JP5100519B2 - ゴム組成物および該ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、ヒドロシリル基含有化合物が液体であることから、ロール混練を短時間で完了させることは困難で、これまでは、充分な混練を行うためには長時間を要していた。
また別の解決策として、可能な限りファーネスブラックとヒドロシリル基含有化合物の投入順序を別々に添加する方法、あるいは不活性となるヒドロシリル基含有化合物を勘案して、本来の量よりも多量に添加する方法などが行われてきた。
[1]
下記(1)〜(4)を含む(ただし、下記(8)は含まない)ゴム組成物(MB)を予め混練して得た後、該ゴム組成物(MB)と下記(5)〜(8)とを混練して得られることを特徴とするゴム組成物(ただし、下記(1)〜(4)および下記(6)〜(8)の重量部は、下記(5)のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部を基準とする);
(1)エチレン・炭素原子数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−1)1〜9重量部、
(2)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有化合物(B)1.7〜15重量部、
(3)アセチレンブラック(C)2〜17重量部、
(4)プロセスオイル(D)1〜10重量部、
(5)エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンとよりなり、下記の(イ)〜(ハ)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部、
(ロ)ヨウ素価が0.5〜30g/100g、
(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜3.0dl/g、
(6)1分子中にアセチレン基と水酸基とを含有する反応抑制剤(E)0.05〜5重量部、
(7)白金系触媒(F)0.05〜5重量部、
(8)ファーネス法により得られるカーボンブラック(G)10〜300重量部。
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−1)が、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)であることを特徴とする[1]に記載のゴム組成物。
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−1)が、エチレンと、プロピレンと、5−エチリデン−2−ノルボルネンとよりなり、下記の(ニ)〜(ヘ)を満足するエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1b)であることを特徴とする[1]に記載のゴム組成物;
(ニ)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が75/25〜83/17、
(ホ)ヨウ素価が10〜30g/100g、
(へ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が3.2〜5.5dl/g。
[1]〜[3]のいずれかに記載のゴム組成物をヒドロシリコン架橋して得られるゴム組成物。
[4]に記載のゴム組成物からなるゴム成形品。
下記の(1)〜(4)を含むゴム組成物(MB)を予め混練して得た後、該ゴム組成物(MB)と以下の(5)〜(8)とを混練する工程を含むことを特徴とするゴム組成物の製造方法(ただし、下記(1)〜(4)および下記(6)〜(8)の重量部は、下記(5)のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部を基準とする);
(1)エチレン・炭素原子数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−1)1〜9重量部、
(2)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有化合物(B)1.7〜15重量部、
(3)アセチレンブラック(C)2〜17重量部、
(4)プロセスオイル(D)1〜10重量部、
(5)エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンとよりなり、下記の(イ)〜(ハ)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)、
(ロ)ヨウ素価が0.5〜30g/100g、
(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜3.0dl/g、
(6)1分子中にアセチレン基と水酸基とを含有する反応抑制剤(E)0.05〜5重量部、
(7)白金系触媒(F)0.05〜5重量部、
(8)ファーネス法により得られるカーボンブラック(G)10〜300重量部。
さらに、ヒドロシリコン架橋する工程を含むことを特徴とする[6]に記載のゴム組成物の製造方法。
本発明のゴム組成物は、下記(1)〜(4)を含む(ただし、下記(8)は含まない)ゴム組成物(MB)を予め混練して得た後、該ゴム組成物(MB)と下記(5)〜(8)とを混練して得られることを特徴としている(ただし、下記(1)〜(4)および下記(6)〜(8)の重量部は、下記(5)のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部を基準とする)。このような工程を経ることにより、ロール混練において架橋剤のヒドロシリル基含有化合物が飛散することなく、また混練時間を短くすることが可能となる。
