JP2024046145A - 合成皮革用ポリウレタン樹脂及び合成皮革 - Google Patents

合成皮革用ポリウレタン樹脂及び合成皮革 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的特性と耐薬品性に優れ、臭気成分が吸着し難い合成皮革用ポリウレタン樹脂を提供する。【解決手段】ポリカーボネートジオール(A)に由来する構造単位(A)及びイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位(B)を含むポリウレタンを含有する、合成皮革用の樹脂であって、臭気成分吸着試験として、前記樹脂からなる縦10cm、横10cm、厚さ50μmのフィルムを、ISO17299-2に準拠して、アンモニアガス濃度100ppm、トリメチルアミンガス濃度28ppm、アセトアルデヒドガス濃度14ppmの雰囲気に、温度25℃で3時間放置したときの、アンモニアガス、トリメチルアミンガス、及びアセトアルデヒドガスから選ばれる少なくとも1種の濃度の減少率が、5.0%以下であることを特徴とする、合成皮革用ポリウレタン樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、合成皮革用ポリウレタン樹脂及び合成皮革に関する。
より詳しくは、本発明は、特定構造のポリカーボネートジオール由来の構造単位を含み、臭気成分が吸着し難く、機械的特及び耐薬品性に優れた合成皮革用ポリウレタン樹脂、及び、このポリウレタンを用いて製造された合成皮革に関する。
工業規模で生産されているポリウレタンとして、ソフトセグメント部の原料にポリカーボネートジオールを用いた、ポリカーボネートタイプのポリウレタンが提案されている(特許文献1)。さらには近年、このポリカーボネートタイプのポリウレタンを用いた、耐薬品性の高い合成皮革が提案されている(特許文献2、3)。
ポリウレタンを用いた合成皮革製品は、ソファー等の外装材や保護カバー等の家具用部材;自動車等のシートカバーや内装材料等の車両用部材;革靴やジャンバー、ベルト等の衣料用部材;カバンやバック、腕時計のベルト、財布等の装飾用部材等に利用されている。
上記用途では、合成皮革製品に、タバコや化粧品等の臭いや、例えば焼き肉等の食料品の臭い、更には人体からでる汗や皮脂等の臭いが吸着されにくいことが要望されている。すなわち、合成皮革用ポリウレタン樹脂には、臭気成分が吸着され難いことが要求されている。
また、上記用途では、合成皮革製品は人体の体重や外部抗力等の加重又は荷重が加わる状態で使用されるため、合成皮革製品には機械的特性に優れていることが要望されている。すなわち、合成皮革用ポリウレタン樹脂には、引張強度のような機械的特性に優れていることが要求されている。
さらに、上記用途では、合成皮革製品をエタノールやイソプロパノールを用いて洗浄又は消毒するため、合成皮革製品には耐薬品性に優れていることが要望されている。すなわち、合成皮革用ポリウレタン樹脂には、耐薬品性に優れていることが要求されている。
特開2013-108196号公報 特開2019-044280号公報 特開2012-072350号公報
合成皮革用ポリウレタン樹脂にあっては、その用途において、特に機械的特性と耐薬品性に優れ、さらに臭気成分が吸着し難いことが望まれているが、特許文献1~3に開示されているポリウレタンは、機械的特性と耐薬品性に優れ、さらに臭気成分が吸着し難いという3つの特性を並立することは困難であった。特に、臭気成分が吸着し難いポリウレタンの構造や組成に関して、特許文献1~3は何ら言及していない。
本発明は、上述した従来技術の問題を解決し、機械的特性と耐薬品性に優れ、さらに臭気成分が吸着し難い合成皮革用ポリウレタン樹脂と、このポリウレタン樹脂を用いた合成皮革を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、原料として特定構造を有するポリカーボネートジオールを用いてポリウレタン樹脂を製造することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] ポリカーボネートジオール(A)に由来する構造単位(A)及びイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位(B)を含むポリウレタンを含有する、合成皮革用の樹脂であって、
臭気成分吸着試験として、前記樹脂からなる縦10cm、横10cm、厚さ50μmのフィルムを、ISO17299-2に準拠して、アンモニアガス濃度100ppm、トリメチルアミンガス濃度28ppm、アセトアルデヒドガス濃度14ppmの雰囲気に、温度25℃で3時間放置したときの、アンモニアガス、トリメチルアミンガス、及びアセトアルデヒドガスから選ばれる少なくとも1種の濃度の減少率が、5.0%以下であることを特徴とする、合成皮革用ポリウレタン樹脂。
[2] 前記ポリカーボネートジオール(A)が、下記式(1)で表される化合物に由来する構造単位(I)、並びに、イソソルビド、イソマンニド、及び、イソイジドから選ばれる少なくとも一種のジオールに由来する構造単位(II)を有する、[1]に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
HO-R-OH …(1)
(式(1)中、Rは置換若しくは無置換の炭素数3~10のアルキレン基であって、Rのアルキレン基中の炭素原子は1~3級の炭素原子である。)
[3] 前記ポリカーボネートジオール(A)おいて、前記構造単位(II)に対する前記構造単位(I)のモル比((I)/(II))が、45/55以上75/25以下の範囲内である、[2]に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
[4] 前記臭気成分吸着試験において、アンモニアガス、トリメチルアミンガス、及びアセトアルデヒドガスの濃度の減少率が、いずれも2.5%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
[5] 前記ポリカーボネートジオール(A)の水酸基価から求めた数平均分子量が500以上3000以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
[6] 前記式(1)におけるRが、置換若しくは無置換の炭素数4~6のアルキレン基である、[2]~[5]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
[7] 前記構造単位(B)に対する前記構造単位(A)のモル比((A)/(B))が、1.0/5.0以上1.0/0.5以下の範囲内である、[1]~[6]のいずれかに記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
[8] [1]~[7]のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂を用いて製造された、合成皮革。
本発明によれば、原料に特定の構造のポリカーボネートジオールを用いることで、機械的特性と耐薬品性に優れ、さらに臭気成分が吸着し難い合成皮革用ポリウレタン樹脂と、このポリウレタン樹脂を用いた合成皮革を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本明細書において、「構造単位」とは、ポリウレタン樹脂の製造に用いた原料化合物が重合することにより形成された、前記原料化合物に由来する単位であって、得られた重合体において任意の連結基に挟まれた部分構造を示すものであり、重合体の末端部分で一方が連結基で、もう一方が重合反応性基である部分構造も含む。構造単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、得られた重合体を処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
