JP5108171B2 - テトラフルオロエチレンの重合方法 - Google Patents

テトラフルオロエチレンの重合方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は分散重合により作製される非溶融二次加工テトラフルオロエチレンポリマーの分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
テトラフルオロエチレン(TFE)ポリマーは、良く知られている。TFEポリマーのグループには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(これは元来Plunkettの米国特許第2,230,654号により開示されたものである)と、低濃度の共重合性改質モノマーとのTFEのコポリマーとを含み、得られるポリマーの融点はPTFEの融点より大幅に低下しない(例えば、320℃以上、(改質PTFE))。改質モノマーは、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、または分子に嵩高な側基を導入する他のモノマーであることができる。このような改質剤の濃度は通常1wt%未満であり、より一般的には0.5wt%未満である。種々のTFEの重合方法がPlunkettの発見以降、展開されている。
【0003】
PTFEおよび改質PTFEは、分散重合として知られる方法によって生産することができ、この方法は、凝固分散型樹脂(当該技術において微粉としても知られている)を得るために、凝固および乾燥させるか、または分散液として使用するために濃縮および/または安定化させることのできる、小粒子の水性分散液(原分散液(raw dispersion))を通常生じさせる。フッ素化界面活性剤(分散剤)および水溶性開始剤を用いる、撹拌した水性媒体中におけるTFEの分散重合が、米国特許第2,559,752号(Berry)から良く知られている。この方法は、通常、水性媒体の重量に基づき、炭素数が12を越える飽和炭化水素0.1〜12%の存在下で行われ、Bankoffの米国特許第2,612,484号に開示されているように、重合条件下では液体である。パラフィンワックスは、好ましい飽和炭化水素であり、パラフィンが液体状態で存在するための重合温度における下限を定めるものである。この目的に一般的に用いられるパラフィンワックスは、約50℃〜60℃で溶解するので、分散重合は一般的に約60℃を越える温度で開始する。該炭化水素は、重合プロセスにおいて安定剤として作用し、撹拌系における凝固ポリマーの形成を防止または遅延させる。
【0004】
微粉樹脂は、PTFEと改質PTFEのどちらであっても、高い溶融粘度、例えば、少なくとも1×108Pa・sを有する。このような樹脂は溶融温度で容易に流動せず、それゆえ、非溶融二次加工性であると考えられている。微粉樹脂は一般的に、樹脂を潤滑剤とブレンドし、潤滑樹脂(ペースト)を押出法により造形し、潤滑剤を除去し、そして得られる生形状(green shape)をPTFEの融点より高い温度で融合(焼結)させる、潤滑押出(ペースト押出)法によって有用な製品に変換される。
【0005】
微粉樹脂の1つの重要な用途は、未焼結状態において急速にストレッチ(stretch)させ、水蒸気は透過できるが凝縮水は透過できない製品を形成することができるペースト押出形状を提供することであり、これは、衣服、テント、分離用膜等用の「通気性」ファブリック材料において有用である。微粉樹脂(改質PTFE樹脂を含む)の他の重要な用途には、ペースト押出電線用絶縁体およびストレッチさせていないチューブを含む。
【0006】
実際、ストレッチ用途のための受容性を達成した微粉樹脂は、高分子量のPTFEである。この有用性に適する樹脂は、例えば、無機過硫酸塩開始剤を95℃〜125℃の温度で用いる方法を請求している、Holmesの米国特許第4,016,345号に開示されている。第4,016,345号特許は、100%/秒の速度でのストレッチを示している。Koizumiらは、米国特許第4,159,370号において、分子量5,000,000以上を有するストレッチ性PTFE微粉、およびそのための重合開始後に重合条件を変える過硫酸塩開始剤を用いる方法を開示している。開示された条件の代替的変更の1つは、重合温度を5℃〜30℃低下させることである。第4,159,370号特許の実施例の樹脂は、100%/秒でストレッチしうる。ShimizuおよびKoizumiは、米国特許第4,363,900号において、ストレッチ性微粉を調製する分散重合法を開示しており、この方法では工程のある特定の時点で水性媒体のなかに、例えば、ヒドロキノンなどの重合抑制剤を組み込み、少なくとも130%重合時間を延長することを含む。この特許はKoizumiらのPTFE微粉が良好なストレッチ性を有するが、未だ均一なストレッチを達成するのが幾分か困難であることを記述している。第4,363,900号特許の実施例は、破断(「切断」)なしに、均一から不均一に変動する均一性で100%/秒で延伸比30までのストレッチを示している。
【0007】
Malhotraは、米国特許第4,576,869号および米国特許第4,654,406号において、ストレッチ性PTFE微粉の技術を改善し、そこで開示された樹脂は、17wt%の潤滑剤添加で、10%/秒から100%/秒の範囲内を通して少なくとも1000%のストレッチ、少なくとも75%のストレッチ均一性(すなわち、良好なストレッチ均一性)が達成されている。MalhotraのPTFEの卓越性は、10%/秒という非常に遅い速度における均一なストレッチ性能により示される。第4,576,869号特許樹脂の卓越した成果は、過マンガン酸塩開始剤をバッチの終了付近で加えるのをやめ、それにより反応が遅くなって、反応の最後まで開始剤の添加を続ける反応に比べ、終了時は少なくとも5%長くなることにより達成される。
【0008】
ストレッチ実用性におけるMalhotra樹脂の成功にもかかわらず、重合生産性の改善が望まれるのと同様に、ストレッチ製品(stretched product)の特性(例えば、強度)の改善が望まれる。
【0009】
Shimizuらの米国特許第4,098,975号は、重合するTFEの少なくとも30%をある温度で重合させ、さらなる重合は別の温度で行い、得られたPTFEが、全重合を最初の温度で行う場合よりも、少なくとも0.01より大きいアモルファス指数を有するという、TFEの分散重合法を開示している。第2段階の重合温度として30℃が言及されているが、30℃より低い温度で融解する安定剤の使用を必要とすると言われている。本重合法は第1段階の温度が70℃で第2段階の温度が90℃である場合、実用上の問題がないと言われており、発明の実施例では第1段階において、全て70℃を用いている。
【0010】
Herissonは米国特許第4,481,343号において、安定剤を用いないTFEの分散重合法を開示しており、0℃〜45℃の範囲の温度で重合を開始し、上昇曲線をたどり、開始剤は0℃〜45℃の範囲で遊離基を生じ、45℃を越える温度で破壊される。Herissonは、高分子量を含む有利な点を列挙しているが、一定温度で重合させていないという事実は好ましくないと考えられている(2段目、64〜65行)。実施例5は、パラフィンまたは飽和液体炭化水素タイプの安定剤の損傷効果を示す比較例である。しかし、分散重合法によるPTFE樹脂の持続的製造では、飽和液体炭化水素タイプの安定剤が商業的操作における連続的バッチにわたる凝塊の蓄積を避けるために必要である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレンおよび改質テトラフルオロエチレンを製造するための改良されたテトラフルオロエチレンの分散重合法を提供する。重合を低温、例えば60℃以下の温度で開始し、液体飽和炭化水素の存在下、高い温度で完了させる。好ましくは、重合を液体飽和炭化水素の非存在下、低温で開始する。
