JP5101492B2 - 融合タンパク質の自己タンパク質分解切断による組換えタンパク質の産生 - Google Patents

融合タンパク質の自己タンパク質分解切断による組換えタンパク質の産生 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、特定の相同N−末端を有する対象異種組換えポリペプチドの製造方法に関するものである。本発明は、対象ポリペプチドおよび付加部分、すなわち、自己タンパク質分解切断機能を呈し、対象ポリペプチドのN−末端に結合される第2ポリペプチドを含む融合ポリペプチドを、クロマトグラフィーシステムと組合せたものである。本発明の一部を形成するクロマトグラフィーシステムは、融合ポリペプチドがクロマトグラフィーシステムに結合している間、該融合ポリペプチドのN−末端部分の自己タンパク質分解切断機能を活性化させ得る。融合ポリペプチドの結合、リフォールディングおよび切断は、同一クロマトグラフィーシステムで誘導され、次いで、そこから対象ポリペプチドがその精製形態で単離され得る。
発明の背景
ほとんどの対象ポリペプチド、例えば医薬上有用なタンパク質は、真核生物に由来し、それらは、高い発現割合および高い収率故に、通常は細菌細胞で産生される。しかしながら、細菌におけるポリペプチドの合成機構は、真核生物のそれとは異なる。付加アミノ酸の切断は行われ得るがその間ほとんどで不完全なままであるため、細菌細胞で発現されるポリペプチドは、通常N−末端に付加的外来アミノ酸を有するか、またはそれらのN−末端に関して非相同である。
しかしながら、非相同であるポリペプチドは、例えば抗体形成の誘導、半減期、薬物動態などといった天然に存するポリペプチドの特性とは異なる特性を示すため、上記非相同性は特に医薬分野では許容できない。天然型タンパク質に由来するか、および/または非相同性であるN−末端は許容され得ない特徴である。医薬ポリペプチドの製造について、ほとんどの場合、付加アミノ酸を全くもたない、正確なN−末端と相同である同一性質の生成物を製造することが必要である。既知方法では、ポリペプチド製造過程に付加段階を組込むことによりこの目標の達成を試みているが、コストおよび材料の消費を伴い、さらなる後処理、いわゆる生成物の下流プロセッシングがさらに複雑なものになっている。
特定された相同N−末端をもつ細菌細胞におけるポリペプチドの既知製造方法は、対象ポリペプチドおよびそこにN−末端結合した、自己タンパク質分解切断活性をもつポリペプチド、好ましくはペスチウイルスのオートプロテアーゼNproを含む融合ポリペプチドを使用する。融合パートナーの自己タンパク質分解切断活性により、相同N−末端をもつ対象ポリペプチドの切断が誘導される。
ある種の条件下、ポリペプチドを細菌細胞の細胞質で製造する場合、ポリペプチドの製造速度は折りたたみ速度論よりも速い。従って、高密度ポリペプチド凝集体が形成され、それらは封入体として細胞の細胞質で沈積される。発現したポリペプチドは高量および高純度で封入体に存在するため、封入体形態でのポリペプチドの製造は工業規模での製造にとって特に興味深いものである。また、細胞の封入体はプロテアーゼを欠くため、ポリペプチドは、封入体に貯蔵されているときには保護される。さらに、封入体は単離し易い。しかしながら、細胞質封入体形態でのポリペプチド製造の主たる欠点は、封入体の溶解度が低く、ポリペプチドのリフォールディングを必要とする点である。
従って、特に対象ポリペプチドの生物学的活性形態を獲得するためには正確なリフォールディングが要求されることから、封入体の製造は複雑なものとなる。従って、上記融合ポリペプチドの自己タンパク質分解切断活性を利用することにより、相同N−末端をもつポリペプチドは一貫して製造されるが、それが細胞質封入体形態で発現される場合、目的生成物の精製方法は依然として単調で時間のかかる作業である。この製造過程は、洗浄、リフォールディング、切断、精製および単離を含む多くの工程を必要とする。
すなわち、複雑な下流プロセッシングにより、ポリペプチドの迅速で費用効率的な産生に関して難題が課されることになる。これは、工業規模での製造にまさしく当てはまることである。従って、ポリペプチドの製造および精製について単純で実行可能な方法が依然として要望されている。
発明の要旨
本発明の範囲内で、驚くべきことに、例えば封入体から対象異種ポリペプチドを得る方法が、特異的アフィニティークロマトグラフィー法と自己タンパク質分解切断活性を呈する融合ポリペプチド系の組合せにより大きく簡易化され得ることが見出された。従って、一つのクロマトグラフィーシステムでの協調作用で製造が実施され得る。
最初に融合ポリペプチドを提供する。この融合ポリペプチドは、自己タンパク質分解切断機能、好ましくはオートプロテアーゼの自己タンパク質分解切断機能、さらに好ましくはペスチウイルスのオートプロテアーゼNpro、およびその誘導体の自己タンパク質分解切断機能を有するポリペプチドを含む。自己タンパク質分解切断機能をもつポリペプチドのC−末端に、融合ポリペプチドは、対象異種ポリペプチドを含む。
融合ポリペプチドは、N−末端部の自己タンパク質分解切断活性を阻害する条件下、宿主細胞で産生される。特に、融合ポリペプチドは、細胞質封入体に変性形態で製造される。これらの封入体を、細胞から単離し、不活性状態を保存する条件下で可溶化する。次いで、融合ポリペプチドを、不活性変性状態の融合ポリペプチドのN−末端部を保つ条件下でクロマトグラフィーシステム、特にカラムに選択的に結合させる。
一旦融合ポリペプチドが結合されると、必要に応じて、非結合汚染成分を洗い流す。
融合ポリペプチドのみがクロマトグラフィーシステムに結合された状態であるとき、自己タンパク質分解切断機能を阻害するものから活性化するものへと上記精製システムにおける条件を変化させる。この条件変化で、融合ポリペプチドがその天然立体配置を回復し得ることにより、そのN−末端部の自己タンパク質分解切断機能は活性化され、対象ポリペプチドは切断され、相同N−末端をもつ既に精製されたリフォールディング対象ポリペプチドは溶出されるが、N−末端部はクロマトグラフィーシステムに結合されたままである。
一旦融合ポリペプチドが結合されると、1)非結合汚染成分を洗い流し、2)リフォールディングさせ、および3)対象ポリペプチドを切断し、そして4)対象ポリペプチドを精製する段階が同一クロマトグラフィーシステムで行なわれる。このため後処理が非常に簡単になる。非結合の汚染成分はこのシステム内で容易に洗い流され、融合ポリペプチドはクロマトグラフィーシステムに選択的に結合された状態で残る。
発明の詳細な記載
相同N−末端をもつ対象異種ポリペプチドの新規製造方法が提供され、活性ポリペプチドを得るために通常必要とされる複雑な製造工程が大きく低減化される。
従って、本発明は、対象ポリペプチドおよびそのN−末端のところに自己タンパク質分解切断機能を呈するポリペプチドを含む融合ポリペプチドを用いる、相同N−末端を有する対象異種ポリペプチドの製造方法であって、a)アフィニティークロマトグラフィーシステムにより、可溶性で自己タンパク質分解切断が不活性な形態で融合ポリペプチドを結合し、b)融合ポリペプチドのリフォールディングにより、融合ポリペプチドの自己タンパク質分解切断機能の活性化および対象異種ポリペプチドの切断を誘発し、そしてc)それに続いて対象異種ポリペプチドを溶出する工程を含み、上記工程を一アフィニティークロマトグラフィーシステムで実施する方法に関するものである。
本明細書で使用されている下記の語は、下記に記載した意味を有する:
「対象異種ポリペプチド」の語は、天然に存する(融合)ポリペプチドから天然に存するオートプロテアーゼにより天然の状態では切断されることのないポリペプチドをいう。対象異種ポリペプチドの例には、工業用酵素(製造用酵素)または特にヒトの治療についての治療活性をもつポリペプチドがある。
「融合ポリペプチド」の語は、2個またはそれ以上のポリペプチドから成るポリペプチドをいう。特に、融合ポリペプチドは、アフィニティー標識、自己タンパク質分解切断部分、好ましくはオートプロテアーゼ、および対象ポリペプチドを含み得る。本発明の意味において、融合ポリペプチドは、対象ポリペプチドおよびそのN−末端結合した自己タンパク質分解切断機能をもつポリペプチドを含む。
本発明の意味における「変性形態」の語は、組換え的製法の産物として得られる、通常封入体の可溶化後に得られる、発現した融合ポリペプチドの生物学的に不活性な形態を指す。
「リフォールディング」の語は、可溶化ポリペプチドがその天然立体配座および生物活性を回復する、すなわちその変性した不活性状態からその活性形態へとタンパク質を再構成する間の機構をいう。
「自己タンパク質分解切断機能」の語は、融合パートナーの一方の自己タンパク質分解切断活性をいい、融合ポリペプチドがその変性状態である間は阻害され、融合ポリペプチドのリフォールディング時には活性化される。
融合ポリペプチドは、その自己タンパク質分解切断機能部分が不活性であるとき、ある一定の状態でクロマトグラフィーシステムに結合されている。条件の変化、対象ポリペプチドの切断中、およびその後も、結合は維持されている状態でなくてはならない。本発明の範囲内において、融合ポリペプチドがリフォールディングされている間に切断の開始は達成され、不活性状態から活性状態へと移行する。本発明は、変性条件下においてN−末端での融合ポリペプチドの結合を確立し、続いて起こる条件のあらゆる変化を通して自己タンパク質分解切断機能を呈する融合パートナーの結合を維持するアフィニティークロマトグラフィーシステムを提供する。ポリペプチドがクロマトグラフィーシステムに結合されている間にリフォールディングが行なわれるため、付加的必要条件は、アフィニティーシステムがリフォールディング過程を妨げないことである。この問題もまた、本発明により解決される。
本明細書で使用されている「変性(させる)」の語は、ポリペプチドの天然三次元構造を破壊させる条件をいう。
融合ポリペプチドの自己タンパク質分解切断活性部分では、リフォールディングにより活性化、すなわち切断の開始が誘発される。同時に、対象ポリペプチド部分は、その天然立体配座を回復し、その結果、切断された対象ポリペプチドは、その天然活性形態となる。融合ポリペプチドの自己タンパク質分解切断活性部分は切断後もカラムに結合したままであるため、そして非結合汚染成分は切断開始前にカラムから洗い流されているため、既に精製された、リフォールディング対象ポリペプチドがカラムから溶出される。すなわち、融合ポリペプチドの2つの部分の単離、切断剤からの単離またはリフォールディングのためのさらなる後処理は、無くてもすむ。
本発明の範囲内における融合ポリペプチドは、細菌宿主細胞内での製造により初期不活性形態で提供される。
本発明の好ましい実施態様において、融合ポリペプチドは、融合ポリペプチドをコードする核酸分子を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を利用する、封入体形態での細菌宿主細胞における組換え発現により提供される。
本明細書で使用されている「封入体」の語は、形質転換宿主細胞の細胞質に存在する異種ポリペプチドを含む凝集体をいう。これらは、顕微鏡下では輝点として現われ、細胞質の単離により採取され得る。
本明細書で使用されている「形質転換宿主細胞」の語は、異種ポリペプチドをコードするベクターを含む細胞をいう。
カラムでの切断を開始させるため、宿主細胞内でポリペプチドが既に発現している間、融合ポリペプチドの自己タンパク質分解切断活性は開始から阻止されなければならない。宿主細胞の細胞質で発現したポリペプチドの沈積を誘発する条件下での発現については、不活性状態の必要条件が満たされる。
本発明により使用される細菌宿主細胞は、例えば、グラム陰性菌、例えばエシェリキア(Echerichia)種、例えば大腸菌(E.coli)、または他のグラム陰性菌、例えばシュードモナス(Pseudomonas)種、例えばシュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、またはカウロバクター(Caulobacter)種、例えばカウロバクター・クレセンツス(Caulobacter crescentus)、またはグラム陽性菌、例えばバシラス(Bacillus)種、特にバシラス・サチラス(Bacillus subtilis)であり得る。大腸菌(E.coli)が宿主細胞としては特に好ましい。
本発明方法で使用される発現ベクターは、自己タンパク質分解切断機能を呈するポリペプチドおよびそのC−末端のところで結合した対象ポリペプチドを含む、融合ポリペプチドをコードする核酸分子を含む。自己タンパク質分解切断活性ポリペプチドのC−末端端部で切断が行なわれることにより、所望のポリペプチドの相同N−末端が形成される。
本発明の好ましい実施態様において、自己タンパク質分解切断機能を呈するポリペプチドは、オートプロテアーゼである。
本明細書で使用されている「オートプロテアーゼ」の語は、自己タンパク質分解切断活性を有し、大きなポリペプチド部分、好ましくは天然オートプロテアーゼからそれ自体を切断させ得るポリペプチドをいう。オートプロテアーゼそれ自体の概念は、当業者には十分利用可能なものである。多くの天然に存するオートプロテアーゼ系が知られている。十分に研究し尽くされたオートプロテアーゼ系は、例えばウイルス性プロテアーゼ、発生系タンパク質(例、HetR、ヘッジホッグタンパク質(そのカルボキシ末端オートプロテアーゼ)、RumAオートプロテアーゼドメイン、UmuDなど)である。
