JP5093875B2 - 多孔質構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性など物性バランスに優れた合成皮革、人工皮革、フィルター、クッション材などの用途に使用される多孔質構造体に関する。
従来の多孔質構造体としては、ポリプロピレングリコールやポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールを用いて重合されたポリウレタン樹脂溶液を繊維質基材や成膜板に塗布し水中で凝固して得られるものがある。これらの多孔質構造体は、柔軟性に優れるものの、汗などの成分により分解を受けやすく耐久性に問題があった。また、ヒドロキシ化合物と2塩基酸を反応させて得られるポリエステルポリオールを用いて重合されたポリウレタン樹脂溶液を用い、凝固して得られる多孔質構造体が存在する。この多孔質構造体は、耐加水分解性に問題があった。
これらの問題を解決するため、ポリカーボネートジオールを用いて重合されたポリウレタン樹脂溶液を用いて多孔質構造体を得る方法が開示されている。しかしながら、ポリカーボネートジオールを用いて重合されたポリウレタン樹脂溶液は、湿式凝固性が不良であり風合いが硬くなるなどの問題があった。それを解決するため、特殊な成膜助剤を用いて湿式凝固する方法が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、成膜助剤の量によっては、表面に濡れ感が出たり、耐久性などに問題が発生したりした。また、結晶性の強いポリカーボネートジオールを用いた場合、湿式凝固性が不良となる傾向が強いため、結晶性の低いコポリポリカーボネートジオールを用いて重合されたポリウレタン溶液を用いる方法が開示されている(特許文献2参照)。また、ポリウレタン皮膜層が、100%モジュラス20〜200kg/cmの非晶性ポリカーボネート系ポリウレタンで形成されていることを特徴とする合成皮革が開示されている(特許文献3参照)。また、繊維基材表面にポリウレタン樹脂接着層を介してポリウレタン樹脂表皮層が積層される合成皮革において、繊維基材層が両面編み組織を有する緯編布であり、かつポリウレタン樹脂表皮層を形成するポリウレタン樹脂がシリコーン変性無黄変型ポリカーボネート系ポリウレタンである合成皮革が開示されている(特許文献4参照)。さらには、脂肪族ジオールとジアルキルカーボネートのエステル交換反応により得られる脂肪族オリゴカーボネートジオールと活性水素基を有する化合物を開始剤として環状エステル化合物を開環付加重合することにより得られるポリエステルポリオールとのエステ交換反応で得られるポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリイソシアネート、及び鎖延長剤とからなるウレタン樹脂を用いてなる合成皮革表面皮膜層が開示されている(特許文献5参照)。しかしながら、これらの方法でも、得られた多孔質構造体は、耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性など物性バランスよく併せ持つとは言えなかった。
上記に示すように、耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性など物性バランスに優れた多孔質構造体は存在しなかった。
特許第3305358号公報 特開平5−186631号公報 特開平5−5280号公報 特開平9−31862号公報 特開2005−346094号公報
本発明は、耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性など物性バランスに優れた合成皮革、人工皮革、フィルター、クッション材などの用途に使用される多孔質構造体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のポリカーボネートジオールを用いることにより上記の問題点を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、
(a)有機ジイソシアネート、(b)ポリカーボネートジオール、および(c)鎖延長剤とから構成されるポリウレタン樹脂を湿式凝固方式により湿式成膜することにより得られ、(b)のポリカーボネートジオールが、下記式(A)と下記式(B)の繰り返し単位を含み、末端基が水酸基であり、(A)と(B)の割合がモル比率で70:30〜30:70で、平均分子量が300〜10000のポリカーボネートジオールであることを特徴とする多孔質構造体。
Figure 0005093875

(式中、Rは、下記式(D)を表す。)
(CH (D)
(式中、mは4または6。)
に関するものである。
