実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における入出力装置1を中心とする機器の構成を示す図である。図1において、入出力装置1は、機器本体20の操作指示に係るデータなど、各種データ(情報)を機器本体20に入力するとともに、機器本体20からの機器本体20の動作状態や入力に対する応答などに係るデータに基づく出力を行うものであり、機器本体20の入出力部となる装置である。機器本体20は、一般的な機器において、たとえば人(使用者)の操作に基づいて動作などを行い、機能を実行する側の装置である。ここで機器とは、たとえば誘導加熱調理器などの家庭用電化機器、あるいはFA(Factory Automation)機器などの電気機器である。入出力装置1は、機器本体20が機能を実現する動作を行う際に必要となる、機器の構成要素のひとつとなるが、ここでは、入出力装置1と機器本体20とを一体化せず、お互いに独立させる構成とし、入出力装置1は機器本体20から着脱可能であるものとする。
入出力装置1は、使用者が機器本体20に対して操作を行う際の操作指令をはじめとして機器本体20へ通知するための各種データなどの外部から入力されるデータを含む信号を入力信号として送信する入力手段2と、出力信号に含まれるデータ(以下、出力データという)に基づいて、たとえば機器本体20の動作や異常などの状態、入力手段2により入力された操作指令などに対する機器本体20からの応答などを使用者に教示などするための情報出力を行う出力手段3と、たとえば入力手段2より得られた入力信号に含まれる操作指令などのデータの処理、出力データを含む出力信号の送信、通信回路7からの信号(以下、受信信号という)に含まれるデータの処理、通信回路7へ処理したデータを含む信号(以下、送信信号という)の送信など、入出力装置1全体の制御を行う制御手段4と、機器本体20から供給される電力を受ける受電手段となるインダクタ(コイル)とキャパシタからなる受電用の受電用共振回路5aと、機器本体20との間の通信に係る信号(以下、通信信号という)の送受信手段となるインダクタとキャパシタからなる通信用の通信用共振回路5bと、受電用共振回路5aを介して機器本体20側から得られる電力を入出力装置1の電源とするための電圧調整などの変換を行う電源回路6と、通信用共振回路5bを介して入出力装置1と機器本体20との間で通信を行うため、信号の変復調などの変換を行う通信回路7と、制御手段4が処理した又は入出力装置1の各手段を制御、管理する処理を行うための各種データを保持する(記憶する)メモリ手段8とからなる。
一方、機器本体20は、入出力装置1の通信用共振回路5bと対向する形で設けられ、通信信号を送受信する、インダクタとキャパシタとからなる通信用の本体側共振回路21と、本体側制御手段24の指示に基づいて機器本体20の機能を実現する本体機能実現手段22と、本体側共振回路21を介して入出力装置1側との通信を行うため、信号の変換などを行う本体側通信回路23と、たとえば本体側通信回路23を制御して、通信信号の制御・管理を行い、機器本体20全体の管理、制御などの処理を行う本体側制御手段24とからなる。また、磁力線の束として表される磁束25は本体機能実現手段22が機器本体20の機能を実現するための動作を行った際に発生する磁束(磁力)を示している。
次に各手段の説明を行う。入出力装置1の入力手段2として設ける装置の第1の例として、たとえば、プッシュスイッチやタクトスイッチなどの機械的なスイッチを用いることができる。以上のようなスイッチを、入力手段2として設けることで、使用者は、たとえばスイッチ上に記載された操作内容の説明あるいは、出力手段3となる表示手段3aに表示された操作内容の説明などに応じて機器に対する操作指示を入力することができる。また、別のスイッチとして半押し状態と全押し状態とで機能を分けることが可能なダブルアクションスイッチを用いてもよい。ダブルアクションスイッチを用いた場合、機器の操作指示に対して、半押し状態では操作指示の確認、たとえばどのような機能のスイッチを押されたかの応答などを行うようにし、全押し状態ではスイッチに対応する機能の実行あるいは機能の決定などとして用いることができる。
また、入出力装置1の入力手段2として設ける装置の第2の例として、たとえば、タッチパネルを用いることができる。タッチパネルを用いる場合、タッチパネルとともにLCDなどの表示手段が必要となる。この表示手段として、後述する出力手段3となる表示手段3aを用いるようにしてもよい。表示手段に表示された内容に応じて、使用者はタッチパネルを操作することで、操作指示の入力を行うことができる。
さらに、入出力装置1の入力手段2として設ける装置の第3の例として、たとえば、マイクなどの音声入力手段を用いることができる。音声入力手段を用いる場合、スイッチ手段や、タッチパネルのように使用者が直接入力手段2に触れて操作できない状態においても、音声により操作指示を入力することができる。入力手段2として音声入力手段を用いた場合、たとえば音声入力手段からの音声に係る入力信号を制御手段4が解析処理することになる。
また、入出力装置1の入力手段2として設ける装置の第4の例として、たとえば、センサなどの手段(検知手段)を用いることができる。センサとしては、たとえば温度センサ、湿度センサ、照度センサ、加速度センサ、磁気センサ、人感センサなどがある。前述したスイッチ手段、タッチパネル、音声入力手段は、機器の使用者が意識的に機器本体20に行う操作指示を入力するために設けるものであるが、センサの場合は、たとえば機器本体20の動作時に必要な動作環境などのデータの入力を、使用者の意思にかかわらず行うことができる。
以上に示した入力手段2として設ける装置の各例について、入出力装置1に、前述したすべての装置を入力手段2として搭載する(設ける)ようにしてもよい。また、機器本体20の機能、使用環境、使用状態、コストなどを考慮し、必要な装置だけを入力手段2として搭載するようにしてもよい。
また、入出力装置1の出力手段3となる装置の第1の例として、たとえばLCDなどの表示手段3aがある。機器本体20の動作や異常の状態あるいは入力手段2からの入力信号に対する応答に係る表示用の出力データを含む出力信号を、文字、図などをたとえば色などで区別して出力する。表示手段3aを出力手段3として用いることで、使用者の視覚に対して出力を行うことができる。
ここで、特に限定するものではないが、コレステリック液晶を用いたLCDを表示手段3aとして用いるようにしてもよい。コレステリック液晶は、電力を供給し続けなくても液晶分子による光の透過又は非透過の状態を維持することができる液晶である。たとえば頻繁に表示内容が変化しなければ、一度表示された内容を電力供給なしで維持することができるコレステリック液晶を用いることにより、表示に係る電力消費量を軽減し、省エネルギをはかることができる。さらに、有機EL素子を用いた表示手段としてもよい。有機EL素子は自己発光型で視認性が高く、応答速度が速くて、直流低電圧駆動が可能である。そのため、有機EL素子を用いた表示手段も表示に係る電力消費量を軽減し、省エネルギをはかることができる。
また、入出力装置1の出力手段3となる装置の第2の例として、たとえば、スピーカなどの音声出力手段3bがある。機器本体20の動作や異常の状態あるいは入出力手段2による入力信号に対する応答に係る音声用の出力データを含む出力信号を、ビープ音、メロディ、音声などの音声に変換して出力する。音声出力手段3bを用いることで、使用者の聴覚に対する出力を行うことができる。
さらに、入出力装置1の出力手段3を構成する手段の第3の例として、たとえば、振動モータなどの振動発生手段3cがある。機器本体20の動作や異常の状態あるいは入出力手段2による入力信号に対する応答に係る振動用の出力データを含む出力信号を、振動に変換して出力する。振動発生手段3cを用いることで、使用者の触覚に対する出力を行うことができる。
