JP4858847B2 - 車両 - Google Patents

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本発明は、車両に係り、例えば、倒立振り子の姿勢制御を利用した車両に関する。
倒立振り子の姿勢制御を利用した車両(以下、単に倒立振り子車両という)が注目されている。倒立振り子車両では、センサ部で筐体のバランス状態を検出しながら、制御部が回転体の動作を制御して搬送装置を静止若しくは移動させるようにしている。
このような倒立振り子車両において、車体の一部を接地させることで、その傾斜を制限するための接地部材として、出没可能な補助輪を使用する技術が特許文献1、2で提案されている。
特許文献1では、搭乗者の乗車および降車の際に、補助輪を出して接地させることで、車両の姿勢を安定化させ、搭乗者の乗車、降車を容易にすることについて記載されている。また、姿勢制御が困難な状況に陥ったときにも、補助輪を出すことで車両の姿勢を保つことについて記載されている。
一方、特許文献2では、動作異常時に補助輪を突出させ、車体を安定した状態に保持することについて記載されている。
特開2004−74814 特開2004−217170
倒立車両では、車両の加減速時に車体を傾けることでそのバランスを保つため、急加速や急減速のように要求加速度が大きい場合には車体を前後に大きく傾斜させる必要があり、それに伴い搭乗者の視界が大きく上下するため、乗り心地の低下を招くことになる。
しかし、上記特許文献における接地部材(補助輪)は、いずれも車両の停止時や異常時という限られた場合にのみ接地させるものである。
そこで、本発明は、接地部材を用いることにより加速度に対応する車体傾斜角度を低減させることが可能な車両を提供することを目的とする。
(1)前記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、一軸上に配置された駆動輪と、搭乗部を含む車体と、車両の要求加速度を取得する要求加速度取得手段と、前記駆動輪のトルクを制御することで搭乗部を含む車体を倒立状態に保持し、前記取得した要求加速度に応じて走行する走行制御手段と、前記駆動輪よりも前方又は後方において接地状態と非接地状態の選択が可能に配設された接地部材と、前記取得した要求加速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、前記駆動輪に対して加速度の方向と逆方向側に前記接地部材を接地させる接地部材制御手段と、前記接地した接地部材の位置を取得する位置取得手段と、前記取得した接地部材の位置に対応する限界加速度の絶対値が、前記取得した要求加速度の絶対値より小さい場合に、前記走行制御手段で使用する前記要求加速度を前記限界加速度以下の値に修正する修正手段と、を具備したことを特徴とする車両を提供する。
(2)請求項2記載の発明では、前記接地部材制御手段は、前記取得した加速度の絶対値が大きくなるほど前記駆動輪から離れた位置に前記接地部材を接地させる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両を提供する。
(3)請求項3記載の発明では、前記接地部材制御手段は、前記接地部材の非接地状態において、前記駆動輪の回転軸を通る鉛直線上の位置、又は、前記要求加速度の絶対値が所定閾値である場合の接地位置において前記接地部材を所定距離だけ浮かせて待機させる、ことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の車両を提供する。
(4)請求項4記載の発明では、前記車体の車体傾斜角の最大値を選択する選択手段を備え、前記接地部材制御手段は、前記選択された車体傾斜角の最大値に対応する加速度を前記所定閾値とする、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の車両を提供する。
(5)請求項5記載の発明では、前記接地部材の接地状態において、前記駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段を備え、前記接地部材制御手段は、前記駆動輪のスリップが検出された場合に、前記接地部材を、前記駆動輪から離れる方向に移動する、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の車両を提供する。
