JP2005059235A - 二軸配向積層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】熱膨張係数が小さく、熱寸法安定性、表面性および生産性にも優れる高品質のフィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも3層からなる二軸配向積層フィルムであって、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有する層(A層)を1層以上有する二軸配向積層フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも3層からなる二軸配向積層フィルムであって、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有する層(A層)を1層以上有する二軸配向積層フィルム。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱寸法安定性に優れた二軸配向積層フィルムに関するものであり、回路基板、磁気記録媒体、工程紙・離形材料、製版印刷材料、光学・ディスプレイ材料などの各種工業材料用途において好適に使用できる熱可塑性樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムは、他の素材では得られない大面積のフィルムの連続生産が可能であり、その強度、耐久性、透明性、柔軟性、表面特性の付与が可能などの特徴を活かして、磁気記録媒体、回路材料、製版・印刷材料等の各種工業材料用、農業用、包装用、建材用などの大量に需要のある各種分野で使用されている。
【0003】
近年、携帯電話などの電子機器の技術進歩に伴って、プレキシブルプリント回路基板(FPC)の需要が急激に伸びており、更にこうした機器の小型化、軽量化に対応してFPCの薄膜化が進んでいる。このため、FPC用の銅貼りポリイミドフィルムやポリイミドフィルムの薄膜化も同時進行しているが、これによってフィルムの剛性自体が低下してFPCを製造する際の加工が困難になる。そこで、この加工時の取り扱いを簡便にするため、加工終了後に剥離・除去できる微粘着性の補強用フィルムを予め貼り付けて剛性を持たせる方法が用いられている。このような方法によるFPC製造では、補強用フィルムを張り付けた状態で加熱プレス処理したり、キュアする工程があるが、銅貼りポリイミドフィルムと比較してポリエステルフィルムは熱膨張係数が大きく、熱寸法安定性が十分でないため、FPC製造工程途中で、熱変形を起こして反り返ったり、平面性が悪化するなどの問題が発生していた。そこで、補強用フィルムのガラス転移温度を高めたり、配向度を高めて熱膨張係数を小さくする等の方法が考えられている(特願平2002−194865)が、加工性が十分でなかったり、フィルムを高度に配向させる際にフィルム破れが発生し易く、生産性も必ずしも良好ではなかった。
【0004】
また、電気、電子部品分野において、機器の小型化や高機能化の観点から、ハンダ耐熱性、熱および湿度に対する高寸法安定性、低吸水性および高周波特性などの諸特性が高次元でバランス化した絶縁基材への要求が増加しているが、その有望素材であるポリフェニレンスルフィドフィルムにおいても上記ポリエステルと同様の問題があった。すなわち、ポリフェニレンスルフィドは耐熱性に優れる、吸水による寸法変化が小さい、等の利点を有するため、回路用成形基板を製造するための樹脂として検討されているが、熱膨張係数が大きいため、ガラス繊維や粒状の無機充填材を添加して熱膨張係数を抑える必要があった(特許文献1、2)。しかし、これらの方法は、必ずしも満足のいくものではなく、また、平面性や表面平滑性、さらにはコスト面で問題を抱えており、新規な手法の開発が望まれていた。
【0005】
また、ポリエステルフィルム中にポリエステルと非相溶である粒子あるいは樹脂を添加し、延伸により粒子あるいは樹脂の周りにボイドを形成する方法が考えられている(特許文献3,4)が、これらは、フィルムの隠蔽性、クッション性を向上させるものであり、熱膨張係数低減の効果はなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−310957号公報
【0007】
【特許文献2】特許第2952923号公報
【0008】
【特許文献3】特開平9−277479号公報
【0009】
【特許文献4】特開2001−121665号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決し、熱膨張係数が小さく、熱寸法安定性、表面性および生産性にも優れる高品質のフィルムを提供することを目的とするものであり、回路基板をはじめとする各種工業材料用途で有用な二軸配向積層フィルムを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ポリエステルやポリフェニレンスルフィド等からなる熱可塑性樹脂フィルムの熱膨張係数を低減させ、熱寸法安定性を高める方法について鋭意検討した。その結果、それら熱可塑性樹脂フィルム層の表面に隣接する層を、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を形成することにより本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、少なくとも3層からなる二軸配向積層フィルムであって、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有する層(A層)を1層以上有する二軸配向積層フィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明でいうフィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有する層(A層)とは、電子顕微鏡観察における、フィルム長手方向と垂直な方向かつ厚み方向のフィルム断面写真において、図1(X)に示すように、表層樹脂との間にA層を構成する樹脂が存在していない貫通した空隙構造を有する層のことである。本発明においては、A層中に貫通した空隙構造を有することが必須であり、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、A層中、部分的にその貫通した空隙のない部分(図1:Y)、つまり、A層を構成する樹脂を有する部分があってもよい。本発明の場合、上記フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有することがフィルムの熱寸法安定性、特に熱膨張係数低減に重要である。
【0013】
本発明においては、A層の厚み方向の断面の断面積aに対する空隙部の面積bの比b/aが20〜95%を満足することが好ましい。より好ましくは、30%〜85%であり、最も好ましくは、50%〜80%である。
【0014】
b/aの比が20%よりも小さい場合、A層フィルム断面において貫通した空隙構造が得られず、フィルムの熱寸法安定性を十分向上させることができない場合がある。また、95%よりも大きくなると、フィルム延伸工程におけるフィルム破れにより安定した製膜ができない場合がある。
【0015】
このような本発明の空隙は、後述する製造方法により設けることができるが、なかでも、液晶ポリマーや非相溶なポリマーあるいは無機粒子をA層中に特定の条件で含有させることや、二軸延伸させることが、重要な製造条件として挙げられる。また、本発明の貫通した空隙構造は、例えばA層を構成している樹脂Aを延伸により引き裂くことにより形成されるものであり、本発明の場合、A層を構成する樹脂A中に例えば、液晶ポリマーや非相溶であるポリマーなどの引き裂きに有効な物質を20重量%〜90重量%の範囲で添加し、該A層の両外面に熱可塑性樹脂を積層し、後述する引き裂きに有効な延伸条件で二軸延伸することにより達成できるものである。
【0016】
A層内に存在する液晶ポリマーや非相溶である樹脂は、フィブリル状、ロッド状、球状、針状、板状またはこれらが連続した数珠状構造したドメイン構造で分散するものが好ましいがこの限りではない。該ドメインの短径は、5nm以上、100μm以下であることが好ましく、50nm以上、50μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上、30μm以下が最も好ましい。上記ドメインの径は細くてもよいが、5nm未満のような細さは実際上非常に実現困難である。一方、ドメインの径が100μmを越えると、製膜性が悪化して、フィルム表面のうねりが大きくなって、フィルム平面性が低下して、各種用途でのフィルム加工性の観点でも問題になり易いので注意すべきである。該ドメイン径を上記の範囲とする方法としては、樹脂Aの溶融粘度(x)と樹脂Aとは非相溶である樹脂の溶融粘度(y)の比y/xを0.01〜1の範囲とすることが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.8の範囲であり、最も好ましくは、0.1〜0.7の範囲とすることが分散しているドメイン径が細くなるため好ましい。
【0017】
前記樹脂Aと非相溶である樹脂としては、例えば、液晶ポリエステル系樹脂、、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、弗素系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、液晶ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が、延伸により空隙の貫通構造を形成しめる効果が大きいため好ましく、特に、液晶ポリエステル系樹脂は、フィルムの熱膨張係数低減および熱寸法安定性を向上でき最も好ましく用いられる。
【0018】
該ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエステル樹脂に添加してフィルムを形成し得るものであればどのようなものであってもよく、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等を用いることができる。また、必ずしもホモポリマーに限定されるものではなく、これらのコポリマーであってもよい。
【0019】
また、樹脂A層中には、無機粒子、有機粒子を添加してもよい。空隙を形成させる無機粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ヒュームドシリカ、タルク、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、アルミナ、リン酸カルシウム、マイカ、フライアッシュ、高炉スラグなどを用いることができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの粒子のなかでも、樹脂Aの引き裂き性および粒子分散性の観点から炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムが好ましい。また、有機粒子としては、例えばポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリメトキシスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリジビニルベンゼン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリイミド粒子、架橋ポリエーテルスルフォン粒子、シリコーン粒子等を用いることができる。これらの中から選ばれた1種以上が適用されるが、特に限定されるものではない。本発明では、樹脂Aの引き裂きおよび粒子分散性の観点からポリスチレン、ポリプロピレン、架橋ポリスチレン粒子等が好ましく用いられる。
【0020】
上記、無機粒子または有機粒子の平均粒径は、0.05μm以上、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1μm以上、10μm以下である。該平均粒径が上記範囲より小さい場合、凝集などによる無機粒子の均一分散不良によって、フィルム厚み方向に貫通した空隙が形成されず、また、上記範囲より大きい場合、延伸時にフィルム破れや、フィルム平面性の悪化などの不都合を生じる場合がある。
【0021】
A層中に添加する上記樹脂Aを引き裂く物質の添加量は、樹脂Aに対し20重量%以上、90重量%以下のが好ましく、35重量%以上、85重量%以下がより好ましく、40重量%以上、80重量%以下が最も好ましい。該物質の重量分率が20重量%未満の場合、前記の貫通した空隙が得られにくく、本発明で目的とする熱寸法安定性が得られないことがあり、90重量%を越えると、製膜破れが多発し、生産性が低下してコストアップになる場合が多いので注意すべきである。
【0022】
本発明における積層フィルムの構成は、3層以上であればよく、特に限定されないが、本発明が適用できる一般的なフィルムの積層数は3〜2000であり、より好ましくは、3〜1000層である。本発明のフィルムでは、本発明の効果発現ならびにフィルムの加工性および生産性の観点から、貫通した空隙を有するA層は、B/A/B、C/B/A/B/C、C/B/A/B等の積層構成のように、フィルム厚み方向における中心部に位置する層として配置されていることが好ましい。また、A層の両外層には、同一の樹脂による同一の厚みの層(B層)が積層されてなる3層積層構成(B/A/B)を基本とすることがフィルム加工時の変形抑止、平面性保持の観点で特に好ましい。
【0023】
本発明でいう液晶性ポリエステルの種類は、溶融成形性があれば特に限定されないが、その流動開始温度が200℃以上、360℃以下、さらには230℃以上、320℃以下であることが貫通した空隙形成および本発明の効果発現の観点から好ましい。
【0024】
本発明で使用する液晶性ポリマーは、具体的には、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる共重合ポリエステルなどである。本発明では、“シベラス”(東レ(株)製)、“ベクトラ”(ポリプラスチックス(株)製)、“ゼナイト”(デュポン社製)、“スミカスーパー”(住友化学(株)製)、“ザイダー”(ソルベイ社製)、“UENOLCP”(上野製薬(株)製)、“タイタン”(イーストマン社製)等、各種市販の液晶性ポリマーを適宜選択して適用することも無論可能である。
【0025】
