以下、図面を参照して本発明に係る一実施形態を説明する。
(1)チューブ切断装置の構成
[回転ステージ]
図1は、一実施形態に係るチューブ切断装置1の全体を示している。図1中符号2は円形状の基台である。基台2の中央部には、該基台2の外周部よりも1段高い円形状の駆動系設置ステージ3が形成されている。基台2の外周部の上には、基台2と同等の外径を有する環状の回転ステージ(リールラック設置台)5が、同心状、かつ回転自在に支持されている。基台2の駆動系設置ステージ3と回転ステージ5の上面は水平で、ほぼ同一平面に設定されている。回転ステージ5は、図示せぬ回転駆動機構により周方向に沿って回転駆動される。回転ステージ5の回転制御は、制御手段190によってなされるようになっている。
[リールラック]
回転ステージ5の上には、複数のリールホルダ(リール支持部)11が周方向に等間隔をおいて配列されている。リールホルダ11は、回転ステージ5の接線方向(径方向に直交する水平方向)に間隔をおいて立設された左右一対のホルダプレート12と、ホルダプレート12の上端部間に架け渡された図示せぬ軸受とから構成されている。この場合、リールホルダ11は、ホルダプレート12が高いものと低いものの2種類あり、高い方の上側リールホルダ11Aと低い方の下側リールホルダ11Bとが、周方向に交互に配置されている。各リールホルダ11の軸受には、リール13が回転自在に支持される。リールホルダ11の軸受は、軸線方向が回転ステージ5の接線方向と平行に設定されており、この軸受を中心として、リール13が回転するように支持されている。
リール13は、図2に示すように、円筒状の軸部14aの両側にフランジ14bが固定されたもので、軸部14aがリールホルダ11の軸受に回転自在に外挿される。各リール13には、柔軟性を有する断面円形のチューブTが巻かれて蓄積される。チューブTは1種類ではなく、太さや色、材質等によって多数の種類に分けられ、種類ごとにリール13に巻かれている。チューブTが巻かれたリール13は、チューブTの種類に応じて定められたリールホルダ11に着脱自在に装着される。
上下のリール13は、回転ステージ5の内側から見ると、図2に示すように上下方向には干渉しないようにして上下に千鳥状に配置されており、図3に示すように上方から見ると端部が周方向に重なって配列されている。このような配列により、リール13は、回転ステージ5上にスペース効率よく、できるだけ多くが搭載されるようになっている。
図4に示すように、リール13には、チューブTを引き出す時以外にはリール13が不用意に回転しないようにするリールストッパ16が付設されている。このリールストッパ16は、回転ステージ5に固定されたブラケット17に回転可能に取り付けられており、図示せぬばね等によって一端部が常にフランジ14bに接触することにより、リール13の回転を規制する。
各リール13に付設されたリールストッパ16の解除は、後述するチューブ引き出し位置に対応して駆動系設置ステージ3上に設けられたプッシュロッド18によってなされる。プッシュロッド18は、解除作動時に伸張してリールストッパ16のフランジ14bに接触していない側の端部を上方に押す。これによってリールストッパ16は回転してフランジ14bから離間し、リール13が回転可能となる。
図4は、下側リールホルダ11Bのリール13に付設されたリールストッパ16およびプッシュロッド18を示しているが、リールストッパ16およびプッシュロッド18は、上側リールホルダ11Aのリール13に対しても付設される。上側のリール13にリールストッパ16を設けるには、例えばホルダプレート12に適宜なブラケットを介して設けることができ、リールストッパ16に作用するプッシュロッド18は、駆動系設置ステージ3側に設けられる。
なお、図3に示すように、リール13を支持するリールホルダ11は回転ステージ5の全周にわたっては設置されておらず、角度で言うと30°程度の、設置されないスペース6が空けられている。このスペース6は、主にメンテナンス等で駆動系設置ステージ3へアクセスする通路として空けられている。
図1に示すように、回転ステージ5上における各リールホルダ11の内周側にはポスト15が立設されており、これらポスト15の上端部には、リール13から巻き出されたチューブTの先端部を保持するチューブ先端部ホルダ(チューブ先端保持部)20がそれぞれ設けられている。すなわちチューブ先端部ホルダ20は、各リールホルダ11に対応して1つずつ設けられている。各チューブ先端部ホルダ20は、上側リールホルダ11Aで支持されるリール13よりもやや高い位置に支持され、また、回転ステージ5の周方向に沿って等間隔をおいて配列されている。本実施形態では、ポスト15上に設けられたチューブ先端部ホルダ20と上記リールホルダ11とによって、リールラック10が構成されている。
ポスト15は上下方向に延びる比較的細長い板状部材であり、幅方向が回転ステージ5の径方向に沿う状態で、回転ステージ5上に直立して固定されている。このポスト15の上端部には、図5に示すように、長方形状の水平なベースプレート19が一体に形成されている。そしてこのベースプレート19には、チューブ先端部ホルダ20を構成する左右一対のフィードフレーム21が、ベースプレート19の長手方向(回転ステージ5の径方向、図5で図面の表裏方向)に沿って摺動自在に装着されている。フィードフレーム2121は断面コ字状であって、内側の溝が、ベースプレート19の両側部に摺動自在に嵌め込まれている。
図6〜図8に示すように、各フィードフレーム21の、スライド方向の前後(この場合、前側を回転ステージ5の内周側、後側を外周側とする)の端部には、同一構成のチューブ保持機構22が設けられている。このチューブ保持機構22は、上方に突出する二等辺三角形状の三角枠体23と、一対の板状のリンクロッド(駆動側と従動側)24,25がX字状に交差して三角枠体23の頂点の内側との間に略菱形のチューブ挿通/保持スペースを形成するシザーズリンク26とを備えている。三角枠体23の両端部は、左右のフィードフレーム21の前後の端部に固定されており、したがって左右のフィードフレーム21は、前後の三角枠体23を介して一体に連結されている。
図5および図8に示すように、シザーズリンク26の駆動側リンクロッド24の一端部は、回転支点となる連結ロッド27を介して、一方のフィードフレーム21の前後の端部に回転自在に取り付けられている。また、シザーズリンク26の従動側リンクロッド25の一端部は、回転支点となるピン28を介して、他方のフィードフレーム21の前後の端部に回転自在に取り付けられている。
図5に示すように、従動側リンクロッド25には、自身の長手方向に沿って延びるガイドスリット25aが形成されており、駆動側リンクロッド24には、ガイドスリット25aに沿って摺動可能に嵌め込まれるガイドピン24aが設けられている。ガイドピン24aがガイドスリット25aに摺動可能に嵌め込まれていることにより、各リンクロッド24,25は、協働して上下方向に揺動し、シザーズリンク26が作動するようになっている。この場合、図5(a)に示すように各リンクロッド24,25が上方に揺動すると閉じる動作となり、図5(b)に示すように下方に揺動すると開く動作となる。シザーズリンク26の開閉動作中においては、ガイドピン24aがガイドスリット25aに沿って摺動する。
駆動側リンクロッド24は、該リンクロッド24とフィードフレーム21との間に介在された圧縮ばね29によって常に上方に揺動するように付勢されている。したがってシザーズリンク26は、常に各リンクロッド24,25が上方に揺動して閉じる状態となり、三角枠体23との間にチューブTを挟み込んで保持するようになっている。すなわちチューブTは、各リンクロッド24,25のX字状の交点の上側のV字状の谷間に挟まれるとともに、三角枠体23の頂点の内側に挟まれて保持される。このように保持されることにより、太さが異なっていても、チューブTは常に軸心が左右にぶれずにセンタリングされた状態が確保される。
前後のチューブ保持機構22の、各駆動側リンクロッド24の揺動支点である連結ロッド27の両端部は、それぞれ駆動側リンクロッド24の一端部に固定されている。すなわち、前後の駆動側リンクロッド24は連結ロッド27を介して一体に連結されており、この連結ロッド27を支点として同期して回転する。したがって、前後のチューブ保持機構22のシザーズリンク26は、互いに同期して作動するようになっている。
前側のチューブ保持機構22の駆動側リンクロッド24の回転支点部である一端部には、該駆動側リンクロッド24に対して鋭角に屈曲して横方向に延びるレバー30の一端部が固定されている。前後のチューブ保持機構22の各シザーズリンク26は、通常は、圧縮ばね29の力によってチューブTを保持する閉じた状態となっている。そしてこの閉状態からレバー30を下方に押すと、駆動側リンクロッド24が下方に揺動する。
チューブ保持機構22の駆動側リンクロッド24が下方に揺動すると、連結ロッド27で連結されている後側のチューブ保持機構22の駆動側リンクロッド24も同時に下方に揺動する。したがって、前後のチューブ保持機構22のシザーズリンク26は、各リンクロッド24,25が下方に揺動し、開いた状態となる。そして、レバー30を下方に押す力を解除すると、圧縮ばね29の力によってシザーズリンク26は閉じ、チューブTを三角枠体23との間に保持する状態に戻る。レバーの30の先端部には、前方に突出するピン31が設けられている。
