JP4525386B2 - 形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用鋼板等の使途に有用な、引張強さ(TS)が440MPa以上の高強度でかつ高r値(平均r値≧1.2)を有する深絞り性に優れた高強度鋼板について、さらにその形状凍結性の有利な改善を図ろうとするものである。
近年、地球環境保全の観点から、CO2の排出量を規制するため、自動車の燃費改善が要求されている。加えて、衝突時に乗員の安全を確保するため、自動車車体の衝突特性を中心にした安全性向上も要求されている。それ故、自動車車体の軽量化と強化の双方が積極的に進められている。
自動車車体の軽量化と強化を同時に達成するためには、剛性に問題とならない範囲で部品素材を高強度化し、板厚を減ずることによる軽量化が効果的であると言われており、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。
軽量化効果は、使用する鋼板が高強度であるほど大きくなるため、自動車業界では、例えば内板および外板用のパネル用材料として引張強さ(TS)が440MPa以上の鋼板を使用する動向にある。
一方、鋼板を素材とする自動車部品の多くは、プレス加工によって成形されるため、自動車用鋼板は優れたプレス成形性を有していることが必要とされる。しかしながら、高強度鋼板は、通常の軟鋼板に比べて成形性、特に深絞り性が大きく劣化するため、自動車の軽量化を進める上での課題として、TS≧440MPa、より好ましくはTS≧500MPa、さらに好ましくはTS≧590MPaを満足した上で、しかも良好な深絞り成形性を兼ね備える鋼板に対する要求が高まっており、深絞り性の評価指標であるランクフォード値(以下、r値という)で、平均r値≧1.2という高r値の高強度鋼板が要求されている。
高r値を維持しながら高強度化を図る手段としては、極低炭素鋼を用い、鋼中に固溶する炭素や窒素を固定する量のTiやNbを添加し、IF(Interstitial atom free)化した鋼をベースとして、これにSi,Mn,Pなどの固溶強化元素を添加する手法がある(例えば特許文献1)。
特開昭56−139654号公報
この特許文献1は、C:0.002〜0.015%、Nb:C%×3〜C%×8+0.020%、Si:1.2%以下、Mn:0.04〜0.8%、P:0.03〜0.10%の組成を有する、引張強さが35〜45kgf/mm2級(340〜440MPa級)の非時効性を有する成形性の優れた高張力冷延鋼板に関する技術であり、具体的には0.008%C−0.54%Si−0.5%Mn−0.067% P−0.043%Nbの極低炭素鋼を素材とし、熱間圧延−冷間圧延−再結晶焼鈍を行うことにより、TS=46kgf/mm2(450MPa)、平均r値=1.7の非時効性高張力冷延鋼板を製造できることが示されている。
しかしながら、このような極低炭素鋼を素材として固溶強化元素を添加する技術では、引張強さが440MPa以上あるいはさらに500MPa以上や590MPa以上といった高強度の鋼板を製造しようとすると、合金元素添加量が多くなり、表面外観上の問題や、めっき性の劣化、2次加工脆性の顕在化などの問題が生じてくることがわかってきた。また、多量に固溶強化成分を添加すると、r値が劣化するので、高強度化を図るほどr値の水準は低下してしまうという問題があった。さらに、C量を上記引用文献1に具体的に開示されているようなC:0.010%未満という極低炭素域まで低減するためには、製鋼工程で真空脱ガスを行う必要性が生じるが、これは製造過程でCO2が多量に発生することになり、地球環境保全の観点からも好ましい技術とは言い難い。
鋼板の高強度化の方法として、上述したような固溶強化法以外に組織強化法がある。例えば、軟質なフェライト相と硬質なマルテンサイト相からなる複合組織鋼板であるDP(Dual-Phase)鋼板がある。このDP鋼板は、一般的に延性については概ね良好であり、優れた強度−延性バランス(TS×El)を有し、そして降伏比が低いという特徴、すなわち引張強さの割に降伏応力が低く、プレス成形時の形状凍結性に優れるという特徴があるが、r値が低く深絞り性に劣る。これは、マルテンサイト形成に不可欠な固溶Cが、高r値化に有効な{111}再結晶集合組織の形成を阻害するからと言われている。
このような複合組織鋼板のr値を改善する試みとして、例えば特許文献2あるいは特許文献3に開示の技術がある。
特許文献2の技術は、冷間圧延後、再結晶温度〜Ac3変態点の温度で箱焼鈍を行い、その後複合組織とするため700〜800℃に加熱した後、焼入れ焼戻しを行う方法である。しかしながら、この方法では、連続焼鈍時に焼入れ焼戻しを行うため、製造コストが問題となる。また、箱焼鈍は、連続焼鈍に比べて処理時間や効率の面で劣る。
特公昭55−10650号公報
特許文献3の技術は、高r値を得るために、冷間圧延後、まず箱焼鈍を行い、この時の温度をフェライト(α)−オーステナイト(γ)の2相域とし、その後連続焼鈍を行うものである。この技術では、箱焼鈍の均熱時にα相からγ相にMnを濃化させる。このMn濃化相は、その後の連続焼鈍時に優先的にγ相となり、ガスジェット程度の冷却速度でも混合組織が得られるものである。しかしながら、この方法では、Mn濃化のために比較的高温で長時間の箱焼鈍が必要であり、工程数が多く、製造コストの観点から経済性に劣るだけでなく、鋼板間の密着の多発、テンパーカラーの発生および炉体インナーカバーの寿命低下など製造工程上多くの問題がある。
特開昭55−100934号公報
また、特許文献4には、C含有量との関係でV含有量の適正化を図ることで複合組織鋼板のr値を改善する技術が開示されている。これは、再結晶焼鈍前には鋼中のCをV系炭化物として析出させて固溶C量を極力低減させて高r値化を図り、引き続きα−γの2相域で加熱することにより、V系炭化物を溶解させてγ中にCを濃化させてその後の冷却過程でマルテンサイト相を生成させるものである。しかしながら、Vの添加は、高価であるためコストの上昇を招くこと、さらに熱延板中に析出したVCは、冷間圧延時の変形抵抗を高くするため、例えば実施例に開示されているような圧下率:70%での冷間圧延は、ロールへの負荷を大きくしてトラブル発生の危険性を増大させると共に、生産性の低下が懸念されるなど、製造上の問題がある。
特開2002−226941号公報
さらに、深絞り性に優れた高強度鋼板およびその製造技術として、特許文献5に開示の技術がある。この技術は、所定のC量を含有し、平均r値が1.3以上、かつ組織中にベイナイト、マルテンサイト、オーステナイトのうち1種類以上を合計で3%以上有する高強度鋼板を得るものであり、その製造方法は、冷間圧延の圧下率を30〜95%とし、ついでAlとNのクラスターや析出物を形成することによって集合組織を発達させてr値を高めるための焼鈍と、引き続き組織中にベイナイト、マルテンサイト、オーステナイトのうち1種類以上を合計で3%以上有するようにするための熱処理を行うことを特徴とするものである。この方法では、冷間圧延後、良好なr値を得るための焼鈍と、組織を作り込むための熱処理をそれぞれ必要としており、また焼鈍工程では、箱焼鈍を基本とし、その保持時間が1時間以上という長時間保持を必要としており、工程的(時間的)に生産性が悪いという問題がある。さらに、得られる組織の第2相分率が比較的高いため、優れた強度−延性バランスを安定的に確保することは難しいという問題がある。