【0012】
本発明の方法は、短縮した重合時間において、ペースト押出後のストレッチ操作における使用に適したポリテトラフルオロエチレンを作製するのに特に有用である。このようなポリテトラフルオロエチレン樹脂は、卓越した機械特性を有するストレッチ製品も生産することもできる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様は、水性媒体中で界面活性剤および水溶性開始剤の存在下で、ポリテトラフルオロエチレンまたは改質ポリテトラフルオロエチレンを製造するためにテトラフルオロエチレンを重合する方法であって、前記重合を60℃以下の開始温度で開始し、前記重合を55℃より高い完了温度で完了させ、前記完了温度を前記開始温度より少なくとも5℃高く、前記完了は液体安定剤の存在下で起こることを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の態様は、第1の態様の前記重合法において液体安定剤の非存在下で、前記重合を開始することをさらに含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1の態様の前記重合法において前記安定剤は飽和炭化水素であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の態様は、第3の態様の前記重合法において前記飽和炭化水素は少なくとも50℃の融点を有するパラフィンワックスであることを特徴とする。
【0017】
本発明の第5の態様は、第4の態様の前記重合法において前記開始温度は55℃以下であることを特徴とする。
【0018】
本発明の第6の態様は、第4の態様の前記重合法において前記開始温度は50℃以下であることを特徴とする。
【0019】
本発明の第7の態様は、第4の態様の前記重合法において前記完了温度は少なくとも65℃であることを特徴とする。
【0020】
本発明の第8の態様は、第4の態様の前記重合法において前記完了温度は、前記開始温度より少なくとも10℃高いことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
PTFEおよび改質PTFEを分散重合法によって有利に製造することができることが発見された。その方法では、温度を低い値で開始し、重合が進行するにつれ高い値まで上昇させ、高温での時間の少なくとも一時期に液体安定剤を存在させる。液体安定剤は、低い開始温度においては存在しないのが好ましい。本方法は、驚くべきことに、一定温度で作製されたポリマーの特性と少なくとも同等な特性を有するPTFEを産出し、改良された重合生産性を提供しつつ、ある点で卓越したPTFEを産出することができる。以下の実施例に示されるように、ストレッチサンプルで測定すると、本方法により製造されたPTFEは、高強度と低クリープ率を有する。
【0022】
本発明の方法により作製されたPTFEおよび改質PTFEは、従来より知られた分散重合法により製造されたようなポリマーの一般的特性を有する。このような樹脂は通常、非溶融二次加工性であり(溶融粘度は少なくとも約108Pa・s)、普通、フィブリル化性(ペースト押出可能な)であるが、例外も知られている。分散重合生製品を当該技術で知られるように、任意に濃縮および/または添加した界面活性剤で安定化させた後に、水性分散液として用いるか、または凝固させ、液体媒体から分離および乾燥させることができる。凝固では、強い撹拌により(任意に、電解質を添加する)、または凍結および解凍によるなどのような凝固方法を用いることができる。そのように分離および乾燥されたフィブリル化性樹脂、すなわち、ペースト押出方法に適したものは、「微粉」として当該技術で一般に知られている。
【0023】
PTFEおよび改質PTFEの分散粒子の多くのタイプは、本発明の方法によって製造することができる。重合方法は、組成および分子量に関して本質的に均質な粒子を形成するように実施することができる。あるいは、重合は、少なくとも1つの特性が重合の1つの段階から別の段階に変化する粒子構造を形成するように実施することができる。重合の間に変化する特性の例としては、組成および/または分子量、および米国特許第4,098,975号に開示されているアモルファス指数があげられ、後者は米国特許第3,855,191号に開示されているように組成物の強力な機能でもある。このような粒子は当該技術では一般にコア/シェル粒子(多重シェルを伴う粒子を含む)として知られている。このような変化は、明確に定義することができるので、粒子は複数の不連続層を有すると考えられているか、またはその変化は漸進的であることができる。「コア」および「シェル」は、分散粒子は大きさが約50〜350nm、より一般的には100〜300nmであるので、今日利用できる分析方法によっては認めることはできないが、これらの概念は、それぞれ重合の初期および後期において形成されたポリマーと同等であるとみなしている。本発明の方法は、形成された分散粒子の表面付近が高分子量であるPTFE(即ち、重合の後期部分において形成される)の製造に特に有用である。下記に示す実施例から明白となるように、ここでコアおよびシェルの間に生じる相違は、開始剤の存在に関しては、重合の初期(コア)部の間に開始剤が導入され、重合の後期(シェル)部の間には、開始剤は導入されない。
【0024】
改質PTFEを製造するには、少量の少なくとも1つのコモノマーを用いる。このようなコモノマーの例示としては、例えば、HFP、PPVE、PEVE、CTFE、ペルフルオロブチルエチレン、または嵩高い側基を分子に導入する他のモノマーがある。得られる改質PTFE中のこのような改質剤の濃度は、通常1wt%未満、より一般的には0.5wt%未満である。
【0025】
本発明の方法は、当該技術において知られた水性TFE分散重合に有用な装置および技術を用いて実施することができる。しかしながら、温度プロファイルおよび、好ましくは、計画的な液体飽和炭化水素の存在が、既知の方法とは異なっている。
【0026】
当該技術で知られた典型的分散重合法は、液体媒体を撹拌オートクレーブにプレチャージする工程と、少量の他の成分(パラフィンワックスを含む)をプレチャージする工程と、脱酸素化工程と、予め決定してあるレベルまでTFEと加圧する工程と、撹拌工程と、系を所望の温度、例えば、60℃〜100℃にする工程と、開始剤を導入する工程と、予め決定してある基準に従ってさらにTFEを添加する工程と、温度を調節する工程を含む。開始剤の添加は、同じ速度でも異なる速度でも、バッチを通して、またはバッチの一部でのみ続けることができる。TFEの分散重合法は、一般的には水性媒体中で実施される。水は、使いやすく、広い温度範囲において液体であり、不純物が低レベルまで減少していれば本質的に非テロゲン性(non-telogenic)であり、安価であり、安全である。製法および装置によって固定されてない操作パラメーターは、重合を通して温度がおよそ一定に維持されるように選択される。
【0027】