一方のフィードフレーム21の前部の下面には、下方に突出する突起片32が一体に形成されている。フィードフレーム21は、突起片32とベースプレート19の後端部との間に架け渡された引っ張りばね33(図19参照)によって、常に後方に付勢された状態に保持されている。また、左右のフィードフレーム21の間には、下方に配された後述する第1のベルトローラ装置50Aの従動側ベルトローラ61が上昇した時に、該従動側ベルトローラ61が通過することを可能とするための空間34が確保されている。
[チューブ引き出し装置]
各リール13すなわち各種チューブTごとに設けられた上記リールラック10は、回転ステージ5と一体に回転し、所定長さに切断して得ようとする目的のチューブTに対応するリールラック10のチューブ先端部ホルダ20が、所定のチューブ引き出し位置で停止させられ、待機状態とされる。そのチューブ引き出し位置で待機しているチューブ先端部ホルダ20に保持されているチューブTの先端は、チューブ引き出し装置(チューブ引き出し手段)40によってほぼ水平方向に引き出され、チューブ引き出し位置から前方に延びるチューブ搬送路に導かれる。
図6に示すように、チューブ引き出し装置40は、チューブ搬送路におけるチューブ引き出し位置から所定距離下流側に設置されており、ほぼ水平な桿体41と、この桿体41に、チューブ先端部ホルダ20に対して伸縮するよう挿入されたアーム42とを備えている。図21に示すように、桿体41は、下流側の後端部が固定フレーム201にピン結合され、上流側の前端部が昇降リンクフレーム202にピン結合されており、昇降リンクフレーム202が昇降することにより、前端部が上下に揺動するように支持されている。チューブ引き出し装置40においては、水平に伸びるアーム42の先端部が、後述する第2のベルトローラ装置50Bの直後に位置付けられる作動位置と、下方に揺動して前下がりに傾斜した非作動位置の2位置を往復させられる。
図9に示すように、アーム42の先端部(アーム先端部)42aには、チューブTの先端を摘んで把持するクランプ機構43が設けられている。このクランプ機構43は、アーム先端部42aにアーム42の幅方向に沿ってスライド可能に設けられた左右一対の爪部44によってチューブTの先端部を掴むように構成されている。各爪部44は、断面が円弧状であって、内周面側が互いに対向するようになっており、それら内周面は、チューブTの周面に沿うように断面円弧状の溝に形成されている。
左右の爪部44の基端部45は、図9(b)の左側の図に示すように、上下に互い違いに配され、かつ、互いに向かい合うように爪部44から内側に延びており、内側に延びる方向である幅は、アーム先端部42aの幅よりも若干大きい程度とされている。これら基端部45は、上下に重なり合う状態で、アーム42の先端部の内部に形成された幅方向に延びる上下のガイド溝46に摺動可能に嵌め込まれている。ガイド溝46はアーム先端部42aの側方に開口している。
クランプ機構43は、図9(b)に示すように、各爪部44の外面間の距離がアーム先端部42aの幅にほぼ一致する状態が、最も開いた状態とされる。そしてこの開状態から、基端部45がアーム先端部42aの内側方向にスライドすることにより、図9(c)に示すように、爪部どうしが近接して閉じた状態になる。基端部45がスライドする際には、基端部45どうしが摺動する。
図9(b),(c)に示すように、アーム先端部42a内には、クランプ機構43を開閉させる開閉機構47が設けられている。この開閉機構47は、各爪部44の各基端部45に回転可能にピン結合され、互いに後部が重畳しあう左右一対の三角形状のリンク48と、これらリンク48の重畳部分に一端部が回転可能にピン結合されて、アーム42の長手方向に延び、同方向に往復動可能に支持されて駆動ロッド49とを備えている。この開閉機構47によれば、駆動ロッド49がアーム42の先端方向(図9で左側)に進出すると、図9(b)に示すように各リンク48の先端側が開き、これに伴って爪部44の基端部45がガイド溝46に沿って開き、各爪部44が離間してクランプ機構43が開いた状態となる。この開状態から駆動ロッド49がアーム42の後端方向(図9で右側)に後退すると、図9(c)に示すように各リンク48の先端側が閉じ、これに伴って爪部44の基端部45がガイド溝46に沿って閉じ、各爪部44が近接してクランプ機構43が閉じた状態となる。
チューブ引き出し装置40においては、桿体41内に挿入されているアーム42がチューブ先端部ホルダ20に向かって進出する。チューブTがチューブ引き出し装置40によって引き出される時には、チューブ先端部ホルダ20はフィードフレーム21ごと前進しており、そのようにして前進しているチューブ先端部ホルダ20に対して、クランプ機構43がチューブTの先端を把持可能な位置に到達すると、アーム42の進出が停止する。次いでクランプ機構43が閉じてチューブTの先端が各爪部44によって把持される。チューブTの先端部が爪部44で把持されたらアーム42が後退し、これによってチューブTはチューブ搬送路に沿って引き出される。チューブTの引き出し時には、次に説明する第1の第1のベルトローラ装置50AによってチューブTは下流側に送られていき、チューブ引き出し装置40は、その搬送方向をクランプ機構43でガイドするように機能する。
チューブTの引き出し時には、チューブ先端部ホルダ20における前後のチューブ保持機構22の前後のシザーズリンク26は開いた状態となっていて、チューブTの引き出しが可能な状態となるが、この作用をなす構成については、後述するチューブ先端部ホルダ20のフィード機構とともに説明する。
[第1,第2のベルトローラ装置]
チューブTは、上記のようにチューブ引き出し装置40のクランプ機構43でガイドされながら、アーム42の後退ストロークエンドまでは第1のベルトローラ装置(第1の送り出し手段)50Aによって下流側に送り出される。そしてその後は、第1のベルトローラ装置50Aおよび第2のベルトローラ装置50B(第2の送り出し手段)によってさらに下流側に送り出される。
各ベルトローラ装置50A,50Bは同一構成であって、図7に示すように、チューブTの上側に配される駆動側ベルトローラ51と、チューブTの下側に配される従動側ベルトローラ61との組み合わせで構成されている。第1のベルトローラ装置50Aの各ベルトローラ51,61は、上記チューブ先端部ホルダ20の上下に配設されている。また、第2のベルトローラ装置50Bは、チューブ引き出し装置40の桿体41の上流側に配設されている。
駆動側ベルトローラ51は、前後に配された2つのローラ52にベルト53が無端状に巻回されてなる楕円ローラ54が、チューブ搬送路に対して左右一対の状態で、かつ、正面から見てV字状に配置されたものである。各ローラ52は、上側昇降フレーム210の下端部に支持されており、一方(駆動側)の楕円ローラ54における一方のローラ52(52A)は、駆動軸55によって回転駆動される駆動ローラとされている。駆動軸55には、かさ歯車56が一体に設けられており、このかさ歯車56は、他方(従動側)の楕円ローラ54の一方のローラ52に一体に設けられたかさ歯車57に噛合している。
このような構成により、駆動軸55が回転すると、駆動ローラ52Aが回転して駆動側の楕円ローラ54のベルト53がチューブ搬送方向に回転する。これと同時に、駆動ローラ52Aの回転が、かさ歯車56,57を介して従動側の楕円ローラ54のローラ52に伝わり、従動側の楕円ローラ54のベルト53も同期してチューブ搬送方向に回転する。なお、上側昇降フレーム210は、第1のベルトローラ装置50A側と第2のベルトローラ装置50B側の2つが設けられており(210Aと210B)、これら上側昇降フレーム210A,210Bが昇降することにより、第1のベルトローラ装置50Aと第2のベルトローラ装置50Bの各駆動側ベルトローラ51は、別々に昇降させられる。
一方、従動側ベルトローラ61は、下側昇降フレーム220に回転自在に支持された3つのローラ62と、これらローラ62に無端状に巻回されたベルト63とから構成されている。各ローラ62は、チューブ搬送路と直交するほぼ水平な方向を軸として回転するように支持されており、2つのローラ62がチューブ搬送路に沿って前後に配置され、これらローラ62間の下方に、1つのローラ62が配置されている。したがって、ベルト63はローラ62に逆三角形状に巻回されている。
第1のベルトローラ装置50Aの従動側ベルトローラ61は、下側昇降フレーム220に直接取り付けられていて、下側昇降フレーム220と一体に昇降する。一方、第2のベルトローラ装置50Bの従動側ベルトローラ61は、下側昇降フレーム220に、昇降シリンダ240を介して取り付けられている。したがって第2のベルトローラ装置50Bの従動側ベルトローラ61は、下側昇降フレーム220とともに一体に昇降するとともに、昇降シリンダ240によって、下側昇降フレーム220に対して個別に昇降するように設けられている。
第1のベルトローラ装置50Aと第2のベルトローラ装置50Bの各駆動側ベルトローラ51は、それぞれが、ほぼ鉛直方向に昇降する上側昇降フレーム210A,210Bと一体に昇降し、下降した所定のチューブ搬送位置において、左右の楕円ローラ51の逆V字状になっている各ベルト53が、チューブTに接触する。
