JP5304365B2 - 移動ロボットの制御方法 - Google Patents
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Description
図16は、従来の自律移動ロボットの動作を示す図である。
この移動ロボット10は、一対の同軸車輪11を有し、いわゆる倒立振り子制御によって自律的に安定性を保ちながら進行する。図16では、停止状態から車輪11を押し出して立ち上がり、進行する様子を示している。
ここで、レーザーレンジセンサの検出範囲を3次元的に拡大しようとすると、次の二つの方法が考えられる。
一つ目の方法としては、レーザーの発射方向を拡げるため、発光素子の発光方向を拡張するか、可動ミラーによってレーザーの発射方向を上下に振ることが考えられる。
二つ目の方法としては、垂直方向に可動のモータを設けて、レーザーレンジセンサそのものを上下動可能に設けることが考えられる。
また、レーザーレンジセンサを上下動可能にするために現在の機構に加えて複数のモータと位置測定用のエンコーダを付加せねばならず、それらの重量、コストおよびスペースの増加が発生するという問題がある。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る移動ロボットの側面図である。
図2は、移動ロボットの上面図である。
また、図3は、移動ロボットが静止している状態を示す図である。
例えば、ただの直方体型であってもよいことはもちろんである。
ここで、背景技術では、車輪が車体に対して出し入れ自在に設けられていたが、本実施形態では、車輪120、120は車体110に対して出し入れする必要はなく、車輪120、120の位置は固定されていてもよい。したがって、車輪120、120を出し入れするための動力機構は必要ない。
ここでは、図1中の右方向を移動ロボット100の前側とし、図1中の左側を移動ロボット100の後側とする。そして、図3に示すように、静止状態では、前端の補助バー130を伸ばし、後端の補助ステップ140は縮める。すると、車体110は、ピッチ軸を中心とした揺動で後側に傾斜し、補助ステップ140に自重を預けた状態で安定する。
また、移動ロボット100が走行するときには、補助ステップ140も補助バー130も縮めて、車輪120、120だけの倒立制御で立ち上がって走行する。
本実施形態では、図3の静止状態から立ち上がるまでの動作に特徴を有するところ、立ち上がりの動作は図5のフローチャートを参照しつつ後述する。
この点、本実施形態では、伸縮自在の補助バー130および補助ステップ140を備えている。これにより、補助バーおよび補助ステップの伸縮により、図3の静止状態で安定させたり、移動ロボットを立ち上がらせることできる。補助バーおよび補助ステップは、単に棒体を押し引きする機構であればいいので、従来のように車輪を出し入れする機構に比べて非常に簡便な機構によって実現できる。これにより、部品点数の削減、低コスト、低重量の効果を奏することができるものである。
レーザーレンジセンサ150は、移動ロボット100が走行状態にあるときにレーザーを水平に発射するように取り付けられている。そして、レーザーレンジセンサ150は、図2に示されるように二次元方向にはある程度の検出角度幅を有する。
移動ロボット100は、姿勢センサ160と、駆動回路121、121と、一対の車輪速度センサ170、170と、制御装置180と、を備えている。
姿勢センサ160は、車体110に内蔵され、車体110のピッチ角度、ピッチ角速度、加速度等を検出する。姿勢センサ160は、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ等から構成されている。
これにより、移動ロボット100は、バランスを保ちながら所定の移動速度で走行する。
また、走行制御部181は、走行可能な経路を自律的に選択して、移動ロボット100が安全な走行ができるようにする。
この際、走行制御部181は、地図データ生成部183にて生成された地図データを参照しつつ安全な経路を事前に選択し、さらに、走行中はレーザーレンジセンサ150からの検出結果を随時参照して危険を回避する。
図5は、立ち上がり動作を行いつつセンシングデータを取得する手順を示すフローチャートである。
