみを用いた比
較例4では、脱湿速度が本発明で規定される要件を満た
しておらず、比重が実施例1並にもかかわらず、耐冷媒
性試験後の破断伸度・残存率が不十分である。本発明の
要件を満たす事で実施例3に示すように試験雰囲気中に
水分が300ppm混入しても破断伸度は高粘度PET
フィルム並に維持する事が出来る。
【0047】
【発明の効果】見掛け比重、脱湿速度が特定範囲で乾燥
処理を施した微細空洞含有ポリエステルフィルムを電気
絶縁シートとして用いることにより、低コスト、加工
性、耐代替冷媒適性、漏れ電流低減に優れた冷媒圧縮機
用電動機等に極めて有用なことがわかる。
【0048】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H003 AA01 AB01 AC03 AD03 BD02 CE03 CF06 5G305 AA20 AB10 AB31 AB36 BA18 BA26 CA11 CA45 5H604 AA08 BB01 DA14 DA17 DB03 DB26 PE02 PE03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁フィルムにおいて、前記フィルムが
    見掛け比重が1.3未満かつ本文中に規定する脱湿速度が9
    8%/時以下の空洞含有ポリエステルフィルムであること
    を特徴とする絶縁フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の絶縁フィルムの水分率が
    100ppm以下であることを特徴とする絶縁フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1乃至2記載のいずれかの絶縁フ
    ィルムの誘電率が2.9未満であることを特徴とする絶
    縁フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載のいずれかの絶縁フ
    ィルムの内部の独立空洞が、ポリエステルに非相溶の熱
    可塑性樹脂を核として形成されていることを特徴とする
    絶縁フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4記載のいずれかのフィル
    ムを冷媒圧縮機用電動機に用いることを特徴とする絶縁
    フィルムの使用方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4記載のいずれかのフィル
    ムが装着されてなることを特徴とする電動機。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の電動機を用いることを特
    徴とする冷媒圧縮機。
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