ペスチウイルスを含む、フラビウイルス(Flaviviridae)科内のウイルスは全て、共通してNS3プロテアーゼを有する。プロテアーゼドメインがNS3のN−末端から180残基に位置し、見かけ上分子内における形でNS2A/2BおよびNS2B/NS3連結点での切断に関与することは、黄熱病、デング熱2型および西ナイル熱ウイルスで示されている。C型肝炎およびGBウイルスNS3配列の解析結果は、フラビウイルスおよびペスチウイルスNS3配列との密接な関係を示していた。
N−末端オートプロテアーゼはまた、ピコルナウイルス科に属するプラス鎖RNAウイルスである、アフトウイルス[口蹄疫ウイルス(FMDV)]からも見出される。リーダープロテアーゼ(Lpro)とも称されるこのプロテイナーゼは、システイン−プロテアーゼのパパイン科に属する。これは、ポリタンパク質からの自身の切断に加えて、真核生物開始因子4Gの220−kDaサブユニットのタンパク質加水分解的分解を誘発するため、キャップ依存的宿主細胞タンパク質合成の遮断の一因となる。ピコルナウイルスRNAはキャッピングされていないため、それは翻訳され続け、キャップ結合タンパク質複合体は不活化されている。しかしながら、アフトウイルスリーダープロテイナーゼ遺伝子は、細胞培養におけるウイルス複製に必要とはされない。
ピコルナウイルス科に属する他の2種のオートプロテアーゼは2Aおよび3Cであり、キモトリプシン様セリンプロテアーゼとの顕著な同一性を有する。両プロテアーゼとも、ポリタンパク質前駆体内に含まれる。植物ウイルスにおける自己タンパク質分解切断についての短い一例は、ビート萎黄ウイルスのリーダープロテイナーゼであり、これは非保存N−末端ドメイン(RNA増幅で機能する)および自己タンパク質分解切断に要求される保存されたパパイン様C−末端ドメインを有する。
オートプロテアーゼはまた、レトロウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)のGag−Polポリタンパク質からも見出され得る。ポリタンパク質は、別のポリタンパク質からの第2プロテアーゼとの二量体形成後に自身を放出する99アミノ酸ロテアーゼを含む。
さらに好ましくは、「オートプロテアーゼ」の語は、自己タンパク質分解切断活性をもつその誘導体を全て含む、ペスチウイルスのオートプロテアーゼNproをいう。
本発明は、オートプロテアーゼがペスチウイルスのNpro、または自己タンパク質分解切断機能をもつその誘導体であるさらなる実施態様に関するものである。
ペスチウイルスは、mRNAとして直接作用するゲノムをもつ小さな包膜ウイルスである。ペスチウイルスで同定された2つのウイルスコード化プロテアーゼは、オートプロテアーゼNproおよびセリンプロテアーゼNS3である。プロテアーゼNproは、ポリタンパク質のN−末端に位置する。Nproは、ペスチウイルスのポリタンパク質における第一タンパク質を構成するもので、続くヌクレオキャプシドタンパク質からの自己タンパク質分解切断が行なわれる。この切断は、Nproの配列における最後のアミノ酸、Cys168の後に行なわれる。
ペスチウイルスは、特に古典的ブタコレラ(fewer)ウイルス(CSFV)、ボーダー病ウイルス(BDV)およびウシウイルス性下痢性ウイルス(BVDV)を含む病原体の一群を形成する。
従って、本発明のさらに好ましい実施態様では、ペスチウイルスは、CSFV、BDVおよびBVDVから成る群から選択され、CSFVが特に好ましい。
本発明のさらに好ましい実施態様では、CSFVのオートプロテアーゼNproは、下記のアミノ酸配列:
配列番号1:
Figure 0005101492
または自己タンパク質分解切断機能をもつその誘導体のアミノ酸配列を有する。
また、EMBLデータベース寄託番号X87939、N−末端からC−末端方向に読む、アミノ酸1〜168を参照のこと。
本発明による自己タンパク質分解切断機能をもつ誘導体は、特に相同N−末端をもつ対象所望の異種ポリペプチドを生成するのに必要とされる自己タンパク質分解切断活性が保持されている限りは、突然変異導入、特にアミノ酸置換、欠失、付加および/またはアミノ酸挿入によりペスチウイルスのオートプロテアーゼNproから誘導される。突然変異導入による上記誘導体の生成方法は当業者には周知である。上記突然変異導入によって、種々の異種ポリペプチドに関してオートプロテアーゼNproの特性を適合させることにより、融合ポリペプチドから切断させることが可能である。特に、本発明の範囲内におけるポリペプチドは、ペスチウイルスのNproの自己タンパク質分解切断活性を依然として呈しながらも、もともと存在するオートプロテアーゼと比べて改善された特性をもつように設計され得る。この点で特に好ましいのは、溶解度に関して改善された特性およびアフィニティークロマトグラフィーシステムへの優れた結合性を示す誘導体であり、上記特性は本発明に関して特に有用なものである。
突然変異導入により得られる誘導体の自己タンパク質分解切断特性は、例えば国際公開第01/11056号に記載された要領で試験され得る。
上記配列番号1で示されたペスチウイルスの天然Nproの誘導体は、特に好ましいものであり、システイン残基が置換されている。この点でさらに好ましいのは、システイン残基C112、C134およびC138が、他のアミノ酸残基、例えばグルタミン酸により置換されている、天然Nproの誘導体である。特に好ましい誘導体は、下記のアミノ酸配列を含む:
配列番号2:
Figure 0005101492
ペスチウイルスの天然Nproの別の好ましい誘導体は、上記システイン突然変異に加えて、53および57位でアルギニンがグルタミン残基に置換され、グリシン54がアスパラギン酸に置換され、ロイシン143がグルタミンに置換されたものである。この誘導体は、下記のアミノ酸配列を含む:
配列番号3:
Figure 0005101492
すなわち本発明はまた、別の特徴として、融合ポリペプチドがCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体を含み、少なくとも1個の上記システイン残基の置換に加えて、少なくとも1個の疎水性アミノ酸残基が親水性残基により置換されている、上記方法に関するものである。
本発明の範囲内で好ましいのは、少なくとも1個の上記システイン残基の置換に加えて、さらに下記のアミノ酸:V24、A27、L32、G54、L75、A109、V114、V121、L143、I155およびF158の少なくとも1個が置換されているCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体である。好ましい例は、次のアミノ酸:アラニン(A)109、バリン(V)114、イソロイシン(I)155およびフェニルアラニン(F)158がトレオニン(T)により置換された誘導体である。
すなわち、本発明は、別の特徴として、好ましくは、融合ポリペプチドがCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体を含み、少なくとも1個の上記システイン残基の置換に加えて、下記のアミノ酸:アラニン(A)109、バリン(V)114、イソロイシン(I)155およびフェニルアラニン(F)158がトレオニン(T)により置換されている、上記方法に関するものである。また、本発明の範囲内で、CSFVのオートプロテアーゼNproのさらに好ましい誘導体は、下記のアミノ酸配列を含む:
配列番号4:
Figure 0005101492
すなわち、本発明は、別の特徴として、さらに好ましくは、融合ポリペプチドが、配列番号4による配列を有するCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体を含む、上記方法に関するものである。
本発明の範囲内でさらに好ましいのは、少なくとも1個の上記システイン残基の置換に加えて、下記のアミノ酸:アラニン(A)109、バリン(V)114,イソロイシン(I)155およびフェニルアラニン(F)158がトレオニン(T)により、アルギニン(R)53がグルタミン酸(E)により、グリシン(G)54がアスパラギン酸(D)により、アルギニン(R)57がグルタミン酸(E)により、そしてロイシン(L)143がグルタミン(Q)により置換されている、CSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体である。
すなわち、本発明は、別の特徴において、さらに好ましくは、融合ポリペプチドがCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体を含み、少なくとも1個の上記システイン残基の置換に加えて、下記のアミノ酸:アラニン(A)109、バリン(V)114、イソロイシン(I)155およびフェニルアラニン(F)158がトレオニン(T)により、アルギニン(R)53がグルタミン酸(E)により、グリシン(G)54がアスパラギン酸(D)により、アルギニン(R)57がグルタミン酸(E)により、そしてロイシン(L)143がグルタミン(Q)により置換されている、上記方法に関するものである。
最も好ましくは、本発明によるCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体は、下記のアミノ酸配列を含む:
配列番号5:
Figure 0005101492
すなわち、本発明はまた、別の最も好ましい特徴として、融合ポリペプチドが、配列番号5による配列を有するCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体を含む、上記方法に関するものである。
本発明は、別の同じく好ましい特徴において、上記異種タンパク質の製造方法であって、融合ポリペプチドが、配列番号5による配列を有するCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体を含み、さらにアスパラギン(N)35がトレオニン(T)により置換され、トレオニン(T)158がセリン(S)により置換されている方法に関するものである。
本発明の上記特徴による方法で使用されるCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体もまた、本発明の一部分を形成しており、下記のアミノ酸配列を含む:
配列番号50
Figure 0005101492
本発明は、別の好ましい特徴において、上記異種タンパク質の製造方法であって、融合ポリペプチドが、配列番号50による配列を有するCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体を含み、さらにアラニン(a)28がグルタミン酸(E)により置換され、セリン(S)71がフェニルアラニン(F)により置換され、アルギニン(R)150がヒスチジン(H)により置換されている方法に関するものである。
本発明の上記特徴による方法で使用されるCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体もまた、本発明の一部を形成するもので、下記のアミノ酸配列を含む:
配列番号51
Figure 0005101492

好ましくは、本発明方法において、配列番号50による配列を有するCSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体は、プロインスリンの製造を目的とする、プロインスリンの少なくとも最初の3アミノ酸を含むタンパク質、好ましくはプロインスリン、さらに好ましくはヒトプロインスリン、最も好ましくは組換えヒトプロインスリンとの融合で使用される。
本発明によると、CSFVのオートプロテアーゼNproの誘導体では、少なくとも1個の上記システイン残基の置換に加えて、次のアミノ酸:アルギニン(R)53、グリシン(G)54、アルギニン(R)57、トレオニン(T)109、114、155、158およびロイシン(L)143のうち少なくとも1個が置換されている場合が好ましい。本発明によるCSFVのオートプロテアーゼNproの好ましい誘導体では、少なくとも1個の上記システイン残基の置換に加えて、下記のアミノ酸:アルギニン(R)53がグルタミン酸(E)により、グリシン(G)54がアスパラギン酸(D)により、アルギニン(R)57がグルタミン酸(E)により、トレオニン(T)109、114、155、158がセリン(S)により、そしてロイシン(L)143がグルタミン(Q)またはアスパラギン(N)またはアスパラギン酸(D)またはセリン(S)またはヒスチジンにより置換されている。
本発明の上記特徴による方法で使用されるCSFVのオートプロテアーゼNproの好ましい上記誘導体もまた、本発明の一部を形成するもので、下記のアミノ酸配列を含む:
配列番号52
Figure 0005101492
配列番号53
Figure 0005101492
配列番号54
Figure 0005101492
配列番号55
Figure 0005101492
配列番号56
Figure 0005101492
発現ベクターは、自己タンパク質分解切断的に切断される融合ポリペプチドの一部として対象ポリペプチドをコードしている。本発明によると、様々な対象ポリペプチドが、上記発現ベクターの使用により製造され得る。例えば、対象ポリペプチドは、薬理学的活性を呈するものであり、例えば、インターフェロン、インターロイキン、成長ホルモン、成長因子、サイトカイン、酵素、酵素阻害剤、抗体および抗体フラグメントなど、例えばインターフェロン・アルファ2A、インターフェロン・アルファ2B、インターロイキン−3、インターロイキン−6、ヒト成長ホルモン、(プロ)インスリン、インスリン様増殖因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子、マクロファージ−コロニー刺激因子、インターフェロン・ベータ1、ウシソマトロピン、ブタソマトロピン、インターロイキン11、インターロイキン−2、Fab−フラグメント、および小ペプチド、例えばカルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、またはグルカゴン、CD40リガンド可溶形態、プラスミノーゲン活性化因子、性ステロイド結合タンパク質、上皮増殖因子、組織因子細胞外ドメインから成る群から選択され得る。