一方、従動側ベルトローラ61は、下側昇降フレーム220と一体に昇降し、上昇した所定のチューブ搬送位置において、ベルト63の水平部分がチューブTの下面に接触する。また、第2のベルトローラ装置50Bの従動側ベルトローラ61においては、下側昇降フレーム220が所定のチューブ搬送位置に上昇し、かつ、シリンダ装置240が上昇した状態において、ベルト63の水平部分がチューブTの下面に接触する。
チューブTは、3つのベルト53,53,63に囲まれて挟持され、この状態で各ベルト53,53,63が搬送方向に回転することにより、チューブ搬送路の下流側に送り出されていく。下側の各従動側ベルトローラ61においては、ベルト63がチューブTを受けながら回転する。
第1のベルトローラ装置50Aは、チューブ先端部ホルダ20の前後のチューブ保持機構22に通されているチューブTを下流側に送り出す。その際には、第1のベルトローラ装置50Aの、チューブ先端部ホルダ20の下方で待機している従動側ベルトローラ61が、下側昇降フレーム220と一体に上昇して、左右のフィードフレーム21間の空間34を通過し、ベルト63がチューブTに接触する。
第1のベルトローラ装置50Aと第2のベルトローラ装置50Bとの間のチューブ搬送路には、上流側から、チューブTを切断するカッタ装置(チューブ切断手段)70、第1のロータリーチャック装置80A、印字装置(印字手段)110、第2のロータリーチャック装置80Bが、この順で配設されている。
[カッタ装置]
図7に示すように、カッタ装置70は、チューブ搬送路の上側に配設されたチューブ押さえ機構71と、チューブ押さえ機構71の下側に配設された下刃機構75との組み合わせで構成されている。チューブ押さえ機構71は、上側フレーム72の下端部に、昇降ピストン73によって矩形板状の押さえプレート74が昇降可能に設けられたものである。押さえプレート74の下端部には逆V字状の切欠き74aが形成されている。チューブ押さえ機構71は、通常、押さえプレート74が上昇した位置で待機しており、作動時は押さえプレート74が所定のカット位置まで下降する。押さえプレート74がカット位置まで下降すると、切欠き74aの中心の谷部にチューブTが嵌まり込み、これによってチューブTは左右方向のセンタリングがなされ、かつ、上方へのずれが規制されるようになっている。
下刃機構75は、下側フレーム76の上端部に、昇降ピストン77によって矩形板状の下刃プレート78が昇降可能に設けられたものである。下刃プレート78の上端にはブレードエッジ(刃)78aが形成されている。下刃機構75は、通常、下刃プレート78が下降した位置で待機しており、作動時は下刃プレート78が上昇する。下刃プレート78が上昇すると、下刃プレート78の後面(チューブ搬送方向の上流側の面)が、押さえプレート74の前面(チューブ搬送方向の下流側の面)に摺接しなから上昇する。そしてブレードエッジ78aが、押さえプレート74によって押さえられているチューブTを横断することにより、チューブTがブレードエッジ78aで切断される。
カッタ装置70にあっては、同じ種類のチューブTを引き続き切断処理する場合には、チューブTを切断した後、押さえプレート74と下刃プレート78がそれぞれ上下に移動して離れて待機位置に戻り、押さえプレート74と下刃プレート78との間に引き出し装置40のアーム42が通過することが可能な状態とされる。なお、このようにカッタ装置70が開くと同時に、上記チューブ先端部ホルダ20のシザーズリンク26が開いて該チューブ先端部ホルダ20によるチューブTの保持状態が解除されるようになっている。このようにしてカッタ装置70とチューブ先端部ホルダ20とが連動する機構については後述する。また、次に切断するチューブの種類が異なる場合には、カッタ装置70は押さえプレート74と下刃プレート78とが閉じた状態に維持される。
[チューブ先端部ホルダのフィード機構]
上述したように、チューブ引き出し装置40によってチューブ先端部ホルダ20からチューブTが引き出される時には、チューブ先端部ホルダ20はフィードフレーム21ごと前進し、チューブTの先端部をアーム42のクランプ機構43に送り渡す。そのフィード機構は、図7に示すように、一方のフィードフレーム21の下面から下方に突出する上記突起片32と、上記カッタ装置70における下刃機構75の下側フレーム76に設けられ、突起片32に係合するフック120とから構成されている。
下側フレーム76は、チューブ先端部ホルダ20側に延びるシリンダステー121を有しており、このシリンダステー121には、前後方向に伸縮する前後伸縮ロッド122が挿入されている。この前後伸縮ロッド122の先端部には、シリンダ123を介して、上下方向に伸縮する上下伸縮ロッド124が挿入されており、この上下伸縮ロッド124の上端に、上方に開口した溝を有するフック120が形成されている。
フック120が突起片32の直下に到達するまで前後伸縮ロッド122がチューブ先端部ホルダ20方向に伸び、この後、上下伸縮ロッド124が上昇すると、フック120が突起片32に係合する。この状態から前後伸縮ロッド122が縮小すると、左右のフィードフレーム21は引っ張りばね33の力に抗してベースプレート19上を前方にスライドする。これによって、チューブ保持機構22で保持されているチューブTの先端部が、チューブTをチューブ引き出し装置40のクランプ機構43に受け渡す位置に位置付けられる(図19(a)〜(d)参照)。
また、上記カッタ装置70の下刃機構75の下刃プレート78の上端部には、チューブ先端部ホルダ20方向に突出する押さえ片79が設けられている。この押さえ片79は、チューブ先端部ホルダ20のフィードフレーム21が前進した状態で、レバー30の先端のピン31の上方に位置付けられるようになっている(図5(a),図19(d)参照)。そしてこの状態から下刃プレート78が下降すると、押さえ片79がピン31を下方に押し下げる。これにより、レバー30も押し下げられて前後のチューブ保持機構22のシザーズリンク26が開き、チューブTを保持している状態が解除されるようになっている(図5(b),図19(e),図20(a)参照)。
[第1,第2のロータリーチャック装置]
第1のロータリーチャック装置80Aと第2のロータリーチャック装置80Bは同一構成であって、図7に示すように、チューブ搬送路を中心として同心状に配設された環状のロータ81を備えている。これらロータリーチャック装置80A,80Bは、ロータ81の中心に形成されているチューブ挿通孔81aを通過するチューブTを把持して軸線回りに回転させ、後述する印字装置110で、周方向に印字させることができる。
図6,図7等では図示を省いているが、各ロータ81は、図10に示すように、1つのフレームボード90に一括して支持されている。フレームボード90は、水平な中央板部91の両側から側板部92が直立したコ字状のもので、側板部92に、ロータ81が回転自在に支持されている。図11に示すように、ロータ81の片面のチューブ挿通孔81aの周囲には、円形状のボス部82が同心状に形成されている。そしてこのボス部82が、フレームボード90の側板部92の外面側に形成された円形状の凹所93に、ベアリング94を介して回転自在に装着されている。側板部92には、ロータ81のチューブ挿通孔81aに通じる孔92aが形成されている。
図11に示すように、ロータ81の外周面にはギヤ歯83が形成されており、側板部92の外面側のロータ81の下方には、ロータ81のギヤ歯83に噛合する駆動ギヤ95が配置されている。この駆動ギヤ95は駆動軸96を介して側板部92に回転自在に支持されている。駆動軸95は、両方の側板部92に架け渡されており、両方のロータ81に対して駆動ギヤ95がそれぞれ噛合している。
また、一方の側板部92の内面には、従動ギヤ97aが回転自在に取り付けられており、駆動軸96には、従動ギヤ97aに噛合する従動ギヤ97bが固定されている。そして、フレームボード90の中央板部91には、ピニオン98aが従動ギヤ97aに噛合するモータ98が固定されている。この構成により、モータ98の駆動力が従動ギヤ97a,97bを経て駆動軸96に伝わって駆動軸96が回転し、その回転が、駆動ギヤ95からロータ81に伝わって、第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bの各ロータ81が回転するようになっている。
フレームボード90は、各ロータリーチャック装置80A,80Bの各ロータ81が、チューブ搬送路を中心として同心状に配設されるように、差動プレート230を介して上記下側昇降フレーム220に支持されている。差動プレート230は、中央板部91の下面に固定されている。各ロータリーチャック装置80A,80Bは、ロータ81の軸線方向が水平に保たれたまま、下側昇降フレーム220とともに上下動するようになっている。フレームボード90は、図10に示すように、両側の側板部92の図中奥側の端縁が上下方向に延びるガイドレール99に摺動自在に嵌合されている。
この場合、フレームボード90の中央板部91の奥行きは両側の側板部92の奥行きよりも短く設定されている。このため、各側板部92の図10における奥側の端縁は、中央板部91の奥側の端縁から突出しており、この突出している側板部92の奥側の端縁が、ガイドレール99に摺動自在に嵌合されている。これにより、フレームボード90は、左右方向への移動が規制された状態で、ガイドレール99に沿って上下動するようになっている。
