JP5083648B2 - 車両 - Google Patents
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Description
このような倒立振り子車両において、出没可能な補助輪を配置した技術として特許文献1、2記載技術が提案されている。
一方、特許文献2では、動作異常時に補助輪を突出させ、車体を安定した状態に保持することについて記載されている。
これに対して、車両を傾斜させた状態で安定的に車両を停止させる車両の場合には、乗車してから発進するために車両をどのように起立させるか、また、降車する際に車両をどのように傾斜させて停止させるかは、乗車、降車の際の乗り心地を左右する要素となる。
また本発明は、倒立振り子車両を傾斜状態で停車させるまでの降車制御を行うことが可能な車両を提供することを第2の目的とする。
(2)請求項2記載の発明では、起立方向に存在する障害物までの距離を取得する障害物距離取得手段を備え、前記駆動輪トルク決定手段は、前記取得した障害物までの距離が前記取得した起立移動距離の目標値よりも小さい場合に、前記障害物までの距離に基づき、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の車両を提供する。
(3)請求項3記載の発明では、車体の傾斜状態と駆動輪の回転状態に応じて前記駆動輪のトルクを制御することで、搭乗部を含む車体を倒立状態に保持して走行する車両であって、一部が接地することで前記車体の傾斜角を制限する制限機構と、前記制限機構の前記一部が接地し、車体が傾斜して停止した乗降停止までの目標距離を降車移動距離として取得する降車移動距離取得手段と、前記取得した降車移動距離で乗降停止する駆動輪トルクを決定する駆動輪トルク決定手段と、前記決定した駆動輪トルクで前記駆動輪を駆動制御して乗降停止させる乗降停止制御手段と、を具備し、前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角速度、駆動輪の回転速度の少なくとも一方に対するフィードバックゲインを、前記降車移動距離に応じて決定することで駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする車両を提供する。
(4)請求項4記載の発明では、降車移動方向に存在する障害物までの距離を取得する障害物距離取得手段を備え、前記駆動輪トルク決定手段は、前記障害物までの距離が前記取得した降車移動距離よりも小さい場合に、前記障害物までの距離に基づき、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項3に記載の車両を提供する。
(5)請求項5記載の発明では、前記駆動輪トルク決定手段は、車体を所定の方向に傾斜させて乗降停止させるための、車体の傾斜角に応じた付加トルクを加えて、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項3、又は請求項4に記載の車両を提供する。
(6)請求項6記載の発明では、車体の傾斜状態と駆動輪の回転状態に応じて前記駆動輪のトルクを制御することで、搭乗部を含む車体を倒立状態に保持して走行する車両であって、停止時において一部が接地することで前記車体の傾斜角を制限する制限機構と、前記制限機構の接地状態から起立するまでの起立移動距離の目標値を取得する起立移動距離取得手段と、前記取得した起立移動距離の目標値に基づき、前記駆動輪トルクを決定する駆動輪トルク決定手段と、前記決定した駆動輪トルクで前記駆動輪を駆動制御して車両を起立させる起立制御手段と、前記搭乗部に対して車両の前後方向に移動可能に配置されたバランサと、起立時に、前記車体の傾斜角θに応じてバランサ位置を移動する移動手段と、を備え、前記駆動輪トルク決定手段は、前記バランサの移動により車体に作用する重力トルクを考慮して駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする車両を提供する。
(7)請求項7記載の発明では、前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角、車体の傾斜角速度、駆動輪の回転速度の少なくとも1に対するフィードバックゲインを、前記起立移動距離の目標値に基づいて決定することで駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項6に記載の車両を提供する。
(8)請求項8記載の発明では、前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角をフィードバック制御し、前記車体の傾斜角の目標値を起立開始後の時間に応じて変化させることで、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項6に記載の車両を提供する。
(9)請求項9記載の発明では、前記駆動輪トルク決定手段は、起立開始時と起立完了時の起立速度が、起立途中の起立速度よりも小さくなるように、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項8に記載の車両を提供する。
(10)請求項10記載の発明では、起立方向に存在する障害物までの距離を取得する障害物距離取得手段を備え、前記駆動輪トルク決定手段は、前記取得した障害物までの距離が前記取得した起立移動距離の目標値よりも小さい場合に、前記障害物までの距離に基づき、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項6から請求項9のうちのいずれか1の請求項に記載の車両を提供する。