特開2003−64444号公報
深絞り性に優れる(軟)鋼板を高強度化するに当たり、従来検討されてきた固溶強化による高強度化の方法には、多量のあるいは過剰な合金成分の添加が必要であり、これは、コスト的にも工程的にも、またr値の向上そのものにも課題を抱えるものであった。さらに、合金元素の添加に伴い、降伏強さ(YS)と引張強さ(TS)との比で表される降伏比(YR=YS/TS)も高くなるため、プレス時のしわ発生や形状凍結性などの問題が生じ易くなった。
また、組織強化を利用する方法では、2回焼鈍(加熱)法等を必要とするため、製造工程上の問題があり、さらにVCを活用した方法も開示されているが、高価なVの添加はコストの上昇を招く他、VCの析出は圧延時の変形抵抗を高くするため、これもまた安定した製造を困難にするものであった。
本発明は、このような従来技術の問題点を有利に解決した、TS≧440MPaでYR≦65%かつ平均r値≧1.2という、形状凍結性および深絞り性に優れた高強度鋼板を得るための有利な製造方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、特別なあるいは過剰な合金成分や設備を用いることなく、0.010〜0.050質量%というC含有量の範囲で、このC量との関係で適正量のNbを含有させ、さらに焼鈍後の冷却条件を制御することで、平均r値が1.2以上で深絞り性に優れ、しかもフェライト相とマルテンサイト相を含む鋼組織を有し、降伏比(YR)が65%以下の形状凍結性に優れる高強度鋼板を得ることに成功した。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.010〜0.050%、
Si:1.0%以下、
Mn:1.0〜3.0%、
P:0.005〜0.1%、
S:0.01%以下、
Al:0.005〜0.5%、
N:0.01%以下および
Nb:0.01〜0.3%
を含有し、かつ鋼中のNbおよびCの含有量が、
(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7(式中のNb,Cは各々の元素の含有量(質量%))
なる関係を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃ 以上とする仕上圧延を施し、巻取温度:500〜700℃で巻取り、熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し、冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍温度:800〜900℃で焼鈍を行い、ついで焼鈍温度から水冷開始温度まで平均冷却速度:5℃/s以上15℃/s以下で冷却し、550〜750℃の温度で水冷を開始する冷延板焼鈍工程とを有することを特徴とする形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(2)前記水冷後、250℃以下の温度で30分以内の焼戻し処理を施すことを特徴とする上記(1)に記載の形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(3)鋼スラブが、上記組成に加えて、さらに質量%で、
Mo,Cr,CuおよびNiのうちから選んだ1種または2種以上を合計で0.5%以下
含有する組成になることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(4)鋼スラブが、上記組成に加えて、さらに質量%で、
Ti:0.1%以下
を含有し、かつ 鋼中のTi,SおよびNの含有量が、
(Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}≦2.0(式中のTi,S,Nは各々の元素の含有量(質量%))
なる関係を満足することを特徴とする請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
本発明によれば、C含有量が0.010〜0.050質量%と、従来の極低炭素IF鋼のように深絞り性に悪影響を及ぼす固溶Cの低減を徹底せずに、マルテンサイト形成に必要な程度の固溶Cを残存させた状態で、深絞り成形性に好ましい集合組織を発達させて、平均r値≧1.2を確保して良好な深絞り性を確保すると共に、鋼組織をフェライト相と、マルテンサイト相を含む第2相を有する複合組織とすることで、TS:440MPa以上、より好ましくはTS:500MPa以上、さらに好ましくはTS:590MPa以上の高強度化を達成し、併せて降伏比(YR)を65%以下とすることにより、良好な形状凍結性を実現したものである。
この理由については、必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
従来、軟鋼板においては、冷間圧延および再結晶前の固溶Cを極力低減することや熱延板組織を微細化することなどが、{111}再結晶集合組織を発達させて、高r値化するための有効な手段とされてきた。一方、前述したようなDP鋼板では、マルテンサイト形成に固溶Cを必要とするため、母相の再結晶集合組織が発達せずr値が低かった。
しかしながら、本発明では、母相であるフェライト相の{111}再結晶集合組織の発達と、マルテンサイト相の形成の双方を可能にする絶妙の成分範囲が存在することを新たに見出した。すなわち、従来のDP鋼板(低炭素鋼レベル)よりもC量を低減しつつ、極低炭素鋼よりはC量が多い、0.010〜0.050質量%のC含有量とし、加えて、このC含有量に合わせて適切なNb添加を行うことで、{111}再結晶集合組織をはじめとする深絞り成形性に好ましい集合組織の発達と、マルテンサイト相の形成の双方を同時に達成できることを新たに見出した。
従来から知られているように、Nbは再結晶遅延効果があるため、熱間圧延時の仕上温度を適切に制御することで熱延板組織を微細化することが可能であり、さらに鋼中においてNbは高い炭化物形成能を有している。
本発明では、特に、熱延仕上温度をAr3変態点直上の適正な範囲にして熱延板組織を微細化すると共に、熱間圧延後のコイル巻取り温度も適正に設定することにより、熱延板中にNbCを析出させて、冷間圧延前および再結晶前の固溶Cの低減を図っている。
ここで、Nb含有量とC含有量が、(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7を満たすように設定することで、敢えてNbCとして析出しないCを存在させている。
従来、このようなCの存在が{111}再結晶集合組織の発達を阻害するとされてきたが、本発明では、全C量をNbCとして析出固定せず、マルテンサイト相の形成に必要な固溶Cが存在しながらも高r値化を達成できる。