本明細書において、「繰り返し単位」とは、「構造単位」と同義である。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、特に断らない限り、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
本明細書において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有割合を示す。
本明細書において“質量%”と“重量%”、“質量ppm”と“重量ppm”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。また、単に“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
[合成皮革用ポリウレタン樹脂]
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂は、ポリカーボネートジオール(A)に由来する構造単位(A)とイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位(B)とを含むポリウレタン樹脂である。
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂は、製造原料として少なくともポリカーボネートジオール(A)とイソシアネート化合物(B)とを用いて常法に従って製造することができる。
<臭気低付着性>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂は、臭気成分吸着試験として、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂からなる縦10cm、横10cm、厚さ50μmのフィルムを、ISO17299-2に準拠して、アンモニアガス濃度100ppm、トリメチルアミンガス濃度28ppm、アセトアルデヒドガス濃度14ppmの雰囲気に、温度25℃で3時間放置したときの、アンモニアガス、トリメチルアミンガス、及びアセトアルデヒドガスから選ばれる少なくとも1種の濃度の減少率(以下、単に「臭気成分減少率」と称す場合がある。)が、5.0%以下という臭気低付着性に優れたものである。この臭気成分減少率は、3.0%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましい。
臭気低付着性の観点から、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂は、アンモニアガス、トリメチルアミンガス、及びアセトアルデヒドガスのすべてのガスに対する臭気成分減少率が5.0%以下であることが好ましく、すべてのガスに対する臭気成分減少率が3.0%以下であることがより好ましく、すべてのガスに対する臭気成分減少率が2.5%以下であることが更に好ましい。
なお、本発明における臭気成分吸着試験は、より具体的には後掲の実施例の項に記載の方法で実施される。
<構造単位(B)に対する構造単位(A)のモル比((A)/(B))>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂において、イソシアネート化合物(B)に由来する構造単位(B)に対するポリカーボネートジオール(A)に由来する構造単位(A)のモル比((A)/(B))の下限は、最終的に得られる合成皮革の風合いの観点から、1.0/5.0以上が好ましく、1.0/4.0以上がより好ましく、1.0/3.0以上がさらに好ましい。一方、前記モル比((A)/(B))の上限は、得られるポリウレタンの強度の観点から、1.0/0.5以下が好ましく、1.0/1.0以下がより好ましく、1.0/1.5以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。即ち、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂において、前記構造単位(B)に対する前記構造単位(A)のモル比((A)/(B))は、特に限定されるものではないが、1.0/5.0以上1.0/0.5以下が好ましく、1.0/4.0以上1.0/1.0以下がより好ましく、1.0/3.0以上1.0/1.5以下がさらに好ましい。
なお、前記構造単位(B)に対する前記構造単位(A)のモル比((A)/(B)))の値は、合成皮革用ポリウレタン樹脂を合成する際のポリカーボネートジオール(A)及びイソシアネート化合物(B)の配合比から計算することができる。前記配合比が、最終的に得られた合成皮革用ポリウレタン樹脂における前記構造単位(A)及び前記構造単位(B)の構成比と実質的に同一になるためである。
<ポリカーボネートジオール(A)>
本発明におけるポリカーボネートジオール(A)は、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を構成する構造単位(A)を形成するための原料である。
本発明におけるポリカーボネートジオールは、少なくとも、後述する下記式(1)で表される化合物、並びに、イソソルビド、イソマンニド及びイソイジドから選ばれる少なくとも一種のジオール、炭酸エステルを原料として、エステル交換触媒の存在下にエステル交換、重縮合を行うことにより製造することができる。
前記炭酸エステルとしては、例えば、アルキルカーボネート、アリールカーボネート、アルキレンカーボネートが挙げられ、より具体的には、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
本発明におけるポリカーボネートジオール(A)としては、下記式(1)で表される化合物に由来する構造単位(I)、並びに、イソソルビド、イソマンニド及びイソイジドから選ばれる少なくとも一種のジオールに由来する構造単位(II)を有するポリカーボネートジオール(A)を用いることができる。
HO-R-OH …(1)
(式(1)中、Rは置換若しくは無置換の炭素数3~10のアルキレン基であって、Rのアルキレン基中の炭素原子は1~3級の炭素原子である。)
式(1)におけるRのアルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、エーテル基、チオエーテル基、アルキル基置換アミノ基が挙げられる。
前記式(1)におけるRは、得られるポリウレタンの強度や、臭気低付着性の観点から、置換若しくは、無置換の炭素数4~6のアルキレン基であることが好ましい。
式(1)で表される化合物としては、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオールなどのジオールが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、得られるポリウレタンの曲げ強度と耐熱性等の観点から、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールが好ましい。
構成単位(II)を与えるジオールとしては、得られたポリウレタンにおいて臭気成分が吸着し難く、工業的に安価に多量に入手可能な観点から、イソソルビド、イソマンニド及びイソイジドから選ばれる少なくとも一種が用いられ、中でも、得られたポリウレタンにおいて臭気成分が特に吸着し難い観点からイソソルビドが好ましい。