本発明は、耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性など物性バランスに優れた合成皮革、人工皮革、フィルター、クッション材などの用途に使用される多孔質構造体を提供することが出来る。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明で用いる有機ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートおよびその混合物、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3´−ジメチル−4,4´ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、粗製TDI、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(PMDI)、粗製MDIなどの芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、フェニレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、4−4´−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(水添MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(水添XDI)などの脂肪族ジイソシアネートを挙げることができる。通常は1種の有機ジイソシアネートを選択して用いるが、これらの有機ジイソシアネートから2種類以上を選択しそれらを混合して、または逐次追加して用いても構わない。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、ジオールと炭酸エステルを原料に用い、エステル交換に付することで得ることができる。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、下記式(E)と下記式(F)で表されるジオールを原料に用いる。
Figure 0005093875

(式中、Rは、2−メチル−1,3プロパンジオールに由来するアルキレン基を除く炭素数2〜20のアルキレン基を表す。)
上記式(F)で表されるジオールは、2−メチルー1,3−プロパンジオールを除くジオールであって、その例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンなどを挙げることができる。上記式(F)で表されるジオールは、1種類のみを用いても2種以上を併用しても良い。なかでも、炭素数2〜10の直鎖アルキレンジオールを用いるのが好ましい。1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを用いるのがより好ましい。1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを用いるのが最も好ましい。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、上記式(A)と上記式(B)との割合がモル比率で99:1〜1:99である。好ましくは、80:20〜20:80である。より好ましくは、70:30〜30:70である。
また、本発明で用いられるポリカーボネートジオールには、(E)と(F)の他に、1分子に3個以上のヒドロキシル基を持つ化合物、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを少量用いることにより、多官能化したポリカーボネートも含まれる。1分子中に3以上のヒドロキシル基を持つ化合物を余り多く用いると、架橋してゲル化が起きてしまうので、ジオールの合計モル数に対して、5モル%以下にする。好ましくは、2モル%以下にする。
本発明で用いられるポリカーボネートジオールの平均分子量の範囲は、数平均分子量にて、300〜10000である。好ましくは、400〜8000である。より好ましくは、500〜5000である。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、アルキレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートなどの炭酸エステルを原料に用いる。アルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネートなどがある。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートなどが、ジアルキレンカーボネートとしては、ジフェニルカーボネートなどがある。そのなかでも、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートを用いるのが好ましい。エチレンカーボネートを用いるのがより好ましい。