はじめ、図3に示されるように移動ロボット100が静止している。すなわち、補助ステップ140は最短に短縮し、補助バー130は最長に伸ばし、ピッチ軸を中心とした揺動で後側に傾斜して補助ステップ140に自重を預けた状態で安定している。この状態から立ち上がりの動作を開始する(ST100)。
このとき、車体110は後傾しているため、レーザーレンジセンサ150から発射されるレーザーは斜め上方に発射されることになる(図6参照)。
傾斜角度変更工程(ST200)は、補助ステップ140を伸長させる工程(ST121)と、補助バー130を短縮させる工程(ST122)と、からなる。
一回の傾斜角変更工程(ST200)による車体110の角度変化は予め設定された小刻みなものになるように設定されている。そして、図6に示されるように、補助ステップ140を地面に向けて所定長さだけ伸ばし(ST121)、同時に、補助バー130を所定長さだけ縮める(ST122)。すると、車体110の角度は図7に示されるようにわずかに前傾方向に変化する。それとともに、レーザーレンジセンサ150によるレーザーの発射方向も仰角から俯角方向に変化する。
ST131において、姿勢センサ160が現在の車体110の角度を検出する。これは、現在のレーザー発射角度を求めることと同義である。
これにより、現在のレーザー発射方向に障害物が有るか無いか、障害物までの距離がどの程度かを検出する。そして、ST133において、レーザーの発射角度とレーザーレンジセンサのセンサ値とを関連づけるようにマージ(併合)して記憶する。
傾斜角度変更工程(ST200)によって車体110の角度が徐々に前傾方向に変化し、図6、図7の状態を経て、さらには、図8に示すように、レーザーの発射角度が俯角を向くようになる。
最終的には、補助ステップ140が最長まで伸び、補助バー130が最も短縮した図9の状態になる。
図11は、移動ロボット100の走行制御の手順を示すフローチャートである。
走行にあたって、まず、ST200において地図データの作成を実行する。これは、立ち上がり動作の間に取得したセンシングデータを用いて周辺の地図データを生成する工程である。レーザーレンジセンサ150が本来有する2次元的なセンシングデータに加え、車体110の傾斜角度とともにレーザー発射角度を高さ方向で変化させているので、三次元的なセンシングデータが地図データ生成部183に蓄積されている。これに基づいて、図12に示すような地図データを生成する。図12中において、符号910、930は障害物を表す。
図13に示すように、検出範囲における手前側の限界をL[m]、手前側限界における検出可能高さをH[m]、とする。
地面からレーザーレンジセンサ150が設けられている高さをF[m]とする。
また、最も前傾したときの角度θ1と最も後傾したときの角度θ2を図13のようにとる。
このとき、L、Hは次のように表わされる。
これにより、図12中の矢印で示すように、障害物910、930を避ける安全経路の選択を行う。
(1)本実施形態では、立ち上がり動作の際に車体の傾斜角度を変化させることにより、二次元的な検出能力しかもたないレーザーレンジセンサ150を用いて、三次元的なセンシングを行うことができる。
従来は、レーザーを水平に発射していたので、レーザーを発射する高さより低かったり高かったりする障害物は検出できず、移動ロボットが自律的に回避することはできなかった。
この点、本実施形態によれば、移動ロボット100は立ち上がり動作の過程でレーザーの発射方向を仰角から俯角へ変化させる。これにより、高さ方向にも広い範囲においてレーザーセンシングを行って、三次元的に障害物の検出を行うことができる。
このとき、車体110の角度変化は移動ロボット100が静止状態の安定のために備えている補助ステップ140および補助バー130を用いるだけであり、その他の別途の機構を用いる必要はない。
また、車体110の傾斜角度を検出するための姿勢センサ160は、倒立制御のために本来備わっているものを使用することができる。
したがって、部品点数、コスト、重量の増加を招くことなく3次元的レーザーセンシングを可能とする。たとえば、レーザーレンジセンサ自体を三次元センサに改良したり、レーザーレンジセンサだけを高さ方向に駆動するための機構を付加することに比べ、本実施形態は非常に簡便に実施できるという利点を有する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の基本的構成は第1実施形態に同様であるが、第2実施形態では、一度前傾したのちに水平に戻る際にもセンシングする点に特徴を有する。