本発明で液晶性ポリマーとして用いる好ましい共重合ポリエステルの例としては、下記(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、(I)、(III)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、(I)、(II)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、または、それらのブレンドポリマーが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】
(但し式中のR1は、
【0028】
【化2】
【0029】
を示し、R2は
【0030】
【化3】
【0031】
から選ばれた一種以上の基を示し、R3は、
【0032】
【化4】
【0033】
から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)ここで、構造単位[((II)+(III)]と構造単位(IV)とは実質的に等モルである。
【0034】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸および/または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成したポリエステルの構造単位を、構造単位(II)は、4、4´ージヒドロキシビフェニル、3、3´、5、5´ーテトラメチルー4、4´ージヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、tーブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2、6ージヒドキシナフタレン、2、7ージヒドキシナフタレン、2、2´ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンおよび4、4´ージヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、テレフタル酸、イソフタル酸、4、4´ージフェニルジカルボン酸、2、6ーナフタレンジカルボン酸、1、2ービス(フェノキシ)エタンー4、4´ージカルボン酸、1、2ービス(2ークロルフェノキシ)エタンー4、4´ージカルボン酸および4、4´ージフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
【0035】
また、上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【0036】
【化5】
【0037】
であり、R2が
【0038】
【化6】
【0039】
から選ばれた一種以上であり、R3が
【0040】
【化7】
【0041】
から選ばれた一種以上であるものが好ましい。なお、式中のXは水素原子または塩素原子を示す。
【0042】
また、上記構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【0043】
【化8】
【0044】
であり、R3が
【0045】
【化9】
【0046】
であるものが特に好ましい。
【0047】
また、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【0048】
【化10】
【0049】
であり、R2が
【0050】
【化11】
【0051】
であり、R3が
【0052】
【化12】
【0053】
であるものが特に好ましい。
【0054】
本発明では、共重合量を、ポリマーを形成し得る繰返し構造単位のモル比から計算し、モル%で表す。上記好ましい共重合ポリエステルの場合には、構造単位(I)、構造単位(II)+(IV)、構造単位(III)+(IV)がポリマーを形成し得る繰返し構造単位であり、これらの共重合モル比から共重合量が計算できる。
【0055】
上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%が好ましく、30〜90%がより好ましく、50〜80モル%が最も好ましい。また、構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する(III)のモル分率は95〜5モル%が好ましく、70〜10モル%がより好ましく、50〜20モル%が最も好ましい。また、構造単位(I)/(II)のモル比は流動性の点から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III)]のトータルモル数と実質的に等しい。
【0056】
また、上記構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位(I)は[(I)+(III)]の5〜95モル%が好ましく、50〜80モル%がより好ましい。構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルである。
【0057】
さらに上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、単独ではなく、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルおよび/または構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルとのブレンドポリマーとして用いることが好ましい。このブレンドポリマーの場合においても、前記同様に、構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%が好ましく、30〜90%がより好ましく、50〜80モル%が最も好ましい。
【0058】
以上述べた説明中の「実質的に」とは、必要に応じてポリエステルの末端基をカルボンキシル基末端あるいはヒドロキシル末端基のいずれかを多くすることができ、このような場合には構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III)]のトータルモル数と完全に等しくないからである。
【0059】
上記好ましい共重合ポリエステルを重縮合により製造する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3、3´ージフェニルジカルボン酸、2、2´ージフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4、4´ージヒドロキシジフェニルスルフォン、4、4´ージヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4´ージヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオール、1、4ーブタンジオール、1、6ーヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、4ーシクロヘキサンジオール、1、4ーシクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびmーヒドロキシ安息香酸、2、6ーヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびpーアミノフェノール、pーアミノ安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0060】
上記した共重合ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0061】
例えば、上記の好ましく用いられる共重合ポリエステルの製造法において、上記構造単位(III)を含まない場合は下記(1)および(2)、構造単位(III)を含む場合は下記(3)の製造方法が好ましい。
(1)pーアセトキシ安息香酸および4、4´ージアセトキシビフェニル、4、4´ージアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(2)pーヒドロキシ安息香酸および4、4´ージヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(βーヒドロキシエチル)テレフタレートなどの芳香族ジカルボン酸のビス(βーヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0062】
これらの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましい場合もある。
【0063】
樹脂Aを構成するポリマーは、特に限定されないが、フィルム層Aと隣接するフィルム層を構成するポリマーと同一であることがフィルム層間での接着性ならびに本発明の効果発現の観点から好ましく、フィルムA層と隣接する層がブレンド物から構成される場合には、ブレンド物を構成するポリマーの少なくとも一種と同一であることが好ましい。
【0064】
前記A層の両外面に隣接するフィルム層は、二軸延伸可能なポリマーである熱可塑性樹脂Bからなる層であることが好ましい。そのような樹脂Bとしては、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ乳酸等の各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも一種を含むブレンド物を挙げることができる。本発明では、二軸延伸性、本発明の効果発現の観点から、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ乳酸から選ばれる少なくとも一種からなる樹脂が好ましく、特に、ポリエステルまたはポリフェニレンスルフィドが好ましい。
【0065】
本発明で用いられるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオ−ルを主たる構成成分とするポリエステルである。
【0066】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3、3´−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエ−テルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、ヘキサヒドロテレフタル酸、1、3−アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
【0067】
また、ジオ−ル成分としては、例えば、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4、4´−ジヒドロキシビフェニル、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、p−キシレングリコールなどの芳香族ジオール、エチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリアルキレングリコ−ル、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ジエチレングリコ−ル等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコ−ル等を用いることができる。これらのジオ−ル成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0068】
また、ポリエステルにはトリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロ−ル、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の多官能化合物等の他の化合物を、ポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。グリコール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2、6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
【0069】
本発明の場合、ポリエステルとして特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびその共重合体または変性体よりなる群から選ばれた少なくとも一種類の使用が好ましい。本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートとは、酸成分として、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸を少なくとも80モル%以上含有するポリマーである。酸成分については、少量の他のジカルボン酸成分を共重合してもよく、またエチレングリコールを主たるジオール成分とするが、他のジオール成分を共重合成分として加えてもかまわない。
【0070】
本発明で使用するポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。前記エステル化あるいはエステル交換反応は、130〜260℃の温度条件下で行い、重縮合反応は高真空下、温度220〜300℃で行うのが通常である。リン化合物の種類としては、亜リン酸、リン酸、リン酸トリエステル、ホスホン酸、ホスホネート等があるが、特に限定されず、またこれらのリン化合物を二種以上併用してもよい。また、エステル化あるいはエステル交換から重縮合の任意の段階で必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤、表面突起形成用無機および有機粒子を添加することも可能である。
【0071】
本発明で用いられるポリエステルの固有粘度は、製膜性、耐熱性、加水分解性の観点から、0.55〜2.0dl/gが好ましく、0.6〜1.4dl/gがさらに好ましい。
【0072】
本発明でいうポリフェニレンスルフィド(PPS)とは、フェニレンスルフィド成分を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む樹脂である。かかるフェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性、誘電特性などを損なうことがある。
【0073】