以上に示した出力手段3となる装置の各例について、入出力装置1に、前述したすべての装置を出力手段3として搭載する(設ける)ようにしてもよい。また、機器本体20の機能、使用環境、使用状態、コストなどを考慮し、必要な装置だけを出力手段3として搭載するようにしてもよい。
入出力装置1の制御手段4について、ハードウェア構成としてはマイクロプロセッサあるいはCPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などがある。たとえば制御手段4のハードウェアとしてマイクロプロセッサを用いた場合、入力手段2からの入力信号に係る処理、出力装置3への出力信号に係る処理、機器本体20側との通信を行うための通信回路7の制御処理など、入出力装置1の各手段の制御に係る処理は、メモリ手段8に保持されたプログラム(ソフトウェア)のデータ(以下、単にプログラムという)に基づいてマイクロプロセッサが実行する。また、これらのCPLDやFPGAを用いた場合の処理は、それらの素子上に構成された回路などが実行する。ただし、CPLDやFPGA上にマイクロプロセッサのコアが構成された場合はコア内で動作するマイクロプロセッサがプログラムに基づいて実行する。
また、本実施の形態の入出力装置1は、図1のように2つの受電用共振回路5a及び通信用共振回路5bを有している。本実施の形態では、受電用共振回路5aが、本体機能実現手段22が発生する磁束25に基づく電磁誘導により本体機能実現手段22と電気的に結合する位置に入出力装置1を配置するようにする。そのため、本体機能実現手段22から受電用共振回路5aに電力が供給される。ここで、受電用共振回路5aのインダクタにおけるインダクタンスの値は、機器本体20の本体機能実現手段22において発生する磁束25の変化(変動)に応じて、受電用共振回路5aにおいて共振が生じるような値に設定される。一方、通信用共振回路5bと本体側共振回路21とについても電磁誘導により発生する電力に基づく通信信号の送受信により、通信が行われる。そして、通信用共振回路5bのインダクタのインダクタンスの値は、機器本体20の本体側通信回路23が共振回路21bのインダクタに流す電流の周波数に応じて共振が生じるような値に設定される。
ここで、図1に示す受電用共振回路5a及び通信用共振回路5bでは、電源回路6あるいは通信回路7に対して、インダクタとキャパシタが並列接続となる構成について示しているが、インダクタとキャパシタを直列接続する構成としてもよい。
入出力装置1の電源回路6は、後述するように、受電用共振回路5aより得られる交流電力を整流・平滑化して直流電力に変換する。また、その直流電力をレギュレータなどにより所定の電圧に変換し、制御手段4をはじめとする入出力装置1の電源として供給する。
入出力装置1の通信回路7は、機器本体20の本体側制御手段24より送信され、本体側通信回路23により変調された信号で本体側共振回路21と通信用共振回路5bとの間で電磁誘導により受信した通信信号を復調し受信信号として制御手段4に転送する。また、制御手段4より送信される送信信号に基づき、通信用共振回路5bから本体側共振回路21へ電磁誘導により通信信号を送信を行うための変調を行う。ここで、通信回路7が変復調に用いる変調方式としては、たとえばASK(Amplitude Shift Keying)方式やPSK(Phase Shift Keying)方式、FSK(Frequency Shift Keying)方式、QAM(Quadrature Amplitude Modulation )方式などがある。
ここで、図1の構成例のように、入出力装置1において共振回路5を受電用の受電用共振回路5aと通信用共振回路5bに分けて構成し、機器本体20において本体機能実現手段22と通信用共振回路21とを分けて構成する場合、本体機能実現手段22が出力する磁束25を発生させるために流す電流の周波数と通信に用いるために流す電流の周波数とを変化させ、受電と通信とが干渉しないようにする。
入出力装置1におけるメモリ手段8は、たとえば制御手段4が入力手段2からの入力信号を処理して取得したデータ、通信回路7を介して取得した機器本体20からのデータ、通信回路7を介して機器本体20へ送信するためのデータ、出力データ、入出力装置1の動作状態や一連の処理過程の処理状況のデータなどを長期的に保持する。ここで、入出力装置1は、機器本体20から電磁誘導による電力供給を受ける(受電する)ため、機器本体20と入出力装置1との機器仕様、機器本体20への設置状態、使用環境などにより、電力供給が遮断される可能性がある。このため、制御手段4が処理用に有している揮発性のメモリでは、電力供給が遮断すると、制御手段4が取得、制御、管理する各種データは消えてしまうことになる。そこで、電力供給の遮断に対して各種データを保持するため、メモリ手段8として不揮発性メモリを有することで、入出力装置1への電力遮断に対して、入出力装置1の制御手段4が取得、制御、管理する各種データを保持できるようにする。
ここで、メモリ手段8は、マイクロプロセッサなどにより構成される制御手段4とともにパッケージ化されたものであってもよいし、また、制御手段4とは独立して構成し、制御手段4と電気的に接続した構成としてもよい。
一方、入出力装置1を入出力手段として用いる機器本体20において、本体機能実現手段22は、本体側制御手段24からの指示に基づいて機器の機能を実現するための1又は複数の手段のことを表すものとする。本実施の形態では、それだけではなく、前述したように、交流電流を流すことで磁束25を発生させ、電磁誘導を生じさせて、入出力装置1の受電用共振回路5aに対して交流電力を供給することもできる。本体機能実現手段22の一例として、誘導加熱調理器において誘導加熱調理機能を実現する誘導加熱コイルなどの手段がある。
本体側共振回路21はインダクタとキャパシタから構成される。入出力装置1が設置される部分には、入出力装置1の通信用共振回路5bと対向する形で、本体側共振回路21が配置される。前述したように、通信用共振回路5bと本体側共振回路21とは電磁誘導結合し、電磁誘導により本体側共振回路21から共振回路5へ電力を供給する。本体側共振回路21のインダクタのインダクタンスの値は、入出力装置1の通信回路7が通信用共振回路5bのインダクタに流す電流の周波数に応じて共振が生じるような値に設定される。ここで、図1に示す本体側共振回路21では本体側通信回路23に対して、インダクタとキャパシタが並列接続となる構成について示しているが、インダクタとキャパシタを直列接続する構成としてもよい。
機器本体20における本体側通信回路23は、本体側制御手段24が入出力装置1に送信する通信信号を本体側共振回路21を介して入出力装置1側へ送信するための変調を行う。また、入出力装置1から送信された信号を本体側共振回路21を介して受信し、通信信号への復調を行う。ここで、本体側通信回路23で用いられる変調方式は、入出力装置1で用いられる変調方式と同様にASK(Amplitude Shift Keying)方式やPSK(Phase Shift Keying)方式、FSK(Frequency Shift Keying)方式、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式などが用いられる。
また、機器本体20における本体側制御手段24は、機器本体20全体の制御を行うためのマイクロプロセッサなどである。前述した制御手段4と同様にマイクロプロセッサ以外にもCPLDやFPGAなどにより構成してもよい。
本体側制御手段24は、前述した本体側通信回路23へ送信する通信信号に含まれるデータの生成や、本体側通信回路23からの通信信号に含まれるデータの処理を行う。また、本体機能実現手段22など、本体機器20の各手段に対する制御も行う。たとえば、本体機能実現手段22に入出力装置1に対する電力供給を行わせた後、入出力装置1から通信があるかどうかを判断することにより、入出力装置1が機器本体20に設置されたか否かの検出処理を行う。
