この発明に係る弾性ローラの一実施例としての弾性ローラ1Aは、図1に示されるように、軸体2と、その外周面に形成された発泡弾性層3とを備え、例えば、図5に示される定着手段35としての画像形成装置用定着装置又は画像形成装置30等に配設される。
前記軸体2は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体とされる。また、軸体2は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。
前記発泡弾性層(以下、弾性層と称することがある。)3は、後述するゴム組成物によって、軸体2の外周面に形成されている。この弾性層3は、その内部及び/又は外表面に気泡(図1において、図示しない。)を有する。弾性層3が発泡弾性層であると、弾性層3の硬度が低下して、弾性ローラ1の機能を向上させることができる。ここで、弾性層3が有する気泡は、弾性層3を形成する後述のゴム組成物に含有される発泡剤の発泡又は分解等によって生じる弾性層3内又は表面の中空領域をいう。
図1に示されるように、弾性層3は、単層構造とされ、弾性層3における外周面側に連続気泡を有する外側領域3Aと、弾性層3における内周面側に独立気泡を有する内側領域3Bとを有している。すなわち、弾性層3は、単層構造内に画成された外側領域3Aと内側領域3Bとを有している。なお、図1において、理解しやすいように、気泡を図示せず、外側領域3Aと内側領域3Bとの境界を破線で示してある。
この外側領域3Aは、近傍に存在する他の気泡に接し又は連通している気泡(連続気泡と称する。)を有している。外側領域3Aがこのような連続気泡を有していると、外側領域3Aの硬度が低下して、弾性層3が要求される所望の機能を発揮することができる。外側領域3Aは、連続気泡を有していればよく、連続気泡に加えて、近傍に存在する他の気泡に接することのない又は連通することのない気泡(独立気泡と称する。)を有していてもよい。外側領域3Aが連続気泡と独立気泡とを有している場合には、連続気泡と独立気泡との存在比は、後述する連泡率の範囲を満足する限り、特に限定されない。
外側領域3Aは、15〜30%の連泡率を有する。外側領域3Aの連泡率が15%未満である場合には、この外側領域を有する弾性層を備えた弾性ローラが装着された画像形成装置を初めて稼動したときに、この外側領域における硬度等の物性等が大きく変化することがある。一方、外側領域3Aの連泡率が30%を超える場合には、この外側領域の硬度が低下しすぎて、弾性層が要求される所望の機能を発揮することができないことがある。その結果、外側領域3Aの連泡率が15%未満及び30%を超える場合には、画像形成装置の稼動初期において高品質の画像を形成することができないことがある。弾性層3が要求される所望の機能を長期間にわたって発揮することができると共に、弾性ローラ1Aが装着された画像形成装置を初めて稼動したときにも、外側領域3Aにおける硬度等の物性等が変化することを効果的に防止して、所望の硬度を長期間にわたって維持することができる点で、外側領域3Aの連泡率は、15〜25%であるのが好ましく、17〜25%であるのが特に好ましい。ここで、連泡率は、弾性層3に存在する連続気泡の割合を示す指標である。
外側領域3Aの連泡率は次のようにして算出することができる。まず、弾性層3から外側領域3Aの全部又は一部を切り出して、試験片を準備する。この試験片の質量W(g)及び密度D(g/cm3)を常法に従って測定し、試験片の体積V(cm3)をW/Dにより算出する。次いで、減圧チャンバ内に配置された容器に満たされた水に試験片を浸漬して、試験片から気泡が出現しなくなるまで、減圧チャンバ内を減圧し、試験片から気泡が出現しなくなったら、減圧を解除して、常圧で24時間静置する。次いで、試験片を水中から取り出し、試験片に付着した水を拭き取って、浸漬後の試験片の質量Wi(g)を測定し、試験片が吸収した水の質量Ww(g)をWi−Wにより算出する。なお、試験片が吸収した水の体積Vw(cm3)は、水の密度を1(g/cm3)とすると、Wwと等しくなる。
一方、弾性層3(外側領域3A)を形成するゴム組成物の密度Dc(g/cm3)を予め常法に従って測定して、このゴム組成物で形成される弾性層3(外側領域3A)の理論上の体積Vc(cm3)をW/Dcにより算出し、さらに、外側領域3Aに形成された連続気泡の全体積Vb(cm3)をV−Vcにより算出する。
外側領域3Aの連泡率(%)は、このようにして算出した、試験片が吸収した水の体積Vwと連続気泡の全体積Vbとから、計算式(Vw/Vb)×100(%)、すなわち、(Ww/Vb)×100(%)によって、算出する。
外側領域3Aに形成される連続気泡及び独立気泡の気泡径等は、連泡率を満足する限り、特に限定されず、画像形成装置又は画像形成装置用定着装置(以下、画像形成装置等と称する。)に装着される各種ローラに応じて、適宜調整される。
外側領域3Aは、20〜60のアスカーC硬度を有しているのが好ましく、25〜45アスカーC硬度を有しているのが特に好ましい。外側領域3Aが前記範囲のアスカーC硬度を有していると、画像形成装置等に装着される弾性ローラとしての機能を十分に発揮することができる。アスカーC硬度は、JIS K6253に準拠して測定することができる。
外側領域3Aは、弾性層3における外周面側に位置すると共に、主として、連続気泡を有する領域であればよく、前記範囲の連泡率を有する領域とされる。具体的には、外側領域3Aは、例えば、弾性層3の外周表面から深さ2mmまでの領域とされる。
弾性層3の内側領域3Bは、独立気泡を有している。内側領域3Bが独立気泡を有していると、内側領域3Bの硬度は低下するが外側領域3Aの硬度ほど低下することはなく、弾性層3が要求される所望の機能を長期間にわたって十分に発揮することができる。内側領域3Bは、独立気泡を有していればよく、独立気泡に加えて、連続気泡を有していてもよい。内側領域3Bが独立気泡と連続気泡とを有している場合には、独立気泡と連続気泡との存在比は、内側領域3Bの連泡率が外側領域3Aの連泡率よりも小さくなる限り、特に限定されない。