(11)請求項11記載の発明では、車体の傾斜状態と駆動輪の回転状態に応じて前記駆動輪のトルクを制御することで、搭乗部を含む車体を倒立状態に保持して走行する車両であって、一部が接地することで前記車体の傾斜角を制限する制限機構と、前記制限機構の前記一部が接地し、車体が傾斜して停止した乗降停止までの目標距離を降車移動距離として取得する降車移動距離取得手段と、前記取得した降車移動距離で乗降停止する駆動輪トルクを決定する駆動輪トルク決定手段と、前記決定した駆動輪トルクで前記駆動輪を駆動制御して乗降停止させる乗降停止制御手段と、前記搭乗部に対して車両の前後方向に移動可能に配置されたバランサと、乗降停止に移行する場合に、前記車体の傾斜角に応じてバランサ位置を移動する移動手段と、を備え、前記駆動輪トルク決定手段は、前記バランサの移動により車体に作用する重力トルクを考慮して駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする車両を提供する。
(12)請求項12記載の発明では、前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角速度、駆動輪の回転速度の少なくとも一方に対するフィードバックゲインを、前記降車移動距離に応じて決定することで駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項11に記載の車両を提供する。
(13)請求項13記載の発明では、前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角をフィードバック制御し、前記車体の傾斜角の目標値を乗降停止への移行開始後の時間に応じて変化させることで、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項11に記載の車両を提供する。
(14)請求項14記載の発明では、前記駆動輪トルク決定手段は、乗降停止への移行開始時と完了時の車体傾斜速度が、乗降停止までの途中の車体傾斜速度よりも小さくなるように、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項13に記載の車両を提供する。
(15)請求項15記載の発明では、降車移動方向に存在する障害物までの距離を取得する障害物距離取得手段を備え、前記駆動輪トルク決定手段は、前記障害物までの距離が前記取得した降車移動距離よりも小さい場合に、前記障害物までの距離に基づき、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項11から請求項14のうちのいずれか1の請求項に記載の車両を提供する。
(16)請求項16記載の発明では、前記駆動輪トルク決定手段は、車体を所定の方向に傾斜させて乗降停止させるための、車体の傾斜角に応じた付加トルクを加えて、前記駆動輪トルクを決定する、ことを特徴とする請求項11から請求項15のうちのいずれか1の請求項に記載の車両を提供する。
請求項3〜請求項5、請求項11〜請求項16記載の発明では、一部が接地することで前記車体の傾斜角を制限する制限機構を備え、取得した降車移動距離で乗降停止する駆動輪トルクを決定し、決定した駆動輪トルクで駆動輪を駆動制御して乗降停止させるので、倒立振り子車両を傾斜状態で停車させる降車制御を行うことができる。
(1)実施形態の概要
(a)前提
倒立車両では、車両の直立状態よりも傾斜させた状態のほうが乗車、降車を行い易い場合がある。例えば、座席型を備えた倒立車両のように地面から比較的高い位置に搭乗部がある倒立車両の場合、車両の直立状態では搭乗者が乗車することが困難であるため、傾斜状態とすることが好ましい。
本実施形態の車両では、傾斜状態を安定させるために、車体に固定されたの構造体としてのストッパ(制限機構)を配置し、駆動輪の接地点とストッパの接地点との間に搭乗者と車両本体の重心を移動させることで、傾斜状態の車両を安定的に停止させる。
本明細書において、ストッパの前方端部が接地し、車体が傾斜して停止している状態を乗降停止という。
車体の傾斜角を急激に変化させると乗員の乗り心地が低下する。
一方、車体傾斜をゆっくり変化させると、車体の傾斜状態を保持するための駆動トルクが長時間作用するため、起立が完了するまで、及び車体が傾斜してストッパが接地するまでの車両移動距離が長くなってしまう。
本実施形態において、移動目標距離L1、L2は、搭乗者が指定した値を取得するが、予め決められた所定値を記憶しておき該所定値を取得するようにしてもよい。
また、不必要に長い移動目標距離の設定を防ぐ為に、ある閾値(最大移動目標距離、例えば、搭乗者が全く不快に感じないと推定される車体傾斜変化速度に対応)を予め設定し、その値よりも長い移動目標距離を設定した場合には、その閾値を移動目標距離にしてもよい。
そして、取得した移動目標距離に対して、可能な限り車体の起き上がり速度を遅くするように駆動トルクを制御する。
なお、車体の傾斜方向は、通常前方に傾斜する方向に決められているが、例えば、搭乗部に背もたれが無く座面部だけの場合や、座面部も無い場合のように、後方か乗車するように構成されている車両の場合には、後方を所定の傾斜方向としてもよい。
図1は、本実施形態における車両について、乗員が乗車して前方に走行している状態の外観構成を例示したものである。
図1に示されるように、車両は、同軸上に配置された2つの駆動輪11a(11b)を備えている。
両駆動輪11a、11bは、それぞれ駆動モータ12a、12bで駆動されるようになっている。
搭乗部13は、運転者が座る座面部131、背もたれ部132、及びヘッドレスト133で構成されている。
この場合の起立指示や降車指示は、走行指令データと同様に、リモコン操作等により行われる。
本実施形態において、入力装置30の操作により出力される操作信号によって加減速等の制御が行われる。
本実施形態において制御ユニット16は、搭乗部13の座面部131の下面に取り付けられているが、支持部材14に取り付けるようにしてもよい。