上記PPS樹脂において、繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位、カーボネート単位などが具体例として挙げられ、このうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であってもよい。PPSを主成分とする樹脂組成物を樹脂Cとして使用する場合には、PPS成分を60重量%以上含む組成物が好ましい。PPSの含有量が60重量%未満では、該組成物からなるフィルムの機械特性、耐熱性、熱融着特性、吸湿寸法安定性、誘電特性などを損なう場合があるので注意すべきである。該組成物中の残りの40重量%未満はPPS以外のポリマー、無機または有機のフィラー、滑剤、着色剤などの添加物を含むことができる。さらに、PPS組成物の溶融粘度は、300℃剪断速度2000sec−1のもとで、500〜50000ポイズ、より好ましくは、1000〜20000ポイズの範囲が好ましい。
【0074】
本発明でいうPPSは例えば以下の方法により製造できる。硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN−メチルー2ーピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で高温高圧下で反応させる。必要に応じてトリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリ、カルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄・乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマーを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマーは実質的に線状のPPSポリマーであり、しかも該PPS樹脂の溶融結晶化温度Tmcは160〜190℃の範囲にあるので安定した延伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリンなどの無機、有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤、酸化防止剤などを添加してもよい。
【0075】
本発明のフィルムの長手方向および幅方向の熱膨張係数は、回路材料等への用途展開の観点から、3ppm/℃以上、45ppm/℃以下であることが好ましい。熱膨張係数が3ppm/℃未満であったり、45ppm/℃を越えたりすると、回路材料用途等で加工時に熱変形してカールし易くなるので注意すべきである。フィルムの熱膨張係数は、5ppm/℃以上、35ppm/℃以下がより好ましく、15ppm/℃以上、25ppm/℃以下が最も好ましい。本発明の場合、A層中に貫通した空隙構造を有したフィルムとすることによりで、熱膨張係数を上記の好ましい範囲とすることができる。
【0076】
本発明のフィルムの長手方向の150℃熱収縮率は、フィルムを加工する際の変形抑止および平面性保持の観点から、1.0%未満であることが好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。熱収縮率が1.0%を越えると、平面性悪化等の問題が発生し易くなる。
【0077】
本発明のフィルムの長手方向および幅方向のヤング率は、1GPa以上、7GPa以下であることが好ましい。ヤング率が1GPa未満であると、腰がないため、取扱い難くなる場合があり、一方、7GPaを越えると、変形やカールが起こりやすくなるので注意すべきである。フィルムのヤング率は、1.5GPa以上、6GPa以下が好ましく、2GPa以上、5GPa以下がさらに好ましい。ヤング率を上記の範囲とするためには、フィルムを二軸延伸し、フィルム内部に空隙を形成させることにより達成することができる。
【0078】
本発明のフィルムの表面粗さは、フィルム中に無機粒子や有機粒子などを添加することにより調整できる。これらの添加粒子の粒径、配合量、形状などは、フィルム各用途で要求される表面粗さに応じて適宜選択することが可能である。ちなみに、平均粒子径としては0.01μm以上、3μm以下が好ましく、添加量としては0.001重量%以上、3重量%以下が好ましい。また、使用する添加粒子は、1種類でもよいが、平均粒子径の異なる粒子を2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
【0079】
無機粒子の具体例として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの酸化物、カオリン、タルク、モンモリナイトなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、リン酸カルシウムなどのリン酸塩などが用いることができる。これらに限定されるわけでない。酸化ケイ素は真球状でも多孔質であってもよい。
【0080】
また、有機粒子の具体例としては、ポリスチレンもしくは架橋ポリスチレン粒子、スチレン・アクリル系及びアクリル系架橋粒子、スチレン・メタクリル系架橋粒子などのビニル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド、シリコン、ポリテトラフルオロエチレンなどの粒子を用いることができるが、これらに限定されるものでなく、粒子を構成する部分のうち少なくとも一部がフィルムを構成する樹脂に対して不溶の有機高分子微粒子であれば如何なる粒子でもよい。
【0081】
本発明のフィルムには、フィルム表面の突起形成のための上記無機粒子や有機粒子以外に、その他の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤および結晶核剤などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であれば添加することができる。
【0082】
本発明において、樹脂A層の厚みは、フィルム全体の厚みの1〜90%であることが好ましい。A層の厚みの比率が1%未満では貫通した空隙が得られず、フィルムの熱寸法安定性向上の効果を得ることが難しくなる場合がある。また90%を越えるとフィルム破れが多発して生産性が低下するので注意すべきである。好ましくは、20〜80%であり、30〜70%が最も好ましい。
【0083】
本発明の二軸配向積層フィルムの厚みは、0.5μm〜400μmの範囲でフィルムの用途に応じて適宜調整できる。磁気テープ用途では、2.0μm〜10μm、コンデンサー用途では、0.5μm〜15μm、回路材料用途では、12μm〜250μm、電気絶縁材料用途では、75μm〜400μmが好ましい。
【0084】
次いで、本発明の二軸配向積層フィルムを製造する方法について、液晶性ポリエステル(“UENOLCP”5000、上野製薬(株)製、融点280℃)とポリエチレンテレフタレート(PET)のブレンド物(樹脂A)からなるフィルムA層の両外面に、ポリエチレンテレフタレート(樹脂B)からなるB層を積層させた二軸配向積層フィルムの製造を例にとって説明する。
【0085】
本発明では、まず、上記液晶性ポリエステル(以下、液晶ポリマーという)とPETとを二軸混練押出機に投入し、液晶ポリマーとPETの重量分率が95/5〜50/50のブレンド原料1を作成するのが好ましい。液晶ポリマーとPETからなる樹脂組成物の混合・混錬方法は、特に限定されることはなく各種混合・混錬手段が用いられる。例えば、各々別々に溶融押出機に供給して混合してもよいし、また、予め紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダー、タンブラー等の混合機を利用して乾式予備混合し、その後、溶融混錬機にて溶融混錬することでもよい。その後、前記ブレンド原料1を、PETおよび必要に応じてこれらの回収原料と共に押出機に投入して、液晶ポリマーの重量分率を下げて、目的とするフィルム層Aの組成とし、これを層A用の樹脂原料とすることが、フィルムの品質、製膜性の観点で好ましい。上記A層用樹脂原料を作成する場合、フィルム中への異物混入を可能な限り低減させるために、溶融押出工程で樹脂をフィルトレーションすることも好ましく行うことができる。フィルトレーションに用いる異物除去フィルターの種類や条件については特に限定するものではない。
【0086】
上記の好ましい製造法についてのより具体的な条件は以下のとおりである。
【0087】
まず、液晶ポリマーペレットとPETペレットとを、一定の割合で混合して、280〜320℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給し、溶融混練してブレンドチップを得る。このときのベント式二軸押出機は、分散不良物を低減させる観点から、二軸3乗タイプのスクリューを装備したものが好ましく、そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。
【0088】
その後、上記ペレタイズ作業により得られた、液晶ポリマーとPETからなるブレンドチップ1、PET、および必要に応じて製膜後の回収原料を一定の割合で適宜混合して樹脂Aとし、180℃で3時間以上真空乾燥した後、270〜320℃の温度に加熱された押出機1に投入する。一方、押出機2には、PETおよび必要に応じて適宜粒子を混合した原料(樹脂B)を乾燥した上で投入する。その後、押出機1,2を経た溶融ポリマーをフィルター内を通過させた後、その溶融体をピノールを用いて合流させて3層積層(B/A/B)し、その後、Tダイを用いてシート状に吐出し、このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
【0089】
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸したのちに幅方向に延伸を行う方法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、またはそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ここでは、逐次二軸延伸法を用いた場合について説明する。
【0090】
上記で得られた未延伸フィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に2〜5倍、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは3〜4倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度は、Tg〜(Tg+60)℃、好ましくは、(Tg+5)〜(Tg+55)℃、さらに好ましくは、(Tg+10)〜(Tg+50)℃の範囲である。その後、20〜50℃のロール群で冷却する。
【0091】
MD延伸に続く幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度は、Tg〜(Tg+80)℃が好ましく、より好ましくは、(Tg+10)〜(Tg+70)℃、さらに好ましくは、(Tg+20)〜(Tg+60)℃の範囲である。延伸倍率は、2.0〜5.0倍が好ましく、より好ましくは、2.5〜5.0倍、さらに好ましくは、3.0〜4.0倍の範囲である。
【0092】
さらに本発明の貫通した空隙構造を得るためには、これらの延伸に引き続いて、再縦延伸および/または再横延伸を行うことが好ましい。その場合、フィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に1.1〜2.5倍、好ましくは、1.15〜2.4倍、さらに好ましくは、1.2〜2.3倍に再縦延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。延伸温度は、Tg〜(Tg+100)℃の範囲が好ましく、より好ましくは、(Tg+20)℃〜(Tg+90)℃の範囲、さらに好ましくは、(Tg+40)〜(Tg+80)℃の範囲である。次に、ステンターを用いて再び幅方向の延伸を行う。延伸温度は、Tg〜250℃の範囲が好ましく、より好ましくは、(Tg+20)〜240℃の範囲、さらに好ましくは、(Tg+40)〜220℃の範囲である。延伸倍率は、1.1〜2.5倍の範囲が好ましく、より好ましくは、1.15〜2.2倍、さらに好ましくは、1.2〜2.0倍である。
【0093】
次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。好ましい熱固定温度は、150〜250℃、より好ましくは170℃〜245℃、さらに好ましくは、190〜240℃の範囲である。時間は、0.2〜30秒の範囲で行うのが好ましいが、特に限定されない。さらにこのフィルムを40〜180℃の温度ゾーンで幅方向に弛緩しながら冷却するのが好ましい。弛緩率は、幅方向の熱収縮率を低下される観点から1〜10%であることが好ましく、より好ましくは、2〜8%、さらに好ましくは、3〜7%の範囲である。
【0094】
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手方向および幅方向に弛緩熱処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸配向積層フィルムを得る。
【0095】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例に基づいて説明する。
【0096】
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)ポリエステルの固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
【0097】
(2)A層の厚み比率および空隙の貫通構造および空隙率
フィルムサンプルをフィルムの長手方向と垂直な方向かつ厚み方向に切断し、その切断面を透過型電子顕微鏡で観察し、A層における空隙の貫通構造の有無を判定した。A層断面において、空隙の貫通構造を有する場合○、空隙の貫通構造がない場合×とした。また、フィルムの長手方向と垂直な方向かつ厚み方向に切断したフィルム断面の透過型電子顕微鏡写真より、A層の厚みを求め、フィルム全体の厚みに対するA層の厚み比率を算出した。上記顕微鏡観察は、フィルムサンプルにもよるが、100〜100万倍の倍率で適宜選択して観察すればよく、50倍〜1万倍程度の低倍率で観察し、空隙の貫通構造の有無を判定するのが好ましい。なお、後述する実施例・比較例では透過型電子顕微鏡で1000倍で観察した。
また、透過型電子顕微鏡断面写真の空隙部分をマーキングして、その空隙部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−VI((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、A層断面の空隙面積の総和を算出し、下記式より空隙率(%)を求めた。
空隙率(%)=(空隙面積の総和(μm2)/A層断面積(μm2))×100。
【0098】
(3)フィルムのヤング率