図7に示すように、ロータ81の外面には、複数(この場合3個)の長方形状のチャックプレート100が放射状に、かつ、ロータ81の径方向に沿って移動自在に装着されている。図13に示すように、チャックプレート100の中央部には長手方向に延びるスリット100aが形成されており、このスリット100aが、ロータ81の外面に設けられたガイドピン84に摺動自在に嵌合されている。チャックプレート100は、ガイドピン84にガイドされることによりスリット100aの延びる方向、すなわちロータ81の径方向に沿って移動し、内周側の端部である先端部が、ロータ81のチューブ挿通孔81aに対して進退する。
各チャックプレート100は、ロータ81のチューブ挿通孔81aに対して同期して進退し、進出時に、チューブ挿通孔81aを通過する搬送中のチューブTを、先端部に設けられたチャック部101で挟持する。
図13に示すように、チャック部101の、一方の側部の裏面(ロータ81の外面に対面する面)側と、他方の側部の表面側には、それぞれ板厚が薄くする三角形状の段差面102a,102bがそれぞれ形成されている。言い換えると、チャック部101には、裏側の段差面102aが形成されたことにより、表面と面一の三角形状の薄肉部103aが形成され、表側の段差面102bが形成されたことにより、裏面と面一の三角形状の薄肉部103bが形成されている。これら段差面102a,102bおよび薄肉部103a,103bは、図13(a)に示すように点対称的に形成されている。段差面102a,102bの間には、チャックプレート100の厚さを有する台形部104が形成されている。
このようなチャック部101の構成により、次の作用を得る。すなわち、段差面102a,102bが形成されていないと、図13(c)の2点鎖線で示すように先端の角が突き当たった時点でそれ以上の進出が不可能になる。しかしながら、段差面102a,102bが形成されていることにより、同図に示すように、隣り合うチャック部101の裏側段差面102aと表側段差面102bが摺接し、かつ、薄肉部103aと薄肉部103bどうしが交互に重なり合いながら、さらに接近し合うように進出することができる。このようにチャック部101が進出時になるべく接近し合うことが可能となっており、その結果、チューブTが細いものであっても、確実に挟持することができる。
各チャックプレート100の進退動作は、ロータ81に内蔵されたエアアクチュエータ105によってそれぞれなされるようになっている。エアアクチュエータ105は、チャックプレート100をエア圧によってロータ81の内周方向(チューブ挟持方向)に進出させるように組み込まれており、この場合、エア圧が抜けると、図示せぬ付勢手段でチャックプレート100がロータ81の外周方向(チューブ開放方向)に後退するようになっている。
図12に示すように、ロータ81の内部には、エアアクチュエータ105からボス部82の端面に通じるエア分配路106が形成されている。エア分配路106は、3つのチャックプレート100ごとに設けられたエアアクチュエータ105ごとに3つ形成されている。そして、これらエア分配路106の開口は、ボス部82の端面に形成された環状の周溝107によって連通している。一方、フレームボード90の側板部92には、該側板部を貫通して凹所93に開口し、かつ、周溝107に連通する1つのエア導入路108が形成されている。このエア導入路108の開口には、図示せぬエア供給源に延びる配管が接続される接続管部108Aが装着されている。また、側板部92の凹所93には、対面する周溝107を囲む一対の環状のシール部材109a,109bが装着されている。これらシール部材109a,109bは、周溝107の内周側と外周側とにそれぞれ配されており、ボス部82の端面に気密的に圧接している。
この構成により、エア供給源から供給されたエアが接続管部108Aからエア導入路108を経て周溝107に流入する。そして周溝107から、各エア分配路106に分岐してエアアクチュエータ105に到達する。このようにしてエアが供給されるとエアアクチュエータ105が作動し、チャックプレート100が挟持方向に進出する。また、エアの供給を停止してエア圧が抜けると、チャックプレート100は図示せぬ付勢手段によってチューブ開放方向に後退する。
[下側昇降フレームに設けた昇降量調整機構]
搬送されるチューブTは、第1および第2のベルトローラ装置50A,50Bの、上側の駆動側ベルトローラ51の各ベルト53が接触することによって、搬送中の高さ位置が定められる。すなわち、太さにかかわらず、チューブTの上面はほぼ一定の高さ位置で搬送される(厳密にはチューブTの径が大きくなると上面は下に移動する。この作用については後述する)。第1のベルトローラ装置50Aがチューブ先端部ホルダ20内に上昇してチューブTを下流側に送り出す時には、従動側ベルトローラ61のベルト63はチューブTの下面に接触する。そして、第1のベルトローラ装置50Aで送り出されたチューブTが上記第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bを通過する時には、各ロータ81のチューブ挿通孔81aの中心を水平に通過するように設定される。
したがって、図14に示すように、第1のベルトローラ装置50Aのベルト63の上面の高さ位置(以下、ベルト高さ位置h1)と、ロータリーチャック装置80A,80Bの各ロータ81の中心の高さ位置(以下、ロータ中心高さ位置h2)とは、チューブTの半径に相当する距離ずれており、ベルト高さ位置h1の方がロータ中心高さ位置h2よりも低く設定される。
チューブTの太さが一定であれば、ベルト高さ位置h1とロータ中心高さ位置h2はチューブTの半径分の差を設けて固定的に設定しておけばよい。ところが、本装置1では太さの異なる種々のチューブTを対象とするものであるから、チューブTの太さに応じて、ベルト高さ位置h1がロータ中心高さ位置h2よりも、そのチューブTの半径分低く設定されるように、常に調整される必要がある。本実施形態では、この昇降量の調整を、第1のベルトローラ装置50Aの従動側ベルトローラ61と、第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bを支持するフレームボード90が、ともに下側昇降フレーム220によって昇降させられる構成でありながらも可能としている。以下、その機構を説明する。
図7に示すように、下側昇降フレーム220は搬送方向に沿ってほぼ水平に延びており、搬送方向後端部に形成された上方に突出する後側凸部221に、昇降シリンダ240を介して第2のベルトローラ装置50Bの従動側ベルトローラ61が支持されている。そして、第1のベルトローラ装置50Aの従動側ベルトローラ61は、下側昇降フレーム220の前端部に形成された前側凸部222の上に直接取り付けられている。
また、下側昇降フレーム220の中央部には、上方に突出する傾斜凸部223が形成されている。この傾斜凸部223の上面は、チューブ搬送方向の上流側に向かうにしたがって前上がりに傾斜するクサビ面223aに形成されている。一方、上述したように、各ロータ81を支持するフレームボード90の下面には、差動プレート230が固定されている。この差動プレート230の下面は、傾斜凸部223のクサビ面223aと平行なクサビ面230aに形成されている。
フレームボード91は、差動プレート230のクサビ面230aが、下側昇降フレーム220における傾斜凸部223のクサビ面223aに載って受けられることにより、下側昇降フレーム220に支持されている。下側昇降フレーム220は、下側昇降フレーム220の下方に配設されたシリンダ装置250によって支持されるとともに、昇降させられる。シリンダ装置250は、チューブ搬送方向の上流側である後方に向けて斜め上方に延びるピストン251が伸縮するもので、このピストン251の上端部に、下側昇降フレーム220が支持されている。
シリンダ装置250のピストン251が伸縮することにより、下側昇降フレーム220は、ピストン251の延びる方向に沿って斜めに昇降し、この動きとともに、下側昇降フレーム220に支持されているフレームボード91がガイドレール99に沿って昇降させられる。この昇降動作の際、傾斜凸部223のクサビ面223aが差動プレート230のクサビ面230aに摺接しながら昇降するため、下側昇降フレーム220の昇降量よりも差動プレート230、すなわちフレームボード91の昇降量の方が少ない。
例えば、図15(a)〜(b)に示すように、下側昇降フレーム220が上昇した場合、傾斜凸部223のクサビ面223aが差動プレート230のクサビ面230aを滑りながら差動プレート230を上方に押し、このため、フレームボード91の上昇量は下側昇降フレーム220の上昇量よりも少ないものとなる。この作用は、下降の際には逆に生じ、フレームボード91の下降量は下側昇降フレーム220の下降量よりも少ないものとなる。
昇降量の差は、互いに合わせられるクサビ面230a,233aの傾斜角度と、下側昇降フレーム220の昇降角度(ピストン251が延びる方向の角度)によって定まる。本実施形態では、これらの要素が、上述したようにベルト高さ位置h1がロータ中心高さ位置h2よりも、常にチューブTの半径分低く設定されるように設定されている。