さらに、対象ポリペプチドは、他の種類のポリペプチド、特に分析方法に特に適したポリペプチド、例えば緑色蛍光タンパク質などであり得る。
本発明による方法で使用される発現ベクターにおいて、融合ポリペプチドは、少なくとも1つの発現制御配列に機能し得るように結合されている。発現制御配列は、特に、プロモーター(例えばlac、tac、T3、T7、trp、gac、vhb、ラムダpLまたはphoAプロモーター)、リボソーム結合部位(例えば上記プロモーター、croに属する天然リボソーム結合部位または合成リボソーム結合部位)、または転写ターミネーター(例えば rrnT1T2またはbla)である。
ベクターはまた、下記によると、融合ポリペプチドのN−末端に存在し、そのアフィニティークロマトグラフィーシステムへの結合に必要とされる融合ドメイン、例えばポリリシンのようなポリアミノ酸または、免疫アフィニティークロマトグラフィーの場合に、通常は特異的抗体が利用可能である短いペプチド配列である、いわゆる「エピトープ標識」をコード化する配列を含み得る。特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能なよく知られているエピトープ標識には、FLAG、インフルエンザウイルス、血球凝集素(HA)、およびc−myc標識がある。
本発明の好ましい実施態様において、発現ベクターはプラスミドである。
形質転換された細菌宿主細胞、すなわち発現株は、自体公知の微生物学的実践法にしたがって培養される。
宿主株は、一般的に栄養培地での単コロニーから出発して培養されるが、低温保存細胞懸濁液(細胞バンク)を使用することも可能である。株は、一般にさらなる使用に向けて十分なバイオマスを得るために多段階プロセスで培養される。
小規模の場合、これは振とうフラスコで行われ得るため、ほとんどの場合、複合培地(例えばLBブロス)を使用することが可能である。しかしながら、規定培地(例えばクエン酸培地)を使用することも可能である。本発明の好ましい実施態様では、発現した融合ポリペプチドは不溶性封入体形態であるものとするため、これらの場合、比較的高温(例えば30℃または37℃)で培養を実施する。誘導系は、封入体の製造に特に適切である(例えばtrp、lac、tacまたはphoAプロモーターによる)。
大規模の場合、多段階システムは、複数のバイオリアクター(発酵槽)により構成されるが、規定栄養培地を使用するのが好ましい。さらに、特に栄養素を定量化すること(フィードバッチ)により、バイオマスおよび生成物の形成を増加させることもおおいに可能である。別法として、このプロセスは、同様に振とうフラスコで行なわれる。
本発明方法において、封入体は自体公知の方法で宿主細胞から単離される。
例えば、発酵が行なわれた後、宿主細胞を遠心分離、精密濾過、フロキュレーションまたはそれらの組合せにより、好ましくは遠心分離により採取する。含水細胞塊を、機械的、化学的または物理的手段、例えば高圧ホモジナイザー、ビーズミル、フレンチプレス、ヒューズプレス、浸透圧ショック、デタージェント、酵素溶解またはそれらの組合せにより崩壊する。好ましくは、細胞の破砕は、高圧ホモジナイゼーションにより行なわれる。組換え融合ポリペプチドが封入体として沈積する好ましい実施態様において、封入体は、例えば高圧分散法または、好ましくは低回転速度での単純遠心分離により得られる。封入体は、遠心分離または精密濾過またはその組合せにより単離される。次いで、対象目的ポリペプチドに関する純度は、例えばNaCl(例えば0.5〜1.0M)および/またはデタージェント(例えばトリトンX−100)の存在下で様々な緩衝液に封入体を何回も再懸濁することにより改善され得る。好ましくは、封入体調製物の純度は、様々な緩衝液(例、0.5%デオキシコレート、次いで1MのNaCl溶液で2回−および最後に蒸留水)による数回の洗浄工程により改善される。これによって、通常、外来ポリペプチドの大部分が封入体から除去される。
アフィニティークロマトグラフィーについての製造工程では、単離された封入体は可溶化される必要がある。
本発明は、クロマトグラフィーシステムへの適用前に、提供された融合ポリペプチドを、その自己タンパク質分解切断活性を阻害するカオトロピック条件下で可溶化することを特徴とする、上記製法に関するものである。
本明細書で使用されている「カオトロピック」の語は、分子内相互作用がほとんどまたは全く観察され得ない条件をいう。これらの条件は、例えばデタージェント、アルコール、尿素またはグアニジンHClの添加により達成され得る。ポリペプチドが異なれば、条件も異なり得る。しかしながら、それぞれのポリペプチドに応じて条件を調節することは、当業者の技能の範囲内である。
カオトロピック剤を用いて封入体を可溶化する。可溶化後、封入体を溶解し、分子内−および分子間相互作用が実質的に低減化された単分子懸濁液を得る。好ましい溶媒は、尿素、グアニジンHClおよびN−ラウロイルサルコシンのような強イオン性デタージェントである。本発明の別の実施態様でも、アルカリ性pHのアルコール水溶液または単にアルカリ性pHの水溶液を用いることにより、封入体を可溶化する。
本明細書で使用されている「可溶化」の語は、封入体を溶かすのに必要とされる過程をいう。可溶化により、分子内および分子間相互作用が最低限に抑えられたポリペプチドの単分子分散液が得られる。
本発明の範囲内における封入体の好ましい可溶化方法は、50mMトリス/HCl、8M尿素、pH7.3に懸濁し、酸化されたシステイン残基が存在する場合には、還元剤、例えば50mMのDTTを加えることにより実施される。
必要な場合、例えば、遠心分離により潜在的不溶性物質を除去することが可能である。
不活性融合ポリペプチドを細胞内で溶解し得るように製造する場合、澄明化された細胞ホモジネートを、可溶化封入体について下記で記載したさらなる後処理にかける。
可溶化されたポリペプチドをさらに希釈し、それをアフィニティークロマトグラフィーカラムにローディングすることにより、クロマトグラフィーシステムに適用する。本発明の範囲内では、自己タンパク質分解切断機能を呈する融合ポリペプチドの部分が選択的に認識され、変性カオトロピック条件下で結合されるようにクロマトグラフィーシステムを調節する。これらの条件下で、融合ポリペプチドを変性させ、不活性にする。カラムにおけるポリペプチドのプロセッシングの過程において、条件がリフォールディング的、コスモトロピックに変えられることにより、融合ポリペプチドはその天然立体配置に折り返され、自己タンパク質分解切断機能が活性化される。自己タンパク質分解切断機能を発揮する部分の結合は、条件が変化する間も維持される。
本明細書で使用されている「コスモトロピック」の語は、分子相互作用を促し、従って生物学的構造の形成を促進する条件をいう。分子が異なれば条件も異なり得る。アニオンとしてのクエン酸および硫酸イオン並びにカチオンとしての第4級アミンまたはアンモニウムイオンが最高のコスモトロピック効果を呈する。また、他の試薬、例えばデタージェントまたはレドックス系を導入することにより、リフォールディングが促進され得る。それぞれのポリペプチドに応じて条件を調節することは、当業者の技能の範囲内である。
原則として、カオトロピック条件下で融合ポリペプチドと選択的に結合し、コスモトロピック条件下で結合を維持し得るクロマトグラフィーシステムであれば全て、本発明の枠内で使用され得る。クロマトグラフィーシステムのマトリックスは、好ましい具体例では、カラム形態であり得るが、それはまた、ビーズまたは有機材料、例えばアフィニティーペプチドで修飾されたポリエチレングリコールといった他の形態でもあり得る。
本発明の範囲内での使用に適したクロマトグラフィーシステムは、セルロース結合ドメインに基づき得るもので、それらは、ポリカチオン系標識、例えばポリアルギニンまたはポリリシンを用いるカチオン交換クロマトグラフィーシステム並びにポリアニオン系標識、例えばポリアスパラギンによるアニオン交換クロマトグラフィーであり得る。
従って、本発明の範囲内において、アフィニティークロマトグラフィーシステムは、好ましくは固定化金属イオンクロマトグラフィー(IMAC)、カチオン交換クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、セルロース結合ドメインクロマトグラフィーおよびペプチドアフィニティークロマトグラフィーから成る群から選択される。
さらに好ましくは、使用されるアフィニティークロマトグラフィーシステムは、融合ポリペプチドがポリカチオン標識を含む、カチオン交換クロマトグラフィーである。さらに好ましいのは、ポリアルギニンまたはポリリシンアフィニティー標識の使用である。
カチオン交換クロマトグラフィーの場合、発現した融合ポリペプチドは、N−末端ポリカチオン系標識、例えばポリアルギニンまたはポリリシン標識を含む。宿主細胞から抽出される発現した融合ポリペプチドを含む溶液を(濾過し)、カチオン交換クロマトグラフィーに適した媒質、例えばSPセファロースFF、CMセファロースFF、フラクトゲルEMD SO3−で充填したカラムにローディングする。好ましくは、伝導率が低い緩衝液を適用する。ローディング後、非結合物質を洗い流し、尿素濃度が低い緩衝液を導入することにより、リフォールディングを開始させ得る。0.5M未満の尿素濃度で、標的タンパク質は切断され、カラムから溶出され得る。
本発明の別の好ましい実施態様は、アフィニティークロマトグラフィーシステムがアニオン交換クロマトグラフィーであり、融合ポリペプチドがポリアニオン系標識を含んでいるものである。さらに好ましくは、ポリアスパラギンをアフィニティー標識として使用する。
所望の結合特性を獲得するためのさらに好ましい実施態様は、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)である。
従って、本発明の好ましい実施態様では、アフィニティークロマトグラフィーシステムは、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)であり、融合ポリペプチドは、金属キレートアフィニティー標識を含む。
この場合、融合ポリペプチドは、それに含まれる金属キレートアフィニティー標識により検出および結合される。
本発明のさらに好ましい実施態様では、金属キレートアフィニティー標識は、ポリヒスチジンアフィニティー標識である。
IMACは、ヒスチジンまたは他の適切な特有のアミノ酸(タンパク質表面に天然に存在するかまたは組換えDNA技術で移植)および様々な固定化金属イオン、例えば銅、ニッケル、亜鉛または鉄イオン間の特異的な配位共有結合に基づいている。IMACでの使用について当業界で公知のクロマトグラフィー材料もまた本発明の範囲内において有用であり得る。本発明の好ましい実施態様では、Ni2+−キレーティング・セファロース・ファースト・フロー(GE Healthcare、ウプサラ、スウェーデン)がマトリックスとして使用される。
別法として、アフィニティークロマトグラフィーは、融合ポリペプチドのN−末端に存在し、上記標識を認識する抗体を介してクロマトグラフィーマトリックスに結合する上記エピトープ標識を用いる、免疫アフィニティークロマトグラフィーであり得る。
また、本発明の範囲内において、必要とされる結合特性を有する、好ましいアフィニティークロマトグラフィー方法は、オリゴペプチドリガンドを用いるアフィニティークロマトグラフィーである。
本明細書で使用されている「オリゴペプチド」の語は、少なくとも3個のアミノ酸を含む、タンパク質性化合物をいう。通常、上記オリゴペプチドは、35アミノ酸までの長さを有する。
従って、本発明の好ましい実施態様において、アフィニティークロマトグラフィーシステムは、トリプトファン残基を含む、5〜12アミノ酸長、さらに好ましくは6〜8アミノ酸長のオリゴペプチドリガンドであって、カオトロピック条件下で自己タンパク質分解切断機能を呈する融合ポリペプチドの一部に選択的に結合し、コスモトロピック条件下に向かって変化している間も結合を維持するリガンドを利用する。
アフィニティークロマトグラフィーのこの形態は、例えば抗体から知られている、ある種のポリペプチドの他のポリペプチドへの特異的結合を利用する。オリゴペプチドは、アフィニティーリガンドとしての役割も果たし得る。これらの分子は、高い化学的安定性、有効性、選択性、低価格を呈し、通常それらは毒性を示さない。特に生物薬剤的プロセスで適用されたとき、これらの特徴は有利なものとみなされる。標的分子に対して指向したペプチドリガンドは、当業者に公知の方法で、コンビナトリアルペプチドライブラリーまたは生物学的ライブラリーから同定され得る。本発明の場合、ペプチドリガンドについてのスクリーニングをカオトロピック条件下で実施した。
