JP5084258B2 - Cvd被覆方法 - Google Patents

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Description

本発明は、CVD被覆方法に関する。
高価値工具の製造のため、基板材料(基材)からなる物体に表面被覆層を設けることは公知である。特に、少なくとも刃の範囲にダイヤモンド層を被覆した超硬合金工具(例えば、ドリルまたはフライス)は公知である。表面被覆層の成膜のため、CVD法および対応する装置が知られている。
WO98/35071 WO00/60137
本出願人のWO98/35071には、CVD法およびこの際に使用される装置(CVD被覆装置)が記載してある。被覆装置の真空チャンバにおいて、加熱フィラメントCVDプロセスを実施し、この場合、HおよびCHの混合物をプロセスガスとして加熱フィラメントに送り、このフィラメントで熱分解する。700℃−1000℃の範囲の基板温度において、超硬合金基板またはサーメット基板上に、例えば、厚さが15μmのダイヤモンド層が生ずる。
本出願人のWO00/60137には、更に、加熱フィラメント・プロセスによってダイヤモンド層を形成するCVD法が記載してある。工具上には、2つの層が被覆され、このうち外側の第2層は、より大きい熱膨張係数を有する。この第2層は、ナノ結晶ダイヤモンドから構成できる。しかしながら、ナノ結晶ダイヤモンド層を形成する提示の方法は、経費がかかることが判明している。
従来の多結晶CVDダイヤモンド層は、その構造にもとづき、ある程度の荒さを有する。通常の基板の場合、最初の核は、偶然的に配位されているが、成長速度は、クリスタリットの結晶学的平面の配位に依存するので、表面に対して好適に配位した結晶は、他の結晶よりも大きく成長し、従って、層表面は、プロセス期間の推移において、ますます少数のクリスタリットによって形成されることになる。これは、図3に例示してある。層成長のこの形態は、A.Driftの“Evolutionary selection,a pricipal govering growth orientation in vapour deposited layers”(発展的選択、蒸着層の成長配位を支配する原理)、Philops Research Reports 22,1967,p267−287に記載されている。これに起因する荒さは、特に、切削工具、カッタおよび摩耗負荷を受ける構造部材におけるダイヤモンド層の使用には、望ましくないと云える。荒さは、被覆開始時に特に高い核密度を使用しても排除できない。なぜならば、この場合も、層は、厚みの増加とともに粗くなるからである。
通常の微結晶ダイヤモンド層またはカリフラワ−・ダイヤモンド層の事後的な機械的平滑化は、その高い硬さにもとづき、概ね、考慮の対象にならない。しかしながら、CVDダイヤモンドから平滑な表面を作成するため、熱化学的方法およびレーザ切除によって事後的に平滑化する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、極めて煩瑣である。これは、複雑な形状物が対象である場合(例えば、シャフトフライス加工の場合)に特に云える。
対応する方法は、例えば、S.Jin;J.E.Graebner;T.H.Tiefel;G.W.Kammlott,“Thinning and pattering of CVD diamond films by diffusional re−action”(拡散反応によるCVDダイヤモンド被膜の減厚および平滑化)、Di−amond and Related Materials,2(1993)1038−1042およびU.bogli;A.Blatter;S.M.Pimenov;A.A.Smolin;V.I.Konov,“Smoothing of diamond films with ArF−laser”(ArF−レーザによるダイヤモンド被膜の平滑化)、Diamond and Related Materials,1(1992)782−788に記載されている。