ASTM−D882(改1997.5.10)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行った。測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:10mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
【0099】
(4)フィルムの熱収縮率
JIS C2318(改9.7.20)に従って、下記条件にて熱収縮率を測定した。
試料サイズ:幅10mm、標線間隔200mm
測定条件:温度150℃、処理時間30分、無荷重状態
熱収縮率は次式より求めた。
熱収縮率(%)=[(L0−L)/L0]×100
L0:加熱処理前の標線間隔
L :加熱処理後の標線間隔。
【0100】
(5)フィルムの熱膨張係数
下記の条件にてフィルムの長手方向および幅方向に測定した。
測定装置 :島津TMA−50
試料サイズ :幅4mm、長さ20mm
測定条件 :荷重を3gに設定し、10℃/分で常温から170℃に昇温し、10分間保持して、次いで40℃まで降温して20分間保持した。
熱膨張係数は150℃から50℃までの降温過程における平均の傾きから求めた。
【0101】
(6)フィルムの寸法安定性
JIS C6472(改7.3.1)に記載の銅貼りポリイミドフィルムのフィルム側に、測定対象フィルムを汎用塩化ビニル系樹脂と可塑剤からなる接着剤により貼り合わせて、温度160℃、圧力30kg/cm2、時間30分の条件でロールを用いて圧着した。得られた圧着フィルムから切り出した試料寸法が25cm×25cmの試料を定盤上に置き、その状態で4隅のカール状態を観測し、4隅の反り量(mm)の平均値を求めて、下記の基準に従って評価した。◎と○が合格である。
◎:反り量が5mm未満
○:反り量が5mm以上、10mm未満
×:反り量が10mm以上。
【0102】
(7)製膜時の破れ頻度
製膜に伴うフイルム破れを観察して、次の基準で判定した。
◎:フィルム破れが皆無である場合
○:フィルム破れが極くまれに生じる場合
△:フィルム破れが時々生じる場合
×:フィルム破れが頻発する場合。
【0103】
(実施例1)
ジメチルテレフタレート100重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、エステル交換反応触媒として酢酸カルシウムを添加し、加熱昇温してメタノールを留出させてエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、重合触媒として三酸化アンチモン、熱安定剤としてリン酸を加え重縮合反応槽に移送した。次いで、加熱昇温しながら反応系内を徐々に減圧し、290℃減圧下で内部を攪拌しメタノールを留出させながら重合し、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)を作製した。
【0104】
次いで、得られたPETチップ50重量部と上野製薬(株)製の液晶性ポリマー(“UENO”5000)50重量部を180℃で3時間真空乾燥した後、290℃に加熱された同方向ベント式二軸混練押出機(スクリュー直径25mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=28)に投入し、滞留時間2分で溶融押出してストランド状に吐出し、冷水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップを得た。
【0105】
次いで、上記の無粒子のPETチップに、平均径2.5μmの凝集シリカ粒子を0.1重量%の割合になるように、粒子マスターを配合して樹脂Bとし、180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機Iに供給した。また、一方、上記のPET/LCP(50/50重量%)のブレンドチップを樹脂Aとし、180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機IIに供給した。次いで、これらの2台の押出機で溶融したポリマーをそれぞれフィルターで濾過した後、3層用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)を使用して、B/A/Bの3層積層とした。合流ブロックを通過させるポリマー流量は、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの積層比がB/A/B=20/60/20となるように、各層の厚さをそれぞれのラインに設置されたギヤポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによって合わせた。このように溶融ポリマーを3層積層状態にして溶融押出した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、ドラフト比(口金スリット間隙/未延伸フィルム厚さの比)8で引き取って未延伸積層フィルムを作製した。
【0106】
この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、100℃の温度でフィルムの縦方向に3.50倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度105℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行った。続いて、180℃、1.3倍の倍率でフィルム幅方向に再横延伸を行った。引き続いて235℃の温度で3秒間熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に3%弛緩処理を行い、その後、100℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に1%弛緩処理を施し、その後、室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ50μm(A層厚み30μmおよびB層の厚みは10μm)の二軸配向積層フィルムを作製した。
【0107】
ここで得られたフィルムの構成と物性を表1に示す。本実施例のフィルムは、A層がフィルム断面で厚み方向に貫通した空隙構造を有しており、熱膨張係数が小さく、腰も小さい、回路材料として使用する際の寸法安定性にも優れていた。A層中の空隙の面積比率は80%であった。また、本実施例のフィルムは製膜時にフィルム破れもなく、生産性も良好であった。
【0108】
(実施例2)
樹脂A中のPET/LCPの重量分率を65/35と変更した以外は実施例1と同様に製膜し、厚み50μmの二軸配向積層フィルムを作製した。
【0109】
(実施例3)
樹脂A中のPET/LCPの重量分率を80/20とし、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの積層比がB/A/B=7.5/85/7.5となるように、各層の厚さをそれぞれのラインに設置されたギアポンプの回転数を調節し、押出量を制御すること以外は、実施例1と同様に製膜し、厚み50μm(A層厚み42μmおよびB層の厚み4μm)の二軸配向積層フィルムを作製した。
【0110】
(実施例4)
樹脂Aを構成する液晶性ポリマーとして、下記組成の液晶性ポリエステル1(融点265℃、分子量18000)(LCP1)を使用し、樹脂A中のPET/LCP1の重量分率を50/50と変更した以外は実施例1と同様に製膜し、厚み50μmの二軸配向積層フィルムを作製した。
【0111】
(実施例5)
東レ(株)製の線状PPS樹脂(“ライトン”T1881)50重量部と上野製薬製の液晶性ポリマー(“UENO”5000)50重量部を180℃で3時間真空乾燥した後、305℃に加熱されたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(スクリュー直径25mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=28)に投入し、滞留時間90秒で溶融押出してストランド状に吐出し、冷水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップを作製した。
【0112】
東レ(株)製の線状PPS樹脂(“ライトン”T1881)に、平均粒径0.7μmのシリカ粉末0.2重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を添加し均一に分散配合させた原料を樹脂Bとし、180℃で3時間真空乾燥した後、295℃に加熱された押出機Iに供給した。また、一方、上記のPPS/LCP(50/50重量%)のブレンドチップを樹脂Aとし、180℃で3時間真空乾燥した後、300℃に加熱された押出機IIに供給した。次いで、これらの2台の押出機で溶融したポリマーをそれぞれフィルターで濾過した後、3層用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)を使用して、B/A/Bの3層積層とした。合流ブロックを通過するポリマー流量は、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの積層比がB/A/B=20/60/20となるように、各層の厚さをそれぞれのラインに設置されたギヤポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによって合わせた。このように溶融ポリマーを3層積層状態にして溶融押出した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、ドラフト比(口金スリット間隙/未延伸フィルム厚さの比)5で引き取って未延伸積層フィルムを作製した。
【0113】
この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、105℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度115℃、延伸倍率3.5倍の倍率でフィルムの幅方向に延伸を行った。さらに、185℃、1.3倍の倍率でフィルムの横方向に再横延伸した。引き続いて255℃の温度で3秒間熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行い、その後、100℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に1%弛緩処理を施し、その後、室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ50μm(A層厚み30μmおよびB層の厚みは10μm)の二軸配向積層フィルムを作製した。
【0114】
ここで得られたフィルムの構成と物性を表1に示す。本実施例のフィルムは、A層フィルムの断面において、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有しており、熱膨張係数が比較例2で示す単層のPPSフィルムと比較して大幅に小さく、腰も小さい、回路材料として好適な特性を有していた。A層中の空隙の面積比率は75%であった。また、本実施例のフィルムは製膜時にフィルム破れもなく、生産性も良好であった。
【0115】
(実施例6)
実施例1において、樹脂Aを構成する液晶ポリマーのかわりにポリメチルペンテン(PMP)(三井石油化学(株)製、TPX、DX820)を使用し、樹脂A中のPET/PMPの重量分率を70/30と変更した以外は実施例1と同様に製膜し、厚み50μmの二軸配向積層フィルムを作製した。
【0116】
(比較例1)
実施例1の樹脂Bのみを使用して単膜のPETフィルムとした以外は実施例1同様に製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0117】
(比較例2)
実施例5の樹脂Bのみを使用して単膜のPPSフィルムとした以外は実施例5同様に製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0118】
(比較例3、4)
樹脂Aのブレンド組成を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様に製膜し、厚さ50μmの二軸配向積層フィルムを作製した。
【0119】
樹脂A中のLCPの重量分率が低過ぎた比較例4の積層フィルムでは、A層フィルム断面中に貫通した空隙構造が見られず、得られたフィルムの特性も比較例1のPETフィルム対比で大差なかった。
【0120】
LCPの重量分率が高過ぎた比較例5の場合は、フィルム破れが多発したため、安定製膜できなかった。
【0121】
【表1】
【0122】
【発明の効果】
本発明によると、熱膨張係数、熱収縮率を低減させてフィルムの熱寸法安定性を向上させることができると共に、フィルムの生産性向上を図ることができる。従って、本発明によるフィルムは、熱膨張係数が小さく、熱寸法安定性、表面性および生産性にも優れる高品質のフィルムであり、熱寸法安定性が要求される各種工業材料用途、例えば回路材料、磁気材料、製版・印刷材料等で広く活用が可能であり、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の貫通した空隙構造を有するフィルムの断面電子顕微鏡写真の例である。
【符号の説明】
X・・・フィルム厚み方向に貫通した空隙構造
Y・・・フィルム厚み方向に貫通していない空隙構造
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱寸法安定性に優れた二軸配向積層フィルムに関するものであり、回路基板、磁気記録媒体、工程紙・離形材料、製版印刷材料、光学・ディスプレイ材料などの各種工業材料用途において好適に使用できる熱可塑性樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルムは、他の素材では得られない大面積のフィルムの連続生産が可能であり、その強度、耐久性、透明性、柔軟性、表面特性の付与が可能などの特徴を活かして、磁気記録媒体、回路材料、製版・印刷材料等の各種工業材料用、農業用、包装用、建材用などの大量に需要のある各種分野で使用されている。
【0003】
