JP5088092B2 - 深絞り性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

深絞り性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、自動車用鋼板等に有用な、引張強さTSが500MPa以上、より好ましくは590MPa以上で、平均r値が1.2以上、かつ圧延直角方向のr値r90が1.0以上である深絞り性に優れた高強度鋼板およびその製造方法に関する。
近年、地球環境保全の観点からCO2の排出量を抑制するための燃費改善に向けた自動車車体の軽量化や、衝突時に乗員の安全確保に向けた自動車車体の強化が積極的に進められている。
こうした自動車車体の軽量化と強化とを同時に満たすには、車体部品の素材である鋼板を高強度化し、剛性の問題とならない範囲でその板厚を減ずることが効果的であり、最近では高強度鋼板が車体部品に積極的に使用されている。特に、軽量化は、使用する鋼板の強度が高いほど効果的であるため、内板および外板パネル用材料として、TSが440MPa以上の鋼板の使用が検討されている。
一方、車体部品の多くはプレス加工によって製造されるため、車体部品の素材である鋼板には優れたプレス加工性が必要とされる。しかしながら、高強度鋼板では、軟質鋼板に比べて、加工性、特に深絞り性が大きく劣化しているため、自動車車体の軽量化を進める上では、TSが440MPa以上、好ましくは500MPa以上、より好ましくは590MPa以上で、しかも深絞り性の評価指標である平均r値が1.2以上である良好な深絞り加工性を兼ね備えた高強度鋼板が要求されている。
また、最近の研究では、こうした高強度鋼板のプレス加工では、平均r値のみならず、r値の面内異方性も重要な因子であることが明らかになり、特に、r90が1.0以上であることが要求されている。これは、r90が1.0未満となってr値の面内異方性が大きくなると、部品によってはブランク採取方向が制限されるため、生産性や歩留まりの低下につながるためである。
平均r値が1.2以上である高強度鋼板として、例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.010〜0.050%、Si:1.0%以下、Mn:1.0〜3.0%、P:0.005〜0.1%、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.01%以下、Nb:0.01〜0.3%を含有し、かつ(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7(式中のNb、Cは各元素の含有量)を満たし、残部が実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、面積率で50%以上のフェライト相と面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有し、平均r値が1.2以上であるTSが440MPa以上の深絞り性に優れた高強度鋼板が提案されている。
特開2005-120467号公報
しかしながら、特許文献1に記載の高強度鋼板では、440MPa以上のTSおよび1.2以上の平均r値は得られるが、C量を増大してTSが500MPa以上の高強度化を図ろうとすると、必ずしもr90が1.0以上とならない場合がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、TSが500MPa以上、より好ましくは590MPa以上で、平均r値が1.2以上、かつr90が1.0以上となる深絞り性に優れた高強度鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、TSが500MPa以上で、平均r値が1.2以上、かつr90が1.0以上となる高強度鋼板について鋭意検討を行い、以下の結論を得た。
(i) C量とMn量を高め、かつ板厚方向の結晶方位分布を制御する、すなわち鋼板の表層から板厚1/4にわたり{111}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率を高めることにより、TSを500MPa以上、平均r値を1.2以上、かつr90を1.0以上にすることができる。
(ii) このように板厚方向の結晶方位分布を制御するには、熱間圧延時に少なくとも最終圧延スタンドにおける鋼板とロールの摩擦係数を0.3以上とすることが効果的である。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、質量%で、C:0.030〜0.050%、Si:1.0%以下、Mn:2.0〜3.0%、P:0.005〜0.1%、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.01%以下、Nb:0.010〜0.30%を含有し、かつ下記の式(1)を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、面積率で50%以上のフェライト相と面積率で3%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有するとともに、板厚方向の結晶方位分布が下記の式(2)〜(5)を満足することを特徴とする平均r値が1.2以上であり、かつr90が1.0以上である深絞り性に優れた高強度鋼板を提供する。