(2)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有化合物(B)1.7〜15重量部
(3)アセチレンブラック(C)2〜17重量部
(4)プロセスオイル(D)1〜10重量部
(5)エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンとよりなり、下記の(イ)〜(ハ)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部
(ロ)ヨウ素価が0.5〜30g/100g
(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜3.0dl/g(6)1分子中にアセチレン基と水酸基とを含有する反応抑制剤(E)0.05〜5重量部
(7)白金系触媒(F)0.05〜5重量部
(8)ファーネス法により得られるカーボンブラック(G)10〜300重量部
以下、上記(1)〜(8)について説明する。
前記ゴム組成物(MB)に用いられるエチレン・炭素原子数3〜20のα−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−1)(以下、共重合体ゴム(A−1)と略す)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンとのランダム共重合によって得られる。該共重合体ゴム(A−1)の配合量は、後述する(5)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部に対して、1〜9重量部であり、1〜8重量部であることが好ましく、1〜6重量部であ
ることがより好ましい。共重合体ゴム(A−1)の配合量が、前記範囲内であると添加時ロール加工性の点で好ましい。
共重合体ゴム(A−1)の原料であるα−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが好ましい。炭素原子数3〜20のα−オレフィン具体的例としては、側鎖の無い直鎖の構造を有する、炭素原子数3のプロピレン、炭素原子数4の1−ブテンからはじまり、炭素原子数9の1−ノネンや炭素原子数10の1−デセンを経て、炭素原子数19の1−ノナデセン、炭素原子数20の1−エイコセン、並びに側鎖を有する4−メチル−1−ペンテン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどがあげられる。これらのα−オレフィンは単独で、または2種以上組み合せて用いられる。これらの中では炭素原子数3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが好ましい。
共重合体ゴム(A−1)の原料である非共役ポリエンは、下記一般式[I]または[II]で表される末端ビニル基含有ノルボルネン化合物であることが好ましい。
、その具体例は、メチル基やエチル基からはじまりノニル基やデシル基であり、n−、iso−、sec−、tert−などの異性体を含む。好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基である。またR2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基であり、その具
体例は、メチル基からはじまりペンチル基であり、n−、iso−、sec−、tert−などの異性体を含む。好ましくは炭素原子数1〜3の異性体を含むアルキル基である。nは0〜10の整数であり、好ましくは0〜8、特に好ましくは0〜3、特に最も好ましくは0である。
り、その具体例は、前記一般式[I]のR1と同様である。
前記一般式[I]または[II]の具体例は、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセシル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
本発明で用いる共重合体ゴム(A−1)は、上記原料であるエチレン、α−オレフィン、および非共役ポリエンを公知の方法によりランダム共重合化して製造される。
くは5〜8kgf/cm2(ゲージ圧)、非共役ポリエンとエチレンとの供給量のモル比
(非共役ポリエン/エチレン)が0.01≦非共役ポリエン/エチレン≦0.2、好ましくは0.012≦非共役ポリエン/エチレン≦0.18を満たす条件で、またエチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/炭素原子数3〜20のα−オレフィン)が60/40〜85/15の範囲になるように、原料の供給量を調整して、製造される。重合は、炭化水素媒体中で行うのが好ましい。
本発明で用いる共重合体ゴム(A−1)は、極性モノマーによりグラフト変性されていてもよい。変性に用いる極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビ
ニル化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニルなどがあげられる。グラフト変性に使用する時の極性モノマーの量は、共重合体ゴム(A−1)100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部の量である。変性方法は公知の方法が特に制限無く用いることができる。
本発明で用いる共重合体ゴム(A−1)は、後述する(5)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)であっても差支えない。