本発明によれば、要求加速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、駆動輪に対して加速度の方向と逆方向側に前記接地部材を接地させるようにしたので、加速度に対応する車体の傾斜角度を低減させることができる。
以下、本発明の車両における好適な実施の形態について、図1から図11を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の車両は倒立型車両で、一軸上の駆動輪と、その軸に搭乗部を接続した構造を有し、センサにより車体の傾斜と車輪の回転を計測し、その計測値に応じて駆動輪により制御することで、搭乗部を倒立状態に保持したまま、移動する車両である。
また、接地部材として機能する可動補助輪機構を備える。可動補助輪機構は、補助輪、ロッドアクチュエータ、ロッド制御ECUで構成される。
急加減速時において加速度の絶対値が所定閾値を越える場合には、補助輪を接地させる。加速度は要求加速度、実加速度のいずれを用いてもよい。補助輪の接地位置は、加速時には駆動輪の接地点より前方、減速時には後方加速度が大きくなるほど、駆動輪から(基準位置から)離れるように設定される。
このように本実施形態の車両では、必要なときに必要な位置に補助輪を接地することで、倒立型車両の優位性と補助輪の優位性の両立を実現している。
具体的には、加速度の絶対値が所定閾値よりも小さい場合には、車体傾斜による重心移動で車体の姿勢を保持する。
一方、加速度の絶対値が所定閾値よりも大きい場合、所定閾値に対応する傾斜角度まで車体を傾斜させる(車体傾斜の最大値)と共に、加速度とは逆の方向に補助輪を移動接地させることで、補助輪に作用する反力(垂直抗力)と車体傾斜による重心移動で車体の姿勢を保持する。
このように所定加速度の範囲内では対応する角度で車体が傾斜するが、所定閾値を越える加速度に対して補助輪の接地により所定閾値以上の車体傾斜が制限されるので、搭乗者にとって、快適な加減速を実現できる。
また、補助輪を接地する場合、加速度の大きさに応じて、駆動輪に最低減必要な接地荷重を確保する位置まで、補助輪の位置(駆動輪−補助輪間のホイールベース)を変化させる。これにより駆動輪の接地荷重が保証されるため、確実な加減速が実現される。
本実施形態では、所定閾値以下の加減速に対して補助輪は非接地であるため、無用な補助輪接地による軸摩擦、回転慣性によるエネルギー損失を少なくすることができる。
なお、接地部材としては必ずしも補助輪である必要はなく、先端部に所定の曲率をもった湾曲部材を接地部材として接地させるようにしてもよい。
他の実施形態として、搭乗者の好みに応じて、車体傾斜の程度を変化させることも可能である。
また、実際の補助輪位置に対して、目標減速度を制限することも可能である。
また、駆動輪がスリップした場合、補助輪を遠ざけることにより、駆動輪の接地荷重を増やしてスリップを回避することも可能である。
また、実際の補助輪位置に対して目標減速度を制限することで、補助輪が移動する前に対応できない大きな加速度を与える場合を解消することも可能である。
また、緊急制動時に、車体姿勢制御よりも走行制御を優先することも可能である。すなわち緊急制動時には、車体を直立に保持したまま、又は車体を加速度の方向と逆方向に傾けながら直ちに補助輪を接地させることで、制動のための姿勢後傾動作に伴う制動の時間遅れをなくす。
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態における車両について、乗員が乗車した状態の外観構成を例示したものである。
図1に示されるように、車両は、同軸上に配置された2つの駆動輪11a(11b)を備えている。両駆動輪11a、11bは、それぞれ駆動モータ12a、12bで駆動されるようになっている。
駆動輪11a、11b(両駆動輪11aと11bを指す場合には駆動輪11という。以下他の構成も同じ)及び駆動モータ12の上部には、重量体である荷物や乗員等が搭乗する搭乗部13(シート)が配置されている。
搭乗部13は、運転者が座る座面部131、背もたれ部132、及びヘッドレスト133で構成されている。