図2は入出力装置1の検出処理を行うフローチャートを表す図である。この検出処理は本体側制御手段24が実行する。まず、入出力装置設置検出開始ステップとなるSTEP101において、入出力装置設置状態の検出を開始する。次に電力供給ステップとなるSTEP102において、本体機能実現手段22に、入出力装置1が動作するのに必要な電力が供給できるだけの磁束25の変化を生じさせ、給電動作を行わせる。ここで、この給電動作により供給する電力は、本体機能を実現するために必要な電力と比べて小さい電力でよい。
さらに、通信信号送信ステップとなるSTEP103において、機器本体20側から入出力装置1側に向け、通信信号を送信する。このとき、本体側制御手段24はデータを含む送信信号を本体側通信回路23に送る。本体側通信回路23では本体側制御手段24からの送信信号に対して変調などを行い、その信号を本体側通信回路23に接続された本体側共振回路21に出力する。その信号に基づいて本体側共振回路21には電流が流れる。そして、応答待ちステップとなるSTEP104では、所定時間の間に入出力装置1からの応答が得られたかどうかを判断する。
たとえば、入出力装置1が所定位置に設置されていれば、入出力装置1の各手段は給電動作により動作を開始している。さらに電磁誘導により通信用共振回路5bに電力が誘起され、入出力装置1側に通信信号が伝達される。入出力装置1では、通信用共振回路5bに誘起された通信信号を通信回路7にて復調などした信号を制御手段4に送る。制御手段4では、たとえばその信号に含まれるデータを処理し、機器本体20側に応答するため、応答に係るデータなどを含む信号を出力する。通信回路7では制御手段4からの信号を変調などした信号を通信用共振回路5bに出力する。この信号に基づいて通信用共振回路5bに電流が流れる。このため、電磁誘導により本体側共振回路21に電力が誘起され、機器本体20側に通信信号が伝達される。機器本体20では、本体側通信回路23が通信信号に基づいて復調などを行い、受信信号として本体側制御手段24に送る。
所定時間内に応答が得られたものと判断すると、動作切り替えステップ(a)となるSTEP105aにおいて、本体機能実現手段22に対して入出力装置1への電力供給動作を連続的あるいは断続的に継続させるように本体機能実現手段22を制御する。一方、入出力装置1から応答が得られなかったと判断すると、動作切り替えステップ(b)となるSTEP105bにおいて、入出力装置検出のための電力供給を停止させるように、本体機能実現手段22の動作を停止させる制御を行う。そして、入出力装置検出終了ステップとなるSTEP106において、入出力装置検出処理を停止し、定常処理動作に移行する。
ここで、上記の処理については所定の時間間隔で行うようにしてもよい。また、機器本体20を使用しない場合は、入出力装置1が機器本体20に設置されないことが想定され、またその時間が長くなることが考えられる。そのような場合、入出力装置1の設置検出を継続すると、無駄に電力を使用することになるため、機器本体20に主電源スイッチなど(図示せず)を設け、主電源スイッチがオンのときのみ実行するようにしても良い。
さらに、以上のように構成した入出力装置1においてその全体動作を以下に説明する。本発明による入出力装置1は、機器本体20に設置され、入出力装置1における共振回路5と機器本体20における本体側共振回路21とが対向した状態において、機器本体20の本体機能実現手段22から電磁誘導により入出力装置1の受電用共振回路5aに交流電力が供給される。
受電用共振回路5aで得られた電力は電源回路6に供給される。電源回路6では交流電力を整流、平滑化などを行い、所定の電圧値を有する直流電力へと変換する。そして、電源回路6から直流電力が入出力装置1内部の各手段(電子回路)に供給され、入出力装置1全体が電気的に動作を開始する。
制御手段4が動作し、入力手段2を介した入力に係る処理を開始する。また、入出力手段2からの入力信号に含まれるデータを機器本体20に送る場合、機器本体20からのデータを取得しようとする場合に、入出力装置1は機器本体20との通信を行う。このとき、制御手段4はデータを含む送信信号を通信回路7に送る。通信回路7では制御手段4からの送信信号に対して変調などを行い、その信号を通信回路7に接続された通信用共振回路5bに出力する。その信号に基づいて通信用共振回路5bには電流が流れる。これにより電磁誘導により本体側共振回路21bに電力が誘起され、機器本体20側に通信信号が伝達される。
機器本体20では、本体側共振回路21bに誘起された通信信号を本体側通信回路23にて復調などした信号を本体側制御手段24に送る。本体側制御手段24では、たとえばその信号に含まれるデータを処理し、たとえば本体機能実現手段25に機能を実現するための動作を行わせる。また、本体側制御手段24は入出力装置1からの通信信号に対して応答するため、あるいは機器本体の状態を入出力装置1に通知するために、応答に係るデータなどを含む信号を出力する。
本体側通信回路23では本体側制御手段24からの信号を変調などした信号を本体側共振回路21bに出力する。この信号に基づいて本体側共振回路21bに電流が流れる。このため、電磁誘導により通信用共振回路5bに電力が誘起され、入出力装置1側に通信信号が伝達される。
入出力装置1では、通信回路7が通信信号に基づいて復調などを行い、受信信号として制御手段4に送る。制御手段4では通信回路7より得られた受信信号を処理し、たとえば出力手段3の表示手段3a、音声出力手段3b又は振動発生手段3cに、対応する出力信号を出力して使用者に教示させるようにする。
以上のような、入出力装置1側から機器本体20側への通信、その逆の機器本体20側から入出力装置1側への通信は、所定間隔あるいは各機器のイベント発生時に行われる。ただし、通信に用いる通信用共振回路5bと本体側共振回路21bとは基本的に一組の構成であるため、入出力装置1と機器本体20とが同じ周波数を搬送波(キャリア)とした条件では、双方向から通信信号を同時に送信することはできない。そこで、入出力装置1あるいは機器本体20のいずれかが主導権を持つようにし、主導権を持った装置側の送信に対して他の装置が応答を返すなど、両方の装置が同時に送信を行わないようにする必要がある。この主導権については、入出力装置1と機器本体20のいずれが持つように設定してもよい。また、回路の構成が複雑になるが、入出力装置1と機器本体20との送信に用いる周波数を変えることで双方向同時通信を行うことができる。
次に入出力装置1におけるイベント発生時の動作の一例として、入出力装置1の入力手段2からの操作指令などの入力があった場合、特に入力手段2としてスイッチを構成した場合について説明する。ここで、入出力装置1にはすでに機器本体20から電力が供給されている状態とする。使用者が入力手段2であるスイッチを押下すると入力手段2から入力信号が送信される。制御手段4は入力手段2からの入力信号に応じて出力手段3に対し出力手段3に出力信号を送信する。ここで、機器本体20側からの通信信号に基づいて、出力信号を送信するようにしてもよい。
制御手段4は入力信号に応じた操作指令などのデータを送信信号として通信回路7に出力する。通信回路7は送信信号に基づき変調した変調信号を生成する。通信用共振回路5bを介して変調信号に基づく通信信号が本体機器20側に送信される。そして、本体側共振回路21bを介して本体側通信回路23に通信信号が送信される。本体側通信回路23は通信信号を復調し、受信信号として本体制御手段24に送る。その後、本体制御手段24は、受信信号に含まれる操作指令などのデータに基づいて、たとえば本体機能実現手段25を制御し、機器が機能を実現する。