当業界で公知のペプチド合成方法は、本発明で用いられるオリゴペプチドリガンドの製造に適している。しかしながら、好ましくは、ペプチドリガンドは、SPOT合成法、PIN合成法、ティーバッグ合成法、Ruiwu Liu et al. Experimental Hematology 31(2003)11−30頁に記載された、混合および単離方法、または Joseph A. Buettner et al.、Int.J.Peptide Protein Res. 47(1996)、70−83頁に記載された、PELICAN法により生成される。第一アミノ酸の固定については、幾つかのリンカー化学作用が適用され得る。本発明の好ましい一例では、リガンドを、別々に生成し、その後クロマトグラフィーマトリックスに固定化する。本発明の別の好ましい実施態様では、ペプチドリガンドを、クロマトグラフィーマトリックスにおいて直接合成する。
オリゴペプチドリガンドは、高度の特異性を発揮する。本発明の範囲内で合成されるオリゴペプチドは、変性条件下でNpro、Npro誘導体およびその融合ポリペプチドと選択的に結合できることを特徴とする。本発明の範囲内において、上記オリゴペプチドリガンドを、自己タンパク質分解切断機能を呈する本発明融合ポリペプチドの部分に対して指向させる。
本発明のさらなる好ましい実施態様では、オリゴペプチドリガンドは、
配列番号6: VSIFEW
配列番号7: AVSIEWY
配列番号8: AVSFIWY
配列番号9: VSFIWYK
配列番号10:ASRFWYA
配列番号11:AFYTWYA
配列番号12:AFYRWYK
配列番号13:AFYRWY
配列番号14:AFYRWYA
配列番号15:AVSIFEWY
配列番号16:AVSRNWY
配列番号17:ASRFWY
配列番号18:AFYRWYAA
配列番号19:AFYRWY
配列番号20:ASRFWYAA
配列番号21:AFYRWYAA
配列番号22:AFYSWYAA
から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する:
本発明の範囲内において、オリゴペプチドリガンドは、遊離N−末端または遮断されたN−末端を有する形で使用され得、遮断は例えばアセチル化により達成される。
本発明実施態様で最も好ましいのは、配列番号5によるCSFVの天然Nproの誘導体を、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14から成る群から選択されるオリゴペプチドリガンドと組合せて使用する場合である。
従って、本発明はまた、固相およびこの固相にカップリングされたペプチド結合を含むアフィニティーリガンドを含むアフィニティーマトリックスを提供するもので、このペプチド結合を含むアフィニティーリガンドは、下記のリガンド:
a)式X(式中、X〜Xはアミノ酸残基であり、X〜Xのうち少なくとも2個はW、YまたはFである)を含むペプチド;
b)式X(式中、X〜Xはアミノ酸残基であり、X〜Xのうち少なくとも1個はWであり、X〜Xのうち少なくとも1個はEまたはDである)を含むペプチド;および
c)R、K、EおよびDから成る群のアミノ酸単量体およびY、FおよびWから成る群のアミノ酸単量体から成るポリ−アミノ酸、好ましくはポリ−KY、ポリ−KF、ポリ−KW、ポリ−RY、ポリ−RF、ポリ−RW、ポリ−EY、ポリ−DY、ポリ−EF、ポリ−EW、ポリ−DFおよびポリ−DW
から成る群から選択されるが、ただし、a)およびb)によるペプチドは、35アミノ酸残基の最大長を有し、c)によるポリ−アミノ酸は20アミノ酸残基の最小長を有するものとする。
これらのアフィニティーリガンドは、本明細書記載のオートプロテアーゼ分子への高い親和力を有し、特にNpro、その誘導体およびその融合タンパク質に結合する。具体的には、これらのリガンドまたはアフィニティーマトリックスは、カオトロピック条件下、およびコスモトロピック条件下でもNpro、その誘導体およびその融合タンパク質、例えば融合タンパク質の少なくともNpro−部分と結合する。
好ましくは、a)およびb)によるペプチド(本明細書では「オリゴペプチド」とも称す)は、5〜12個、特に6〜8個のアミノ酸残基長を有する。好ましくは、少なくとも1個の正に荷電したアミノ酸がこれらのオリゴペプチドには存在する。c)によるポリ−アミノ酸は、少なくとも35アミノ酸残基の好ましい長さ、さらに好ましくは少なくとも50アミノ酸残基、特に少なくとも100アミノ酸残基の長さを有する。特に好ましいポリ−アミノ酸は、例えば市販されている培養培地用ポリ−アミノ酸、例えばポリ−KW、4:1(MW20000〜50000Da;SIGMA製品番号P9285)、ポリ−KY、4:1(MW20000〜50000Da;SIGMA製品番号P4695)またはポリ−KF、1:1(MW20000〜50000Da;SIGMA製品番号P3150)である。
本発明によるアフィニティーリガンドは、化学的に修飾され、特にアセチル化、エステル化、アミド化、酸化、還元またはリンカー分子により提供され得る。
アフィニティーリガンドは、好ましくは共有結合により固体マトリックスに結合される。
固相材料としては、当分野で既に適用されている材料であれば全て適している。好ましくは、固相は、クロマトグラフィー材料、特にセルロース、アガロース、アクリルアミド、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)またはエチレングリコール−メタクリレートコポリマーに基づく支持体、マイクロタイタープレート、ニトロセルロース膜、マイクロチップ、ガラスプレートまたは金属被覆支持体から成る群から選択される。
本発明によると、様々なタイプの固相支持体、例えばセルロース、アガロース(Sepharose またはMacro‐Prepゲル)、デキストラン(Sephadex ゲル)、アクリルアミド(Sephacryl、Trisacryl ゲル)、シリカ(TSK、SWゲル)、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)(SourceまたはPorosゲル)、エチレングリコール−メタクリレートコポリマー(Toyopearl HW、TSK、PW、フラクトゲルEMDゲル)または特にアガロースおよびデキストラン(Superdex ゲル)の混合物に基づく支持体が使用され得る。アメリカの所管官庁(FDA、すなわち食品医薬品局)または欧州連合機関により人体または獣医学的使用について承認されている支持体が特に選択される。さらに、選択された支持体は、好ましくは共有結合により本発明アフィニティーリガンドに結合されなければならない(支持体は官能化されたと言われる)。固相マトリックスは、マトリックスバックボーンとして、タンパク質および他の生体分子の固相単離において適用可能である自体公知の天然または合成および有機または無機材料、例えば天然または合成多糖類、例えば寒天およびアガロース;セルロース、セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース;澱粉;ゴム類、例えばグアールガム、およびアラビアゴム、ガティガム、トラガカントゴム、イナゴマメガム、キサンタンガム;ペクチン;ムチン;デキストラン;キチン;キトサン;アルギネート;カラゲーニン;ヘパリン;ゼラチン;合成ポリマー、例えばポリアミド、例えばポリアクリルアミドおよびポリメタクリルアミド;ポリイミド;ポリエステル;ポリエーテル;ポリマービニル化合物、例えばポリビニルアルコールおよびポリスチレン;ポリアルケン;無機材料、例えば珪質材料、例えば非晶質シリカおよび石英を含む二酸化珪素;シリカ;金属珪酸塩、多孔質グラス(CPG)およびセラミック;金属酸化物および硫化物、またはこれらの天然または合成および有機または無機材料の組合せを含み得る。
マトリックスバックボーンは、好ましくは寒天、アガロース、セルロース、セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアミド、例えばポリアクリル(ポリメタクリル)−アミド、ポリビニルアルコール、シリカおよび多孔質グラス(CPG)から選択される。
マトリックスバックボーンとして特に興味深い固相材料は、例えば寒天またはアガロースビーズ、例えばスウェーデン国、Pharmacia BiotechのSepharose および Superose ビーズおよび米国、BioradのBiogel A;デキストランベースのビーズ、例えば Pharmacia BiotechのSephadex;セルロースベースのビーズおよびメンブラン、例えばチェコスロバキア国、SechezaのPerloza セルロース;合成ビーズ、例えば Sephacryl および Superdex、Pharmacia Biotech;合成有機ポリマーのビーズ、例えば米国、Toso-HaasのFractogel;米国、Perceptive BiosystemsのPOROS 媒質、米国、Bioradの Bio-Rex、Bio-Gel P および Macro Prep、TESSEKのHEMAおよび Separon および BioSepraのHyper D および Trisacryl 媒質、米国3MのEnzacryl および Azlactone;珪質材料、例えば多孔質グラス(CGP)のビーズ、英国BioprocesingのPROSEPおよび BioSepraのSpherocil、およびビーズまたは膜形態でのコーティングしたシリカ合成物、例えば米国、Arbor TechnologiesのACTI-DISK、ACTI-MOD および CycloSepである。
典型的には、固相マトリックスバックボーン、および得られた官能化固相マトリックスは、例えば、不規則な粒子または球状ビーズ、膜またはシート、成形表面、またはスティック形態であり得る。さらに固相材料は、タンパク質に対して全体的または部分的透過性または完全に非透過性であり得る。本発明の特に興味深い実施態様では、マトリックスは、サイズが1〜10000μm、好ましくは10〜1000μm、高性能適用については例えば10〜60μmおよび調製目的の場合は例えば50〜500μm、好ましくは50〜300μmの範囲である不規則または球状ビーズ形態である。
マトリックスの特に興味深い形態は、密度調整粒子を含む集塊形態の密度制御型マトリックスである。これらの集塊は、流動または拡張床クロマトグラフィーおよび非充填カラム、例えば攪拌タンクにおける単純なバッチ吸着での種々のバッチ式クロマトグラフィー技術に関する大規模操作において特に適用可能である。
本発明によるアフィニティーリガンドは、本発明によるアフィニティーリガンドおよび固相物質間の直接的化学反応により、または本質的にマトリックスバックボーンおよびリガンドの結合を可能にすることが知られている適切な試薬での固相物質またはリガンドの上記活性化により、本質的にこの目的に関して適用可能であることが知られているあらゆるタイプの共有結合によって固相物質に結合され得る。上記の適切な活性化試薬の例は、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、アリル−グリシジルエーテル;ビス−エポキシド、例えばブタンジオールジグリシジルエーテル;ハロゲン−置換脂肪族化合物、例えばジクロロプロパノール、ジビニルスルホン;カルボニルジイミダゾール;アルデヒド、例えばグルタルジアルデヒド;キノン;臭化シアン;過ヨウ素酸塩、例えばメタ過ヨウ素酸ナトリウム;カルボジイミド;クロロ−トリアジン、例えば、シアヌル酸クロリド;スルホニルクロリド、例えばトシルクロリドおよびトレシルクロリド;N−ヒドロキシスクシンイミド;2−フルオロ−1−メチルピリジニウム トルエン−4−スルホネート;オキサゾロン;マレイミド;ピリジルジスルフィド、およびヒドラジドである。これらの中で、単結合とは異なるスペーサー基SP1を残す活性化試薬、例えばエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、アリル−グリシジルエーテル、ビス−エポキシド、ハロゲン置換脂肪族化合物;ジビニルスルホン、アルデヒド、キノン、臭化シアン、クロロ−トリアジン、オキサゾロン、マレイミド、ピリジルジスルフィド、およびヒドラジドが好ましい。
特に興味深い活性化試薬は、エポキシ化合物、例えばエピクロロヒドリン、アリル−グリシジルエーテルおよびブタンジオールグリシジルエーテルであると考えられる。
本発明の範囲内におけるペプチドアフィニティークロマトグラフィーについては、ペプチドリガンドの固定化に有用なものであればいかなるマトリックスでも使用され得る。好ましくは、ドイツ国、ダルムスタットのMerckによる、フラクトゲルエポキシ(M)または同じく好ましい「モノリシッククロマトグラフィー媒質」CIM−エポキシが使用される。リガンドは、クロマトグラフィーマトリックスの化学的に活性化されたバックボーンに直接、またはスペーサーまたはリンカーを介して固定化され得る。後者の場合、スペーサーをクロマトグラフィーマトリックスにカップリングさせ、次いでそのスペーサーを化学的に活性化することにより、リガンドを結合させ得る。好ましくは、フラクトゲルエポキシマトリックスを、スペーサーと組合せて使用する。
本発明の特に好ましい実施態様では、クロマトグラフィーマトリックスとジアミノジプロピルアミン(DADPA)との反応、およびそれに続く無水コハク酸(SA)との反応によりスペーサーを生成させる。生成したスペーサー上の末端カルボキシ基を化学的に活性化し、好ましくは末端アミノ−基に結合させる。リガンドを、それが含む反応基を介してマトリックスまたはスペーサーに固定化する。ペプチドリガンドの場合、上記反応基は、アミノ、カルボキシまたはスルフヒドリル基であり得る。本発明の範囲内では、アミノ結合を介してマトリックスまたはスペーサーにペプチドを固定するのが特に好ましい。
好ましくは、特にアフィニティークロマトグラフィー材料として提供されている、本発明によるアフィニティーマトリックスは、上記a)およびb)記載のオリゴペプチドリガンドを呈する。