本発明では、エステル交換を行う際の反応温度は、120℃〜280℃である。好ましくは、140℃〜230℃である。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、エステル交換反応の際、反応を速めたい場合に触媒を用いることが望ましい。触媒としては、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのチタン化合物、ジ−n−ブチルスズジラウレート、ジ−n−ブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテートなどのスズ化合物、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛などの酢酸の金属塩などがある。なかでもチタン化合物を用いるのが好ましい。これらの触媒は、反応物に対し1〜300ppmとなるように用いるのが好ましい。30〜200ppmとなるように用いるのがより好ましい。
本発明で用いるポリカーボネートジオールは、柔軟性を向上させる目的で、その分子内にエーテル結合を有しても良い。エーテル結合の含有量は、本発明の効果に影響しない範囲であれば特に限定はしないが、その量が増えると耐熱性や耐薬品性が低下する。よって、エーテル結合の含有量は、0.05〜5モル%であることが好ましく、0.05〜3モル%であることが更に好ましい。
本発明に用いる鎖延長剤としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの短鎖ジオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソフォロンジアミンなどのジアミン類および水が挙げられる。通常は1種の鎖延長剤を選択して用いるが、これらの鎖延長剤から2種類以上を選択しそれらを混合して用いても構わない。
本発明のポリウレタン樹脂は、ポリウレタン業界で公知の方法により得ることが出来る。例えば、ポリカーボネートジオールと有機ジイソシアネートを、20〜150℃で2〜12時間反応させて、末端がイソシアネート基となったウレタンプレポリマーを合成した後、これに鎖延長剤を加え、20〜150℃で2〜12時間反応させ目的とする分子量とするプレポリマー法、または、ポリカーボネートジオールと有機イソシアネートと鎖延長剤を一括して添加し、20〜150℃で3〜12時間反応させることにより、目的とする分子量とするワンショット法がある。
この反応において、必要に応じてウレタン反応触媒を添加することが出来る。触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、モルホリンなどの含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸スズなどの金属塩、ジブチルスズジラウレートなどの有機金属化合物が挙げられる。必要に応じて、重合停止剤を添加することも出来る。重合停止剤としては、メタノール、ブタノール、シクロヘキサノールなどの1価のアルコール類やジブチルアミンなどを使用することが出来る。これらの反応は、溶媒中で行っても良く、無溶媒で反応した後に溶媒を添加し、ポリウレタン樹脂を溶解しても良い。
有機溶媒しては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン(MEK)、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサン、トルエンなどを用いることが出来る。これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合物として用いることが出来る。実用上好ましい有機溶媒としては、アミド系溶媒であり、特に好ましいのはDMFである。ポリウレタン樹脂の有機溶媒溶液濃度は、一般的には5〜50重量%である。
また、本発明の多孔質構造体を構成するウレタン樹脂には、ポリオールとして、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールを併用することも出来る。
ポリウレタン樹脂溶液に成膜助剤を添加することも出来る。成膜助剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、メリシン酸などの炭素数が比較的多い脂肪族カルボン酸、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの長鎖アルコールが挙げられる。さらに、炭素数1〜6のアルキルアルコールと炭素数6〜18の脂肪族カルボン酸から得られるカルボン酸エステル、グリセリンと炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸モノエステル、ジエステル、トリエステル、ソルビタンと炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸モノエステル、ジエステルトリエステルが挙げられる。
