JP5110094B2 - 固体電解質材料含有シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば固体電池に用いられる固体電解質材料含有シート(固体電解質層形成用シート、正極層形成用シート、負極層形成用シート)の製造方法に関し、より詳しくは、良好な強度を有する固体電解質材料含有シートの製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として優れた電池(例えばリチウム電池)の開発が重要視されている。また、情報関連機器や通信関連機器以外の分野では、例えば自動車産業界において、電気自動車やハイブリッド自動車に用いられるリチウム電池等の開発が進められている。
ここで、従来市販されているリチウム電池には、可燃性の有機溶媒を用いた有機電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対して、液体電解質を固体電解質に変更した固体電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
このような固体電池の分野において、従来から、粉末の硫化物固体電解質材料が知られている。このような硫化物固体電解質材料は、良好なイオン伝導性を有するため、正極層および負極層の間に形成される固体電解質層の材料として用いられたり、正極層および負極層に添加されイオン伝導性を向上させる材料として用いられたりしている。ここで、硫化物固体電解質材料は、粉末の状態では、加工性や成形性が悪いという問題があった。
このような問題に対して、従来から、硫化物固体電解質材料に結着材組成物を添加して、シート状の固体電解質にするという試みがある。例えば特許文献1においては、硫化物固体電解質材料の結着材組成物として、付加反応(熱付加重合)により硬化する二液タイプの結着材組成物を用いた固体電解質シートが開示されている(特許文献1の実施例4参照)。この結着材組成物は、シリコーンモノマーを熱付加重合させることにより、結着性を発揮するものである。また、非特許文献1においては、架橋性の液状シリコーンを熱付加重合により架橋させたシリコーンゴムを、硫化物固体電解質材料の結着材として用いることが開示されている。これらの熱付加重合は、ハイドロシリル化反応を利用した重合であり、一般的にハイドロシリル化触媒(例えばPt触媒)を用いた熱付加重合である。
また、特許文献2においては、ハイドロシリル化触媒が均一に分散し、不飽和二重結合を有する液状ゴムを、ハイドロシリル基を有するシリコーン化合物で選択的に架橋させることが開示されている。さらに、特許文献3においては、ブタジエンゴムを、硫化物固体電解質材料の結着材として用いることが開示されている。
特開2008−021416号公報 特開平09−227604号公報 特開平11−086899号公報 Taro Inada et al., "Fabrications and properties of composite solid-state electrolytes", Solid State Ionics 158 (2003)275-280
上記のように、硫化物固体電解質材料と、シリコーンモノマーを有する結着材組成物とを混合し、ハイドロシリル化反応を利用して、シート状の固体電解質を得ることが知られている。しかしながら、得られたシート状の固体電解質は、シートとして脆弱であるという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、良好な強度を有する固体電解質材料含有シートの製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、従来のハイドロシリル化反応を利用して得られた固体電解質材料含有シートが脆弱な原因は、硫化物固体電解質材料に含まれる硫黄原子が、ハイドロシリル化触媒(例えばPt触媒)を被毒することで、充分に重合反応が進行しない(充分な硬化が生じない)ためであるとの知見を得た。そこで、熱付加重合ではなく、ハイドロシリル化触媒を必要としないラジカル重合を採用したところ、良好な強度を有する固体電解質材料含有シートが得られるとの知見を得た。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明においては、硫化物固体電解質材料と、二重結合を有するモノマーまたはオリゴマー、およびラジカル重合開始剤を有する結着材組成物と、を含有する原料組成物を調製する調製工程と、上記原料組成物を塗布しシート状組成物を形成する塗布工程と、上記シート状組成物に対してラジカル重合処理を行う重合工程と、を有することを特徴とする固体電解質材料含有シートの製造方法を提供する。
本発明によれば、ラジカル重合を利用することにより、良好な強度を有する固体電解質材料含有シートを得ることができる。
上記発明においては、上記二重結合が、Si=O結合またはC=C結合であることが好ましい。イオン伝導性の高い固体電解質材料含有シートを得ることができるからである。
上記発明においては、上記硫化物固体電解質材料が、ガラス系硫化物固体電解質材料または結晶系硫化物固体電解質材料であることが好ましい。さらに、上記ガラス系硫化物固体電解質材料は、Li2S−P2S5材料、Li2S−Sb2S3材料、Li2S−SiS2材料、Li2S−GeS2材料またはLi2S−B2S3材料であることが好ましい。また、上記結晶系硫化物固体電解質材料は、チオリシコン材料であることが好ましい。イオン伝導性の高い固体電解質材料含有シートを得ることができるからである。
上記発明においては、上記ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤または光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。良好な強度を有する固体電解質材料含有シートを得ることができるからである。