本発明におけるポリカーボネートジオール(A)における前記構造単位(II)に対する前記構造単位(I)のモル比((I)/(II))の下限については、特に限定されるものではないが、得られるポリウレタンの強度と耐薬品性、及び、ポリオールのハンドリングや最終的に得られる合成皮革の風合いに優れる観点から、45/55以上であることが好ましく、50/50以上であることがより好ましく、55/45以上であることが更に好ましい。一方、前記モル比((I)/(II))の上限についても特に限定されるものではないが、得られるポリウレタンの臭気低付着性や強度に優れる観点から、75/25以下であることが好ましく、70/30以下であることがより好ましく、65/35以下であることが更に好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。即ち、本発明におけるポリカーボネートジオール(A)において、前記構造単位(II)に対する前記構造単位(I)のモル比((I)/(II))は、好ましくは45/55以上75/25以下であり、50/50以上70/30以下がより好ましく、55/45以上65/35以下が更に好ましい。
なお、前記構造単位(II)に対する前記構造単位(I)のモル比((I)/(II))の具体的な測定方法は、後述の実施例の項において詳細に説明する。
本発明におけるポリカーボネートジオール(A)の水酸基価の下限は、特に限定されるものではないが、ポリカーボネートジオールの粘度が高くなりすぎず、取扱い性を良好に維持できる観点から、37mgKOH/g以上が好ましく、44mgKOH/g以上がより好ましく、56mgKOH/g以上がさらに好ましい。一方、前記水酸基価の上限は、特に限定されるものではないが、最終的に得られるポリウレタンの柔軟性や低温特性を良好に維持できる観点から、225mgKOH/g以下が好ましく、187mgKOH/g以下がより好ましく、161mgKOH/g以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。即ち、本発明におけるポリカーボネートジオール(A)の水酸基価は、特に限定されるものではないが、37mgKOH/g以上225mgKOH/g以下が好ましく、44mgKOH/g以上187mgKOH/g以下がより好ましく、56mgKOH/g以上161mgKOH/g以下がさらに好ましい。
本発明におけるポリカーボネートジオール(A)の水酸基価から求めた数平均分子量の下限は、特に限定されるものではないが、最終的に得られるポリウレタンの風合いの観点から、500以上が好ましく、600以上がより好ましく、700以上がさらに好ましい。一方、前記数平均分子量の上限は、特に限定されるものではないが、ポリカーボネートジオール(A)のハンドリングや、得られるポリウレタンの強度の観点から、3000以下が好ましく、2500以下がより好ましく、2000以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。即ち、本発明におけるポリカーボネートジオール(A)の水酸基価から求めた数平均分子量は、特に限定されるものではないが、500以上3000以下が好ましく、600以上2500以下がより好ましく、700以上2000以下がさらに好ましい。
なお、前記水酸基価及び数平均分子量の具体的な測定方法は、後述の実施例の項において詳細に説明する。
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂の製造原料としてのポリカーボネートジオール(A)は、1種のみを用いてもよく、繰り返し単位やそのモル比、物性等の異なるものを2種以上用いてもよい。
<イソシアネート化合物(B)>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂の製造原料として使用されるイソシアネート化合物(B)は、イソシアネート基を2以上有するものであればよく、芳香族又は脂肪族、脂環族の各種公知のイソシアネート化合物が挙げられる。
例えば、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート)、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びm-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物;テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート及びダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1-メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。これらは適宜イソシアヌレート体となっていてもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも得られるポリウレタンの物性のバランスに優れ、工業的に安価に多量に入手可能な観点から、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート)が好ましく、中でも4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。或いは又、耐候性に優れる観点から、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートが挙げられる。なおこれらはイソシアヌレート体であってもよい。
<ポリカーボネートジオール(A)以外のポリオール>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を製造する際のポリウレタン形成反応においては、本発明におけるポリカーボネートジオール(A)以外のポリオールを、物性に影響の無い範囲で併用してもよい。
ここで、本発明におけるポリカーボネートジオール(A)以外のポリオールとは、通常のポリウレタン製造の際に用いるものであれば特に限定されず、例えばポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレンエーテルグリコール、ポリカーボネートジオール(A)以外のポリカーボネートポリオールが挙げられる。本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂の製造に当たり、ポリオール成分として、ポリカーボネートジオール(A)以外のポリオールを用いる場合、全ポリオール成分中のポリカーボネートジオール(A)の質量割合は、ポリカーボネートジオール(A)を用いることによる効果を有効に得る観点から、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。
<鎖延長剤>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を製造する際のポリウレタン形成反応においては、鎖延長剤を用いてもよい。
鎖延長剤は、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、ポリオール及びポリアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物から選ばれる。