(ニ)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が75/25〜83/17
(ホ)ヨウ素価が10〜30g/100g
(へ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が3.2〜5.5dl/g
前記ゴム組成物(MB)に用いられるヒドロシリル基含有化合物(B)は、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物である。該ヒドロシリル基含有化合物(B)の配合量は、後述する(5)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部に対して、1.7〜15重量部であり、1.7〜10重量部であることが好ましく、2.0〜10重量部であることがより好ましい。ヒドロシリル基含有化合物(B)の配合量が、前記範囲外であると、得られるゴム成形品の機械的強度が低下し、またゴム組成物のロール添加時間が長くなる傾向がある。
上記一般組成式において、R4は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1〜10、特
に炭素原子数1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基である。このような1価炭化水素基としては、メチル基やエチル基からはじまりノニル基やデシル基に至る、n−、iso−、sec−、tert−などの異性体を含むアルキル基、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基、例えばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
ましくは1.5≦b≦2であり、cは、1<c≦3、好ましくは1≦c<2であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
SiO2/2 単位、R4(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2またはR4SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンなどを挙げることができる。
サンとしては、例えば下式で示される化合物、さらには下式においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
上記のヒドロシリル基含有化合物(B)は、単独でも任意に選択した2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
前記ゴム組成物(MB)に用いられるアセチレンブラック(C)は、カーボンブラックの1種であり、アセチレンガスを原料とし、それを熱分解して得られる。このような製法で得られるアセチレンブラックは、他のカーボンブラックとは異なる。アセチレンブラックの原料ガスは極めて純度が高く、生成されるアセチレンブラックの不純物は非常に少ない。そのため、ストラクチャー構造(結晶子)が発達し導電性の良い特性を有する。
とを同時に添加すると、ヒドロシリル基含有化合物(B)が不活化するので好ましくない。
前記ゴム組成物(MB)に用いられるプロセスオイル(D)の具体例としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルまたは芳香族系プロセスオイルなどが挙げられる。該プロセスオイル(D)の配合量は、後述する(5)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部に対して、1〜10重量部であり、1〜9重量部であることが好ましく、1〜7重量部であることがより好ましい。プロセスオイル(D)の配合量が、前記範囲内であると添加時ロール加工性の点で好ましい。
本発明に用いるゴム組成物(MB)は、上述したとおり、上記(1)〜(4)を特定の割合で含んでいる。該ゴム組成物(MB)を、後述する(5)〜(8)と混練する前に、予め混練しておくと添加時ロール加工性の点で好ましい。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)(以下、共重合体ゴム(A−2)と略す)は、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンとよりなり、下記の(イ)〜(ハ)の特性を全て有している。なお、該共重合体ゴム(A−2)の配合量は100重量部であり、上述した(1)〜(4)および後述する(6)〜(8)の重量部の基準とする。また、共重合体ゴム(A−2)を構成するα−オレフィンおよび非共役ポリエンについての説明は、上述した共重合体ゴム(A−1)の場合と同様である。
(ロ)ヨウ素価が0.5〜30g/100g
(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜3.0dl/g
本発明で用いる共重合体ゴム(A−2)の、エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/炭素原子数3〜20のα−オレフィン)は、60/40〜85/15である。好ましくは65/35〜85/15であり、さらに好ましくは70/30〜80/20である。該モル比が60/40未満では、架橋ゴム強度が低下し、また85/15を超えるとエチレン量が多くなり樹脂的になり耐寒性が悪化し、好ましくない。
本発明で用いる共重合体ゴム(A−2)のヨウ素価は、0.5〜30g/100gである。好ましくは0.8〜27g/100g、さらに好ましくは1〜25g/100g、特に好ましくは1〜23g/100gである。該ヨウ素価が0.5g/100g未満では架橋速度が遅くなり、30g/100gを超えると長鎖分岐が多く、加工性悪化を招くため、好ましくない。