内側領域3Bは、5〜13.0%の連泡率を有しているのが好ましい。内側領域3Bが前記範囲の連泡率を有すると、内側領域3Bの硬度が低下して、弾性層3が要求される所望の機能を長期間にわたって発揮することができると共に、弾性ローラ1Aが画像形成装置等に装着されても、特に、加圧及び/加熱される定着ローラとして画像形成装置等に装着されても、内側領域3Bが損傷及び破損することが防止され、弾性ローラ1Aが所望の硬度を長期間にわたって維持することができる。弾性ローラ1Aにおける所望の機能と所望の硬度とをより一層長期間にわたって維持することができる点で、内側領域3Bの連泡率は、5〜12%であるのがより好ましく、7〜12%であるのが特に好ましい。
内側領域3Bの連泡率は、外側領域3Aを除去した弾性層3から内側領域3Bの全部又は一部を切り出して、試験片を準備し、この試験片を用いて、外側領域3Aの連泡率と同様にして、算出することができる。
内側領域3Bに形成される独立気泡及び連続気泡の気泡径等は、画像形成装置等に装着される各種ローラに応じて、適宜調整されるが、前記範囲の連泡率を満足するように調整されるのが好ましい。
内側領域3Bは、20〜60のアスカーC硬度を有しているのが好ましく、25〜45のアスカーC硬度を有しているのが特に好ましい。内側領域3Bが前記範囲のアスカーC硬度を有していると、画像形成装置等に装着される弾性ローラとしての機能を十分に発揮することができる。内側領域3BのアスカーC硬度は、外側領域3Aを除去した弾性層3から内側領域3Bの全部又は一部を切り出して、試験片を準備し、この試験片を用いて、JIS K6253に準拠して測定することができる。
内側領域3Bは、外側領域3Aよりも弾性層3における内周面側、すなわち、軸体2側に位置すると共に、主として、独立気泡を有する領域であればよく、具体的には、前記範囲の連泡率を有する領域とされる。内側領域3Bは、例えば、弾性層3の内周表面から前記外側領域3A近傍までの領域とされる。
外側領域3A及び内側領域3Bを有する弾性層3の(全体)厚さは特に限定されず、画像形成装置等に装着される各種ローラに応じて、所定の厚さに調整される。例えば、弾性層3の(全体)厚さは、通常、3〜20mmの厚さに調整されるのが好ましく、4〜12mmの厚さに調整されるのがさらに好ましい。
弾性層3における軸線方向の長さは特に限定されず、弾性ローラ1Aが装着される画像形成装置で印刷される記録体に応じて、所定の厚さに調整される。弾性層3における軸線方向の長さは、通常、記録体としてA4サイズ(JIS、210mm×297mm)の用紙を縦長に用いる場合には約230mm程度に調整され、また、記録体としてA3サイズ(JIS、297mm×420mm)の用紙を縦長に用いる場合には約310mm程度に調整される。
弾性層3を形成するゴム組成物は、ゴムと、発泡剤と、所望により各種添加剤等とを含有する組成物であればよく、例えば、発泡シリコーンゴム系組成物及び発泡ウレタンゴム系組成物等が好ましく挙げられる。発泡シリコーンゴム系組成物は、耐熱性、耐久性及び耐残留歪み特性等に優れ、画像形成装置の高速運転にも耐えられる好適なゴム組成物である。このような発泡シリコーンゴム系組成物として、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物が特に好ましい。
付加反応型発泡シリコーンゴム組成物は、ビニル基含有シリコーン生ゴムと、シリカ系充填材と、発泡剤と、付加反応架橋剤と、付加反応触媒と、反応制御剤とを含有し、所望により、さらに、有機過酸化物架橋剤と耐熱性向上剤と各種添加剤とを含有してもよい。
前記ビニル基含有シリコーン生ゴムは、例えば、ミラブル型シリコーンゴム、熱架橋シリコーンゴム(HTV:High Temperature Vulcanizing)等が挙げられる。これらのビニル基含有シリコーン生ゴムは、後工程で、発泡剤及び付加反応架橋剤等をロールミル等で容易に混練りすることができるという特性を有し、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記シリカ系充填材は、補強性を有する煙霧質シリカ又は沈降性シリカ等が挙げられ、一般式がRSi(OR’)3で示されるシランカップリング剤で表面処理された、補強効果の高い表面処理シリカ系充填材が好ましい。ここで、前記一般式におけるRは、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基又はメルカプト基等であり、前記一般式におけるR’はメチル基又はエチル基である。前記一般式で示されるシランカップリング剤は、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」及び「KBE402」等として、容易に入手することができる。このようなシランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面を処理することにより、得られる。シリカ系充填材の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、5〜100質量部であるのがよい。シリカ系充填材は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記発泡剤としては、従来、発泡ゴムに用いられる発泡剤であればよく、例えば、無機系発泡剤として、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等が挙げられ、有機系発泡剤として、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物等が挙げられる。