上記発明においては、上記固体電解質材料含有シートが、固体電解質層形成用シートであることが好ましい。例えば固体電池に有用な固体電解質層形成用シートを得ることができるからである。
上記発明においては、上記原料組成物がさらに電極活物質を含有し、上記固体電解質材料含有シートが電極層形成用シートであることが好ましい。例えば固体電池に有用な電極層形成用シートを得ることができるからである。
また、本発明においては、上述した固体電解質材料含有シートの製造方法により得られた固体電解質材料含有シートを用いることを特徴とする固体電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述した固体電解質材料含有シートを用いることで、固体電池の製造効率が向上するという利点を有する。
本発明においては、良好な強度を有する固体電解質材料含有シートを得ることができるという効果を奏する。
本発明の固体電解質材料含有シートの製造方法の一例を示す概略断面図である。 本発明により得られる固体電池の発電要素の一例を示す概略断面図である。 剥離強度測定の結果を示すグラフである。 イオン伝導度測定の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 … 原料組成物
1A … シート状組成物
1B … 固体電解質材料含有シート
2 … 基板
11 … 正極層
12 … 負極層
13 … 固体電解質層
20 … 発電要素
以下、本発明の固体電解質材料含有シートの製造方法、および固体電池の製造方法について詳細に説明する。
A.固体電解質材料含有シートの製造方法
まず、本発明の固体電解質材料含有シートの製造方法について説明する。本発明の固体電解質材料含有シートの製造方法は、硫化物固体電解質材料と、二重結合を有するモノマーまたはオリゴマー、およびラジカル重合開始剤を有する結着材組成物と、を含有する原料組成物を調製する調製工程と、上記原料組成物を塗布しシート状組成物を形成する塗布工程と、上記シート状組成物に対してラジカル重合処理を行う重合工程と、を有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の固体電解質材料含有シートの製造方法の一例を示す概略断面図である。図1においては、まず、粉末状の硫化物固体電解質材料(70Li2S−30P2S5)と、二重結合を有するモノマー(シリコーンモノマー)およびラジカル重合開始剤(ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド)を有する結着材組成物と、溶媒(ヘプタン)とを含有する原料組成物1を用意する(図1(a))。次に、基板2を用意し(図1(b))、その基板2上に、ドクターブレード法により原料組成物1を塗布し、乾燥することで、シート状組成物1Aを形成する(図1(c))。最後に、シート状組成物1Aを加熱することで、ラジカル重合を行い、固体電解質材料含有シート1Bを得る(図1(d))。なお、得られた固体電解質材料含有シート1Bは、後述するように、基板2から剥離しても良く、剥離しなくても良い。
このように、本発明によれば、ラジカル重合を利用することにより、良好な強度を有する固体電解質材料含有シートを得ることができる。上述したように、従来のハイドロシリル化触媒(例えばPt触媒)を用いた熱付加重合では、ハイドロシリル化触媒が、硫化物固体電解質材料の硫黄原子によって被毒され、充分に重合反応が進行しないという問題がある。これに対して、本発明によれば、ハイドロシリル化触媒を必要としないラジカル重合を採用することで、充分に重合反応を進行させることができ、良好な強度を有する固体電解質材料含有シートを得ることができる。
また、従来から、硫化物固体電解質材料を含有し、かつ、ポリマー結着材を溶媒に溶解させた組成物を塗布することで、固体電解質材料含有シートを得る方法が知られている。ここで、硫化物固体電解質材料は反応性が高いため、一般的には、極性溶媒は使用できないという実情がある。それに加えて、ポリマー結着材を用いる場合は、ポリマー結着材の溶解性を考慮して溶媒を選択する必要があり、溶媒選択の幅が小さいという問題がある。これに対して、本発明においては、モノマーまたはオリゴマーを含有する結着材組成物を用いるため、ポリマー結着材を用いる場合と比較して、使用可能な溶媒の種類が多く、プロセスの自由度が向上するという利点を有する。
また、本発明により得られる固体電解質材料含有シートは、良好な強度や可撓性を有するシートであるため、以下のような利点を有する。すなわち、粉体の固体電解質材料や脆弱な固体電解質材料含有シートと比較して、ベルトコンベア等の振動に対する形状安定性が高いため、いわゆるRoll to Roll工法による電池の連続作製が可能になるという利点を有する。また、粉体の固体電解質材料を平板プレスする際には、プレスの風圧によって形状が変化してしまうという問題があるが、本発明により得られる固体電解質材料含有シートは、良好な強度を有するため、プレスの風圧の問題が生じないという利点を有する。さらに、粉体の固体電解質材料や脆弱な固体電解質材料含有シートでは、所望の形状に切断する時に、端部の欠けが生じやすいという問題があるが、本発明により得られる固体電解質材料含有シートは、良好な強度を有するため、端部の欠けが生じにくく、高品質な固体電解質材料含有シートを得ることができるという利点を有する。
以下、本発明の固体電解質材料含有シートの製造方法について、工程ごとに説明する。
1.調製工程
まず、本発明における調製工程について説明する。本発明における調製工程は、硫化物固体電解質材料と、二重結合を有するモノマーまたはオリゴマー、およびラジカル重合開始剤を有する結着材組成物と、を含有する原料組成物を調製する工程である。
ここで、本発明により得られる固体電解質材料含有シートは、正極層および負極層の間に形成される固体電解質層を形成するための固体電解質層形成用シートである場合と、正極層または負極層を形成するための電極層形成用シートである場合とに大別することができる。前者の場合と後者の場合とでは、用いられる原料組成物の組成が異なるため、以下、それぞれについて説明する。