この理由は定かではないが、本発明範囲においては固溶Cの存在による{111} 再結晶集合組織形成に対する負の要因よりも、熱延板組織を微細化するという正の要因の方が大きいためと考えられる。また、NbCの析出は、{111}再結晶集合組織の形成を妨げるとされている固溶Cの析出固定だけでなく、セメンタイトの析出を抑える効果もある。特に粒界の粗大なセメンタイトはr値を低下させるが、Nbは粒内に比べ粒界への拡散が速いことから、粒界に粗大なセメンタイトが析出するのを阻害する効果があると考えられる。また、冷間圧延時には、粒内(マトリックス中)に微細に析出したNbCの存在によりマトリックスが硬質化し、マトリックスに比べて相対的に軟質となる粒界近傍に歪が蓄積されやすくなり、粒界からの{111}再結晶粒の発生を促進するという効果も推測される。特に、マトリックス中にNbCを析出させることの効果は、従来の極低炭素鋼程度のC含有量では有効ではなく、本発明のC含有量の適正範囲(0.010〜0.050質量%)において初めてその効果を発揮するものと推測され、このC含有量、さらにはNb含有量の適正範囲を見出したことが本発明の技術思想の基盤となっている。
そして、NbC以外のC、その存在形態はおそらくセメンタイト系炭化物あるいは固溶Cであると推測されるが、これらNbCとして固定されなかったCの存在により、焼鈍工程における冷却時にマルテンサイト相を形成可能とし、高強度化にも成功したのである。
さらに、冷却時に第2相の分散を調整した後に、水冷することにより、降伏比を確実に低くできることが判明した。
この場合、水冷開始温度までの冷却速度と、水冷開始温度の双方を制御することより、強度と降伏比を最適化できることも判明した。
かくして、本発明の製造方法によれば、従来技術に比し、製鋼工程においては極低炭素鋼とするための脱ガス工程が不要であるため、省工程の面で有利であり、また固溶強化を利用するための過剰な合金元素の添加が不要なだけでなく、圧延負荷を高めるVのような特別な元素の添加も必要ないため、コスト的にも有利である。
以下、本発明を具体的に説明する。
なお、元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
まず、本発明に用いる鋼スラブ、すなわち本発明で得ようとする高強度鋼板の成分組成を限定した理由について説明する。
C:0.010〜0.050%
Cは、後述するNbと共に本発明における重要な元素である。このCは、高強度化に有効であり、フェライト相を主相としマルテンサイト相を含む第2相を有する複合組織の形成を促進する。しかしながら、C含有量が0.010%未満では、マルテンサイト相の形成が困難となるため、本発明では複合組織形成の観点から、Cを0.010%以上含有させる必要がある。好ましくは、0.015%以上である。特に、TS:500MPa以上といった高強度を得るためには、複合組織を形成するとともに固溶強化元素であるSi,Mn,P等で調整することも勿論可能であるが、複合組織鋼板である本発明鋼の特長を活かす観点から、主にC量で調整することが最も望ましい。その場合、C量を0.020%以上とすることが好ましく、さらにTS:590MPa以上を得るためには0.025%以上含有させることが望ましい。
また、その際のNbとの関係は、
(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7
を満足する範囲とする必要がある。より好ましくは、
(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.5
の範囲である。
しかしながら、0.050%を超えるCの含有は、従来の低炭素鋼板同様、集合組織の発達を妨げ、良好なr値が得られなくなることから、Cの上限は0.050%とする。
Si:1.0%以下
Siは、フェライト変態を促進させ、未変態オーステナイト中のC含有量を上昇させてフェライト相とマルテンサイト相の複合組織を形成し易くすることの他、固溶強化の面でも効果がある。上記の効果を得るためには、Siは0.01%以上含有することが好ましい。より好ましくは0.05%以上である。一方、Siを1.0%を超えて含有すると、熱間圧延時に赤スケールと称される表面欠陥が発生し、鋼板とした時の表面外観が悪くなるため、1.0%以下とする。
また、溶融亜鉛めっき(合金化を含む)を施す場合には、めっきの濡れ性を悪くしてめっきむらの発生を招き、めっき品質が劣化するので、溶融亜鉛めっきを施す場合には、Si含有量は低減することが好ましく、0.7%以下とすることが好ましい。
Mn:1.0〜3.0%
Mnは、高強度化に有効なだけでなく、マルテンサイト相が得られる臨界冷却速度を低くする作用があり、焼鈍後の冷却時にマルテンサイト相の形成を促すため、要求される強度レベルおよび焼鈍後の冷却速度に応じて含有させるのが好ましい。また、Mnは、Sによる熱間割れを防止する上でも有効な元素である。このような観点から、Mnは1.0%以上含有させる必要があり、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.5%以上とする。一方、3.0%を超える過度のMnを含有することは、r値および溶接性を劣化させるので、Mn含有量の上限は3.0%とする。
P:0.005〜0.1%
Pは、固溶強化に有効な元素である。しかしながら、P含有量が0.005%未満では、その効果が現れないだけでなく、製鋼工程において脱りんコストの上昇を招く。従って、Pは0.005%以上含有させるものとする。好ましくは0.01%以上である。一方、0.1%を超える過剰なPの含有は、Pが粒界に偏析し、耐二次加工脆性および溶接性を劣化させる。また、溶融亜鉛めっき鋼板とする場合には、溶融亜鉛めっき後の合金化処理時に、めっき層と鋼板の界面における鋼板からめっき層へのFeの拡散が抑制され、合金化処理性が低下する。そのため、高温での合金化処理が必要となり、得られるめっき層は、パウダリング、チッピング等のめっき剥離が生じ易いものとなる。従って、P含有量の上限は0.1%とする。
S:0.01%以下
Sは、不純物であり、熱間割れの原因になる他、鋼中で介在物として存在し鋼板の諸特性を劣化させるので、極力低減する必要がある。具体的には、Sは0.01%までは許容できるため、S含有量は0.01%以下とする。
Al:0.005〜0.5%
Alは、鋼の固溶強化元素、脱酸元素として有用なだけでなく、不純物として存在する固溶Nを固定して耐常温時効性を向上させる作用がある。さらに、Alは、フェライト生成元素として、α−γ2相域の温度調整成分としても有用である。かかる作用を発揮させるためには、Al含有量は0.005%以上とする必要がある。一方、0.5%を超えるAlの含有は、合金コストの上昇を招き、さらに表面欠陥を誘発するので、Al含有量の上限は0.5%とする。より好ましくは0.1%以下である。
N:0.01%以下
Nは、耐常温時効性を劣化させる元素であり、極力低減することが望ましい。すなわち、N含有量が多くなると、耐常温時効性が劣化し、固溶Nを固定するために多量のTiやAl添加が必要となるため、できるだけ低減することが好ましいが、Nは0.01%程度までは許容できるため、N含有量の上限は0.01%とする。
Nb:0.01〜0.3%
Nbは、本発明において最も重要な元素であり、熱延板組織の微細化および熱延板中にNbCとしてCを析出固定させる作用を有し、高r値化に寄与する元素である。このような観点からNbは0.01%以上含有させる必要がある。一方、本発明では、焼鈍後の冷却過程でマルテンサイト相を形成させるための固溶Cを必要とするが、0.3%を超える過剰のNb含有は、これを妨げることになるので、Nb含有量の上限は0.3%とする。