1対のストッパ17は、駆動輪12を挟むように配置されているが、駆動輪12a、12bの間に配置するようにしてもよい。
ストッパ17は、支持部材14から前方端部P1までと後方端部P2までの距離が同じ(同一長さ)で、車体の水平状態(車体の傾斜角がゼロの状態)において地面から前方端部P1までの距離と、地面から後方端部P2までの距離は同一に構成されている。
本実施形態では、前方端部P1が接地した状態において乗降停止するが、この際の車体傾斜角は、本実施形態では15度に設定されている。この乗降停止時の傾斜角は車両の最大加速時の車体傾斜角よりも大きければ任意の角度に設定可能である。
制御ユニット16は、制御ECU(電子制御装置)20、操縦装置31、起動・降車スイッチ32、角度計(角速度計)41、駆動輪回転角度計51、駆動輪アクチュエータ52、その他の装置を備えている。
制御ECU20は、本実施形態における起立・降車制御プログラム等の各種プログラムやデータが格納されたROM、作業領域として使用されるRAM、外部記憶装置、インターフェイス部等を備えたコンピュータシステムで構成されている。
操縦装置31は、搭乗者による入力装置30の操作に基づく走行指令を主制御ECU21に供給する。操縦装置31は、ジョイスティックを備えている。ジョイスティックは直立した状態をニュートラル位置とし、前後方向に傾斜させることで加減速を指示し、左右に傾斜させることで左右方向の旋回曲率を指示するようになっている。傾斜角度に応じて、要求加減速度、旋回曲率が大きくなる。
起動・降車スイッチ32には、起立指示スイッチと、降車指示スイッチ及び、起立制御及び降車制御において搭乗者が許容できる車両の移動距離を指定する距離指定キー(起立移動距離取得手段、降車移動距離取得手段として機能)が配置されている。
距離指定キーで指定された距離は、起立指示スイッチが選択された場合には起立移動目標距離L1として、降車指示スイッチが選択された場合には降車移動目標距離L2として主制御ECUに供給されるようになっている。
なお、本実施形態においては、起立移動目標距離L1と降車移動目標距離L2を搭乗者が選択する場合について説明するが、シミュレーションや実車試験に基づいて予め設定した移動目標距離L1、L2(固定値)を使用するようにしてもよい。
また、起立移動目標距離L1、降車移動目標距離L2に所定の最大値を設定し、その値で目標値を制限することで不必要に長い移動を防ぐようにしてもよい。
駆動輪回転角度計51は、駆動輪11の回転角を主制御ECU21に供給し、主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22に駆動トルク指令値を供給し、駆動輪制御ECU22は駆動輪アクチュエータ52に駆動指令値としての駆動電圧を供給する。
駆動輪動アクチュエータ52は、指令値に従って、両駆動輪11a、11bを各々独立して駆動制御するようになっている。
主制御ECU21は駆動輪トルク決定手段として機能し、駆動輪制御ECU22と駆動輪アクチュエータ52は起立制御手段、乗降停止制御手段として機能する。
図3は、起立・降車制御のメインフローを表したフローチャートである。
この図3に示した起立・降車制御のメインフローは、後述する起立制御、降車制御についての第1実施形態から第4実施形態に共通する。
次に、主制御ECU21は、車体が倒立状態にあるか否かを判断する(ステップ20)。なお、この判別は車体傾斜角の計測値を使って行う。
車体が倒立状態になく(ステップ20;N)、かつ、起動指示スイッチがON(ステップ21;Y)の場合、主制御ECU21は、後述する起立制御処理を実行し(ステップ30)、その後メインルーチンにリターンする。
起立処理後のメインルーチンでは、通常の倒立制御による走行制御が実行される。
ここで主制御ECU21は、倒立状態で停止しているか否かの判別条件として、左右各々の駆動輪11の回転速度(絶対値)が共に所定の閾値以下である場合に「停止」とみなす。
例えば、停止するために減速中である場合のように、まだ倒立状態で停止していない場合(ステップ40;N)、主制御ECU21は、メインルーチンにリターンし、停止が検出(ステップ40;Y)されるまで倒立姿勢制御を継続する。
降車制御後のメインルーチンでは、車両の停止状態になるので、その後の起立制御指令やイグニッションキーのオフ(電源オフ指令)の監視と、対応する処理への移行を行う。
図4は、第1実施形態における起立制御の処理内容を表したフローチャートである。
主制御ECU21は、センサから車体傾斜と車輪回転の状態量を取得する(ステップ31)。すなわち、角度計(角速度計)41から車体傾斜角(角速度)を取得し、駆動輪回転角度計(回転速度計)51から駆動輪11の回転角(回転速度)を取得する。
この数式1において、{θW}は駆動輪の回転角速度を、θ1は車体の傾斜角を、{θ1}は車体の傾斜角速度を表す。
なお、本明細書の各数式における{}は時間微分を表し、例えば、[n]はnの時間微分を意味するものとする。また車輪回転角θWと車体傾斜角θ1は、同回転方向を同符号とし、θWを正の方向に回転させる駆動輪トルクとωを正とする。
−KW2{θW}は車輪回転(車体移動)を抑制し、KW3θ1は車体を引き起こす(反トルクは車輪を前方へ加速させる方向に作用)という役割を有する。
また、KW4{θ1}は車体の起立速度を抑制する役割を有する。起立速度の抑制により起立時間が増加し、車両移動量が増加する。
そして、起立時と倒立時で、この値を切り替えることによって、適切な制御を実現している。
フィードバックゲインKW2は、倒立制御のフィードバックゲインと同じ値を設定する。フィードバックゲインKW3については、次の数式2に従って予め設定する。
フィードバックゲインKW2、KW3は、予め設定した値を固定値として記憶しておく。
また、γは起き上がり強さを表し、安全係数に相当する。