通常、ゴムに連続気泡を形成する場合には無機系発泡剤が用いられ、独立気泡を形成する場合には有機系発泡剤が用いられる。この発明においては、前記弾性層3を容易に形成することができる点で、発泡剤は、有機系発泡剤であるのがよく、具体的には、例えば、アゾジカルボン酸アミド、アゾビス−イソブチロニトリル等のアゾ化合物が好適に使用される。特に、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)が好適に使用できる。発泡剤の配合量は、発泡剤の種類によって相違するが、弾性層3のアスカーC硬度が20〜60となるように調整するのがよい。具体的には、例えば、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に0.5〜10質量部であるのがよい。発泡剤の配合量が、0.1質量部未満であると、形成される弾性層3に十分な気泡を形成することができないことがあり、一方、10質量部を超えると、発泡シリコーンゴムとしての形態を維持することができなくなり、弾性層3の機械的強度が低下することがある。発泡剤として、ジメチル−1,1’−アゾ−ビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)を選択する場合には、その配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.5〜5質量部であるのが特によい。発泡剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記付加反応架橋剤は、例えば、一分子中に2個以上のSiH基(SiH結合)を有する付加反応型の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、直鎖状、環又は分枝状のいずれであってもよい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.01〜20質量部であるのがよい。付加反応架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記付加反応触媒は、例えば、周期律表第9属又は第10属の金属単体及びその化合物が挙げられ、より具体的には、シリカ、アルミナ又はシリカゲル等の担体上に吸着された微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸六水塩とオレフィン又はジビニルジメチルポリシロキサンとの錯体、塩化白金酸六水塩のアルコール溶液等の白金系触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられる。これら付加反応触媒の配合量は、触媒量で十分であり、通常、周期律表第9属又は第10属の金属量に換算して、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物全体に対して、1〜1,000ppmであるのがよく、10〜500ppmであるのが特によい。付加反応触媒の配合量が、周期律表第9属又は第10属の金属量に換算して、1ppmより少ないと、ビニル基含有シリコーン生ゴムの架橋反応が十分に進行せず、ビニル基含有シリコーン生ゴムの硬化が不十分となることがあり、一方、1,000ppmを超えると、ビニル基含有シリコーン生ゴムの架橋反応を促進する能力が向上せず、かえって、経済性が低下することがある。付加反応触媒は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記反応制御剤は、公知の反応制御剤を制限されることなく使用することができ、例えば、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。反応制御剤の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.1〜2質量部であるのがよい。反応制御剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記有機過酸化物架橋剤は、単独でビニル基含有シリコーン生ゴムを架橋させることも可能であるが、付加反応架橋剤の補助架橋剤として併用すれば、シリコーンゴムの強度、歪み等の物性がより向上する。有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。有機過酸化物架橋剤の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.3〜10質量部であるのがよい。有機過酸化物架橋剤は一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
耐熱性向上剤は、弾性層3の耐熱性を向上させる化合物であればよく、例えば、カーボンブラック、酸化鉄(ベンガラとも称する。)、酸化セリウム及び水酸化セリウム等が挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
前記カーボンブラックは、通常、その製造方法によって、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等に類別され得るが、硫黄、アミン等の含有量が多いと、付加反応型発泡シリコーンゴム組成物の付加反応を阻害することがあるので、硫黄、アミン等の含有量が少ないカーボンブラック、例えば、アセチレンブラックが好適に使用される。前記酸化鉄は、黒色ベンガラ(Fe3O4)及び赤色ベンガラ(Fe2O3)が好ましく挙げられる。前記酸化セリウム及び前記水酸化セリウムは、単独で使用されてもよいが、前記カーボンブラック及び/又は前記酸化鉄と共に使用されるのが、弾性層3の硬度変化を抑えることができる点で、好ましい。