近年、携帯電話などの電子機器の技術進歩に伴って、プレキシブルプリント回路基板(FPC)の需要が急激に伸びており、更にこうした機器の小型化、軽量化に対応してFPCの薄膜化が進んでいる。このため、FPC用の銅貼りポリイミドフィルムやポリイミドフィルムの薄膜化も同時進行しているが、これによってフィルムの剛性自体が低下してFPCを製造する際の加工が困難になる。そこで、この加工時の取り扱いを簡便にするため、加工終了後に剥離・除去できる微粘着性の補強用フィルムを予め貼り付けて剛性を持たせる方法が用いられている。このような方法によるFPC製造では、補強用フィルムを張り付けた状態で加熱プレス処理したり、キュアする工程があるが、銅貼りポリイミドフィルムと比較してポリエステルフィルムは熱膨張係数が大きく、熱寸法安定性が十分でないため、FPC製造工程途中で、熱変形を起こして反り返ったり、平面性が悪化するなどの問題が発生していた。そこで、補強用フィルムのガラス転移温度を高めたり、配向度を高めて熱膨張係数を小さくする等の方法が考えられている(特願平2002−194865)が、加工性が十分でなかったり、フィルムを高度に配向させる際にフィルム破れが発生し易く、生産性も必ずしも良好ではなかった。
【0004】
また、電気、電子部品分野において、機器の小型化や高機能化の観点から、ハンダ耐熱性、熱および湿度に対する高寸法安定性、低吸水性および高周波特性などの諸特性が高次元でバランス化した絶縁基材への要求が増加しているが、その有望素材であるポリフェニレンスルフィドフィルムにおいても上記ポリエステルと同様の問題があった。すなわち、ポリフェニレンスルフィドは耐熱性に優れる、吸水による寸法変化が小さい、等の利点を有するため、回路用成形基板を製造するための樹脂として検討されているが、熱膨張係数が大きいため、ガラス繊維や粒状の無機充填材を添加して熱膨張係数を抑える必要があった(特許文献1、2)。しかし、これらの方法は、必ずしも満足のいくものではなく、また、平面性や表面平滑性、さらにはコスト面で問題を抱えており、新規な手法の開発が望まれていた。
【0005】
また、ポリエステルフィルム中にポリエステルと非相溶である粒子あるいは樹脂を添加し、延伸により粒子あるいは樹脂の周りにボイドを形成する方法が考えられている(特許文献3,4)が、これらは、フィルムの隠蔽性、クッション性を向上させるものであり、熱膨張係数低減の効果はなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平5−310957号公報
【0007】
【特許文献2】特許第2952923号公報
【0008】
【特許文献3】特開平9−277479号公報
【0009】
【特許文献4】特開2001−121665号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題を解決し、熱膨張係数が小さく、熱寸法安定性、表面性および生産性にも優れる高品質のフィルムを提供することを目的とするものであり、回路基板をはじめとする各種工業材料用途で有用な二軸配向積層フィルムを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ポリエステルやポリフェニレンスルフィド等からなる熱可塑性樹脂フィルムの熱膨張係数を低減させ、熱寸法安定性を高める方法について鋭意検討した。その結果、それら熱可塑性樹脂フィルム層の表面に隣接する層を、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を形成することにより本発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、少なくとも3層からなる二軸配向積層フィルムであって、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有する層(A層)を1層以上有する二軸配向積層フィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明でいうフィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有する層(A層)とは、電子顕微鏡観察における、フィルム長手方向と垂直な方向かつ厚み方向のフィルム断面写真において、図1(X)に示すように、表層樹脂との間にA層を構成する樹脂が存在していない貫通した空隙構造を有する層のことである。本発明においては、A層中に貫通した空隙構造を有することが必須であり、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、A層中、部分的にその貫通した空隙のない部分(図1:Y)、つまり、A層を構成する樹脂を有する部分があってもよい。本発明の場合、上記フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有することがフィルムの熱寸法安定性、特に熱膨張係数低減に重要である。
【0013】
本発明においては、A層の厚み方向の断面の断面積aに対する空隙部の面積bの比b/aが20〜95%を満足することが好ましい。より好ましくは、30%〜85%であり、最も好ましくは、50%〜80%である。
【0014】
b/aの比が20%よりも小さい場合、A層フィルム断面において貫通した空隙構造が得られず、フィルムの熱寸法安定性を十分向上させることができない場合がある。また、95%よりも大きくなると、フィルム延伸工程におけるフィルム破れにより安定した製膜ができない場合がある。
【0015】
このような本発明の空隙は、後述する製造方法により設けることができるが、なかでも、液晶ポリマーや非相溶なポリマーあるいは無機粒子をA層中に特定の条件で含有させることや、二軸延伸させることが、重要な製造条件として挙げられる。また、本発明の貫通した空隙構造は、例えばA層を構成している樹脂Aを延伸により引き裂くことにより形成されるものであり、本発明の場合、A層を構成する樹脂A中に例えば、液晶ポリマーや非相溶であるポリマーなどの引き裂きに有効な物質を20重量%〜90重量%の範囲で添加し、該A層の両外面に熱可塑性樹脂を積層し、後述する引き裂きに有効な延伸条件で二軸延伸することにより達成できるものである。
【0016】
A層内に存在する液晶ポリマーや非相溶である樹脂は、フィブリル状、ロッド状、球状、針状、板状またはこれらが連続した数珠状構造したドメイン構造で分散するものが好ましいがこの限りではない。該ドメインの短径は、5nm以上、100μm以下であることが好ましく、50nm以上、50μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上、30μm以下が最も好ましい。上記ドメインの径は細くてもよいが、5nm未満のような細さは実際上非常に実現困難である。一方、ドメインの径が100μmを越えると、製膜性が悪化して、フィルム表面のうねりが大きくなって、フィルム平面性が低下して、各種用途でのフィルム加工性の観点でも問題になり易いので注意すべきである。該ドメイン径を上記の範囲とする方法としては、樹脂Aの溶融粘度(x)と樹脂Aとは非相溶である樹脂の溶融粘度(y)の比y/xを0.01〜1の範囲とすることが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.8の範囲であり、最も好ましくは、0.1〜0.7の範囲とすることが分散しているドメイン径が細くなるため好ましい。
【0017】
前記樹脂Aと非相溶である樹脂としては、例えば、液晶ポリエステル系樹脂、、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、弗素系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、液晶ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が、延伸により空隙の貫通構造を形成しめる効果が大きいため好ましく、特に、液晶ポリエステル系樹脂は、フィルムの熱膨張係数低減および熱寸法安定性を向上でき最も好ましく用いられる。
【0018】
該ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエステル樹脂に添加してフィルムを形成し得るものであればどのようなものであってもよく、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等を用いることができる。また、必ずしもホモポリマーに限定されるものではなく、これらのコポリマーであってもよい。
【0019】
また、樹脂A層中には、無機粒子、有機粒子を添加してもよい。空隙を形成させる無機粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ヒュームドシリカ、タルク、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、アルミナ、リン酸カルシウム、マイカ、フライアッシュ、高炉スラグなどを用いることができる。これらは、単独でも2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの粒子のなかでも、樹脂Aの引き裂き性および粒子分散性の観点から炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムが好ましい。また、有機粒子としては、例えばポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリメトキシスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリジビニルベンゼン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリイミド粒子、架橋ポリエーテルスルフォン粒子、シリコーン粒子等を用いることができる。これらの中から選ばれた1種以上が適用されるが、特に限定されるものではない。本発明では、樹脂Aの引き裂きおよび粒子分散性の観点からポリスチレン、ポリプロピレン、架橋ポリスチレン粒子等が好ましく用いられる。
【0020】
上記、無機粒子または有機粒子の平均粒径は、0.05μm以上、30μm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1μm以上、10μm以下である。該平均粒径が上記範囲より小さい場合、凝集などによる無機粒子の均一分散不良によって、フィルム厚み方向に貫通した空隙が形成されず、また、上記範囲より大きい場合、延伸時にフィルム破れや、フィルム平面性の悪化などの不都合を生じる場合がある。
【0021】
A層中に添加する上記樹脂Aを引き裂く物質の添加量は、樹脂Aに対し20重量%以上、90重量%以下のが好ましく、35重量%以上、85重量%以下がより好ましく、40重量%以上、80重量%以下が最も好ましい。該物質の重量分率が20重量%未満の場合、前記の貫通した空隙が得られにくく、本発明で目的とする熱寸法安定性が得られないことがあり、90重量%を越えると、製膜破れが多発し、生産性が低下してコストアップになる場合が多いので注意すべきである。
【0022】
本発明における積層フィルムの構成は、3層以上であればよく、特に限定されないが、本発明が適用できる一般的なフィルムの積層数は3〜2000であり、より好ましくは、3〜1000層である。本発明のフィルムでは、本発明の効果発現ならびにフィルムの加工性および生産性の観点から、貫通した空隙を有するA層は、B/A/B、C/B/A/B/C、C/B/A/B等の積層構成のように、フィルム厚み方向における中心部に位置する層として配置されていることが好ましい。また、A層の両外層には、同一の樹脂による同一の厚みの層(B層)が積層されてなる3層積層構成(B/A/B)を基本とすることがフィルム加工時の変形抑止、平面性保持の観点で特に好ましい。
【0023】
本発明でいう液晶性ポリエステルの種類は、溶融成形性があれば特に限定されないが、その流動開始温度が200℃以上、360℃以下、さらには230℃以上、320℃以下であることが貫通した空隙形成および本発明の効果発現の観点から好ましい。
【0024】
本発明で使用する液晶性ポリマーは、具体的には、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる共重合ポリエステルなどである。本発明では、“シベラス”(東レ(株)製)、“ベクトラ”(ポリプラスチックス(株)製)、“ゼナイト”(デュポン社製)、“スミカスーパー”(住友化学(株)製)、“ザイダー”(ソルベイ社製)、“UENOLCP”(上野製薬(株)製)、“タイタン”(イーストマン社製)等、各種市販の液晶性ポリマーを適宜選択して適用することも無論可能である。
【0025】
本発明で液晶性ポリマーとして用いる好ましい共重合ポリエステルの例としては、下記(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、(I)、(III)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、(I)、(II)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、または、それらのブレンドポリマーが挙げられる。
【0026】
【化1】
【0027】
(但し式中のR1は、
【0028】
【化2】
【0029】
を示し、R2は
【0030】
【化3】
【0031】
から選ばれた一種以上の基を示し、R3は、
【0032】
【化4】
【0033】
から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)ここで、構造単位[((II)+(III)]と構造単位(IV)とは実質的に等モルである。
【0034】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸および/または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成したポリエステルの構造単位を、構造単位(II)は、4、4´ージヒドロキシビフェニル、3、3´、5、5´ーテトラメチルー4、4´ージヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、tーブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2、6ージヒドキシナフタレン、2、7ージヒドキシナフタレン、2、2´ービス(4ーヒドロキシフェニル)プロパンおよび4、4´ージヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、テレフタル酸、イソフタル酸、4、4´ージフェニルジカルボン酸、2、6ーナフタレンジカルボン酸、1、2ービス(フェノキシ)エタンー4、4´ージカルボン酸、1、2ービス(2ークロルフェノキシ)エタンー4、4´ージカルボン酸および4、4´ージフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