また、本体側制御手段24では、たとえば受信信号に含まれるデータに応じて本体機能25の動作状態などのデータを入出力装置1に返信するための処理をする。そして、本体側制御手段24から送信した応答のためのデータを含む送信信号を本体側通信回路23が変調し、変調信号を生成する。本体側共振回路21bを介して変調信号に基づく通信信号が入出力装置1側に送信される。そして、通信用共振回路5bを介して通信回路7に通信信号が送信される。通信回路7は通信信号を復調し、受信信号として制御手段4に送る。制御手段4は受信信号に含まれる応答データなどに基づいて、出力手段3に対して出力信号を送信し、文字や図形、色、ビープ音、メロディ、合成音声、振動などにより使用者に教示させる。
以上の説明では、入力手段2にスイッチが用いられた例について説明したが、たとえばタッチパネルを入力手段2として構成した場合についても同様である。
また、入力手段2の構成例として、各種センサ(検知手段)を用いた場合について説明する。入力手段2としてセンサを用いた場合、センサが出力するアナログ信号やデジタル信号を入力信号とする。たとえば制御手段4はセンサ手段からの入力信号に基づいて、変化を検出し、その条件が所定の条件に達したものと判断すると、操作データや状態データを含む送信信号を出力する。これにより入出力装置1側から機器本体20側へ通信信号を送信する。以降の機器本体20側における処理は前述したので説明を省略する。
また、ここでは入力信号に基づいて制御手段4が変化の判断を行うようにしているがこれに限定するものではない。たとえば入出力装置1側では、センサから入力信号に係る通信信号を送信する処理だけを行い、本体側制御手段24において前述した判断を行うようにしてもよい。
一方、機器本体20側におけるイベント発生時の動作について説明する。機器本体20で発生するイベントとしては、たとえば機器本体20の本体機能実現手段25の動作完了、所定時間の経過、異常発生などがある。これらの状態が発生したと判断すると、機器本体20の本体側制御手段24は、機器本体20の状態を通知するデータを含む通信信号を機器本体20側から入出力装置1側に送信する処理を行う。このとき本体側制御手段24は、状態通知のデータを含む送信信号を本体側通信回路23が変調し、変調信号を生成する。本体側共振回路21bを介して変調信号に基づく通信信号が入出力装置1側に送信される。そして、通信用共振回路5bを介して通信回路7に通信信号が送信される。通信回路7は通信信号を復調し、受信信号として制御手段4に送る。制御手段4は受信信号に含まれる状態通知のデータなどに基づいて、出力手段3に対して出力信号を送信し、文字や図形、色、ビープ音、メロディ、合成音声、振動などにより使用者に教示させる。
このとき、入出力装置1は状態通知のデータに対する応答のデータを含む通信信号を機器本体20に送信するようにしてもよい。通信信号の送信については前述した処理動作と同様であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、特に機器が異常発生を起こした場合、本体側制御手段24は異常による本体機能実現手段25の誤動作回避や使用者に対する安全に係る処理を優先するため、入出力装置1への状態通知のデータを含む通信信号の送信よりも先に本体機能実現手段25の動作の停止や、危険回避動作に移行することになる。
以上に示した入出力装置1において、入出力装置1を構成する入力手段2、出力手段3、制御手段4、共振回路5、電源回路6及び通信回路7を、機器本体20と物理的な電気配線を用いずに非接触で通信及び電力供給する構成とする。非接触での機器本体20との通信や機器本体20からの電力供給を可能とするため、機器本体20と独立分離することができる。また機器本体20からの電力供給を受けるため、電池を電源とする必要がなく、電池の交換が不要である。また、入出力装置1の各手段を密閉型の容器に収めることも可能である。ここで、樹脂などにより各手段を封止する構成としてもよい。このとき封止する樹脂を熱伝導性の高い樹脂とすることで、内部回路などの発熱に関し、入出力装置1全体からの放熱性を高めることもできる。
このように機器本体20との間で物理的な電気配線を省いた状態で機器上に設置される入出力装置1の設置場所としては、機器本体20の天面や前面、側面扉状の構造部分、蓋状の構造部分などがあげられる。
そして、入出力装置1と機器本体20との接続に物理的な電気配線が無いため、機器の扉や蓋に対して、入出力装置1が備えられた扉あるいは蓋が機器本体20から取り外せる構成とすることもできる。このとき、入出力装置1は入出力装置1単体として扉や蓋に設置されてもよいし、扉や蓋と一体化した構成としてもよい。
また、機器本体20が、本体機能実現手段22が動作したときに発生させる磁束25の変化により、電磁誘導を生じさせて入出力装置1に電力供給を行うことから、入出力装置1の配置可能範囲を拡大できるとともに、機器本体20側に、入出力装置1に給電するための回路を特別に設置する必要がなくなる。
本発明の実施の形態1における入出力装置1は以上のように構成したので、機器本体20との間で、非接触で電力の供給及び通信が可能である。これにより、入出力装置1と機器本体20との間をつなぐ電気配線が不要となり、電気配線分のコストの削減と、製造時の作業性を向上することが可能となる。また、電気配線の取り回しが不要となるため、機器本体20に対する入出力装置1の設置位置の自由度が向上する。これにより、使用環境に応じた入出力装置1の設置が可能となり、使用者に対する使いやすさの向上が実現できる。
また、入出力装置1では、機器本体20と入出力装置1とを電気的に接続する電気配線が不要となるため、入出力装置1全体を密閉型容器に格納することが可能となる。これにより、防水、防湿、防塵効果を高めることが可能となる。水がかかる環境や湿気の多い環境、埃の多い環境で使用する機器に対して、環境による劣化耐力を向上することが可能となる。
さらに、入出力装置1では、メモリ手段8を備えたので、動作状態の保持が可能となり、電源遮断が生じても電源遮断前の状態に復帰することが可能となる。これにより、装置におけるユーザビリティの向上が可能となる。
また入出力装置1では、メモリ手段8を備えたので、出力手段3への出力データの必要最低限の入出力装置1での保持及び使用者の好みや使用状態、使用環境に応じて出力データの変更が可能となり、入力操作2に対する応答動作の速度を速めることが可能となる。これにより使用者に対するユーザビリティを向上することが可能となる。また、必要最低限のデータの保持により、必要とするメモリサイズを縮小でき、装置の小型、低コスト化が可能となる。
本発明の実施の形態1による入出力装置1は、メモリ手段8を備えたので、入出力手段1を制御するプログラムの変更が可能となり、使用者の好みや使用状態、使用環境に応じたプログラムの変更が可能となるとともに、プログラムのバージョンアップも可能となり使用者に対するユーザビリティを向上することが可能となる。
本発明の実施の形態1による入出力装置1について、図1に構成の一例を示したが、その出力手段3として複数要素を備えた構成について示した。出力手段3として、表示手段3a、音声出力手段3b、振動発生手段3cのように視覚、聴覚、触覚に対応した出力手段3を設けることで、幅広い使用環境に対する使いやすさの向上や聴覚障害や視覚障害のある人を含めた多くの使用者に対する使いやすさを向上することが可能となる。特に振動出力については、入出力装置1を機器本体20の構造の一部として構成した場合、機器全体が振動することになり、機器本体への影響による品質や信頼性の低下や、使用者への伝達性能の低下が懸念されるが、上記のように入出力装置1を機器本体20に対して独立できる構成とすることで、振動による機器本体20への影響や、振動出力の使用者への伝達性能の向上を行うことが可能となる。