前記耐熱性向上剤の総配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.1〜35質量部であるのがよく、1〜10質量部であるのが特によい。耐熱性向上剤の総配合量が前記範囲であれば、カーボンブラック、酸化鉄、酸化セリウム及び水酸化セリウムの配合量は、特に限定されない。例えば、カーボンブラックの配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0〜15質量部であるのがよく、0.2〜15質量部であるのがさらによく、2〜10質量部であるのが特によい。ベンガラの配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0〜30質量部であるのがよく、0.2〜30質量部であるのがさらによく、2〜20質量部であるのが特によい。酸化セリウム及び水酸化セリウムの配合量はそれぞれ、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部であるのがよく、0.2〜2質量部であるのが特によい。
前記各種添加剤は、例えば、炭酸カルシウム等の充填材、着色剤、難燃性向上剤、熱伝導性向上剤等の添加剤、離型剤、アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、両末端シラノール基封鎖低分子シロキサン等の分散剤、及び、得られるゴムの硬度を調整することのできる粉砕石英、珪藻土等の非補強性シリカ等が挙げられる。これらの各種添加剤は、所望の配合量で配合される。
前記ビニル基含有シリコーン生ゴム、前記シリカ系充填材及び前記各種添加剤を含有するシリコーンゴム組成物として、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KEシリーズ」及び「KEGシリーズ」等を容易に入手することができる。
ゴム組成物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって、常温又は加熱下で混練して、得られる。
この発明に係る弾性ローラの別の一実施例としての弾性ローラ1Bは、図2に示されるように、軸体2と、その外周面に形成された発泡弾性層3と、発泡弾性層3の外周面上に形成されたチューブ層4とを備え、例えば、図5に示される画像形成装置用定着装置35又は画像形成装置30等に配設される。
弾性ローラ1Bの軸体2は、弾性ローラ1Aの軸体2と基本的に同様である。
弾性ローラ1Bの発泡弾性層3は、弾性ローラ1Aの発泡弾性層3と基本的に同様である。すなわち、弾性ローラ1Bの発泡弾性層3は、単層構造とされ、発泡弾性層3における外周面側に連続気泡を有する外側領域3Aと、弾性層3における内周面側に独立気泡を有する内側領域3Bとを有している。そして、弾性ローラ1Bにおける発泡弾性層3の外側領域3Aは、弾性ローラ1Aにおける発泡弾性層3の外側領域3Aにおける連泡率、アスカーC硬度と、同様の範囲の連泡率、アスカーC硬度に調整され、かつ、弾性ローラ1Bにおける発泡弾性層3の内側領域3Bは、弾性ローラ1Aにおける発泡弾性層3の内側領域3Bにおける連泡率、アスカーC硬度と、同様の範囲の連泡率、アスカーC硬度に調整されている。
チューブ層4は、後述する材料によって、弾性層3の外周面に形成されている。弾性層3の外表面にチューブ層4が形成されていると、現像剤の離型性を向上させることができる。チューブ層4は、例えば、1〜100μmの厚さに形成される。
チューブ層4を形成する材料は、特に制限されるものではないが、弾性ローラ1Bは被当接体に当接又は圧接されるから、永久変形しにくい材料であるのが好ましく、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミドイミド系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
弾性ローラ1A及び1B(以下、弾性ローラ1と称することがある。)の製造方法を以下に説明する。弾性ローラ1を製造するには、まず、軸体2に、必要に応じて予め、その外周面に接着剤又はプライマーを、スプレー法、浸漬法等によって、塗布し、その外周面に接着層又はプライマー層を形成しておくのがよい。
次いで、このようにして作製した軸体2の外周面に、ゴム組成物、好ましくは、有機系発泡剤を含有するゴム組成物を、押出成形による連続加熱成形、プレス、インジェクションによる型成形等によって、加熱成形する。ゴム組成物の加熱成形においては、まず、接着層又はプライマー層が形成された軸体2の外周面に弾性層3を形成するゴム組成物を配置する。軸体2の外周面にゴム組成物を配置する方法としては、例えば、押出機等により軸体2とゴム組成物とを一体に分出して、軸体2の外周面にゴム組成物を配置する方法、また、軸体2を収納する金型にゴム組成物を注入して、軸体2の外周面にゴム組成物を配置する方法等が挙げられる。これらの中でも、押出機等により軸体2とゴム組成物とを一体に分出しする方法が、作業が容易で、作業を連続して行うことができる点で、好ましい。
このようにして軸体2の外周面にゴム組成物を配置した後、この状態を維持しつつ、軸体2ごとゴム組成物を加熱する。ゴム組成物の加熱は、ゴム組成物に含まれるゴム、例えば、ビニル基含有シリコーン生ゴムが架橋し、かつ、発泡剤が分解又は発泡するのに十分な条件で行われればよい。例えば、ゴム組成物は、通常、赤外線加熱炉又は熱風炉等の加熱炉、乾燥機等の加熱機等により、170〜500℃程度、特に200〜400℃に加熱され、数分以上1時間以下、特に5〜30分間、加熱される。