図5は、起立移動目標距離L1(縦軸L)とフィードバックゲインKw4(横軸)との関係を表した説明図である。
この起立移動目標距離L1とフィードバックゲインKw4の関係は、主制御ECU21が記憶するが、数式化して記憶し、またはテーブル化して記憶しておく。以下、各図に示した各値の関係を表すグラフについては、同様に数式化して記憶、又はテーブル化して記憶しておく。
図5の車両移動距離曲線(実線)に示されるように、起立移動目標距離L1の値が大きくなるに従ってフィードバックゲインKw4を大きくする。
そして、点線の車体傾斜最大減速度曲線に示されるように、フィードバックゲインKw4が大きくなると車体傾斜の起き上がりが遅く(ゆっくりと)なる。
すなわち、本実施形態によれば、入力された起立移動目標距離L1で起立が完了する最も遅い速度となるようにフィードバックゲインKw4が選択されることで、搭乗者の選択した起立移動目標距離L1で起立時の乗り心地の向上を実現している。
すなわち、主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22に指令値τWを送ると、駆動輪制御ECU22は指令値τWに対応した駆動電圧を駆動輪アクチュエータ52に供給する。これにより、駆動輪11からは駆動トルクτWが出力され、車両は起立移動目標距離L1での起立動作が行われる。
ここで、起立完了か否かについては、角度計41から供給される車体傾斜角度θ1の絶対値から判断する。例えば、車体傾斜角度θ1が所定の閾値q度(例えば、q=±1)以下である場合には起立が完了している、すなわち、倒立状態であると判断する。
図6は、降車制御の処理内容を表したフローチャートである。
主制御ECU21は、起立制御のステップ31(図4)と同様に、センサから車体傾斜と車輪回転の状態量を取得する(ステップ51)。
τW=−KW2{θW}+KW4{θ1}+ΔτW
また、KW4{θ1}は車体の起立速度を抑制し、その反トルクは車輪を前方へ加速させる方向に作用する。
数式4においてδは、付加トルクを与える車体傾斜角の閾値であり、例えばδ=1度が設定されている。実際の降車制御では、そのはじめに、この角度δになるまで車体を傾けることになる。
このように、本実施形態によれば付加トルクΔτWを付加することで、必ず決められた方向(本実施形態では前方)に車両を傾斜した状態で乗降停止することができる。
ΔτW=KW3’(θ1−δ) … (θ<δの場合)
ΔτW=0 … (θ≧δの場合)
フィードバックゲインKW2は、本実施形態における起立制御と同様に、倒立制御のフィードバックゲインと同じ値を設定し、値を固定値として記憶しておく。
すなわち、主制御ECU21は、図5に示されるように、入力された降車移動目標距離L2から対応するフィードバックゲインKw4を決定する。
本実施形態によれば、入力された降車移動目標距離L2で降車制御が完了して乗降停止状態となる条件内で、最も遅い速度で傾斜するようなフィードバックゲインKw4が選択されるので、搭乗者の選択した降車移動目標距離L2で降車制御時の乗り心地向上を実現している。
すなわち、主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22に指令値τWを送ると、駆動輪制御ECU22は指令値τWに対応した駆動電圧を駆動輪アクチュエータ52に供給する。これにより、駆動輪11からは駆動トルクτWが出力され、車両は降車移動目標距離L2での乗降停止移行動作が行われる。
ここで、ストッパ17が接地しているか否かについては、車体の傾斜角速度から判断する。例えば、車体傾斜角速度{θ1}が所定の閾値rad/S(例えば、r=±0.001)以下である場合には車体が接地している、すなわち、乗降停止状態であると判断する。
なお、ストッパ17が接地する前方端部P1(図1参照)に、接地を確認するセンサ(接触センサ、距離センサ)を配置し、その出力から接地か否かを判断するようにしてもよい。
また、車体傾斜角θ1の値が所定の閾値(水平面における乗降停止状態での車体傾斜角の設計値)以上であれば接地とみなすようにしてもよい。
第1の実施形態では、起立速度及び車体傾斜速度を抑制するフィードバックKw4を起立移動目標距離L1、降車移動目標距離L2に応じ変化させることで、できるだけ遅い立ち上がり及び車体傾斜を実現する場合について説明した。
第2の実施形態では、車体傾斜角の目標値θ1 *を、走行制御及び降車制御の開始からの時間tと車体傾斜目標時間Tの関数とし、車体傾斜目標時間Tを起立移動目標距離L1、降車移動目標距離L2から決定することで、起立運動及び乗降停止状態への移行運動をより精密に制御する。
第2実施形態における車両の制御ユニットの構成は、図2に示した構成と同様である。
なお、以下説明する各実施形態における構成図、フローチャートの説明では、第1実施形態と同様の部分について同一の符号、ステップ番号を付し、異なる部分について説明し、同一部分については適宜その説明を省略することとする。
θ1 *(t)=θ1,0cos2((π/2)(t/T1)) … (t≦T1)
θ1 *(t)=0 … (t>T1)
θ1,0は、初期車体傾斜角、すなわち、起立制御を開始する直前の車体傾斜角である。
図8(a)は、数式5の目標値関数θ1 *(t)を表したものである。
この図8(a)に示すように、目標値θ1 *のを、時間tで変化させる。また、同一の時間tにおいて、車体傾斜目標時間T1(後述するように起立移動目標距離L1に応じて決定)が大きいほど車体傾斜角目標値θ1 *は大きくなる。
なお、目標値の3回時間微分(ジャーク)が小さくなるように目標値変数θ1 *(t)を設定してもよい。これにより、搭乗者にとってより快適な姿勢制御が実現できる。
この図8(b)に示される、起立移動目標距離L1と車体傾斜目標時間T1との関係も、起立移動目標距離L1で起立が完了する車体傾斜目標時間T1を予めシミュレーションや実車試験で予めておくことで規定される。
