JP2005335347A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】熱寸法安定性および剥離による破断に対する耐久特性(耐破断性)に優れた二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、回路材料用および回路材料の加工・製造時に用いた際、熱寸法安定性、剥離による破断に対する耐久特性(耐破断性)に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】少なくとも3層からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、最外層を構成するポリエステル樹脂の赤外吸収875cm-1バンドのC−H面外振動より得られるフィルム厚み方向の赤外吸収強度(Az)、フィルム全方向の平均赤外吸収強度(A0=(Ax+Ay+Az)/3)が下記式を満足し、フィルム長手方向または幅方向のいずれか一方のエレメンドルフ引き裂き強度が4N/mm以上、7N/mm以下であり、最外層以外の少なくとも1層が液晶性樹脂を10〜70重量%含有する二軸配向ポリエステルフィルム。2.0≦Az/A0(875)≦2.5…式
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも3層からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、最外層を構成するポリエステル樹脂の赤外吸収875cm-1バンドのC−H面外振動より得られるフィルム厚み方向の赤外吸収強度(Az)、フィルム全方向の平均赤外吸収強度(A0=(Ax+Ay+Az)/3)が下記式を満足し、フィルム長手方向または幅方向のいずれか一方のエレメンドルフ引き裂き強度が4N/mm以上、7N/mm以下であり、最外層以外の少なくとも1層が液晶性樹脂を10〜70重量%含有する二軸配向ポリエステルフィルム。2.0≦Az/A0(875)≦2.5…式
【選択図】なし
Description
本発明は、熱寸法安定性および剥離による耐破断性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、回路材料用および回路材料の加工・製造時に用いた際、熱寸法安定性、剥離による耐破断性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムである。
近年、携帯電話などの電子機器の技術進歩に伴って、フレキシブルプリント回路基板(FPC)の需要が急激に伸びており、さらにこのような機器の小型化と軽量化に対応してFPCの薄膜化が進んでいる。このため、FPC用の銅貼りポリイミドフィルムの薄膜化も同時に進んでいるが、これによってフィルムの剛性自体が低下してFPCを製造する際の加工が困難になっている。
そこで、加工時の取り扱いを簡便にするため、加工終了時に剥離、除去できる微粘着性の補強用のポリエステルフィルムをあらかじめ貼り付けて剛性をもたせる方法が用いらることがある。しかしながら、このような方法によるFPC製造過程では、補強用のポリエステルフィルムを貼り付けた状態で加熱プレス加工したり、キュアしたり、ICチップを実装したりする工程があるが、銅貼りポリイミドフィルムに比較してポリエステルフィルムは熱膨張係数が大きく、熱寸法安定性が十分でないため、FPC製造工程中で熱変形を起こして反り返ったり、平面性が悪化したりするなどの問題が生じることがあった。
また、FPC製造工程の補強用フィルムとして使用した場合、剥離工程において、補強フィルムが破断しないことが必要である。
従来、フィルムの破断性を向上させる指標としては、エレメンドルフ引き裂き強度が重視されてきた。エレメンドルフ引き裂き強度を上げるためにはフィルムの熱固定温度を下げて製膜すればよいことが知られている。これは、フィルム中の結晶部分の割合を減らして、衝撃的な剥離強さに耐えうる柔軟なフィルムとすることが目的である。そこでフィルムの面配向および厚み方向の屈折率を制御することにより、剥離による耐破断フィルムが提案されている(特許文献1)。
しかし、このフィルムにおいては、熱膨張係数などの寸法安定性が十分なものではなかった。
また、液晶性樹脂を熱可塑性樹脂フィルム中に特定分散形状で分散させたフィルムが提案されている。例えば、ポリエステル中に液晶性樹脂を分散させたフィルムが機械特性などに優れるものとして提案されている(特許文献2、特許文献3)。
しかしながら、これらのフィルムは、熱膨張係数などの寸法安定性がなお十分ではなかった。
特開2002−178475号公報
特開平10−298313号公報
特開平11−5855号公報
本発明の目的は、上記問題を解決し、熱寸法安定性および剥離による破断に対する耐久性(耐破断性)に優れた二軸配向ポリエステルフィルムを提供すること、より詳しくは、回路材料用および回路材料の加工・製造時に用いた際、好適に使用できる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、以下の構成からなる。
(1)少なくとも3層からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、最外層を構成するポリエステル樹脂の赤外吸収875cm-1バンドのC−H面外振動より得られるフィルム厚み方向の赤外吸収強度(Az)、フィルム全方向の平均赤外吸収強度(A0=(Ax+Ay+Az)/3)が下記式を満足し、フィルム長手方向または幅方向の少なくとも一方のエレメンドルフ引き裂き強度が4N/mm以上、7N/mm以下であり、最外層以外の少なくとも1層が液晶性樹脂を10〜70重量%含有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
2.0≦Az/A0(875)≦2.5
(1)少なくとも3層からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、最外層を構成するポリエステル樹脂の赤外吸収875cm-1バンドのC−H面外振動より得られるフィルム厚み方向の赤外吸収強度(Az)、フィルム全方向の平均赤外吸収強度(A0=(Ax+Ay+Az)/3)が下記式を満足し、フィルム長手方向または幅方向の少なくとも一方のエレメンドルフ引き裂き強度が4N/mm以上、7N/mm以下であり、最外層以外の少なくとも1層が液晶性樹脂を10〜70重量%含有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
2.0≦Az/A0(875)≦2.5
本発明によれば、熱寸法安定性および剥離による耐破断性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムであり、特に、回路材料用および回路材料の加工・製造用フィルムとして好適に使用できる二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
以下、本発明の最良の実施形態を説明する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも3層以上の積層構造を有するものである。特に限定されないが、本発明が適用できる一般的なフィルムの積層数は3〜1000層である。
本発明の積層フィルムでは、本発明の効果発現ならびにフィルム生産性の観点から、液晶性樹脂を含む樹脂層Cはフィルムの最外層D以外の層とする。
さらに、最外層D以外の層をE層とすると、D/C/D、D/E/C/E/D、D/E/C/Dなどの積層構成のように、フィルム厚み方向の厚み方向における中心部に位置する層として配置されていることが好ましい。また、樹脂層Cの両外層に同一のポリエステルからなる同一の厚みの樹脂層Dが積層してなる3層積層構成(D/C/D)が、二軸配向ポリエステルフィルムの生産性および加工時における変形抑止と平面性保時の点から好ましい積層構成である。