本発明の方法は、TFE重合を低温で開始し、重合開始後に温度を高温にあげ、そして実質的に重合を高温で完了させる。重合「開始温度」は、開始剤が最初に導入された時間における測定温度とみなされる。本明細書で用いられるように、重合「開始段階」は、プロセス条件により特徴づけられる時間間隔を意味し、その間に重合の開始が起こる。同様に本明細書において、重合「開始時間」は、開始剤が最初に導入される時間であり、その後いくらかたって、重合反応の開始の識別可能なシグナルが認められる。例えば、TFE消費を示す圧力低下が最初の開始剤添加期間の終了前に起こりうる。それにもかかわらず、最初の開始剤添加の開始を、本明細書において開始時間として用い、報告されたバッチ時間およびある温度までの時間は、その点から測定される。開始温度は、60℃以下であり、好ましくは55℃以下であり、最も好ましくは50℃以下である。水性媒体を用いるので、重合開始温度は、溶解した成分の効果および凝固点における操作圧力を考慮して、水が液体状態である程度に高温でなければならない。さらに重合開始温度は、選択した開始剤が開始ラジカルを生成するのに有効である程度に高温であるべきである。開始温度は少なくとも約20℃、好ましくは少なくとも約33℃であるのが望ましい。重合が33℃、すなわちTFEの臨界温度を下回る温度で開始される場合、液化TFEが存在せず、またそれに関連する安全面での潜在的問題を避けられる程度に十分に圧力を低くすべきであるのが望ましい。
【0028】
重合開始後、温度は少なくとも5℃、好ましくは少なくとも10℃上昇させ、おおよそ60℃〜100℃、好ましくは65℃〜85℃の範囲内の温度にまで上昇させ、該高温で実質的に完了し、本明細書においては時に「完了温度」と呼ぶ。当業者は、低温(55℃または開始温度より5℃高い温度まで)段階および高温(55℃または開始温度より5℃高い温度を越える)段階内で2以上の温度の可能性、および各段階内で種々の連続的に変化する温度プロファイルがあることを認識するであろう。通常は、温度は低温段階の間に一般的に上昇し、重合の高温段階において完了温度に達した後は、名目上一定に保持される。重合を開始するのに十分な時間以外には最小限の長さが存在しないという点で、重合の低温段階の(時間における)長さに関して、かなりの許容範囲が存在する。従って、低温段階の終了まで温度が上昇するのに、ある有限の時間は必要ではあるが、重合が開始するやいなや低温段階を終了することもできる。温度を上昇させるのを補助するために加熱することもできる。しかしながら、TFEの重合は発熱プロセスである。本発明のプロセスを実施する1つの様式として、反応熱をある予め決定してある点まで温度を上昇させるのに利用するか、または高温段階に望まれる値まで温度を上昇させるために加熱開始の前にある予め決定してある時間の間、温度を上昇させるのに利用するのが簡便である。反応熱により引き起こされる温度変化速度を制御するのに冷却を用いることもある。
【0029】
通常、低温段階の長さは、分で測定される時間間隔である(例えば、5分または10分または30分)。一般的に、低温段階は重合全体の長さに比べて、比較的短いのが望ましく、重合の大部分、例えば、少なくとも35%が高い(完了)温度で実施される。通常は例えば、低温段階の長さは、重合全体の長さの45%以下、好ましくは35%以下、最も好ましくは25%以下である。低温段階の長さは、重合開始時間から温度が55℃に達した時間、または低温段階の温度が50℃を越える場合には温度を少なくとも5℃上昇させた時間まで測定される。バッチの間形成されたPTFEの少なくとも約40%(好ましくは50%、および最も好ましくは少なくとも60%)が、少なくとも55℃(低温段階の温度が50℃を越える場合には、低温段階の温度の少なくとも5℃上)の温度で形成されるのが望ましい。さらにより好ましくは、これらの形成された全PTFEの分画は、約65℃以上で形成される。後述するように、バッチの完了は液体安定剤の存在下で実施される。
【0030】
低温段階から高温段階への移行は、いかなる便法によっても良い。例えば、温度は直線的に、もしくは段階的に、または所望のいずれのプログラムに従っても上昇させることができる。水性媒体の熱容量および重合系の加熱および伝熱能力のために、温度を変えるためにある有限時間を要する。この時間は、勿論、選択した低温および選択した高温の間の相違に依存する。一般に、温度変化は迅速に、例えば、バッチの全体の長さに関して、短い時間、好ましくは全重合時間の20%以下になされるのが望ましい。温度変化は、可能な限り迅速に加熱することにより、例えば、反応熱とともに反応ジャケットに熱を加えることにより達成される。低温段階および高温段階の間の温度を変化させるには、制御された(プログラムされた)迅速な温度変化プロファイルを用いることもできる。通常は、重合は開始温度よりも温度が上昇し、および低温段階から高温段階に温度が上昇すると重合が続く。
【0031】
本発明の方法は、液体安定剤の存在下におけるTFE重合の完了により特徴づけられる。好ましい安定剤には、12を越える炭素数を有する飽和炭化水素を含む。パラフィンワックスは、好ましい飽和炭化水素であり、好ましいパラフィンワックスは、通常約50℃〜60℃、より好ましくは52℃〜58℃の融点を有する。本発明の別の実施態様において、上述のように、TFE重合を低温、例えば、60℃以下で開始し、液体安定剤の存在下高温で完了する。本実施態様において、液体安定剤は重合の低温段階の間に存在しても、しなくても良い。低温段階の間に存在する場合、勿論、安定剤はその段階のプロセス温度よりも低い融点を有しなければならない。例えば、エイコサンを約38℃(エイコサンの融点)までの低い温度で用いることができる。しかしながら、水に十分に不溶性であり、一般にTFE重合を損なうことのないよう、適切な純度を有し、適当なコストで入手できる、候補となる安定剤は、50℃より高いような、比較的高い融点を有する。このように、重合の低温段階は液体安定剤の非存在下で実施するのが好ましい。
【0032】
本発明の方法においてTFE重合が完了する間の液体安定剤の存在は、種々の方法で達成される。重合の低温段階間に液体安定剤存在する本発明の実施態様において、もちろん、安定剤は液体として、または低温段階の温度より低い温度で融解する固体として、開始時に導入することもできる。TFE重合の開始時に液体安定剤が存在しないこれらの本発明の実施態様では、重合の完了する間に液体安定剤を存在させる数種の代替法がある。該代替法は、例えば、重合プロセスの間に液体として重合容器に安定剤を液体として添加する方法を含む。例えば、パラフィンワックス(液体)をプロセスの所望の時点で反応器に注入することができる。この代替法において、液体安定剤は、安定剤導入時に、重合媒体の温度に近い温度であることが好ましい。代替法には、重合の開始に先立ち重合容器に固体状態で安定剤を導入し、次いで安定剤の融点より高くに反応器およびその内容物の温度を上昇させることにより安定剤を液化する方法も含まれる。この代替法の変法としては、安定剤を固体状態で導入し、温度を上昇させることにより安定剤を融解し、次いで、重合が開始する前に安定剤の融点より低くに温度を降下させることにより安定剤を固化する方法がある。別の変法では、安定剤を液体状態で容器にプレチャージの一部として導入し、次いで重合が開始する前に安定剤の融点より低くに温度を降下させることにより安定剤を固化する。本発明の実施態様が低温および高温段階(「温度段階」)の両方、および液体安定剤の非存在下および存在下の両方での液体安定剤を伴う段階(「安定剤段階」)を有する場合、温度段階および安定剤段階間の中断は、一致しても一致しなくとも良い。例えば、固体安定剤は、温度段階間の移行時に融解することがあり、その場合は中断は一致し、あるいは液体安定剤を温度段階間の移行後に導入することができ、その場合は中断は一致しない。