ポリウレタン樹脂溶液には、必要に応じて、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、撥水撥油剤、消臭剤、帯電防止剤、芳香剤、離型剤、滑剤、充填剤、発泡剤などの添加剤を単独でまたは2種類以上を併せて添加する事も出来る。さらに、必要に応じて、合成ゴム、ポリ塩化ビニルまたは塩化ビニル共重合体、酢酸ビニルまたは酢酸ビニル共重合体、アミノ酸樹脂、ポリウレタン/ポリアミノ酸ブロック共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリアミドなどの重合体を添加する事も出来る。
本発明の多孔質構造体は、ポリウレタン樹脂溶液を基材に塗布または含浸し、湿式凝固することで得ることが出来る。また、必要に応じ、得られた多孔質構造体を基材から剥離して使用してもよい。基材としては、種々のものが使用できる。例えば、繊維質基材としては、繊維を不織不、織布、網布などの形状にした繊維集合体、あるいは繊維集合体の各繊維間が弾性重合体で結合されたものなどが挙げられる。この繊維集合体に用いられる繊維は、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生または半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィンなどの合成繊維が挙げられる。これらの繊維は、単独紡糸繊維でも混合紡糸繊維でも構わない。その他の基材としては、紙、離型紙、ポリエステルやポリオレフィンのプラスティックフィルム、アルミなどの金属板、ガラス板などが挙げられる。
基材が、起毛布、編布、不織布の場合、その表面に塗布したポリウレタン樹脂溶液が基材の内部まで浸透しやすく、柔軟性が劣り品位の面で好ましくない。よって、予め基材に前処理を施すことも出来る。その前処理方法としては、基材をフッ素系などの撥水剤で処理する方法、カレンダーに通し基材のふくらみを押しつぶして平滑にする方法などがある。
ポリウレタン樹脂溶液の塗布や含浸は、一般的には用いられている方法で行われる。塗布方法の例としては、フローティングナイフコーター、ナイフオーバーロールコーター、リバースロールコーター、ロールドクターコーター、グラビアロールコーター、キスロールコーターなどを挙げることが出来る。
湿式凝固の方法としては、例えば、ポリウレタン樹脂溶液を含浸または塗布した基材を、ポリウレタン樹脂溶液の溶媒と親和性があり、ポリウレタン樹脂には親和性が無く非溶媒である凝固浴中に直接浸漬し、該有機溶媒を抽出することにより凝固させる方法がある。上記の有機溶媒と親和性がありポリウレタン樹脂とは親和性が無く非溶媒であるものとしては、水、エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ヒドロキシエチルアセテートなどが挙げられ、単独でまたは2種類以上を混合して用いられる。さらに、任意の割合で有機溶媒を混合して使用する事も出来る。
凝固浴の温度は、通常は30〜50℃である。30℃未満または50℃を超える温度では、ポリカーボネートジオール系ポリウレタン樹脂の場合、多孔質構造が得られないことが多く実用上好ましくない。凝固工程を数段に分けて連続的に行うことも出来る。この場合、第一段の凝固浴温度は、30〜50℃であることが好ましい。以降の凝固浴では、必要に応じ、温度を高温側にも低温側にも設定することが出来る。湿式凝固後は、通常の方法で洗浄、乾燥を行う。
本発明において、基材が編布のように空隙率が大きい場合、ポリウレタン樹脂溶液を直接塗布または含浸すると、ポリウレタン樹脂が基材の全体に浸透し柔軟性を低下させることもある。その場合は、接着剤を介在させたラミネート法を採用することも出来る。接着剤としては、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系などを使用することが出来るが、ポリウレタン系を用いることが好ましい。接着剤の塗布方法は、多孔質構造体の表面全体に塗布することも出来るが、風合いや透湿性の観点から、多孔質構造体表面に点状また線状に接着剤を塗布して積層する方法が好ましい。
得られた多孔質構造体は、そのまま使用することも出来るが、更に各種特性を付与する目的から、ポリウレタン樹脂、塩化ビニルやセルロース系樹脂などのポリマー溶液やエマルジョンを塗布したり、別途離型紙の上に塗工した上記ポリマー溶液やエマルジョンを乾燥して得た塗膜と貼り合わせた後で、離型紙を剥がして得られる積層体として用いることも出来る。
次に、実施例および比較例によって、本発明を説明する。
以下の実施例および比較例において、ポリカーボネートジオールおよびポリウレタンフィルムの諸物性は、下記の試験方法に従って試験を実施した。
水酸基価は、以下の方法で測定した。メスフラスコを用い、無水酢酸12.5gにピリジンを加えて50mlとし、アセチル化試薬を調整する。100mlのナスフラスコに、サンプルを2.5〜5.0g精秤する。アセチル化試薬5mlとトルエン10mlをホールピペットで添加後、冷却管を取り付けて、100℃で1hr撹拌加熱する。蒸留水2.5mlをホールピペットで添加、さらに10min加熱撹拌する。2〜3min冷却後、エタノールを12.5ml添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2〜3滴入れた後に、0.5mol/lエタノール性水酸化カリウムで滴定する。アセチル化試薬5ml、トルエン10ml、蒸留水2.5mlを100mlナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、同様に滴定を行う(空試験)。この結果をもとに、下記式(1)で水酸基価を計算する。
