JP5087919B2 - 半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタ - Google Patents
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そこで、本発明の目的は、半導体レーザの駆動電流および冷却のための電力を最小化できて乾電池駆動によるポータブル使用が可能であり且つレーザ出力が安定な半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタを提供することにある。
上記第1の観点による半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタでは、縦モードおよび横モード共にシングルモードの半導体レーザを用いることとした。縦モードおよび横モード共にシングルモードの半導体レーザは、発振閾値が低く電気−光変換効率が高いため、駆動電流を最小化できる。また、横モードがシングルモードであるため共振器モードとのモードマッチング特性が良好であり、高い励起効率が得られる。また、電気−光変換効率が高いために半導体レーザの発熱が小さく、冷却のための電力を最小化できる。従って、乾電池駆動によるポータブル使用が可能になる。
そこで、上記第1の観点による半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタでは、固体レーザ媒質の吸収率が最大となる波長を含み且つ前記第二高調波の強度変動が仕様値の範囲内に収まるような波長範囲内に半導体レーザの縦モードが3本以上存在するようにした。波長範囲内の3本の縦モード間でモードホップしても、波長の飛びに対する固体レーザ媒質の吸収率の変動が小さいため、駆動電流制御回路による制御で出力を安定にすることが出来る。
上記第2の観点による半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタでは、固体レーザ媒質の吸収率が最大となる波長を中心とする±0.5nmの波長範囲とすることで、波長範囲内での固体レーザ媒質の吸収率の変動を小さくすることが出来る。
上記第3の観点による半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタでは、固体レーザ媒質の端面と非線形光学結晶の端面に基本波に対するミラーコートを施し、それぞれの端面で光共振器を形成することで、構造を単純化でき、温度制御対象をコンパクトにすることが出来る。よって、温度制御に要する電力を小さくすることが出来る。
上記第4の観点による半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタでは、固体レーザ媒質と非線形光学結晶とを貼り合わせた構造なので、温度制御対象をさらにコンパクトにすることが出来る。よって、温度制御に要する電力をさらに小さくすることが出来る。
上記第5の観点による半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタでは、乾電池駆動であるため、ポータブル使用可能となり、ポータブル使用可能なレーザ墨出し装置を実現できる。
このレーザポインタ100は、レーザ光を出射する半導体レーザ1と、レーザ光を集光するレンズ2と、集光されたレーザ光で励起され基本波を誘導放出する固体レーザ媒質3と、基本波を第二高調波に変換する非線形光学結晶4と、光共振器6の一端を構成すると共に第二高調波を透過させるミラー5と、ミラー5を透過した第二高調波の一部を取り出すビームスプリッタ7と、ビームスプリッタ7を通過した第二高調波から赤外線をカットする赤外線カットフィルタ8と、赤外線カットフィルタ8を通過したビーム径を拡げると共に平行ビームにするビームエキスパンダ9と、ビームスプリッタ7で取り出した第二高調波を受光し電気信号に変換するフォトダイオード10と、フォトダイオード10での電気信号の強度が一定になるように半導体レーザ1の駆動電流を制御するAPC(Auto Power Control)回路11と、半導体レーザ1,集光レンズ2,固体レーザ媒質3,非線形光学結晶4およびミラー5を支持するベース12と、ベース12を加熱/冷却するためのペルチェ素子13と、ベース12の温度を検出するためのサーミスタ14と、サーミスタ14で検出した温度が所定の温度になるようにペルチェ素子13を駆動する温度制御回路15と、電源としての乾電池16と、人が携帯可能な大きさの円筒状の筐体17と、バネ18とを具備している。
図2に、半導体レーザ1の出力特性を示す。
実線で示すように発振閾値は60mA以下である。
比較のためにマルチモードの半導体レーザの特性を破線で示す。
固体レーザ媒質3の半導体レーザ側の端面には808.5nmでは高透過率、1064nmでは高反射率のコーティングが施されている。固体レーザ媒質3の半導体レーザ側の端面とミラー5の間で光共振器6が構成され、1064nmのレーザ光が発振する。
図3に、固体レーザ媒質3の吸収率特性を示す。
吸収ピーク波長は808.5nmである。
一般に、レーザポインタ100から出力されるビームの強度変動が目視で気にならないのは10%程度までである。第二高調波の強度変動を10%程度に抑えるためには、基本波の強度変動を5%以内に抑えればよい。すると、吸収ピーク波長808.5nmで吸収率が0.9であるから、吸収率が5%下がって0.855になる波長807.9nmから波長809.1nmまでの波長範囲で波長が変動してもよい。そこで、この波長範囲807.9nm〜809.1nm、好ましくは波長範囲808nm〜809nm内に、半導体レーザ1の縦モードが3本以上存在すればよい。換言すれば、その波長範囲内に縦モードが3本以上存在するような共振器長を持つ半導体レーザ1を採用すれば、第二高調波の強度変動が10%程度の範囲内に収まる。