(1)固体電解質材料含有シートが固体電解質層形成用シートである場合
この場合、原料組成物は、通常、硫化物固体電解質材料、結着材組成物および溶媒を含有し、後述する電極活物質等は含有しない。
(i)硫化物固体電解質材料
本発明における硫化物固体電解質材料は、硫黄原子を含有し、イオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではない。硫化物固体電解質材料としては、例えば、ガラス系硫化物固体電解質材料および結晶系硫化物固体電解質材料を挙げることができる。ガラス系硫化物固体電解質材料としては、例えば、Li2S−P2S5材料、Li2S−Sb2S3材料、Li2S−SiS2材料、Li2S−GeS2材料およびLi2S−B2S3材料等を挙げることができる。さらに、ガラス系硫化物固体電解質材料は、架橋硫黄を有することが好ましい。イオン伝導性に優れているからである。ガラス系硫化物固体電解質材料の作製方法としては、例えば、ボールミル法等のメカニカルミリング法、および溶融急冷法等を挙げることができる。また、架橋硫黄を有するガラス系硫化物固体電解質材料は、原料の組成を適宜調整することにより得ることができる。
一方、結晶系硫化物固体電解質材料としては、例えば、チオリシコン材料、Li7P3S11等を挙げることができる。さらに、チオリシコン材料としては、例えば、Li−Ge−P−S材料、Li−P−S材料、Li−Si−P−S材料等を挙げることができる。チオリシコン材料の作製方法としては、例えば、固相法等を挙げることができる。
本発明において、硫化物固体電解質材料は、粉末状であることが好ましい。分散性に優れているからである。この場合、硫化物固体電解質材料の平均粒径は、0.01μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、0.1μm〜30μmの範囲内であることがより好ましい。平均粒径が大きすぎると、所望の密度を有する固体電解質材料含有シートを得ることが困難になる可能性があり、平均粒径が小さすぎると、硫化物固体電解質材料の調製が困難になる可能性があるからである。
(ii)結着材組成物
次に、本発明における結着材組成物について説明する。本発明における結着材組成物は、二重結合を有するモノマーまたはオリゴマーと、ラジカル重合開始剤とを有するものである。この結着材組成物は、後述する重合工程でラジカル重合を起こし、硫化物固体電解質材料を結着する結着材となる。本発明における「オリゴマー」とは、少数のモノマーが重合した重合体をいう。さらに、上記オリゴマーは、重合したモノマー数が20以下であることが好ましく、2〜10の範囲内であることがより好ましい。なお、本発明においては、モノマーおよびオリゴマーの両方を用いても良い。
本発明に用いられるモノマーまたはオリゴマーは、硫化物固体電解質材料との反応性が小さいことが好ましい。重合前に、モノマーまたはオリゴマーと、硫化物固体電解質材料とが反応してしまうと、所望の固体電解質材料含有シートを得ることができない可能性があるからである。ここで、モノマーまたはオリゴマーが有する二重結合は、上記と同様に、硫化物固体電解質材料との反応性が小さいことが好ましい。このような二重結合としては、例えば、Si=O結合、C=C結合等が好ましい。硫化物固体電解質材料との反応性がより小さいからである。特に、C=C結合は、Si=O結合よりも相対的に極性が小さいため、硫化物固体電解質材料との反応性が小さいと考えられる。また、Si=O結合を有するモノマーまたはオリゴマーを用いることで、後述する実施例に記載するように、良好なイオン伝導性を有する固体電解質材料含有シートを得ることができる。
ここで、Si=O結合を有するモノマーまたはオリゴマーは、通常、シリコーンモノマーまたはシリコーンオリゴマーである。シリコーンモノマーの具体例としては、一般式O=SiR1R2(R1およびR2は、互いに独立な非極性基である。)で表される化合物を挙げることができる。R1およびR2としては、飽和炭化水素系または不飽和炭化水素系の官能基を挙げることができ、具体的には、メチル基、エチル基およびプロピル基等のアルキル基;ビニル基およびアリル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基を挙げることができる。さらに、本発明に用いられるシリコーンモノマーは、官能基が非極性であることが好ましい。
一方、C=C結合を有するモノマーとしては、具体的には、プロピレンおよびブチレン等の炭化水素化合物、並びに、SまたはPを骨格に含む化合物等を挙げることができ、中でも、炭化水素化合物が好ましい。
次に、本発明におけるラジカル重合開始剤について説明する。本発明におけるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始させるフリーラジカルを発生できるものであれば特に限定されるものではない。ラジカル重合開始剤としては、具体的には、加熱によりフリーラジカルが発生する熱ラジカル重合開始剤、および光照射によりフリーラジカルが発生する光ラジカル重合開始剤を挙げることができる。中でも、本発明においては、ラジカル重合開始剤が熱ラジカル重合開始剤であることが好ましい。後述するシート状組成物(固体電解質材料含有シート)の内部まで確実に重合を行うことができるからである。
熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α−α´−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体;ハロゲン化ケトン、アシルフォスフィンオキシド、アシルフォスフォナート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム、アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド等を挙げることができる。