本発明の場合、最外層Dを構成する層は、ポリエステル樹脂からなる層であり、必要に応じて添加剤等が配合された層であってもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの最外層を構成するポリエステル樹脂層は、赤外吸収875cm-1バンドのC−H面外振動より得られるフィルム厚み方向の赤外吸収強度(Az)、フィルム全方向の平均赤外吸収強度(A0=(Ax+Ay+Az)/3)のAz/A0が2.0以上、2.5以下であり、より好ましくは、2.1以上、2.5以下であり、さらに好ましくは、2.3以上、2.5以下である。赤外吸収における875cm-1バンドは、C−Hの面外振動に帰属するバンドであり、その遷移モーメントはベンゼン環垂直方向を有するので、Az/A0(875)は面配向性、すなわちフィルム膜面に対し、ベンゼン環がどの程度平行になっているかを示す。
面配向は、延伸処理により向上するが、ポリエステルの場合、緊張熱処理によっても増大する。本発明の場合、二軸延伸後、後述する特定の条件で緊張熱処理することによって、ポリエステル樹脂で構成された最外層Dの面配向を上記範囲とすることができるものである。面配向が、2.0未満の場合、フィルムの配向が十分でないため、フィルムの厚みむらが悪化したり、フィルムの熱寸法安定性が悪化したりする場合がある。面配向が2.5を超えると、面に垂直な方向の結合力が乏しくなるため、曲げ応力やせん断応力が衝撃的にかかるとフィルム層間で剥離し、フィルムが破断してしまうことがある。本発明においては、熱寸法安定性および剥離工程における耐破断性をえるために、面配向を上記範囲とすることが必要である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのエレメンドルフ引き裂き強度は、フィルム長手方向または幅方向の少なくとも一方が4N/mm以上、7N/mm以下であることが必要である。より好ましくは、4.5N/mm以上、6.5N/mm以下であり、さらに好ましくは、5N/mm以上、6N/mm以下である。フィルム長手方向および幅方向のエレメンドルフ引き裂き強度がともに4N/mm未満であると、フィルムの面配向が十分ではなく、剥離工程でフィルムの破れが発生しやすい。また、フィルム長手方向および幅方向のエレメンドルフ引き裂き強度がともに7N/mmを超えると、フィルム面配向が大きすぎるためにフィルム表面で剥離することある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの樹脂層C中に空隙を含有させていることが好ましく、その空隙率は、樹脂層C面中の面積分率で5〜70%の範囲であることが好ましい。より好ましくは20〜50%の範囲であり、さらに好ましくは30〜40%の範囲である。樹脂層C中の空隙率が5%未満であると、熱膨張係数を低減できないことがあり、空隙率が70%を越えると、層間接着性が低下しフィルムが破断しやすくなることがある。
該空隙率は、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡などの手法を用いて測定できる。例えば、サンプルを50nmの厚みに超薄切片法で作成し、透過型電子顕微鏡を用いて、加圧電圧100kVの条件下で観察し、5千倍で写真を撮影して、得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、画像処理を行うことにより、空隙率を計算することができる(測定法の詳細は後述する)。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの最外層を構成する樹脂はポリエステルであり、本発明でいうポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分から構成されるものである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、中でも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2'−ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
また、ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
本発明の場合、ポリエステルとして特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびその共重合体または変性体よりなる群から選ばれた少なくとも一種類の使用が好ましい。本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートとは、酸成分として、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸を少なくとも80モル%以上含有するポリマーである。酸成分については、少量の他のジカルボン酸成分を共重合してもよく、またエチレングリコールを主たるジオール成分とするが、他のジオール成分を共重合成分として加えてもかまわない。
本発明で使用するポリエチレンテレフタレートは、通常、次の(1)、(2)のいずれかのプロセスで製造される。
すなわち、
すなわち、
(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、
(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、
である。
(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、
である。
ここで、エステル化は、無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。前記エステル化あるいはエステル交換反応は、130〜260℃の温度条件下で行い、重縮合反応は高真空下、温度220〜300℃で行うのが通常である。リン化合物の種類としては、亜リン酸、リン酸、リン酸トリエステル、ホスホン酸、ホスホネート等があるが、特に限定されず、また、これらのリン化合物を二種以上併用してもよい。また、エステル化あるいはエステル交換から重縮合の任意の段階で必要に応じて酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、核生成剤、表面突起形成用無機および有機粒子を添加することも可能である。
本発明の場合、最外層を構成するポリエステル樹脂に本発明の効果が阻害されない範囲であれば、ポリエステル以外の樹脂を含有させてもよい。ポリエステル以外の樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ乳酸等の各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも一種を含むブレンド物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるポリエステルの固有粘度は、特に限定されないが、フィルム成形加工の安定性や液晶性ポリマーとの混合性の観点から、0.55〜2.0(dl/g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0.60〜1.5(dl/g)である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの樹脂層Cに含有される液晶性樹脂は、主鎖にメソゲン基を有する溶融成形性で、かつ液晶形成性があるポリエステルまたはポリエステルアミドである。
例えば、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる共重合ポリエステルなどである。具体的には、本発明では、“シベラス”(東レ製)、“ベクトラ”(ポリプラスチックス製)、“ゼナイト”(デュポン製)、“スミカスーパー”(住友化学製)、“ザイダー”(ソルベイ製)、“上野LCP”(上野製薬製)、“タイタン”(イーストマン製)など各種市販の液晶性樹脂を適宜選択して使用することができる。