また、本実施の形態1においては、入出力装置1は、機器本体20の本体機能実現手段22を動作させたときに発生する磁束25の変化による電磁誘導により、電力供給が行われるようにしたので、本体機能実現手段22と入出力装置1への給電手段とを共用化することができる。このため、入出力装置1の配置可能位置を拡大することが可能となる。これにより、機器の手入れのしやすさ、意匠性の向上ができ、ユーザビリティの向上が可能となる。
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2における入出力装置1の構成を中心とする機器の構成を示す図である。図3において図1と同じ符号を付している手段は、同様の処理を行うため説明を省略する。実施の形態1における入出力装置1では、共振回路5として、受電用となる受電用共振回路5aと通信用となる通信用共振回路5bとを設けていた。また、機器本体20においては本体側共振回路21を設けていた。
本実施の形態では、電力受給用としての磁束の変化に通信用の信号を重畳させるようにすることで、受電用と通信用の共振回路を共用するようにする。このように、受電用と通信用の共振回路を共用させることにより、入出力装置1では、共振回路5の数を減らすことができる。また、機器本体20においては、本体機能実現手段22を動作させたときに発生する磁束25を変化させる際に通信に係る信号を重畳することで、電力供給と通信を行えるようにしたので、本体側共振回路21を設ける必要がなくなる。
以上のように実施の形態2によれば、実施の形態1の入出力装置1及び機器本体20における効果に加え、入出力装置1及び機器本体20のそれぞれにおいて共振回路の数を減少させることができるため、安価で構成を実現することができる。また、本体機能実現手段22の構成要素と本体側通信用共振回路21とを共用することが可能となり、入出力装置1の配置可能範囲を拡大することが可能となる。これにより、機器の手入れのしやすさ、意匠性の向上ができ、ユーザビリティの向上が可能となる。
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3における入出力装置1の構成を中心とする機器の構成を示す図である。図4では、上述の実施の形態で説明した機器本体20が誘導加熱調理器50であるものとして説明する。図4において、図1及び図3と同じ番号を有する手段などについては、実施の形態1の説明と同様の動作を行うものとして説明を省略する。図4においては、誘導加熱調理器50の構成が実施の形態1の機器本体20とは異なる。
図4に示すように、誘導加熱調理器50には、上述の実施の形態で説明した本体機能実現手段22に相当する手段として、加熱用コイル26及び駆動回路27を有している。駆動回路27は加熱用コイル26に接続され、本体側制御手段24からの指示に基づいて加熱用コイル26に交流電流を流すための回路である。加熱用コイル26は、いわゆる電磁誘導加熱を行うコイルである。駆動回路27により加熱用コイル26に交流電流を流すことで、磁束の変化が発生する。これにより加熱用コイル26の上部に設置された鍋などの調理器具(図示せず)の金属部を通る磁束(磁力線)により、鍋などにうず電流を発生させ、鍋などに熱を発生させて直接加熱を行う。
次に図4に基づいて、実施の形態2における入出力装置1及び誘導加熱調理器50の動作について説明する。たとえば誘導加熱調理器50に指示などを行なおうとする場合、受電用共振回路5aが機器本体20における加熱用コイル26が発生する磁束によって電磁誘導を生じることができ、通信用共振回路5bと誘導加熱調理器50の本体側共振回路21とが対向して通信できるような誘導加熱調理器50上の位置に入出力装置1を設置する。ここで、誘導加熱調理器50側においては、本体制御手段24が、所定の時間間隔で駆動回路27を駆動させ、加熱用コイル26に交流電流を供給させる。このときは鍋などを加熱する目的ではなく、入出力装置1へ電力供給する目的であるため、加熱用コイル26に流す電流は入出力装置1の動作に必要な電力が供給できる分を流せばよい。そして、入出力装置1側から本体側共振回路21及び本体側通信回路23を介して、応答が得られないと判断すると、本体制御手段24は、入出力装置1が誘導加熱調理器50上に設置されていないものとし、駆動回路27に加熱用コイル26への電流供給を停止させる。そして、所定の時間が経過した後、再び駆動回路27に加熱用コイル26へ電流を供給させ、再度入出力装置1の設置状態の検出を行う。
加熱用コイル26に流れる交流電流により発生した磁束の変化を受電用共振回路5aにより交流電力に変換し、電源回路6が直流電力に変換し、入出力装置1の各手段に供給する。これにより入出力装置1全体が電気的に動作を開始する。そして、制御手段4は、電力供給により動作を開始すると、たとえば制御手段4、メモリ手段8などに記憶されたプログラムに基づいて処理を開始する。そして、動作開始を伝える応答のための送信信号を通信回路7に送る。そして、通信回路7及び通信用共振回路5bを介して通信信号が送信される。ここでは、入出力装置1から通信を開始するような流れで説明したが、たとえば誘導加熱調理器50から先に通信信号を送信するようにし、入出力装置1はそれに応答する通信の流れとしてもよい。
誘導加熱調理器50内の本体制御手段24は入出力装置1が通信回路7及び通信用共振回路5bを介して送信した応答を本体側共振回路21及び本体側通信回路23を介して受信する。本体制御手段24は入出力装置1からの信号を受信することで、入出力装置1が設置されていることを確認する。そして、駆動回路27に加熱用コイル26への電流供給を継続させることで、入出力装置1への電力供給を継続する。その後、誘導加熱調理器50と入出力装置1とはたとえば定期的に通信を行う。
そして、誘導加熱調理器50の加熱用コイル26上に、たとえば鍋などの加熱対象が載置され、入出力装置1の入力手段2から加熱開始の旨の入力信号が送信されると、制御手段4は、加熱開始に係る送信信号を通信回路7に送る。そして、通信回路7及び通信用共振回路5bを介して誘導加熱調理器50側に通信信号が送信される。送信された通信信号は、本体側共振回路21及び本体側通信回路23を介して受信信号として本体側制御手段24が受信する。本体制御手段24は、受信信号に基づく処理を行い、駆動回路27に加熱動作指示の信号を送信する。駆動回路27では本体制御手段24からの加熱動作指示に係る信号に基づいて、加熱用コイル26に電流を発生させる。このときには、加熱用コイル26から発生する磁束の変化のうち、鍋などを加熱するために利用されないものに基づいて、入出力装置1への電力供給が行われる。ここで、入出力装置1における入力手段2及び出力手段3を利用した入出力に係る動作に関しては、実施の形態1で説明した内容と同様であるため説明を省略する。
図5は電源回路6を中心とする回路構成例を表す図である。図5では、電源回路6以外にも受電用共振回路5a、対向する誘導加熱調理器50が有する加熱用コイル26及び駆動回路27も含めて示している。図5において、入出力装置1における電源回路6は受電用共振回路5aと接続されており、整流手段10、平滑手段11及び電圧変換手段12からなる。また、電源供給点13は電源回路6により得られた直流電力を入出力装置1の各手段に供給するための供給点を示す。整流手段10はダイオードなどにより構成される。図5では半波整流回路方式について記載しているが、全波整流回路方式を用いてもよい。また、図5において、平滑手段11は、コンデンサ11a及び電界コンデンサ11bで構成される。さらに電圧変換手段12はレギュレータ12a、コンデンサ12b及び電界コンデンサ12cで構成される。