(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7・・・(1)
fsur〜1/4 {111}≧40% ・・・(2)
fsur〜1/4 {110}≦5% ・・・(3)
Δf{111}≧10% ・・・(4)
Δf{110}≦3% ・・・(5)
ただし、式(1)中のNb、Cは、各々の元素の含有量(質量%)を表し、fsur〜1/4 {111}、fsur〜1/4 {110}は、それぞれ鋼板の表層から板厚1/4までの板厚方向における4箇所で求めた{111}、{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率の平均値を、f1/2 {111}、f1/2 {110}は、それぞれ鋼板の板厚1/2近傍における2箇所で求めた{111}、{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率の平均値を表し、Δf{111}=fsur〜1/4 {111}-f1/2 {111}、Δf{110}=fsur〜1/4 {110}-f1/2 {110}である。
本発明の深絞り性に優れた高強度鋼板では、さらに、Tiを0.1質量%以下、さらにまた、CrおよびMoのうち少なくとも1種を合計で0.5質量%以下、含有させることができる。
本発明の深絞り性に優れた高強度鋼板は、上記のような成分組成を有する鋼スラブを、1000℃以上に加熱後、少なくとも最終圧延スタンドにおける鋼板とロールの摩擦係数を0.3以上とし、800〜900℃の仕上圧延出側温度で熱間圧延して熱延板とし、該熱延板を400〜720℃の巻取温度で巻取り後、冷間圧延して冷延板とし、800〜950℃の焼鈍温度で焼鈍し、次いで焼鈍温度から500℃までの温度域を5℃/s以上の平均冷却速度で冷却する方法で製造できる。
このとき、巻取り後の熱延板の板厚方向の結晶方位分布が下記の式(6)を満足するようにすることが好ましい。
Fsur〜1/4 (110)≧30% ・・・(6)
ただし、Fsur〜1/4 (110)は、巻取り後の熱延板の表層から板厚1/4までの板厚方向における5箇所で求めた{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率の平均値を表す。
本発明によれば、TSが500MPa以上、より好ましくは590MPa以上で、平均r値が1.2以上、かつr90が1.0以上となる深絞り性に優れた高強度鋼板を製造できるようになった。本発明の深絞り性に優れた高強度鋼板を自動車車体部品に適用すれば、生産性や歩留まりの低下を招くことなく、その軽量化や高強度化を可能にする。なお、本発明の深絞り性に優れた高強度鋼板は、家電部品やパイプ用素材にも適用できる。
この発明では、C量を0.030〜0.050質量%の範囲とし、従来の極低炭素IF(Interstitial Free)鋼のように深絞り性に悪影響を及ぼす固溶C量の低減を徹底せずに、マルテンサイト形成に必要な程度の固溶Cを存在させた状態において、鋼板の表層から板厚1/4までの板厚方向にわたる集合組織を制御することにより、平均r値が1.2以上、かつr90が1.0以上となる良好な深絞り性を達成するとともに、母相であるフェライト相と硬質なマルテンサイト相を含む第2相とからなる複合組織とすることにより、TSが500MPa以上の高強度化を達成している。
1.2以上の高い平均r値と1.0以上の高いr90が得られる理由については、必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、従来、軟質鋼板においては、冷間圧延および再結晶前の固溶C量を極力低減することや熱延板の組織を微細化することなどにより、焼鈍時に{111}再結晶集合組織を発達させて高r値化が図られていた。一方、本発明のような複合組織を有する鋼板では、マルテンサイト形成に必要な固溶Cを必要とするため、フェライト相の再結晶集合組織が発達せず、高r値化が困難であった。しかしながら、本発明では、成分組成を適正化して、母相であるフェライト相の{111}再結晶集合組織の発達とマルテンサイト形成を両立させ、さらに表層から板厚1/4までの板厚方向にわたって{111}再結晶集合組織を発達させたことにより、TSが500MPa以上の高強度でも高い平均r値と高いr90が得られたものと考えられる。
以下に、本発明の詳細を説明する。なお、成分の量を表す%は、特に断らない限り質量%を意味する。