【0035】
また、上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【0036】
【化5】
【0037】
であり、R2が
【0038】
【化6】
【0039】
から選ばれた一種以上であり、R3が
【0040】
【化7】
【0041】
から選ばれた一種以上であるものが好ましい。なお、式中のXは水素原子または塩素原子を示す。
【0042】
また、上記構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【0043】
【化8】
【0044】
であり、R3が
【0045】
【化9】
【0046】
であるものが特に好ましい。
【0047】
また、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【0048】
【化10】
【0049】
であり、R2が
【0050】
【化11】
【0051】
であり、R3が
【0052】
【化12】
【0053】
であるものが特に好ましい。
【0054】
本発明では、共重合量を、ポリマーを形成し得る繰返し構造単位のモル比から計算し、モル%で表す。上記好ましい共重合ポリエステルの場合には、構造単位(I)、構造単位(II)+(IV)、構造単位(III)+(IV)がポリマーを形成し得る繰返し構造単位であり、これらの共重合モル比から共重合量が計算できる。
【0055】
上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%が好ましく、30〜90%がより好ましく、50〜80モル%が最も好ましい。また、構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する(III)のモル分率は95〜5モル%が好ましく、70〜10モル%がより好ましく、50〜20モル%が最も好ましい。また、構造単位(I)/(II)のモル比は流動性の点から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III)]のトータルモル数と実質的に等しい。
【0056】
また、上記構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位(I)は[(I)+(III)]の5〜95モル%が好ましく、50〜80モル%がより好ましい。構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルである。
【0057】
さらに上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、単独ではなく、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルおよび/または構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルとのブレンドポリマーとして用いることが好ましい。このブレンドポリマーの場合においても、前記同様に、構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%が好ましく、30〜90%がより好ましく、50〜80モル%が最も好ましい。
【0058】
以上述べた説明中の「実質的に」とは、必要に応じてポリエステルの末端基をカルボンキシル基末端あるいはヒドロキシル末端基のいずれかを多くすることができ、このような場合には構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III)]のトータルモル数と完全に等しくないからである。
【0059】
上記好ましい共重合ポリエステルを重縮合により製造する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3、3´ージフェニルジカルボン酸、2、2´ージフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4、4´ージヒドロキシジフェニルスルフォン、4、4´ージヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4´ージヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオール、1、4ーブタンジオール、1、6ーヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、4ーシクロヘキサンジオール、1、4ーシクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびmーヒドロキシ安息香酸、2、6ーヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびpーアミノフェノール、pーアミノ安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0060】
上記した共重合ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0061】
例えば、上記の好ましく用いられる共重合ポリエステルの製造法において、上記構造単位(III)を含まない場合は下記(1)および(2)、構造単位(III)を含む場合は下記(3)の製造方法が好ましい。
(1)pーアセトキシ安息香酸および4、4´ージアセトキシビフェニル、4、4´ージアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(2)pーヒドロキシ安息香酸および4、4´ージヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(βーヒドロキシエチル)テレフタレートなどの芳香族ジカルボン酸のビス(βーヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0062】
これらの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましい場合もある。
【0063】
樹脂Aを構成するポリマーは、特に限定されないが、フィルム層Aと隣接するフィルム層を構成するポリマーと同一であることがフィルム層間での接着性ならびに本発明の効果発現の観点から好ましく、フィルムA層と隣接する層がブレンド物から構成される場合には、ブレンド物を構成するポリマーの少なくとも一種と同一であることが好ましい。
【0064】
前記A層の両外面に隣接するフィルム層は、二軸延伸可能なポリマーである熱可塑性樹脂Bからなる層であることが好ましい。そのような樹脂Bとしては、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ乳酸等の各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも一種を含むブレンド物を挙げることができる。本発明では、二軸延伸性、本発明の効果発現の観点から、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ乳酸から選ばれる少なくとも一種からなる樹脂が好ましく、特に、ポリエステルまたはポリフェニレンスルフィドが好ましい。
【0065】
本発明で用いられるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオ−ルを主たる構成成分とするポリエステルである。
【0066】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3、3´−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエ−テルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、ヘキサヒドロテレフタル酸、1、3−アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシエトキシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
【0067】
また、ジオ−ル成分としては、例えば、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4、4´−ジヒドロキシビフェニル、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、p−キシレングリコールなどの芳香族ジオール、エチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,2−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,3−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリアルキレングリコ−ル、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ジエチレングリコ−ル等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコ−ル等を用いることができる。これらのジオ−ル成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0068】
また、ポリエステルにはトリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロ−ル、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の多官能化合物等の他の化合物を、ポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。グリコール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2、6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
【0069】
本発明の場合、ポリエステルとして特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびその共重合体または変性体よりなる群から選ばれた少なくとも一種類の使用が好ましい。本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートとは、酸成分として、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸を少なくとも80モル%以上含有するポリマーである。酸成分については、少量の他のジカルボン酸成分を共重合してもよく、またエチレングリコールを主たるジオール成分とするが、他のジオール成分を共重合成分として加えてもかまわない。
【0070】
本発明で使用するポリエチレンテレフタレートは通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここでエステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。前記エステル化あるいはエステル交換反応は、130〜260℃の温度条件下で行い、重縮合反応は高真空下、温度220〜300℃で行うのが通常である。リン化合物の種類としては、亜リン酸、リン酸、リン酸トリエステル、ホスホン酸、ホスホネート等があるが、特に限定されず、またこれらのリン化合物を二種以上併用してもよい。また、エステル化あるいはエステル交換から重縮合の任意の段階で必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤、表面突起形成用無機および有機粒子を添加することも可能である。
【0071】
本発明で用いられるポリエステルの固有粘度は、製膜性、耐熱性、加水分解性の観点から、0.55〜2.0dl/gが好ましく、0.6〜1.4dl/gがさらに好ましい。
【0072】
本発明でいうポリフェニレンスルフィド(PPS)とは、フェニレンスルフィド成分を好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む樹脂である。かかるフェニレンスルフィド成分が80モル%未満では、ポリマーの結晶性や熱転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、寸法安定性、機械特性、誘電特性などを損なうことがある。
【0073】
上記PPS樹脂において、繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。繰り返し単位の20モル%未満、好ましくは10モル%未満の繰り返し単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位、カーボネート単位などが具体例として挙げられ、このうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であってもよい。PPSを主成分とする樹脂組成物を樹脂Cとして使用する場合には、PPS成分を60重量%以上含む組成物が好ましい。PPSの含有量が60重量%未満では、該組成物からなるフィルムの機械特性、耐熱性、熱融着特性、吸湿寸法安定性、誘電特性などを損なう場合があるので注意すべきである。該組成物中の残りの40重量%未満はPPS以外のポリマー、無機または有機のフィラー、滑剤、着色剤などの添加物を含むことができる。さらに、PPS組成物の溶融粘度は、300℃剪断速度2000sec−1のもとで、500〜50000ポイズ、より好ましくは、1000〜20000ポイズの範囲が好ましい。
【0074】