水酸基価(mg−KOH/g)={(B−A)×28.05×f}/C (1)
A:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
C:サンプル重量(g)
f:滴定液のファクター
実施例、比較例中のポリマーの末端は、13C−NMR(270MHz)の測定により、実質的に全てがヒドロキシル基であった。さらに、ポリマー中の酸価をKOHによる滴定で測定したが、実施例、比較例のポリマー全てが0.01以下であった。従って、得られたポリマーの数平均分子量は、上記の水酸基価を用い、下式(2)により求められる。
数平均分子量=2/(水酸基価×10―3/56.11) (2)

耐汗性は、以下の方法で評価した。多孔質体を5cm×5cmに切断し、試料片を得た。この試験片を45℃のオレイン酸(試薬1級)中に1週間浸漬する。試験片表面の性状変化を目視し観察し、その変化を1級(未試験試験片と比較して変化無し)から5級(多孔質体が破壊されている)までの5段階で評価した。
組成比は、以下のように測定した。100mlのナスフラスコにサンプルを1g取り、エタノール30g、水酸化カリウム4gを入れて、100℃で1hr反応する。室温まで冷却後、指示薬にフェノールフタレインを2〜3滴添加し、塩酸で中和する。冷蔵庫で1hr冷却後、沈殿した塩を濾過で除去し、ガスクロマトグラフィーにより分析を行った。分析は、カラムとしてDB−WAX(J&W製)をつけたガスクロマトグラフィーGC−14B(島津製作所製)を用い、ジエチレングリコールジエチルエステルを内標として、検出器をFIDとして行った。なお、カラムの昇温プロファイルは、60℃で5分保持した後、10℃/minで250℃まで昇温した。得られた結果をもとに、下式(3)を用いて、組成比を求めた。
組成比(mol%)= (D/E)×100 (3)
D:2−メチル−1.3−プロパンジオールのモル数
E:全てのジオールのモル数
なお、ポリカーボネートジオールの分子内にエーテル結合を有する場合、その含有量は、上記の方法で得られた、全てのジオールのモル数に対する、エーテル結合を有するジオールのモル%として現される。

柔軟性は、触感により、1級(柔軟)から5級(粗硬)までの5段階で評価した。
耐候性は、以下の方法で評価した。多孔質体を5cm×5cmに切断し、試料片を得た。 この試験片をサンシャイン型ウエザオメーター(スガ試験機製、WEL−SUN−DC)中で、1サイクル60分、内12分の降水の繰り返しで所定時間(200時間)経過し他後、試験片表面の性状変化を目視し観察し、その変化を1級(未試験試験片と比較して変化無し)から5級(多孔質体が破壊されている)までの5段階で評価した。
[ポリカーボネートジオールの合成例1]
攪拌機、温度計、頭頂に還流ヘッドを有する真空ジャッケト付きオルダーショウを備えた2lセパラブルフラスコに、2−メチル−1,3−プロパンジオール350g、1,4−ブタンジオール300g、エチレンカーボネート640gを仕込み、70℃で撹拌溶解したあと、触媒として酢酸鉛三水和物を0.015g入れた。175℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温135℃、真空度1.0〜1.5kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、24hr反応した。その後、オルダーショウを単蒸留装置に取り替え、180℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温140〜150℃、真空度を0.5kPaまで落として、セパラブルフラスコ内に残った、ジオールとエチレンカーボネートを除去した。その後、オイルバスの設定を185℃に上げ、フラスコの内温160〜165℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに8hr反応した。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物の水酸基価は55.9、組成比は51mol%であった。該ポリカーボネートジオールをPC1と称する。
[ポリカーボネートジオールの合成例2]