更に、被覆パラメータ(いわゆる、α−パラメータ)の選択によって特定の結晶形および基板に対するその配位(組織)を優先することで、表面平滑化を惹起する試みも知られている。対応する方法は、P.Wild;W.Koidl;W.Muller−Sebert;H.Walcher;R.Samlenski:R.Brenn,“Che−mical vapour deposition and characteriz−ation of smooth{100}−faceted diamond fi−lms”(化学蒸着および平滑な{100}面ダイヤモンド被膜)、Diamond and Related Materials,2(1993)、158−168に記載されている。しかしながら、これらの方法には、若干の欠点がある。即ち、被覆パラメータの選択が、極めて制限される。特に、温度およびガス雰囲気中の炭素の含有量は、所望の結晶形および組織の成長速度に適合させなければならない。しかしながら、これらの条件は、多くの基板の安定性には不適当である。これは、特に、工具および構造部材のCVDダイヤモンド被覆の好ましい基板である超硬合金について云える。若干の用途の場合、炭素溶解による結合剤への拡散により、プロセス雰囲気の温度および炭素含量において極く僅かなプロセス許容幅が存在するに過ぎない。層厚も、もはや、自由に選択できない。なぜならば、望ましくない結晶の全面成長を保証するため、ある程度の最小厚を達成しなければならないからである。
本発明の課題は、被覆された物体(ボデー)の製造法を提示することにある。この場合、物体が改善された機械的性質を有するよう、物体の構造および表面の性状を構成する。
この課題は、請求項1の方法によって解決される。従属請求項は、本発明の好ましい実施例に関する。
即ち本発明は、CVD被覆方法において、炭素を含有するガス雰囲気中で超硬合金又はシリコンからなる基板上に直接ナノ結晶ダイヤモンド層を堆積させ、この場合、被覆期間中に第1運転状態と第2運転状態との間で繰り返し切換が行われるよう、被覆期間中にプロセスパラメータを変更する。この場合、第1運転状態において、該ガス雰囲気中でより高い炭素の過飽和状態が基板近傍に生じ、且つ、第2運転状態において、該ガス雰囲気中でより低い炭素の過飽和状態が基板近傍に生じる。この場合、基板表面の表面荒さR よりも小さい表面荒さR を有する層表面を有する前記ナノ結晶ダイヤモンド層が、基板上に生ずるよう、運転状態の切換を行い、前記運転状態の切換は、層が1μmだけ成長する時間の間に、両運転状態の間で少なくとも200回プロセスパラメータの切換を行うことを特徴とする。
好ましくは、層が1μmだけ成長する時間の間に、両運転状態の間で少なくとも500回プロセスパラメータの切換を行う。好ましくは、第1および/または第2運転状態が、それぞれ、少なくとも2秒間設定される。好ましくは、第1および/または第2運転状態が、それぞれ、50秒未満の間設定される。好ましくは、両期間の比が0.5−2の範囲にあるよう、第1および第2運転状態の各期間を選択する。好ましくは、第2運転状態において、第1運転状態より高いプロセスガス温度が設定されている。好ましくは、第1運転状態において、被覆ガス雰囲気中に、第2運転状態より高い有効炭素の割合が設定されている。好ましくは、第1運転状態において、被覆ガス雰囲気中に、第2運転状態よりも低い酸素原子の割合が設定されている。
本発明の方法によって被覆された物体の場合、基板に成膜された層は、ナノ結晶ダイヤモンドからなる。
かくして、層表面は特に平滑であり、工具としての、特に、切削工具としての使用に著しく適する。
表面荒さRが、2μmよりも小さければ好ましく、1μmよりも小さければ特に好ましい。本発明にもとづき、層の表面荒さは、基板表面の表面荒さよりも小さい(平坦化効果)。
実施例にもとづき、配位化されておらず且つ組織化されてない結晶からなるダイヤモンド層は、5−100nmのサイズを有する。
完成した物体(基材)は、基板およびナノ結晶ダイヤモンド層以外に、他の層を有することができる。ナノ結晶ダイヤモンド層は、多重被覆層(マルチレーヤ)に含まれる複数の層の1つであってよい。
本発明に係る方法によって作られた物体は、被覆期間中にプロセスパラメータを変更することによって、製造できる。これは、被覆期間中に2つの運転状態の間で繰り返し切換を行う態様で行われる。
第1運転状態において、パラメータは、ガス雰囲気中でより高い炭素の過飽和状態が基板近傍に生ずるよう、選択される。他方、第2運転状態では、パラメータは、第1状態に比してガス雰囲気中でより低い炭素の過飽和状態が基板近傍に生ずるよう、設定されている。即ち、この方法は、プロセスガスの炭素飽和のサイクリックな増減に依拠する。
この種の被覆に適する装置は、被覆期間にわたるプロセスパラメータの対応する自動制御を意図する。
本発明に係る方法を使用して、状態間の切換の選択によって、均一な表面および構造と大きい破断強度とを有するナノ結晶のCVDダイヤモンド層を形成できる。即ち、事後的な平滑化法に比して、極めて簡単に平滑表面が得られ、この場合、平滑化はインシトウ(in situ)で、プロセスの成長条件によって行う。かくして、複雑な形状物の場合も、平滑表面が得られる。