液晶性樹脂は、溶融成形性であればよく、特に限定はされない。その流動開始温度が200〜360℃であることが好ましく、さらに好ましくは220〜320℃であることが熱可塑性樹脂Bと混合させる上で好ましい。
本発明で用いる好ましい液晶性樹脂の例としては、下記(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、(I)、(III)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、(I)、(II)および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステル、または、それらのブレンドポリマーが挙げられる。下記構造単位からなる共重合ポリエステルは、ポリエステル樹脂との相溶性が良好となり、本発明の効果を得ることができるために、特に好ましく例示されるがこれに限定されるものではない。
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸および/または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成したポリエステルの構造単位を、構造単位(II)は、4、4´−ジヒドロキシビフェニル、3、3´、5、5´−テトラメチル−4、4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2、6−ジヒドキシナフタレン、2、7−ジヒドキシナフタレン、2、2´−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4、4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、テレフタル酸、イソフタル酸、4、4´−ジフェニルジカルボン酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4´−ジカルボン酸、1、2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4、4´−ジカルボン酸および4、4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。
また、上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
また、上記構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
また、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
本発明では、共重合量を、ポリマーを形成し得る繰返し構造単位のモル比から計算し、モル%で表す。上記好ましい共重合ポリエステルの場合には、構造単位(I)、構造単位(II)+(IV)、構造単位(III)+(IV)がポリマーを形成し得る繰返し構造単位であり、これらの共重合モル比から共重合量が計算できる。
上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%が好ましく、30〜90%がより好ましく、50〜80モル%が最も好ましい。また、構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する(III)のモル分率は95〜5モル%が好ましく、70〜10モル%がより好ましく、50〜20モル%が最も好ましい。また、構造単位(I)/(II)のモル比は流動性の点から好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III)]のトータルモル数と実質的に等しい。
また、上記構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構造単位(I)は[(I)+(III)]の5〜95モル%が好ましく、50〜80モル%がより好ましい。構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルである。
さらに上記構造単位(I)、(II)および(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、単独ではなく、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルおよび/または構造単位(I)、(III)および(IV)からなる共重合ポリエステルとのブレンドポリマーとして用いることが好ましい。このブレンドポリマーの場合においても、前記同様に、構造単位[(I)+(II)+(III)]に対する[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%が好ましく、30〜90%がより好ましく、50〜80モル%が最も好ましい。
なお、必要に応じて、ポリエステルの末端基のうちのカルボキシル末端基あるいはヒドロキシル末端基のいずれかを多くした場合には構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)+(III)]のトータルモル数と完全に等しくはならないが、このような場合も、上述した説明中の「実質的に」に含まれる。
上記好ましい液晶性共重合ポリエステルを重縮合により製造する際には、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3、3´−ジフェニルジカルボン酸、2、2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4´−ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、4−シクロヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2、6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の範囲でさらに共重合せしめることができる。
上記した液晶性共重合ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記の好ましく用いられる液晶性共重合ポリエステルのうち、上記構造単位(III)を含まない場合は、下記(1)および(2)の製造方法が好ましく、また、構造単位(III)を含む場合は、特に下記(3)の製造方法が好ましい。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4、4´−ジアセトキシビフェニル、4、4´−ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4、4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどの芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、上記(1)または(2)の方法により製造する方法。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4、4´−ジアセトキシビフェニル、4、4´−ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4、4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマ、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなどの芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、上記(1)または(2)の方法により製造する方法。