ゴム組成物は、所望により、さらに、二次加熱が行われてもよい。二次加熱は、前記条件で架橋されたゴム組成物をより確実に架橋させる工程であり、二次加熱によって、ゴム組成物が硬化して成るゴム硬化体の物性が安定するという効果が得られる。二次加熱は、例えば、前記の条件で架橋されたゴム組成物を、さらに、押出成形された状態のままで、例えば、180〜250℃、好ましくは190〜230℃で、1〜24時間、好ましくは3〜10時間にわたって、又は、金型を用いて、例えば、130〜200℃、好ましくは150〜180℃で、5分以上24時間以下、好ましくは10分以上10時間以下にわたって、再度加熱されることによって、行われる。
このようにして成形されたゴム硬化体は、所望により、所望の大きさ及び形状等に調整する研削工程、研磨工程及び/又は切削工程等が施される。研削工程、研磨工程及び/又は切削工程は、従来から利用されている研削盤、円筒研削盤、やすり等により、定法に従って行うことができる。また、研削工程、研磨工程及び/又は切削工程後に、研削カス、研磨カス、異物等を除去するため、所望により、ゴム硬化体を洗浄してもよい。洗浄は、例えば、水等を用いた湿式洗浄及び/又はウエス等を用いたふき取り洗浄、送風洗浄等が挙げられる。
このようにして、有機系発泡剤を含有するゴム組成物を硬化して成るゴム硬化体は、通常、その内部に独立気泡を有している。この発明において、内部に独立気泡を有するゴム硬化体に外側領域と内側領域とを形成して弾性層3とする方法として、ゴム硬化体の表面を所定の条件で圧接、すなわち、押圧する方法を好適に採用することができる。この押圧処理は、ゴム硬化体の外周面を均一に押圧することができれば、手作業で実施してもよく、また、装置を用いてもよい。
このような押圧装置としては、例えば、図3に示される押圧処理装置10が挙げられる。図3に示されるように、この押圧処理装置10は、軸体2の外周面にゴム硬化体を備えたローラ原体7を軸体2の中心軸を中心にして固定する固定手段11、例えば、軸体2を両端から挟持して固定する1組の挟持部材と、固定手段11に連結され、固定手段11を介してローラ原体7を軸体2の中心軸を中心にして回転させる回転手段12、例えば、モータと、ローラ原体7のゴム硬化体を押圧する押圧ローラ13と、押圧ローラ13をローラ原体7の軸線方向に相対的に移動させると共に、押圧ローラ13をローラ原体7の中心方向に移動させ、ローラ原体7に対する押圧量dを調整する移動調整手段14と、押圧ローラ13を回転可能に支持し、移動手段13上を移動可能に装着された押圧ローラ支持治具15とを備えている。ここで、押圧ローラ13は、軸体とその外周面に形成されたゴム弾性体とを備えている。この押圧ローラ13における軸体の寸法及び材料等は特に限定されず、例えば、図3に示される押圧ローラ13における軸体は、その外径が34mm程度、軸線方向の長さが375mm程度に調整され、例えば、弾性ローラ1の軸体と同様の材料で形成されている。また、押圧ローラ13におけるゴム弾性体の寸法及び材料等は特に限定されず、例えば、図3に示される押圧ローラ13におけるゴム弾性体は、その外径が58mm程度、軸線方向の長さが49mm程度に調整され、例えば、弾性ローラ1の軸体と同様の材料で形成されている。押圧ローラ13におけるゴム弾性体は、所望の弾性層3を形成するには、特定の硬度を有することが重要であり、この押圧処理装置10における押圧ローラ13において、ゴム弾性体の硬度は、JIS A硬度で、20〜30に調整されているのが好ましく、図3に示される押圧ローラ13のゴム弾性体は20のJIS A硬度に調整されている。JIS A硬度は、JIS K6301に準拠して測定することができる。
この押圧処理装置10を用いてローラ原体7を押圧処理するには、まず、前記のようにして作製したローラ原体7を軸体2の両端から挟持して1組の固定手段11に固定する。次いで、図3に示されるように、移動調整手段14を操作して、押圧ローラ13をローラ原体7の一端部近傍において、押圧ローラ13をローラ原体7の中心方向に移動させ、ローラ原体7に対する押圧量d、すなわち、ゴム硬化体が押圧ローラ13によって押し込まれた量が所定の値d、例えば、3mmになるように、押圧ローラ13の位置を、調整する。
次いで、回転手段12を起動して、固定手段11に固定されたローラ原体7を軸体2の中心軸を中心にして回転させる。このときのローラ原体7の回転数は1200〜1400rpm/minに調整されるのが、所望の弾性層3を形成することができる点で、好ましい。ローラ原体7を回転させると、ローラ原体7を押圧している押圧ローラ13はローラ原体7と共に回転する。この状態を維持しつつ、移動調整手段14を起動して、押圧ローラ13をローラ原体7の一端部から他端部にかけて一方向(図3に示された矢印の方向)に移動させる。このとき、押圧ローラ13の移動速度は500〜600rpm/minに調整されるのが、所望の弾性層3を形成することができる点で、好ましい。このようにして、ゴム硬化体における押圧ローラ13によって押圧された領域、すなわち、外側領域に連続気泡が形成される。この押圧処理装置10を用いた方法では、前記した、押圧ローラ13の移動回数によって、外側領域に形成される連続気泡の連泡率を適宜調整することができる。
この発明においては、所望により、このようにして形成された弾性層3の外周面にチューブ層4を形成してもよい。チューブ層4は、前記材料を弾性層3の外径とほぼ同じ内径を有する円筒状に予め形成した管体に、弾性層3を挿入して、弾性層3の外表面に形成されるのが、弾性層3の表面に存在する凹凸形状に大きく影響されず、平滑な表面を有するチューブ層4を形成することができる点で、好ましい。もちろん、チューブ層4は、前記材料を、例えば、ディップ法、スプレー法等に従って、弾性層3の外周面に塗布した後、硬化及び/又は架橋して、形成されてもよい。
このようにして、連泡率15〜30%の連続気泡を有する外側領域3Aと、独立気泡を有する内側領域3Bとを有する弾性層3を軸体2の外周面に備えた弾性ローラ1を製造することができる。