本発明で用いる共重合体ゴム(A−2)の極限粘度[η]は、0.3〜3.0dl/gである。好ましくは0.3〜2.8dl/g、さらに好ましくは0.3〜2.6dl/g、特に好ましくは0.3〜2.5dl/gである。該極限粘度が0.3dl/g未満では、粘度が低すぎて加工性悪化や強度不足となり、3.0dl/gを超えると粘度が高くなりすぎて加工性悪化を招くため、好ましくない。
本発明で用いる共重合体ゴム(A−2)の製造方法は、上述した共重合体ゴム(A−1)の場合と同様である。
本発明で用いる共重合体ゴム(A−2)のグラフト変性は、上述した共重合体ゴム(A−1)の場合と同様である。
本発明で用いる反応抑制剤(E)は、1分子中にアセチレン基と水酸基とを含有する。該反応抑制剤(E)の配合量は、上述した(5)共重合体ゴム(A−2)100重量部に対して、0.05〜5重量部であり、好ましくは0.07〜5重量部、以下段階的に0.07〜4.5重量部、0.1〜4.5重量部、0.1〜3.0重量部の順序でより好ましくなり、最も好ましくは0.1〜1.0重量部の割合である。0.05重量部以下では架
橋速度が速すぎるため、また、5重量部を超える割合で反応抑制剤(E)を用いると、反応抑制の効果が大きく架橋が起こりにくくなり、コスト的に不利になるので好ましくない。
り、n−、iso−、sec−、tert−などの異性体を含む。R7は、水素、メチル
基またはエチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基である。
、特に好ましくは、全てが水素である。
本発明で用いる白金系触媒(F)は、付加反応触媒であり、共重合体ゴム(A−1)および共重合体ゴム(A−2)が有するアルケニル基と、ヒドロシリル基含有化合物(B)のヒドロシリル基との付加反応(アルケンのヒドロシリル化反応)を促進するものであれば、特に制限はなく使用することができる。該白金系触媒(F)の配合量は、上述した(5)共重合体ゴム(A−2)100重量部に対して、0.05〜5重量部であり、0.05〜3重量部であることが好ましく、0.05〜2.5重量部であることがより好ましい。0.05重量部未満では架橋速度が遅くなり、また、5重量部を超えると、コスト的に不利になるので好ましくない。上記範囲内の配合量で白金系触媒(F)を用いると、架橋密度が適度で強度特性および伸び特性に優れる加硫ゴム成形体を形成できるゴム組成物が得られる。
本発明で用いるファーネス法により得られるカーボンブラック(G)(以下、ファーネスブラック(G)と略す。)は、天然ガスを原料としたガスファーネス法、または芳香族炭化水素油を原料としたオイルファーネス法に類別される不完全燃焼法により得られる。すなわち、本発明で用いるファーネスブラック(G)は、原料および製造方法の両者で上記のアセチレンブラック(C)とは全く異なる。本発明で用いるファーネスブラック(G)の配合量は、上述した共重合体ゴム(A−2)100重量部に対して、10〜300重量部重量部である。より好ましくは10〜200重量部、特に好ましくは50〜200重量部であり、最も好ましく用いられる範囲は、50〜150重量部である。ファーネスブラック(G)の配合量が10重量部未満である場合、および300重量部を超える場合は、共に架橋後の常態物性が低下するため好ましくない。
ラック(C)と同様に、水分、灰分、粗粒分、かさ密度、電気抵抗率、塩酸吸液量、あるいはヨウ素吸着量などさまざまな特性を有する。
本発明のゴム組成物には、上記の必須の配合剤以外に、必要に応じて、補強剤、無機充填剤、軟化剤、老化防止剤(安定剤)、加工助剤、さらには発泡剤、発泡助剤、可塑剤、着色剤、他のゴム配合剤、ゴム、樹脂などを他の成分として配合することができる。それらの配合剤は、用途に応じて、その種類、含有量が適宜選択されるが、これらのうちでも特に補強剤、無機充填剤、軟化剤などを用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法は、上述した(1)〜(4)を含むゴム組成物(MB)を予め混練して得た後、該ゴム組成物(MB)と上述した(5)〜(8)とを混練する工程を含むことを特徴としている。
例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類を用いて、共重合体(A−1)とアセチレンブラック(C)とプロセスオイル(D)とを1〜2分間素練りし、ついでヒドロシリル基含有化合物(B)を加えて、70〜90℃の温度で1〜2分間混練を行い、100℃以下の温度で排出することによりゴム組成物(MB)が得られる。
例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類を用いて、共重合体ゴム(A−2)とファーネスブラック(G)とプロセスオイル(D)とを120〜150℃の温度で3〜5分間混練し、前記ゴム組成物(MB)を添加した後、さらに白金系触媒(F)および反応抑制剤(E)ならびに他の配合剤や他のゴム
や樹脂などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度50〜80℃で5〜10分間混練した後、分出しすることにより本発明のゴム組成物を調製することができる。このようにして通常リボン状またはシート状の配合物が得られる。その後、ヒドロシリコン架橋を行なって、架橋したゴム組成物も得ることができる。例えば、上記の配合物を、通常押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機など種々の成形法によって所望形状に予備成形し、成形と同時にまた成形物を加硫槽内に導入し、加熱してヒドロシリコン架橋することにより得ることができる。加熱する方法としては、公知の方法が制限無く用いることができるが、特に、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の加熱槽を用いて、150〜270℃の温度で1〜30分間加熱することが好ましい。成形、加硫に際しては、金型を用いてもよく、また金型を用いないでもよい。金型を用いない場合は、ゴム組成物は通常連続的に成形、架橋される。