過飽和の制御は、基板温度の変更によっておよび/または供給ガスの組成の変更によって達成できる。ガス雰囲気の有効な炭素含有量、即ち反応に関与する炭素含量を変更するのが好ましい。
ダイヤモンド層は、例えば、超硬合金(好ましくは、WC−Co)またはケイ素からなる基板上に被覆する。この場合、層は、基板表面に直接に被覆でき、あるいは、中間層を設けることができる。
形成された層は、ナノ結晶(1−100nmのサイズの単結晶)である。層は、本質的に組織化されてなく、小サイズで非配列状態にある個々のクリスタリット(結晶粒)からなれば好ましい。
層が、極めて小さい表面荒さを有していれば好ましい。DINにもとづき測定した平均荒さRが、2μmよりも小さければ好ましく、1μmよりも小さければ特に好ましい。既知の層とは異なり、不純物(例えば、ダスト)が混入しない限り、表面荒さが、層厚の増加とともに増大することはない。
本発明に係る方法によって物体を製造する場合、表面荒さは、被覆によって減少され、即ち、更に、粗い基板は、平滑化される。即ち、図7および8に示した如く、基板の荒さを調整できる(平坦化効果)。この場合、層の表面荒さRの数値は、基板表面の表面荒さRよりも小さい。対応する数値は、図7に示した如き破断図または研削図から評価できる。
この場合、層厚の増加とともに、平坦化を促進できる。例えば、数値Rは、層1μm毎に、少なくとも0.05μmだけ減少する。即ち、10μmの層の場合、R値は、少なくとも0.5μmだけ減少する。工業用途の超硬合金表面の場合、最大、典型的にはR=0.7μmの範囲まで残存荒さの減少が可能である。
高度に研磨したシリコンウエファに被覆する場合、特に、あらかじめ核形成を行い、生産中も、清浄なチャンバ条件が存在すれば、R<0.1μmの荒さが可能である。
新たな核再形成の励起頻度が高ければ高いほど、層は、より平滑になる。1μmの層成長毎に、運転状態間の少なくとも4回の切換を行うのが好ましく、即ち、各運転状態は、少なくとも2回、使用する。1μmの層の構成毎に20回以上の切換を行った場合、好ましいナノ結晶層、即ち、100nm以下の結晶を含む層が生ずる。1μmの層毎の切換回数は、明らかにより多数であれば好ましく、例えば、少なくとも200回の切換または更には500回よりも多数の切換が好ましい。回数の増加とともに、ますます微細な構造が形成される。即ち、柱状ではない小さい結晶からナノ結晶構造までの範囲を含む層を形成できる。短時間の変動が、好ましくはプロセスの安定範囲を中心として対称的に生ずるよう、核再形成工程の迅速な反復を選択できる。
各運転状態(オペレーティング・モード)の適用期間は、所望の層に対応して選択する。少なくとも2秒、好ましくは、10秒の期間を提案する。最大では、各運転状態を500秒以下に、好ましくは、50秒未満に設定することを提案する。
切換時に第1、第2運転状態を適用する期間は、その長さが同一のオーダにあるよう、選択するのが好ましい。両期間の比が、0.1−10の範囲にあれば好ましく、0.5−2の範囲にあれば特に好ましい。更に、期間が、本質的に同一であれば好ましい。
運転状態間の切換について、切換時に変更できる各種のパラメータが問題となる。1つには、CVDダイヤモンド法において好ましい水素雰囲気中の炭素キャリヤガス(例えば、メタン)の含有量の交互的な増大および減少が可能である。更に、プロセスガス温度の低下/上昇が可能である。この場合、第1運転状態におけるより低い温度は、基板表面の近傍のガスの冷却を誘起し、かくして、更に、炭素過飽和を誘起する。しかしながら、例えば、有効な炭素の割合を制御することによって、異なる運転状態を形成することもできる。このために、炭素キャリヤガスの容積割合を、通常の尺度を越えて、一定に増大し、他の反応ガスまたは酸素含量ガスのサイクリックな添加によって、高い過飽和と低い過飽和との間の切換を制御するのが好ましい。この場合、炭素との反応によって、成長に利用される炭素の割合を減少する安定な化合物(例えば、炭素酸化物)が生じ、即ち、かくして、有効な炭素の割合が変更される。他の方策として、被覆雰囲気中の窒素含有量を、第1運転状態および第2運転状態において変更できる。更に、もちろん、上記方策の組合せも考えられる。
提案の方法に応じた装置を使用して、加熱フィラメント法でCVD被覆を実施するのが好ましい。即ち、供給されたガスを加熱コイル(=フィラメント)で熱分解する。炭素含有ガスを含む水素雰囲気中で本方法を実施するのが好ましい。