(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7
また、Nb含有の効果を奏するには、特にNb含有量(質量%)とC含有量(質量%)が、(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7(ただし、式中のNb,Cは各々の元素の含有量)の範囲を満足するように、NbとCを含有させることが重要である。なおここで、(Nb/93)/(C/12)はNbとCの原子濃度比を表している。(Nb/93)/(C/12)が0.2未満では、Nbによる熱延板微細化効果が低下すると共に、特にC含有量が高い範囲では固溶Cの存在量が多くなり、高r値化に有効な再結晶集合組織の形成を阻害する。また、(Nb/93)/(C/12)が0.7を超えると、マルテンサイト相を形成するのに必要なC量を鋼中に存在させることが妨げられるので、最終的にマルテンサイト相を含む第2相を有する組織が得られない。
従って、Nb含有量を0.01〜0.3%とした上で、さらにNb含有量とC含有量が、(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7を満足する範囲でNbとCを含有させることが重要である。なお、より好ましくは(Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.5の範囲である。
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Mo,Cr,CuおよびNiのうちから選んだ1種または2種以上を合計で0.5%以下
Mo,Cr,CuおよびNiはいずれも、Mnと同様、マルテンサイト相が得られる臨界冷却速度を低くする作用を通じて、焼鈍後の冷却時にマルテンサイト相の形成を促す元素であり、強度レベル向上に効果がある。しかしながら、これら1種または2種以上の元素の合計が0.5%を超える過剰な添加は、その効果が飽和するだけでなく、高価な成分によるコストの上昇を招くことから、これら1種または2種の元素の合計含有量の上限は0.5%とすることが好ましい。なお、上記した効果を得るため、これら1種または2種以上の元素の合計は0.05%以上とすることが好ましい。
Ti:0.1%以下、かつ(Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}≦2.0(式中のTi,S,Nは各々の元素の含有量(質量%))
Tiは、Alと同等あるいはAl以上に固溶Nの析出固定に有効な元素であり、この効果を得るためには0.005%以上含有させることが好ましい。しかしながら、0.1%を超える過剰の添加は、コストの上昇を招くばかりか、TiCの形成によりマルテンサイト相の形成に必要な固溶Cを鋼中に残すことを妨げる。従って、Ti含有量は、0.1%以下とすることが好ましい。
また、Tiは、鋼中でSおよびNと優先的に結合し、ついでCと結合する。従って、鋼中での介在物の形成等によるTiの歩留まり低下を考慮すると、(Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}が2.0を超えるTi添加量では、S,Nを固定するというTi添加の効果は飽和し、かえってTiCの形成を促進して鋼中に固溶Cを残すことを妨げるという弊害が大きくなる。従って、Ti含有量は鋼中で優先的に結合するSおよびNの含有量との関係で、(Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}≦2.0を満足する範囲で含有させることが好ましい。
本発明では、上記した成分以外の残部は実質的にFeおよび不可避的不純物の組成であることが好ましい。
なお、通常の鋼組成範囲内であれば、さらにB,Ca,REM等を含有しても何ら問題はない。例えば、Bは、鋼の焼入性を向上する作用をもつ元素であり、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、B含有量が0.003%を超えるとその効果が飽和するため 、0.003%以下とすることが好ましい。
また、CaおよびREMは、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、これにより、鋼板の諸特性の劣化を防止する。このような効果は、CaおよびREMのうちから選んだ1種または2種の含有量が合計で0.01%を超えると飽和する傾向があるので、これ以下とすることが好ましい。
なお、その他の不可避的不純物としては、例えばSb,Sn,Zn,Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲については、それぞれSb:0.01%以下、Sn:0.1%以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1%以下である。
次に、本発明に従う高強度鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、上記した好適成分組成に調整した鋼スラブを素材とし、該素材に熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に再結晶と複合組織化を達成する冷延板焼鈍工程とを順次経ることにより、高強度鋼板を製造することができる。
本発明では、まず、鋼スラブに対し、熱間圧延にて仕上圧延出側温度を800℃以上とする仕上圧延を施し、巻取温度:500700℃で巻取り、熱延板とする(熱間圧延工程)。
本発明の製造方法で使用する鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止すべく連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法で製造してもよい。また、鋼スラブを製造した後、いったん室温まで冷却し、その後、再度加熱する従来法に加え、冷却せず温片のままで加熱炉に装入して熱間圧延する直送圧延、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに熱間圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。
スラブ加熱温度は、析出物を粗大化させることにより、{111}再結晶集合組織を発達させて深絞り性を改善するため、低い方が望ましい。しかしながら、加熱温度が1000℃未満では、圧延荷重が増大し、熱間圧延時におけるトラブル発生の危険性が増大するので、スラブ加熱温度は1000℃以上にすることが好ましい。なお、酸化重量の増加に伴うスケールロスの増大などから、スラブ加熱温度の上限は1300℃とすることが好適である。
上記の条件で加熱された鋼スラブに、粗圧延および仕上圧延を行う熱間圧延を施す。ここで、鋼スラブは粗圧延によりシートバーとされる。なお、粗圧延の条件は特に規定する必要はなく、常法に従って行えばよい。また、スラブ加熱温度を低くし、かつ熱間圧延時のトラブルを防止するという観点からは、シートバーを加熱する、所謂シートバーヒーターを活用することが好ましい。