搭乗部13は、駆動モータ12が収納されている駆動モータ筐体に固定された支持部材14により支持されている。
搭乗部13の脇には入力装置30が配置されている。この入力装置30は、運転者の操作により、車両の加速、減速、旋回、その場回転、停止、制動等の指示を行う。
本実施形態における入力装置30は、座面部131に固定されているが、有線又は無線で接続されたリモコンにより構成するようにしてもよい。また、肘掛けを設けその上部に入力装置30を配置するようにしてもよい。
また、本実施形態の車両には、入力装置30が配置されているが、予め決められた走行指令データに従って自動走行する車両の場合には、入力装置30に代えて走行指令データ取得部が配設される。走行指令データ取得部は、例えば、半導体メモリ等の各種記憶媒体から走行指令データを読み取る読み取り手段で構成し、または/及び、無線通信により外部から走行指令データを取得する通信制御手段で構成するようにしてもよい。
なお、図1において、搭乗部13には人が搭乗している場合について表示しているが、必ずしも人が運転する車両には限定されず、荷物だけを乗せて外部からのリモコン操作等により走行や停止をさせる場合、荷物だけを乗せて走行指令データに従って走行や停止をさせる場合、更には何も搭乗していない状態で走行や停止をする場合であってもよい。
本実施形態において、入力装置30の操作により出力される操作信号によって加減速等の制御が行われる。
搭乗部13と駆動輪11との間には制御ユニット(図示せず)が配置されている。本実施形態では座面部131の下面に制御ユニットが取り付けられている。
また座面部131には、可動補助輪機構が配設されている。
可動補助輪機構は、補助輪15とロッドアクチュエータF62、ロッドアクチュエータR63で構成されている。
図1(a)に示されるように、ロッドアクチュエータF62の一端側の端部62aは座面部131の前方に配設され、他方の端部62bは、補助輪15の回転軸と同軸上に配設されている。
ロッドアクチュエータR63の一端側の端部63aは座面部131の後方に配設され、他方の端部63bは、補助輪15の回転軸と同軸上に配設されている。
ロッドアクチュエータF62、ロッドアクチュエータR63の両端はいずれも座面部131、補助輪15に対して回動可能に取り付けられている。
なお、両ロッドアクチュエータF62、R63の一端62a、63aは、座面部131ではなく、車体の他の部分、例えば、支持部材14に対して回動可能にとりつけられていてもよい。
両ロッドアクチュエータF62、R63は、伸縮することで全体の長さが変化する構造になっている。
図1(a)は、基準状態、すなわち、車体の直立姿勢時に、補助輪15が駆動輪11の駆動軸直下にある状態を表したものである。
これに対して、図1(b)は、減速時における、車体の傾斜と両ロッドアクチュエータF62、R63の状態を表したものである。
図1(b)に示されるように、加速度の絶対値が所定閾値以上である場合、図1(b)に示されるように、所定閾値に対応する傾斜角度(最大傾斜角度)まで車体を後方に傾斜させると共に、補助輪を、駆動輪に対して前方(加速度と逆の方向)で、加速度に対応する距離の位置に接地させることで、車体傾斜に伴う重力トルクと補助輪接地点での垂直抗力とにより加減速に伴う慣性力と駆動輪の反トルクの作用とを打ち消し、車体のバランスを保つ。
この状態において、前方のロッドアクチュエータF62よりも後方ロッドアクチュエータR63を長く伸ばすことで、補助輪が前方所定距離の位置に接地される。このように、両ロッドアクチュエータF62、R63の伸縮量を調整することで、任意の位置に補助輪を接地させることが可能になる。
また、補助輪15が任意の位置に接地した状態で、両ロッドアクチュエータF62、R63をわずかに縮めることで、その位置で補助輪を若干浮かせ、非接触状態として待機させることが可能である。
図2は、制御ユニットの構成を表したものである。
制御ユニットは、制御ECU(電子制御装置)20、加減速指令装置31、角度計(角速度計)41、駆動輪回転角度計51、駆動輪アクチュエータ52(駆動モータ12)、ロッド駆動モータ回転角度計(伸縮量センサ)61、ロッドアクチュエータF62、R63、その他の装置を備えている。