以下に、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
本発明は、平滑表面を得るための従来公知の方法によっては、作用を受けるのが表面のみであり、層は、更に柱状構造を有すると云う知見から出発する。
その大きい硬さにもとづき脆いダイヤモンドは、粒界に沿う様に、基板表面まで達する単結晶に沿って結晶間で裂けることがあると云うことが判明した。かくして、亀裂は、直接に界面に達する。かくして、冷却時に、特に基板と層との間の熱膨張差によって生ずる層応力と関連して、冷却時または機械的負荷時に、これまで良く知られている如く、層密着状態の急速な喪失が誘起される。
良く知られているように、複雑な力が加わる状態において、例えば、切削中に、ほぼ常に認められる如く、ダイヤモンドの{111}劈開面に剪断力が現れた場合、優先結晶配位を有する組織化層は、特に容易に結晶間で分割されることになる。更に、上記層は、もちろん、比較的大きい結晶からなり、上記結晶は、刃具先端又は微細構造の曲率よりも大きいので、鋭い刃または微細構造の形成を困難化する。
いわゆる、バラス構造またはカリフラワ−(ドイツ語=Blumenkohl)構造を有するダイヤモンド層(図9)は、公知である。広義には、上記ダイヤモンド層は、ナノメータ範囲までのダイヤモンド結晶も有する。しかしながら、上記ダイヤモンド層は、本発明に係る層とは異なり、外方から見て粗いカリフラワ−状表面を示し不均一で、更に柱状の構造を有する。他方、本発明に係る被覆層は、カリフラワ−構造が著しく減少されたまたは−好ましくは−完全に回避された状態の、微結晶からナノ結晶までの範囲の均一なダイヤモンド層である。
さて、ここで、被覆期間中に第1運転状態と第2運転状態との間で繰り返し切換が行われるよう、被覆期間中にプロセスパラメータを変更し、この場合、第1運転状態では、ガス雰囲気のより高い炭素過飽和を基板近傍に生じさせ、第2運転状態では、対応して、ガス雰囲気のより低い炭素過飽和を基板近傍に生じさせることによって、平滑層を形成することを提案する。
状態の明確化のため、図1に、基板12(図示の実施例の場合はドリル)を被覆するCVD被覆装置10を模式的に示した。装置10は、排気手段16および少なくとも1つのガス供給路18を有する真空チャンバ14を含む。ガス供給路18を介してプロセスガスを導入する。図示の実施例の場合、加熱フィラメント装置が対象である。この場合、(基板ホルダ20に設けた)基板12上には、加熱フィラメント22からなる平面が設けてある。上記フィラメントにおいて、プロセスガスは熱分解される。プロセスガスの成分は、基板表面上に層として堆積される。即ち、プロセスガスに炭素含有ガス(例えば、CH成分)を供給すれば、ダイヤモンド層の堆積を達成できる。
対応する装置およびこの装置で実施されるCVD被覆法は、当業者に知られており、従って、詳細には説明する必要はなかろう。パラメータは、例えば、WO98/35071およびWO00/60173に開示されている。更なる詳細は、加熱フィラメント法以外の方法に関しても、Roland Franz Brunsteinerの学位論文、“Methoden Hot Filament Acethylenflamme und DC−Glimmentladung”(加熱フィラメント、アセチレン炎およびDCグリム放電を使用する方法によるダイヤモンド堆積の研究)、ウィーン工業大学、無機物質化学技術研究所の1993年の学位論文から知り得る。
例示の装置10の設定パラメータは、特に、ガスの流量および組成、フィラメント温度および基板の位置である。
上記パラメータのうち、プロセス温度、即ち、基板近傍のガス温度が、重要なパラメータとして挙げられる。プロセスガスに比して大きい基板熱容量にもとづき、プロセス温度は、基板によって影響される。プロセス温度は、使用例の場合、径3mmの特殊鋼スリーブを有するNi−CrNi−スリーブ熱電対によって測定する。この場合、熱電対は、通常の被覆容積の場合、当該の基板から約1cmの距離に位置する。
図1に模式的に示した装置の場合、プロセスガスの量および組成は、制御自在な供給路26a,26b,26c,26dによって制御する。模式的に示したガスタンク28a,28b,28c,28dから、プロセスガスの各成分(水素、メタン、任意のアセトンおよび窒素、その機能に関しては下記参照)を、所望の量および組成で、混合する。
図に示した如く、本装置10は、中央制御ユニット30を使用する。このユニットは、供給路26a,26b,26c,26dを制御し、フィラメント22の加熱電力を調節する。