一方、光ラジカル重合開始剤の具体例としては、ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシフェニルケトン、1−ヒドロキシヘキシルフェニルケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサント−ル、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾ−ル、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−アリルアセトフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロ−4−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサトーン等を挙げることができる。
本発明においては、ラジカル重合開始剤が、過酸化物のラジカル重合開始剤、またはヒドロペルオキシドのラジカル重合開始剤であることが好ましい。また、ラジカル重合開始剤として、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を用いることもできる。なお、結着材組成物におけるモノマーまたはオリゴマーと、ラジカル重合開始剤との割合は、ラジカル重合反応が充分に進行する程度の割合であれば特に限定されるものではない。
(iii)原料組成物の溶媒
原料組成物の溶媒は、硫化物固体電解質材料との反応性が小さい溶媒であることが好ましく、特に非極性溶媒であることが好ましい。また、原料組成物の溶媒は、上述したモノマーまたはオリゴマーに対する溶解性が高いことが好ましい。このような溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等のアルカン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物を挙げることができる。また、溶媒として、フッ素化合物を用いても良い。
(iv)原料組成物の組成
固体電解質材料含有シートが固体電解質層形成用シートである場合、原料組成物は、通常、硫化物固体電解質材料、結着材組成物および溶媒を含有するものであり、実質的には、硫化物固体電解質材料および結着材組成物が、原料組成物の固形分となる。
原料組成物の固形分における結着材組成物の割合は、所望の固体電解質層形成用シートを得ることができる割合であれば特に限定されるものではない。中でも、結着材組成物の割合は、0.5wt%以上であることが好ましく、3wt%以上であることがより好ましく、5wt%以上であることがさらに好ましい。一方、上記結着材組成物の割合は、30wt%以下であることが好ましく、20wt%以下であることがより好ましい。上記範囲内であれば、シートとしての強度とイオン伝導性とのバランスが良好な固体電解質材料含有シートを得ることができるからである。
また、結着材組成物の添加量が増加するほど、固体電解質層形成用シートのイオン伝導性は低下する傾向にある。そのため、本発明においては、固体電解質層形成用シートのイオン伝導度が、例えば0.1mS/cm以上となるように結着材組成物を添加することが好ましい。より実用的な固体電解質層形成用シートを得ることができるからである。なお、原料組成物における溶媒の含有量は、塗布方法に応じて適宜選択することが好ましい。
(2)固体電解質材料含有シートが電極層形成用シートである場合
この場合、原料組成物は、通常、硫化物固体電解質材料、結着材組成物および溶媒に加えて、少なくとも電極活物質を含有する。さらに、必要に応じて、原料組成物は導電化材を含有していても良い。なお、電極層形成用シートとは、具体的には、正極層を形成するための正極層形成用シート、および負極層を形成するための負極層形成用シートを意味する。
なお、この場合の原料組成物に用いられる硫化物固体電解質材料および結着材組成物については、上述した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
(i)電極活物質
本発明における電極活物質は、正極活物質および負極活物質に大別することができる。正極活物質の種類は、特に限定されるものではなく、一般的な正極活物質を用いることができる。正極活物質の具体例としては、LiCoO2、LiMnO2、Li2NiMn3O8、LiVO2、LiCrO2、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等を挙げることができる。同様に、負極活物質の種類も、特に限定されるものではなく、一般的な負極活物質を用いることができる。負極活物質の具体例としては、金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。さらに、金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
(ii)導電化材
本発明における原料組成物は、さらに導電化材を含有していても良い。導電化材の添加により、電極層形成用シートの導電性を向上させることができる。導電化材としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。
(iii)原料組成物の組成
固体電解質材料含有シートが電極層形成用シートである場合、原料組成物は、通常、硫化物固体電解質材料、結着材組成物、電極活物質および溶媒を含有するものであり、さらに必要に応じて導電化剤を含有していても良い。この場合、実質的には溶媒を除く各成分が、原料組成物の固形分となる。
原料組成物の固形分における硫化物固体電解質材料の割合は、所望の電極層形成用シートを得ることができる割合であれば特に限定されるものではない。中でも、硫化物固体電解質材料の割合は、例えば20vol%〜80vol%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、イオン伝導性が良好な電極層形成用シートを得ることができるからである。