これらの重縮合反応は、無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましい場合もある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、その最外層以外の少なくとも1層(C層)に液晶性樹脂を含有するが、C層中における液晶性樹脂の含有量は、10〜70重量%の範囲である。好ましくは、30〜50重量%の範囲であり、より好ましくは、30〜40重量%の範囲である。樹脂層C中の液晶性樹脂の含有量が10重量%未満であれば、熱膨張係数を低減できないことがあり、また、樹脂層C中の液晶性樹脂の含有量が70重量%を越えると、延伸時に破れが発生したり、フィルムが破断しやすくなることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのC層に含有される液晶性樹脂以外の樹脂としては、二軸延伸可能な樹脂であればよく、特に限定はされないが、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリ乳酸等の各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも一種を含むブレンド物を挙げることができる。本発明の場合、隣接する液晶性樹脂を含まない層と同じ樹脂であることが層間接着性やデラミの観点から好ましく、樹脂層Cの両外層に同一のポリエステル樹脂層Dからなる3層積層構成(D/C/D)の場合、ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルム中の最外層Dの厚みは、フィルム全体の厚みの10〜40%が好ましい。より好ましくは20〜40%であり、さらに好ましくは30〜40%である。ここでいう最外層Dの厚みとは、例えばD/C/D積層フィルムの片表面D層の厚みをいう。最外層Dの厚みの比率が10%未満では、例えば、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを基板の保護フィルムとして使用した際、作業工程後の剥離時に表層の樹脂層が破断しやすくなることがあり、40%を越えると、基層部樹脂層の割合が低下するため熱膨張係数を低下しにくくなることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの示差走査熱量計(DSC)における融点直下の微少吸熱ピークTsが170℃以上、220℃以下であることが好ましく、より好ましくは、180℃以上、210℃以下であり、さらに好ましくは、190℃以上、200℃以下である。融点直下の微少吸熱ピークが170℃未満の場合、熱収縮率が大きくなるため、熱寸法安定性が不十分となる場合があり、融点直下の微少吸熱ピークが220℃を超えると、面配向が小さくなり、本発明のフィルムが得られなくなる場合がある。
ここでいう融点直下の微少吸熱ピークとは、フィルムの製膜における熱固定おいて形成される微結晶が融解する温度であり、DSC曲線において、融点の吸熱ピークの前に観察されるものである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの長手方向(MD)および幅方向(TD)の熱膨張係数は、いずれも3〜35ppm/℃であることが好ましい。より好ましくは、5〜25ppm/℃であり、さらに好ましくは10〜20ppm/℃である。熱膨張係数が3ppm/℃未満であったり、35ppm/℃を越えたりすると、回路材料用や回路材料用保護フィルムなどの加工時に熱変形してカールしたりすることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの長手方向(MD)および幅方向(TD)の破断強度は、いずれも100〜400MPaであることが好ましい。より好ましくは150〜350MPaであり、さらに好ましくは200〜300MPaである。フィルム長手方向と幅方向の破断強度が100MPa未満であれば、フィルム加工時や使用時に破損したり、実用上使用に耐えないことがある。また、フィルム長手方向と幅方向の破断強度が400MPaを越えるためには、過度の延伸が必要であり、フィルムの破断伸度が大きく低下するため実用上使用に耐えないことがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのC層中に存在する液晶性樹脂からなる分散相は、その平均分散径が0.1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmであり、さらに好ましくは0.5〜5μmである。この平均分散径を上記範囲にすることにより、低熱膨張性、耐デラミネーション性(耐層間剥離性)に有効な空隙率とすることができる。分散径が0.1μm未満であることは実用上必須ではないが、分散相の平均分散径が0.1μm未満であると、C層中に空隙が形成されず、熱膨張などの寸法安定性が不十分である。平均分散径が20μmより大きいと、フィルムの耐デラミネーション性(耐層間剥離性)が悪化したりする。ここでいう分散相の平均分散径とは、フィルム長手方向の径と幅方向の径と厚み方向の径の平均値を意味する。
液晶性樹脂の分散相の形状は、特に限定されないが、球状もしくは細長い島状、小判状、あるいは繊維状となるのが好ましい。分散相のアスペクト比は、特に限定されないが、1〜20の範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は2〜15であり、さらに好ましい範囲は2〜10である。これら島成分のアスペクト比を上記範囲にすることにより、液晶性樹脂が分散した構造、または、それが連なった連続構造を形成しやすくなり、かつ、低熱膨張性や機械強度、電気特性に優れた二軸配向積層フィルムを得ることができるので好ましい。ここで、アスペクト比は、分散相の平均長径/平均短径の比を意味するものである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、特に限定されないが、液晶性樹脂からなる層(C層)が、網目状構造を含む層であることが好ましい。網目状構造は、フィルム層内の厚み方向または面内に、例えば、フィルム表面に平行な面において長手方向及び/または幅方向に連なった(擬)網目状が観察されるものがである。層中の面を電子顕微鏡レベルの倍率で拡大することによって、網目状構造を確認することができる。この網目状構造とは、フィルム層内で、フィブリル状、ロッド状、または数珠状形態の線状構成要素が網目状または擬網目状に連なった形態をなしている構造である。この網目状構造において、網目を構成する要素が湾曲していてもよいし、また、本発明の効果を特に阻害しない限りにおいて、部分的にその連なりが切れていてもよいし、また、該網目状構造はフィルムの厚み方向に重なっていてもよい。また、空隙の連続構造の間を網目状構造と考えてもよい。ここで、空隙の連続構造とは、フィルム層内の厚み方向または面内に、例えば、フィルム表面に平行な面において長手方向及び/または幅方向に空隙が連なった(擬)網目状が観察されたものである。
網目状構造は、液晶性樹脂と液晶性以外の樹脂、たとえばポリエステル樹脂の混合体であることが好ましく、その場合、ポリエステル樹脂から構成された網目状構造中に液晶性樹脂が分散相として存在する。本発明でいう網目状構造を有する層(C層)は、その層中の面を顕微鏡レベルの倍率で拡大することによって観察される層である。