τW=−KW2{θW}+KW3(θ1−θ1 *)+KW4({θ1}−{θ1}*)
−KW2{θW}は、車輪回転(車体移動)を抑制する役割を有する。
KW3(θ1−θ1 *)は、目標車体傾斜角を実現するもので、実際の値θ1を目標値θ1 *に近づける。
KW4({θ1}−{θ1}*)は、目標車体傾斜角速度を実現するもので、実際の値{θ1}を目標値{θ1}*に近づける。
なお、起立の判断条件については第1実施形態と同じである(以下の実施形態でも同じ)。
図9は、降車制御の処理内容を表したフローチャートである。
センサから車体傾斜角と車輪回転の状態量を取得した後(ステップ51)、主制御ECU21は、次の数式7に示す目標値関数により、車体傾斜角目標値θ1 *を設定する(ステップ511)。
θ1 *(t)=θ1,0sin2((π/2)(t/T2)) … (t≦T2)
θ1 *(t)=0 … (t>T2)
θ1,0は、ストッパ17の前方端部P1が接地した乗降停止状態での車体傾斜角であり、平らな地面を仮定した時の設計値を使用する。
この図8(c)に示すように、目標値θ1 *の値を時間tで変化させる。また、同一の時間tにおいて、車体傾斜目標時間T2(後述するように降車移動目標距離L2に応じて決定)が大きいほど車体傾斜角目標値θ1 *は小さくなる。
車体傾斜目標時間T2は、本実施形態における起立制御と同様に、図8(b)と同様な曲線に従って降車移動目標距離L2から決定する。
これにより、開始直後の加速度、及び完了直前の減速度を抑え、搭乗者の不快感を軽減することができる。また、本実施形態の起立制御と同様に、ジャークを考慮して目標値関数θ1 *(t)を設定してもよい。
各フィードバックゲイン(KW2、KW3、KW4)についても、起立制御と同様に、倒立制御におけるフィードバックゲインと同じ値を与える。
なお、降車制御の場合、数式6右辺1項の−KW2{θW}は、車輪回転(車体移動)を抑制し、反トルクは起立制御とは異なり車体傾斜を速くする。
なお、接地の判断条件については第1実施形態と同じである(以下の実施形態でもおなじ)。
この第3の実施形態では、バランサを配設し、該バランサを前後に動かすことで起立制御及び降車制御を補助するものである。
バランサは、搭乗部13を含まない車体質量の一部であり、車体に取り付けられたアクチュエータによって、車軸と鉛直軸に垂直な方向へ自由に動かすことができる部分をいう。
本実施形態では、バランサとして独立した重量体を配置しているが、車両を構成するために必要な重量体、例えば、バッテリ、制御ユニット16の構成体等の少なくとも一部を重量体に追加してもよく、または、単独でバランサとして構成してもよい。これにより、車体の重量増加を抑えることができる。
このバランサによる補助は、第1の実施形態、第2の実施形態、及び後述する第4の実施形態の動作に対し適用することが可能である。
図10に示されるように、本実施形態における制御ユニット16は、
バランサ制御ECU23、バランサ駆動モータ回転角度計61、バランサ駆動アクチュエータ(モータ)62を更に備えており、主制御ECU21はこれら各部と共にバランサ制御システム60として機能するようになっている。
他の構成については、図1で説明した第1実施形態と同様である。
このバランサ移動機構は、重量体移動手段として機能し、バランサ134を前後方向に動かすことによって車両の重心を移動させる。
バランサ134は、搭乗部13と駆動輪11との間に配置されている。このバランサ134は、バランサ駆動アクチュエータ62によって前後方向(車体直立時に車軸と水平面上で直交する方向)に移動可能に構成されている。
本実施形態である図11(a)のバランサ移動機構は、スライダ型アクチュエータ135によって、スライダ上でバランサ134を平行移動させる。
そして、バランサ支持軸モータ137、138によって、支持軸136を半径とする円周軌道上でバランサ134を移動させる。
図11(b)のバランサ移動機構では、バランサ支持軸回転モータ137が座面部131の下部に配設され、円周軌道上の下側でバランサ134が移動する。
図11(c)のバランサ移動機構では、バランサ支持軸回転モータ138が駆動輪11と同軸上に配設され、円周軌道上の上側でバランサ134が移動する。
例えば、2本の伸縮型アクチュエータのそれぞれ一端を車両の前方と後方に固定し、他端をそれぞれバランサ134に固定し、両伸縮型アクチュエータの一方を伸ばし、他方を縮めることで、バランサ134を平行移動させる。
図12におけるバランサ134は、車軸及び車両中心軸に垂直な方向に移動する図11(a)の場合を例示している。
なお、図11(b)、(c)に示すように、バランサ134がバランサ支持軸回転モータ137、138を中心とする円周軌道上を移動する場合には、支持軸136の回転角度をバランサの車体中心軸からの変位(位置)に換算して制御する。
(a)状態量
θW:タイヤの回転角[rad]
θ1:本体の傾斜角(鉛直軸基準)[rad]
λ2:バランサの位置(車体中心点基準)[m]
(b)入力
τW:駆動モータトルク(2輪合計)[Nm]
SB:バランサ駆動推力[N]
(c)物理定数
g:重力加速度[m/s2]
(d)パラメータ
mW:タイヤの質量[kg]
RW:タイヤの半径[m]
IW:タイヤの慣性モーメント(車軸周り)[kgm2]
m1:本体の質量(乗員を含む)[kg]
l1:本体の重心距離(車軸から)[m]
I1:本体の慣性モーメント(重心周り)[kgm2]
m2:バランサの質量[kg]
l2:バランサの基準重心距離(車軸から)[m]
I2:バランサの慣性モーメント(重心周り)[kgm2]
なお、バランサの位置λ2は、車両前方を正とする(車体傾斜角θ1の正方向と同じ)。
図13は、第3実施形態における起立制御の処理内容を表したフローチャートである。