前記弾性ローラ1A及び1Bにおける弾性層3は、前記したように、外周面側に連続気泡を有し、連泡率が15〜30%である外側領域3Aと、内周面側に独立気泡を有する内側領域3Bとを有している。その結果、弾性ローラ1が画像形成装置等に装着されると、弾性層3は、弾性層全体に要求される所望の機能を長期間にわたって発揮することができる。加えて、弾性ローラ1が装着された画像形成装置を初めて稼動したときにも、外側領域3Aの物性、具体的には、硬度が大きく変化することを防止して、所望の硬度を維持することができる。その結果、画像形成装置の稼動初期においても、高品質の画像を形成することに貢献することができる。
具体的には、この発明に係る弾性ローラ1は、下記の耐久性試験において、耐久性試験前後における弾性層3の硬度変化率(以下、硬度変化率と称することがある。)を小さく抑えることができる。例えば、この発明に係る弾性ローラ1は、5%以内の硬度変化率を実現することができ、所望により、3%以内の硬度変化率を実現することができる。
また、この発明に係る弾性ローラ1は、下記の耐久性試験において、耐久性試験前後における弾性層3の外径変化率(以下、外径変化率と称することがある。)を小さく抑えることができる。例えば、この発明に係る弾性ローラ1は、3%以内の外径変化率を実現することができ、所望により、1%以内の外径変化率を実現することができる。
耐久性試験は、図4に示される耐久性試験装置70を用いて実施する。耐久性試験を実施する前に、前記方法により弾性層3のアスカーC硬度、及び、弾性層3の外径を測定する。弾性層3の外径は、レーザー測長機で測定することができる。次いで、この耐久性試験装置70は、筐体内部の下面に固定され、内部ヒータ72を備えた加熱ローラ71と、この加熱ローラ71の軸方向に沿って、その両側に設けられた外部ヒータ73と、加熱ローラ71と対向するように、筐体内部の上面に上下動可能に設けられた試験ローラ装着部74と、試験ローラ装着部74を上下に移動可能な押圧力調整手段75、例えば、押圧調整用マイクロメータとを備えている。なお、加熱ローラ71として、直径20mmの金属(ステンレス鋼、SUS304)製ローラを用いた。
この発明に係る弾性ローラ1を、試験ローラ装着部74のベアリングに装着し、図4に示されるように、押圧力調整手段75を操作して、装着した弾性ローラ1(図4において、「弾性ローラ76」)を加熱ローラ71に圧接し、加熱ローラ71と弾性ローラ1との圧接部において、弾性ローラ1における弾性層が内部に3mm凹陥するように、弾性ローラ1を固定した(すなわち、弾性ローラ1の外径と加熱ローラ71との外径の和よりも3mm短くなるように、弾性ローラ1の中心軸と加熱ローラ71の中心軸との距離dを調節した。)。次いで、外部ヒータ73及び内部ヒータ72を起動し、加熱ローラ71の表面温度を180℃に調節した。その後、試験ローラ装着部74に装備された駆動手段(図示しない。)により、回転速度180rpmで5時間連続稼動し、弾性ローラ1における弾性層の凹陥状態を解除後、弾性ローラ1を常温で24時間放置した。その後、弾性ローラ1を耐久性試験装置70から取り出し、前記方法により、耐久性試験後の弾性層3におけるアスカーC硬度及び外径を測定する。耐久性試験後におけるアスカーC硬度の測定値と耐久性試験前におけるアスカーC硬度の測定値との差を求め、この差を耐久性試験前におけるアスカーC硬度の測定値で除して、耐久性試験前後における弾性層3の硬度変化率を算出する。同様にして、耐久性試験前後における弾性層3の外径変化率を算出する。
このように、弾性ローラ1は硬度変化率が小さく、この弾性ローラ1を画像形成装置等に装着すると、画像形成装置の稼動初期における弾性層3の硬度が大きく変化することを防止することができるから、画像形成装置は、稼動初期から長期間にわたって高品質の画像を安定して形成することができる。したがって、この発明によれば、稼動初期から長期間にわたって高品質の画像を安定して形成することに貢献する弾性ローラを提供することができるという目的を達成することができる。
また、弾性ローラ1は、前記したように、画像形成装置を初めて稼動したときにも、外側領域3Aの物性及び/又は寸法、具体的には、硬度及び/又は外径が大きく変化することが防止されるから、従来の画像形成装置用定着装置及び従来の画像形成装置に加えて、高精細化された画像形成装置及びこの画像形成装置に装着される画像形成装置用定着装置、並びに、高速化された画像形成装置及びこの画像形成装置に装着される画像形成装置用定着装置等に用いられても、高品質の画像が形成されるまでに要する時間が大幅に短縮される。したがって、この発明に係る弾性ローラは、高精細化された画像形成装置及びこの画像形成装置に装着される画像形成装置用定着装置、並びに、高速化された画像形成装置及びこの画像形成装置に装着される画像形成装置用定着装置等にも好適に使用される。また、この発明によれば、高精細化及び/又は高速化された画像形成装置及びこの画像形成装置に装着される画像形成装置用定着装置に装着されても、稼動初期から長期間にわたって高品質の画像を安定して形成することに貢献する弾性ローラを提供することができるという目的を達成することができる。
特に、弾性ローラ1は、前記したように、画像形成装置を初めて稼動したときにも、硬度等が大きく変化しない弾性層3を備えているから、画像形成装置等に装着される各種ローラの中でも、転写ローラ、現像ローラ、帯電ローラ、定着ローラ、加圧ローラ、紙送りローラ、定着ローラ又は加圧ローラ等として画像形成装置に好適に装着され、特に、定着ローラ又は加圧ローラとして画像形成装置に好適に装着される。
この発明における弾性ローラは、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、弾性層3は、外側領域3Aと内側領域3Bとを有しているが、この発明において、弾性層は、外側領域及び内側領域以外の領域を有していてもよく、例えば、連続気泡を主として有する外側領域と、連続気泡及び独立気泡を有する中間領域と、独立気泡を主として有する内側領域とを有していてもよい。