【0033】
液体安定剤、例えば、液体飽和炭化水素が存在する場合、用いる量は重合反応器に充填した水の質量に基づき、通常0.1〜12wt%の範囲、より一般的には1〜8wt%の範囲である。
【0034】
本発明の方法において何れの実行可能な圧力をも用いることができる。高圧では反応速度が増加する点で低圧よりも有利である。しかしながら、TFEの重合は、非常に発熱性であり、高い反応速度は、熱を増加させるので、その熱を除くかまたは適応させなければならない。用いることのできる圧力は、装置デザインによって、およびTFEを扱う際の安全面によっても決定される。通例、TFEの分散重合には0.3〜7MPaの範囲が知られており、0.7〜3.5MPaの範囲が一般的である。一定のTFE圧を維持するのが一般的である一方、圧力は変化しうる。
【0035】
本発明の実施において用いることのできる開始剤には、用いる温度範囲にわたって効果的であるTFE重合用のあらゆるフリーラジカル開始剤を含む。重合が低温で開始する本発明の実施態様において、開始剤は低温で適当な速度でラジカルを生成すべきである。本実施態様用の適切な開始剤には、例えば、過マンガン酸カリウム系、および過硫酸アンモニウム/重亜硫酸塩/硫酸鉄、三酢酸マンガン/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、または臭素酸塩/重亜硫酸塩などの種々の他のレドックス系を含む。
【0036】
ペースト押出後のストレッチ操作における使用に適したTFEのPTFEへの重合用に、好ましい開始剤は短い半減期を有する。開始剤の半減期とは、当業者にとっては既知であるが、注目条件下において開始剤のサンプルの半分がフリーラジカルを生産するのに要する時間である。開始剤の半減期が短いか長いかを判断するタイムスケールは、本発明プロセスの重合時間(バッチ時間)である。好ましくは、開始剤半減期はバッチ時間の20%未満、より好ましくは10%未満、および最も好ましくはバッチ時間の5%未満である。当該技術において既知であるように、TFEの分散重合用のバッチ時間は、温度、圧力、開始剤活性等によって、広範に変化する。約300分未満のバッチ時間を有する重合用には、以下に示す本発明の実施例のいくつかによって示されるように、開始剤半減期は80℃において、好ましくは10分未満、より好ましくは5分未満、最も好ましくは2分未満である。このような開始剤には、三酢酸マンガン/シュウ酸などのレドックス開始剤を含む。好ましいレドックス開始剤には、例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸などの過マンガン酸イオンが成分であるものを含む。過マンガン酸塩を用いるレドックス系に用いることができる他の還元剤には、Fe(II)およびMn(II)塩および重亜硫酸ナトリウムを含む。半減期が10分未満の開始剤は、本明細書に例示した重合よりも長いTFEの重合に用いることができる。
【0037】
開始剤濃度が重合生成物に影響するので、用いる開始剤の量は、意図する結果を得るために効果的な量であり、当業者には知られているように、開始剤の効率にも依存する。好ましくは、用いる開始剤の量は、形成されたポリマー(消費されたTFEモノマーとして測定可能)の質量に基づいて、0.1〜1000ppmの範囲内であり、より好ましくは0.5〜500ppmである。上記で定義したように短い半減期を有する開始剤を用いて製造された高分子量PTFE用には、開始剤の量は、形成されたポリマー(消費されたTFEモノマーとして測定可能)の質量に基づいて好ましくは200ppm以下である。他の成分を本発明の方法によるTFE重合用の配合に用いることができる。当該他の成分は、当業者に既知であるが、例えば、界面活性剤、オートクレーブ接着の形成を最小化するような添加剤、色素阻害剤等を含む。重合の間に形成される凝塊の量を減少させる添加剤には、例えば、Gangalの米国特許第4,186,121号に開示されている選択されたカルボン酸を含む。当該他の成分は、プレチャージの一部としてオートクレーブに導入されるのが通常であるが、必ずしも必須ではない。配合が改質PTFEを産するものである場合、コモノマーは一般にプレチャージに含まれるが、反応性および揮発性のようなコモノマーの特性は添加の時間および方法に影響する。
【0038】
本発明の重合法は、水溶性開始剤の存在下で実施される。「開始剤の存在」とは、ラジカルを生産することができるが、まだ生産していない開始剤が重合の間しばらく存在することを意味すると解釈される。しかし、重合の間異なる時間に存在する開始剤の量は、重合の目的により変化しうる。例えば、開始剤は重合の間を通して名目上均一なレベルで存在することができる。さらなる例として、開始剤は重合の初期部における予め決まったレベルで、および0を含む減少したレベルで重合の後期部において存在する。
【0039】
用いる開始剤が短い半減期を有する場合、存在する開始剤の量は、反応物に開始剤を添加する速度によって測定することができる。好ましくは、重合の指定の段階(上述した温度段階または安定剤段階と一致する必要はない)の間、開始剤添加の速度は均一である。しかし、当業者は本発明の範囲内において広範な種類の開始剤添加プログラムを用いることができることを理解するであろう。従って、例えば、一連の不連続な開始剤の添加を用いることができ、または開始剤添加速度をなだらかに変えることができる。不連続な添加とは、同じかまたは変化する量で、および同じかまたは変化する間隔で添加する。このような不連続添加を用いる場合、添加間の間隔は開始剤半減期よりも実質的に大きくならないことが好ましい。他の非均一開始剤添加プログラムを用いることができる。重合の指定の段階の間に開始剤添加速度が均一でない場合、その段階の間の開始剤添加の平均速度は、本発明のプロセスにおいて存在する開始剤量を特徴づけるのに用いられる。重合の段階が明瞭に定められない場合、例えば、開始剤添加速度を徐々に変化させる場合、初期および後期時間間隔にわたる平均添加速度を初期および後期段階を明定するのに用いる。
【0040】
ポスト−ペースト−押出ストレッチ用のPTFEを製造するのに本発明のプロセスを用いる場合、上述のように短い半減期を有する開始剤を用い、該開始剤を開始時および重合の初期部において添加するが、重合の終了付近では開始剤を添加しないのが好ましい。このようなPTFEを製造するには、重合の間に消費されるTFEによって測定されるように、重合の最後35%の間に、より好ましくは最後45%、最も好ましくは重合の最後55%の間は該開始剤を添加しない。
【0041】
オートクレーブ中の撹拌スピードは、TFE(および存在すれば他のモノマー)を水相に迅速に分散させるが、凝塊を起こしうるので形成されたポリマー分散液を過度に剪断しないように選択する。充分な活性開始剤が存在するという条件で、重合速度は、重合の初期部における撹拌速度に依存し、実施可能な程に早い撹拌スピードが選択される。十分に活性な開始剤が存在しない場合、例えば、短い半減期の開始剤を用い、重合の終了付近で添加はやめ、重合が緩やかになる場合、撹拌スピードは反応速度に実質的に影響せず、撹拌スピードは凝塊形成を最小限にするよう遅くすることができる。
【0042】