前記したフィブリル状、ロッド状、または数珠状等の線状構成要素の径、すなわち、顕微鏡写真で観察されるこれらの線状構成要素の短径は、特に限定されないが、1〜100μmの範囲であることが好ましい。網目構造の線状構成要素の短径のより好ましい範囲は、5〜75μmであり、さらに好ましい範囲は10〜50μmである。線状構成要素の径を1μm未満にするには、その制御が実際上非常に実現困難である。一方、線状構成要素の径が100μmを越えると、製膜性が悪化して、フィルム表面のウネリが大きくなって、フィルムの平面性が低下して、各種用途でのフィルムの加工性の観点でも問題になることがある。フィルムC層中に線状構成要素の径のサイズが異なる複数の網目状構造が形成されている場合には平均値をとる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、本発明の効果が阻害されない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤など他の成分が添加されてもよい。また、フィルム表面に易滑性や耐磨耗性、耐スクラッチ性等を付与するために、積層フィルムの最外層に無機粒子、有機粒子などを添加することもできる。そのような添加物としては、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子、ポリエステルやポリフェニレンスルフィドの重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子や、界面活性剤などがあげられる。
本発明の二軸配向ポリエスエルフィルムの厚みは、特に限定されないが、500μm以下が好ましく、薄膜用途や作業性などの観点からは、より好ましくは10〜300μmの範囲であり、さらに好ましくは20〜200μmの範囲である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、これに他のポリマー層、例えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデンまたはアクリル系ポリマーからなる層を直接、あるいは接着剤などの層を介して、さらに積層させて用いてもよい。
また、本発明の二軸配向積層フィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの用途は、特に限定されないが、回路材料、回路材料の加工・製造用などに用いられる。
次いで、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する方法について、ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET、融点255℃)を用いて、液晶性樹脂として液晶性ポリエステル(“上野LCP”8000、上野製薬製、融点220℃)を用いた場合の混合物からなるフィルムC層の両外面に、ポリエチレンテレフタレートからなる層を積層させた二軸配向積層フィルムの製造を例にとって説明するが、本発明は、下記の記載に限定されないことは無論である。
ここで、例示する製法においては、テレフタル酸とエチレングリコールとをエステル化させ、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応することにより、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。
次に、このBHTを重合槽に移送し、真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。ここで、固有粘度が0.5程度のポリエステルを得る。得られたポリエステルをペレット状で減圧下において固相重合する。固相重合する場合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、10〜50時間固相重合させる。また、フィルムを構成するポリエステルに粒子を含有させる方法としては、エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールをテレフタル酸と重合させる方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルをいったん乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。
また、粒子の水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、ポリエステルに練り込む方法も有効である。粒子の含有量、個数を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスタを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
ポリエステルと液晶性樹脂を混合する場合、溶融押出前に、ポリエステルと液晶性樹脂との混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法が好ましく例示される。
本発明では、まず、上記液晶性樹脂とPETとを二軸混練押出機に投入し、液晶性樹脂とPETの重量分率が95/5〜10/90のブレンド原料1を作成するのが好ましい。液晶性樹脂とPETからなる樹脂組成物の混合・混練方法は、特に限定されることはなく、各種混合・混練手段が用いられる。例えば、各々別々に溶融押出機に供給して混合してもよいし、また、予め紛体原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダー、タンブラー等の混合機を利用して乾式予備混合し、その後、溶融混練機にて溶融混練することでもよい。その後、前記ブレンド原料1を、PETおよび必要に応じてこれらの回収原料と共に押出機に投入して、液晶性樹脂の重量分率を下げて、目的とするフィルムC層の組成とし、これをC層用のポリエステル原料とすることが、フィルムの品質、製膜性の観点で好ましい。上記C層用ポリエステル原料を作成する場合、フィルム中への異物混入を可能な限り低減させるために、溶融押出工程で樹脂をフィルトレーションすることも好ましく行うことができる。この押出機内で異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。
また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。積層フィルムを作製するための2台以上の押出機、マニホールドまたは合流ブロックを用いて、溶融状態のポリエステルおよびポリエステル/液晶性ポリマー混合物をそれぞれ積層させたシートをスリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを作る。中でも、口金入口前で積層する合流ブロック方式より、口金内でスリット出口前で積層するマニホールド方式が積層精度が高まるために好ましい。本発明のように、液晶性樹脂を使用する場合には、積層合流部における低せん断場の溶融粘度の急激な上昇が起こることがあり、マニホールド方式が特に好ましい。
上記の好ましい製造法についてのより具体的な条件は以下のとおりである。
まず、液晶性樹脂ペレットとPETペレットとを、一定の割合で混合して、280〜320℃に加熱されたベント式の二軸混練押出機に供給し、溶融混練してブレンドチップを得る。このときの二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いるのが好ましく、さらに、分散不良物を低減させる観点から、二軸3条タイプまたは二軸2条タイプのスクリューを装備したものが好ましく、そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは200〜400回転/分の範囲である。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率が20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)が好ましい範囲である二軸押出機を用いることは、十分に混合するための滞留時間を制御しやすく、液晶性樹脂の分散相の分散径を本発明の好ましい範囲に制御することができるので好ましいが、特に限定されない。