このような昇降量調整機構は、本実施形態に限らず、任意の距離をおいて離間した2点の高さ位置を1つの駆動部により一定の比率で同時に動かしたい場合に有効に用いることができる。図16は、本実施形態に即した図であり、上記第1のベルトローラ装置50Aの従動側ベルトローラ61に応じた高さ位置H1と、上記差動プレートに応じた高さ位置H2は、シリンダ装置250のピストン251の伸縮による下側昇降フレーム220の昇降量にかかわらず、常に2:1の比率で昇降するように設定されている。
上記のように、H1とH2の高さ位置の比率はクサビ面230a,233aの傾斜角度とシリンダ装置250のピストン251が延びる方向の角度θによって定まるものであり、角度θが大きいほどH1とH2の動きの比率(H1/H2)は小さくなり、逆に角度θが小さいほどH1とH2の動きの比率は大きくなる。H1とH2を任意の作動点に設定することにより、図16で示した昇降量調整機構を流用することができる。
なお、図6に示すように、下側昇降フレーム220の後側凸部221には、引き出したチューブTの長さを測定するチューブ長さ測定手段260が取り付けられている。このチューブ長さ測定手段260によれば、第2のベルトローラ装置50Bの従動側ベルトローラ61における下側のローラ62の回転数から、切断された後のチューブTの長さが測定される。また、測定されたチューブTの長さは、チューブTの種類ごとに制御手段190に蓄積され、リール13に巻かれたチューブTの使用量が認識される。そして、リール13に巻かれているチューブTの量が少なくなって所定量を下回ったら、その種類のチューブTの補充が必要である旨の表示が制御手段190になされるようになっている。
また、図示はしないが、第2のベルトローラ装置50Bの従動側ベルトローラ61の近傍には、チューブTが該従動側ベルトローラ61を通過しているか否かを検知するチューブセンサが設けられており、その検知信号は、制御手段190に供給される。
[印字装置]
印字装置110は、チューブ搬送路における第1のロータリーチャック装置80Aと第2のロータリーチャック装置80Bとの間であって、チューブ搬送路の直上に配設されている。図7に示すように、印字装置110は印字ヘッド111を備えており、この印字ヘッド111から下方のチューブに対して必要な情報(例えばチューブTの種類を表す数字や英字等)の印字が施される。
印字ヘッド111は、鉛直方向を軸として90°回転可能となっており、したがって印字される文字は、チューブTの長手方向に沿って横書きする通常モードと、通常モードから90°回転したチューブTの長手方向に直交する縦書きモードでの印字が可能となっている。印字装置110は、チューブTに印字可能なものが適宜に選択されるが、インクジェット方式のものが、簡便、かつ安定した印字状態を得られることから、好適に用いられる。なお、印字ヘッド111自体が90°回転しなくても印字方向を変えられる形式の印字装置を使用した場合には、印字ヘッド111を回転させる必要はない。
[ベルトコンベヤ装置]
図6に示すように、上記第2のベルトローラ装置50Bの下流側には、第2のベルトローラ装置50Bによって搬送されてくるチューブTを受けて下流側に搬送する上流側および下流側のベルトコンベヤ装置(ベルト式搬送手段)130A,130Bが連続して配設されている。各ベルトコンベヤ装置130A,130Bは同一構成であって、前後一対のローラ131にベルト132が無端状に巻回されてなる3つのベルトコンベヤ133が、ベルト132の延びる方向を同一として組み合わされたものであり、内部に、三角形状の搬送空間が形成されている。チューブTはこの搬送空間に送り込まれ、搬送方向に回転する3つのベルト132のうちの少なくとも1つのベルト132の内面に接触することにより、下流側に搬送されることが可能となっている。
チューブTは、リール13に巻かれていることにより巻癖がついており、そのため、第2のベルトローラ装置50Bを通過した後のチューブTは、螺旋状になっている場合が多い。螺旋状のチューブTは、ベルトコンベヤ装置130Aおよび130B内に送り込まれると、周囲の3つのベルトコンベヤ133の各ベルト132の内面に部分的に接触することにより、摩擦による搬送力が生じ、搬送されていく。
図6および図20に示すように、上流側ベルトコンベヤ装置130Aは、上記チューブ引き出し装置40の上方に配置されており、このチューブ引き出し装置40を支持する固定フレーム201および昇降リンクフレーム202に対して同様に支持されている。すなわち上流側ベルトコンベヤ装置130Aは、後端部が固定フレーム201にピン結合され、前端部が昇降リンクフレーム202にピン結合されており、昇降リンクフレーム202が昇降することにより、チューブ引き出し装置40と連動して前端部が上下に揺動するように支持されている。昇降リンクフレームが下降して上流側ベルトコンベヤ装置130Aが前下がりに傾斜すると、その前端部の開口130aが第2のベルトローラ装置50Bの直後に位置付けられ、第2のベルトローラ装置50Bを通過したチューブTが、上流側ベルトコンベヤ装置130Aの内部に開口130aから円滑に入り込むことが可能なようになっている。
上流側ベルトコンベヤ装置130Aとチューブ引き出し装置40とは互いに平行に保持されており、昇降リンクフレーム202が上昇した状態では、上流側ベルトコンベヤ装置130Aの前端部は、チューブTを受ける位置である第2のベルトローラ装置50Bの直後位置から上方に退避し、代わってチューブ引き出し装置40のアーム42の先端が、第2のベルトローラ装置50Bの直後位置に位置付けられる。すなわち昇降リンクフレーム202が昇降することにより、第2のベルトローラ装置50Bの直後位置に対して、チューブ引き出し装置40のアーム先端部42aに設けられたクランプ機構43と上流側ベルトコンベヤ装置130Aの前端部の開口130aとが、選択的に位置付けられる(図20(d)〜(e)参照)。上流側ベルトコンベヤ装置130Aは、退避状態では水平となり、一方、下流側ベルトコンベヤ装置130Bは、後ろ下がりに傾斜した状態で固定されている。
下流側ベルトコンベヤ装置130Bの後端部には、該後端部をチューブが搬送されているか否かを検知する図示せぬチューブセンサが設けられており、その検知信号は、制御手段190に供給される。
[バスケット装置]
上記下流側ベルトコンベヤ装置130Bの後端が本装置1のチューブ搬送路の終端付近であり、そこには、図6に示すように、下流側ベルトコンベヤ装置130Bから送られてくるチューブTを受けて収容するバスケット装置(チューブ収容手段)140が配設されている。このバスケット装置140は、図17および図18に示すように、全体が円形状の底部の径よりも上方の開口径の方が大きい有底円筒状であって、円筒状の外側固定バスケット141と、同じく円筒状で、外側固定バスケット141内に回転可能に嵌め込まれる内側回転バスケット145と、内側回転バスケット145の底部に嵌め込まれる底部可動プレート150とを備えている。
外側固定バスケット141は、上方に向かうにしたがって拡径する円筒状の胴部142と、円板状の底部143とを有している。底部143の中心には、軸方向に延び、上方の開口からやや突出する高さを有する駆動シャフト155が回転可能に設けられている。外側固定バスケット141の周方向の一部には、胴部142の上端部から底部143の中心付近にわたる矩形状の切欠き144が形成されている。
内側回転バスケット145は、外形が外側固定バスケット141と同様であって、円筒状の胴部146と円板状の底部147とを有しているが、サイズが外側固定バスケット141内に収容可能な程度とされている。内側回転バスケット145は、底部147の中心に形成された孔147aに駆動シャフト155を通して、外側固定バスケット141の中に回転可能に嵌め込まれている。そして内側回転バスケット145は、駆動シャフト155によって回転駆動されるように、該駆動シャフト155と連結されている。
また、内側回転バスケット145には、胴部146の上端部から底部147の中心付近にわたる複数の切欠き148が、周方向に等間隔をおいて形成されている。これら切欠き148は、外側固定バスケット141の切欠き144に対応してほぼ同寸法/同形状に形成されており、内側回転バスケット145が回転することにより、1つの切欠き148が外側固定バスケット141の切欠き144に一致して開口するようになっている。
底部可動プレート150は、中心に駆動シャフト155が摺動自在に挿通する円錐状のガイド筒151の周囲に環状の底板部153が形成されてなるもので、底板部153は、周方向に等間隔をおいて形成された複数の切欠き152によって分割されている。複数の切欠き152は、内側回転バスケット145に形成されている各切欠き148に対応してこれら切欠き148と同じ数が形成されている。底部可動プレート150は、各切欠き152が内側回転バスケット145の各切欠き148と一致した状態で底板部153が内側回転バスケット145の底部147に重ねられ、内側回転バスケット145内に嵌め込まれている。底部可動プレート150は、各切欠き152が各切欠き148と一致した状態が保持されるように、図示せぬ規制手段で内側回転バスケット145と相対回転不能とされている。
下流側ベルトコンベヤ装置130Bの後端部から排出されるチューブTは、上部開口からバスケット装置140内に導入され、その時には、内側回転バスケット145と底部可動プレート150とがともに一方向に回転するように運転される。内側回転バスケット145と底部可動プレート150とが回転しながらチューブTを受けることにより、チューブTは内側回転バスケット145の胴部146の内面にガイドされながら、巻癖に倣って螺旋状に束ねられる。