本明細書で使用されている「オリゴペプチド」の語は、少なくとも3個のアミノ酸を含む、タンパク質性化合物をいう。通常、上記オリゴペプチドは、35個のアミノ酸長、好ましくは4〜20個のアミノ酸残基長を有する。
従って、本発明の好ましい実施態様において、アフィニティークロマトグラフィーシステムは、特にトリプトファン残基を含む、5〜12アミノ酸長、さらに好ましくは6〜8アミノ酸長のオリゴペプチドリガンドであって、カオトロピック条件下で自己タンパク質分解切断機能を発揮する融合ポリペプチドの部分に選択的に結合し、コスモトロピック条件下でもそれに向かう変化の間結合を維持するリガンドを利用する。
アフィニティークロマトグラフィーのこの形態は、例えば抗体から知られている、ある種のポリペプチドの他のポリペプチドへの特異的結合を利用する。オリゴペプチドは、アフィニティーリガンドとしての役割も果たし得る。これらの分子は、高い化学的安定性、有効性、選択性、低価格であり、通常それらは毒性を示さない。特に生物薬剤的プロセスで適用されたとき、これらの特徴は有利なものとみなされる。標的分子に対して指向したペプチドリガンドは、当業者に公知の方法で、コンビナトリアルペプチドライブラリーまたは生物学的ライブラリーから同定され得る。本発明の場合、ペプチドリガンドについてのスクリーニングをカオトロピック条件下で実施した。
本発明によるこれらのアフィニティーリガンドは、具体的には、例えば4M尿素といった、変性条件下でNproおよびNpro−融合タンパク質(およびその突然変異体であるかまたはそれを含むタンパク質)に結合し得る能力を特徴とすることが判明した。
当業界で公知のペプチド合成方法は、本発明で用いられるオリゴペプチドリガンドの製造に適している。しかしながら、好ましくは、ペプチドリガンドは、SPOT合成法、PIN合成法、ティーバッグ合成法、Ruiwu Liu et al. Experimental Hematology 31(2003)11−30頁に記載された、混合および単離方法、または Joseph A. Buettner et al.、Int.J.Peptide Protein Res. 47(1996)、70−83頁に記載された、PELICAN法により生成される。第一アミノ酸の固定については、幾つかのリンカー化学作用が適用され得る。本発明の好ましい一例では、リガンドを、別々に生成し、その後クロマトグラフィーマトリックスに固定化する。本発明の別の好ましい実施態様では、ペプチドリガンドを、クロマトグラフィーマトリックスにおいて直接合成する。
オリゴペプチドリガンドは、高度の特異性を発揮する。本発明の範囲内で合成されるオリゴペプチドは、変性条件下でNpro、Npro誘導体およびその融合ポリペプチドと選択的に結合できることを特徴とする。本発明の範囲内では、上記オリゴペプチドリガンドを、自己タンパク質分解切断機能を呈する本発明融合ポリペプチドの部分に対して指向させる。
本発明のさらなる好ましい実施態様において、オリゴペプチドリガンドは、VSIFEW、AVSIEWY、AVSFIWY、VSFIWYK、ASRFWYA、AFYTWYA、AFYRWYK、AFYRWY、AFYRWYA、AVSIFEWY、AVSRNWY、ASRFWY、AFYRWYAA、AFYRWY、ASRFWYAA、AFYRWYAAおよびAFYSWYAAから成る群から選択されるアミノ酸配列を有する。
本発明の範囲内において、オリゴペプチドリガンドは、遊離N−末端または遮断されたN−末端を有する形で使用され得、遮断は例えばアシル(アセチル)化により達成される。
本発明実施態様で最も好ましいのは、配列番号5によるCSFVの天然に存するNproの誘導体(この突然変異体のアミノ酸配列は、(野生型における「RGDIR」の代わりに)残基53〜57の配列モチーフ「EDDIE」を有するため、この突然変異体(およびこのモチーフを含む他の突然変異体)を本明細書では「EDDIE」−突然変異体と称す)を、ASRFWYA、AFYTWYA、AFYRWYK、AFYRWYおよびAFYRWYAから成る群から選択されるオリゴペプチドリガンドと組合せて使用する場合である。
従って、好ましいアフィニティーリガンドは、VSDDWY、VSEDWY、VSIDWY、VSYDWY、VSVDWY、VSWDWY、VSYDWY、VSFDWY、VSDEWY、VSEEWY、VSIEWY、VSYEWY、VSVEWY、VSWEWY、VSYEWY、VSFEWY、DDDDWY、DDEDWY、DDIDWY、DDYDWY、DDVDWY、DDWDWY、DDYDWY、DDFDWY、VSIFWE、FSIFEW、WSIFEW、VSLIWY、VSLIDW、VSLIEW、VSLIWE、FSLEEW、VSDLDW、VSDLEW、VSYIDW、VSYIWE(これらのペプチドは全て、pH5.5でNproと結合している)、VSIDWY、VSIEWY、VSIWWY、VSIIWY、VSYIWY、VSVIWY、VSFIWY、VSFIWE、VSIFEW、VSIFWE、FSIFEW、WSIFEW、VSLIWY、VSLIDW、VSLIEW、VSLIWE、FSLIEW、WSLIEW、FSYFEW、FSFYEW、WSFYEW、FSYIEW、WSYIEW(これらのペプチドは全て、pH7.3でNproと結合している)、AFYTWYA、AFYRWYK、AFYRWY、AFYRWYA、AFFRWYA、AFGRWYA、AFHRWYA、AFIRWYA、AFLRWYA、AFMRWYA、AFNRWYA、AFPRWYA、AFQRWYA、AFRRWYA、AFSRWYA、AFTRWYA、AFVRWYA、AFYRWYA、AFYFWYA、AFYGWYA、AFYLWYA、AFYMWYA、AFYNWYA、AFYPWYA、AFYTWYA、AFYVWYA、AFYWWYA、AFYYWYA、AKWFRYA、VSRNWY、ASRNWYA、ASRFWYA、FSRNWYA、VFRNWYA、VWRNWYA、VYRNWYA、VSRAWYA、VSRFWYA、VSRWWYA、VSRYWYA、VSRNFYA、VSRNYYA、VSRNWFA、VSRNWWA(これらのペプチドは全て、アミノ酸残基53〜57にEDDIEモチーフをもつNpro突然変異体に対し特に高い親和力を有する)、Ac−AFYTWYAK、Ac−AFYRWYKK、Ac−AFYRWYK、Ac−AFYRWYAK、Ac−AFFRWYAK、Ac−AFGRWYAK、Ac−AFHRWYAK、Ac−AFIRWYAK、Ac−AFLRWYAK、Ac−AFMRWYAK、Ac−AFNRWYAK、Ac−AFPRWYAK、Ac−AFQRWYAK、Ac−AFRRWYAK、Ac−AFSRWYAK、Ac−AFTRWYAK、Ac−AFVRWYAK、Ac−AFYRWYAK、Ac−AFYFWYAK、Ac−AFYGWYAK、Ac−AFYLWYAK、Ac−AFYMWYAK、Ac−AFYNWYAK、Ac−AFYPWYAK、Ac−AFYTWYAK、Ac−AFYVWYAK、Ac−AFYWWYAK、Ac−AFYYWYAK、Ac−AKWFRYAK、Ac−VSRNWYK、Ac−ASRNWYAK、Ac−ASRFWYAK、Ac−FSRNWYAK、Ac−VFRNWYAK、Ac−VWRNWYAK、Ac−VYRNWYAK、Ac−VSRAWYAK、Ac−VSRFWYAK、Ac−VSRWWYAK、Ac−VSRYWYAK、Ac−VSRNFYAK、Ac−VSRNYYAK、Ac−VSRNWFAK、Ac−VSRNWWAK、YWKA、Ac−YWKAK、YKYA、Ac−YKYAK、YWRA、Ac−YWRAK、ARWY、Ac−ARWYK、YWRA、Ac−YWRAK(これらの全ペプチドについては、N−末端アセチル化およびC−末端リシン化故に、基質への固定化能力が改善されている)から成る群から選択される。
本発明の範囲内におけるペプチドアフィニティークロマトグラフィーについては、ペプチドリガンドの固定化に有用なものであればいかなるマトリックスでも使用され得る。好ましくは、ドイツ国、ダルムスタットのMerckによる、フラクトゲルエポキシ(M)または同じく好ましい「モノリシッククロマトグラフィー媒質」CIM−エポキシが使用される。リガンドは、クロマトグラフィーマトリックスの化学的に活性化されたバックボーンに直接、またはスペーサーまたはリンカーを介して固定化され得る。後者の場合、スペーサーをクロマトグラフィーマトリックスにカップリングさせ、次いでそのスペーサーを化学的に活性化することにより、リガンドを結合させ得る。好ましくは、フラクトゲルエポキシマトリックスを、スペーサーと組合せて使用する。
本発明の特に好ましい実施態様では、クロマトグラフィーマトリックスとジアミノジプロピルアミン(DADPA)との反応、およびそれに続く無水コハク酸(SA)との反応によりスペーサーを生成させる。生成したスペーサー上の末端カルボキシ基を化学的に活性化し、好ましくは末端アミノ基に結合させる。リガンドを、それが含む反応基を介してマトリックスまたはスペーサーに固定化する。ペプチドリガンドの場合、上記反応基は、アミノ、カルボキシまたはスルフヒドリル基であり得る。本発明の範囲内では、アミノ結合を介してマトリックスまたはスペーサーにペプチドを固定するのが特に好ましい。
クロマトグラフィーシステムへの融合ポリペプチドの結合が達成されると、非結合汚染成分はカラムから容易に洗い流され得る。上記汚染化合物は、例えば封入体に吸蔵または吸着されていたもので、可溶化後のポリペプチド溶液中に残存している宿主細胞ポリペプチドおよび核酸、並びに酵素的細胞破壊からの残留成分であり得る。洗浄後、融合ポリペプチドのみがカラムに結合された状態で残存するため、下記の工程は精製系で実施される。
融合ポリペプチドの結合は、カオトロピック性の不活化条件下で確立される。リフォールディングを誘導するため、条件をコスモトロピック性に変える。
好ましい実施態様において、融合ポリペプチドのリフォールディング段階は、緩衝液の交換により条件をカオトロピック性からコスモトロピック性に変えることにより遂行される。
別法として、緩衝液を徐々にまたは即座にコスモトロピック条件に変えることもできる。本発明の好ましい一例では、カオトロピック性緩衝液とコスモトロピック性緩衝液の交換は、プラグとして緩衝液を適用することにより、即座に実施される。本発明の同じく好ましい別の実施態様では、緩衝液の交換を徐々に実施する。
緩衝液交換が温度調節を有するものであれば、カラムへの融合ポリペプチドの結合および/または上記融合ポリペプチドのリフォールディングおよび切断は簡便化され得る。これは、例えば、冷却/加熱ジャケットにより導入され得る。従って、好ましい実施態様では、冷却/加熱ジャケットを温度調節用に適用する。さらに好ましくは、緩衝液をその適用前に所望の温度に到達させておく。こうして、上記温度調節が達成される。
充填床で条件が変化すると、融合ポリペプチドがリフォールディングし始め、自己タンパク質分解切断機能を発揮する部分が活性状態になる。その結果、対象C−末端融合ポリペプチドが、自己タンパク質分解部分の特異性により特定される独特な部位で切断されることにより、対象ポリペプチドの相同N−末端が生成される。融合ポリペプチドのリフォールディングに要求される時間によって、カオトロピック緩衝液が全て充填床から除去されたとき、コスモトロピック緩衝液による移動相の速度は低下するかまたは停止する。リフォールディングが完了後、コスモトロピック緩衝液をさらに供給することにより、遊離した対象ポリペプチドを充填床から洗い流す。融合ポリペプチドおよび非切断融合ポリペプチドのN−末端自己タンパク質分解切断部分を、慣用的手段、例えば高い塩濃度、pH−変化またはNaOHにより溶出し、クロマトグラフィー物質をリフォールディングさせる。リフォールディングさせるため、吸着剤からオートプロテアーゼを単離する緩衝液で充填床を洗浄する。これらの緩衝液は、酸性またはアルカリ性溶液または有機溶媒を含む。出発緩衝液/カオトロピック性緩衝液による再平衡後、次のサイクル用に充填床を準備する。
切断速度が希望するほど高くない場合もあり得るため、必要時には、リフォールディング段階中にカラムから洗い流される非切断融合ポリペプチドは、本発明によるクロマトグラフィープロセスの別のサークルへ再注入され得る。
対象遊離ポリペプチドは、所望により部分的または完全リフォールディング状態でそれぞれの緩衝液の選択により得られる。本発明の範囲内において、流出液中の対象ポリペプチドは、部分的または好ましくは完全にリフォールディングされている。本発明の一例では、融合ポリペプチドの自己タンパク質分解切断活性部分のリフォールディングは完全なものであり得、対象ポリペプチドは部分的に未リフォールディングのままである。この状況は、例えば対象ポリペプチドが、非常に複雑な立体配座、例えば二または三量体化を含むか、補欠分子族または補因子を含むときに起こり得る。対象である上記ポリペプチドは、リフォールディングを完全なものにするために特定の条件を必要とし得る。従って、上記の場合、折りたたみは、例えばプロトン強度またはpHまたは通常はリフォールディング中に加えられるデタージェントの完全除去といった特殊な条件を生じさせ得る独立した段階で完成され得る。
本発明の範囲内において、条件は、融合ポリペプチドがカラムに吸着されたままである状態であるように変えられ得る。
本発明はまた、本発明による使用について上記で述べたオリゴペプチドリガンドおよびCSFVのNproの誘導体について開示している。本発明はまた、本発明による上記のオリゴペプチドおよびCSFVのNproの誘導体の使用に関するものである。
特に断らなければ、本明細書で使用されている技術および科学用語は全て、通常レベルの当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。