液晶性樹脂ペレットとPETペレットを混合する上で、PETと液晶性樹脂の混合組成物あるいは相溶化剤が添加されると、分散不良物が低減できて相溶性が高まることがあるので、好ましい方法として例示される。
その後、上記ペレタイズ作業により得られた、液晶性樹脂とPETからなるブレンドチップ1および必要に応じてPETおよび製膜後の回収原料を一定の割合で適宜混合して樹脂Cとし、180℃で3時間以上真空乾燥した後、270〜320℃の温度に加熱された押出機1に投入する。一方、押出機2には、PETおよび必要に応じて適宜粒子を混合した原料(樹脂D)を乾燥した上で投入する。その後、押出機1,2を経た溶融ポリマーをフィルター内を通過させた後、マルチマニホールド口金を用いて3層積層(D/C/D)し、このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸フィルムを得る。
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた延伸法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、または、それらを組み合わせた方法を用いることができる。
ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。延伸温度については、ポリエステルや液晶性ポリマーの構造成分や、積層の構成成分により異なるが、例えば、3層でその中央層が液晶性ポリマーを含む層(C層)からなる場合を例にとって以下に説明する。
未延伸ポリエステルフィルムを加熱ロール群で加熱し、長手方向に2〜5倍、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは3〜4倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度はTg〜(Tg+60)℃、より好ましくは(Tg+5)〜(Tg+55)℃、さらに好ましくは(Tg+10)〜(Tg+50)℃の範囲である。その後20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。
MD延伸に続く幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度はTg〜(Tg+80)℃が好ましく、より好ましくは(Tg+10)〜(Tg+70)℃、さらに好ましくは(Tg+20)〜(Tg+60)℃の範囲である。延伸倍率は、2.0〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.0倍、さらに好ましくは3.5〜4.5倍の範囲である。
次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。本発明の場合、熱固定温度は、170℃以上、220℃以下であることが好ましい。より好ましくは、180℃以上、210℃以下であり、さらに好ましくは、190℃以上、200℃以下である。本発明の場合、上記温度範囲の熱固定をフィルム緊張下で、5秒以上、20秒以下、より好ましくは5秒以上、15秒以下であり、さらに好ましくは、5秒以上、10秒以下で行うことが好ましい。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの面配向は、上記緊張熱固定を行うことが好ましい。熱固定温度が170℃未満の場合、熱収縮率が大きくなるため、熱寸法安定性が不十分となる場合があり、熱固定温度が220℃を超えると、面配向が小さくなり、本発明のフィルムが得られなくなる場合がある。緊張熱固定温度の熱処理時間が5秒未満の場合、面配向を十分高めることができず、熱寸法安定性を十分高められない場合があり、20秒を超えると面配向が低下し、剥離工程において引き裂けやすくなることがある。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、上記熱固定処理を行うことで、ポリエステル樹脂で構成される最外層Dの面配向を向上させ、本発明の効果が得られるものである。
さらに、このフィルムを40〜180℃の温度ゾーンで幅方向に弛緩しながら冷却するのが好ましい。弛緩率は、幅方向の熱収縮率を低下させる観点から1〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜8%、さらに好ましくは3〜7%の範囲である。
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸配向ポリエステルフィルムを得る。
本発明の特性値の測定方法ならびに効果の評価方法は、次の通りである。
(1)C層中の空隙率
フィルムサンプルのC層において、フィルム表面と平行に切断し、C層の切断平面とし、透過型電子顕微鏡写真を撮る。この顕微鏡写真による画像の空隙部分をマーキングして、その空隙部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−VI(ピアス製)を用いて画像処理を行い、空隙面積の総和を算出し、下記式によりC層中の空隙率を求める。
フィルムサンプルのC層において、フィルム表面と平行に切断し、C層の切断平面とし、透過型電子顕微鏡写真を撮る。この顕微鏡写真による画像の空隙部分をマーキングして、その空隙部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−VI(ピアス製)を用いて画像処理を行い、空隙面積の総和を算出し、下記式によりC層中の空隙率を求める。
空隙率(%)=(空隙面積の総和(μm2)/C層の切断面積(μm2))×100
以上の測定において、フィルムサンプルは、適宜、樹脂に包埋して観察することができる。また、フィルムサンプルにもよるが、フィルムC層以外の層が透明である場合には、光学顕微鏡などの簡易装置を用いることも可能である。
以上の測定において、フィルムサンプルは、適宜、樹脂に包埋して観察することができる。また、フィルムサンプルにもよるが、フィルムC層以外の層が透明である場合には、光学顕微鏡などの簡易装置を用いることも可能である。
上記顕微鏡観察は、フィルムサンプルにもよるが、100〜100万倍の倍率範囲で適宜選択して観察すればよい。
(2)融解温度(Tm)、融点直下の微小吸熱ピーク(Ts)
示差走査熱量計(DSC)として、セイコー電子工業株式会社製ロボットDSC(RDC220)を用い、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上に充填する。この試料を常温から20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱していく課程で、融点直下の微少吸熱ピーク(Ts)を測定した。融点ピークに付随するTsが観測しにくいときは、データ解析部にてピーク付近を拡大し、ピークを読み取った。融解温度(Tm)は、常温から300℃まで昇温後、5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で300℃まで昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融解温度(Tm)とした。
示差走査熱量計(DSC)として、セイコー電子工業株式会社製ロボットDSC(RDC220)を用い、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上に充填する。この試料を常温から20℃/分の昇温速度で300℃まで加熱していく課程で、融点直下の微少吸熱ピーク(Ts)を測定した。融点ピークに付随するTsが観測しにくいときは、データ解析部にてピーク付近を拡大し、ピークを読み取った。融解温度(Tm)は、常温から300℃まで昇温後、5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で300℃まで昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融解温度(Tm)とした。