なお、導入されたチューブTの先端が切欠き144,148,152が一致して形成される開口から外に出ないように、外側固定バスケット141の切欠き144を開閉自在に閉塞するカバーが設けられていると好ましい。また、本実施形態においては外側固定バスケット141を使用しているが、収容されるチューブTが内側回転バスケット145の複数の切欠き148から飛び出さない構造であれば、外側固定バスケット141は必須ではない。
[チューブ結束装置]
バスケット装置140の近傍には、目的長さに切断されてバスケット装置140内に螺旋状に収容されたチューブTを縛って結束するチューブ結束装置(チューブ結束手段)160が配設されている。図6に示すように、このチューブ結束装置160は、バスケット装置140の内側回転バスケット145の1つの切欠き148が外側固定バスケット141の切欠き144に一致して形成される開口から内部に進入して、チューブTをバンド161で結束するバインダ162と、このバインダ162にバンド161を供給し、かつバインダ162を作動させる駆動部163とを有している。
バインダ162は、開閉する一対の半円弧状のフィンガ部162aを備えており、フィンガ部162aが互いに接近する方向に動いて閉じた際に、チューブTにバンド161を巻いて結束し、この後、バンド161を切断するものである。チューブ結束装置160はバスケット装置140に対して進退可能に設置され、図示せぬ駆動機構によって、バインダ162がバスケット装置140内に入り込むように駆動される。チューブ結束装置160としては、例えばドイツのヘラマンタイトン社製「ATS3080」等が好適に用いられる。
チューブTを結束する際には、バスケット装置140の内側回転バスケット145を回転させて、複数の切欠き148のうちの1つを外側固定バスケット141の切欠きに一致させて開口を形成し、その開口からバインダ162をバスケット装置140内に進入させてから、該バインダ162を作動させてチューブTをバンド161で結束し、結束後はバインダ162をバスケット装置140内から退避させる、といった結束動作を繰り返す。これによりチューブTは、複数箇所がバンド161で結束され、環状の状態に保持される。内側回転バスケット145の切欠き148の全てを利用すれば、該切欠き148の数に応じた最も多い箇所が結束されるが、結束箇所の数は、必要に応じて決められる。
なお、このようにしてチューブTを結束する際には、バスケット141の上方に配設されたチューブ押さえ装置170を作動させる。このチューブ押さえ装置170は、シリンダ171からピストン172が上下方向に伸縮するようになされたもので、ピストン172の先端に、矩形状の押さえ板173が固定されている。ピストン172が下方に伸びると押さえ板173が内側回転バスケット145内に入り込み、チューブTの、バインダ161によって結束される部分の近傍を押さえ付ける。これによってチューブTは下に押さえられて弛みや曲がりなどが矯正され、良好な状態に結束される。ピストン172が下方に伸びて押さえ板173によりチューブTを押さえ付ける動作は、チューブTを結束する動作に同期して繰り返し行われる。
バスケット装置140は、図6に示す支持フレーム(チューブ移し替え手段)159に、水平方向を回転軸として180°反転し、引っ繰り返された状態となることが可能なように支持されている。そのようにバスケット装置140全体が反転すると、図17(b)〜(c)に示すように底部可動プレート150が自重で下降して内側回転バスケット145から外れる。なお、底部可動プレート150には、開口付近まで下降したら駆動シャフト155に係合して落下しないように、駆動シャフト155に係合する手段が設けられている。各バスケット141,145が開口に向かって拡径しているため、チューブTを収容する際にはチューブTがバスケット装置140内の中心に誘導される。そして、反転した際には、底部可動プレート150は各バスケット141,145の胴部142,146と接触せず、円滑に下降して結束されたチューブTを確実に下方に押し出すことが可能となっている。
なお、底部可動プレート150は、バスケット装置140が反転した際に、結束済みのチューブTを下方に押し出してスムーズに落下させる機能を果たすが、この底部可動プレート150を省略し、代わりに内側回転バスケット145の底部147だけが胴部146から分離して下降するように構成してもよい。また、収容されるチューブTが内側回転バスケット145の複数の切欠き148から飛び出さない構造であれば、外側固定バスケット141は必須ではないことは上述した通りであり、したがって、底部可動プレート150を省略する構成と併合させれば、バスケット装置140は内側回転バスケット145のみで成立させることも可能である。
[トレーおよびチューブ情報読み取り手段]
バスケット装置140が反転して底部可動プレート150が下降すると、底部可動プレート150に載っていた結束済みのチューブTは下方に落下する。図6に示すように、バスケット装置140の下方には、落下するチューブTを受けるトレー180が配設されるようになっている。トレー180は直方体状の箱体であり、図1に示すように、架台185の上に載置される。トレー180の一側面には、切断して得るべきチューブTの種類および長さといったチューブ情報が記録されたカード(記録媒体)Cが着脱自在に装填されるようになっている。カードCに記録されるチューブ情報は、数字、英字といったチューブTの種類を直接表す文字や、バーコード等の識別記号などが挙げられる。
架台185には、カードCに記録されたチューブ情報を読み取る読み取り部186が設けられている。トレー180は、カードCを読み取り部186に対面させて載置される。読み取り部186で読み取られたチューブ情報は制御手段190に供給され、制御手段190は、チューブ情報からチューブTの種類および長さ、印字装置110で印字するべき印字情報を認識して、該当するチューブTを切断するように本装置1を制御する。以下、制御手段190によって制御される本装置の動作例を以下に説明する。
(2)チューブ切断装置の動作
「1.チューブの選択(初期)」
前提の状態として、全てのリールラック10のチューブ先端部ホルダ20には、対応するリール13から巻き出されたチューブTが、前後のチューブ保持機構22に保持されており、図19(a)に示すように、チューブTの先端部が、前側のチューブ保持機構22からチューブ搬送方向に突出している。
はじめに、オペレータが、カードCが装填されたトレー180を架台185の上に載置して、カードCに記録されているチューブ情報を読み取り手段186に読み取らせる。読み取り手段186で読み取られたチューブ情報は制御手段190に供給され、制御手段190は供給されたチューブ情報に基づき、次のようにして本装置1を作動させる。
最初の動作として、回転ステージ5を回転させて、カードCに表示されたチューブ情報に該当するチューブTがリール13に巻かれているリールラックを、チューブ引き出し位置に対応する位置に位置付け、回転ステージ5を停止させる。続いてプッシュロッド18を伸ばして、該当のリール13からリールストッパ16を解除し、チューブTを引き出し可能とする。
「2.チューブの搬入・搬送」
図19(b)に示すように前後伸縮ロッド122を伸ばし、次いで図19(c)に示すように上下伸縮ロッド124を伸ばすことにより、フック120をフィードフレーム21の突起片32に係合させる。次いで、図19(d)に示すように前後伸縮ロッド122を縮小させて左右のフィードフレーム21を引っ張りばね33の力に抗して前方にスライドさせる。これにより、チューブTの先端部がチューブ引き出し装置40のクランプ機構43に受け渡される位置に位置付けられ、これと同時に、レバー30の先端のピン31が下刃プレート78の押さえ片79の下方に位置付けられて押さえ片79に係合する状態となる。
次に、図19(e)に示すように、予めチューブ搬送路から退避していた第1のベルトローラ装置50Aの上側の駆動側ベルトローラ51と下側の従動側ベルトローラ61をそれぞれチューブTに近付け、各ベルト53,53,63をチューブTに接触させ、これらベルトによって、チューブ先端部ホルダ20内にあるチューブTを保持する。従動側ベルトローラ61は、下側昇降フレーム220を上昇させることにより、搬送するチューブTの下面にベルト63が適切に接触する高さ位置に設定される。そしてこの状態で、第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bの各ロータ81の中心は、上述した下側昇降フレーム220のクサビ面223aが差動プレート230のクサビ面230aに摺接することによって生じる昇降量の調整により、搬送されるチューブTの中心に一致する。
次に、図20(a)に示すように、予め互いに重なっていたカッタ装置70の押さえプレート74と下刃プレート78とを離間させて両者の間を開く。下刃プレート78が下降することにより、押さえ片79が、前側のチューブ保持機構22におけるレバー30の先端のピン31が下方に押し下げられる。これにより、レバー30も押し下げられ、前後のチューブ保持機構22のシザーズリンク26が開き、チューブTを保持する状態が解除される。このため、チューブTの先端から所定長さ部分が、第1のベルトローラ装置50Aによって保持された状態となっている。