合成例1の装置を用い、1,6ヘキサンジオール700g、エチレンカーボネート520g、酢酸鉛三水和物0.012g仕込んだ。190℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温150℃、真空度3.0〜4.2kPaで、還流ヘッドから還流比4で留分の一部を抜きながら、15hr反応した。その後、オルダーショウを単蒸留装置に取り替えた後、190℃に設定したオイルバスで加熱し、フラスコの内温160〜170℃、真空度を0.5kPaまで落として、セパラブルフラスコ内に残った、ジオールとエチレンカーボネートを除去した。その後、オイルバスの設定を200℃に上げ、フラスコの内温170〜190℃で、生成するジオールを除去しながら、さらに5hr反応した。この反応により、常温で白色の固体が得られた。得られた反応物の水酸基価は56.8であった。該ポリカーボネートジオールをPC2と称する。
[ポリカーボネートジオールの合成例3]
1,6ヘキサンジオール532g、1,5−ペンタンジオール148g、エチレンカーボネート524g、酢酸鉛三水和物0.013gとした以外は、合成例2の条件で重合を行った。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物の水酸基価は56.4であった。該ポリカーボネートジオールをPC3と称する。
[ポリカーボネートジオールの合成例4]
1,6ヘキサンジオール178g、2−メチル−1,3−プロパンジオール390g、エチレンカーボネート510g、酢酸鉛三水和物0.012gとした以外は、合成例2の条件で重合を行った。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物の水酸基価は57.1、組成比は70モル%であった。該ポリカーボネートジオールをPC4と称する。
[ポリカーボネートジオールの合成例5]
1,5−ペンタンジオール350g、2−メチル−1,3−プロパンジオール108g、エチレンカーボネート400g、酢酸鉛三水和物0.012gとした以外は、合成例2の条件で重合を行った。この反応により、常温で粘ちょうな液体が得られた。得られた反応物の水酸基価は56.8、組成比は22モル%であった。該ポリカーボネートジオールをPC5と称する。
[ポリウレタンの合成例]
還流冷却管、温度計、攪拌機を備えた反応機に、ポリカーボネートジオール(以下、PCDと略す。)とジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す。)330gを入れ充分に攪拌する。イソホロンジイソシアネート(IPDI)と触媒としてジブチルスズジラウレートを0.017g添加し、80℃で4時間反応し、末端がイソシアネートのプレポリマーを得た。温度を40℃に下げた後、イソホロンジアミン(以下、IPDAと略す。)を添加し、数平均分子量が70000になった時点で、n−ヘキシルアミンを1g添加して反応を停止した。
仕込み量を下記表1に示す。
Figure 0005093875
実施例1
70デニールのナイロン66基布(経密度136本/インチ、緯密度104本/インチ)を、0.8%のフッ素系撥水剤(明成化学株式会社製、アサヒガードLS317)を入れた浴に浸漬し、絞り率80%で絞った後、150℃の乾燥機で5分間乾燥した。該基布の上に、アプリケータを用いて、クリアランス100μmでポリウレタン樹脂溶液PU1を塗布した。25℃の10%DMF水溶液に5分間浸漬して湿式凝固した後、65℃の温水に5分間浸漬して溶媒を取り除いた後、絞液ロールで絞り、110℃で乾燥して多孔質構造体(以下、構造体1と称す。)を得た。
比較例1〜2
ポリウレタン樹脂溶液PU2またはPU3を用い実施例1の方法で多孔質構造体(以下、ポリウレタン樹脂溶液PU2を用いた多孔質構造体を構造体2、ポリウレタン樹脂溶液3を用いた多孔質構造体を構造体3とそれぞれ称す。)を得た。
実施例2、参考例1
ポリウレタン溶液PU4またはPU5を用いて実施例1の方法で多孔質構造体(以下、ポリウレタン樹脂溶液PU4を用いた多孔質構造体を構造体4(実施例2)、ポリウレタン樹脂溶液PU5を用いた多孔質構造体を構造体5(参考例1)とそれぞれ称す。)を得た。
得られた多孔質構造体に関し、柔軟性、耐候性、耐汗性を評価し。その結果を下記表2に示す。
Figure 0005093875
耐油性、耐汗性、耐加水分解性、耐候性、柔軟性など物性バランスに優れた合成皮革、人工皮革、フィルター、クッション材などの用途に利用することが出来る。

Claims (1)

  1. (a)有機ジイソシアネート、(b)ポリカーボネートジオール、および(c)鎖延長剤とから構成されるポリウレタン樹脂を湿式凝固方式により湿式成膜することにより得られ、(b)のポリカーボネートジオールが、下記式(A)と下記式(B)の繰り返し単位を含み、末端基が水酸基であり、(A)と(B)の割合がモル比率で70:30〜30:70で、平均分子量が300〜10000のポリカーボネートジオールであることを特徴とする多孔質構造体。
    Figure 0005093875

    (式中、Rは、下記式(D)を表す。)
    (CH (D)
    (式中、mは4または6。)
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