実質的に非テロゲン性アニオン性界面活性剤(分散剤)は、TFEの分散重合において一般的に用いられる。好ましい分散剤には、炭素数7〜20、好ましくは炭素数8〜10のペルフルオロアルカン酸およびそれらの塩、特にアンモニウム塩を含む。用いることのできる他の分散剤は、ペルフルオロエタンスルホン酸およびその塩、および水素含有フルオロ界面活性剤(米国特許第5,763,552号に開示されたものなど)を含む。存在する分散剤の量は、用いる際に、存在する水の質量に基づいて、通常約500ppmおよび約5000ppmの間であり、界面活性剤によって、臨界ミセル濃度以上でも、以下でも良い。所望であるならば、少量の非イオン性分散剤をアニオン性剤とともに用いることができる。高分子量PTFEを製造するためのTFEの分散重合用、およびポスト−ペースト−押出ストレッチに適したPTFE微粉を製造する際に、上記に列挙したペルフルオロアルカン酸およびその塩が好ましい。
【0043】
本発明の方法は、微粉タイプのPTFE樹脂を作製するために用いることができ、それはポスト−ペースト−押出ストレッチ操作において有用であり、驚くべきことに改善された特性を有する。分散重合の生成物における基本粒子サイズ、すなわち、原分散液粒子サイズは、通常200〜350nm、好ましくは225〜325nmの範囲内である。PTFE樹脂は、非溶融二次加工性(溶融粘度は少なくとも約108Pa・s)、およびフィブリル化性(ペースト押出可能)である。このような樹脂は、高レオメーター圧、通常少なくとも25MPa、および好ましくは少なくとも30MPaを有する。レオメーター圧は、実質的により高く、例えば、65MPaまたは70MPaまたはそれよりも高いことも可能である。PTFE樹脂は、後述の測定のように、長い応力緩和時間を有する。応力緩和時間は、通常は少なくとも約650秒、好ましくは少なくとも675秒、より好ましくは少なくとも700秒である。以下の実施例に示すように、応力緩和時間は、ストレッチに適し、本発明の方法によって作製されるPTFE樹脂を特徴づける高レオメーター圧においてレオメーター圧によって体系的には変化しないようである。標準比重(SSG)測定によって示されるように、平均分子量(MW)は大きく、該測定において、SSGはMWの増大に伴い減少する。有効なストレッチのためのSSG値は、通常2.165以下である。米国特許第4,576,869号の比較実施例A〜Cを参照のこと。好ましくはSSG値は、2.160以下であり、より好ましくは2.157以下である。しかし、SSGのような試験における低い値が、必ずしも良好なストレッチ性を予測するものではない。なぜならば、それは、平均的特性を表わし、良好なストレッチまたはストレッチ製品特性をもたらす基本粒子構造特性を反映していないかもしれないからである。さらに、SSGは、該PTFEの非常に大きいMW(低SSG)においてMWの変動に影響をうけなくなるので、SSG方法における実験室間での変動が、誤った結果を導くこともある。従って、本発明のプロセスにより作製されうる改良PTFE微粉樹脂は、さらに他の特性によって特徴づけられる。
【0044】
1つの実施態様において、本発明のプロセスにより作製されうる改良PTFE微粉は、後述の測定のように驚くべき高い破断強度により特徴づけられる。破断強度は、少なくとも約6.6lbf(3.0kgf(約29.4N))であり、好ましくは少なくとも3.1kgf(約30.4N)である。
【0045】
本発明のプロセスにより作製しうる改良PTFE微粉は、後述の測定のように驚くべき低クリープ速度により特徴づけられる。本形態の改良PTFE微粉のクリープ速度は、約0.1min-1以下であり、好ましくは0.08min-1以下および、より好ましくは0.07min-1以下である。
【0046】
【実施例】
特記しない限り、溶液の濃度は溶質および溶媒水を合わせた質量に基づいてwt%で述べられる。
【0047】
バッチ間中、開始剤を添加しない後述する実験では、「コア時間」は、開始剤添加開始から開始剤添加終了までの測定された重合時間であり、「コアTFE」はコア時間の間に消費されたTFEの量である。
【0048】
原分散液特性:
(重合された)PTFEの原分散液の固体含有量を、質量を計った分散液のアリコートを蒸発乾燥させ、乾燥固体の質量を計ることによって重量測定により決定する。PTFEおよび水を合わせた質量に基づきwt%で述べられる。原分散液粒子サイズ(RDPS)を光子相関分光法により測定する。
【0049】
樹脂特性:
PTFE微粉樹脂の標準比重(SSG)をASTM−4895の方法により測定する。溶融粘度(MV)を380℃で、米国特許第3,819,594号に開示されている引張クリープ方法の変形により、すなわち、室温での金型、200kg/cm2(19.6MPa)の成形圧力を用い、該成形圧力を2分間保持し、測定に適当なクリープ速度を得るためにMVによって変動する荷重(サンプル片に吊された総質量)を用いて、計算に用いる粘性応答(クリープ)データを選ぶ前に、弾性応答が完了するように荷重負荷後少なくとも30分待って測定する。レオメーター圧(押出圧)をASTM D−4895 Section10.8の方法で、18.4wt% Isopar(登録商標)G(Exxon)潤滑剤および400:1の減速比を用いて測定する。
【0050】
コポリマー組成物:
改質PTFE樹脂のコモノマー含有量は、米国特許第4,837,267号に開示されている方法を用い、しかし改質剤がPPVEのときは異なる較正を用いて、フーリエ変換赤外分光法によって測定する。PPVE改質PTFE用には、較正曲線から求めた乗数係数0.12を用いて、995cm-1での吸光度の935cm-1での吸光度に対する比をPPVE含有量(wt%)に変換する。
【0051】
ストレッチ方法
微粉樹脂のサンプルを2000μmのふるいにかける。この樹脂(113.4g)を樹脂および潤滑剤を合わせたの質量に基づき、17.7wt%のIsopar(登録商標)K(Exxon)潤滑剤と、室温で内径8.25cmのガラスビン中で混合する。ビンを閉じ、次いで14rpmで回転(revolve)している垂直に配置された混合ホイール(水平軸)上で3分間回転(turn)させる。次いで、サンプルビンを押出前少なくとも2時間、22℃の水浴に配置する。潤滑化樹脂は、オリフィス(直径2.4mm、ランドの長さ5mm、導入角30゜)を通して、100:1の減速比、室温で均一なビード(beading)にペースト押出される。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)である。潤滑剤は、230℃で30分加熱することにより、ビードから除かれる。ビードの長さを、短くし、方法の目的によって、クランプ間が1.5インチ(38mm)または2.0インチ(51mm)のいずれかの間隔となるよう、各末端を固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを所望のストレッチに相当する分離となるまで所望の速度で離し、標本の完全性を試験する。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号に開示された方法に従う。「ストレッチ」とは、長さの増加であり、通常元の長さと関連して表わされる。
【0052】
応力緩和時間
応力緩和時間試験測定用の標本は、クランプ間隔1.5インチ(3.8cm)、ストレッチ速度1000%/秒、総ストレッチ2400%を用い、ストレッチ方法のように、ビードをストレッチすることにより作製する。このビードサンプルの両方の末端は、固定具につなげることにより、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードである。応力緩和時間とは、この標本が390℃、すなわち、米国特許第5,470,655号に開示されている延長鎖形状(extended chain configuration)の溶ける380℃より高い温度でオーブン中に放置した後に破断するのに要する時間である。固定具における標本は、オーブンの側部にある(覆われた)スロットを通してオーブンに挿入されるので、標本を配置する間に温度は下降することがなく、それゆえに米国特許第4,576,869号に開示されたように回復にしばしの時間を必要としない。