被覆に使用されるガス雰囲気は、基板近傍において、常に過飽和状態であり、従って、基板上の炭素の堆積が生じ、かくして、層の成長が結果する。従来のダイヤモンド層(図4、図5)の堆積が行われる適切な過飽和雰囲気を形成するパラメータは、当業者に知られている。さて、ここでは、基板の前で、ガス雰囲気の強い過飽和と低い過飽和との間の連続的切換が行われるよう、パラメータの連続的変更を提案する。本明細書では、強い過飽和を“相対的過飽和”(第1運転状態)とも呼び、弱い過飽和を“相対的不飽和”(第2運転状態)とも呼ぶ。
これに関しては、M.Sommer,F.W.Smith,“Activity oftungsten and rhenium filaments in CH/HおよびC/H mixtures:Importance for diamondCVD”(CH/HおよびC/H混合物中のタングステンフィラメントおよびレニウムフィラメントの活性:ダイヤモンドCVDの重要性)、J.Mater.Res.Vol.5,No.11,1990年11月、p2433〜およびM.Sommer,F.W.Smith,Proc.2nd ICENDST,Washington DC(1990),433−8を参照されたい。
より強い過飽和によって、炭素固相の凝固が促進される。かくして、基板表面上または成長層上に固体の炭素核が優先的に形成される。
運転状態間の連続的切換によって、永続的な新しい核形成中心の創成および新しい結晶の成長促進が結果する(核再形成)。ガス雰囲気の高い過飽和は、むしろ、核形成を促進する。しかしながら、過飽和を過度に長時間にわたって維持した場合、ダイヤモンド結合炭素(sp2)または非晶質炭素は、もはや、形成されない。他方、低い過飽和は、他の相に比してダイヤモンド成長を促進する。図2に、これを模式的に示した。この場合、判り易いよう、各クリスタリット(結晶粒)は、好ましい実施例の実際よりも大きく示した。
雰囲気の炭素過飽和のサイクリックな変更によって、凹凸の山の部分を避けて、むしろ平坦化に適した部位で均一な核再形成を達成できる。好ましくは荒さの谷において核再形成を行えば、特に平滑な層が得られる。
この場合、ダイヤモンド被覆の実現のため既に採用されている如く、プロセスを平均状態のまわりに“揺動”させるのが好ましい。それぞれ第1運転状態または第2運転状態へのこの“平均”プロセスからの変更は、1つまたは複数のパラメータの変更を含むことができる。
核再形成の機構
ここに提示の方法において利用した効果は、本発明者の見解によれば、ガス雰囲気の短時間の高炭素過飽和によって、新しい結晶の核生成として作用し、且つ古い結晶上に成長箇所を占める炭素の微粒子またはクラスタが、基板表面上に沈析すると云うことにもとづく。更に、ここに示した方法の場合、クラスタ形成の凝固が、好ましくは、荒さの谷で起きるよう、条件を選択できる。この場合、谷の表面温度は、より大きい材料密度にもとづきおよび/または水素再結合のための小さい作用横断面積にもとづき、他より幾分低く、従って、この場合、むしろ、クラスタが谷に凝固するのに好ましい。
上記クラスタは、必ずしもダイヤモンド結合である必要はなく、換言すれば、sp3−結合であってよい。非飽和条件の少数のC原子が対象であると考えられる。過度に長時間の過飽和は、すべての場合に、避けるべきである。なぜならば、さもなければ、不均一に粗いまたは概ねダイヤモンド結合されてない炭素層の形成を誘起する条件が支配するからである。
プロセスガスの上記の炭素含量は、本方法に依存し、部分的には、反応器の構造にも依存するので、一般的に有効なパラメータ値を指示することはできない。通常、各被覆装置は、ダイヤモンドを堆積させることができる範囲を有する。この範囲は、加熱フィラメント法の場合、ほぼ、メタン含量が0.3−5%である範囲にある。%値は、チャンバ内のガスの容積割合を示すものである。これは、通常条件下の設定流速から生ずる(理想気体)。
上記範囲の上下限では、部分的に上記のカリフラワ−・ダイヤモンドのみが得られるか、成膜速度および核密度が低くなる。従って、興味ある範囲は、0.5−2.5%にある。
さて、提案の方法の場合、炭素含量(例えば、メタン含量)を、一時的に増加し、その代償として、他の若干の時間において減少し、即ち、ガス雰囲気の相対的過飽和または不飽和をサイクリックに達成する。かくして、このプロセスパラメータが一定の場合よりも平滑で、均一で、微結晶の層が得られると云うことが知られる。