その具体例としては、ポリオールとしては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の直鎖ジオール類;2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ヘプタンジオール、1,4-ジメチロールヘキサン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ダイマージオール等の分岐鎖を有するジオール類;ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のエーテル基を有するジオール類;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ジヒドロキシエチルシクロヘキサン等の脂環構造を有するジオール類、キシリレングリコール、1,4-ジヒドロキシエチルベンゼン、4,4’-メチレンビス(ヒドロキシエチルベンゼン)等の芳香族基を有するジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオール類;等が挙げられる。
ポリアミンとしては、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン等のヒドロキシアミン類;エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、4,4’-ジフェニルメタンジアミン、メチレンビス(o-クロロアニリン)、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、N,N’-ジアミノピペラジン等のポリアミン類;等が挙げられる。
これらの鎖延長剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも得られるポリウレタンのソフトセグメントとハードセグメントの相分離性に優れることによる柔軟性と応力緩和性に優れ、工業的に安価に多量に入手可能な観点から、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の直鎖ジオールが好ましい。側鎖を有するジオールを用いるとポリウレタンのハードセグメントの凝集力が低下して機械物性等の諸物性が低下することもある。これらの直鎖ジオールの中では物性のバランスに優れる観点から1,4-ブタンジオールが最も好ましい。
<鎖停止剤>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を製造する際のポリウレタン形成反応においては、得られるポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を少量添加使用することもできる。
これらの鎖停止剤としては、一個の水酸基を有するメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール類が例示される。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<触媒>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を製造する際のポリウレタン形成反応においては、ウレタン化反応のためにウレタン化反応触媒を使用してもよい。ウレタン化反応触媒としては、例えば、有機スズ系化合物、有機亜鉛系化合物、有機ビスマス系化合物、有機チタン系化合物、有機ジルコニウム系化合物、アミン系化合物等を挙げることができる。ウレタン化反応触媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン化反応触媒を使用する場合、該触媒の配合量は、特定に限定されるものではないが、通常は、製造されるポリウレタン樹脂の質量に対して、0.1~100質量ppmの範囲内でその使用量を調整することができる。
前記ウレタン化反応触媒の中でも、有機スズ系化合物が好ましい。有機スズ系化合物としては、例えば、スズ含有アシレート化合物、スズ含有メルカプトカルボン酸塩等が挙げられ、具体的には、オクチル酸スズ、モノメチルスズメルカプト酢酸塩、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモノオクチレート、モノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズマレイン酸塩等の、国際公開第2020/218507号に開示されている化合物が挙げられる。
脂肪族イソシアネート化合物及び/又は脂環族イソシアネート化合物をイソシアネート化合物原料として使用する場合は、芳香族イソシアネート化合物より反応性が低いため、スズ系等の触媒を使用するのが好ましく、特に反応性の低い4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いる場合は触媒を使用することがさらに好ましい。
特に反応性の低い4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを用いる場合は触媒を使用した場合でも、重合後の硬化発現が遅いので、20~120℃の温度で10時間以上熟成させるのが好ましく、100~120℃で10時間以上熟成させるのがさらに好ましい。熟成を十分に実施しないとポリウレタン樹脂の重合度が十分に上がらず、諸物性が悪化することがある。
<合成皮革用ポリウレタン樹脂の製造方法>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を製造する方法としては、一般的に実験ないし工業的に用いられる製造方法が使用でき、具体的には、後述する一段法又は後述する二段法が挙げられる。
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂の製造に当たり、溶媒を用いてもよいし、用いなくてもよい。しかしながら、成形時に溶媒を除去する工程が必要となるため、溶媒を用いることは工業的に有利ではない。また溶媒は環境への負荷が大きいため、反応は無溶媒(溶媒の不存在下)で行うことがより好ましい。
ポリウレタン樹脂の製造方法の一例として、例えば国際公開公報第2018/088575号に開示されるように、ポリカーボネートジオール(A)を含むポリオール成分と、イソシアネート化合物(B)とをワンショット法で連続的に反応(一段法)させることにより、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を効率よく製造することができる。
また、製造方法の別の一例として、例えば国際公開公報第2018/088575号に開示されるように、ポリカーボネートジオール(A)を含むポリオール成分と、過剰のイソシアネート化合物(B)とをまず反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造し、さらに鎖延長剤と反応させて(二段法)重合度を上げて、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を製造することもできる。
<一段法>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂の製造における一段法は、ワンショット法ともよばれ、工業的な製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば単軸又は多軸スクリュー型押出機、あるいはスタティックミキサーに、ポリウレタン樹脂原料として、ポリカーボネートジオール(A)及びイソシアネート化合物(B)、並びに必要に応じて他の成分を、同時又はほぼ同時に連続的に供給して40~300℃の範囲内、好ましくは80~220℃の範囲内で連続溶融重合させて、ポリウレタン樹脂を製造する方法が挙げられる。
また、ポリカーボネートジオール(A)及びイソシアネート化合物(B)、並びに、必要に応じて他の成分を混ぜておき、その混合物を剥離シートにキャストして加熱により硬化させる方法が挙げられる。