(3)熱膨張係数
熱機械測定装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷した。室温から175℃(設定185℃)まで昇温速度10℃/分で昇温させ、10分間保持した。その後、40℃まで10℃/分で降温させ、20分間保持した。このときの降温部分160℃から60℃までの寸法変化量から、下記式により熱膨張係数を求めた。
温度膨張係数α(1/℃)={(L160−L60)/L0}/△T
L0:23℃におけるフィルム長さ
L160:降温時の160℃におけるフィルム長さ
L60:降温時の60℃におけるフィルム長さ
△T:温度変化量(160−60=100)
熱機械測定装置TMA/SS6100(セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料幅4mm、試料長さ(チャック間距離)20mmのサンプルに対し、荷重3gを負荷した。室温から175℃(設定185℃)まで昇温速度10℃/分で昇温させ、10分間保持した。その後、40℃まで10℃/分で降温させ、20分間保持した。このときの降温部分160℃から60℃までの寸法変化量から、下記式により熱膨張係数を求めた。
温度膨張係数α(1/℃)={(L160−L60)/L0}/△T
L0:23℃におけるフィルム長さ
L160:降温時の160℃におけるフィルム長さ
L60:降温時の60℃におけるフィルム長さ
△T:温度変化量(160−60=100)
(4)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式により計算される値を用いた
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式により計算される値を用いた
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(5)寸法安定性
二軸配向ポリエステルフィルムとJIS C 6472に記載の銅貼ポリイミドフィルムのフィルム側と汎用塩化ビニル系樹脂と可塑剤からなる接着剤により貼り合わせて、温度160℃、圧力30kg/cm2、時間30分の条件で圧着ロールを用いて圧着した。試料寸法を25cm×25cmとし、定盤上に置いた状態で4隅のカール状態を観測し下記のように評価した。なお、反り量は、4隅の反り量(mm)を平均したものを用いた。評価基準は、以下のとおりとした。
合格(表中、「○」で表示):10mm未満の反り量
不合格(表中、「×」で表示):10mm以上の反り量
二軸配向ポリエステルフィルムとJIS C 6472に記載の銅貼ポリイミドフィルムのフィルム側と汎用塩化ビニル系樹脂と可塑剤からなる接着剤により貼り合わせて、温度160℃、圧力30kg/cm2、時間30分の条件で圧着ロールを用いて圧着した。試料寸法を25cm×25cmとし、定盤上に置いた状態で4隅のカール状態を観測し下記のように評価した。なお、反り量は、4隅の反り量(mm)を平均したものを用いた。評価基準は、以下のとおりとした。
合格(表中、「○」で表示):10mm未満の反り量
不合格(表中、「×」で表示):10mm以上の反り量
(6)エレメンドルフ引き裂き強度
JIS K−7128−2に準じて測定した。
JIS K−7128−2に準じて測定した。
(7)破断性試験
二軸配向ポリエステルフィルムとJIS C 6472に記載の銅貼りポリイミドフィルムを汎用塩化ビニル系樹脂と可塑剤からなる接着剤により貼りあわせて、温度160℃、圧力30kg/cm2、時間30分の条件で圧着ロールを用いて圧着した。得られたシートを幅1.5cm×長さ20cmの短冊状に裁断しサンプルとした。このサンプルを両面テープにてステンレス製の補強板に貼りあわせて、インストロンタイプの引っ張り試験機を用い、剥離速度100mm/分で180度方向の剥離試験を行った。n=50で実施した際、フィルムが破断し、銅貼りポリイミドフィルムに残留するものを不良品とし、下記の基準に従って評価を行った。
評価基準
優秀(表中、「◎」で表示):不良品率((不良品数)/50×100)2%未満
良好(表中、「○」で表示):2〜11%
可(表中、「△」で表示):11〜20%
不可(表中、「×」で表示):20%よりも大
二軸配向ポリエステルフィルムとJIS C 6472に記載の銅貼りポリイミドフィルムを汎用塩化ビニル系樹脂と可塑剤からなる接着剤により貼りあわせて、温度160℃、圧力30kg/cm2、時間30分の条件で圧着ロールを用いて圧着した。得られたシートを幅1.5cm×長さ20cmの短冊状に裁断しサンプルとした。このサンプルを両面テープにてステンレス製の補強板に貼りあわせて、インストロンタイプの引っ張り試験機を用い、剥離速度100mm/分で180度方向の剥離試験を行った。n=50で実施した際、フィルムが破断し、銅貼りポリイミドフィルムに残留するものを不良品とし、下記の基準に従って評価を行った。
評価基準
優秀(表中、「◎」で表示):不良品率((不良品数)/50×100)2%未満
良好(表中、「○」で表示):2〜11%
可(表中、「△」で表示):11〜20%
不可(表中、「×」で表示):20%よりも大
実施例1
テレフタル酸ジメチル194重量部とエチレングリコール124重量部に、酢酸マグネシウム4水塩0.1重量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチル0.05重量部のエチレングリコール溶液、および三酸化アンチモン0.05重量部を加えて5分間撹拌した後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。3時間重合反応させ所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングして固有粘度0.62、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET1)のペレットを得た。
テレフタル酸ジメチル194重量部とエチレングリコール124重量部に、酢酸マグネシウム4水塩0.1重量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチル0.05重量部のエチレングリコール溶液、および三酸化アンチモン0.05重量部を加えて5分間撹拌した後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。3時間重合反応させ所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングして固有粘度0.62、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(PET1)のペレットを得た。
次いで、得られたPET1チップ65重量部と上野製薬(株)製の液晶性樹脂(“上野LCP”8000、融点220℃)(LCP1)35重量部を180℃で3時間真空乾燥した後、290℃に加熱された同方向ベント式二軸混練押出機(スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=30)に投入し、滞留時間2分、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、冷水で冷却した後、直ちにカッティングしてブレンドチップ(PET1/LCP1)を得た。