1) 成分組成
C:0.030〜0.050%
Cは、後述のNbとともに本発明における重要な元素である。Cは、フェライト相の母相中にマルテンサイト相を含む第2相を有する複合組織の形成を促進し、高強度化に寄与する。TSを500MPa以上にするためには、固溶強化元素であるSi、Mn、P等の量を調整することによって可能であるが、複合組織鋼板である本発明の高強度鋼板では、C量で調整することが必要である。すなわち、C量が0.030%未満では、TSを500MPa以上とするためのマルテンサイト形成が困難であり、0.050%を超えると、従来の低炭素鋼板の場合と同様、{111}再結晶集合組織が発達せず、高い平均r値が得られない。したがって、C量は0.030〜0.050%とする。
Si:1.0%以下
Siは、フェライト変態を促進させ、未変態オーステナイト中のC量を上昇させてフェライト相とマルテンサイト相からなる複合組織の形成を促進するとともに、固溶強化の効果も有する元素である。こうした効果を得るためには、Si量は0.01%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることがより好ましい。一方、Si量が1.0%を超えると、熱間圧延時に赤スケールと称される表面欠陥が発生し、鋼板の表面外観を悪くするため、Si量は1.0%以下、好ましくは0.5%以下とする。
なお、本発明の鋼板表面に溶融亜鉛めっき(合金化を含む)層を形成する場合には、めっきの濡れ性を悪くしてめっきむらの発生を招き、めっき品質を劣化させるので、Si量は0.7%以下とすることが好ましい。
Mn:2.0〜3.0%
Mnは、高強度化やSによる熱間割れ防止のために有効な元素であるとともに、マルテンサイト形成のための臨界冷却速度を低くできる効果を有する。そのため、要求される強度レベルや焼鈍後の冷却速度に応じてその量を適宜調整することが好ましい。しかし、TSを500MPa以上とするには、Mn量を2.0%以上とする必要がある。一方、Mn量が3.0%を超えると、r値の低下や溶接性の劣化を招くので、Mn量の上限は3.0%とする。
P:0.005〜0.1%
Pは、固溶強化の効果がある元素である。しかしながら、P量が0.005%未満では、その効果が得られないだけではなく、脱りんコストの上昇を招く。したがって、P量は0.005%以上、好ましくは0.01%以上とする。一方、P量が0.1%を超えると、Pが粒界に偏析して耐二次加工脆性や溶接性を劣化させる。また、溶融亜鉛めっき鋼板とする際には、溶融亜鉛めっき後の合金化処理時に鋼板からめっき層へのFeの拡散を抑制するため、合金化処理温度を高くする必要があり、めっき層にパウダリングやチッピング等が生じやすくなる。そのため、P量の上限は0.1%とする。
S:0.01%以下
Sは、熱間割れの原因になる他、鋼中で介在物として存在し鋼板の諸特性を劣化させるので、S量は0.01%以下とするが、少ないほど好ましい。
Al:0.005〜0.5%
Alは、鋼の脱酸元素として有用である他、固溶強化や固溶Nを固定して耐常温時効性を向上させる作用がある。また、Alはフェライト生成元素であり、フェライト-オーステナイト2相域の温度調整にも有効な元素である。このような作用を発揮させるためには、Al量は0.005%以上とする必要がある。一方、Al量が0.5%を超えると、合金コスト高を招くとともに、表面欠陥を誘発するので、Al量の上限は0.5%、好ましくは0.1%とする。
N:0.01%以下
Nは、固溶Nとして存在すると耐常温時効性を劣化させる。そのため、その量が0.01%を超えると固溶Nを固定するために多量のAlやTi等の添加が必要となり、合金コスト高を招く。したがって、N量は0.01%以下とする必要があるが、少ないほど好ましい。
Nb:0.010〜0.30%
Nbは、本発明において最も重要な元素であり、熱間圧延集合組織の制御、熱延板組織の微細化および熱延板中の固溶Cの析出等の作用を介して、高r値化に寄与する元素である。このような観点から、Nb量は0.010%以上とする必要がある。一方、本発明では、焼鈍後の冷却過程でマルテンサイト形成のための固溶Cを必要とするが、Nb量が0.30%を超えると、このための固溶C量が不足するので、Nb量の上限は0.30%とする。
(Nb/93)/(C/12):0.2〜0.7
上記のようなNbの作用を発揮させるには、さらにNbとCの原子濃度比:(Nb/93)/(C/12)を、上記式(1)のように、すなわち
(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7・・・(1)
とする必要がある。
この原子濃度比が0.2未満では、Nbによる熱延板組織の微細化効果が弱くなるとともに、マルテンサイト形成に必要な量を超えた過剰な固溶C量が多くなり、高r値化に有効な再結晶集合組織の形成を阻害する。また、原子濃度比が0.7を超えると、マルテンサイト形成に必要な固溶C量が不足する。したがって、(Nb/93)/(C/12)は0.2〜0.7、好ましくは0.2〜0.5とする。