本発明のゴム成形品は、上記ゴム組成物からなる。上記ゴム組成物からなるゴム成形品は、低臭気性や高速架橋性の点で好ましい。ゴム成形品としては、自動車用部品などの押出し用途、建材用途、電線用途、型物一般などが挙げられる。
本実施例で行った評価の測定方法は次の通りである。
1)組成;共重合体の組成は13C−NMR法で測定した。
2)ヨウ素価(g/100g);滴定法により求めた。
3)極限粘度[η](dl/g);135℃、デカリン中で測定した。
4)未架橋ゴム物性/架橋速度tc(90)(分);JIS K6300−2(2001)に従い、170℃におけるtc(90)を測定した。
5)未架橋ゴム物性/最大トルクS’max(dNm);アルファテクノロジーズ社製ローターレスレオメーターを用い、170℃で20分後の最大トルク(S’max)を測定した。
6)デュロメータ硬さHA(度);180℃で10分間熱プレスして架橋したゴムシートを被験試料とし、JIS K6253に準拠し、デュロメータ硬さHA(タイプA硬度)
を求めた。
7)引張特性;180℃で10分間熱プレスして架橋したゴムシートを被験試料とし、JIS K 6251に従って、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、ゴムシートの破断時の強度TB(MPa)および伸びEB(%)を測定した。
8)ロール添加時間(分);バンバリーミキサーより排出され、冷却された組成物をロールに巻きつけた後、所定量のゴム組成物(MB)を添加すると同時に時間計測を開始し、バンク中のゴム組成物(MB)が完全に取り込まれたときまでの時間をロール添加時間(分)とした。
攪拌羽根を備えた実質内容積100リットルのステンレス製重合器(攪拌回転数=250rpm)を用いて、連続的にエチレンとプロピレンと5−ビニル−2−ノルボルネンとの三元共重合を行なった。ヘキサンを60リットル/時間、エチレンを3.7kg/時間、プロピレンを8.0kg/時間、5−ビニル−2−ノルボルネンを480g/時間の速度で、また、水素を50リットル/時間、触媒としてVOCl3 を48ミリモル/時間、Al(Et)2Clを240ミリモル/時間、Al(Et)1.5 Cl1.5 を48ミリモル/時間の速度で重合器側部より液相へ連続的に供給した。上記条件で共重合反応を行い、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネンランダム共重合体(以下、共重合
体(A−2)と略す)が均一な溶液状態で得られた。
製造例1で用いた5−ビニル−2−ノルボルネンの代わりに5−エチリデン−2−ノルボルネンを用いて、製造例1と同様な操作により表1に示す製造条件下で共重合反応を行い、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体(以下、共重合体(A−1b)と略す)を得た。評価結果を表1に示す。
製造例2で得られた共重合体(A−1b)210gとアセチレンブラック(C)200gとプロセスオイル(D)250gを容量1.7リットルのバンバリーミキサー(神戸製鋼所(株)製)で60秒間素練りし、ついで1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有化合物(B)を380g入れ、3分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行い、さらに1分間混練を行い、約90℃以下で排出し、ゴム組成物(MB)(30%架橋剤マスターバッチ)を得た。この混練は該ミキサー容積に対して充填率約70%で行った。
製造例1で得られた共重合体ゴム(A−2)600gを容量1.7リットルのバンバリーミキサー(神戸製鋼所(株)製)で30秒間素練りし、ついでファーネス法により得られたカーボンブラック(G)(以下、ファーネスブラックと略す)およびプロセスオイルを表2に示す所定量(単位;本例で用いた共重合体(A−2)を100重量部とした重量部)入れ、2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行い、さらに1分間混練を行い、約140℃で排出し、配合物を得た。この混練は該ミキサー容積に対して充填率70
%で行った。
実施例1と同様にして、表2で示す製造条件下でゴム組成物を得た後、そのゴム組成物の未架橋ゴム物性を実施例1と同様に評価した。また、該ゴム組成物より実施例1と同様にしてゴムシートを得た後、該ゴムシートを実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、表2で示す製造条件下でゴム組成物を得た後、そのゴム組成物の未架橋ゴム物性を実施例1と同様に評価した。また、該ゴム組成物より実施例1と同様にしてゴムシートを得た後、該ゴムシートを実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
特に、比較例3は、ゴム組成物(MB)を得る際に、アセチレンブラックの代わりにファーネスブラックを用いた。
実施例1の予めゴム組成物(MB)を得る方法に対し、本比較例4〜7は、該ゴム組成物を得ること無く、表2に示す各種成分を一段階で最終のゴム組成物を得た。