【0053】
破断強度
破断強度試験測定用の標本は、クランプ間隔2.0インチ、ストレッチ速度100%/秒、総ストレッチ2400%を用い、ストレッチ方法のようにビードをストレッチすることによって作製する。破断強度を、ストレッチビード(stretched beading)から得られる3つの標本、ストレッチビードの各末端から1つ(クランプの範囲においてネックダウンがあればそれを除く)、およびその中心から1つ、の最小引張破断負荷(力)として測定する。2インチ(5.1cm)のゲージ長である、ジョー(jaws)において標本をはさんで固定し、可動ジョーを1ft/分(30.5cm/分)のスピードで駆動させ、Instron(登録商標)引張テスターを用いて、室温で測定する。
【0054】
クリープ速度
この試験は365℃(すなわち、重合された樹脂の融点より高い温度であるが、米国特許第5,470,655号において開示された延長鎖形状の溶ける温度である380℃よりも低い)における引張クリープを測定するためにデザインされたものである。365℃の一定温度を提供するために用いるチャンバーは、オリフィスまたは止めナットを有しないメルトインデックス測定装置であるが、ASTM標準寸法に適合するものである。±1℃までの精度の温度計をメルトインデックス測定装置のキャビティのトップに、温度計の球部端がキャビティのトップから3.5インチ(8.9cm)となるように挿入することにより温度は規定され、カラーを温度計の周りに配置してキャビティを通るエアフローに対するバリアとして働かせる。クリープ速度測定の標本は、クランプ間隔1.5インチ(2.5cm)、ストレッチ速度1000%/秒、総ストレッチ2400%を用い、ストレッチ方法のように、ビードをストレッチすることにより作製する。ストレッチビードのサンプルを、張力下においてストレッチされるビードの長さが1インチ(2.5cm)となるように、各末端にフックを有する2つのガラスロッドの間につなぐ。1つ(上部)のロッドは、長さ1インチ(2.5cm)であり、直径約0.03インチ(0.8mm)である。他方(低部)のロッドは、長さ6インチ(15.2cm)であり、直径0.188インチ(4.76mm)、重さ6±0.5gである。ロッドとビードのアセンブリをメルトインデックス測定装置のキャビティに挿入し、ビードのトップがキャビティのトップからおよそ1.25インチ(3.2cm)低くなるようにし、長いロッドは装置の底部から出て延長する。低部ロッドの質量は、試験温度まで標本が熱せられ、重い荷重(下部)が取り付けられる前に、サンプルが急速に後退するのを防ぐ。上部ロッドは、熱せられたチャンバー内をエアフローが上昇するのを妨げる小PTFEリングに掛けられる。次いで、できるだけ迅速に52gの重りを低部ロッド上のフックに掛ける。該重りは0.375インチ(9.5mm)平方、長さ3.125インチ(7.9cm)のスチールロッドストックからなり、上端ではアイレットが重りを底部ガラスロッドに掛けるためのスイベルに取り付けられている。片側には、幅0.125インチ(3.18mm)のランドにより分けられた幅および深さ0.125インチ(3.18mm)の10トランスバーススクエア(transverse square)ノッチを機械でつくる。ランドの上部(0.125×3.125インチ(3.18mm×7.934cm)の表面)を磨く。SSG標本(上記)をその平面を垂直面に搭載し、円筒面は重りにわずかに接しているのみであることにより、重りを導き、重りを所望の方向に保つPTFEベアリングとして働く。一体光源を伴う光電センサー(モデルPS2−61/PS−47、Keyence Corporation of America)を磨いたランド上部を含む重りの表面に面が接するように搭載する。1番低いノッチの下端に向けられた光線で試験を開始し、センサーからのシグナルを時間の関数として重りがセンサーを通り過ぎた(drop past)ときにGC(ガスクロマトグラフィー)インテグレーターに記録する。光線が磨いたランドに入射するときには、著しいシグナルが得られ、ノッチに入射するときにはシグナルは得られない(あるいは弱いシグナルである)。光線は小さな点に集束され、GCインテグレータートレースは、ほぼ方形波になる。試験シグナルは、通常、記録を0.125の歪度(ΔL/L0)で開始し、2.5の歪度まで続け、ΔLは長さの変化であり、L0は、サンプルの最初の長さ(1インチ、すなわち2.5cm)である。0.625から1.5までの歪度範囲にわたる歪度対時間の傾斜は、min-1の単位で歪速度を得るために最小二乗法によって計算し、本明細書において引張クリープ速度または単にクリープ速度として報告する。
【0055】
比較実施例A
比較実施例Aは、過マンガン酸塩重合開始剤の不連続添加を用い、Malhotraの米国特許第4576869号の実施例1の方法に従うペースト押出後のストレッチに適した高分子量PTFE樹脂を作製するためのTFEの重合を示す。水平攪拌機および100重量部の水の容量を有するポリケトルに脱イオン水57.5部、パラフィンワックス1.62部、20wt%のペルフルオロオクタン酸アンモニウム(C−8)分散剤0.21部、2wt%のシュウ酸溶液0.0135部、およびコハク酸0.0067部を装填する。ポリケトルの内容物を75℃に加熱して、排気および窒素パージする。ポリケトルの内容物を76rpmで撹拌する。温度を80℃に上昇させる。次いでTFEを圧が2.75MPaになるまで添加する。次いで1部の水あたり0.0005部のKMnO4の新しい開始剤溶液0.73部を0.27部/分の速度で添加する。TFE2.5部が反応したら、4.5wt%のC−8溶液2.7部を0.135部/分の速度で添加する。開始後10分間隔でKMnO4溶液0.175部を3回さらに添加する。添加したKMnO4の合計は溶液1.25部である。49.8%のTFEを添加した後は、KMnO4を添加しない。開始95分後、92.5%のTFEを添加した後は、重合速度に影響を与えることなく、撹拌速度を46rpmに減速する。反応の初期速度は、25.2部TFE/分である。反応が遅くならなければ、約60分で完了するものと期待される。しかしながら、反応は40分後に顕著に遅くなり、37.94部のTFEは161分で消費され、これは反応が遅くならない場合よりも168%長い。このような減速は、Malhotraが引用している減速よりも大きい。TFE供給停止後、ポリケトルを換気、排気および窒素パージする。ポリケトルから内容物を吐出し、表面にうかぶワックスを除去する。原分散液の固体含有量は、42.5%であり、RDPSは283nmである。分散液は固体が11%となるまで希釈し、激しく撹拌しながら、炭酸アンモニウムの存在下凝固させる。分散液(微粉)凝固分は、液体から分離し、150℃で3日間乾燥する。PTFE樹脂は、MV2.3×1010Pa・s、SSG2.1649、およびレオメーター圧41.7MPaを有する。しかしながら、クリープ速度が0.20min-1と速い一方、応力緩和時間はわずか550秒で、破断強度はわずか2.4kgf(23.5N)である。
【0056】
比較実施例B