次いで、上記の無粒子のPET1チップに、平均径2.5μmの凝集シリカ粒子の含有割合が0.1重量%になるように、粒子マスターを配合して樹脂Dとし、180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機Iに供給した。また、一方、上記のPET1/LCP1(65/35重量%)のブレンドチップを樹脂Cとし、180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機IIに供給した。次いで、これらの2台の押出機で溶融したポリマーをそれぞれフィルターで濾過した後、3層用のマルチマニホールド(口金積層)を使用して、D/C/Dの3層積層とした。マルチマニホールドを通過させるポリマー流量は、二軸延伸・熱処理後の最終フィルムの積層比がD/C/D=35/30/35となるように、各層の厚さをそれぞれのラインに設置されたギヤポンプの回転数を調節し、押出量を制御することによって合わせた。このように溶融ポリマーを3層積層状態にして溶融押出した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、ドラフト比(口金スリット間隙/未延伸フィルム厚さの比)8で引き取って未延伸積層フィルムを作製した。
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度100℃で3.5倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度105℃で3.7倍延伸した。続いて、定長下で温度190℃で10秒間熱処理した後、幅方向に4%の弛緩処理を施し、厚さ50μmの二軸配向フィルムとした。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性に優れ、剥離による耐破断性に優れたものであった。
実施例2
実施例1において、熱固定温度を210℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
実施例1において、熱固定温度を210℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性に優れ、剥離による耐破断性に優れたものであった。
実施例3
実施例1において、熱固定温度を220℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
実施例1において、熱固定温度を220℃とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性に優れ、剥離による耐破断性に優れたものであった。
実施例4
実施例1において、緊張熱固定時間15秒とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
実施例1において、緊張熱固定時間15秒とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性に優れ、剥離による耐破断性に優れたものであった。
実施例5
実施例1において、緊張熱固定時間を20秒とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
実施例1において、緊張熱固定時間を20秒とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性に優れ、剥離による耐破断性に優れたものであった。
実施例6
実施例1で用いた液晶性樹脂(LCP1)の添加量を45wt%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
実施例1で用いた液晶性樹脂(LCP1)の添加量を45wt%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性に優れ、剥離による耐破断性に優れたものであった。
実施例7
実施例1で用いた液晶性樹脂(LCP1)の添加量を20wt%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
実施例1で用いた液晶性樹脂(LCP1)の添加量を20wt%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性に優れ、剥離による耐破断性に優れたものであった。
比較例1
実施例1において、熱固定温度を240℃、緊張熱固定時間を10秒とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
実施例1において、熱固定温度を240℃、緊張熱固定時間を10秒とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性、剥離による耐破断性が不十分であった。
比較例2
実施例1で用いた液晶性樹脂(LCP1)の添加量を75wt%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
実施例1で用いた液晶性樹脂(LCP1)の添加量を75wt%とする以外は、実施例1と同様にして二軸配向積層フィルムを作製した。
得られた二軸配向積層フィルムの構成や特性についての測定、評価結果は、表1および表2に示したとおりであり、このフィルムは熱寸法安定性、剥離による耐破断性が不十分であった。
Claims (4)
- 少なくとも3層からなる二軸配向ポリエステルフィルムであって、最外層を構成するポリエステル樹脂の赤外吸収875cm-1バンドのC−H面外振動より得られるフィルム厚み方向の赤外吸収強度(Az)、フィルム全方向の平均赤外吸収強度(A0=(Ax+Ay+Az)/3)が下記式を満足し、フィルム長手方向または幅方向の少なくとも一方のエレメンドルフ引き裂き強度が4N/mm以上、7N/mm以下であり、最外層以外の少なくとも1層が液晶性樹脂を10〜70重量%含有することを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
2.0≦Az/A0(875)≦2.5 - 液晶性樹脂を含有する層が空隙を有し、その空隙率が5〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- DSCにおける融点直下の微小吸熱ピークTsが、下記式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
170≦Ts≦220 - フィルムの長手方向および幅方向の熱膨張係数が、3ppm/℃以上、35ppm/℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004161068A JP2005335347A (ja) | 2004-05-31 | 2004-05-31 | 二軸配向ポリエステルフィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004161068A JP2005335347A (ja) | 2004-05-31 | 2004-05-31 | 二軸配向ポリエステルフィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005335347A true JP2005335347A (ja) | 2005-12-08 |
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JP (1) | JP2005335347A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009158952A (ja) * | 2007-12-04 | 2009-07-16 | Toray Ind Inc | 太陽電池バックシート用フィルム、それを用いた太陽電池バックシート、および太陽電池 |
-
2004
- 2004-05-31 JP JP2004161068A patent/JP2005335347A/ja active Pending
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