本発明でいうPPSは例えば以下の方法により製造できる。硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN−メチルー2ーピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で高温高圧下で反応させる。必要に応じてトリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリ、カルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマーを冷却し、ポリマーを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマーを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄・乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマーを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。かくして得られたポリマーは実質的に線状のPPSポリマーであり、しかも該PPS樹脂の溶融結晶化温度Tmcは160〜190℃の範囲にあるので安定した延伸製膜が可能になる。もちろん必要に応じて、他の高分子化合物や酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリンなどの無機、有機化合物や熱分解防止剤、熱安定剤、酸化防止剤などを添加してもよい。
【0075】
本発明のフィルムの長手方向および幅方向の熱膨張係数は、回路材料等への用途展開の観点から、3ppm/℃以上、45ppm/℃以下であることが好ましい。熱膨張係数が3ppm/℃未満であったり、45ppm/℃を越えたりすると、回路材料用途等で加工時に熱変形してカールし易くなるので注意すべきである。フィルムの熱膨張係数は、5ppm/℃以上、35ppm/℃以下がより好ましく、15ppm/℃以上、25ppm/℃以下が最も好ましい。本発明の場合、A層中に貫通した空隙構造を有したフィルムとすることによりで、熱膨張係数を上記の好ましい範囲とすることができる。
【0076】
本発明のフィルムの長手方向の150℃熱収縮率は、フィルムを加工する際の変形抑止および平面性保持の観点から、1.0%未満であることが好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。熱収縮率が1.0%を越えると、平面性悪化等の問題が発生し易くなる。
【0077】
本発明のフィルムの長手方向および幅方向のヤング率は、1GPa以上、7GPa以下であることが好ましい。ヤング率が1GPa未満であると、腰がないため、取扱い難くなる場合があり、一方、7GPaを越えると、変形やカールが起こりやすくなるので注意すべきである。フィルムのヤング率は、1.5GPa以上、6GPa以下が好ましく、2GPa以上、5GPa以下がさらに好ましい。ヤング率を上記の範囲とするためには、フィルムを二軸延伸し、フィルム内部に空隙を形成させることにより達成することができる。
【0078】
本発明のフィルムの表面粗さは、フィルム中に無機粒子や有機粒子などを添加することにより調整できる。これらの添加粒子の粒径、配合量、形状などは、フィルム各用途で要求される表面粗さに応じて適宜選択することが可能である。ちなみに、平均粒子径としては0.01μm以上、3μm以下が好ましく、添加量としては0.001重量%以上、3重量%以下が好ましい。また、使用する添加粒子は、1種類でもよいが、平均粒子径の異なる粒子を2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
【0079】
無機粒子の具体例として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの酸化物、カオリン、タルク、モンモリナイトなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、リン酸カルシウムなどのリン酸塩などが用いることができる。これらに限定されるわけでない。酸化ケイ素は真球状でも多孔質であってもよい。
【0080】
また、有機粒子の具体例としては、ポリスチレンもしくは架橋ポリスチレン粒子、スチレン・アクリル系及びアクリル系架橋粒子、スチレン・メタクリル系架橋粒子などのビニル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド、シリコン、ポリテトラフルオロエチレンなどの粒子を用いることができるが、これらに限定されるものでなく、粒子を構成する部分のうち少なくとも一部がフィルムを構成する樹脂に対して不溶の有機高分子微粒子であれば如何なる粒子でもよい。
【0081】
本発明のフィルムには、フィルム表面の突起形成のための上記無機粒子や有機粒子以外に、その他の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤および結晶核剤などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であれば添加することができる。
【0082】
本発明において、樹脂A層の厚みは、フィルム全体の厚みの1〜90%であることが好ましい。A層の厚みの比率が1%未満では貫通した空隙が得られず、フィルムの熱寸法安定性向上の効果を得ることが難しくなる場合がある。また90%を越えるとフィルム破れが多発して生産性が低下するので注意すべきである。好ましくは、20〜80%であり、30〜70%が最も好ましい。
【0083】
本発明の二軸配向積層フィルムの厚みは、0.5μm〜400μmの範囲でフィルムの用途に応じて適宜調整できる。磁気テープ用途では、2.0μm〜10μm、コンデンサー用途では、0.5μm〜15μm、回路材料用途では、12μm〜250μm、電気絶縁材料用途では、75μm〜400μmが好ましい。
【0084】
次いで、本発明の二軸配向積層フィルムを製造する方法について、液晶性ポリエステル(“UENOLCP”5000、上野製薬(株)製、融点280℃)とポリエチレンテレフタレート(PET)のブレンド物(樹脂A)からなるフィルムA層の両外面に、ポリエチレンテレフタレート(樹脂B)からなるB層を積層させた二軸配向積層フィルムの製造を例にとって説明する。
【0085】
本発明では、まず、上記液晶性ポリエステル(以下、液晶ポリマーという)とPETとを二軸混練押出機に投入し、液晶ポリマーとPETの重量分率が95/5〜50/50のブレンド原料1を作成するのが好ましい。液晶ポリマーとPETからなる樹脂組成物の混合・混錬方法は、特に限定されることはなく各種混合・混錬手段が用いられる。例えば、各々別々に溶融押出機に供給して混合してもよいし、また、予め紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダー、タンブラー等の混合機を利用して乾式予備混合し、その後、溶融混錬機にて溶融混錬することでもよい。その後、前記ブレンド原料1を、PETおよび必要に応じてこれらの回収原料と共に押出機に投入して、液晶ポリマーの重量分率を下げて、目的とするフィルム層Aの組成とし、これを層A用の樹脂原料とすることが、フィルムの品質、製膜性の観点で好ましい。上記A層用樹脂原料を作成する場合、フィルム中への異物混入を可能な限り低減させるために、溶融押出工程で樹脂をフィルトレーションすることも好ましく行うことができる。フィルトレーションに用いる異物除去フィルターの種類や条件については特に限定するものではない。
【0086】
上記の好ましい製造法についてのより具体的な条件は以下のとおりである。
【0087】
まず、液晶ポリマーペレットとPETペレットとを、一定の割合で混合して、280〜320℃に加熱されたベント式の2軸混練押出機に供給し、溶融混練してブレンドチップを得る。このときのベント式二軸押出機は、分散不良物を低減させる観点から、二軸3乗タイプのスクリューを装備したものが好ましく、そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。
【0088】
その後、上記ペレタイズ作業により得られた、液晶ポリマーとPETからなるブレンドチップ1、PET、および必要に応じて製膜後の回収原料を一定の割合で適宜混合して樹脂Aとし、180℃で3時間以上真空乾燥した後、270〜320℃の温度に加熱された押出機1に投入する。一方、押出機2には、PETおよび必要に応じて適宜粒子を混合した原料(樹脂B)を乾燥した上で投入する。その後、押出機1,2を経た溶融ポリマーをフィルター内を通過させた後、その溶融体をピノールを用いて合流させて3層積層(B/A/B)し、その後、Tダイを用いてシート状に吐出し、このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
【0089】
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸したのちに幅方向に延伸を行う方法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、またはそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ここでは、逐次二軸延伸法を用いた場合について説明する。
【0090】
上記で得られた未延伸フィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に2〜5倍、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは3〜4倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度は、Tg〜(Tg+60)℃、好ましくは、(Tg+5)〜(Tg+55)℃、さらに好ましくは、(Tg+10)〜(Tg+50)℃の範囲である。その後、20〜50℃のロール群で冷却する。
【0091】
MD延伸に続く幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度は、Tg〜(Tg+80)℃が好ましく、より好ましくは、(Tg+10)〜(Tg+70)℃、さらに好ましくは、(Tg+20)〜(Tg+60)℃の範囲である。延伸倍率は、2.0〜5.0倍が好ましく、より好ましくは、2.5〜5.0倍、さらに好ましくは、3.0〜4.0倍の範囲である。
【0092】
さらに本発明の貫通した空隙構造を得るためには、これらの延伸に引き続いて、再縦延伸および/または再横延伸を行うことが好ましい。その場合、フィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に1.1〜2.5倍、好ましくは、1.15〜2.4倍、さらに好ましくは、1.2〜2.3倍に再縦延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。延伸温度は、Tg〜(Tg+100)℃の範囲が好ましく、より好ましくは、(Tg+20)℃〜(Tg+90)℃の範囲、さらに好ましくは、(Tg+40)〜(Tg+80)℃の範囲である。次に、ステンターを用いて再び幅方向の延伸を行う。延伸温度は、Tg〜250℃の範囲が好ましく、より好ましくは、(Tg+20)〜240℃の範囲、さらに好ましくは、(Tg+40)〜220℃の範囲である。延伸倍率は、1.1〜2.5倍の範囲が好ましく、より好ましくは、1.15〜2.2倍、さらに好ましくは、1.2〜2.0倍である。
【0093】
次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。好ましい熱固定温度は、150〜250℃、より好ましくは170℃〜245℃、さらに好ましくは、190〜240℃の範囲である。時間は、0.2〜30秒の範囲で行うのが好ましいが、特に限定されない。さらにこのフィルムを40〜180℃の温度ゾーンで幅方向に弛緩しながら冷却するのが好ましい。弛緩率は、幅方向の熱収縮率を低下される観点から1〜10%であることが好ましく、より好ましくは、2〜8%、さらに好ましくは、3〜7%の範囲である。
【0094】
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手方向および幅方向に弛緩熱処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸配向積層フィルムを得る。
【0095】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例に基づいて説明する。
【0096】
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)ポリエステルの固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
【0097】
(2)A層の厚み比率および空隙の貫通構造および空隙率
フィルムサンプルをフィルムの長手方向と垂直な方向かつ厚み方向に切断し、その切断面を透過型電子顕微鏡で観察し、A層における空隙の貫通構造の有無を判定した。A層断面において、空隙の貫通構造を有する場合○、空隙の貫通構造がない場合×とした。また、フィルムの長手方向と垂直な方向かつ厚み方向に切断したフィルム断面の透過型電子顕微鏡写真より、A層の厚みを求め、フィルム全体の厚みに対するA層の厚み比率を算出した。上記顕微鏡観察は、フィルムサンプルにもよるが、100〜100万倍の倍率で適宜選択して観察すればよく、50倍〜1万倍程度の低倍率で観察し、空隙の貫通構造の有無を判定するのが好ましい。なお、後述する実施例・比較例では透過型電子顕微鏡で1000倍で観察した。
また、透過型電子顕微鏡断面写真の空隙部分をマーキングして、その空隙部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−VI((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、A層断面の空隙面積の総和を算出し、下記式より空隙率(%)を求めた。
空隙率(%)=(空隙面積の総和(μm2)/A層断面積(μm2))×100。
【0098】
(3)フィルムのヤング率
ASTM−D882(改1997.5.10)に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件で行った。測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:10mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH。
【0099】
(4)フィルムの熱収縮率
JIS C2318(改9.7.20)に従って、下記条件にて熱収縮率を測定した。
試料サイズ:幅10mm、標線間隔200mm
測定条件:温度150℃、処理時間30分、無荷重状態
熱収縮率は次式より求めた。
熱収縮率(%)=[(L0−L)/L0]×100
L0:加熱処理前の標線間隔
L :加熱処理後の標線間隔。
【0100】
(5)フィルムの熱膨張係数
下記の条件にてフィルムの長手方向および幅方向に測定した。
測定装置 :島津TMA−50
試料サイズ :幅4mm、長さ20mm
測定条件 :荷重を3gに設定し、10℃/分で常温から170℃に昇温し、10分間保持して、次いで40℃まで降温して20分間保持した。