また、弾性層3は、外側領域3Aと内側領域3Bとを有する単層構造とされているが、この発明においては、外側領域として、連続気泡を主として有する第1の弾性層と、内側領域として、独立気泡を主として有する第2の弾性層とを含む複数層を積層した弾性層としてもよい。このような弾性層を形成するには、例えば、弾性層を形成するゴム組成物に含有される発泡剤の種類を選択すればよい。具体的には、連続気泡を主として有する第1の弾性層は無機系発泡剤を含有するゴム組成物で形成することができ、独立気泡を主として有する第2の弾性層は有機系発泡剤を含有するゴム組成物で形成することができる。
さらに、弾性ローラ1は、用途に応じて、軸体2内、弾性層3内及び/又は軸体2と弾性層3との間に、加熱体、例えば、電熱器、発熱コイル等を備えていてもよい。例えば、弾性ローラ1が熱ローラ定着器の定着ローラとして使用される場合には、軸体2内に加熱体を備えている。
また、弾性ローラ1は、軸体2の外周面に弾性層3が形成されているが、この発明において、弾性層は、プライマー層又は接着剤層を介して、軸体の外周面に形成されてもよい。プライマー層を形成するプライマーとしては、特に限定されず、例えば、シランカップリング系プライマー等が挙げられる。また、接着剤層を形成する接着剤としては、特に制限されないが、例えば、アルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、アミノ基及び/又は水酸基を有する接着剤が好適である。また、これらの樹脂を硬化させるための架橋剤として、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、過酸化物、フェノール化合物、ハイドロジェンシロキサン化合物等が用いられる。
次に、この発明に係る弾性ローラ1を備えた定着装置(以下、この発明に係る定着装置と称することがある。)及び画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例を、図5を参照して、説明する。
図5に示されるように、この発明に係る画像形成装置30は、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体と、像担持体31に当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31を帯電させる帯電手段32例えば帯電ローラと、像担持体31の上方に設けられ、像担持体31に静電潜像を形成する露光手段33と、像担持体31に当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31に一定の層厚で現像剤42を供給し、静電潜像を現像する現像手段40と、像担持体31の下方に圧接するように設けられ、現像された静電潜像を像担持体31から記録体36例えば記録紙上に転写する転写手段34例えば転写ローラと、記録体36の搬送方向の下流に設けられ、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させる定着手段35例えば画像形成装置用定着装置と、記録体36に転写されず像担持体31に残留した現像剤42及び/又は像担持体31に付着したゴミ等を除去するクリーニング手段37とを備えている。画像形成装置30は、像担持体31の表面に残留している静電潜像を除去する除電手段(図示しない。)を、クリーニング手段37と帯電手段32との間又は転写手段34とクリーニング手段37との間に、備えていてもよい。
画像形成装置30における現像手段40は、従来の画像形成装置に備えられた現像手段と基本的に同様に形成され、同様に配置されている。例えば、現像手段40は、図5に示されるように、像担持体31に対向する位置に開口部を有し、現像剤42を収納する現像剤収納部41と、現像剤収納部41の開口部に、像担持体31に当接若しくは圧接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31に現像剤42を一定の層厚で供給する回転可能な現像剤担持体44と、現像剤担持体44に当接して設けられ、現像剤担持体44に現像剤42を供給する回転可能な現像剤供給手段43と、現像剤担持体44の上方に設けられ、現像剤担持体44に当接して現像剤42の層厚を規制すると共に、摩擦帯電により現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。
前記現像剤収納部41に収納される現像剤42としては、摩擦により帯電可能で、記録体36に定着可能な一成分系の現像剤であれば、乾式現像剤であっても湿式現像剤であってもよく、また、非磁性現像剤であっても磁性現像剤であってもよい。
前記定着手段35は、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができればよく、例えば、発熱可能な定着ローラを備えた熱ローラ定着装置、オーブン定着器等の加熱定着装置、加圧可能な定着ローラを備えた圧力定着装置等を用いることができる。これらの定着装置は無端ベルトを備えた定着装置であってもよい。図5において、無端ベルトを備えた定着手段35はこの発明に係る定着装置とされている。この定着装置35は、図5にその断面が示されるように、記録体36を通過させる開口52を有する筐体50内に、定着ローラ53と、定着ローラ53の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ54と、定着ローラ53及び無端ベルト支持ローラ54に巻き掛けられた無端ベルト55と、定着ローラ53と対向配置された加圧ローラ56とを備え、無端ベルト55を介して定着ローラ53と加圧ローラ56とが、互いに当接又は圧接するように、回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。