主制御ECU21は、センサから車体傾斜角と車輪回転の状態量を取得した後(ステップ31)、取得した各状態量に基づいて、起立に必要な駆動輪アクチュエータ52のトルク指令値τWを決定する(ステップ32)。
トルク指令値τWの決定には、第1実施形態の起立制御で説明した数式1を使用する。
数式1において、フィードバックゲインKW2、KW3は、第1実施形態と同じ値を使用する。
図14は、トルク指令値τWを決定するための各種関係を表したものである。
図14(a)は、移動目標距離LとフィードバックゲインKW4との関係を表したものである。点線で示したバランサ134を使用しない場合(第1実施形態の図5参照)の車両移動距離曲線に比べ、同一の移動目標距離LにあるフィードバックゲインKW4(車体起立速度を抑える役割のゲイン)が大きく設定される(KW4>KW4´)。
ついで主制御ECU21は、次の数式8に示す目標値関数から、バランサ134の目標位置λ2 *を決定する(ステップ331)。
なお、以降の数式においてmin[x,y]はxとyのうち小さい方の値を、その関数値とすることを表す。
λ2 *(θ1)=−min{((m1l1+m2l2)/m2)θ1,λ2,max}
なお、λ2,Maxは、バランサ134を後方に移動した場合の最大移動量(正の値)である。
起立制御において、初めにバランサを後方まで動かした後、車体の起立と共に中央へ動かす。
ランサ134を予め(降車制御完了時に)後方最大位置λ2,Maxに移動させておくことにより、起立制御開始時におけるバランサの急速後方への移動を省いてもよい。
m2、l2は、図12で説明したように、バランサの質量と車軸からの基準重心距離である。
θ1,lim=(m2λ2,max)/(m1l1+m2l2)
次いで主制御ECU21は、バランサ駆動アクチュエータ62の推力指令値(バランサ駆動推力指令値)SBを、次の数式10から決定する(ステップ333)。
SB=−KB5(λ2−λ2 *)−KB6({λ2}−{λ2 *})
すなわち主制御ECU21は、バランサ制御ECU23に推力指令値SBを送ると、バランサ制御ECU23は推力指令値SBに対応した駆動電圧をバランサ駆動アクチュエータ622に供給する。これにより、バランサ134は、対応する推力で適切に動かされ、起立制御を補助する。
図15は、降車制御の処理内容を表したフローチャートである。
主制御ECU21は、センサから車体傾斜角と車輪回転の状態量を取得した後(ステップ31)、取得した各状態量に基づいて、乗降停止するための傾斜に必要な駆動輪アクチュエータ52のトルク指令値τWを決定する(ステップ52)。
トルク指令値τWの決定には、第1実施形態の降車制御で説明した数式3を使用する。フィードバックゲインKW2、KW4については、第1実施形態と同様にして決定する。
ただし、フィードバックゲインKW4の値は、本実施形態の起立制御と同様に、バランサの効果を考慮して大きくする。
一方、数式3のΔτW(車体を乗降停止の傾斜方向と反対方向、本実施形態の場合には後ろ方向に倒さないための付加トルク)については、次の数式11に従って決定する。これは数式4でδ=0とした場合と同じであり、本実施形態では、バランサにλ2,δとして、この役割に代替させる(後述参照)。
ΔτW=KW3’θ1 … (θ<0の場合)
ΔτW=0 … (θ≧0の場合)
ついで主制御ECU21は、次の数式12(数12)に示す目標値関数から、バランサ134の目標位置λ2 *を決定する(ステップ531)。
λ2,δ=λ2,Max
λ2,R=min{λ2,Max ,((m1l1+m2l2)/m2)θ1,R}
一方、車体傾斜角θ1が閾値θ1,Rよりも大きい場合には、バランサを後方にλ2,R動かすことで、車体傾斜速度を抑える(この時、車体の傾斜を抑えずに、逆に傾き始めることがないように、移動量λ2,Rに制限を与えている)。
そして、その推力指令値SBを、起立制御と同様にバランサ制御システムに与え(ステップ534)、ストッパ17が接地していなければステップ51に戻り(ステップ54;N)、接地していればメインルーチンにリターンする(ステップ54;Y)。
第4の実施形態では、車両の前方に存在する障害物を検知して、制御パラメータ(起立移動目標距離L1、降車移動目標距離L2)を修正するものである。
この障害物検知による制御パラメータの変更は、第1〜第3の各実施形態の動作に対し適用することが可能である。
第4実施形態における制御ユニット16には、他の実施形態の構成に加えて、距離センサ(障害物センサ)71を備えた車両周辺認識システム70が追加されている。
距離センサ71は、車両前方に存在する障害物を検出し、前方障害物までの距離を主制御ECU21に供給する。
なお、車体は傾斜するので、その影響を、車体制御システムの角度計41の検出値θ1に基づいて補正するようになっている。
図17は、第4実施形態における起立制御の処理内容を表したフローチャートである。
まず主制御ECU21は、前方障害物までの距離を取得する(ステップ301)。すなわち、走行制御部21は、はじめに、距離センサ71によって、車両前縁から前方障害物までの距離Λを取得する。なお、前方に障害物が無い場合には、測定可能距離の最大値が距離Λとして設定される。
なお、障害物までの距離を実際の測定値よりも小さい値に変更してもよい。例えば、測定値Λ〜に対して、設定値Λ=Λ〜/Csafe(Csafeは安全係数)としてもよい。
KW4=f(L1)…(L1<Λの場合)
KW4=f(Λ) …(L1≧Λの場合)
一方、入力された起立移動目標距離L1が障害物までの距離Λ以上である場合(L=L(D))、図18に示すように、起立移動目標距離L1を障害物までの距離Λに置き換えて、距離Λに対応するフィードバックゲインKW4に修正する(KW4=KW4 (D))。
この前方障害物距離の再取得は、本実施形態による起立制御の途中で突然前方に障害物が現れた場合を想定し、起立制御を中止してその障害物の手前で車両を急停止させるために取得を行う。