また、原料組成物の固形分における電極活物質の割合は、特に限定されるものではないが、例えば20vol%〜80vol%の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、良好な容量を有する電極層形成用シートを得ることができるからである。さらに、原料組成物の固形分における導電化材の割合は、特に限定されるものではないが、10vol%以下であることが好ましい。上記範囲であれば、良好な導電性を有する電極層形成用シートを得ることができるからである。
なお、原料組成物の固形分における結着材組成物の割合は、上述した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
2.塗布工程
次に、本発明における塗布工程について説明する。本発明における塗布工程は、原料組成物を塗布しシート状組成物を形成する工程である(図1(b)、(c)参照)。原料組成物を塗布する方法としては、所望のシート状組成物を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な塗布方法を用いることができる。具体的には、ドクターブレード法等を挙げることができる。
また、原料組成物を塗布する基板は、シート状組成物を形成可能なものであれば特に限定されるものではない。基板の材料としては、例えば、樹脂、金属、ガラス等を挙げることができる。また、特に固体電解質材料含有シートとして電極層形成用シートを作製する場合は、基板が、電極集電体であっても良い。剥離する必要がなく、密着性の良い電極を簡便に得ることができるからである。正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができる。一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができる。
また、本発明においては、基板上に塗布した原料組成物を乾燥することにより、シート状組成物を形成する。乾燥条件は、原料組成物の溶媒を適度に除去できる条件であれば特に限定されるものではない。また、後述する重合工程において、熱ラジカル重合を行う場合は、原料組成物の乾燥と熱ラジカル重合とを連続的に行っても良い。
本発明におけるシート状組成物の厚さは、固体電解質材料含有シートの種類に応じて異なるものである。例えば、固体電解質材料含有シートが固体電解質層形成用シートである場合、シート状組成物の厚さは、通常10μm〜300μmの範囲内であり、中でも30μm〜120μmの範囲内であることが好ましい。また、固体電解質材料含有シートが電極層形成用シートである場合、シート状組成物の厚さは、通常10μm〜300μmの範囲内であり、中でも50μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。
3.重合工程
次に、本発明における重合工程について説明する。本発明における重合工程は、シート状組成物に対してラジカル重合処理を行う工程である(図1(d)参照)。ラジカル重合を開始させる方法としては、ラジカル重合開始剤の種類によって異なるものであるが、例えば、加熱する方法および光照射する方法等を挙げることができる。
加熱温度は、熱によりラジカル重合が開始される温度であれば特に限定されるものではないが、例えば0℃〜300℃の範囲内、中でも60℃〜250℃の範囲内であることがより好ましい。さらに、加熱時間は、所望の重合反応が進行する時間であれば特に限定されるものではないが、例えば1分〜24時間の範囲内、中でも10分〜2時間の範囲内であることが好ましい。
また、光照射に用いられる光としては、例えば紫外線および電子線などを挙げることができる。なお、光照射の各種条件は、光ラジカル重合開始剤の種類に応じて適宜選択することが好ましい。
また、本発明においては、未反応のモノマーまたはオリゴマーが残留しない程度に充分に重合を行うことが好ましい。未反応のモノマーまたはオリゴマーが残留すると、シートとしての強度が低くなる可能性や、電池を製造した際に不要な副反応が生じる可能性があるからである。なお、未反応のモノマー等またはオリゴマーの存在は、例えばTG−DTA(ThermoGravimetry-Differential Thermal Analysis)で、該当する発熱ピークを測定することで、確認することができる。
4.その他
本発明においては、上述した工程の他に、固体電解質材料含有シートをプレスするプレス工程を行っても良い。これにより、固体電解質材料含有シートの密度を増加させることができ、イオン伝導性の向上を図ることができる。また、必要に応じて、固体電解質材料含有シートを洗浄する洗浄工程を行っても良い。また、本発明により得られる固体電解質材料含有シートの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、10μm〜300μmの範囲内、中でも、30μm〜150μmの範囲内であることが好ましい。
本発明により得られる固体電解質材料含有シートの用途としては、例えば、電池用途を挙げることができる。中でも、固体電解質材料含有シートとして固体電解質層形成用シートを作製する場合、その固体電解質層形成用シートは、例えば、固体電池に用いることができる。固体電池の種類としては、例えば、固体リチウム電池、固体ナトリウム電池、固体マグネシウム電池および固体カルシウム電池等を挙げることができ、中でも、固体リチウム電池が好ましい。一方、固体電解質材料含有シートとして電極層形成用シートを作製する場合、その電極層形成用シートは、例えば、固体電池、または電解液を備える電池に用いることができる。固体電池の種類は上記と同様である。電解液を備える電池の種類としては、例えば、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウムイオン電池およびカルシウムイオン電池等を挙げることができ、中でも、リチウムイオン電池が好ましい。