この場合、ダイヤモンド構造の大きさは、実施した切換の回数とともに減少する。ガス雰囲気中の拡散および流動による混合プロセスにもとづき、結晶サイズの下限が生じ、かくして、大形装置(容積300リットル)の場合、約10nmの結晶サイズが生ずる。この混合プロセスにもとづき、もちろん、小さく鋭い結晶境界も存在する。基本的に、サイクル時間について小さい厳密な上限が存在する。しかしながら、平滑な構造を得るため、1μm成長する毎に若干のサイクルを行うべきである。さもないと、所望の微粒状態が得られず、むしろ、例えば、通常のダイヤモンドおよびカリフラワ−構造からなる多重層が生ずる。更に、加熱フィラメント法の場合、サイクル時間が過度に長いと、残余のパラメータが、フィラメントの炭素収支の変化にもとづき、埒外に逸脱すると云う危険性が生ずる。従って、当業者は、これが現れることのないよう、プロセスを調整しなければならない。
核形成が、好ましくは、基板または層の凹みに生ずるよう、プロセスパラメータを適切に選択することによって、所望の平坦化効果が達成される。このために調節すべきパラメータは、一方では、双方の運転状態におけるプロセスガス中の有効炭素割合を含み、他方では、双方の運転状態の各適用時間を含む。
所望の層を形成する場合、当業者は、まず、通常の多結晶ダイヤモンド層(例えば、図4参照)の公知の堆積条件から出発し、使用装置のパラメータ、特に、圧力、炭素割合、酸素割合、窒素割合、ガス流量、温度、etc.を対応して調節する。
当業者は、次いで、上記公知の“安定範囲”から出発して、既述の如く、相対的不飽和または過飽和の運転状態を定める。次いで、運転状態間の切換により層を堆積させ、図4−7に示した様な横断面から明らかな如き層形態を得てその評価を行う。
形成された層が、カリフラワ−構造(図9)の方向へ著しく進行した場合、炭素過飽和を減少するか、第1運転状態の使用期間を短縮する。過度に強く過度に長時間の過飽和は、装置の他の箇所における炭素層およびススの沈積にも認められる。
形成された層が、通常の多結晶構造(図4)の方向へ著しく進行した場合、過飽和を増強するか、第1運転状態の使用期間を延長する。これは、相互に離れた大きい結晶が形成された場合または層が連続しない場合に特に該当する。
相対的不飽和を過度に強く選択するか、過度に長時間延長した場合、層形成速度の低下が結果する。
上記の層形態(図4と図9)の間には、上記平坦化効果によって平滑層が形成される範囲が存在する。サイクル時間の短縮によって、更により微細な結晶およびより平滑な表面を形成できる。時間が、ともかく、短すぎる場合は、基板サイズおよび装置に応じて、両方のガス雰囲気の熱的慣性および過度に緩慢な解離にもとづき、設定パラメータの時間加重平均にほぼ対応する層が生ずる。これらの事例では、運転状態の間の温度およびガス組成の差異が増強されることになる。他方、時間が長すぎる場合は、多重構造の層が生ずる。
若干の事例では、酸素添加によって、例えば、ダイヤモンドの層形成速度および純度に関して利点が得られる。しかしながら、一般的に明らかな如く、ダイヤモンド形成について、本質的に、酸素原子の容積密度から炭素原子の容積密度を減算した場合に生ずる有効炭素割合のみが問題である。理由は、ダイヤモンド被覆の条件の下で、熱力学的に安定な一酸化炭素(CO)がダイヤモンド形成に関与しないと云う点にあると思われる。即ち、唯一つの炭素キャリヤガスとしてのCOを添加しても層形成が誘起されることはないと云うことは、Brunnsteinerの上述の研究から明らかである。即ち、上記の考慮は、炭素含量の代わりに有効炭素含量を使用しても、当てはまる。
有効炭素濃度は、プロセスガス中の酸素の原子濃度を炭素の原子濃度から減算すれば、得られる。従って、例えば、アセトン(CH−CO−CH)1%と分子酸素(O)0.2%とのガス混合物は、1.6%の有効酸素濃度を有する(計算:1%・(3−1)−0.2%・2=1.6%)。
即ち、酸素は、被覆雰囲気の相対的不飽和の方向へ作用する。他方、窒素添加は、相対的過飽和の方向へ作用する。もちろん、両方策の組合せも可能である。
概略的に、パラメータ範囲は、下式にまとめることができる。
<(C +C )/(T+T)<C
:ダイヤモンドがなお成長中の装置の下限有効炭素濃度、
:ダイヤモンドがなお成長中の装置の上限有効炭素濃度、
:第1運転状態における有効炭素濃度(相対的過飽和)、
:第2運転状態における有効炭素濃度(相対的不飽和)、
:第1運転状態の適用時間、
:第2運転状態の適用時間
ガス流量の変更を飛躍的に行う必要はない。任意の濃度差も、層の上記改善をもたらすことができる。即ち、一般に、下式が成立する。
C(t)dt<C