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を製造する際にポリカーボネートジオール(A)とイソシアネート化合物(B)を溶媒系で急速攪拌して十分に混合した後、前記の単軸又は多軸スクリュー型押出機、あるいはスタティックミキサーに連続的に供給してポリウレタン樹脂を連続的に製造する方法は、反応性の低い脂肪族イソシアネート化合物及び/又は脂環族イソシアネート化合物の場合は有効である。
前記一段法は、押出機に反応成分のすべてを同時又はほぼ同時に供給するだけで、極めて簡単に目的とするポリウレタン樹脂を連続して製造することができるので好ましい。
<二段法>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂の製造における二段法は、プレポリマー法ともよばれ、工業的な製造方法としては、特に限定されるものではないが、以下の方法が挙げられる。
(a) ポリウレタン樹脂原料として、予めポリカーボネートジオール(A)と、過剰のイソシアネート化合物(B)とを、イソシアネート化合物(B)/ポリカーボネートジオール(A)の反応当量比が1を超える量から10.0以下で反応させて、分子鎖末端がイソシアネート基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに、後述する公知の鎖延長剤を加えることによりポリウレタン樹脂を製造する方法。
(b) ポリウレタン樹脂原料として、予めイソシアネート化合物(B)と、過剰のポリカーボネートジオール(A)とを、イソシアネート化合物(B)/ポリカーボネートジオール(A)の反応当量比が0.1以上から1.0未満で反応させて分子鎖末端が水酸基であるプレポリマーを製造し、次いでこれに鎖延長剤として、末端がイソシアネート基のイソシアネート化合物(B)を反応させてポリウレタン樹脂を製造する方法。
二段法は無溶媒でも溶媒共存下でも実施することができる。
二段法によるポリウレタン樹脂のより具体的な製造方法としては、以下に記載の(1)~(3)のいずれかの方法を用いることができる。
方法(1):溶媒を使用せず、まず直接イソシアネート化合物(B)とポリカーボネートジオール(A)とを反応させてプレポリマーを合成し、そのまま鎖延長反応を行い、ポリウレタン樹脂を得る。
方法(2):(1)の方法で合成したプレポリマーを溶媒に溶解し、次いで鎖延長反応を行い、ポリウレタン樹脂を得る。
方法(3):溶媒存在下でイソシアネート化合物(B)とポリカーボネートジオール(A)とを反応させ、プレポリマーを合成し、その後、溶媒存在下で鎖延長反応を行い、ポリウレタン樹脂を得る。
二段法による場合は、上述した方法(2)及び(3)は、鎖延長反応を行うにあたり、後述する公知の鎖延長剤を溶媒に溶かしたり、溶媒に同時にプレポリマー及び鎖延長剤を溶解したりするなどの方法により、ポリウレタン樹脂を溶媒と共存する形で得ることができるので、塗料用途やコーテイング用途に使用されるポリウレタンの製造に好適である。
二段法による場合は、上述した方法(1)は、溶融成形に使用されるポリウレタンの製造に好適である。前記方法(1)では、溶融成形性及び力学的特性に優れるポリウレタン樹脂を製造する観点から、実質的に溶媒の不存在下で溶融重合することが好ましく、多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合法がより好ましい。連続溶融重合法で得られたポリウレタン樹脂は、一般に、重合温度40~300℃の範囲内で、固相重合で得られたポリウレタン樹脂に比べて、強度の点において優れている。方法(1)で得られたポリウレタンを、溶媒に溶解して、塗料用途やコーテイング用途に使用されるポリウレタン溶液として用いることができる。
<反応モル比>
上述した一段法及び二段法のいずれにおいても、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を製造する際のウレタン化反応には、イソシアネート化合物(B)に由来する構造単位(B)に対するポリカーボネートジオール(A)に由来する構造単位(A)のモル比((A)/(B))が前述の好適範囲となるようにした上で、ポリカーボネートジオール(A)とイソシアネート化合物(B)のモル比が、得られたポリウレタン樹脂のポリカーボネートジオール(A):イソシアネート化合物(B):鎖延長剤としてのジオール=1:2~6:1~5のモル比となるように反応させる。この際、原料のモル比は生成物のモル比に反映される。
原料のモル比において、ポリカーボネートジオール(A)のモル量(Ma)と鎖延長剤としてジオールのモル量(Mb)の和(Ma+Mb)に対する前記イソシアネート化合物(B)のモル量(Mc)の比、(Mc)/(Ma+Mb)が0.95~1.10の範囲となるようにこれらを用いることが好ましい。
(Mc)/(Ma+Mb)モル比が上記下限以上であれば得られるポリウレタン樹脂の強度が十分なものとなり、上記上限以下であれば得られるポリウレタン樹脂の柔軟性が十分なものとなり、好ましい。
<分子量>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂の分子量は、用途に応じて適宜調整され、特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)として5万~50万であることが好ましく、10万~30万であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が上記下限よりも小さいと十分な強度や硬度が得られない場合があり、上記上限よりも大きいと加工性などハンドリング性を損なう傾向がある。
<添加剤>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂は、充填剤、可塑剤、着色剤(染料、顔料)、安定剤(例えば、酸化防止剤、UV安定剤、熱安定剤等)、難燃剤、架橋剤、反応促進剤、補強剤等の公知の添加剤を、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂の特性を損なわない範囲で、添加、混合して合成皮革用ポリウレタン樹脂組成物として用いることができる。
具体的な添加剤としては、例えば特開2021-152239号公報に開示されている添加剤を使用することができる。
これらの添加剤の添加量は、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂に対する質量比として、下限が、好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.05質量%、さらに好ましくは0.1質量%、上限は、好ましくは10質量%、より好ましくは5質量%、さらに好ましくは1質量%である。添加剤の添加量が少な過ぎるとその添加効果を十分に得ることができず、多過ぎると合成皮革用ポリウレタン樹脂の加工の過程で析出したり、濁りを発生したりする場合がある。
[合成皮革]
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を用いた本発明の合成皮革の製造方法は、公知の方法を使用することができ、例えば、「人工皮革・合成皮革 日本繊維製品消費科学会(2010)」に示されるような方法で製造される。一般的に、合成皮革とは基材として織布や編布を示し、基材として不織布を用いる人工皮革とは別の構成体として区別されることもある。しかし、近年は不織布に強度を付与するため織布・編布を貼付するなど、その区別は厳密なものではなくなってきている。本発明における合成皮革用ポリウレタン樹脂は、人工皮革用ポリウレタン樹脂にも同等に適用することができ、且つ合成皮革と人工皮革と区別される組成物も含むものとし、本発明の効果はいずれに対しても発現する。