B.固体電池の製造方法
次に、本発明の固体電池の製造方法について説明する。本発明の固体電池の製造方法は、上述した固体電解質材料含有シートの製造方法により得られた固体電解質材料含有シートを用いることを特徴とするものである。
本発明によれば、上述した固体電解質材料含有シートを用いることで、固体電池の製造効率が向上するという利点を有する。また、高品質な固体電池を得ることができる。
図2は、本発明により得られる固体電池の発電要素の一例を示す概略断面図である。図2に示される発電要素20は、正極活物質を含有する正極層11と、負極活物質を含有する負極層12と、正極層11および負極層12の間に形成された固体電解質層13とを有するものである。なお、図示しないが、本発明により得られる固体電池は、上記の発電要素に加えて、通常、正極の集電を行う正極集電体、負極の集電を行う負極集電体および電池ケースを有するものである。
ここで、本発明の固体電池の製造方法は、上記「A.固体電解質材料含有シートの製造方法」に記載した方法により得られた固体電解質材料含有シートを用いることを特徴とする。また、上述したように、固体電解質材料含有シートは、固体電解質層形成用シート、正極層形成用シートおよび負極層形成用シートに大別することができる。すなわち、本発明においては、固体電解質層、正極層および負極層の少なくとも一つに、上述した固体電解質材料含有シートを用いれば良い。中でも、本発明においては、固体電解質層、正極層および負極層の全てに、上述した固体電解質材料含有シートを用いることが好ましい。イオン伝導性に優れた固体電池を得ることができるからである。
本発明の固体電池の製造方法は、上述した固体電解質材料含有シートを用いる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。本発明の固体電池の製造方法の一例としては、まず、固体電解質層形成用シート、正極層形成用シートおよび負極層形成用シートを、それぞれ所定の形状に切断し、次に、これらの部材を、電池ケースの内部に、固体電解質層が正極層および負極層の間に位置するように配置し、次にその状態でプレスを行い、最後に、電池ケースを密封する方法を挙げることができる。
また、本発明における電池ケースには、一般的な固体電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えばSUS製電池ケース等を挙げることができる。また、上記の発電要素は、絶縁リングの内部に形成したものであっても良い。また、本発明により得られる固体電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。さらに、本発明により得られる固体電池の種類としては、例えば、固体リチウム電池、固体ナトリウム電池、固体マグネシウム電池および固体カルシウム電池等を挙げることができ、中でも、固体リチウム電池が好ましい。また、本発明により得られる固体電池は、一次電池であっても良く、二次電池であっても良いが、中でも、二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。なお、特段の断りがない限り、各作業は、アルゴンガス充填グローブボックス内またはアルゴンガス雰囲気下で実施した。
[実施例1−1]
(硫化物固体電解質材料の作製)
硫化リチウム(Li2S)7.0モル部、五硫化二リン(P2S5)3.0モル部をメノウ乳鉢でプレミキシングした。次に、得られた混合物を、乾式メカニカルミリングで300rpm、20時間の条件において均一に混合した。その後、得られた混合物を、290℃、2時間の条件で熱処理を行い、粉末のガラス系硫化物固体電解質材料(70Li2S−30P2S5)を得た。
(固体電解質材料含有シートの作製)
次に、得られたガラス系硫化物固体電解質材料と、ラジカル重合を利用する結着材組成物(組成は、シリコーンモノマー(O=Si(CH3)2):ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド=50:1(重量比)である。)と、ヘプタンとを用意した。その後、ヘプタン4.1gに、結着材組成物を所定量(得られる固体電解質材料含有シートの全重量に対して0.5wt%となる量)混合溶解させ、さらに、ガラス系硫化物固体電解質材料を添加し、総重量8.6gの原料組成物を得た。次に、原料組成物の分散状態が安定している間に、原料組成物をSUS上にドクターブレードにてキャストした。その後、120℃、1.5時間の条件で乾燥した。続いて、200℃、15分間の条件で加熱を行うことで、ラジカル重合を行った。これにより、厚さ150μmの固体電解質材料含有シートを得た。なお、得られた固体電解質材料含有シートに対して、TG−DTA測定を行った結果、シリコーンモノマーの重合発熱ピークは検出されず、重合が完全に進行していることが確認された。
[実施例1−2〜実施例1−5]
結着材組成物の添加量を、得られる固体電解質材料含有シートの全重量に対して、それぞれ、5wt%、10wt%、20wt%、30wt%となるように変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。なお、得られた固体電解質材料含有シートに対して、TG−DTA測定を行った結果、いずれもシリコーンモノマーの重合発熱ピークは検出されず、重合が完全に進行していることが確認された。
[比較例1−1]
実施例1−1で得られたガラス系硫化物固体電解質材料と、付加重合を利用する二液タイプの結着材組成物(組成は、シリコーンモノマー:硬化剤(Pt触媒)=10:1(重量比)である。CY52、東レ・ダウコーニング社製)と、ヘプタンとを用意した。次に、ヘプタン5.7gに、結着材組成物を所定量(最終固形分比が5wt%となる量)混合溶解させた。その後、得られた溶液200mgと、ガラス系硫化物固体電解質材料200mgとを混合し、原料組成物を得た。次に、原料組成物の分散状態が安定している間に、原料組成物をSUS上にドクターブレードにてキャストした。その後、120℃、1時間の条件で乾燥した。続いて、170℃、10分間の条件で加熱を行うことで、付加重合を行った。これにより、厚さ150μmの固体電解質材料含有シートを得た。