制御ユニットは、その他の装置としてバッテリ(図示せず)を備えている。バッテリは、駆動モータ12、駆動アクチュエータ52、両ロッドアクチュエータF62、R63、制御ECU20等に駆動用及び演算用の電力を供給するようになっている。
制御ECU20は、主制御ECU21、駆動輪制御ECU22、ロッド制御ECU23を備えており、駆動輪制御、車体制御(倒立制御)等により、車両の走行、姿勢制御等の各種制御を行うようになっている。また、制御ECU20は、本実施形態における加減速時の補助輪15を使用した姿勢制御を行うようになっている。
制御ECU20は、各種プログラムやデータが格納されたROM、作業領域として使用されるRAM、外部記憶装置、インターフェイス部等を備えたコンピュータシステムで構成されている。
主制御ECU21には、駆動輪回転角度計51、角度計(角速度計)41、ロッド駆動モータ回転角度計61、及び、入力装置30として加減速指令装置31が接続されている。
加減速指令装置31は例えばジョイスティックで構成され、搭乗者の操作に基づく走行指令を主制御ECU21に供給する。ジョイスティックは直立した状態を中立位置とし、前後方向に傾斜させることで加速度を指示し、左右に傾斜させることで旋回曲率を指示するようになっている。傾斜角度を大きくすると、要求加減速度、旋回曲率が大きくなる。
主制御ECU21は、角度計41と共に車体制御システム40として機能し、倒立車両の姿勢制御として、車体傾斜状態に基づき、駆動モータ12の反トルクで車体の姿勢制御を行う。
主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22、駆動輪回転角度計50、駆動輪アクチュエータ52と共に駆動輪制御システム50として機能する。
駆動輪回転角度計51は、駆動輪11の回転角を主制御ECU21に供給し、主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22に駆動トルク指令値を供給し、駆動輪制御ECU22は駆動輪アクチュエータ52に駆動指令値に相当する駆動電圧を供給する。
駆動輪動アクチュエータ52は、指令値に従って、両駆動輪11a、11bを各々独立して制御するようになっている。
主制御ECU21は駆動輪トルク決定手段として機能する。
また主制御ECU21は、ロッド制御ECU23、ロッド駆動モータ回転角度計(伸縮量センサ)61、ロッドアクチュエータF62、R63と共に、ロッド制御システム60(接地部材制御手段)として機能する。
ロッド駆動モータ回転角度計61は、ロッド駆動モータの回転角、すなわち、両ロッドアクチュエータの伸縮量λF、λRを主制御ECU21に供給し、主制御ECU21は、ロッド制御ECU23に駆動推力指令値を供給し、ロッド制御CU23は両ロッドアクチュエータF62、R63のそれぞれに駆動推力指令値に相当するの駆動電圧を供給する。
両ロッドアクチュエータF62、R63は、指令値に従って伸縮し、これにより補助輪15の所定位置への移動と接地、非接地の切り替えが実現される。
以上の通り構成された本実施形態の車両における加速度に応じた補助輪制御について説明する。
なお、入力装置から要求される加速度は正の値の場合(加速)と負の値の場合(減速)があるが、両者は方向を逆にすることで同一制御となるので、以下の説明では加速度が負の値の場合、すなわち、減速の場合を例に説明することとする。
図3は、本実施形態における車両姿勢制御系の力学モデルを表したものである。
この図3における各記号は次の通りであり、以下の各実施形態における記号はこの力学モデルに対応した記号を使用する。
(a)状態量
θW:駆動輪の回転角[rad]
θ1:本体の傾斜角(鉛直軸基準)[rad]
b:駆動輪−補助輪接地点間距離(ホイールベース)[m]
λF:ロッドアクチュエータFの伸縮量
λR:ロッドアクチュエータRの伸縮量
(b)入力
τW:駆動モータトルク(2輪合計)[Nm]
F:ロッドアクチュエータFの推力[N]
R:ロッドアクチュエータRの推力[N]
(c)物理定数
g:重力加速度[m/s2
(d)パラメータ
W:駆動輪の質量[kg]
W:駆動輪の半径[m]
W:駆動輪の慣性モーメント(車軸周り)[kgm2
W:補助輪の半径[m]
1:本体の質量(乗員を含む)[kg]
1:本体の重心距離(車軸から)[m]
1:本体の慣性モーメント(重心周り)[kgm2