熱膨張係数は150℃から50℃までの降温過程における平均の傾きから求めた。
【0101】
(6)フィルムの寸法安定性
JIS C6472(改7.3.1)に記載の銅貼りポリイミドフィルムのフィルム側に、測定対象フィルムを汎用塩化ビニル系樹脂と可塑剤からなる接着剤により貼り合わせて、温度160℃、圧力30kg/cm2、時間30分の条件でロールを用いて圧着した。得られた圧着フィルムから切り出した試料寸法が25cm×25cmの試料を定盤上に置き、その状態で4隅のカール状態を観測し、4隅の反り量(mm)の平均値を求めて、下記の基準に従って評価した。◎と○が合格である。
◎:反り量が5mm未満
○:反り量が5mm以上、10mm未満
×:反り量が10mm以上。
【0102】
(7)製膜時の破れ頻度
製膜に伴うフイルム破れを観察して、次の基準で判定した。
◎:フィルム破れが皆無である場合
○:フィルム破れが極くまれに生じる場合
△:フィルム破れが時々生じる場合
×:フィルム破れが頻発する場合。
【0103】
(実施例1)
ジメチルテレフタレート100重量部とエチレングリコール60重量部の混合物に、エステル交換反応触媒として酢酸カルシウムを添加し、加熱昇温してメタノールを留出させてエステル交換反応を行った。次いで、該エステル交換反応生成物に、重合触媒として三酸化アンチモン、熱安定剤としてリン酸を加え重縮合反応槽に移送した。次いで、加熱昇温しながら反応系内を徐々に減圧し、290℃減圧下で内部を攪拌しメタノールを留出させながら重合し、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート(PET)を作製した。
【0104】
次いで、得られたPETチップ50重量部と上野製薬(株)製の液晶性ポリマー(“UENO”5000)50重量部を180℃で3時間真空乾燥した後、290℃に加熱された同方向ベント式二軸混練押出機(スクリュー直径25mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=28)に投入し、滞留時間2分で溶融押出してストランド状に吐出し、冷水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップを得た。
【0105】
次いで、上記の無粒子のPETチップに、平均径2.5μmの凝集シリカ粒子を0.1重量%の割合になるように、粒子マスターを配合して樹脂Bとし、180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機Iに供給した。また、一方、上記のPET/LCP(50/50重量%)のブレンドチップを樹脂Aとし、180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機IIに供給した。次いで、これらの2台の押出機で溶融したポリマーをそれぞれフィルターで濾過した後、3層用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)を使用して、B/A/Bの3層積層とした。合流ブロックを通過させるポリマー流量は、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの積層比がB/A/B=20/60/20となるように、各層の厚さをそれぞれのラインに設置されたギヤポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによって合わせた。このように溶融ポリマーを3層積層状態にして溶融押出した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、ドラフト比(口金スリット間隙/未延伸フィルム厚さの比)8で引き取って未延伸積層フィルムを作製した。
【0106】
この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、100℃の温度でフィルムの縦方向に3.50倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度105℃、延伸倍率3.0倍でフィルムの幅方向に延伸を行った。続いて、180℃、1.3倍の倍率でフィルム幅方向に再横延伸を行った。引き続いて235℃の温度で3秒間熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に3%弛緩処理を行い、その後、100℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に1%弛緩処理を施し、その後、室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ50μm(A層厚み30μmおよびB層の厚みは10μm)の二軸配向積層フィルムを作製した。
【0107】
ここで得られたフィルムの構成と物性を表1に示す。本実施例のフィルムは、A層がフィルム断面で厚み方向に貫通した空隙構造を有しており、熱膨張係数が小さく、腰も小さい、回路材料として使用する際の寸法安定性にも優れていた。A層中の空隙の面積比率は80%であった。また、本実施例のフィルムは製膜時にフィルム破れもなく、生産性も良好であった。
【0108】
(実施例2)
樹脂A中のPET/LCPの重量分率を65/35と変更した以外は実施例1と同様に製膜し、厚み50μmの二軸配向積層フィルムを作製した。
【0109】
(実施例3)
樹脂A中のPET/LCPの重量分率を80/20とし、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの積層比がB/A/B=7.5/85/7.5となるように、各層の厚さをそれぞれのラインに設置されたギアポンプの回転数を調節し、押出量を制御すること以外は、実施例1と同様に製膜し、厚み50μm(A層厚み42μmおよびB層の厚み4μm)の二軸配向積層フィルムを作製した。
【0110】
(実施例4)
樹脂Aを構成する液晶性ポリマーとして、下記組成の液晶性ポリエステル1(融点265℃、分子量18000)(LCP1)を使用し、樹脂A中のPET/LCP1の重量分率を50/50と変更した以外は実施例1と同様に製膜し、厚み50μmの二軸配向積層フィルムを作製した。
【0111】
(実施例5)
東レ(株)製の線状PPS樹脂(“ライトン”T1881)50重量部と上野製薬製の液晶性ポリマー(“UENO”5000)50重量部を180℃で3時間真空乾燥した後、305℃に加熱されたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(スクリュー直径25mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=28)に投入し、滞留時間90秒で溶融押出してストランド状に吐出し、冷水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップを作製した。
【0112】
東レ(株)製の線状PPS樹脂(“ライトン”T1881)に、平均粒径0.7μmのシリカ粉末0.2重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%を添加し均一に分散配合させた原料を樹脂Bとし、180℃で3時間真空乾燥した後、295℃に加熱された押出機Iに供給した。また、一方、上記のPPS/LCP(50/50重量%)のブレンドチップを樹脂Aとし、180℃で3時間真空乾燥した後、300℃に加熱された押出機IIに供給した。次いで、これらの2台の押出機で溶融したポリマーをそれぞれフィルターで濾過した後、3層用の矩形の合流ブロック(フィードブロック)を使用して、B/A/Bの3層積層とした。合流ブロックを通過するポリマー流量は、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの積層比がB/A/B=20/60/20となるように、各層の厚さをそれぞれのラインに設置されたギヤポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによって合わせた。このように溶融ポリマーを3層積層状態にして溶融押出した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、ドラフト比(口金スリット間隙/未延伸フィルム厚さの比)5で引き取って未延伸積層フィルムを作製した。
【0113】
この未延伸フィルムを、加熱された複数のロール群からなる縦延伸機を用い、ロールの周速差を利用して、105℃の温度でフィルムの縦方向に3.0倍の倍率で延伸した。その後、このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、延伸温度115℃、延伸倍率3.5倍の倍率でフィルムの幅方向に延伸を行った。さらに、185℃、1.3倍の倍率でフィルムの横方向に再横延伸した。引き続いて255℃の温度で3秒間熱処理を行った後、150℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に4%弛緩処理を行い、その後、100℃にコントロールされた冷却ゾーンで横方向に1%弛緩処理を施し、その後、室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、厚さ50μm(A層厚み30μmおよびB層の厚みは10μm)の二軸配向積層フィルムを作製した。
【0114】
ここで得られたフィルムの構成と物性を表1に示す。本実施例のフィルムは、A層フィルムの断面において、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有しており、熱膨張係数が比較例2で示す単層のPPSフィルムと比較して大幅に小さく、腰も小さい、回路材料として好適な特性を有していた。A層中の空隙の面積比率は75%であった。また、本実施例のフィルムは製膜時にフィルム破れもなく、生産性も良好であった。
【0115】
(実施例6)
実施例1において、樹脂Aを構成する液晶ポリマーのかわりにポリメチルペンテン(PMP)(三井石油化学(株)製、TPX、DX820)を使用し、樹脂A中のPET/PMPの重量分率を70/30と変更した以外は実施例1と同様に製膜し、厚み50μmの二軸配向積層フィルムを作製した。
【0116】
(比較例1)
実施例1の樹脂Bのみを使用して単膜のPETフィルムとした以外は実施例1同様に製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0117】
(比較例2)
実施例5の樹脂Bのみを使用して単膜のPPSフィルムとした以外は実施例5同様に製膜し、厚さ50μmの二軸配向フィルムを作製した。
【0118】
(比較例3、4)
樹脂Aのブレンド組成を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様に製膜し、厚さ50μmの二軸配向積層フィルムを作製した。
【0119】
樹脂A中のLCPの重量分率が低過ぎた比較例4の積層フィルムでは、A層フィルム断面中に貫通した空隙構造が見られず、得られたフィルムの特性も比較例1のPETフィルム対比で大差なかった。
【0120】
LCPの重量分率が高過ぎた比較例5の場合は、フィルム破れが多発したため、安定製膜できなかった。
【0121】
【表1】
【0122】
【発明の効果】
本発明によると、熱膨張係数、熱収縮率を低減させてフィルムの熱寸法安定性を向上させることができると共に、フィルムの生産性向上を図ることができる。従って、本発明によるフィルムは、熱膨張係数が小さく、熱寸法安定性、表面性および生産性にも優れる高品質のフィルムであり、熱寸法安定性が要求される各種工業材料用途、例えば回路材料、磁気材料、製版・印刷材料等で広く活用が可能であり、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の貫通した空隙構造を有するフィルムの断面電子顕微鏡写真の例である。
【符号の説明】
X・・・フィルム厚み方向に貫通した空隙構造
Y・・・フィルム厚み方向に貫通していない空隙構造
Claims (7)
- 少なくとも3層からなる二軸配向積層フィルムであって、フィルム厚み方向に貫通した空隙構造を有する層(A層)を1層以上有する二軸配向積層フィルム。
- A層の厚み方向の断面の断面積aと空隙部の面積bの比が20〜95%である請求項1に記載の二軸配向積層フィルム。
- A層が、液晶ポリマー、ポリオレフィン、無機粒子から選ばれる少なくとも1種を20重量%以上、90重量%以下含有する請求項1または2記載の二軸配向積層フィルム。
- A層の両外面に熱可塑性樹脂Bが積層されている請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向積層フィルム。
- 熱可塑性樹脂Bが、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリ乳酸から選ばれる少なくとも一種からなる樹脂を含む請求項4記載の二軸配向積層フィルム。
- フィルムの熱膨張係数が、3ppm/℃以上、45ppm/℃以下である請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向積層フィルム。
- フィルムの長手方向および幅方向のヤング率が、1GPa以上、7GPa以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向積層フィルム。
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JP2003207683A JP2005059235A (ja) | 2003-08-18 | 2003-08-18 | 二軸配向積層フィルム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009084518A1 (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-09 | Toray Industries, Inc. | 積層フィルムおよびそれからなる包装体 |
JP2014180787A (ja) * | 2013-03-18 | 2014-09-29 | Ube Ind Ltd | 積層体および積層体の製造方法 |
-
2003
- 2003-08-18 JP JP2003207683A patent/JP2005059235A/ja active Pending
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