残部は、鉄および不可避不純物であるが、さらに以下の元素を含有させることもできる。
Ti:0.1%以下
Tiは、Al以上に固溶Nの析出に効果がある元素であり、耐常温時効性の向上に有効である。この効果を発揮させるには、Ti量は0.005%以上とすることが好ましい。しかしながら、Ti量が0.1%を超えると、合金コスト高を招くばかりか、TiCを形成してマルテンサイト形成に必要な固溶C量を減少させる。したがって、Tiは0.1%以下とする。
なお、Tiを含有させる場合は、マルテンサイト形成に必要な固溶C量の確保の観点より、下記の式(7)および(8)を満足させることが好ましい。ここでは、TiはSやNを固着するため、Cを固着する上で有効なTiをTi*として考慮している。
{(Nb/93)+(Ti*/48)}/(C/12)=0.2〜0.7・・・(7)
(Nb/93)/(C/12)>(Ti*/48)/(C/12) ・・・(8)
ただし、Ti*=Ti−{(S/32)+(N/14)}×48であり、Ti、S、Nは各元素の含有量を表す。
Cr、Mo:少なくとも1種が合計で0.5%以下
CrおよびMoは、Mnと同様、マルテンサイト形成のための臨界冷却速度を低くし、焼鈍後の冷却時にマルテンサイト形成を促す元素であるとともに、高強度化に有効な元素である。こうした効果を発揮させるには、CrおよびMoのうち少なくとも1種が合計で0.05%以上含有されることが好ましい。一方、CrおよびMoのうち少なくとも1種が合計で0.5%を超えて含有されると、r値の低下や合金コスト高を招くため、CrおよびMoのうち少なくとも1種の含有量は合計で0.5%以下とする。
上記した成分以外に、B、Ca、REM等を含有しても何ら問題はない。例えば、Bは鋼の焼入性を向上する作用をもつ元素であり、必要に応じて含有できるが、その場合は、B量が0.003%を超えるとその効果が飽和するため、B量は0.003%以下とすることが好ましい。また、CaおよびREMは硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、鋼板の諸特性の劣化を防止できる元素であり、必要に応じて含有できるが、その場合は、CaおよびREMのうち少なくとも1種の含有量は合計で0.01%以下とすることが好ましい。さらに、不可避的不純物としては、例えばSb、Sn、Zn、Co等が挙げられるが、これらの元素の量は、Sb:0.01%以下、Sn:0.1%以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1%以下とすることが好ましい。
2) 組織
フェライト相の面積率:50%以上、マルテンサイト相の面積率:3%以上
本発明の高強度鋼板は、面積率で50%以上のフェライト相と面積率で3%以上のマルテンサイト相を含む、いわゆる複合組織鋼板である。これは、平均r値を1.2以上にするには、{111}再結晶集合組織の発達したフェライト相を面積率で50%以上とする必要があり、また、TSを500MPa以上にするには、マルテンサイト相を面積率で3%以上とする必要があるためである。高r値化のためには、フェライト相の面積率は70%以上とすることが好ましい。
ここで、フェライト相には、ポリゴナルフェライト相の他、転位密度の高いベイニチックフェライト相が含まれる。また、上記したフェライト相とマルテンサイト相の他に、その他の相としてパーライト相、ベイナイト相あるいは残留オーステナイト相などを含んだ組織としてもよい。なお、上記したフェライト相とマルテンサイト相の効果を十分に発揮させるため、フェライト相とマルテンサイト相の面積率の合計は80%以上とすることが好ましい。
3) 板厚方向の結晶方位分布(集合組織)
本発明の高強度鋼板では、1.2以上の高い平均r値で、しかも1.0以上の高いr90を達成するために、板厚方向の集合組織を上記式(2)〜(5)のように、すなわち
fsur〜1/4 {111}≧40% ・・・(2)
fsur〜1/4 {110}≦5% ・・・(3)
Δf{111}≧10% ・・・(4)
Δf{110}≦3% ・・・(5)
とする必要がある。
上記したように、fsur〜1/4 {111}、fsur〜1/4 {110}は、それぞれ鋼板の表層から板厚1/4までの板厚方向における4箇所で求めた{111}、{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率の平均値を、f1/2 {111}、f1/2 {110}は、それぞれ鋼板の板厚1/2近傍における2箇所で求めた{111}、{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率の平均値を表し、Δf{111}=fsur〜1/4 {111}-f1/2 {111}、Δf{110}=fsur〜1/4 {110}-f1/2 {110}であるが、具体的には、以下のように測定した。