以下、実施例により本発明についてさらに説明するが、それらは単なる実例に過ぎず、限定を意図したものではない。特に、実施例は、本発明の好ましい実施態様に関するものである。
実施例1:
ペプチドアフィニティークロマトグラフィーおよび種々の融合ポリペプチドを利用する、本発明による異種ポリペプチドの製造
1.1.ペスチウイルスのNproオートプロテアーゼを利用する異種ポリペプチドの製造
この実施例は、ペスチウイルスオートプロテアーゼ6×His−Nproの融合ポリペプチドとしてのGFPmut3.1の製造について記載しており、リフォールディングおよび切断については、ペプチドアフィニティーマトリックスで実施する。
以後の実施例においてNproとの融合構築物で使用されているGFPmut3.1は、大腸菌(E.coli)での製造用に最適化されたGFPの突然変異体である。GFPmut3.1は、下記のアミノ酸置換をもつ:S2はRにより置換され、S65はGにより、そしてS72はAにより置換されている。6H−sNp−Gmut3.1−pET30aと命名された融合構築物全体の配列の178〜415位を、GFPmut3.1の配列と称す。
ベクター6H−sNp−Gmut3.1−pET30aの構築について、下記1.2.1.1および1.2.1.2項に記載する。
下記1.2.2記載の要領で宿主細胞の形質転換を実施する。
1.1.1 クロマトグラフィー設備
実施例1におけるクロマトグラフィー操作を、AKTA 100 Explorer クロマトグラフィーシステム(Amersham Biosciences)で実施する。調製したペプチドアフィニティー吸着剤を、HR5カラム(内径5mm、Amersham Biosciences)に充填する。ゲル体積は約1mlである。
1.1.2 オリゴペプチドリガンドの調製
実施例1で使用するオリゴペプチドリガンドを下記の方法で調製する:
433Aペプチド合成装置(Applied Biosystems、ウィーン、オーストリア国)においてFmoc−保護アミノ酸(Bachem、ブーデンドルフ、スイス国)の1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール/N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(HOBt/DCC)−活性化により固相ペプチド合成を実施する。4−ヒドロキシメチル−フェノキシメチル−コポリスチレン−1%ジビニルベンゼン樹脂(HMP樹脂、Wang 樹脂)でペプチドを合成する。側鎖用の保護基は、チロシン、セリンおよびトレオニンについてはtert−ブチル(t−Bu)であり、グルタミン酸およびアスパラギン酸の場合はOtBuであり、リシンおよびトリプトファンの場合はtert−ブトキシカルボニル(Boc)であり、システイン、ヒスチジン、アスパラギンおよびグルタミンについてはトリチル(Trt)である。第1アミノ酸のカップリングについては、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を触媒として使用する。第1アミノ酸のカップリング後、無水安息香酸を用いることによりキャッピング工程を実施する。Fmoc基の脱保護を、20%ピペリジンにより実施する。側鎖脱保護および樹脂からの切断を、95%トリフルオロ酢酸(TFA)、2.5%水および2.5%トリイソプロピルシラン(TIS)を含有する切断混合物との反応により実施する。ジクロロメタン(DCM)による洗浄後、粗ペプチドを、エーテル沈澱の反復、次いで凍結乾燥により精製する。30ml/分で5〜50%アセトニトリル対水(0.1%TFA)の直線勾配を用い、P3500ポンプ(Amershama Biosciences、ウプサラ、スウェーデン国)を備えた Luna 15μ C18(2)250×21.2mmカラム(Phenomenex、トレンス、カリフォルニア、米国)でのRP−HPLCによりペプチドをさらに精製する。1分当たり1%アセトニトリルの直線勾配でLuna 3μ C18(2)100×4.6mmカラム(Phenomenex)を用いるHP1090液体クロマトグラフ(Hewlett Packard、米国)での分析的RP−HPLCにより純度を確認する。マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(ThermoBioanalysis、ヘンプステッド、英国)により、等質性および同一性を確認する。
1.1.3 アフィニティーマトリックスの調製
実施例1で使用されるアフィニティーマトリックスを、下記の方法で製造する:
10gのFractogel エポキシ(M)(Merck、ダルムシュタット、ドイツ国)を、室温で48時間、50mlの1Mジアミノジプロピルアミン(DADPA)と反応させる。反応後、ゲルを50mlの10mMのHClおよび3×50mlの水で洗浄する。ゲルを水に再懸濁し、0.1MのNaOHの添加によりpHを7.0に調節し、2gの無水コハク酸を加える。30分緩やかに攪拌した後、10MのNaOHを加えることにより、pHを7.0に調節し、さらに2gの無水コハク酸を加える。さらに30分攪拌後、ゲルを50mlの0.1MのNaOH、50mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)、3×50mlの水および20%エタノールで洗浄する。吸引乾燥後、ゲルを4℃で貯蔵する。
1.1.4 カルボキシ基の活性化およびペプチドの固定化:
実施例1によるアフィニティーマトリックスを下記の方法で活性化する:
1gの含水Fractogelを、1.1.3章記載の要領でDADPA−SAスペーサーにより修飾し、5mlのアセトニトリルで2回洗浄する。3時間、アセトニトリルに溶かした3mlの0.1Mのスクシンイミジル−トリクロロエチルカーボネートおよび0.1Mのトリエチルアミンで活性化を行う。それに続いてゲルをアセトニトリルおよび1mMのHClで洗浄する。ペプチドAFYRWYAを、3mg/mlの濃度でPBSに溶かす。5mlのペプチド溶液を、迅速にゲルに加え、24時間反応させる。ペプチドVSFIWYKを、0.1Mトリエチルアミン含有ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かす。5mlのペプチド溶液を、迅速にゲルに加え、24時間反応させる。カップリングの前後における試料のRP−HPLCにより、カップリング収率を測定する。
CIM−エポキシにおけるペプチドの固定化:
0.15MのNaClを含む100mMのNaCO緩衝液(pH10.0)にペプチドを溶かす。CIMディスクを、製造業者が供給したカートリッジに据え付け、室温で48時間、循環モードでP1ポンプ(Amersham Biosciences)を用いることにより、ペプチド溶液をゆっくりとディスクを通してポンプ輸送する。カップリングの前後における試料のRP−HPLCにより、カップリング収率を測定する。カップリング後、残存するエポキシ基を、48時間0.5Mのエタノールアミン(pH10.0)で遮断する。
1.1.5 融合ポリペプチドの発現
6×His標識を有するN−末端オートプロテアーゼNproおよびC−末端融合GFPmut3.1を含む融合ポリペプチドを発現する組換え大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)を、10l−発酵槽中で培養する。融合ポリペプチドは、下記のアミノ酸配列を含む:
配列番号23:
Figure 0005101492
細菌性宿主細胞、すなわち発現株を、自体公知の微生物学的実践法にしたがって培養する。栄養培地における単コロニーから出発して株を全般的に成長させるが、低温保存の細胞懸濁液(細胞バンク)を使用することも可能である。この株を、多段階プロセスで全般的に培養することにより、さらなる使用に十分なバイオマスが入手される。
小規模であれば、これを振とうフラスコ中で行うことができ、ほとんどの場合複合培地(例えばLBブロス)を使用することが可能である。しかしながら、規定培地(例えばクエン酸培地)を使用することも可能である。培養法については、小量の宿主株前培養物(単コロニーまたは低温培養からの細胞懸濁液を接種)を生育するが、この培養法における温度は後の発現結果にとっての重大な因子ではないため、比較的高温(例えば30℃または37℃)で常用的に操作することが可能である。主培養は大量(例えば500ml)で設定され、その場合、良好な通気状態を確保することが特に必要である(内容物の体積と比べて大容量のフラスコ、高速回転速度)。発現は不溶性封入体形態で行われる予定であるため、主培養はほとんどの場合比較的高温(例えば30または37℃)で実施される。誘導系は封入体の製造に特に適している(例えばtrp、lac、tacまたはphoAプロモーターによる)。後期対数相に(通常振とうフラスコ中、0.5〜1.0の光学密度で)達した後、これらの場合には誘導物質(例えばインドールアクリル酸、イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド=IPTG)を加え、インキュベーションを1〜5時間続行する。この間、Npro融合ポリペプチドの大部分は封入体として細菌の細胞質に沈積される。それらの細胞は採取され、さらなるプロセッシングにかけられ得る。
さらに大規模の場合、多段階システムは、複数のバイオリアクター(発酵槽)により構成され、この場合、この工程のプロセス工学技術的制御を改良し得るためには規定栄養培地を使用するのが好ましい。さらに、特に栄養素の量を調節することにより(フィードバッチ)、バイオマスおよび生成物の形成を増加させることも大いに可能である。さもなければ、この工程は振とうフラスコの場合と同様に行なわれる。例えば、予備段階発酵槽および主段階発酵槽を使用し、振とうフラスコの場合と類似した培養温度を選択する。予備段階発酵槽に、振とうフラスコにおいて単コロニーまたは低温培養物から全般的に生育されたいわゆるイノキュラムを接種する。また、良好な通気状態および十分な誘導物質濃度が発酵槽において−および特にその主段階において確保されなければならない。しかしながら、場合によっては、誘導期は、振とうフラスコの場合と比べて明らかに長いものとしなくてはならないこともある。それらの細胞をもう一度さらなるプロセッシング用に送達させる。
1.1.6 封入体の単離
採取後、細胞(580g含水重量)を、2500mlの50mMのトリス/HCl、5mMのEDTA、1%トリトンX−100、pH8.0に懸濁する。冷蔵懸濁液を800barで3回APV−2000高圧ホモジナイザー(Invensys)に通すことにより、細胞を破壊する。通過させる間、懸濁液を氷上で冷却し、Ultraturraxを用いてホモジネートする。ホモジネートを低速での遠心分離(JLA 10.500、7500rpm、30分)にかけることにより、組換え融合ポリペプチドを含む封入体を得る。
1.1.7 封入体の可溶化
沈澱物を50mMのトリス/HCl、5mMのEDTA、1%トリトンX−100、pH8.0に懸濁し、遠心分離にかける。この処理を反復する。HO−洗浄処理後、沈澱物をHOに懸濁する。得られた封入体−懸濁液を−20℃でさらなる使用時まで貯蔵する。封入体−懸濁液を、室温で50mMのトリス/HCl、10Mの尿素、50mMのDTT、pH7.3により1:5に希釈する。不溶性成分を遠心分離により除去する。約15mg/mlのポリペプチド濃度を得る。ポリペプチド溶液を50mMのトリス/HCl、100mMのNaCl、4Mの尿素、pH7.3で希釈することにより、約2mg/mlのポリペプチド濃度に到達させる。
1.1.8 クロマトグラフィーカラムへの融合ポリペプチドの結合
0.5mlのポリペプチド溶液を、Fractogel−DADPA−SA−VSFIWYK(0.5×5cm)マトリックスに適用し、それぞれのペプチドの調製およびカップリングを上記1.1.2および1.1.3の要領で実施する。50cm/時の直線的流速で50mMのトリス/HCl、100mMのNaCl、4Mの尿素、pH7.3によりカラムを平衡状態にする。試料注入後、流速を150cm/時まで高める。
1.1.9 非結合汚染物質の洗浄
非結合成分を、5倍カラム容量の平衡緩衝液で洗浄する。リフォールディング緩衝液、特に0.5Mのトリス/HCl、2mMのEDTA、3%グリセリン、5mMのDTT、pH7.3への緩衝液交換を4.5倍カラム容量で実施する。
1.1.10 リフォールディング、切断および溶出
カオトロピックからコスモトロピックへ条件を変えた後、流れを止めることにより、融合ポリペプチドを25時間クロマトグラフィー樹脂においてリフォールディングさせる。活性オートプロテアーゼは、C−末端融合GFPmut3.1を切断させる。それに続いて流速50cm/時でリフォールディング緩衝液により溶出すると、蛍光測定法およびSDS−PAGEにより確認される、精製天然GFPmut3.1が得られる。
1.1.11 リフォールディング
クロマトグラフィー樹脂のリフォールディングを、50cm/時の流速で0.1MのNaOHにより実施する。
1.2 ペスチウイルスのNproオートプロテアーゼ誘導体を利用する異種ポリペプチドの製造
この実施例では、ペスチウイルスオートプロテアーゼNproの突然変異体:6×His−NproEDDIEの融合ポリペプチドとしてのGFPmut3.1の製造について記載しており、リフォールディングおよび切断をペプチドアフィニティーマトリックスで実施する。
オリゴペプチドリガンドおよびアフィニティーマトリックスの製造を実施例1.1記載の要領で実施し、実施例1.1で記載したのと同じクロマトグラフィー設備を使用する。