τW=−KW2{θW}+KW3θ1+KW4{θ1}+ΔτW,OB
一方、ΔτW,OBは、新たな障害物への衝突を防ぐための緊急付加トルクで、新たな障害物までの距離ΛSを使用して、次の数式15から決定する。
数式15において、ΛS,0、KW,OB、Nは、予め設定しておくパラメータである。
ΔτW,OB=−KW,OB(ΛS/ΛS,0)-N
図19は、降車制御の処理内容を表したフローチャートである。
主制御ECU21は、起立制御と同様に、前方障害物までの距離を取得し(ステップ501)、その値に基づいて駆動輪制御パラメータ(フィードバックゲインKW4)を修正する(ステップ502)。
なお、フィードバックゲインKW4の修正方法は、起立制御と同様である(図17ステップ302、図18参照)。
主制御ECU21は、最初に取得した障害物までの距離Λの値によって修正されたフィードバックゲインKW4と、新たな障害物までの距離ΛSから、次の数式15に従って駆動輪アクチュエータ52のトルク指令値を決定する(ステップ52)。
τW=−KW2{θW}+KW4{θ1}+ΔτW+ΔτW,OB
ΔτWは、車体を前に倒すための付加トルクで、第1実施形態における降車制御と同様に、数式4により決定する。
一方、ΔτW,OBは、新たな障害物への衝突を防ぐための付加トルクで、新たな障害物までの距離ΛSを使用して、本実施形態の起立制御と同様に、数式15から決定する。
この付加トルクは、車両の前進を抑える方向に駆動輪を作用し、その反トルクは車体を前に傾ける。従って、この付加トルクが大きくなると、車体を強引に倒し、降車制御を強制的に終了させると同時に障害物への衝突も回避できる。
さらに第3の実施形態によれば、起立制御時及び降車制御時にバランサ134を前後に動かすことで、同一の移動距離でも、バランサを移動しない場合に比べて車体傾斜速度をより小さくすることができる。また、同一の車体傾斜速度でも車両移動距離を短くすることができる。
また第4の実施形態によれば、前方に障害物を検出した場合、を起立移動目標距離L1、降車移動目標距離L2を障害物までの距離に置き換えることで、制御パラメータを修正するので、障害物の手前で起立、降車制御を完了することができる。
例えば、説明した第1実施形態及びこれと同様の処理をする他の実施形態では、駆動輪トルク指令値τWを決定する数式(例えば、数式1)において、フィードバックゲインKW2、KW3を固定値とし、入力された起立移動目標距離L1、降車移動目標距離L2対応してフィードバックゲインKW4を決定する場合について説明した。
例えば、図20に示されるように、起立移動目標距離L1、降車移動目標距離L2に対応して、フィードバックゲインの比KW2/KW4を決定することで、KW2及びKW4を設定するようにしてもよい。
具体的な決定方法としては、基準値として、倒立姿勢制御におけるフィードバックゲインと同じ値を仮設定し、起立移動目標距離L1、降車移動目標距離L2に対応して図20からKW2、KW4の値を修正する。
なお、この場合のフィードバックゲインKW3は倒立制御と同じ値で固定する。
12 駆動モータ
13 搭乗部
131 座面部
16 制御ユニット
20 制御ECU
21 主制御ECU
22 駆動輪制御ECU
23 バランサ制御ECU
31 操縦装置
41 角度計
51 駆動輪回転角度計
52 駆動輪アクチュエータ
61 バランサ駆動モータ回転角度計
62 バランサ駆動アクチュエータ(モータ)
Claims (16)
- 車体の傾斜状態と駆動輪の回転状態に応じて前記駆動輪のトルクを制御することで、搭乗部を含む車体を倒立状態に保持して走行する車両であって、
停止時において一部が接地することで前記車体の傾斜角を制限する制限機構と、
前記制限機構の接地状態から起立するまでの起立移動距離の目標値を取得する起立移動距離取得手段と、
前記取得した起立移動距離の目標値に基づき、前記駆動輪トルクを決定する駆動輪トルク決定手段と、
前記決定した駆動輪トルクで前記駆動輪を駆動制御して車両を起立させる起立制御手段と、を具備し、
前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角、車体の傾斜角速度、駆動輪の回転速度の少なくとも1に対するフィードバックゲインを、前記起立移動距離の目標値に基づいて決定することで駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする車両。 - 起立方向に存在する障害物までの距離を取得する障害物距離取得手段を備え、
前記駆動輪トルク決定手段は、前記取得した障害物までの距離が前記取得した起立移動距離の目標値よりも小さい場合に、前記障害物までの距離に基づき、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両。 - 車体の傾斜状態と駆動輪の回転状態に応じて前記駆動輪のトルクを制御することで、搭乗部を含む車体を倒立状態に保持して走行する車両であって、
一部が接地することで前記車体の傾斜角を制限する制限機構と、
前記制限機構の前記一部が接地し、車体が傾斜して停止した乗降停止までの目標距離を降車移動距離として取得する降車移動距離取得手段と、
前記取得した降車移動距離で乗降停止する駆動輪トルクを決定する駆動輪トルク決定手段と、
前記決定した駆動輪トルクで前記駆動輪を駆動制御して乗降停止させる乗降停止制御手段と、を具備し、
前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角速度、駆動輪の回転速度の少なくとも一方に対するフィードバックゲインを、前記降車移動距離に応じて決定することで駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする車両。 - 降車移動方向に存在する障害物までの距離を取得する障害物距離取得手段を備え、