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を用いた合成皮革は、例えば、基材となる基布に対してポリウレタン樹脂を含有したミクロポーラス層を形成し、接着剤層を介して表皮層用ポリウレタン樹脂を積層する方法や、基材にポリウレタン等の樹脂を充填したものの上にポリウレタン樹脂を含有させたり、更にその上にミクロポーラス層を積層させたりして製造される。本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂は、上記の基材に塗布または含浸させても、接着剤層に含有させても、表皮層として使用しても良く、その他の層に用いても良い。尚、撥菌性の効果を高める目的から、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を表皮層に用いることが特に好ましい。
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を用いた合成皮革の実施形態としては、例えば、以下の(1)又は(2)の合成皮革積層体が挙げられる。
(1) 基布と、接着層と、中間層と、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を含む表皮層とがこの順番で積層された合成皮革積層体
(2) 基布と、接着層と、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を含む中間層と、表皮層とがこの順番で積層された合成皮革積層体
<基材>
基材としては、基布を用いることができ、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール等の合成繊維、綿、麻等の天然繊維、レーヨン、スフ、アセテート等の再生繊維等の単独又はこれらの混紡繊維、あるいは、少なくとも一成分を溶解したり、二成分繊維を分割したりすることにより極細繊維に変性された多成分繊維からなる、編布、織布、不織布などを用いることができる。
この基布は、起毛されていても良い。起毛は、片面起毛であっても両面起毛であってもよい。また、基布は単層のみならず、複数の繊維からなる多層構造であってもよい。また、基布として、表面に起毛を有するメリヤスを用いてもよい。
<ミクロポーラス層>
上記基材はミクロポーラス層を有していてもよい。湿式ミクロポーラス層は、一般的な基布含浸法により作製される。例えば、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を含有するジメチルホルムアミド溶液に基布を浸漬するか、或いは、基布に該溶液を塗布し、水中で凝固、脱溶媒させ、脱水後、120℃程度の熱風下で乾燥して表面平滑性に優れる湿式ミクロポーラス層を形成することができる。
湿式ミクロポーラス層の厚みは50~400μmであることが好ましく、100~300μmであることがより好ましい。この厚みの範囲で合成皮革として最適な柔軟性とボリューム感が達成される。
<接着層>
表皮層が接着剤を介して基材に貼り合わせられてなる場合、接着層に使用される接着剤としては、従来のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂系などの接着剤を用いることができる。接着層にはまた、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を使用することもできる。この接着層に用いられる接着剤には、架橋剤、及び必要に応じて架橋促進剤が添加されていてもよい。
<中間層>
中間層は得られる合成皮革の風合い、または、用途などを考慮し、適宜設定することができる。中間層は例えば、末端イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂及び水を含む発泡層用配合液で形成される。末端イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート成分として、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用い、ポリオール成分として、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等を用い、これらを反応させて得ることができる。中間層を構成する中間層用配合液は、必要に応じて、例えば、整泡剤、泡化触媒、発泡核剤等を含んでいてもよい。中間層にはまた、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を使用することもできる。
<表皮層>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂は表皮層に使用することもできる。表皮層は、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を含む表皮層配合液を離型材の上に塗工し、加熱乾燥して所望の厚みに形成させることができる。その後、更に接着剤を塗布して接着剤層を形成させ、その上に起毛布等の基布を張り合わせ乾燥させてから、室温で数日熟成後、離型材を剥離することにより合成皮革が得られる。
本発明においては、このようにして製造した合成皮革(または人工皮革)に対して、液流染色機等で揉みシボ加工を行って、天然皮革調の皺を入れてもよい。
<用途>
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を用いた合成皮革(または人工皮革)は、自動車内装材用、家具用、衣料用、靴用、鞄用、装飾用などに使用できる。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[評価方法]
以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
<溶液粘度>
実施例及び比較例で得られたポリウレタン樹脂溶液を、25℃にて、E型粘度計(装置名:TV-100EH、コーン:3°×R14、東機産業社製)を用いて測定した。この溶液粘度は、特に限定されるものではないが、製造時にポリウレタン溶液の取扱い性や加工性を良好に維持でき、また得られたポリウレタンが十分な機械物性を発現する傾向がある観点から、10000~500000mPa・Sの範囲であることが好ましい。
<ポリカーボネートジオールの数平均分子量(Mn)>
実施例及び比較例で使用したポリカーボネートジオールをCDCl(テトラメチルシラン内部標準)に溶解して、核磁気共鳴スペクトル測定装置(装置名:ECZ-400、日本電子株式会社製、共鳴周波数:400MHz)を用い、測定温度30℃、積算回数64回の条件で、H-NMR測定を行った。
得られたH-NMR測定結果から、下記のシグナル位置に観察されたピークの積分値a~fを取得した。
δ5.207~4.973ppmに存在するピークの積分値=a
δ4.697~4.599ppmに存在するピークの積分値=b
δ4.599~4.464ppmに存在するピークの積分値=c
δ3.686~3.501ppmに存在するピークの積分値=d
δ2.764~2.717ppmに存在するピークの積分値=e
δ1.493~1.295ppmに存在するピークの積分値=f
構造単位(II)を形成するジオールとして、イソソルビド(以下、「ISB」と略する。)に由来するポリカーボネートジオール末端の構造単位は2種存在し、それぞれの構造単位に由来するピークの積分値を「ISBm1」及び「ISBm2」とした。また、ポリカーボネートジオール末端以外のポリカーボネートジオール中のISB由来の構造単位に由来するピークの積分値を「ISB」とした。