[比較例1−2]
結着材組成物の添加量を、最終固形分比が10wt%となるように変更したこと以外は、比較例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[評価1]
(1)剥離強度測定
実施例1−1〜実施例1−5、比較例1−1、比較例1−2で得られた固体電解質材料含有シートに対して、剥離強度測定を行い、シートとしての強度を評価した。剥離強度測定においては、粘着テープ(超強力両面接着テープ、HJ−9210、日東電工社製)および剥離試験機(プッシュプルタイプ、MODEL−2257、アイコーエンジニアリング社製)を用い、剥離を開始する設定圧力を50Nとした。これにより、固体電解質材料含有シートがSUSから剥離する時の力を測定した。その結果を図3に示す。
図3に示されるように、実施例1−1〜実施例1−5では、いずれも良好な強度を有する固体電解質材料含有シートを得ることができた。また、結着材組成物の添加量が増加するに従って、剥離強度が向上することが確認された。一方、比較例1−1(結着材組成物の添加量が5wt%)および比較例1−2(結着材組成物の添加量が10wt%)では、結着材の添加量に依存性は無く、ともに0[N]であった。このことから、重合がほとんど進行せず、シートとしての強度が低いことが確認された。
(2)イオン伝導度測定
実施例1−1〜実施例1−5で得られた固体電解質材料含有シートに対して、イオン伝導度測定を行った。イオン伝導度測定は、以下の条件で行った。まず、固体電解質材料含有シートを、4ton/cm2の圧力でプレスした。次に、その固体電解質材料含有シートに対して、インピーダンス測定(電圧振幅10mV,測定周波数1MHz〜0.1Hz、25℃)により抵抗を算出した。その抵抗およびプレス後の固体電解質材料含有シートの厚さから、イオン伝導度を算出した。その結果を図4に示す。
図4に示されるように、結着材組成物の添加量が増加するに従って、剥離強度は向上するものの、イオン伝導度が低くなる傾向が確認された。剥離強度およびイオン伝導度のバランスの観点からは、結着材組成物の添加量は、5wt%〜20wt%の範囲内にあることが好ましいことが確認された。中でも、結着材組成物の添加量が5wt%〜10wt%の範囲内にある場合、イオン伝導度が特に優れていることが確認された。
[実施例2]
ヘプタン2.4gに、実施例1−1で用いた結着材組成物0.4gを混合溶解させ、さらに、実施例1−1で用いたガラス系硫化物固体電解質材料1.3gと、LiCoO2(正極活物質)3.0gとを添加し、原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。得られた固体電解質材料含有シートに対して、上述した剥離強度測定を行った結果、図3に示される剥離強度および結着材組成物の添加量の関係から導き出される剥離強度と同程度の剥離強度(約0.3N)を示すことが確認された。
[実施例3]
ヘプタン2.4gに、実施例1−1で用いた結着材組成物0.4gを混合溶解させ、さらに、実施例1−1で用いたガラス系硫化物固体電解質材料2.1gと、グラファイト(負極活物質)2.1gとを添加し、原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。得られた固体電解質材料含有シートに対して、上述した剥離強度測定を行った結果、図3に示される剥離強度および結着材組成物の添加量の関係から導き出される剥離強度と同程度の剥離強度(約0.2N)を示すことが確認された。
[実施例4]
硫化リチウム(Li2S)75モル部、三硫化二アンチモン(Sb2S3)25モル部を用い、実施例1−1と同様の方法により、粉末のガラス系硫化物固体電解質材料(75Li2S−25Sb2S3)を得た。次に、ヘプタン4.1gに、実施例1−1で用いた結着材組成物を所定量(得られる固体電解質材料含有シートの全重量に対して10wt%となる量)混合溶解させ、さらに、上記のガラス系硫化物固体電解質材料を添加し、総重量8.6gの原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[実施例5]
硫化リチウム(Li2S)66.6モル部、二硫化珪素(SiS2)33.3モル部を用い、実施例1−1と同様の方法により、粉末のガラス系硫化物固体電解質材料(66.6Li2S−33.3SiS2)を得た。次に、ヘプタン4.1gに、実施例1−1で用いた結着材組成物を所定量(得られる固体電解質材料含有シートの全重量に対して10wt%となる量)混合溶解させ、さらに、上記のガラス系硫化物固体電解質材料を添加し、総重量8.6gの原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[実施例6]
硫化リチウム(Li2S)66.6モル部、二硫化ゲルマニウム(GeS2)33.3モル部を用い、実施例1−1と同様の方法により、粉末のガラス系硫化物固体電解質材料(66.6Li2S−33.3GeS2)を得た。次に、ヘプタン4.1gに、実施例1−1で用いた結着材組成物を所定量(得られる固体電解質材料含有シートの全重量に対して10wt%となる量)混合溶解させ、さらに、上記のガラス系硫化物固体電解質材料を添加し、総重量8.6gの原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[実施例7]