図4は、第1実施形態における減速走行制御処理を表したフローチャートである。
主制御ECU21は、センサから各状態量を取得する(ステップ1)。すなわち主制御ECU21は、駆動輪回転角度計51から駆動輪回転角θWを、角度計(角速度計)41から車体傾斜角θ1(角速度)を、ロッド駆動モータ回転角度計(伸縮量センサ)61から回転角(伸縮量λF,λR)を取得する。
さらに主制御ECU21は、加減速指令装置31から入力された搭乗者の操作量(例えば、ジョイスティックの操作量)を取得し(ステップ2)、操作量に基づいて、減速度の目標値α*を決定する(ステップ3)。
減速度の目標値α*は、例えば、取得した操作量に比例した値に決定する。
次に、主制御ECU21は、ステップ3で決定した減速度の目標値α*から、駆動輪角速度の目標値{θW *}を決定する(ステップ4)。
この駆動輪角速度の目標値{θW *}は、例えば、減速度の目標値α*を時間積分することで加速度を速度に変換し、これを所定の駆動輪接地半径RWで除した値を使用する。
なお、本明細書において記号{X}はXの時間微分を表すものとする。
ついで主制御ECU21は、数式1から車体傾斜角の目標値θ1 *を決定し、数式2から補助輪位置の目標値b*を決定する(ステップ5)。
すなわち、主制御ECU21は、ステップ3で決定した減速度の目標値α*での減速を実現するために必要な車体傾斜角の目標値θ1 *と補助輪位置の目標値b*を決定する。
(数式1)
α*<αMaxの場合 θ1 *=φ*+sin-1(tanγsinφ*
α*≧αMaxの場合 θ1 *=θ1,Max
(数式2)
α*<αMaxの場合 b*=0
α*≧αMaxの場合 b*=Csafe0 *
数式1において、φ*は平衡軸傾斜角であり、φ*=tan-1α*で与えられる。減速度目標α*が大きくなるとφ*は大きくなる。
数式2において、b0 *はスリップ限界補助輪位置であり、減速度目標α*の関数である。
減速度目標α*が大きくなるとb0 *は大きくなる(後述の数式2−2参照)。
図5は、ステップ3で決定した減速度の目標値α*に対する、車体傾斜角の目標値θ1 *と、補助輪位置の目標値b*の関係(数式1、数式2)について表したものである。
図5及び数式1に表されるように、車体傾斜角の目標値θ1 *は、減速度の目標値α*が閾値αMax未満の場合には、目標値α*にの増加と共に最大車体傾斜角θ1,Max(設定値)まで増加する。一方、目標値α*が閾値αMax以上の場合には常に最大車体傾斜角θ1,Maxとし、これ以上車体を傾斜しないように決定される。
図5と数式2で表されるように、減速度の目標値α*が閾値αMax未満の場合、補助輪位置の目標値b*はゼロに決定される。
また、目標値α*が閾値αMax以上の場合、補助輪位置の目標値b*は、目標値α*と共に増加する。
このように、減速度の目標値α*が閾値αMax未満の場合には、最大車体傾斜角θ1,Maxの範囲で車体を傾斜させ、車体傾斜による重心移動により減速時における車体のバランスを保つ。そして、この範囲では補助輪15は非接地状態となり、補助輪15の不必要な接地を無くし、補助輪15の接地によるエネルギロスを減らすことができる。
一方、減速度の目標値α*が閾値αMax以上の場合には、車体傾斜角の目標値θ1 *を最大車体傾斜角θ1,Maxに保持する。この車体傾斜による重心移動だけでは減速時における車体バランスを保てず、車体が前方に傾斜してしまうので、その後傾トルク不足分を補助輪15の接地点の垂直抗力により補償している。
そして、補助輪位置の目標値b*を減速度の目標値α*と共に増加させることで、目標値α*に応じてホイールベースbが設定される。これにより、減速度の目標値α*が大きい時の車体の前方傾斜、あるいは、駆動輪の接地荷重減少に伴うスリップが防止される。
数式1、数式2において、閾値αMaxは次の数式1−2から、所定の最大車体傾斜角θ1,Maxによって決定する。また数式2におけるtanγは数式1−3により、数式1−3におけるMは数式1−4により決定する。
(数式1−2)
αMax=(sinθ1,Max)/(cosθ1,Max+tanγ)
(数式1−3)
tanγ=(MRW)/(m11
(数式1−4)
M=m1+mW+IW/RW 2