一方、誘導加熱調理器50における駆動回路27は、加熱用コイル26と接続されており、本体側整流手段30、本体側平滑手段31及び交流電力発生手段32とからなる。誘導加熱調理器50は、たとえば商用電源などの外部電源45と接続され、駆動回路27は外部電源45から得た電力を調整して、加熱用コイル26に電流を流す。本体側整流手段30はダイオードなどにより構成される。図5における本体側整流手段30はダイオードブリッジによる全波整流回路方式を行うものとするが、半波整流回路方式を用いてもよい。また、図5において、本体側平滑手段31は電界コンデンサより構成される。さらに、交流電力発生手段32はトランジスタやMOSFET、IGBTなどのスイッチング素子よりブリッジ状に構成される。32a、32b、32c、32dはそれぞれスイッチング素子を示す。ここで図5に示す交流電力発生手段32はフルブリッジ回路構成としているが、ハーフブリッジ回路構成としてもよい。各スイッチング素子32a〜32dは、本体側制御手段24によりオン/オフ制御され、所定の周波数の交流電流が加熱用コイル26に流れるものとする。そして、共振用コンデンサ33は、加熱用コイル26と直列共振回路を構成するためのコンデンサである。
次に図5を用いて、誘導加熱調理器50から入出力装置1への電力供給に係る動作について説明する。図5において、誘導加熱調理器50内の駆動回路27では、外部電源45から得られる交流電力を本体側整流手段30により整流し、本体側平滑手段31より平滑化し、直流電力に変換する。ここで得られた直流電力を交流電力発生手段32により再度所定の周波数の交流電力に変換し、加熱用コイル26に供給する。このとき、交流電力発生手段32が変換する交流電力の周波数は、加熱対象である鍋などが効率よく加熱できるように、たとえば外部電源45の周波数や電圧とは異なる周波数に変換する。
加熱用コイル26から発生する磁束の変化が、受電用共振回路5aのインダクタ5Lを通る状態であれば、加熱用コイル26から発生した磁束の変化により、加熱用コイル26に流れる交流電力が電磁誘導結合により受電用共振回路5aに誘導される。このとき入出力装置1では、電源回路6において、受電用共振回路5aにより得られた交流電力を整流手段10により整流し、平滑手段11により平滑化することで直流電力に変換する。ここで得られた直流電力は電圧変換手段12により、入出力装置1の各手段を動作させるために必要な電圧に変換される。
ここで、図5においては共振用コンデンサ33と加熱用コイル26とを直列接続構成としているが、用いる回路構成に応じて並列接続構成としてもよい。また、同様に、受電用共振回路5aのインダクタンス5Lとキャパシタ5Cとを並列接続構成としているが、用いる回路構成に応じて直列接続構成としてもよい。
図6は通信回路7を中心とする回路構成例を表す図である。図6では、通信回路7以外にも通信用共振回路5b、対向する誘導加熱調理器50が有する本体側共振回路21b及び本体側通信回路23も含めて示している。図6において、入出力装置1の通信回路7は通信用共振回路5bと制御手段4との間に設けられ、搬送波発生手段14、変調手段15、電流制御手段16、復調手段17、信号増幅手段18及びバッファ手段19とからなる。搬送波発生手段14と変調手段15と電流制御手段16とは送信時に用いられ、復調手段17と信号増幅手段18とバッファ手段19とは受信時に用いられる。また、図6において、誘導加熱調理器50の本体側通信回路23は、本体側共振回路21と本体側制御手段24との間に設けられ、本体側搬送波発生手段35、本体側変調手段36、本体側電流制御手段37、本体側復調手段38、本体側信号増幅手段39及び本体側バッファ手段40とで構成される。本体側電源34は誘導加熱調理器50における電子回路用の電源を示す。本体側搬送波発生手段35と本体側変調手段36と本体側電流制御手段37は送信時に用いられ、本体側復調手段38と本体側信号増幅手段39と本体側バッファ手段40は受信時に用いられる。
図6については、通信回路7及び本体側通信回路23の構成が対称となる構成例について示している。また、図6における構成例は、変調方式としてASK方式を用いた例について記載している。図6において、搬送波発生手段14は通信に用いる搬送波を発生するものである。搬送波として、たとえば正弦波、三角波、方形波などが用いられる。図6において、変調手段15は、搬送波発生手段14から得られる搬送波と、制御手段4から得られる送信信号とから変調などを行い、電磁誘導により通信を行う際の信号を生成する。図6に示した例ではAND回路により構成されている。電流制御手段16は変調手段が生成した信号に基づいて通信用共振回路5bに流れる電流を制御する。図6において、復調手段17は通信用共振回路5bより得られた通信信号の復調を行う。図6に示した例では、変調方式をASK方式としていることから、復調手段17において搬送波成分を取り除くための構成として、コンデンサとダイオードからなる整流回路としている。信号増幅手段18では復調された信号を増幅する。図6に示した例では、オペアンプを用いた増幅回路としている。バッファ手段19では、受信した通信信号をデジタル信号として安定化させている。
また、図6の本体側搬送波発生手段35、本体側変調手段36、本体側電流制御手段37、本体側復調手段38、本体側信号増幅手段39、本体側バッファ手段40は、それぞれ搬送波発生手段14、変調手段36、電流制御手段16、復調手段17、信号増幅手段18、バッファ手段19と同様の素子を用いた回路構成で、同様の処理動作を行う。このため説明は省略する。
図6において、変調方式をASK方式とした例について示したが、PSK方式、FSK方式、QAM方式など他の方式を用いる場合は、搬送波発生手段14(本体側搬送波発生手段35)、変調手段15(本体側変調手段36)、復調手段17(本体側復調手段38)をそれぞれの方式に応じた回路構成に変更するなどすることで容易に対応可能である。
ここで、図6を用いて、本発明による入出力装置1と誘導加熱調理器50との通信動作について説明する。動作例として、入出力装置1側から誘導加熱調理器50へ行う通信について説明する。制御手段4は送信ポート(図示せず)から論理的に1、0あるいは電圧のHigh、Lowで示される2値のデータを波形として表した信号である送信信号を出力(送信)する。変調手段15は、搬送波発生手段14から得られる搬送波に送信信号とを重畳して(ANDをとって)信号を生成する。この信号により電流制御手段16のトランジスタがオン/オフ動作し、これにより、電源13から通信用共振回路5bに流れる電流を制御する。通信用共振回路5bにおける電流の流れが通信信号となる。本体機器20においては、通信用共振回路5bに流れる電流(通信信号)に合わせて電磁誘導により本体側共振回路21bに電力が誘起される。そして、通信信号は信号増幅回路23により本体側制御手段24で受信可能な電圧レベルまで増幅され、バッファ40により安定化される。本体側制御手段24はその信号を受信信号として受信ポートから受信する。
一方、誘導加熱調理器50から入出力装置1への通信動作は、回路構成が同じで対称であることから、基本的には、前述した入出力装置1から誘導加熱調理器50への通信の際に行われる各素子の通信動作と同様である。このため、説明は省略する。
ここで、図6に示した共振回路5及び本体側共振回路21はインダクタとキャパシタが並列接続構成としているが、用いる回路構成に応じて直列接続構成としてもよい。
以上のように、実施の形態3の入出力装置1及びそれを備えた誘導加熱調理器50においては、上述した実施の形態1の入出力装置1及び機器本体20における効果と同様の効果を有する。また、入出力装置1は、誘導加熱調理器50が加熱対象物の加熱動作に用いる加熱用コイル26から発生される磁束の変化を用いて、受電(電力供給)をおこなうことができる。そのため、誘導加熱調理器50においては、入出力装置1に電力供給を行うための手段を特別に設ける必要がなく、加熱用コイル26により共用化することができる。そのため、入出力装置1の配置可能位置を拡大することが可能となる。また、共用化によるコスト低減、装置の小型化も可能となる。これらにより、機器の手入れのしやすさ、意匠性の向上ができ、ユーザビリティの向上が可能となる。
実施の形態4.