同様に、構造単位(I)を形成する前記式(1)で表される化合物として、1,6-ヘキサンジオール(以下、「16HD」と略する。)に由来するポリカーボネートジオール末端の構造単位に由来するピークの積分値を「16HD」とし、ポリカーボネートジオール末端以外のポリカーボネートジオール中の16HD由来の構造単位に由来するピークの積分値を「16HD」とした。
下記式を用いて、水酸基に由来するポリカーボネートジオール末端の構造単位ならびに、カーボネート基に由来するポリカーボネートジオールの繰り返しの構造単位のモル比率をそれぞれ求めた。
ISB由来の構造単位及び16HD由来の構造単位のプロトン数に基づいて、下記式を用いて、上述した各構造単位に由来するピークの積分値を算出した。
ISBm1=b-e
ISB=c-ISBm1
ISBm2=a-ISBm1-ISB×2
16HD=(d-e-ISBm1)÷2
16HD=(f-16HD×4)÷4
次いで、下記式を用いて、末端の構造単位に対する繰り返し構造単位の割合(ジオールユニット数)から、ポリカーボネートジオールの数平均分子量(Mn)を算出した。
Figure 2024046145000001
なお、前記式(I)において、モル比率(I)は、得られたH-NMR測定結果から算出したポリカーボネートジオール中の構造単位(I)の含有割合(モル%)、M(16HD)はポリカーボネートジオール末端以外のポリカーボネートジオール中の16HD由来の構造単位の分子量(=100)、M(ISB)はポリカーボネートジオール末端以外のポリカーボネートジオール中のISB由来の構造単位の分子量(=128)、M(カルボニル基)はカルボニル基の分子量(=28)、M(水酸基)は水酸基の分子量(=17)のことをいう。
<構造単位(II)に対する構造単位(I)のモル比:(I)/(II)>
上述した「ポリカーボネートジオールの数平均分子量(Mn)」の測定方法で得られたH-NMR測定結果から、下記式(II)を用いて、構造単位(II)に対する構造単位(I)のモル比((I)/(II))を求めた。
Figure 2024046145000002
<構造単位(B)に対する構造単位(A)のモル比:(A)/(B)>
構造単位(B)に対する構造単位(A)のモル比((A)/(B))は、ポリウレタン樹脂の製造に供したポリカーボネートジオール(A)及びイソシアネート化合物(B)の組成比(モル比)から計算した。
<ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)>
実施例及び比較例で得られたポリウレタン樹脂を、臭化リチウムを含むジメチルアセトアミドに濃度が0.14質量%になるように溶解して、これをGPC測定用試料とした。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(装置名:HPLC-8220GPC、東ソー(株)製)を用いて、下記GPC測定条件により、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を測定した。
(GPC測定条件)
カラム :TSKgel GMHxL-L
(7.8mmID×300mmL×2本(直列接続))
試料チャージ量:100μL
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)
流速 :0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI(示差屈折計)
<機械的特性試験>
ポリウレタン樹脂の機械的特性の指標として、下記の方法を用いて、ポリウレタン樹脂の引張破断強度を測定した。
実施例及び比較例で得られたポリウレタン樹脂の溶液を、クリアランスが500μmのアプリケーターを用いて、厚さ0.1mmのフッ素樹脂シート(商品名:フッ素テープ「ニトフロン900」、日東電工株式会社製)上に塗布し、温度80℃で5時間乾燥して溶剤(DMF)を乾燥除去させた後、更に23℃、55%RHの恒温恒湿下で12時間以上静置して、フッ素樹脂シートの表面にポリウレタン樹脂層が形成された積層フィルムを得た。乾燥後のポリウレタン樹脂層の厚みは50μmであった。
得られた積層フィルムからポリウレタン樹脂層を剥離した後、短冊状のポリウレタン樹脂フィルム(長さ70mm、幅10mm、厚さ50μm)を切り出し、これを引張試験用の試料片とした。
(引張破断強度の測定)
上記の引張試験用試料片について、JIS K6301(2010)に準じ、万能卓上試験機(株式会社島津製作所製、製品名「万能卓上試験機 AGX-1kNX」)を用いて、チャック間距離30mm、引張速度200mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)の条件下で引張試験を実施した。試験片が破断した時点の応力(引張破断強度)を測定し、以下の基準に従い判定した。
(判定基準)
◎:60MPa以上
〇:40MPa以上、60MPa未満
×:40MPa未満
<耐薬品性試験>
ポリウレタン樹脂の耐薬品性の指標として、下記の方法を用いて、ポリウレタン樹脂をオレイン酸又はエタノールに浸漬したときの質量変化率を測定した。
実施例及び比較例で得られたポリウレタン樹脂の溶液を、クリアランスが500μmのアプリケーターを用いて、厚さ0.1mmのフッ素樹脂シート(商品名:フッ素テープ「ニトフロン900」、日東電工株式会社製)上に塗布し、温度80℃で5時間乾燥して溶剤(DMF)を乾燥除去することにより、フッ素樹脂シートの表面にポリウレタン樹脂層が形成された積層フィルムを得た。乾燥後のポリウレタン樹脂層の厚みは50μmであった。
得られた積層フィルムからポリウレタン樹脂層を剥離した後、正方形状のポリウレタン樹脂フィルム(縦3cm、横3cm、厚さ50μm)を切り出し、これを耐薬品性試験用の試料片とした。
(耐オレイン酸性試験)
精密天秤を用いて上記の耐薬品性試験用試験片の質量を測定した後、試験溶媒としてオレイン酸50mLを入れた容量250mLのガラス瓶に該試験片を浸漬して、窒素雰囲気下の恒温槽にて温度80℃で16時間静置した。試験後、試験片を取り出して表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で質量測定を行い、試験前後の試験片の質量変化から質量変化率(増加率)を算出し、以下の基準に従って判定した。
(判定基準)
◎:質量変化率が2.5%未満
〇:質量変化率が2.5%以上15%未満
×:質量変化率が15%以上
(耐エタノール性試験)
精密天秤を用いて上記の耐薬品性試験用試験片の重量を測定した後、試験溶媒としてエタノール50mLを入れた内径10cmφのガラス製シャーレに投入して約23℃の室温にて1時間浸漬した。試験後、試験片を取り出して表裏を紙製ワイパーで軽く拭いた後、精密天秤で質量測定を行い、試験前後の試験片の質量変化から質量変化率(増加率)を算出し、以下の基準に従って判定した。
(判定基準)
◎:質量変化率が2.5%未満
〇:質量変化率が2.5%以上15%未満
×:質量変化率が15%以上
<臭気成分の吸着試験>
ポリウレタン樹脂の臭気成分吸着性の指標として、臭気成分としてアンモニア、トリメチルアミン及びアセトアルデヒドを用いて、下記の方法に従い、臭気成分減少率を測定した。
実施例及び比較例で得られたポリウレタン樹脂の溶液を、クリアランスが500μmのアプリケーターを用いて、厚さ0.1mmのフッ素樹脂シート(商品名:フッ素テープ「ニトフロン900」、日東電工株式会社製)上に塗布し、温度80℃で5時間乾燥して溶剤(DMF)を乾燥除去することにより、フッ素樹脂シートの表面にポリウレタン樹脂層が形成された積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムからウレタン樹脂層を剥離した後、正方形状のウレタン樹脂フィルム(縦10cm、横10cm、厚さ50μm)を切り出し、これを吸着性試験用の試料片とした。