鋼板の板厚方向の集合組織を評価するため、圧延方向に平行な板厚断面の表層から板厚1/2までの板厚方向の範囲において、TSL社(TexSEM Laboratories Inc.)製OIM(Orientation Imaging Microscopy)システムを用いて、EBSP(Electron Back Scatter Diffraction Pattern)法により測定した。このシステムでは、試料面に電子ビームを走査させることによって採取した結晶方位のデータに基づいて、結晶方位に関する種々のマップを作成することができる。得られた結晶方位データを解析ソフト(OIM analysis 5.1)を用いて解析した。
今回は、板厚方向の情報を連続的に得るため、図1、図2に示すように、冷延焼鈍板では表層から1/2面近傍までを9ヶ所、熱延板では10ヶ所測定した。また、測定時の倍率は200倍とし、測定間隔であるステップサイズは1.5μmとした。板厚断面の結晶方位の分布を評価するために、{100}、{110}、{111}および{211}方位を有する結晶粒の面積率を求めた。今回は、板厚断面で測定したため、試料座標系と結晶座標系が異なっており、座標軸の変換操作を行った。ついで、{100}、{110}、{111}および{211}方位について、結晶方位差の許容誤差を15°以内として方位分布を評価し、各方位を有する結晶率の面積率を求めた。そして、冷間圧延・焼鈍後の鋼板に対しては、表層から板厚1/4までの4箇所で求めた{111}、{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率を算術平均して、fsur〜1/4 {111}、fsur〜1/4 {110}を求めた。同様にして、板厚1/2近傍における2箇所で求めた{111}、{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率を算術平均して、f1/2 {111}、f1/2 {110}を求めた。また、熱延板に対しては、表層から板厚1/4までの板厚方向における5箇所で求めた{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率を算術平均して、Fsur〜1/4 (110)を求めた。
図1、2に、それぞれ表2の鋼板No.4(発明例)、No.6(比較例)について、巻取り後の熱延板(a)および冷間圧延・焼鈍後の鋼板(b)における板厚方向の集合組織を測定した一例を示す。
図1に示すように、本発明例では、上記式(2)〜(5)や後述する(6)の条件が満足されており、図2に示すように、比較例では、上記式(2)〜(5)や(6)の条件が満足されていないことがわかる。また、表2に示すように、本発明例のr90は1.3以上で、比較例のr90は0.8であり、上記式(2)〜(5)のような板厚方向の集合組織の制御、すなわち表層から板厚1/4までの{111}面方位の集積度を極力高め、{110}面方位の集積度を極力低めることが高いr90を得る上で重要であることがわかる。
本発明者らは、上記に例示したように、高r値化に有利な集合組織を明らかにするため、冷延焼鈍板さらに熱延板の集合組織とr値との関係を詳細に調査した。その結果、表層から板厚1/4面で深絞り性に有利な結晶方位、すなわちr値に有利な{111}集合組織を発達させるとともに、r値に不利な{110}集合組織を発達させないこと、さらに表層から板厚1/4面では、板厚1/2面よりも{111}集合組織を強く発達させるとともに、{110}集合組織を発達させないことにより、平均r値および圧延直角方向のr値とも良好とすることができることを見出した。すなわち、上記したように、fsur〜1/4 {111}≧40%、fsur〜1/4 {110}≦5%とすること、さらに、これらと板厚1/2面における各方位の面積率との差、Δf{111}=fsur〜1/4 {111}-f1/2 {111}、Δf{110}=fsur〜1/4 {110}-f1/2 {110}を、それぞれ10%以上、3%以下とすることにより、優れたr値を得ることができる。
本発明の高強度鋼板には、電気めっきあるいは溶融めっきなどの表面処理を施して金属めっき層を形成できる。金属めっきとしては、純亜鉛めっき、亜鉛を主成分として合金元素を添加した亜鉛系合金めっき、純Alめっき、Alを主成分として合金元素を添加したAl系合金めっきなどが挙げられる。
4) 製造条件
本発明の鋼板は、上記のような成分組成を有する鋼スラブを、1000℃以上に加熱後、少なくとも最終圧延スタンドにおける鋼板とロールの摩擦係数を0.3以上とし、800〜900℃の仕上圧延出側温度で熱間圧延して熱延板とし、該熱延板を400〜720℃の巻取温度で巻取り後、冷間圧延して冷延板とし、800〜950℃の焼鈍温度で焼鈍し、次いで焼鈍温度から500℃までの温度域を5℃/s以上の平均冷却速度で冷却する方法で製造できる。