ついで、シートバーを仕上圧延して熱延板とする。このとき、仕上圧延出側温度(FT)は800℃以上とする。これは、冷間圧延および焼鈍後に優れた深絞り性が得られる微細な熱延板組織を得るためである。FTが800℃未満では、熱間圧延時の負荷が高くなるだけでなく、熱延板組織に加工回復(フェライト粒)組織が残留し易くなり、これは、冷延焼鈍後に{111}集合組織の発達を妨げる。従って、FTは800℃以上とする。なお、FTが980℃を超えると、組織が粗大化し、これもまた冷延焼鈍後の{111}再結晶集合組織の形成および発達を妨げる傾向があるため、高r値を得る観点から、FTの上限を980℃とすることが好ましい。さらに好ましくは、Ar3変態点直上である未再結晶γ域での圧下率をできるだけ高くすることにより、冷延焼鈍後に高r値化に好ましい集合組織を形成させることができる。
また、熱間圧延時の圧延荷重を低減するため、仕上圧延の一部または全部のパスを潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは、鋼板形状の均一化や材質の均質化の観点から有効である。潤滑圧延の際の摩擦係数は0.10〜0.25の範囲とするのが好ましい。さらに、相前後するシートバー同士を接合し、連続的に仕上圧延する連続圧延プロセスとすることも好ましい。連続圧延プロセスを適用することは、熱間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
コイル巻取温度(CT)は、500〜700℃の範囲とする。この温度範囲が熱延板中にNbCを析出させるのに適した温度範囲である。CTが700℃を超えると、結晶粒が粗大化し、強度低下を招くと共に冷延焼鈍後の高r値化の妨げになる。また、CTが500℃未満では、NbCの析出が起こりにくくなり、繊細なセメンタイトが析出し、高r値化に不利となる。なお、より好ましいCTの範囲は550〜680℃である。
上記の熱間圧延を施すことにより、平均結晶粒径が8μm 以下である熱延板とすることができる。
すなわち、本発明の高強度鋼板は、上記した範囲内の組成を有し、平均結晶粒径が8μm 以下である熱延板を素材とし、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に再結晶と複合組織化を達成する冷延板焼鈍工程とを順次経ることにより、製造することができる。
上記熱間圧延工程で得られる熱延板組織は、通常、粒界を観察する際に行われるナイタール腐食を行った場合に、Nb添加により、粒界としてはナイタール液により通常どおり深く腐食される線と共に、腐食が浅い線も存在するようになる。
本発明では、粒径を測定する際、上記した腐食が深い線と浅い線の両者を粒界として結晶粒径を測定した。
結晶粒径は一般に傾角が15°以上を、いわゆる大傾角粒界、傾角15°未満を、いわゆる小傾角粒界と呼ぶことが多い。上記した腐食が浅い線をEBSP(Electron Back Scatter Diffraction Pattern)解析したところ、この腐食が浅い線は、傾角が15°未満のいわゆる小傾角粒界であることが分かった。本発明では、熱延板中にこの傾角15°未満のいわゆる小傾角粒界、すなわち腐食が浅い線が多数存在することが特徴的であり、かような腐食が深い線および浅い線の双方を粒界として粒径を測定した結果、その平均結晶粒径が8μm 超えでは、本発明の高強度鋼板の高r値化への効果が現れず、平均結晶粒径を8μm 以下に微細化することで、平均r値が1.2以上という高r値化に効果が現れることが判った。
なお、本発明鋼の組織をEBSP解析したところ、上記した腐食が深い線と浅い線の両者を粒界として結晶粒径を測定するということは、5°以上の傾角をもつ結晶粒境界を粒界と見なして粒径を測定することに相当することを確認した。
このことから、詳細は定かではないが、本発明における粒界からの深絞り成形性に好ましい再結晶核発生の促進には、5°以上の傾角が有効であると推測される。
なお、結晶粒径の測定方法としては、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について光学顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、JIS G 0552あるいはASTMに準じた切断法により試料面上での結晶粒の平均の切片長さl(μm)を求め、(ASTM)公称粒径dn=1.13×lとして平均結晶粒径を求めればよく、その他、EBSP等の装置を用いて求めてもよい。
なお、本発明では、上記平均粒径の切片長さは、圧延方向に平行な板厚断面について、光学顕微鏡で微視組織を撮像し、JIS G 0552に準じた切断法により求めた。すなわち、撮像した微視組織写真を用い、JIS G 0552に準じて圧延方向およびこれに垂直方向に対してそれぞれ一定長さの線分で切断されるフェライト結晶粒の数を測定し、線分の長さをその線分で切断されるフェライト結晶粒の数で除した値をそれぞれの方向の切片長さとして求め、これらの平均(相加平均)値をここでの結晶粒の平均の切片長さl(μm)とした。
さらに、本発明鋼では、熱延板段階において、全C含有量のうち15%以上がNbCとして析出固定されていることが望ましい。すなわち、熱延板段階において、NbCとして析出固定されるC量が鋼中の全C量に占める割合を15%以上とすることが望ましい。
NbCとして析出固定されるC量が鋼中の全C量に占める割合(以下、単に「析出固定されるC量の割合」という)とは、熱延板を化学分析(抽出分析)して得られる析出Nb量から次式にて算出される値である。
[C]fix=100×12×([Nb*]/93)/[C]total
ここで、鋼中にTiを含有しない場合、NbはNbNを形成するため、
[Nb*]=[Nb]−(93[N]/14)、[Nb*]>0
一方、鋼中にTiを含有する場合、Nは優先的にTiNを形成するので
[Nb*]=[Nb]−(93[N*]/14)
なお、式中、
[N*]=[N]−(14[Ti*]/48)、[N*]>0
[Ti*]=[Ti]−(48[S]/32)、[Ti*]>0
[C]fixは析出固定されるC量の割合(%)、
[C]totalは、鋼中の全C含有量(質量%)、
[Nb]、[N]、[Ti]、[S]は、それぞれ析出Nb、析出N、析出Ti、析出S量(質量%)である。
前述したように、冷間圧延および再結晶前の段階で固溶Cを低減することは、高r値化のために有効であると共に、析出したNbCの存在により高r値化が促進される。本発明では、NbCとして析出固定されるC量が鋼中の全C含有量の15%以上でその効果が現れる。なお、全体のC含有量に占める析出固定されるC量の割合の上限は、前述したNbの適正範囲の上限(Nb/93)/(C/12)=0.7 以内のNb含有量であれば問題なく、高r値化と焼鈍後のマルテンサイト相の形成が両立される。
ついで、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする(冷間圧延工程)。