比較実施例Bは、Ce(IV)塩重合開始剤系の不連続添加を用い、Malhotraの米国特許第4654406号の実施例3の方法に従うペースト押出後のストレッチに適した高分子量PTFE樹脂を作製するためのTFEの重合を示す。水平攪拌機および100重量部の水の容量を有するポリケトルに脱イオン水52.6部、パラフィンワックス1.62部、20wt%のペルフルオロオクタン酸アンモニウム(C−8)分散剤0.21部、シュウ酸0.004部、およびコハク酸0.027部を装填する。ポリケトルの内容物を70℃に加熱して、排気および窒素パージする。ポリケトルの内容物を46rpmで撹拌する。温度を70℃に維持する。次いでTFEを圧が2.75MPaになるまで添加する。次いで1部の水あたり0.004部のCe(NH42(NO36の新しい開始剤溶液0.27部を0.027部/分の速度で添加する。TFE2.5部が反応したら、4.5wt%のC−8溶液2.7部を0.135部/分の速度で添加する。開始50分後、反応速度は遅くなる。開始134分後、96%のTFEを添加した後は、重合速度に影響を与えることなく、撹拌速度を35rpmに減速する。開始から149分経過後、31.8部のTFEを添加する。反応が遅くならなければ、115分で完了するものと期待される。しかしながら、反応は顕著に遅くなり、これは反応が遅くならない場合よりも反応は30%長い。重合の最後の30分の重合速度は、0.0022部TFE/1部の水である。この速度は、Malhotraが引用している速度0.0027に近似する。総反応時間は、149分である。TFE供給停止後、ポリケトルを換気、排気および窒素パージする。ポリケトルから内容物を吐出し、表面にうかぶワックスを除去する。原分散液の固体含有量は、40%であり、RDPSは324nmである。分散液は固体が11%となるまで希釈し、激しく撹拌しながら、炭酸アンモニウムの存在下凝固させる。分散液(微粉)の凝固分は、液体から分離し、150℃で3日間乾燥する。PTFE樹脂は、MV3.2×1010Pa・s、SSG2.1590、レオメーター圧36.2MPa、および応力緩和時間745秒を有する。しかしながら、破断強度はわずか2.22kgf(21.7N)であり、クリープ速度が0.59min-1と速い。
【0057】
比較実施例C
比較実施例Cは、Malhotraの米国特許第4,576,869号に記載されている過マンガン酸の使用と組み合わせるが、開始剤の連続的ポンプ汲み出しの技術を用いて、ペースト押出後のストレッチに適した高分子量PTFE樹脂を作製するためのTFEの重合を示す。水平攪拌機および100重量部の水の容量を有するポリケトルに脱イオン水51.6部、パラフィンワックス1.62部、20wt%のペルフルオロオクタン酸アンモニウム(C−8)分散剤0.16部、2wt%のシュウ酸溶液0.027部、およびコハク酸0.0027部を装填する。ポリケトルの内容物を65℃に加熱して、排気およびTFEパージする。ポリケトルの内容物を46rpmで撹拌する。温度を80℃に上昇させる。次いでTFEを圧が2.75MPaになるまで添加する。次いで1部の水あたり0.00015部のKMnO4および0.00007部のリン酸アンモニウムの新しい開始剤溶液0.65部を0.22部/分の速度で添加する。この添加が完了後したら、3.2wt%のC−8溶液を0.022部/分の速度でバッチの終了時まで添加し、さらに開始剤溶液を0.014部/分の速度で添加する。TFEを圧が2.75MPaに保たれるような速度で添加する。TFEでの初期加圧に続き、18.4部のTFE添加後、開始剤溶液の添加を停止する。開始剤添加の停止までの重合時間(「コア時間」)は57分である。33.3部のTFEを添加後、TFEおよびC−8溶液の供給を停止し、ポリケトルを換気する。最初の開始剤注入開始からTFE供給終了までの測定される反応の長さは、183分である。ポリケトルから内容物を吐出し、表面にうかぶワックスを除去する。原分散液の固体含有量は、39.3%であり、RDPSは289nmである。分散液は固体が11%となるまで希釈し、激しく撹拌しながら、炭酸アンモニウムの存在下凝固させる。分散液(微粉)の凝固分は、液体から分離し、150℃で3日間乾燥する。PTFE樹脂は、MV2.6×1010Pa・s、SSG2.159、レオメーター圧47.2MPaおよび応力緩和時間751秒を有する。しかしながら、破断強度はわずか2.54kgf(24.9N)であり、クリープ速度は0.287min-1と速い。
【0058】
実施例1
比較実施例A〜Cに用いたポリケトルに脱イオン水51.6部、パラフィンワックス1.62部、20wt%のC−8溶液0.24部、2wt%のシュウ酸溶液0.027部、およびコハク酸0.0027部を装填する。ポリケトルの内容物を55℃に加熱して、25rpmで撹拌しながら、50℃まで冷却する。ポリケトルを排気およびTFEパージする。温度50℃で撹拌スピードを46rpmまで上昇させる。次いでTFEを圧が2.75MPaになるまで添加する。次いで1部の水あたり0.00015部のKMnO4およびリン酸アンモニウム0.00007部の新しい開始剤溶液0.65部を0.22部/分の速度で添加する(添加時間3分)。この添加が完了したとき、3.2wt%のC−8溶液を0.022部/分の速度でバッチの最後まで添加し、同時に0.014部/分の速度で開始剤溶液をさらに添加する。TFEを圧が2.75MPaに保たれるような速度で添加する。反応器を冷却しながら、開始剤添加開始後、約10分で反応熱により温度が55℃に上昇する。最初の開始剤の添加を終了して10分経過後、ポリケトルをできるだけ迅速に加熱して、開始剤の添加開始後およそ18分経過後に温度が80℃に達するようにする。次いで、バッチの残りは80℃に維持する。TFEでの初期加圧に続き、12.3部のTFE添加後、開始剤溶液の添加を停止する。36.8部のTFEを添加後、TFE供給、C−8溶液の供給、撹拌を停止し、ポリケトルを換気する。反応の長さは、152分である。ポリケトルから内容物を吐出し、表面にうかぶワックスを除去する。原分散液の固体含有量は、44.1wt%であり、RDPSは270nmである。分散液は固体が11%となるまで希釈し、激しく撹拌しながら、炭酸アンモニウムの存在下凝固させる。凝固した微粉は、液体から分離し、150℃で3日間乾燥する。ポリマー特性を表1に表わし、バッチ時間の短縮にもかかわらず、比較実施例A〜Cで得られた結果よりも大きい破断強度および遅いクリープ速度を示している。
【0059】
【表1】
Figure 0005108171
【0060】
比較実施例D〜G
バッチにおいてオートクレーブに比較実施例Dの実行の直前にテルペン重合阻害剤を導入する以外は、比較実施例Cと本質的に同一の開始条件を用いて7つの連続重合を行う。テルペンは強力なラジカルスカベンジャーとして、およびテロゲンとして知られ、TFE重合中に存在すると反応を遅くし、比較的低分子量のポリマーの生産をもたらすものである。テルペンは揮発性であって、例外的な手段によって(例えば、配管の分解による)しか到達することのできない表面を汚染するので、通常の清掃手順によっては除去することができず、繰り返されるバッチによってのみゆっくりと消費される。全てのバッチは、過剰に遅い反応速度のため、所望のTFE33.3部が消費される前に早く終了する。バッチ時間、消費されるTFEの量、および第1、3、5、および7番目のバッチのPTFE生成物から得られたSSG値を、表2に表す。全てのバッチでSSG値は2.165を越えており、これらは、有効なストレッチ性能にとって高すぎる値である。
【0061】
【表2】
Figure 0005108171
【0062】
実施例2