Ryoji Kanno et al., “Lithium Ionic Condoctor Thio-LISICON”, Journal of Electrochemical Society, 148(7) A742-A746 (2001)、および特開平11−176236号公報に基づいて、粉末の結晶系硫化物固体電解質材料(チオリシコン、Li3.25Ge0.25P0.75S4)を合成した。次に、ヘプタン4.1gに、実施例1−1で用いた結着材組成物を所定量(得られる固体電解質材料含有シートの全重量に対して10wt%となる量)混合溶解させ、さらに、上記の結晶系硫化物固体電解質材料を添加し、総重量8.6gの原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、実施例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[比較例2]
ヘプタン5.7gに、比較例1−1で用いた結着材組成物を所定量(最終固形分比が10wt%となる量)混合溶解させた。その後、得られた溶液50mgと、実施例4で用いたガラス系硫化物固体電解質材料(75Li2S−25Sb2S3)50mgとを混合し、原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、比較例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[比較例3]
ヘプタン5.7gに、比較例1−1で用いた結着材組成物を所定量(最終固形分比が10wt%となる量)混合溶解させた。その後、得られた溶液50mgと、実施例5で用いたガラス系硫化物固体電解質材料(66.6Li2S−33.3SiS2)50mgとを混合し、原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、比較例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[比較例4]
ヘプタン5.7gに、比較例1−1で用いた結着材組成物を所定量(最終固形分比が10wt%となる量)混合溶解させた。その後、得られた溶液50mgと、実施例6で用いたガラス系硫化物固体電解質材料(66.6Li2S−33.3GeS2)50mgとを混合し、原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、比較例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[比較例5]
ヘプタン5.7gに、比較例1−1で用いた結着材組成物を所定量(最終固形分比が10wt%となる量)混合溶解させた。その後、得られた溶液50mgと、実施例7で用いた結晶系硫化物固体電解質材料(Li3.25Ge0.25P0.75S4)50mgとを混合し、原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、比較例1−1と同様にして、固体電解質材料含有シートを得た。
[評価2]
実施例4〜7、比較例2〜5で得られた固体電解質材料含有シートに対して、上述した剥離強度測定を行った。その結果、実施例4〜7では、図3に示される剥離強度および結着材組成物の添加量の関係から導き出される剥離強度と同程度の剥離強度を示すことが確認された。このように、本発明は、幅広い種類の硫化物固体電解質材料に対して、有用であることが確認された。一方、比較例2〜5では、いずれも剥離強度が0[N]であった。このことから、重合がほとんど進行せず、シートとしての強度が低いことが確認された。

Claims (9)

  1. 硫化物固体電解質材料と、二重結合を有するモノマーまたはオリゴマー、およびラジカル重合開始剤を有する結着材組成物と、を含有する原料組成物を調製する調製工程と、
    前記原料組成物を塗布しシート状組成物を形成する塗布工程と、
    前記シート状組成物に対してラジカル重合処理を行う重合工程と、
    を有することを特徴とする固体電解質材料含有シートの製造方法。
  2. 前記二重結合が、Si=O結合またはC=C結合であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の固体電解質材料含有シートの製造方法。
  3. 前記硫化物固体電解質材料が、ガラス系硫化物固体電解質材料または結晶系硫化物固体電解質材料であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の固体電解質材料含有シートの製造方法。
  4. 前記ガラス系硫化物固体電解質材料が、Li2S−P2S5材料、Li2S−Sb2S3材料、Li2S−SiS2材料、Li2S−GeS2材料またはLi2S−B2S3材料であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の固体電解質材料含有シートの製造方法。
  5. 前記結晶系硫化物固体電解質材料が、チオリシコン材料であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の固体電解質材料含有シートの製造方法。
  6. 前記ラジカル重合開始剤が、熱ラジカル重合開始剤または光ラジカル重合開始剤であることを特徴とする請求の範囲第1項から第5項までのいずれかに記載の固体電解質材料含有シートの製造方法。
  7. 前記固体電解質材料含有シートが、固体電解質層形成用シートであることを特徴とする請求の範囲第1項から第6項までのいずれかに記載の固体電解質材料含有シートの製造方法。
  8. 前記原料組成物がさらに電極活物質を含有し、前記固体電解質材料含有シートが電極層形成用シートであることを特徴とする請求の範囲第1項から第6項までのいずれかに記載の固体電解質材料含有シートの製造方法。
  9. 請求の範囲第1項から第8項までのいずれかに記載の固体電解質材料含有シートの製造方法により得られた固体電解質材料含有シートを用いることを特徴とする固体電池の製造方法。
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