ここで、熱延板はスケールを除去するために冷間圧延前に酸洗を行うことが好ましい。酸洗は通常の条件にて行えばよい。冷間圧延条件は、所望の寸法形状の冷延板とすることができればよく、特に限定されないが、冷間圧延時の圧下率は40%以上とすることが好ましい。より好ましくは50%以上である。高r値化には高冷延圧下率が一般に有効であり、圧下率が40%未満では{111}再結晶集合組織が発達しにくく、優れた深絞り性を得ることが困難となる。一方、本発明では、冷間圧下率を90%までの範囲で高くするほどr値が上昇するが、90%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、冷間圧延時のロールへの負荷も高まるため、上限は90%とすることが好ましい。
次に、上記冷延板に焼鈍温度:800〜900℃で焼鈍を行ったのち、焼鈍温度から水冷開始温度まで平均冷却速度:5℃/s以上15℃/s以下で冷却し、550〜750℃の温度から水冷を開始する。また、必要に応じて、上記の水冷後、250℃以下の温度で30分以内の焼戻し処理を施す(冷延板焼鈍工程)。
上記焼鈍は、本発明で必要とする冷却速度を確保するため、連続焼鈍ラインあるいは連続溶融亜鉛めっきラインで行う連続焼鈍とすることが好ましく、800〜900℃の温度域で行う必要がある。本発明においては、焼鈍の際の最高到達温度である焼鈍温度を、800℃以上とすることで、α−γ2相域、すなわち冷却後にフェライト相とマルテンサイト相を含む組織が得られる温度以上、かつ再結晶温度以上とすることができる。焼鈍温度が800℃未満では、冷却後に十分なマルテンサイト相の形成がなされなかったり、あるいは再結晶が完了せずフェライト相の集合組織を調整できず、高r値化が図れないため、焼鈍温度は800℃以上とする。一方、900℃を超える高温では、再結晶粒が著しく粗大化するだけでなく、次の冷却段階で所望とする第2相分布が達成できず、特性が著しく劣化するため、焼鈍温度は900℃以下とする。
また、上記焼鈍時の昇温速度、特に300℃から700℃までの昇温速度は、本発明鋼板の場合、1℃/s未満であると、再結晶前に回復により歪みエネルギーが解放されることで再結晶の駆動力を減少させてしまう傾向にあるので、300℃から700℃までの昇温速度は平均で1℃/s以上とすることが好ましい。なお、昇温速度の上限は特に規定する必要はなく、現状の設備では、300℃から700℃までの平均の昇温速度の上限は、概ね50℃/s程度である。
さらに、700℃から焼鈍温度までは、再結晶集合組織形成の観点から、好ましくは0.1℃/s以上で昇温させる。一方、700℃から焼鈍温度までを20℃/sを超える速度で昇温させると、未再結晶部からの変態、あるいは未再結晶のまま変態が進み易く、集合組織形成の点で不利になりやすいため、20℃/s以下の昇温速度で加熱することが好ましい。
上記焼鈍後の冷却速度は、低降伏比を得るためのマルテンサイト相の形成の観点から、焼鈍温度から水冷開始温度(550〜750℃)まで平均冷却速度:5℃/s以上15℃/s以下で冷却し、550〜750℃の温度で水冷を開始する必要がある。
本発明では、焼鈍後、水冷開始温度まで上記範囲で徐冷することにより、オーステナイト相をフェライト相へ逆変態させて加熱中のオーステナイト相の分率を調整した後、水冷を開始してオーステナイト相をマルテンサイトやベイナイトを主体とした低温変態相とすることで高強度化させるとともに、低温変態相の周囲に歪場を発生させ可動転位を導入させるのである。
なおここで、水冷とは、水中への焼入れを意味し、例えば水を貯めた水槽中にロールを組み入れて、そのロールに鋼帯を通して水冷させればよい。
本発明では、上述したとおり、焼鈍温度からの冷却中にオーステナイト相をフェライトへと逆変態させるが、この時の平均冷却速度が5℃/s未満では、フェライト粒の粗大化 が生じてしまうだけでなく、第2相の分散が粗になり、延性と強度のバランスが悪くなったり、マルテンサイト相が形成されにくく、フェライト相単相組織となり組織強化が不足したりする。逆に15℃/s超だと、フェライトへの逆変態が十分に進行せず、残留しているオーステナイト相へのC,Mnなどの焼入れ元素の濃化が進まない。このため、第2相分率が高く、水冷後の降伏比が高くなってしまう。
さらに、二相分離を促進させる観点から、水冷開始温度は550〜750℃とする必要がある。水冷開始温度が550℃未満では、水冷する段階でのオーステナイト相の分率が少なくなり、降伏比が高く、強度も低くなる。一方、水冷開始温度が750℃超では、フェライトへの逆変態が十分でないために、焼入れる段階でのオーステナイト相の分率が高く、組織強化により強度は高くなるものの、降伏比も高くなってしまう。水冷する前のオーステナイト相の分率という観点からは、600〜700℃がより好ましい温度範囲である。
本発明では、上記水冷を行って冷延板焼鈍工程を終了すればよいが、水冷後、焼戻すことにより強度−延性バランスが向上するため、焼戻し処理を行ってもよい。しかしながら、焼戻し処理を行う場合、焼戻し温度が250℃を超えると水冷により形成されたマルテンサイトが炭化物の生成などにより低強度化し、降伏比も上昇するので好ましくない。また、保持時間が30分を超えると、マルテンサイトが改質し、降伏比が上昇し始めるので、30分以下とする。
なお、焼戻す際の温度は、延性向上のため、100℃以上とすることが好ましい。また、保持時間は、延性向上のため、1分以上とすることが好ましい。さらに、焼戻し処理は、上記水冷後の鋼板を一旦室温近傍まで冷却後、再度加熱して焼戻し処理を施してよいが、上記水冷が可能な連続焼鈍設備にて、上記水冷後引き続き焼戻し処理を行うことが、生産効率の点から好ましい。
なお、上記冷延板焼鈍の後に、電気めっき処理などの表面処理を施し、鋼板表面にめっき層を形成しても良い。
ここで、めっき層は純亜鉛めっきや亜鉛系合金めっきに限らず、AlめっきやAl系合金めっきなど、従来、鋼板表面に施されている各種めっき層とすることも勿論可能である。
また、上記のように製造した冷延鋼板(冷延焼鈍板ともいう)あるいはめっき鋼板には、形状矯正、表面粗度等の調整の目的で調質圧延またはレベラー加工を施してもよい。調質圧延やレベラー加工の際の伸び率は合計で0.2〜15%程度とすることが好ましい。0.2%未満では、形状矯正、粗度調整に関し所期の目的が達成できないおそれがあり、一方15%を超えると、顕著な延性低下をもたらすおそれが生じるため好ましくない。なお、調質圧延とレベラー加工では、加工形式が相違するが、その効果は両者で大きな差がないことを確認している。調質圧延、レベラー加工はめっき処理後でも有効である。
上記のようにして得た本発明の高強度鋼板は、面積率で50%以上のフェライト相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有し、平均r値:1.2以上、YR≦65%という優れた深絞り性および形状凍結性を有している。
以下、上記したように本発明に従い得られた高強度鋼板の特徴について説明する。
(1)面積率で50%以上のフェライト相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有すること