スラブの製造
本発明の製造方法で使用する鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止すべく連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法で製造してもよい。
熱間圧延
こうして製造されたスラブを熱間圧延するには、従来のスラブを加熱後圧延する方法、連続鋳造後のスラブに短時間加熱処理を施して圧延する方法などで行える。
熱間圧延するに先立ちスラブを加熱するには、加熱温度が1000℃未満では、圧延荷重が増大し、熱間圧延時にトラブル発生の危険性が増大するので、スラブ加熱温度は1000℃以上にする必要がある。なお、スケールロスの増大のため、スラブ加熱温度の上限は1300℃とすることが好適である。
加熱されたスラブは、粗圧延および仕上圧延により熱間圧延される。粗圧延の条件は特に規定する必要はなく、常法に従って行えばよい。また、スラブ加熱温度が低い場合は、熱間圧延時のトラブルを防止するといった観点からは、粗圧延後のシートバーをシートバーヒーターなどで加熱することが好ましい。仕上圧延の仕上圧延出側温度FTは800℃以上900℃以下とする必要があるが、これは、冷間圧延・焼鈍後に優れた深絞り性が得られるような熱延集合組織の形成や熱延板組織の微細化を図るためである。FTが800℃未満では、熱間圧延時の負荷が高くなるとともに、熱延板組織に加工回復組織が残留しやすくなり、焼鈍後の{111}集合組織の発達を妨げる。一方、FTが900℃超えると、熱延板組織が粗大化し、焼鈍後の{111}集合組織の発達を妨げる。なお、FTは、未再結晶γ域での圧下率をできるだけ高くし、焼鈍後に高r値化に好ましい集合組織を形成させるために、Ar3変態点直上とすることが好ましい。
さらに、上記式(2)〜(6)のように板厚方向の集合組織を制御して、1.2以上の高い平均r値と1.0以上の高いr90を達成するためには、少なくとも最終圧延スタンドFl、好ましくは最終圧延スタンドとその上流に配置された2つの圧延スタンドFl-1、Fl-2の合計3つの圧延スタンドにおいて鋼板とロールの摩擦係数を0.3以上とする必要がある。なお、通常、これらの仕上圧延スタンドにおける摩擦係数は0.2程度であり、0.3以上にするには、ロールの表面粗さを粗くしたり、異周速圧延することで可能である。特に、摩擦係数を0.3以上にし、熱延板の板厚方向の結晶方位分布が上記式(6)、すなわち
Fsur〜1/4 (110)≧30% ・・・(6)
を満足するようにすることが、冷延焼鈍後の集合組織の発達のために好ましい。
仕上圧延時に鋼板とロールの摩擦係数を大きくすることにより、鋼板の表層付近だけでなく、板厚1/4付近までせん断歪を導入することが可能となり、上記式(2)〜(6)を満足するような集合組織が形成されると考えられる。さらに、表層から板厚1/4付近までせん断歪が導入されることにより、熱延板表層付近の結晶粒径の微細化も図れ、上記式(2)〜(5)の条件が十分に満たされ、焼鈍後のr値やr90の向上に優位に働いていると考えられる。
なお、熱間圧延の操業安定性の観点から、相前後するシートバー同士を接合し、連続的に仕上圧延を行う連続圧延プロセスを採用することが好ましい。
巻取り
熱間圧延後の熱延板は、400〜720℃の巻取温度CTで巻取る。これは、CTが400℃未満となると、NbCの析出が起こりにくくなり、高r値化を阻害し、CTが720℃を超えると、結晶粒が粗大化し、強度低下を招くとともに、高r値化を阻害するためである。CTは550〜680℃とすることが好ましい。
冷間圧延
巻取り後の熱延板は、酸洗などでスケールを除去した後、冷間圧延を行い冷延板とする。冷間圧延条件は、所望の寸法形状とすることができればよく、特に限定されないが、焼鈍時に{111}再結晶集合組織を発達させ、優れた深絞り性を得るには、圧下率を少なくとも40%以上とすることが好ましく、50%以上とすることがより好ましい。一方、圧下率を90%を超えると、その効果が飽和するばかりでなく、ロールへの負荷も高まるため、圧下率の上限は90%とすることが好ましい。
焼鈍
冷間圧延後の冷延板は、800〜950℃の焼鈍温度で焼鈍し、次いで焼鈍温度から500℃までの温度域を5℃/s以上の平均冷却速度で冷却する必要がある。焼鈍温度が800℃未満では、冷却後に十分なマルテンサイト相が形成されなかったり、再結晶が完了せず{111}再結晶集合組織が十分に発達しないため、焼鈍温度は800℃以上とする。一方、950℃を超えると、再結晶粒が著しく粗大化し、延性などの特性が著しく劣化するため、焼鈍温度は950℃以下とする。また、焼鈍温度から500℃までの温度域の平均冷却速度が5℃/s未満では、マルテンサイト形成が困難となり、フェライト単相組織となり500MPa以上のTSが得られなくなるので、平均冷却速度は5℃/s以上とする必要がある。500℃未満の温度域における冷却については、特に限定しないが、300℃までは5℃/s以上の平均冷却速度で冷却することが好ましい。なお、過時効処理を施す場合は、過時効処理温度までを平均冷却速度が5℃/s以上になるように冷却することが好ましい。