前記駆動輪トルク決定手段は、前記障害物までの距離が前記取得した降車移動距離よりも小さい場合に、前記障害物までの距離に基づき、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両。 - 前記駆動輪トルク決定手段は、車体を所定の方向に傾斜させて乗降停止させるための、車体の傾斜角に応じた付加トルクを加えて、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項3、又は請求項4に記載の車両。 - 車体の傾斜状態と駆動輪の回転状態に応じて前記駆動輪のトルクを制御することで、搭乗部を含む車体を倒立状態に保持して走行する車両であって、
停止時において一部が接地することで前記車体の傾斜角を制限する制限機構と、
前記制限機構の接地状態から起立するまでの起立移動距離の目標値を取得する起立移動距離取得手段と、
前記取得した起立移動距離の目標値に基づき、前記駆動輪トルクを決定する駆動輪トルク決定手段と、
前記決定した駆動輪トルクで前記駆動輪を駆動制御して車両を起立させる起立制御手段と、
前記搭乗部に対して車両の前後方向に移動可能に配置されたバランサと、
起立時に、前記車体の傾斜角θに応じてバランサ位置を移動する移動手段と、を備え、
前記駆動輪トルク決定手段は、前記バランサの移動により車体に作用する重力トルクを考慮して駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする車両。 - 前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角、車体の傾斜角速度、駆動輪の回転速度の少なくとも1に対するフィードバックゲインを、前記起立移動距離の目標値に基づいて決定することで駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両。 - 前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角をフィードバック制御し、前記車体の傾斜角の目標値を起立開始後の時間に応じて変化させることで、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の車両。 - 前記駆動輪トルク決定手段は、起立開始時と起立完了時の起立速度が、起立途中の起立速度よりも小さくなるように、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項8に記載の車両。 - 起立方向に存在する障害物までの距離を取得する障害物距離取得手段を備え、
前記駆動輪トルク決定手段は、前記取得した障害物までの距離が前記取得した起立移動距離の目標値よりも小さい場合に、前記障害物までの距離に基づき、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項6から請求項9のうちのいずれか1の請求項に記載の車両。 - 車体の傾斜状態と駆動輪の回転状態に応じて前記駆動輪のトルクを制御することで、搭乗部を含む車体を倒立状態に保持して走行する車両であって、
一部が接地することで前記車体の傾斜角を制限する制限機構と、
前記制限機構の前記一部が接地し、車体が傾斜して停止した乗降停止までの目標距離を降車移動距離として取得する降車移動距離取得手段と、
前記取得した降車移動距離で乗降停止する駆動輪トルクを決定する駆動輪トルク決定手段と、
前記決定した駆動輪トルクで前記駆動輪を駆動制御して乗降停止させる乗降停止制御手段と、
前記搭乗部に対して車両の前後方向に移動可能に配置されたバランサと、
乗降停止に移行する場合に、前記車体の傾斜角に応じてバランサ位置を移動する移動手段と、を備え、
前記駆動輪トルク決定手段は、前記バランサの移動により車体に作用する重力トルクを考慮して駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする車両。 - 前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角速度、駆動輪の回転速度の少なくとも一方に対するフィードバックゲインを、前記降車移動距離に応じて決定することで駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項11に記載の車両。 - 前記駆動輪トルク決定手段は、車体の傾斜角をフィードバック制御し、前記車体の傾斜角の目標値を乗降停止への移行開始後の時間に応じて変化させることで、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項11に記載の車両。 - 前記駆動輪トルク決定手段は、乗降停止への移行開始時と完了時の車体傾斜速度が、乗降停止までの途中の車体傾斜速度よりも小さくなるように、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項13に記載の車両。 - 降車移動方向に存在する障害物までの距離を取得する障害物距離取得手段を備え、
前記駆動輪トルク決定手段は、前記障害物までの距離が前記取得した降車移動距離よりも小さい場合に、前記障害物までの距離に基づき、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項11から請求項14のうちのいずれか1の請求項に記載の車両。 - 前記駆動輪トルク決定手段は、車体を所定の方向に傾斜させて乗降停止させるための、車体の傾斜角に応じた付加トルクを加えて、前記駆動輪トルクを決定する、
ことを特徴とする請求項11から請求項15のうちのいずれか1の請求項に記載の車両。
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