比較実施例Gの後直ちに、同じポリケトル内で、開始温度は40℃であり、0.022部/分のC−8溶液の添加を234分後に終了させることを除き、実施例1と同じ方法で実施例2を実行する。その結果、バッチ用にデザインされたTFE36.8部を消費するのに253分を要する。しかし、得られるポリマーのSSGは、2.16よりずっと低く、表1に表わした特性は、樹脂は高い破断強度を有することを示している。このように、決して理想的とはいえない条件、すなわち、テルピン不純物の混入の証拠があるポリケトルを用いても、本発明の方法は、良好なストレッチ特性を有するPTFE樹脂を産出することができる。
【0063】
実施例3
同じポリケトルのなかで8つの介在バッチ(intervening batches)の後にC−8溶液の添加をバッチの最後まで続けることを除き、本質的に実施例2と同じ方法で実施例3を実行する。結果(表1)は、総バッチ時間を短縮する際における痕跡レベルのテルペン不純物のさらなる減少の効果を示す。破断強度は高い。
【0064】
実施例4
開始剤供給を停止する前にTFE11.0部のみを供給すること、および0.022部/分でのC−8溶液添加を216分後に停止することを除き、本質的に実施例2、および引き続く実施例3と同じ方法で実施例4を実行する。これは、バッチ時間の増加をもたらすが、押出圧および破断強度は依然として大きく、およびクリープ速度は遅い。
【0065】
実施例5
完了温度を60℃とし、0.022部/分でのC−8溶液添加を215分後に停止すること、およびTFEが全部で30.7部となるところでバッチを終了させることを除き、本質的に実施例2の方法に従って、実施例5の重合を実施する。表1に示すように、コア時間は実施例1から4における時間よりも長い。短縮バッチは、バッチのシェル部分用の18.4部のTFEのみを与えるが、表1に示した樹脂特性は、依然として実施例4に匹敵する。
【0066】
実施例6
実施例1に類似の重合を8125部の水容量を有するポリケトル中で実施する。ポリケトルを清掃し、4088部の熱水を装填して、温度を約90℃にし、約70℃で172部の溶融ワックスを添加する。窒素パージおよび排気後、温度を103℃に上昇させ、ポリケトルを1分間排気する。次いで、水62.8部中の、3.1部の20wt%C−8溶液、シュウ酸0.038部、および0.8部のコハク酸を添加する。攪拌機を運転しながら、圧が2.75MPaとなるまでTFE添加に伴い内容物を33℃まで冷却する。TFEをバッチを通して圧が2.75MPaに維持されるような速度で添加する。次いで1部の水あたり0.000063部のKMnO4および0.000029部のリン酸アンモニウムの開始剤溶液62.4部を10.4部/分の速度で添加する。6分後、開始剤溶液添加速度をさらに20分の間、3.3部/分まで減速する。初期加圧に続き144部のTFE添加後、水212部中、1.86部のC−8および0.0054部のシュウ酸の溶液を4.1部/分の速度で装填する。26分の開始剤添加期間終了時のTFE消費は、1190部(コアTFE)である。反応熱により、温度は開始剤添加開始時から、約12分で55℃まで上昇し、その間、反応ジャケットに冷却水を適用しながら、開始剤添加開始から、およそ28分経過後に80℃まで上昇する。次いで、バッチの残りの期間、温度を80℃に維持する。TFE3400部を添加し、TFE供給および撹拌機を停止する。ポリケトルを換気、排気、および窒素パージする。反応の長さは95分である。内容物を冷却し、ポリケトルから吐出す。表面にうかぶワックスを除去する。原分散液の固体含有量は、40wt%であり、RDPSは250nmである。分散液は固体が11%となるまで希釈し、激しく撹拌しながら、炭酸アンモニウムの存在下凝固させる。分離したPTFE樹脂を米国特許第5,391,709号に開示されているように、温度約180℃に熱せられた空気を用いて、動いているファブリック上で乾燥する。結果を表1に概略する。破断強度は大きく、クリープ速度は遅い。
【0067】
実施例7
開始剤溶液をバッチを通して0.014部/分の速度で添加すること、およびC−8溶液をバッチを通して添加することを除き、本質的に実施例2の方法に従って、重合を実施する。温度は開始剤添加の開始後31分で80℃に達する。反応の長さは、95分である。原分散液の固体分は、44.5wt%であり、およびRDPSは236nmである。分離した微粉樹脂では、SSGは2.178であり、MVは1.8×1010Pa・sであり、およびレオメーター圧は4437psig(30.7MPa)である。これは、例えば、スレッドシールテープに適したPTFEを作製するための本発明の方法を示している。
【0068】
実施例8
ポリケトルにPPVE0.13部をプレチャージに添加することを除き、本質的に実施例7の方法に従って、重合を実施する。温度は開始剤添加の開始後29分で80℃に達する。反応の長さは、181分である。原分散液の固体分は、42.6wt%であり、およびRDPSは214nmである。分離した微粉樹脂では、PPVE含有量は0.11wt%であり、SSGは2.151であり、MVは5.0×109Pa・sであり、およびレオメーター圧は5824psig(40.3MPa)である。これは、直径の小さいチューブに適した改質PTFEを作製するための本発明の方法を示している。
【0069】
実施例9
開始温度が20℃であり、ポリケトルにHFP(PPVEのかわり)0.19部および水1部中にMnSO40.00016部の溶液0.054部をプレチャージに添加すること、および開始剤溶液をバッチを通して0.022部/分の速度で添加することを除き、本質的に実施例8の方法に従って重合を実施する。温度は開始剤添加の開始後38分で80℃に達する。反応の長さは、173分である。原分散液の固体分は、37.6wt%であり、およびRDPSは213nmである。微粉樹脂では、HFP含有量は0.35wt%であり、SSGは2.170であり、およびレオメーター圧は5678psig(39.3MPa)である。レオメーター押出物の表面特性は、優良である。これは、電線用絶縁体または絶縁チューブに適した改質PTFEを作製するための本発明の方法を示している。
【0070】
【発明の効果】
本発明の方法によると、短縮された重合時間において、ペースト押出後のストレッチ操作における使用に適したポリテトラフルオロエチレンを作製することができる。該ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、卓越した機械特性を有するストレッチ製品も生産することもできる。

Claims (6)

  1. 水性媒体中で界面活性剤および水溶性開始剤の存在下で、ポリテトラフルオロエチレンまたは改質ポリテトラフルオロエチレンを製造するためにテトラフルオロエチレンを重合する方法であって、前記重合を液体安定剤の非存在下で、60℃以下の開始温度で開始し、前記重合を55℃より高い完了温度で完了させ、前記完了温度は前記開始温度より少なくとも5℃高く、前記完了は液体安定剤の存在下で起き、及び前記安定剤は飽和炭化水素であることを特徴とする方法。
  2. 前記飽和炭化水素は少なくとも50℃の融点を有するパラフィンワックスであることを特徴とする請求項に記載の方法。
  3. 前記開始温度は55℃以下であることを特徴とする請求項に記載の方法。
  4. 前記開始温度は50℃以下であることを特徴とする請求項に記載の方法。
  5. 前記完了温度は少なくとも65℃であることを特徴とする請求項に記載の方法。
  6. 前記完了温度は、前記開始温度より少なくとも10℃高いことを特徴とする請求項に記載の方法。
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