図7は本発明の実施の形態4における入出力装置1の構成を中心とする機器の構成を示す図である。図7でも機器本体20が誘導加熱調理器50であるものとして説明する。図4において、図3と同じ番号を有する手段などについては、上述した実施の形態における説明と同様の動作を行うものとして説明を省略する。本実施の形態では、図4における受電用共振回路5aと通信用共振回路5bとを共用化し、また、機器本体20においても、図4における本体側共振回路21を加熱用コイル26と共用化した例について示している。そして、入出力装置1と機器本体20との間の通信を電磁誘導加熱動作時に発生する磁束を変化させることにより行うものである。
次に、図7における、入出力装置1及び誘導加熱調理器50の動作を以下に説明する。たとえば誘導加熱調理器50に指示などを行なおうとする場合、共振回路5が機器本体20における加熱用コイル26が発生する磁束によって電磁誘導を生じ、電力供給及び通信を行うことができるような誘導加熱調理器50上の位置に入出力装置1を設置する。基本的な動作については実施の形態3で説明した内容と同様であるため、ここでは説明を省略し、通信に係る動作について説明する。
まず、誘導加熱調理器50側から入出力装置1側に対して通信信号の送信を行う場合について説明する。誘導加熱調理器50における本体側制御手段24は入出力装置1へのデータを含む送信信号を本体側通信回路23に送信する。本体側通信回路23では変調を行って駆動回路27に送る。駆動回路27では、加熱動作時あるいは入出力装置1への給電時に加熱用コイル26に流す電流に本体側通信回路23からの信号を重畳させた電流を加熱用コイル26に供給する。加熱用コイル26に流れる電流により加熱用コイル26から磁束の変化が発生し、電磁誘導により、入出力装置1の共振回路5にも電流が流れて交流電力が発生する。
入出力装置1側では、上述したように共振回路5より得られた交流電力を用いて電源回路6により入出力装置1を駆動するための直流電力を得る。また、共振回路5より得られた交流電力に含まれる通信信号成分については、通信回路7で検出、分離して復調する。この信号を制御手段4は受信信号として受信し、処理を行う。このようにして、誘導加熱調理器50から入出力装置1に信号の送信が行われる。
一方、入出力装置1から誘導加熱調理器50に対して通信信号の送信を行う場合、入出力装置1における制御手段4は誘導加熱調理器50へのデータを含む送信信号を通信回路7に送る。通信回路7では変調を行い、共振回路5に誘導加熱調理器50側に通信信号を送信させる。誘導加熱調理器50側では、入出力装置1からの通信信号により加熱用コイル26、駆動回路27に発生する電流や、電圧の変化に基づいて、本体側通信回路23は、通信信号成分を検出、分離して復調する。この信号を本体制御手段24は受信信号として受信し、処理を行う。このようにして、入出力装置1から誘導加熱調理器50に信号の送信が行われる。
ここで、入出力装置1から誘導加熱調理器50への通信信号を送信するための方法として以下のような方法がある。1つは、たとえば誘導加熱調理器50側から入出力装置1側への通信信号を送信には、加熱用コイル26が鍋などの加熱対象を加熱する際に用いる動作周波数を用いるのに対し、入出力装置1から誘導加熱調理器50への通信の際は、前記加熱動作に用いる動作周波数と異なる周波数を用いる方法である。もう1つは、入出力装置1における共振回路5のインピーダンスを変化させる方法である。誘導加熱調理器50の加熱用コイル26からは、入出力装置1を動作させるための電力供給が継続されており、磁束の変化が生じている。このとき、共振回路5のインピーダンスを変化させることで、加熱用コイル26に発生する電流に変化を生じさせる。誘導加熱調理器50側の本体側通信回路23は、電流の変化を検出し、通信信号を分離する。
誘導加熱調理器50の加熱用コイル26上に、たとえば鍋などの加熱対象が載置され、入出力装置1の入力手段2から加熱開始の旨の入力信号が送信されると、制御手段4は、加熱開始に係る送信信号を通信回路7に送る。そして、通信回路7及び共振回路5を介して誘導加熱調理器50側に通信信号が送信される。送信された通信信号は、加熱用コイル26、駆動回路27及び本体側通信回路23を介して受信信号として本体側制御手段24が受信する。本体制御手段24は、受信信号に基づく処理を行い、駆動回路27に加熱動作指示の信号を送信する。駆動回路27では本体制御手段24からの加熱動作指示に係る信号に基づいて、加熱用コイル26に電流を発生させる。このときには、加熱用コイル26から発生する磁束の変化のうち、鍋などを加熱するために利用されないものに基づいて、入出力装置1への電力供給が行われる。ここで、入出力装置1における入力手段2及び出力手段3を利用した入出力に係る動作に関しては、実施の形態1で説明した内容と同様であるため説明を省略する。
図8は通信信号に係る波形を示す図である。ここでは、加熱用コイル26から発生する磁束の変化に対し、通信信号を重畳させる方法について説明する。図8では変調方式としてASK方式、PSK方式、FSK方式、QAM方式の通信信号の波形を示している。通信信号として、たとえば図8の(a)に示した0と1の2値に係る信号を送信する場合、通信回路7から送信するASK方式、PSK方式、FSK方式の信号波形(電流は系)はそれぞれ図8の(b)、(c)、(d)となる。図8の(b)、(c)、(d)において、(b)のASK方式では、搬送波波形(正弦波)の振幅を、(c)のPSK方式では搬送波波形の位相を、(d)のFSK方式では搬送波波形の周波数をそれぞれ変えることで、1、0の値を表現する。本発明の入出力装置1及びこれを備えた誘導加熱調理器50においては、たとえば入出力装置1への電力供給、鍋51などの加熱に用いる磁束の変化を図8の(b)、(c)、(d)に示す各変調方式の正弦波状の搬送波波形とし、図8に示すように各変調方式により、1、0の値で表されるデータを信号として重畳することで、加熱動作、入出力装置1への給電動作、入出力装置1間の通信動作を同時に実現することができる。ここで、搬送波として正弦波、三角波、方形波などが用いられる。
ただし、入出力装置1は、加熱用コイル26からの磁束変化がなくなると、誘導加熱調理器50からの電力供給が停止してしまう。そのため、たとえばASK方式においては、通信信号が0のときも電力供給を可能とするため、完全に振幅が0にならないような搬送波などにする必要がある。
図9は入出力装置1及びこれを備えた誘導加熱調理器50の外観の一例を示す図である。図9のように、入出力装置1は、誘導加熱調理器50のトッププレート50aの上面に設置されて用いられる。図9は加熱用コイル26として左側加熱用コイル26aと右側加熱用コイル26bとを2つ備えられた構成例である。トッププレート50a上に設置された入出力装置1は左側加熱用コイル26aあるいは右側加熱用コイル26bのいずれかに流れる電流による磁束の変化とそれに重畳された通信信号により、誘導加熱調理器50からの受電と誘導加熱調理器50との通信を行う。
以上のように、実施の形態4の入出力装置1及びそれを備えた誘導加熱調理器50においては、実施の形態3の入出力装置1及び誘導加熱調理器50における効果を有する。また、入出力装置1は、誘導加熱調理器50が加熱対象物の加熱動作に用いる加熱用コイル26から発生される磁束の変化を用いて、受電(電力供給)をおこなうことができる。さらに、入出力装置1及び誘導加熱調理器50において、通信用の共振回路を設ける必要もない。そのため、誘導加熱調理器50においては、入出力装置1に電力供給を行うための手段を特別に設ける必要がなく、加熱用コイル26により共用化することができる。そのため、入出力装置1の配置可能位置を拡大することが可能となる。また、共用化によるコスト低減、装置の小型化も可能となる。これらにより、機器の手入れのしやすさ、意匠性の向上ができ、ユーザビリティの向上が可能となる。ここで、実施の形態3においては、入出力装置1と機器本体20である誘導加熱調理器50の両方において、受給電用の共振回路と通信用の共振回路とが別の構成である例を示した。また、実施の形態4では入出力装置1と機器本体20である誘導加熱調理器50の両方において、受給電用の共振回路と通信用の共振回路とを共有した構成を示した。例えば、入出力装置1又は機器本体20のいずれか一方の受給電用の共振回路と通信用の共振回路とを別々に構成し、他方の受電用の共振回路と通信用の共振回路とを共用の構成とするようにしてもよい。このとき、共用した構成とした側の動作は実施の形態4で示したとおりとなり、別構成とした側の動作は実施の形態3に示したとおりとなる。
実施の形態5.