1.2.1 プラスミドの構築:
1.2.1.1 7H−Np−Gmut3.1−pET30aプラスミドの構築:
N−末端に7−His標識を含むN−末端先端切除型Nproについての遺伝子を含むDNAフラグメントを、NP6−pET(Sandoz)プラスミドからのPCRプライマー対:
T7−pET(配列番号24):
Figure 0005101492
proR−Kpn(配列番号25):
Figure 0005101492
により増幅し、NdeIおよびKpnI(Asp718)制限部位を介してpET−30a(#69909−3、2002−2003カタログ、Novagen、CN Biosciences Inc.、Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ国)へ挿入する。大腸菌(E.coli)DH5アルファ(#10643−013、Invitrogen カタログ2003、Invitrogen Life Technologies Corporation、1600 ファラデー・アベニュー、POボックス6482カールスバッド、カリフォルニア 92008)へのリガンド反応物の形質転換、形質転換クローンからのプラスミドDNAの単離および配列決定による確認の結果、プラスミド7H−Npro−pET30aプラスミドを得た。プラスミドpGFPmut3.1(#6039−1、カタログ1999、BD Biosciences Clonetech、1020 イースト・メドウ・サークル、パロアルト、カリフォルニア94303−4230、米国)からは、同様にGFPmut3.1配列を、PCRプライマー対:
GFP F−Kpn(配列番号26):
Figure 0005101492
GFP R−Sal(配列番号27):
Figure 0005101492
により増幅し、ゲル抽出により単離し、KpnI−SalI制限部位を介して7H−Npro−pET30a構築物へクローン化することにより、切断部位のすぐ後にアミノ酸配列SGT(セリン−グリシン−トレオニン)を作製する。構築物7H−Np−Gmut3.1−pET30aの配列を上記要領で確認する。
1.2.1.2 6H−sNp−Gmut3.1−pET30aプラスミドの構築:
pro−プロ−インスリンについてのDNA配列(配列番号28):
Figure 0005101492
を、Operon Biotechnologies Inc.(1000 アトランティック・アベニュー、スウィート108 アラメダ、カリフォルニア94501、米国)により、特注合成させ、pUC119(NCBI #U07650:National Center for Biotechnology Information Plasmid Database、National Library of Medicine、ビルディング38A、ベセズダ、メリーランド20894米国)へ挿入する。このプラスミドから、太線で示したNpro−プロ−インスリン配列を、下記のプライマー対:
6H−Npro−F−NdeI(配列番号29):
Figure 0005101492
およびIns−R−Sall(配列番号30):
Figure 0005101492
を用いるPCRにより増幅し、生じたフラグメントをアガロースゲル電気泳動およびゲル抽出により単離し、NdelおよびSallについて新たに作製された制限部位(太文字)を介して同制限部位で切断されたベクターpET30a(#69909−3、2002−2003カタログ、Novagen、CN Biosciences Inc.、Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ国)へライゲーションすることにより、6H−sNpro−Ins−pET30aを作製する。6H−sNpro−Ins−pET30aを、SpeIおよびSalI制限部位で切断し、大きい方のフラグメントをゲル電気泳動および抽出で単離することにより、プロ−インスリンについての配列を除去する。挿入体を調製するため、ベクター7HNp−Gmut3.1−pET30a(構築については1.2.1.1を参照)を、同酵素により消化し、GFPmut3.1をコードする切除されたDNAフラグメントをゲル抽出により単離する。調製したベクターへこのDNAフラグメントをライゲーションすることにより、合成NproとGFPmut3.1の融合をコードする、構築物6H−sNp−Gmut3.1−pET30aが得られる。DNA配列を1.2.1.1記載の要領で制御する。
1.2.1.3 S−Np−Ins−pET30aの構築
Operon Biotechnologies Inc.により、特注合成され、pUC119に挿入されたNpro−プロ−インスリンについてのDNA配列を含む構築物から、必要とされるNpro−プロ−インスリン配列を、下記のプライマー対:
pro−F−NdeI(配列番号31):
Figure 0005101492
およびIns−R−SaII(配列番号30)
を用いるPCRにより増幅する。
生成したフラグメントをアガロースゲル電気泳動およびゲル抽出により単離し、NdeIおよびSallについての新たに作製された制限部位(太文字)を介して同制限部位で切断されたベクターpET30aへライゲーションする。プラスミドsNpro−Ins−pET30aのDNA配列を、上記要領で制御する(1.2.1.1参照)。
1.2.1.4 6H−EDDIE−sGmut3.1−pET30aプラスミドの構築:
Operon Biotechnologies Inc.により、特注合成され、pUC119に挿入されたNpro−プロ−インスリンについてのDNA配列を含む構築物から、必要とされるNpro−配列を、下記のプライマー対:
pro−F−NdeI(配列番号31)
およびNpro−R−SaII(配列番号32):
Figure 0005101492
を用いるPCRにより増幅し、NdeIおよびSaIIについての新たに作製された制限部位(太文字)を介してベクターpET30aへ挿入することにより、S−Np−6H−pET30aを作製する。S−Np−6H−pET30aから、2つの標準50μl PCR反応:一つは50pmolのNpro−F−NdeIプライマー(下記表1)および50pmolの復帰突然変異プライマー(3'−)、5単位のTaq DNA−ポリメラーゼ(#GC002004、2004年カタログ、Genecraft、トレスコフ・ストラッセ10、D−48163 ミューンステル、ドイツ国)、1×PCR緩衝液(#GC002006、2004年カタログ、Genecraft)および20nmolの各dNTP混合物(#GC013004、2004年カタログ、Genecraft)との反応;および50pmolのNpro−R−Sallプライマー(下記表1参照)および50pmolの前進突然変異プライマー(5'−)、5単位のTaq DNA−ポリメラーゼ、1×PCR緩衝液および20nmolの各dNTP混合物との第2反応によりNpro配列を増幅する。PCR反応は、蓋加熱型サーモサイクラーで下記のプログラムを用いて行なわれる:94℃3分;25サイクル:94℃30秒、54℃30秒、68℃1分;最終インキュベーション、68℃で7分。製造業者の推奨(QIAquick(登録商標) Spin Handbook 2002年7月)にしたがって、QIAquick(登録商標)PCR精製キット(QIAGEN GmbH、キアゲンストラッセ1、D 40724 ヒルデン、ドイツ国、カタログ番号28106、Qiagen Product Guide 2004)により遊離プライマーを除去する。両PCRの100分の1を合わせ、94℃3分;25サイクル:94℃30秒、54℃30秒、68℃1分;68℃で7分最終インキュベーションというプログラムを用いて蓋加熱型サーモサイクラーにおける50pmolのNpro−F−NdeIプライマー(配列番号31)および50pmolのNpro−R−Sallプライマー(配列番号32)、5単位のTaq DNA−ポリメラーゼ(Genecraft)、1×PCR緩衝液(Genecraft)および20nmolの各dNTP混合物(Genecraft)との標準50μl PCR反応で増幅する。製造業者の推奨にしたがってQIAquick(登録商標)PCR精製キット(QUIAGEN)により、遊離プライマーを除去する。PCRフラグメントを、NdeIおよびSall制限部位を介してベクターpET30aへ挿入する。次いで、構築物を次の突然変異段階に使用する。6連続処置でこれを行うことにより、下記表1に示されたそれぞれのプライマーを選択しながら、アミノ酸変化を一つずつ導入する。各段階で得られたプラスミドを、上記要領(1.2.1.1参照)でのDNA配列解析により制御する。プライマー対Npro−F−Ndel(配列番号31)および3'_I155T,F158T(配列番号33):
Figure 0005101492
との単PCR反応により、最後の突然変異段階(I155TおよびF158T)を行い、生成したPCR産物を、NdeIおよびSpeI(太文字、下表1)制限部位を介してS−Np−6H−pET30aへ挿入する。上記要領(1.2.1.1参照)のDNA配列解析により、構築物EDDIE−6H−pET30aの配列を確認する。
表1:
Figure 0005101492
EDDIE−6H−pET30aから、下記のプライマー対を用いるPCRによりEDDIEを増幅する:
6H−Npro−F−NdeI、(配列番号29)およびNpro−R−Sal、(配列番号32)および得られたフラグメントを用いることにより、構築物S−Np−Ins−pET30a(1.2.1.3参照)において、NdeIおよびSpeIについての制限部位(太文字)を介してNproを置換することにより、6H−EDDIE−Ins−pET30aを作製する。ベクター6H−EDDIE−Insを、SpeI/SalIにより消化し、大きい方のフラグメントをゲル電気泳動および抽出により単離し、プロ−インスリンについての配列を除去する。Operon Biotechnologies Incにより特注製造されたpUC119における合成sGFPmut3.1遺伝子
配列番号46:
Figure 0005101492
を含む構築物から、プライマー対
sGFP−F−Spe、(配列番号47):
Figure 0005101492
および
sGFP−R−Sal(配列番号48):
Figure 0005101492
を用いるPCRにより挿入体を生成する。
次いで、精製PCR産物をSpeI/SalIで消化し、6H−EDDIE−InsのSpeI/SalIフラグメントへライゲーションすることにより、プロインスリン遺伝子をsGmut3.1により置換して、構築物6H−EDDIE−sGmut3.1−pET30aを形成する。各段階のDNA配列を上記要領(1.2.1.1参照)で制御する。
1.2.2 形質転換:
エレクトロコンピテント細胞を、1リットルの細菌培養物(37℃および225rpmで生育、OD600=0.5)から調製する。細胞懸濁液を氷上で15分間冷却(連続攪拌)し、沈降させ(4℃、2500g、および10分)、上清を完全除去する。残存する沈澱物を4℃の脱イオン水1リットルに再懸濁し、再びスピンダウンし(4℃、2500g、10分)、断続的に遠心分離処理(4℃、2500g、10分)をしながら50mlの脱イオン水(4℃)で2回洗浄する。沈澱を50mlの10%滅菌グリセリン溶液(4℃)で最終洗浄し、沈降させ(4℃、2500g、10分)、2.5mlの10%滅菌グリセリン溶液(4℃)に再懸濁し、冷凍し、−80℃で40μlアリコートにおいて貯蔵する。1アリコートのエレクトロコンピテント細胞を氷上で解凍し、5ngのDNAを含むライゲーション反応物1μlを加え、空気を吹き込まずに1mm電極ギャップを有する電気穿孔キュベットに移す。4.5分より一定して短時間で1.5kV、25μF、200オームに設定された BIO-RAD パルスコントローラー(Bio-Rad Laboratories Inc.、2000アルフレッド・ノーベル・ドライブ、ハーキュリーズ、カリフォルニア94547、米国;カタログ番号1652098、Life Science Research Products 1998)を含む BIO‐RAD Gene Pulser(登録商標)(Bio-Rad Laboratories Inc.、2000アルフレッド・ノーベル・ドライブ、ハーキュリーズ、カリフォルニア94547、米国;カタログ番号1652077、Life Science Research Products 1998)により電気穿孔を行う。その直後、180μlのTY−ブロス(1.0%w/vペプトン、0.7%w/v酵母抽出物、0.25%w/vNaCl)を加え、懸濁液を滅菌14mlプラスチック管に移し、30分間(37℃、225rpm)インキュベーションする。次いで、懸濁液を選択培地で平板培養する。37℃で一晩インキュベーション後、コロニーを採取し、2mlのTY−ブロスに移し、37℃および225rpmで一晩インキュベーションする。一晩培養物1mlを標準方法によるプラスミド調製に使用し、プラスミド調製物を制限分析およびDNA配列決定にかける。配列解析により確認後、本明細書記載の方法により、プラスミドを発現株でのさらなる形質転換に使用する。
1.2.3 融合ポリペプチドの発現
下記のアミノ酸配列をもつN−末端オートプロテアーゼ6H−NproEDDIEおよびC−末端GFPmut3.1との融合ポリペプチドを発現するpET30プラスミドを含む組換え大腸菌(E.coli)HMS 174(DE3)を、バッフル付フラスコ中、総容量1.8リットルでLB−ブロス中において培養する。
配列番号49:
Figure 0005101492
1.1.5記載の要領で細胞を培養する。