比較例5において、ヒドロシリル基含有化合物(B)を添加する際のその飛散を抑制するためにシリカを用いた以外は比較例5と同様に行いゴム組成物およびゴムシートを得て
、それらを同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例2におけるファーネスブラック100重量部をアセチレンブラック100重量部に変えた以外は、実施例2と同様に行いゴム組成物およびゴムシートを得て、それらを同様に評価した。結果を表2に示す。
予混練後の該ゴム組成物(MB)と混練させる成分として、ファーネスブラック(G)の代わりにアセチレンブラック(C)を用いた以外は比較例3と同様に行いゴム組成物およびゴムシートを得て、それらを同様に評価した。結果を表2に示す。
Claims (6)
- 下記(1)〜(4)を含む(ただし、下記(8)は含まない)ゴム組成物(MB)を予め混練して得た後、該ゴム組成物(MB)と下記(5)〜(8)とを混練して得られることを特徴とするゴム組成物(ただし、下記(1)〜(4)および下記(6)〜(8)の重量部は、下記(5)のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部を基準とする);
(1)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1b)1〜9重量部、
(2)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有化合物(B)1.7〜15重量部、
(3)アセチレンブラック(C)2〜17重量部、
(4)プロセスオイル(D)1〜10重量部、
(5)エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンとよりなり、下記の(イ)〜(ハ)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部、
(イ)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/炭素原子数3〜20のα−オレフィン)が60/40〜85/15、
(ロ)ヨウ素価が0.5〜30g/100g、
(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜3.0dl/g、
(6)1分子中にアセチレン基と水酸基とを含有する反応抑制剤(E)0.05〜5重量部、
(7)白金系触媒(F)0.05〜5重量部、
(8)ファーネス法により得られるカーボンブラック(G)10〜300重量部。 - 前記エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴムが、下記の(ニ)〜(ヘ)を満足するエチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1b)であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物;
(ニ)エチレンとプロピレンとのモル比(エチレン/プロピレン)が75/25〜83/17、
(ホ)ヨウ素価が10〜30g/100g、
(へ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が3.2〜5.5dl/g。 - 請求項1または2に記載のゴム組成物をヒドロシリコン架橋して得られるゴム組成物。
- 請求項3に記載のゴム組成物からなるゴム成形品。
- 下記の(1)〜(4)を含むゴム組成物(MB)を予め混練して得た後、該ゴム組成物(MB)と以下の(5)〜(8)とを混練する工程を含むことを特徴とするゴム組成物の製造方法(ただし、下記(1)〜(4)および下記(6)〜(8)の重量部は、下記(5)のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部を基準とする);
(1)エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A−1b)1〜9重量部、
(2)1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するヒドロシリル基含有化合物(B)1.7〜15重量部、
(3)アセチレンブラック(C)2〜17重量部、
(4)プロセスオイル(D)1〜10重量部、
(5)エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、下記式[I]または[II]で表わされる少なくとも一種の非共役ポリエンとよりなり、下記の(イ)〜(ハ)を満足するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体ゴム(A−2)100重量部、
(イ)エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとのモル比(エチレン/炭素原子数3〜20のα−オレフィン)が60/40〜85/15、
(ロ)ヨウ素価が0.5〜30g/100g、
(ハ)135℃のデカリン溶液で測定した極限粘度[η]が0.3〜3.0dl/g、
(6)1分子中にアセチレン基と水酸基とを含有する反応抑制剤(E)0.05〜5重量部、
(7)白金系触媒(F)0.05〜5重量部、
(8)ファーネス法により得られるカーボンブラック(G)10〜300重量部。 - さらに、ヒドロシリコン架橋する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のゴム組成物の製造方法。
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