次に、チューブ引き出し装置40のアーム42を伸ばす。アーム42は、予めチューブ搬送路から退避している第2のベルトローラ装置50Bの上側の駆動側ベルトローラ51と下側の従動側ベルトローラ61との間を通り、次いで第2のロータリーチャック装置80Bのロータ81、第1のロータリーチャック装置80Aのロータ81の、各チューブ挿通孔81aを通り、さらに押さえプレート74と下刃プレート78との間を通って、図20(b)に示すように先端のクランプ機構43がチューブTの先端部に到達する。クランプ機構43は、予め爪部44が離間して開いており、爪部44の間にチューブTの先端部が入り込んだら、爪部44を閉じてチューブTの先端部を把持する。
次に、図20(c)に示すように、アーム42を後退させていくことにより、クランプ機構43で把持したチューブTをチューブ搬送路の下流側に引き出していく。この時、第1のベルトローラ装置50Aの駆動側ベルトローラ51も作動させて、第1のベルトローラ装置50AによってチューブTを下流側に送り出す。チューブTは、先端がアーム42のクランプ機構43に導かれながら、第1のベルトローラ装置50Aによって下流側に搬送されていく。
図20(d)に示すように、アーム42が後退ストロークエンドに達したら、第2のベルトローラ装置50Bの上側の駆動側ベルトローラ51と下側の従動側ベルトローラ61をそれぞれチューブTに近付け、各ベルト53,53,63をチューブTに接触させ、これらベルトによってチューブTの先端から所定長さ部分を保持する。次に、アーム42のクランプ機構43を開いて爪部44で把持していたチューブTの先端を開放し、この後、図20(e)に示すように、昇降リンクフレーム202を下降させて、第2のベルトローラ装置50Bの直後位置にあったアーム42の先端を下降させ、該位置に、上流側ベルトコンベヤ装置130Aの前端部を位置付ける。
次に、第1および第2のベルトローラ装置50A,50BによってチューブTを下流側に搬送し、図21(a)〜(b)に示すように、チューブTを上流側ベルトコンベヤ装置130Aから下流側ベルトコンベヤ装置130Bに送り込み、これらベルトコンベヤ装置でもチューブTを搬送する。ここでは、第1のベルトローラ装置50Aによる搬送速度よりも第2のベルトローラ装置50Bによる搬送速度を僅かに速くし、これらベルトコンベヤ装置50A,50B間でチューブTを引っ張るようにして送ってテンションを保持する。各ベルトコンベヤ装置130A,130B内では、チューブTは螺旋状になって、周囲の3つのベルト132のいずれかに接触して搬送力が効果的に発生するので、テンションを付与する必要はない。
「3.チューブへの印字」
第1および第2のベルトローラ装置50A,50Bの間を搬送させている間に、適宜なタイミングで、印字装置110によってチューブTに必要な情報を印字する。印字がチューブTの長手方向に沿って横書きする通常モードであれば、第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bは作動させず、チューブTを搬送しながら印字ヘッド111から印字を施す。
一方、縦書きモードでチューブTの周方向に沿って印字を施す場合には、第1および第2のベルトローラ装置50A,50Bの作動を停止して搬送を中断し、第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bの、予め開いていた各チャックプレート100を内周側に進出させて、それぞれのチャック部101によってチューブTを挟持する。また、印字ヘッド111を90°回転させる。そして、モータ98を作動させて各ロータ81を一方向に所定角度回転させながら、これと同期させて印字ヘッド111を作動させる。
各ロータ81のチャックプレート100で挟持されたチューブTは、それらロータ81が回転することにより、軸線回りに捻れるようにして回転する。その回転中に、印字ヘッド111から印字されることにより、チューブTには、周方向に沿って印字が施される。縦書き印字が終了したら、チャックプレート100を後退させてチューブTを開放する。通常モード、縦書きモードとも、チューブTへの印字箇所は任意であって、例えばチューブTの長手方向に等間隔おきであったり、チューブTの両端部であったりする。
なお、本実施形態では、第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bは固定されているが、チューブTの搬送方向に沿って移動可能な構成としてもよい。このような構成とすれば、各ロータ81を一方向に所定角度回転させながら、かつ、チューブTを下流側に送るとともに第1および第2のロータリーチャック装置80A,80BをチューブTの搬送方向に移動させながら、印字ヘッド111を作動させることにより、チューブTに対して印字ラインを螺旋状に形成することができる。
「4.チューブの切断」
チューブTの引き出し長さはチューブ長さ測定手段260によって測定されており、引き出し長さが、カードCに表示されていた目的の数値に到達したら、各ベルトローラ装置50A,50Bおよび各ベルトコンベヤ装置130A,130Bを停止させ、チューブTの搬送を中断する。そして図21(c)に示すように、カッタ装置70を作動させてチューブTを切断する。カッタ装置70が作動した時には、下刃機構75の下刃プレート78が上昇するため、押さえ片79で押さえられていたチューブ先端部ホルダ20の前側のチューブ保持機構22におけるレバー30が圧縮ばね29の力で上方に移動する。これにより、図5(a)に示すようにシザーズリンク26が閉じて、切断後の残った側のチューブTがチューブ先端部ホルダ20に保持される。続いて、第2のベルトローラ装置50Bおよび各ベルトコンベヤ装置130A,130Bを作動させて、切断したチューブTを搬送する。
「5.バスケット装置への収容」
下流側ベルトコンベヤ装置130Bの後端部に設けられたチューブセンサによってチューブTが検知されたら、内側回転バスケット145の回転を開始させる。チューブTはバスケット装置140内に導入され、回転する内側回転バスケット145によって巻き取られながら該内側回転バスケット145内に螺旋状に収容されていく。チューブTが切断され、下流側ベルトコンベヤ装置130Bの後端部のチューブセンサによってチューブ無しが検知されたら、内側回転バスケット145の回転を停止させる。これによって、切断済みのチューブTがバスケット装置140内に収容される。
また、第2のベルトローラ装置50Bの従動側ベルトローラ61に設けられたチューブセンサによってチューブ無しが検知されたら、第2のベルトローラ装置50Bの作動を停止させるとともに、チューブ長さ測定手段260の測定データをリセットさせる。
「6.チューブの選択(引き続き異なる種類のチューブを処理する場合)」
この後、本装置1ではチューブTを引き続き処理することができるが、処理の形態としては、異なる種類のチューブTを切断する場合と、同じ種類のチューブTを処理する場合に分けられる。
異なる種類のチューブTを切断する場合には、チューブ引き出し位置に前進しているチューブ先端部ホルダ20を後退させる。それには、先に切断されたチューブTが第2のベルトローラ装置50Bを通過し、さらに第1のベルトローラ装置50Aの駆動側ベルトローラ51と従動側ベルトローラ61とが上下に移動して退避した後に、前後伸縮ロッド122を伸ばして左右のフィードフレーム21を後退させ、次いで、上下伸縮ロッド124を縮小してフィードフレーム21の突起片32からフック120を外し、前後伸縮ロッド122を縮小させる。これによってチューブ先端部ホルダ20はチューブ引き出し位置からベースプレート19上の元の位置に戻される。この後は回転ステージ5が回転し、目的のチューブTが巻かれているリールラック10のチューブ先端部ホルダ20がチューブ引き出し位置に位置付けられ、上記と同じ要領で新たなチューブTがリール13から引き出されて、印字、切断処理がなされる。
「7.チューブの選択(引き続き同じ種類のチューブを処理する場合)」
引き続き同じ種類のチューブTを処理する場合には、チューブTを切断すると同時に切断後の残ったチューブTを再び引き出して搬送する。それには、先に切断されたチューブTが第2のベルトローラ装置50Bを通過した後に、第2のベルトローラ装置50Bの駆動側ベルトローラ51と従動側ベルトローラ61とをそれぞれ上下に移動させてこれらベルトローラ51,61の間を開放し、また、カッタ装置70の押さえプレート74と下刃プレート78とを離間させてこれらプレート74,78の間を開放する。切断後に残ったチューブTは、第1のベルトローラ装置50Aによって保持されている。そして、上記の動作と同様に、チューブ引き出し装置40によるチューブTの引き出し、第1および第2のベルトローラ装置50A,50BによるチューブTの送り出し、ベルトコンベヤ装置130A,130Bによるチューブの搬送が行われ、搬送中において印字装置110によりチューブTに印字を施され、カッタ装置70によってチューブTが切断される。
「8.チューブの結束」