無端ベルト支持ローラ54は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。無端ベルト55は、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂により、無端状に形成されたベルトであればよく、その厚さ等も適宜定着手段35に適合するように調整することができる。定着ローラ53、無端ベルト支持ローラ54及び加圧ローラ56はそれぞれ、加熱体(図示しない。)が内蔵され、加圧ローラ56はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって、無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接している。無端ベルト55と加圧ローラ56との圧接された間を記録体36が通過することにより、加圧と同時に加熱され、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
この発明に係る画像形成装置30は、帯電手段32の帯電ローラ、現像手段40の現像ローラ、転写手段34の転写ローラ、定着手段35の定着ローラ、加圧ローラ又は無端ベルト支持ローラ、クリーニング手段のクリーニングローラ、紙送り搬送ローラ等の各種ローラを備え、これら各種ローラのうち少なくとも1つのローラとしてこの発明に係る弾性ローラ1が使用される。好ましくは、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ及び加圧ローラのうち少なくとも1つのローラとしてこの発明に係る弾性ローラ1が使用され、特に好ましくは、ている。定着ローラ及び加圧ローラとしてこの発明に係る弾性ローラ1が使用される。
この発明に係る画像形成装置30は、次のように作用する。まず、画像形成装置30において、像担持体31が、図5の矢印に示されるように、時計方向に回転しつつ、クリーニング手段37により、その表面の現像剤42及び/又はゴミ等が除去された後、帯電手段32により、一様に帯電される。次いで、露光手段33により画像が露光され、像担持体31の表面に静電潜像が形成される。
一方、現像手段40において、現像剤42が現像剤供給手段43によって現像剤担持体44に供給され、現像剤担持体44が図5に示される矢印方向に回転することにより、現像剤担持体44の表面に付着した現像剤42が、現像剤担持体44と現像剤担持体44に当接した現像剤規制部材45との間を通過する。このとき、現像剤42は、所望の層厚に規制されると共に、現像剤42を所望のように帯電させることができる。つまり、現像剤42が、現像剤担持体44と現像剤規制部材45との間を通過することによって、現像剤担持体44の表面上における現像剤42の層厚が規制されると共に、現像剤規制部材45と現像剤担持体44及び/又は現像剤42との摩擦帯電等により、現像剤担持体44上の現像剤42が所望のように帯電される。
次いで、このようにして現像手段40から所望の層厚及び帯電量を有する現像剤42が像担持体31に供給され、像担持体31に形成された静電潜像が現像されて、この静電潜像が現像剤像として可視化される。このようにして、現像手段40は、像担持体31に所望の層厚及び帯電量を有する現像剤42を供給し、静電潜像を現像することができる。次いで、像担持体31上に現像された現像剤像は、搬送手段により、像担持体31と転写手段34との間に搬送される記録体36上に、像担持体31及び/又は転写手段34によって転写される。次いで、現像剤像が転写された記録体36は、搬送手段により定着手段35に搬送され、定着手段35により加熱及び/又は加圧されて、転写された現像剤像が永久画像として記録体36に定着される。このようにして、記録体36に画像を形成することができる。
この発明に係る画像形成装置30は、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ、加圧ローラ、無端ベルト支持ローラ、クリーニングローラ、紙送り搬送ローラ等の各種ローラのうち少なくとも1つのローラとしてこの発明に係る弾性ローラ1が使用され、この発明に係る弾性ローラ1は、外周面側に連続気泡を有し、連泡率が15〜30%である外側領域3Aと、内周面側に独立気泡を有する内側領域3Bとを有する弾性層3を備えているから、この弾性ローラ1が装着された画像形成装置30の稼動初期において、弾性層3の物性が大きく変化することを防止することができ、その結果、画像形成装置30が、稼動初期から長期間にわたって高品質の画像を安定して形成することに貢献することができる。例えば、定着ローラ53として、この発明の係る弾性ローラ1が使用される場合には、画像形成装置30の稼動初期における、硬度変化率が小さいから、定着装置35における定着ローラ53及び加圧ローラ56で形成される圧接部(ニップ部)が画像形成装置30(定着装置35)の稼動初期から長期間にわたって所定の状態を保持することができ、記録体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着不良とならないように、記録体36に定着させることができ、その結果、長期間にわたって高品質の画像を形成することに十分に貢献することができる。
画像形成装置30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置30は、現像手段40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色毎の現像手段を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
また、画像形成装置30において、現像剤42は、一成分系の現像剤が有利に用いられるが、トナーと、鉄、ニッケル等のキャリアとを含む二成分系の現像剤も使用することができる。