非線形光学結晶4を通過する1064nmのレーザ光は、第二高調波である532nmの光に変換されて光共振器6から出力される。
バネ18は、ペルチェ素子13を挟んでベース12を筐体17に押しつけるように付勢すると共にベース12の他の部分を筐体17から浮かすようにベース12を支持している。
バネ18が熱伝達しないように、バネ18の全体またはベース12に接触する部分は高分子材料でできている。
ベース12とペルチェ素子13の間およびペルチェ素子13と筐体17の間には熱伝導性グリースまたは熱伝導シートを挟み、熱伝導を良くしている。なお、ベース12とペルチェ素子13とを接着または半田付けしてもよい。
実線は本発明の半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタ100であり、破線はマルチモードの半導体レーザを用いたレーザポインタである。
比較すれば判るように、本発明の方が駆動電流を70mA程度小さく出来る。
(1)縦モードおよび横モード共にシングルモードの半導体レーザは、発振閾値が低く電気−光変換効率が高いため、駆動電流を最小化できる。また、電気−光変換効率が高いために半導体レーザの発熱が小さく、温度制御に要する電力を最小化できる。
(2)吸収率の変動が小さい波長範囲内に半導体レーザ1の縦モードが3本以上存在するため、その間でモードホップしても波長の飛びに対する固体レーザ媒質3の吸収率の変動は小さく、APC回路11による制御で出力を安定にすることが出来る。
(3)乾電池駆動が可能になり、ポータブル使用可能な、視認性のよい緑色ビームのレーザ墨出し装置を実現できる。
(4)ペルチェ素子13でベース12の温度制御をしているから、携帯する人の体温や周囲の温度の影響を受けず、半導体レーザ1や固体レーザ媒質3や非線形光学結晶4を一定の温度に保つことが出来る。従って、過剰な余裕を持たせて半導体レーザ1を駆動する必要がなくなり、半導体レーザ1の駆動電流を最小化でき、乾電池駆動が可能になる。また、ペルチェ素子13を駆動するための電力が小さくて済み、温度制御に要する電力を最小化でき、乾電池駆動が可能になる。さらに、非線形光学素子4で発生する第二高調波の出射方向の温度変化がないため、レーザ出力の方向も変動しなくなる。
このレーザポインタ200では、固体レーザ媒質3と非線形光学結晶4を接着剤などで貼り合せ、非線形光学結晶4の反半導体レーザ側の端面には1064nmでは高反射率、532nmでは低反射率のコーティングが施されている。つまり、結晶内部で光共振器6が構成されている。そして、ミラー5が省略されている。その他は、実施例1に係るレーザポインタ100と同じである。
3 固体レーザ媒質
4 非線形光学結晶
6 光共振器
12 ベース
13 ペルチェ素子
14 サーミスタ
15 温度制御回路
16 乾電池
100,200 半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタ
Claims (5)
- 縦モードおよび横モード共にシングルモードで発振する半導体レーザと、前記半導体レーザから出力されたレーザ光により励起される固体レーザ媒質と、前記固体レーザ媒質を含む光共振器内に収容され前記光共振器で発振する基本波の第二高調波を出力する非線形光学結晶と、前記半導体レーザの駆動電流を制御する駆動電流制御手段と、前記半導体レーザの温度を制御する温度制御手段とを具備し、前記固体レーザ媒質の吸収率が最大となる波長を含み且つ前記第二高調波の強度変動が10%の範囲内に収まるような波長範囲内に前記半導体レーザの縦モードが3本以上存在することを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタ。
- 請求項1に記載の半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタにおいて、前記波長範囲が、前記固体レーザ媒質の吸収率が最大となる波長を中心とする±0.5nmの波長範囲であることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタ。
- 請求項1または請求項2に記載の半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタにおいて、前記固体レーザ媒質の反非線形光学結晶側の端面および前記非線形光学結晶の反固体レーザ媒質側の端面に、基本波に対するミラーコートが施され、前記両端面で光共振器を構成していることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタ。
- 請求項3に記載の半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタにおいて、前記固体レーザ媒質のミラーコートが施されてない端面と前記非線形光学結晶のミラーコートが施されてない端面とが貼り合わされていることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタ。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタにおいて、該半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタが乾電池駆動であることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザを用いたレーザポインタ。
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