図14は、この第2実施形態の動作手順を示すフローチャートである。
図14において、傾斜角変更工程(ST120)とセンシング処理工程(ST130)によって車体110を徐々に前傾方向に傾斜させながらセンシングを行う。そして、ST140において車体の前傾角度が規定値に達すると(ST140:YES)、次は、車体110を後傾側に変化させつつセンシングを行う処理に移行する。
移動ロボット100にとって危険な障害物は地面にある落下物であったり、地面の突然の窪みなど、低い高さにあることが予想される。
この点、本実施形態によれば、水平角度から前傾方向の規定値までを二度繰り返してセンシングするので、詳細かつ正確な地図データを作成してより確実に危険を回避することができる。
上記第1実施形態および第2実施形態では、前傾方向の規定値として、補助ステップ140が最長まで伸び、補助バー130が最も短縮した図9の状態になる場合を例示した。
ここで、前傾方向の規定値としては、補助ステップ140が最長まで伸びた状態とする必要はなく、例えば、図15に示すように、ある程度俯角側に車体110が傾斜したところで倒立制御を開始するようにしてもよい。
これにより立ち上がり動作に掛かる時間を短縮することができる。
上記実施形態では、静止状態から倒立制御に移行する過程において車体110とともにレーザーの発射角度を変化させることにより高さ方向の広い範囲においてレーザーセンシングを行う場合を説明した。
このような障害物検出動作は、立ち上がり動作時のみならず、移動ロボットが走行している途中で実行してもよい。すなわち、移動ロボットの走行中に車体の傾斜角度を意図的に変化させてレーザーの発射方向を高さ方向に振る。
このときのレーザー発射角度とレーザーレンジセンサのセンサ値とをサンプリングすることによって三次元的に障害物の検出を行うことができる。
例えば、立ち上がり時に作成した地図データのカバー領域のマージンまで到達したときに前記の障害物検出動作を行ってもよい。
レーザーレンジセンサが車体の前端に設けられている実施形態を例示したが、レーザーレンジセンサは必要に応じて車体の後端にも設けられていてもよい。
これにより、後方についても三次元的に障害物の検出を行うことができる。
上記実施形態では、静止時はレーザーの発射方向が仰角であり、立ち上がり動作を行う過程でレーザー発射方向を俯角に変化させる場合を例示した。
これに対し、逆に、静止時はレーザー発射方向が俯角であり、立ち上がり動作を行う過程でレーザー発射方向を仰角に変化させるようにしてもよい。
Claims (3)
- 車体と、
この車体の走行方向と直交する方向の両側において同軸上に配置された一対の車輪と、
倒立制御状態にある車体から略水平方向にレーザーを発射するように当該車体に設けられたレーザーレンジセンサと、を備え、障害物を含む環境を自律的に走行する移動ロボットの制御方法であって、
前記車体の傾斜角度を変更する傾斜角度変更工程と、
前記車体の傾斜角度を検出する傾斜角度検出工程と、
前記レーザーレンジセンサによる検出値をサンプリングするサンプリング工程と、
レーザーの発射角度とレーザーレンジセンサのセンサ値とを関連づけるようにマージ処理するマージ処理工程と、を備え、
前記傾斜角度変更工程、前記傾斜角度検出工程、前記サンプリング工程および前記マージ処理工程を、移動ロボットが静止状態から倒立状態に移行する過程で実行する
ことを特徴とする移動ロボットの制御方法。 - 請求項1に記載の移動ロボット制御方法において、
移動ロボットは、前記車体の前端および後端の少なくとも一方に伸縮自在の補助棒を有し、
前記傾斜角度変更工程は、前記補助棒の伸縮によって実行する
ことを特徴とする移動ロボットの制御方法。 - 請求項1または請求項2に記載の移動ロボットの制御方法において、
移動ロボットは、静止時では車体を水平から傾斜させた状態で安定しており、
前記傾斜角度変更工程では、水平状態を超えて少なくとも一度は静止時とは反対の方向に車体が傾斜するまで車体角度を変更する
ことを特徴とする移動ロボットの制御方法。
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