T:サイクル時間
C(t):時間依存の一定でない有効炭素濃度
従来のプロセス
以下に、加熱フィラメント法の例を示した。プロセスガス成分の容積比率は、通常、相対的ガス流量を介して調節する。残余のガスは、水素である。
使用した装置(例えば図1参照)の場合、下記パラメータにおいて、基板上で0.25μm/hの成膜速度で
ダイヤモンド層の成長が行われる。
パラメータ 単位 数値
圧力 hPa 20
全ガス流量/チャンバ容積(l) min/min/l 25
プロセス温度 ℃ 850
フィラメント温度 ℃ 2000
基板−加熱導体・間隔 mm 10
プロセスガス中のCHの割合 容積% 1
さて、微結晶からナノ結晶までの範囲のダイヤモンド層を形成するため、設定パラメータを、被覆期間にわたって、一定に保持せず、サイクリックに変更する態様で、被覆を実施する。
第1実施例
ここに提示の方法の第1実施例の場合、プロセス温度を、一定に保持せず、下記の如く、1分間毎に3回の切換によってサイクリックに変更する。
運転状態1(高い過飽和):
プロセス温度 ℃ 700
運転状態の期間 s 20
運転状態2(低い過飽和):
プロセス温度 ℃ 900
運転状態の期間 s 20
周期 s 40
変動が1100℃を越えるか、変動が650℃を下回ると、層は、もはや均一ではないか、その主成分は、もはやダイヤモンドではない。基板近傍のプロセス温度を決定する基板の熱的慣性(熱容量)にもとづき、改善の達成のため、パルスサイクルは、ほぼ2秒以下に短縮することはできない。
運転状態間を連続的に切換える時、同じく約0.25μm/hの層形成速度が生ずる。1μmの層形成中(期間:4時間)、運転状態間で700よりも多数回の切換が行われる。被覆されたダイヤモンド層は、ナノ結晶である(図6、7)。
第2実施例
ここに提示の方法の第2実施例の場合、メタン含有量を、一定に保持せず、下記の如く、サイクリックに変更する。
運転状態1(高い過飽和):
CH割合 容積% 2
運転状態の期間 s 10
運転状態2(低い過飽和):
CH割合 容積% 0.5
運転状態の期間 s 20
周期 s 30
メタン流量の変更によって、方法および装置に応じて、他の数値も、僅かに変化される。更に、全成長速度も、幾分、変更できる。選択した第2実施例の場合、この速度は、0.25μm/hから約0.3μm/hに上昇する。
この場合も、結果は、ナノ結晶層である(図6、7)。
形成層
提示の方法で形成されたダイヤモンド層を図6−8に示した。同図から明らかな如く、図示の1000倍の拡大時、層は、構造、特に、柱状構造を有していない。
平坦化効果は、図7から、明らかに知られよう。図示の基板表面(超硬合金)は、比較的粗い。他方、この表面に被覆されたダイヤモンド層は、図7の断面から、明確な測定を行わなくとも明らかに確認される如く、僅かな表面荒さを有する。
表面荒さの測定値として、平均荒さRを使用する。これに関する測定規定は、DIN4768にもとづき規格化されている。Rは、近似的に、山と谷との間の距離に等置でき、即ち、破断図(図7)から直接に求める。
図7の例の場合、界面、即ち、基板表面で3.8μmの典型的R値が示される。ダイヤモンド層の表面荒さは、著しく小さく、ほぼ、R=1.4μmである。図示の例の場合、層厚は、約20μmである。
好ましい層は、明白な平坦化効果を示す。この場合、層厚の増加とともに荒さが増大する従来の層とは異なり、荒さは、層厚の増加とともに減少する。工業用途の超硬合金表面を有する大半の事例において、約0.5μmのRの残存荒さを下回ることは難しい。
破断強度の増大
検討した方法によって形成した層は、大きい破断強度を有する。亀裂形成のこの減少は、まず、基板へ向く長い粒界または単結晶の欠如による。亀裂エネルギは、多数の小さい結晶によって分散される。単結晶のランダムな配列は、剪断力および法線方向の応力の吸収のために、常に多数の配位好適な結晶が存在すると云う結果をもたらす。場合によっては現れる亀裂先端は、短い経路の後に常に、安定な{111}面によって妨げられる(図2参照)。
MEMS−マイクロ電気機械的系
ダイヤモンド被覆層の使用可能性は、かくして、マイクロ構造を適切に形成できるということにある。このような構造の場合、更に、ダイヤモンドの性質を、センサ材料として使用することもでき、ドーピングに応じて、電子コンポーネント(導体、絶縁体、誘電体)として使用することもできる。この系について、しばしば、表現“MEMSデバイス”が使用される(マイクロ電気機械的系)。構造は、一般に、異なる方法によって後から層にエッチングされる。