切断済みのチューブTが収容された内側回転バスケット145を回転させて、1つの切欠き148を、外側固定バスケット141の切欠き144と底部可動プレート150の切欠き152に一致させて開口を形成する。その開口から、チューブ結束装置160のバインダ162をバスケット装置140内に進入させ、これと同時にチューブ押さえ装置170を作動させて、バインダ162の近傍のチューブTを押さえ付ける。次いでバインダ162を作動させ、チューブTをバンド161で結束し、バインダ162をバスケット装置140内から退避させる。この結束動作を繰り返して、図22に示すような環状に巻かれて複数箇所がバンド161で結束されたチューブTを得る。
「9.トレーへの排出」
バスケット装置140を180°反転して引っ繰り返した状態とし、底部可動プレート150を下降させてチューブTを下方に落下させる。落下したチューブTは、はじめに架台185上に載置したトレー180内に収容される。
トレー180内に、カードCに記録されていたチューブ情報に応じた種類および数のチューブTがストックされたら、適用される機器の組み立て工程に運搬され、バンド161が切断されて機器に組み付けられる。組み付けの際には、印字された情報に基づき、所定の箇所に適切に組み付けられる。
チューブTを切断した後、引き続き同じ種類のチューブTを切断して結束する場合には、上記動作が繰り返されて、同じリール13からチューブTが引き出されて切断され、結束されたチューブTが排出される。また、異なる種類のチューブTを切断する場合には、回転ステージ5を回転させて目的のチューブTがリール13に巻かれているリールラック10を、チューブ引き出し位置に位置付けてから、上記動作を行う。
(3)チューブ切断装置の作用効果
上記本実施形態のチューブ切断装置1によれば、以下に記す作用効果が奏される。
1.径の異なる複数種類のチューブから目的のチューブを選択して、そのチューブにチューブ情報を印字して目的長さにチューブを切断し、さらに巻き取って結束するまでが、自動的になされる。このため、人手によって作業する際に生じる切断長さを誤るなどの作業ミスが生じず、目的のチューブを容易に得ることができる。チューブに対する印字は、チューブの長手方向に沿って横書きする通常モードの他に、ロータリーチャック装置80A,80Bで挟持したチューブを軸線回りに回転させながら印字することにより周方向に印字することもできる。
2.チューブに印字する情報によって、チューブの種類や、チューブを組み付ける装置の何処に使用されるチューブなのかを識別させることができ、装置組み立ての際のチューブの接続ミスを解消することができる。また、装置のメンテナンス時においてチューブの行き先が見えなくても作業者がチューブに印字された情報を配管図と照合させるだけで装置のどの部分に使われているチューブかを知ることができる。情報の印字をチューブの周方向にした場合には、どの方向から見てもチューブの情報が読み取れるので、メンテナンス時などには、特に有効である。さらに、チューブへの印字によって情報を表示させる手段は、従来の識別手段であるマーカーよりもコストダウンが図られる。また、カードCに表示したチューブ情報に基づきチューブ情報が正確に印字されるので、チューブの種類を間違えるミスが解消される。
3.チューブ保持機構22のシザーズリンク26によってV字状の谷間にチューブを挟んで保持するとともに、三角枠体23の頂点の内側にチューブを保持するので、径の異なるチューブであっても左右方向のセンタリングが同一箇所に確実になされる。このように保持されるチューブは、径が太くなるにしたがって三角枠体23に接触するチューブの位置が下がってくるが、これはチューブが太くなると印字装置110とチューブの印字面の距離が遠くなることを意味する。ここで、印字装置110がインクジェット式の場合、印字ヘッド111から離間する距離が比較的長くなると、インクジェットの広がり程度が大きくなって印字される画像が大きくなる。このため、チューブが太くなるとそれに従って印字される画像の大きさも大きくなり、チューブ情報が見やすくなるといった利点がある。
4.下側昇降フレーム220を昇降させると、下側昇降フレーム220側のクサビ面223aが差動プレート230のクサビ面230aに摺接することによって生じる昇降量の調整により、第1のベルトローラ装置50Aの従動側ベルトローラ61のベルト63が、チューブに適切に接触する高さ位置に設定されるとともに、第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bの各ロータ81の中心がチューブの中心に一致する。したがって、径の異なるチューブであっても、常にチューブの中心を一定の位置に位置付けて搬送させることができる。その結果、搬送が安定して進行するとともに、印字装置110による印字が正確に行われる。
5.第1のベルトローラ装置50Aの従動側ベルトローラ61と、第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bとを個別に昇降させることなく、下側昇降フレーム220を1つの駆動装置(シリンダ装置250)によって昇降させることにより、上記のように両者の昇降量を適切に調整することができるので、駆動装置の削減によるコスト低減が図られる。
6.リールラック10が設置された回転ステージ5側には、チューブの搬送や印字などに関わる駆動機構や駆動伝達機構などが一切設けられておらず、それら駆動機構や駆動伝達機構などは、全て基台2の駆動系設置ステージ3に設けられている。このため、回転ステージ5を回転させる際には配線等の障害となるものがなく、一方向に制限無く回転させることができる。したがって、例えばリールラック10を直線状に配置した場合に比べ、回転ステージ5を回転させてリールラック10をチューブ引き出し位置に位置付ける際のアクセス距離が短くなり、結果として作業時間の短縮が図られる。
7.円形の回転ステージ5上に複数のリールラック10を設置する構成は、多くのリールラック10をなるべく小さい面積の中に納めることができ、省スペースが達成される。
8.印字はチューブTの上面になされ、一方、印字後に通過する第2のベルトローラ装置50Bにおける上側の駆動側ベルトローラ51は、チューブTに作用する左右の楕円ローラ54がV字状に設置されている。このため、印字面に楕円ローラ54が接触しにくく、印字面が汚れる不具合が生じない。また、前述の通りV字状の谷間にチューブを挟んで送る構造になっているために、径の異なるチューブであっても左右方向のセンタリングが同一箇所に確実になされた状態でチューブを搬送することができる。
9.印字装置110を挟んで2つのベルトローラ装置50A,50Bが配置されており、この構成において、下流側の第1のベルトローラ装置50A側よりも上流側の第2のベルトローラ装置50B側の楕円ローラ54の回転速度を速くすることにより、印字装置110による印字箇所では常にチューブにテンションがかかった状態が維持され、これによって安定した印字が行うことができる。
10.第1および第2のロータリーチャック装置80A,80Bの、3つ1組のチャックプレート100においては、チューブTを挟持する先端のチャック部101の両側に段差面102a,102bならびに薄肉部103aと薄肉部103bがそれぞれ形成されており、チャックプレート100が進出してチャック部101が近接すると、薄肉部103aと薄肉部103bどうしが交互に重なり合いながら、さらに接近し合うように進出することができる。このような構成により、ロータリーチャック装置80A,80Bの各ロータ81内のチューブ挿通孔81aを通過するチューブが該チューブT挿通孔81aの中心から外れていても、薄肉部103aと薄肉部103bがチューブをガイドして、チューブ挿通孔81aの中心にチューブを位置付けることができる。また、台形部104の表裏面は、チューブの径方向に沿った面と同一平面であるから、台形部104はチューブに対して直交して当接し、これによってチューブをバランスよく挟持することができる。
11.チューブ引き出し装置40のチューブ先端部を把持するクランプ機構43は、左右の爪部44の基端部45が重なり合うとともに、これら基端部45が、アーム先端部42aに形成されたガイド溝46に沿ってアーム42の幅方向に大きく移動可能となっている。したがって、爪部44がガイド溝46に沿いながら摺動し、かつ、開閉機構47のリンク48と連結した構造でありながらも、最も開いたときの左右の爪部44の離間距離をアーム42の幅と同等まで大きくとることができ、省スペースながらチューブの先端を確実に把持することができる。また、チューブ引き出し装置40でチューブの送り先をガイドすることにより、チューブに巻癖が付いていた場合であっても確実に目的の位置までチューブを送り出すことができる。
12.上流側および下流側のベルトコンベヤ装置130A,130Bは、3つのベルトコンベヤ133が組み合わされて内部に断面三角形状のチューブ搬送空間が形成されたものである。このため、第2のベルトローラ装置50Bから送り出されたチューブTが螺旋状であっても、そのチューブTは3つのベルト132のうちの少なくとも1つのベルト132の内面に接触することにより、下流側に確実に搬送される。つまり、ベルトコンベヤ装置130A,130Bでは、チューブの搬送空間が閉じられていることによりチューブの脱落が防止され、さらに、搬送空間を形成する面である3つのベルト132が全て可動であるため、チューブにどんな癖が付いていたとしても、いずれかのベルト132には必ず接触することにより確実に搬送される。なお、本実施形態では搬送空間の断面が三角形状であるが、可動面によって形成される搬送空間であれば、その搬送空間の断面形状はその他の多角形状であっても同様の作用効果が得られる。