本発明により得た高強度鋼板は、良好な深絞り性を有すると共に、引張強さ≧440MPaの鋼板であり、面積率で50%以上のフェライト相と、面積率で1%以上のマルテンサイト相を含む鋼組織を有する鋼板、いわゆる複合組織鋼板である。特に、本発明では、50%以上の面積率を占めるフェライト相を、深絞り成形性に好ましい集合組織が発達した組織とすることによって、平均r値≧1.2を達成することができる。この点、フェライト相が少なくなり、面積率で50%未満となると、良好な深絞り性を確保することが困難となり、プレス成形性が低下するおそれがある。なお、フェライト相は、面積率で70%以上とすることが好ましい。また、複合組織の利点を利用するため、フェライト相は面積率で99%以下とするのが好ましい。
ここで、「フェライト相」とは、ポリゴナルフェライト相のほか、オーステナイト相から変態した転位密度の高いベイニチックフェライト相を含む。
また、本発明により得た高強度鋼板では、マルテンサイト相が存在することが必要であり、本発明によりマルテンサイト相を面積率で1%以上含有させることができる。マルテンサイト相が1%未満では、TS≧440MPaを確保することが困難となり、良好な強度延性バランスを得ることが難しい。なお、マルテンサイト相は、3%以上であることが好ましい。
加えて、上記したフェライト相、マルテンサイト相の他に、パーライト相、ベイナイト相あるいは残留オーステナイト(γ’)相などを含んだ組織としてもよい。なお、上記したフェライト相とマルテンサイト相の効果を十分に得るためには、フェライト相の面積率とマルテンサイト相の面積率の合計は80%以上であることが好ましい。
(2)平均r値が1.2以上であること
本発明により得た高強度鋼板は、上記の鋼組織を満足すると共に、平均r値が1.2以上を満足するものである。
ここで、「平均r値」とは、JIS Z 2254で求められる平均塑性ひずみ比を意味し、以下の式から算出される値である。
平均r値=(r0+2r45+r90)/4
なお、r0、r45およびr90は、試験片を板面の圧延方向に対し、それぞれ0 °、45°および90°方向に採取し測定した塑性ひずみ比である。
(3)降伏比(YR)が65%以下であること
降伏比(YR)が高いと、プレス時の成形可能範囲は狭くなる。特にしわ押え圧が低い領域でのプレスしわが発生し易くなる。しわなどが発生すると、プレス成形後の形状凍結性に劣ることになる。強度レベルが高くなると、成形可能範囲が、高しわ押え圧側にシフトする。
従って、本発明が対象とする強度レベルを考慮すると、YRは65%以下である必要がある。
また、本発明により得た高強度鋼板は、上記した鋼ミクロ組織および特性を満足すると共に、集合組織として、鋼板1/4板厚位置におけるX線回折により求めた、板面に平行な (222)面、(200)面、(110)面および(310)面の各積分強度比P(222)、P(200)、P(110)、P(310)が、P(222)/{P(200)+P(110)+P(310)}≧1.5を満足することが平均r値≧1.2を確保する上で好ましく、より好ましくはP(222)/{P(200)+P(110)+P(310)}≧2.0を満足することである。
図1は、作製した種々の発明鋼板と比較鋼板について、平均r値とP(222)/{P(200)+P(110)+P(310)}の値を算出し、これら算出した値に基づいてプロットしたものである。
従来、板面が{111}面に平行な集合組織をもつ場合はr値が高いが、{110}面や{100}面に平行な集合組織ではr値が低いことが知られている。
本発明鋼板におけるr値と集合組織の相関について鋭意研究を進めたところ、 詳細はまだ明らかではないが、(310)面は少ないながらも{100}、{110}面同様、r値を低下させる集合組織であり、これを低減することが高r値化に寄与することを見出した。これは、詳細は明らかではないが、Nb添加により熱延時の未再結晶γ域での圧下率が高いことや、前述した微細なNbCの析出、およびNbCとして析出固定されないCの存在などが、(310)面低減に寄与していると考えられる。
なお、{111}集合組織とは、鋼板面垂直方向に結晶の<111>方向が向いていることを言う。結晶学およびBraggの反射条件から、体心立方構造であるα−Feの場合、{111}面の回折としては、(111)面では起こらず、(222)面で起こるため、X線回析積分強度比としては(222)面の値(P(222))を用いた。(222)面は、鋼板板面垂直方向には[222]方向が向いているので、実質<111>方向と同じ方向である。よって(222)面の強度比が高いことは、{111}集合組織が発達していることに対応する。{100}面に対しても同様の理由から、(200)面の値(P(200))を用いた。
ここで、X線回折積分強度比とは、無方向性標準試料(不規則試料)のX線回折積分強度を基準としたときの相対的な強度である。X線回折は、角度分散型、エネルギー分散型のいずれでもよく、X線源は特性X線でも白色X線でもよい。測定面は、α−Feの主要回折面である(110)から(420)までの7面から10面を測定することが望ましい。また鋼板1/4板厚位置とは、具体的には、鋼板表面から測定して、鋼板の板厚の1/8〜3/8の範囲を指し、X線回折は、この範囲の任意の面で行えばよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を、転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。これら鋼スラブを1250℃に加熱したのち、粗圧延によりシートバーとし、ついで表2に示す条件で仕上圧延を施して熱延板とした。これらの熱延板を、酸洗後、圧下率:65%の冷間圧延を施して板厚:1.2mmの冷延板とした。引き続き、これら冷延板に、連続焼鈍ラインにて、表2に示す条件で連続焼鈍を施した。ついで、得られた冷延焼鈍板に、伸び率:0.5%の調質圧延を施したのち、各種特性について調査した。
なお、ここで連続焼鈍ラインでの水冷は、水を貯めた水槽中に通板ロールを組み入れ、そのロールに鋼板を通すことにより行った。表2中の水冷開始温度は、該水槽へ進入時の鋼板温度である。また、焼戻し処理を施す場合は、連続焼鈍ライン内にて、上記水冷に引き続いて行った。
得られた各冷延焼鈍板の、微視組織、引張特性およびr値について調査した結果を表3に示す。また、熱間圧延工程後の熱延板について、NbCとして析出固定されるC量の割合と微視組織(結晶粒径)について調べた。
調査方法は下記のとおりである。
(i)熱延板中のNbCとして析出固定されるC量の割合
前述のように抽出分析により析出Nb、析出Ti、析出N、析出S量を定量し、下記式で求めた。
[C]fix=100×12×([Nb*]/93)/[C]total
ここで、鋼中にTiを含有しない場合、
[Nb*]=[Nb]−(93[N]/14)、[Nb*]>0
Tiを含有する場合、
[Nb*]=[Nb]−(93[N*]/14)
なお、式中、
[N*]=[N]−(14[Ti*]/48)、[N*]>0
[Ti*]=[Ti]−(48[S]/32)、[Ti*]>0
[C]fixは析出固定されるC量の割合(%)、
[C]totalは、鋼中の全C含有量(質量%)、
[Nb]、[N]、[Ti]、[S]は、それぞれ析出Nb、析出N、析出Ti、析出S量(質量%)である。