このような系について、通常のCVDダイヤモンドは、不適である。この場合、上記構造のμm範囲の、場合によっては、nm範囲の小さいサイズにもとづき(エッジ構成)、
異方性効果を避けるため、本発明は出発材料中にできる限り小さいクリスタリット(結晶粒)を存在させると云う利点がある。従って、ここに提示のナノ結晶ダイヤモンド層は、特に好適である。
他の事項
層のドーピングは、ドーピングガスを、一定の流速または脈動流速で、例えば、炭素キャリヤガスとともに、導入することによって、通常の方法の場合と同様に、行うことができる。
通常の多重層構造および提示の方法によって異なる程度に微細化した多重層構造は、層に更に異なるドーピングを行うことによって、工具、カッタ、構造部材およびMEMSの使用範囲を拡張できる。即ち、多重層系の各層は、(MEMS製造のための)エッチング性、導電性、熱伝導性、電子放射、弾性率、硬さ、熱膨張、透光性などに関して異なる。
上記の実施例は、加熱フィラメント法に関するが、使用した原理は、他のCVDダイヤモンド被覆法にも適用できる。
被覆装置の概略図である。 ナノ結晶ダイヤモンド層の略断面図である(結晶サイズは実寸ではない)。 従来のダイヤモンド層の略断面図である(結晶サイズは実寸ではない)。 従来のダイヤモンド層の表面のラスタ電子顕微鏡写真である。 従来のダイヤモンド層の破断面のラスタ電子顕微鏡写真である。 ナノ結晶ダイヤモンド層の表面のラスタ電子顕微鏡写真である。 超硬合金基板上のナノ結晶ダイヤモンド層の破断面のラスタ電子顕微鏡写真である。 超硬合金カッタ上のナノ結晶ダイヤモンド層の破断面のラスタ電子顕微鏡写真である。 カリフラワ−・ダイヤモンド層の表面のラスタ電子顕微鏡写真である。(Chi−Fu Chenら、Diamond and Related Materials,2(1993)732−736から転載)。
符号の説明
10 被覆装置
12 基板
14 真空チャンバ
16 排気路
18 ガス供給路
20 基板ホルダ
22 加熱フィラメント
26a,26b,26c,26d 供給路
28a,28b,28c,28d ガスタンク
30 中央制御ユニット

Claims (8)

  1. CVD被覆方法において、
    炭素を含有するガス雰囲気中で超硬合金又はシリコンからなる基板上に直接ナノ結晶ダイヤモンド層を堆積させ、
    この場合、被覆期間中に第1運転状態と第2運転状態との間で繰り返し切換が行われるよう、被覆期間中にプロセスパラメータを変更し、
    この場合、第1運転状態において、該ガス雰囲気中でより高い炭素の過飽和状態が基板近傍に生じ、
    且つ、第2運転状態において、該ガス雰囲気中でより低い炭素の過飽和状態が基板近傍に生じ、
    この場合、基板表面の表面荒さRよりも小さい表面荒さRを有する層表面を有する前記ナノ結晶ダイヤモンド層が、基板上に生ずるよう、運転状態の切換を行
    前記運転状態の切換は、層が1μmだけ成長する時間の間に、両運転状態の間で少なくとも200回プロセスパラメータの切換を行う、
    ことを特徴とするCVD被覆方法。
  2. 層が1μmだけ成長する時間の間に、
    運転状態の間で少なくとも500回プロセスパラメータの切換を行う、
    ことを特徴とする請求項に記載のCVD被覆方法。
  3. 第1および/または第2運転状態が、それぞれ、少なくとも2秒間設定される、
    ことを特徴とする請求項1−2のいずれか1つに記載のCVD被覆方法。
  4. 第1および/または第2運転状態が、それぞれ、50秒未満の間設定される、
    ことを特徴とする請求項1−3のいずれか1つに記載のCVD被覆方法。
  5. 両期間の比が0.5−2の範囲にあるよう、第1および第2運転状態の各期間を選択する、
    ことを特徴とする請求項1−4のいずれか1つに記載のCVD被覆方法。
  6. 第2運転状態において、第1運転状態よりも高いプロセスガス温度が設定されている、
    ことを特徴とする請求項1−5のいずれか1つに記載のCVD被覆方法。
  7. 第1運転状態において、被覆ガス雰囲気中に、第2運転状態より高い有効炭素の割合が設定されている、
    ことを特徴とする請求項1−6のいずれか1つに記載のCVD被覆方法。
  8. 第1運転状態において、被覆ガス雰囲気中に、第2運転状態より低い酸素原子の割合が設定されている、
    ことを特徴とする請求項1−7のいずれか1つに記載のCVD被覆方法。
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