(臭気成分の吸着性評価)
ISO 17299-2の検知管法に準じて、アンモニアガス濃度100ppm、トリメチルアミンガス濃度28ppm、アセトアルデヒドガス濃度14ppmで、且つ、温度25℃の雰囲気下に、前記試料片の片面が晒されるように、得られた吸着性試験用の試料片を3時間放置したときの、試験前後のガス濃度の変化量から臭気成分減少率を算出し、以下の基準に従って判定した。
(判定基準)
◎:臭気成分減少率が3.0%以下
〇:臭気成分減少率が3.0%を超えて5.0%以下
×:臭気成分減少率が5.0%を超える
[原材料]
実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
PCDI:1,6-ヘキサンジオール単位とイソソルビド単位を含む共重合ポリカーボネートジオール(数平均分子量804)、水酸基価139.6mgKOH/g、1,6-ヘキサンジオール単位/イソソルビド単位=60/40[モル比])(三菱ケミカル株式会社製)
PCD2:1,6-ヘキサンジオール単位のみを有するポリカーボネートジオール(数平均分子量2,029、水酸基価55.3mgKOH/g、1,6-ヘキサンジオール単位/イソソルビド単位=100/0[モル比])(商品名:デュラノールT6002、旭化成株式会社製)
PCD3:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量1,948、水酸基価57.6mgKOH/g)(商品名:PTMG#2000、三菱ケミカル株式会社製)
MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(東ソー株式会社製)
1,4BG:1,4-ブタンジオール(三菱ケミカル株式会社製)
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド(超脱水グレード)(富士フイルム和光純薬株式会社製)
U-830:ジオクチルスズモノデカネート(商品名:ネオスタンU-830、日東化成株式会社製)
[実施例1]
60℃のオイルバス上に、熱電対、冷却管及び撹拌装置を具備したセパラブルフラスコ(反応容器)を設置し、予め80℃に加温したPCD1を59.8g、1,4BGを6.7g、反応溶媒としてDMFを253.7g入れ、次いで、反応容器内部を窒素置換した後、MDIを33.5g添加し、反応容器内を窒素雰囲気下、60rpmで撹拌しながら1時間程度で反応容器内の液温が70℃になるように昇温した。70℃に到達した後、ウレタン化反応触媒としてU-830を0.025g添加し、液温70℃を維持しながらさらに2時間撹拌した。その後、MDIを少量ずつ添加して反応容器内の溶液の粘度を調整した。この時、添加したMDIの量は3.7gであった。MDIの添加後、さらに70℃で1時間撹拌し、溶液粘度145,900mPa・sのポリウレタン樹脂溶液を得た。これをポリウレタン樹脂溶液「U-1」とした。このポリウレタン樹脂溶液の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
[比較例1及び比較例2]
実施例1におけるポリカーボネートジオール(A)の種類と配合量、及び、他の原料の配合量を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様の条件を用いて、表1に示す溶液粘度のポリウレタン樹脂溶液を得、それぞれポリウレタン樹脂溶液「U-2」及び「U-3」とした。得られたポリウレタン樹脂溶液の性状及び物性の評価結果を表1に示す。
Figure 2024046145000003
表1より次のことが分かる。
実施例1のポリウレタンは、機械的特性と耐薬品性に優れ、さらに臭気成分の吸着性が低いことがわかる。即ち、本発明のポリウレタンを含む合成皮革製品は、機械的特性と耐薬品性に優れるとともに、例えば、食料品やタバコ等の臭いが染みつき難いといえる。
一方、比較例1及び2のポリウレタンは、臭気成分の吸着性が高かった。さらに、比較例2のポリウレタンは、耐薬品性が不十分であった。
本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂は、機械的特性と耐薬品性に優れ、さらに、臭気成分が吸着し難いという特徴を有している。
そのため、本発明の合成皮革用ポリウレタン樹脂を含む合成皮革製品は、ソファー等の外装材や保護カバー等の家具用部材;自動車等のシートカバーや内装材料等の車両用部材;革靴やジャンバー、ベルト等の衣料用部材;カバンやバック、腕時計のベルト、財布等の装飾用部材等に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. ポリカーボネートジオール(A)に由来する構造単位(A)及びイソシアネート化合物(B)に由来する構造単位(B)を含むポリウレタンを含有する、合成皮革用の樹脂であって、
    臭気成分吸着試験として、前記樹脂からなる縦10cm、横10cm、厚さ50μmのフィルムを、ISO17299-2に準拠して、アンモニアガス濃度100ppm、トリメチルアミンガス濃度28ppm、アセトアルデヒドガス濃度14ppmの雰囲気に、温度25℃で3時間放置したときの、アンモニアガス、トリメチルアミンガス、及びアセトアルデヒドガスから選ばれる少なくとも1種の濃度の減少率が、5.0%以下であることを特徴とする、合成皮革用ポリウレタン樹脂。
  2. 前記ポリカーボネートジオール(A)が、下記式(1)で表される化合物に由来する構造単位(I)、並びに、イソソルビド、イソマンニド、及び、イソイジドから選ばれる少なくとも一種のジオールに由来する構造単位(II)を有する、請求項1に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
    HO-R-OH …(1)
    (式(1)中、Rは置換若しくは無置換の炭素数3~10のアルキレン基であって、Rのアルキレン基中の炭素原子は1~3級の炭素原子である。)
  3. 前記ポリカーボネートジオール(A)おいて、前記構造単位(II)に対する前記構造単位(I)のモル比((I)/(II))が、45/55以上75/25以下の範囲内である、請求項2に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
  4. 前記臭気成分吸着試験において、アンモニアガス、トリメチルアミンガス、及びアセトアルデヒドガスの濃度の減少率が、いずれも2.5%以下である、請求項1に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
  5. 前記ポリカーボネートジオール(A)の水酸基価から求めた数平均分子量が500以上3000以下である、請求項1に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
  6. 前記式(1)におけるRが、置換若しくは無置換の炭素数4~6のアルキレン基である、請求項2に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
  7. 前記構造単位(B)に対する前記構造単位(A)のモル比((A)/(B))が、1.0/5.0以上1.0/0.5以下の範囲内である、請求項1に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の合成皮革用ポリウレタン樹脂を用いて製造された、合成皮革。
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