焼鈍は、本発明で必要とする冷却速度を確保するため、連続焼鈍ラインあるいは連続溶融亜鉛めっきラインで行うことが好ましい。また、上記の冷却速度は、上記焼鈍ラインにおいてロール冷却やガスジェット冷却の他、水焼入等の方法により制御できる。さらに、焼鈍時の昇温速度、特に300〜700℃までの昇温速度は、1℃/s未満であると、再結晶前に回復により歪みエネルギーが解放されることで再結晶の駆動力を減少させてしまう傾向にある。その結果、{111}再結晶集合組織が十分に発達しないため、300〜700℃までの昇温速度は、平均で1℃/s以上とすることが好ましい。なお、昇温速度の上限は、特に規定する必要はないが、上記連続ラインでは、300〜700℃までの平均の昇温速度の上限は50℃/s程度である。700℃から焼鈍温度までは、再結晶集合組織形成の観点から、0.1℃/s以上で昇温させることが好ましい。一方、700℃から焼鈍温度までを20℃/s以上で昇温させると、未再結晶部からの変態、あるいは未再結晶のまま変態が進みやすく、集合組織形成の点で不利になりやすいため、20℃/s以下の昇温速度で加熱することが好ましい。
焼鈍後の鋼板には、電気めっき処理あるいは溶融めっき処理などの表面処理を施し、めっき層を形成しても良い。ここで、めっき層としては、純亜鉛めっきや亜鉛系合金めっきに限らず、純AlめっきやAl系合金めっき、およびそれらを合金化処理しためっき層などを形成できる。
また、焼鈍後の鋼板あるいはさらにめっき層を形成した鋼板には、形状矯正、表面粗度等の調整の目的で調質圧延またはレベラー加工を施すことができる。このとき、調質圧延やレベラー加工の伸び率は0.2〜15%とすることが好ましい。0.2%未満では、形状矯正や表面粗度を十分に調整できないおそれがあり、15%を超えると、顕著な延性低下をもたらす傾向があるためである。より好ましくは0.2〜5%とする。
表1に示す組成の鋼No.A〜Hを転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。これらのスラブを1250℃に加熱後、粗圧延してシートバーとし、次いで、表2に示す熱延条件で仕上圧延後、巻取って熱延板とした。これらの熱延板を酸洗後、圧下率70%で冷間圧延を施し板厚1.2mmの冷延板とした。引き続き、これら冷延板を、連続焼鈍ラインにて、表2に示す焼鈍条件で連続焼鈍を行った。なお、焼鈍時の昇温速度は、300〜700℃の平均昇温速度は5〜20℃/sとし、700〜焼鈍温度の平均昇温速度は0.5〜4.0℃/sとした。その後、伸び率0.5%の調質圧延を施して、鋼板No.1〜12を作製した。そして、熱延後および焼鈍後の鋼板の板厚方向の集合組織Fsur〜1/4 (110)、fsur〜1/4 {111}、fsur〜1/4 {110}、Δf{111}、Δf{110}を上記と同様な方法により、また焼鈍後の鋼板の微視組織および機械的特性値(引張特性値、r値)を以下の方法で調査した。
微視組織:焼鈍後の鋼板の圧延方向に平行な板厚断面で、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて400〜10000倍で微視組織を観察し、相の種類を識別するとともに、1000〜3000倍の像から主相であるフェライト相の面積率とマルテンサイト相の面積率を求めた。
引張特性値:焼鈍後の鋼板から圧延方向に対して90°方向にJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して、クロスヘッド速度10mm/minで引張試験を行い、引張強さTSおよび伸びElを求めた。
r値:焼鈍後の鋼板の圧延方向、圧延方向に対し45°方向、圧延方向に対し90°方向からJIS5号引張試験片を採取し、これらの試験片に10%の単軸引張歪を付与した時の試験片の幅歪と板厚歪を測定し、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値を以下の式から算出した。
平均r値=(r0+2r45+r90)/4
ここで、r0r45、r90は、それぞれ圧延方向、圧延方向に対し45°方向、圧延方向に対し90°方向のr値である。
結果を表2に示す。
本発明例では、いずれもTSが500MPa以上であり、Fsur〜1/4 (110)≧30%、fsur〜1/4 {111}≧40%、fsur〜1/4 {110}≦5%、Δf{111}≧10%およびΔf{110}≦3%を満足しており、平均r値が1.2以上かつr90が1.0以上と深絞り性に優れていることがわかる。
これに対し、比較例では、強度が不足しているか、r値が1.2未満またはr90は1.0未満と深絞り性に劣っている。特に、鋼板No.2のように、成分組成や微視組織が本発明の条件を満たしていても、少なくとも最終圧延スタンドの摩擦係数が0.3以上を満たしていないと、平均r値が1.2以上であっても、1.0以上のr90が得られない。