図10は本発明の実施の形態5に係る入出力装置1及びこれを備えた誘導加熱調理器50の構成例を示す図である。図10のように、本実施の形態においても入出力装置1は、誘導加熱調理器50のトッププレート50a上に設置して用いられるものとする。また、図10においては、加熱対象である鍋51を示してある。図10に示した入出力装置1及び誘導加熱調理器50において、本実施の形態の誘導加熱調理器50が実施の形態4と異なる点は、誘導加熱調理器50のトッププレート上50a上に、図9で示した加熱用コイル26a、26bよりも小さい加熱用コイル26を、数多く整列配置させた点である。図10において、トッププレート50a面に破線で描かれた楕円が加熱用コイル26を示している。トッププレート50aの下面側に設けているため、外観上は見えない。ここで、入出力装置1については、上述の実施の形態で説明したものと同様であるため説明を省略する。
加熱用コイル26には、それぞれ駆動回路27、本体側通信回路23が備えられ、各加熱用コイル26が独立して動作可能である。また、本実施の形態では、入出力装置1への電力供給と入出力装置1と誘導加熱調理器50間の通信に加熱用コイル26による磁束の変化を用いる実施の形態4で示した構成を用いるものとする。本実施の形態の誘導加熱調理器50の本体側制御手段24は、各加熱用コイル26における電流などの変化に基づいて、加熱用コイル26に対向する物体を検出する機能を備える。たとえば、誘導加熱調理器50から加熱用コイル26を介した通信信号の送信に対する応答があれば、その加熱用コイル26に入出力装置1が対向していることを検出でき、また、応答がない場合でも、加熱用コイル26に流れる電流の応答や加熱用コイル26の温度変化などの検出により鍋51の有無や種類を判別することができる。
このように各加熱用コイル26において対向する物体の有無などを検出することで、加熱用コイル26上に置かれたものに応じて各駆動回路27は加熱用コイルに流す電流の通電パターンに切り替えることができる。たとえば、入出力装置1と対向する加熱用コイル26では、入出力装置1への電力供給及び通信に必要な電流を流す通電パターンとし、また、鍋51と対向する加熱用コイル26では、鍋51を加熱するために必要な電流を流す通電パターンとする。たとえば、図10において、加熱用コイル26−2は、入出力装置1と対向する加熱用コイル26を示し、加熱用コイル26−3は、鍋51と対向する加熱用コイル26を示す。それ以外の加熱用コイル26は対向する物が無いことから、電流を流さないようにする。
また、停止中の加熱用コイル26においても、前述した物体の有無や種類の検出動作を所定の間隔で行うことにより、入出力装置1、鍋51などの移動に伴って、対応する加熱用コイル26に電流が流れるように切り替えることができる。
図11は入出力装置1の検出処理を行うフローチャートを表す図である。この検出処理は本体側制御手段24が実行する。まず、入出力装置設置検出開始ステップとなるSTEP201において、入出力装置設置状態の検出を開始する。次に電力供給ステップとなるSTEP202において、各駆動回路27に信号を送信して、各加熱用コイル26に入出力装置1が動作するのに必要な電力が供給できるだけの磁束の変化を生じさせて給電動作を行わせる。
さらに、通信信号送信ステップとなるSTEP203において、誘導加熱調理器50側から入出力装置1側に向け、通信信号を送信する。このとき、本体側制御手段24はデータを含む送信信号を各本体側通信回路23に送る。本体側通信回路23では本体側制御手段24からの送信信号に対して変調などを行い、その信号を本体側通信回路23に接続された駆動回路27に出力する。その信号に基づいてその駆動回路27と接続した加熱用コイル26には電流が流れる。そして、応答待ちステップとなるSTEP204では、所定時間の間に入出力装置1からの応答が得られたかどうかを判断する。
所定時間内に応答が得られたものと判断すると、動作切り替えステップ(a)となるSTEP205aにおいて、入出力装置1への給電動作を連続的あるいは断続的に継続させるように対応する駆動回路27に指示し、加熱用コイル26に電流を流す。
一方、入出力装置1から応答が得られなかったと判断すると、対象判定ステップとなるSTEP206において、加熱用コイル26と対向した対象物の有無、種類などを検出する。対象物の有無の検出については、たとえば電力供給時に駆動回路27が加熱用コイル26に供給する電流の応答、加熱用コイル26の温度上昇などの変化量などを判断することにより行う。そして、鍋51を検出したものと判断すると、同様の方法により鍋51の種類も検出する。
対象物を検出したものと判断すると、加熱判断ステップとなるSTEP207において、入出力装置1から加熱開始に係る通信信号が送信されているか(加熱が指示されているかどうか)どうかを判断する。送信されていると判断すると、コイル通電切り替えステップ(b)となるSTEP205bにおいて、対応する駆動回路27に指示し、加熱用コイル26に鍋51に対する加熱動作を行うための電流を流すようにする。
対象物が無いものと判断した又は入出力装置1から加熱開始に係る通信信号が送信されていない場合、動作切り替えステップ(c)となるSTEP205cにおいて、検出のための電力供給を停止させるように、対応する駆動回路27の動作を停止させ、加熱コイル26への電流供給を停止する制御を行う。そして、入出力装置検出終了ステップとなるSTEP208において、検出処理を停止し、定常処理動作に移行する。このとき、入出力装置1の設置が検出されていれば電力供給の継続を行い、入出力装置1の設置が検出されない場合、同処理が定期的に実行される。
以上のように、実施の形態5における入出力装置1及びこれを備えた誘導加熱調理器50においては、上述した実施の形態4における効果に加え、誘導加熱調理器50において複数の加熱用コイル26を整列配列し、加熱用コイル26ごとに、対向する対象物に応じて加熱用コイルに通電する電流のパターンを切り替えるようにしたので、トッププレート50aの任意の場所及び任意の向きにおいて、入出力装置1及び鍋51などの加熱対象物を配置することができる。また、島状のキッチンに対して設置可能となるとともに、誘導加熱調理器50の全周囲からの使用が可能となる。また、位置ずれや配置位置による入出力装置1への電力供給効率の低下、あるいは通信効率の低下を抑制することが可能となる。これらにより、機器の操作性、機器の手入れのしやすさ、意匠性の向上ができ、ユーザビリティの向上が可能となる。
また、本体側制御手段24が、加熱用コイル26ごとに、対向する対象物の有無などを検出する処理を行うようにしたので、加熱用コイル26に対向する対象物に応じて加熱用コイルに通電する電流のパターンを切り替えることができ、トッププレート50aの任意の場所及び任意の向きに対して入出力装置1及び鍋51などの加熱対象物を配置することができる。また、島状のキッチンに対して設置可能となるとともに、誘導加熱調理器50の全周囲からの使用が可能となる。また、位置ずれや配置位置による入出力装置1への電力供給効率の低下、あるいは通信効率の低下を抑制することが可能となる。これらにより、機器の操作性、機器の手入れのしやすさ、意匠性の向上ができ、ユーザビリティの向上が可能となる。
1 入出力装置、2 入力手段、3 出力手段、3a 表示手段、3b 音声出力手段、3c 振動発生手段、4 制御手段、5 共振回路、5a 受電用共振回路、5b 通信用共振回路、6 電源回路、7 通信回路、8 メモリ手段、10 整流手段、11 平滑手段、12 電圧変換手段、13 電源供給点、14 搬送波発生手段、15 変調手段、16 電流制御手段、17 復調手段、18 信号増幅手段、19 バッファ手段、20 機器本体、21 本体側共振回路、22 本体機能実現手段、23 本体側通信回路、24 本体側制御手段、25 磁束、26,26a,26b,26−2,26−3 加熱用コイル、27 駆動回路、30 本体側整流手段、31 本体側整流手段、32 交流電力発生手段、33 共振用コンデンサ、34 本体側電源、35 本体側搬送波発生手段、36 本体側変調手段、37 本体側電流制御手段、38 本体側復調手段、39 本体側信号増幅手段、40 本体側バッファ手段、45 外部電源、50 誘導加熱調理器、50a トッププレート、51 鍋。