1.2.4 封入体の単離
細胞破壊を酵素的に実施する。簡単に述べると、細胞を、40mlの20mMのトリス/HCl、5mMのEDTA、2mMのMgCl(pH8.2)に懸濁する。72mgのリゾチームおよび300UのBenzonase(登録商標)を加える。RTで45分間インキュベーション後、1.3gのNaClおよび0.5mlのトリトンX−100を加える。さらに15分後、懸濁液を遠心単離(Beckman JA 25.50、10000rpm、15分、4℃)にかけて、封入体を得る。
1.2.5 封入体の可溶化
沈澱を20mlの0.5%デオキシコレート中で1回、20mlの1M NaCl中で2回洗浄し、次いでHOで洗浄する。生じた沈澱(約2g含水重量)を10mlのHOに懸濁し、さらなる使用時まで−20℃で貯蔵する。
懸濁液のアリコートを、50mMのトリス/HCl、10Mの尿素(pH7.3)で1:5に希釈し、封入体を溶解する。遠心分離で不溶性成分を除去した後、溶液を50mMのトリス/HCl、100mMのNaCl、4Mの尿素(pH7.3)で1:5に希釈する。
1.2.6 融合ポリペプチドの結合
おおよそのポリペプチド濃度が2mg/mlである溶液2mlを、上記要領でペプチドアフィニティーマトリックスに適用する。簡単に述べると、Fractogel‐DADPA-SA-AFYRWYA(0.5内径×5cm)を、50mMのトリス/HCl、100mMのNaCl、4Mの尿素(pH7.3)により平衡状態にする。2mlの試料を流速25cm/時で注入する。
1.2.7 非結合汚染物質の洗浄
非結合成分を、流速150cm/時で5倍カラム容量の平衡緩衝液により洗い流す。4.5倍カラム容量の200mMトリス/HCl、2mMのEDTA、10%グリセリン(pH7.3)との緩衝液交換によりリフォールディングを誘導する。
1.2.8 リフォールディング、切断および溶出
流れを止めることにより、結合融合ポリペプチドを25時間リフォールディングさせておく。リフォールディング時、結合したオートプロテアーゼはその特異部位で切断し、融合パートナーGFPmut3.1を放出する。次いで、融合ポリペプチドを、流速150cm/時で200mMトリス/HCl、2mMのEDTA、10%グリセリン(pH7.3)緩衝液により洗浄する。1mlフラクションを集め、280nmでのUV吸光度および488nmの励起および520nmの放射での蛍光について分析する。融合パートナーGFPmut3.1を含むフラクションを、精製GFPmut3.1についてのSDS−PAGEによりさらに分析する。
1.2.9 リフォールディング
切断された対象ポリペプチドの溶出後、流速150cm/時で5倍カラム容量の0.1M NaOHでカラムのリフォールディングを実施する。
実施例2:
固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィーを用いた、本発明による異種ポリペプチドの製造
この実施例では、ペスチウイルスオートプロテアーゼNproの突然変異体:6×His−NproEDDIEの融合ポリペプチドとしてのGFPmut3.1の製造について記載しており、リフォールディングおよび切断を固定化金属イオンアフィニティーマトリックスで実施する。
IMACおよびペプチドアフィニティークロマトグラフィーの両方法を直接比較できるよう、それら両方で同一構築物を使用できるようにするためHis−標識を融合ポリペプチドに導入する。標識は、アフィニティークロマトグラフィー中における融合ポリペプチドとオリゴペプチドリガンドの相互作用には必要とされない。
封入体の製造および可溶化を、実施例1.2.4および1.2.5記載の要領で実施する。
2.1 クロマトグラフィーカラムに融合ポリペプチドを結合させるクロマトグラフィーカラムの製造
キレーティング・セファロース・ファースト・フロー(Amersham Biosciences)を、内径0.5×5cmの床寸法までカラムに充填し、貯蔵溶液を水で洗浄する。次の段階で、金属イオンNi2+を、カラムにローディングする。総カラム容量の約3分の2の100mM NiClまたはNiSOを適用する。非結合Ni2+イオンを洗い流す。50mMのトリス、100mMのNaCl、4Mの尿素(pH7.3)によりカラムを平衡状態にした後、約2mg/mlの濃度でポリペプチド溶液0.5mlをカラムに適用する。ローディングの流速は50cm/時である。
2.2 非結合汚染物質の洗浄
非結合試料成分を、5倍カラム容量の平衡緩衝液により洗い流した後、500mMのトリス/アセテート、0.25Mのしょ糖、1mMのDTT(pH7.3)への緩衝液交換を実施する。
2.3 リフォールディング、切断および溶出
4.5倍カラム容量で処理後、流れを止めることにより、融合ポリペプチドをリフォールディングさせると、リフォールディング時、オートプロテアーゼは融合パートナーを切断する。1mlの500mMトリス/アセテート、0.25Mしょ糖、1mMのDTT(pH7.3)緩衝液を用いて再び流れを150cm/時の速度で活性化することにより、対象ポリペプチドの溶出を実施する。フラクションを集め、蛍光測定およびSDS−PAGEにより分析する。
2.4 リフォールディング
クロマトグラフィー樹脂のリフォールディングを、50mMのアセテート、6Mの塩化グアニジニウム(pH3.5)により流速50cm/時で実施する。
実施例3:
カラムでのNproEDDIE−sSPA−Dの切断
この実施例では、ペスチウイルスオートプロテアーゼNproの突然変異体:NproEDDIEの融合ポリペプチドとしての発現によるブドウ球菌(staphylococcus)プロテインAドメインDの製造について記載しており、リフォールディングおよび切断をペプチドアフィニティーマトリックスで実施する。オートプロテアーゼNproEDDIEおよびC−末端融合プロテインAドメインD(sSPA−D)を含む融合タンパク質を、NproEDDIE−sSPA−Dと称し、下記の要領で製造する:
下記のアミノ酸配列をもつ融合ポリペプチドを発現するpET30プラスミドを含む組換え大腸菌(E.coli)HMS174(DE3)を、1.1.5記載の要領で10リットル発酵槽において培養する。完全融合構築物のアミノ酸1〜168を、NproEDDIEの配列といい、アミノ酸169〜229をsSPA−Dの配列という。
Figure 0005101492
封入体の単離および可溶化を実施例1.1記載の要領で実施する。
クロマトグラフィーカラムへの融合ポリペプチドの結合
Fractogel−DADPA−IT−ペプチド(0.5×5cm)マトリックスについて、それぞれのペプチドの選択およびカップリングを上記要領で実施したものを、50cm/時の直線的流速で50mMのトリス/HCl、100mMのNaCl、4Mの尿素、pH7.3により平衡状態にする。1mlのポリペプチド溶液を、50cm/時の直線的流速で適用する。試料注入後、流速を150cm/時まで高める。
非結合汚染物質の洗浄
非結合成分を、5倍カラム容量の平衡緩衝液で洗い流す。リフォールディング緩衝液、具体的には1Mのトリス/HCl、2mMのEDTA、0.25Mのしょ糖、10mMの −モノチオグリセリン、pH7.3への緩衝液交換を、6倍カラム容量で実施する。
リフォールディング、切断および溶出
カオトロピックからコスモトロピックへ条件を変えた後、流れを止めることにより、融合ポリペプチドをクロマトグラフィー樹脂において25時間リフォールディングさせる。活性オートプロテアーゼは、C−末端融合sSPA−Dを切断する。リフォールディング緩衝液による後続の溶出により、天然sSPA−Dを得る。150cm/時で10CVの0.2M NaOHによりマトリックスのリフォールディングを実施する。
実施例4
カラムでの6His−NproEDDIE−GFPmut3.1のリフォールディングおよび切断
この実施例では、6His−NproEDDIE−GFPmut3.1融合ポリペプチドの発現による天然GFPmut3.1の製造、アクチゲル−ポリKWと称されるアフィニティーマトリックスでのリフォールディングおよび切断について記載する。クロマトグラフィー条件は、上記と同じである。
実施例5:
カラムでのNproEDDIE―sSPA−Dの切断
この実施例では、NproEDDIE−sSPA−D融合ポリペプチドの発現による天然sSPA−Dの製造、アクチゲル−ポリKYと称されるアフィニティーマトリックスでのリフォールディングおよび切断について記載する。クロマトグラフィー条件は、上記と同じである。
実施例6:
カチオン交換クロマトグラフィーを用いたカラムでのリフォールディング
粗Npro37−6His((1)MELNHFELLYKTSKQKPVGVEEPVYDTAGRPLFGNPSEVHPQSTLKLPHDRGRGDIRTTLRDLPRKGDCRSGNHLGPVSGIYIKPGPVYYQDYTGPVYHRAPLEFFDETQFEETTKRIGRVTGSDGKLYHIYVEVDGEILLKLAKRGTPRTLKWTRNTTNCPLWVTSC-(168))封入体抽出物を、8M尿素、50mMのNa−リン酸pH7.0に再懸濁した。最終タンパク質濃度は0.5mg/mlであった。2mlを、上記と同じ緩衝液で予め平衡状態にしておいた50cm/時の直線的速度でのHiTrap SPセファロースFFカラム(2.5×0.7cm内径;カラム容量1ml;GE Healthcare)にローディングした。次いで、カラムを、50mMのNa−リン酸pH7、2mMのEDTA、5%グリセリン、10mMのα−モノチオグリセリン(MTG)を含む緩衝液へと緩衝液交換した。タンパク質を室温で1時間リフォールディングさせた。リフォールディング緩衝液をさらに適用することにより、リフォールディングおよび切断されたタンパク質の溶出を実施した。2MのNaCl、50mMのNa−リン酸pH7を含む緩衝液によりリフォールディングを実施した。融合タンパク質(6His)のリフォールディングをSDS−PAGE分析によりモニターした。

Claims (13)

  1. 対象ポリペプチドおよび前記ポリペプチドのN−末端のところに自己タンパク質分解切断機能を呈するポリペプチドであるオートプロテアーゼを含む融合ポリペプチドを用いる、相同N−末端を有する対象異種ポリペプチドの製造方法であって、a)アフィニティークロマトグラフィーシステムにより、可溶性で自己タンパク質分解切断が不活性な形態で融合ポリペプチドを結合し、b)融合ポリペプチドのリフォールディングにより、融合ポリペプチドの自己タンパク質分解切断機能の活性化および対象異種ポリペプチドの切断を誘発し、そしてc)次に対象異種ポリペプチドを溶出する工程を含み、上記工程を一アフィニティークロマトグラフィーシステムで実施する方法。
  2. 融合ポリペプチドが、融合ポリペプチドをコードする核酸分子を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を利用する、封入体形態での細菌宿主細胞における組換え発現により提供される、請求項1記載の方法。
  3. オートプロテアーゼが、ペスチウイルス由来である、請求項1または2記載の方法。
  4. オートプロテアーゼが、CSFV、BDVおよびBVDVから成る群から選択されるウイルス由来である、請求項13のいずれかに記載の方法。
  5. オートプロテアーゼが、配列番号1のアミノ酸配列を有する、請求項14のいずれかに記載の方法。
  6. オートプロテアーゼが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56から成る群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項14のいずれかに記載の方法。
  7. アフィニティークロマトグラフィーシステムが、固定化金属イオンクロマトグラフィー(IMAC)およびペプチドアフィニティークロマトグラフィーから成る群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. アフィニティークロマトグラフィーシステムが固定化金属イオンクロマトグラフィーであり、融合ポリペプチドが金属キレートアフィニティー標識を含む、請求項7記載の方法。
  9. 金属キレートアフィニティー標識がポリヒスチジンである、請求項8記載の方法
  10. ペプチドアフィニティークロマトグラフィーシステムが、トリプトファン残基を含む、配列番号9:VSFIWYKまたは配列番号14:AFYRWYAのオリゴペプチドリガンドを利用するものであり、リガンドが、カオトロピック条件下で自己タンパク質分解切断機能を発揮する融合ポリペプチドの一部分に選択的に結合し、コスモトロピック条件への変化中およびコスモトロピック条件下で結合を維持する、請求項7記載の方法
  11. 列番号9:VSFIWYKおよび配列番号14:AFYRWYAから成る群から選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法で使用されるオリゴペプチドリガンド
  12. 列番号9:VSFIWYKおよび配列番号14:AFYRWYAから成る群から選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法におけるオリゴペプチドリガンドの使用。
  13. 配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55および配列番号56から成る群から選択されるアミノ酸配列を有するオートプロテアーゼの、請求項1〜10のいずれかに記載の方法における使用。
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