Figure 0005088092
Figure 0005088092
発明例である巻取り後の熱延板(a)および冷間圧延・焼鈍後の鋼板(b)における板厚方向の集合組織を測定した一例を示す図である。 比較例である巻取り後の熱延板(a)および冷間圧延・焼鈍後の鋼板(b)における板厚方向の集合組織を測定した一例を示す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.030〜0.050%、
    Si:1.0%以下、
    Mn:2.0〜3.0%、
    P:0.005〜0.1%、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜0.5%、
    N:0.01%以下、
    Nb:0.010〜0.30%、
    を含有し、
    かつ下記の式(1)を満たし、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    面積率で50%以上のフェライト相と面積率で3%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有するとともに、
    板厚方向の結晶方位分布が下記の式(2)〜(5)を満足する、
    ことを特徴とする平均r値が1.2以上であり、かつ圧延直角方向のr値r90が1.0以上である深絞り性に優れた高強度鋼板;
    (Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7・・・(1)
    fsur〜1/4 {111}≧40% ・・・(2)
    fsur〜1/4 {110}≦5% ・・・(3)
    Δf{111}≧10% ・・・(4)
    Δf{110}≦3% ・・・(5)
    ただし、
    式(1)中のNb、Cは、各々の元素の含有量(質量%)を表し、
    fsur〜1/4 {111}、fsur〜1/4 {110}は、それぞれ鋼板の表層から板厚1/4までの板厚方向における4箇所で求めた{111}、{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率の平均値を、f1/2 {111}、f1/2 {110}は、それぞれ鋼板の板厚1/2近傍における2箇所で求めた{111}、{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率の平均値を表し、
    Δf{111}=fsur〜1/4 {111}-f1/2 {111}、Δf{110}=fsur〜1/4 {110}-f1/2 {110}である。
  2. さらに、Tiを0.1質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の平均r値が1.2以上であり、かつ圧延直角方向のr値r90が1.0以上である深絞り性に優れた高強度鋼板。
  3. さらに、CrおよびMoのうち少なくとも1種を合計で0.5質量%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載の平均r値が1.2以上であり、かつ圧延直角方向のr値r90が1.0以上である深絞り性に優れた高強度鋼板。
  4. 請求項1から3のいずれかに1項に記載の成分組成を有する鋼スラブを、1000℃以上に加熱後、少なくとも最終圧延スタンドにおける鋼板とロールの摩擦係数を0.3以上とし、800〜900℃の仕上圧延出側温度で熱間圧延して熱延板とし、該熱延板を400〜720℃の巻取温度で巻取り後、冷間圧延して冷延板とし、800〜950℃の焼鈍温度で焼鈍し、次いで焼鈍温度から500℃までの温度域を5℃/s以上の平均冷却速度で冷却することを特徴とする平均r値が1.2以上であり、かつ圧延直角方向のr値r90が1.0以上である深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  5. 巻取り後の熱延板の板厚方向の結晶方位分布が下記の式(6)を満足するようにすることを特徴とする請求項4に記載の平均r値が1.2以上であり、かつ圧延直角方向のr値r90が1.0以上である深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法;
    Fsur〜1/4 (110)≧30% ・・・(6)
    ただし、
    Fsur〜1/4 (110)は、巻取り後の熱延板の表層から板厚1/4までの板厚方向における5箇所で求めた{110}面方位が鋼板面に平行になっている結晶粒の面積率の平均値を表す。
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