なお、抽出分析の方法は、10%マレイン酸系電解液を用いて電解抽出した残渣をアルカリ融解し、融成物を酸溶解した後、ICP発光分光法で定量した。
(ii)熱延板の平均結晶粒径
ナイタール腐食した圧延方向に平行な板厚断面(L断面)を光学顕微鏡で撮像し、JIS G 0552に準じた切断法により、前述したように結晶粒の平均切片長さl(μm )を求め、(ASTM)公称粒径dn=1.13×lとして表記した。粒界としては、先述したように、ナイタール液により腐食し、通常どおり深く腐食される線および腐食が浅い線の双方を粒界としてカウントした。また、このようにして測定した平均結晶粒径の値は、傾角5°以上の結晶粒境界を結晶粒界とみなして測定した値に相当することをEBSP解析により確認した。ここでナイタール液は、3%硝酸アルコール溶液(3%HNO3−C2H5OH)を用い、10〜15秒間腐食した。
(iii)冷延焼鈍板の微視組織
各冷延焼鈍板から試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について、光学顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡を用いて400〜10000倍で微視組織を撮像し、相の種類を観察するとともに、1000〜3000倍の像から主相であるフェライト相の面積率と第2相の種類、面積率を求めた。
(iv)引張特性
得られた各冷延焼鈍板から圧延方向に対して90°方向(C方向)にJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠してクロスヘッド速度:10mm/minで引張試験を行い、降伏応力(YS)、引張強さ(TS)および伸び(El)を求めた。
(v)平均r値
得られた各冷延焼鈍板の圧延方向(L方向)、圧延方向に対し45°方向(D方向)、圧延方向に対し90°方向(C方向)からJIS5号引張試験片を採取した。 これらの試験片に10%の単軸引張歪を付与した時の各試験片の幅歪と板厚歪を測定し、これらの測定値を用い、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値(平均塑性歪比)を以下の式から算出し、これをr値とした。
平均r値=(r0+2r45+r90)/4
なお、r0、r45およびr90は、試験片を板面の圧延方向に対し、それぞれ0 °、45°および90°方向に採取し測定した塑性ひずみ比である。
(vi)集合組織
得られた各冷延焼鈍板の鋼板1/4板厚位置にて、白色X線を用いたエネルギー分散型X線回折を行った。測定面は、α−Feの主要回折面である(110)面、(200) 面、(211)面、(220)面、(310)面、(222)面、(321)面、(400)面、(411)面、(420)面の計10面について測定し、無方向性標準試料との相対強度比で各面のX線回折積分強度比を求め、求めた(222)面、(200)面、(110)面および(310)面のX線回折積分強度比P(222)、P(200)、P(110)およびP(310)を下記式の右辺各項に代入し、左辺項Aを算出した。
A=P(222)/{P(200)+P(110)+P(310)
Figure 0004525386
Figure 0004525386
Figure 0004525386
表3に示す調査結果から明らかなように、本発明に従い得られた鋼板はいずれも、TS:440MPa以上であり、かつ平均r値が1.2以上と深絞り性に優れると共に、YR≦65%と形状凍結性にも優れている。
これに対し、本発明の範囲を外れる条件で製造した比較例では、強度が不足していたり、r値が1.2未満と深絞り性に劣っていたり、YRが65%超と形状凍結性に劣っていた。
本発明によれば、TS:440MPa以上、あるいはさらに強度が高いTS:500MPa以上やTS:590MPa以上であっても、降伏比(YR)が65%以下と低く形状凍結性に優れ、また平均r値が1.2以上と深絞り性に優れた高強度鋼板を安価にかつ安定して製造することが可能となり、産業上格段の効果を奏する。
例えば、本発明の高強度鋼板を自動車部品に適用した場合、これまでプレス成形が困難であった部位も形状凍結性を維持しながら高強度化が可能となり、自動車車体の衝突安全性や軽量化に十分寄与できるという効果がある。また、自動車部品に限らず、家電部品やパイプ用素材としても適用可能である。
作製した種々の発明鋼板と比較鋼板について、平均r値とP(222)/{P(200)+P(110)+P(310)}の値を算出し、これら算出した値に基づいてプロットした図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.010〜0.050%、
    Si:1.0%以下、
    Mn:1.0〜3.0%、
    P:0.005〜0.1%、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜0.5%、
    N:0.01%以下および
    Nb:0.01〜0.3%
    を含有し、かつ鋼中のNbおよびCの含有量が、
    (Nb/93)/(C/12)=0.2〜0.7(式中のNb,Cは各々の元素の含有量(質量%))
    なる関係を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃ 以上とする仕上圧延を施し、巻取温度:500〜700℃で巻取り、熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し、冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍温度:800〜900℃で焼鈍を行い、ついで焼鈍温度から水冷開始温度まで平均冷却速度:5℃/s以上15℃/s以下で冷却し、550〜750℃の温度で水冷を開始する冷延板焼鈍工程とを有することを特徴とする形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  2. 前記水冷後、250℃以下の温度で30分以内の焼戻し処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  3. 鋼スラブが、上記組成に加えて、さらに質量%で、
    Mo,Cr,CuおよびNiのうちから選んだ1種または2種以上を合計で0.5%以下
    含有する組成になることを特徴とする請求項1または2に記載の形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  4. 鋼スラブが、上記組成に加えて、さらに質量%で、
    Ti:0.1%以下
    を含有し、かつ 鋼中のTi,SおよびNの含有量が、
    (Ti/48)/{(S/32)+(N/14)}≦2.0(式中のTi,S,Nは各々の元素の含有量(質量%))
    なる関係を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の形状凍結性と深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方法。
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