数式2において、b0 *はスリップ限界の補助輪位置であり、数式2−2で表される。Mb *は数式2−3で表される。
このようにスリップ限界の補助輪位置b0 *に対して、安全係数Csafeを与えることで、駆動輪の空転が抑制され、安全性が確保される。なお、スリップ限界は、駆動輪・路面間の静止摩擦係数μ(所定の予測値)によって決定される。安全係数Csafeは所定の設定値である。
(数式2−2)
0 *=l1(m1/Mb *)(tanγsinφ*+sin(φ*−θ1,Max))/cosφ*
(数式2−3)
b *=(1−(α*/μ))M
次に主制御ECU21は、数式2で決定した補助輪位置の目標値b*に補助輪15を移動するために、その値に応じて、ロッドアクチュエータF62、R63に対するロッド伸縮量の目標値λF *、λR *を次の数式3により決定する(ステップ6)。
数式3において、εは数式3−2により、λ0は数式3−3により決定する。
(数式3)
λF *=√((dcosθ1,Max−hsinθ1,Max−b*2+(hcosθ1,Max+dsinθ1,Max+RW−rW+ε)2)−l0
λR *=√((dcosθ1,Max+hsinθ1,Max+b*2+(hcosθ1,Max−dsinθ1,Max+RW−rW+ε)2)−l0
(数式3−2)
*=0のとき ε=−δ
*>0のとき ε= 0
(数式3−3)
0=√(d2+(h+RW−rW2
数式3−2において、δは補助輪15を接地面から持ち上げるための微小短縮量である。
すなわち、減速度の目標値α*<閾値αMax(b*=0)の場合、数式3から、補助輪15は、最も駆動輪11に近い接地位置の直上δの位置において非接地状態で待機することになる。
本実施形態における短縮量δは任意であるが、例えば、5mm、1cm等に設定される。
この短縮量δは、例えば、舗装道路と非舗装道路等の道路の状態に応じて異なる値を使用するようにしてもよい。この場合、道路の状態は振動センサで検出される振動状態から判断する。また振動の振幅を検出し、振幅に応じて短縮量δが大きくなるように変更するようにしてもよい。また、舗装道路、非舗装道路を搭乗者が入力することで、対応する短縮量δを採用するようにしてもよい。
数式3−3において、l0は両ロッドアクチュエータF62、R63の基準長さである。 車体の直立姿勢時に、補助輪15が駆動輪11の駆動軸直下で接地した状態を基準状態とし、この基準状態におけるロッドの全長を基準長さl0とする。
そして、この基準長さl0との差をロッド伸縮量λとする。
また、dはロッドアクチュエータF62、R63の搭乗部13側の端部(固定点)62a、63a間の距離を2dとした時の値である。
hは、両固定点62a、63aの中間点から、駆動輪11の回転中心までの距離である。
なお、本実施形態におけるロッドアクチュエータF62、R63の構造は、補助輪位置制御機構の一例であり、別の機構を採用することが可能である。例えば、ロッドアクチュエータの一端を座面部131等の車体に取り付け、駆動モータによりロッドの角度と伸縮量を調整することで、補助輪15の接地、非接地、及び接地位置を変更するようにしてもよい。
この場合、数式3の代わりにその構造に応じた目標値を設定する。
次に、主制御ECU21は、各アクチュエータの出力指令値を決定する(ステップ7)。すなわち主制御ECU21は、数式4より駆動輪11のトルク指令値τWを決定し、数式5より両ロッドアクチュエータF62、R63の駆動推力指令値TF、TRを決定する。
数式4では、ステップ4で決定した駆動輪角速度の目標値{θW *}、及びステップ5で決定した車体傾斜角の目標値θ1 *を使用する。
また、数式5では、ステップ6で決定したロッド伸縮量の目標値λF *、λR *を使用する。
(数式4)
τW=−KW2([θW]−[θW *])−KW3(θ1−θ1 *)−KW4([θ1]−[θ1 *])
(数式5)
F=−KL1(λF−λF *)−KL2([λF]−[λF *])−KL3∫(λF−λF *)dt
R=−KL1(λR−λR *)−KL2([λR]−[λR *])−KL3∫(λR−λR *)dt
数式4、5において、フィードバックゲインKW2,KW3,KW4、及びKL1,KL2,KL3は、例えば極配置法によって、あらかじめ設定しておく。
数式4において、補助輪15が接地している場合には、KW3=KW4=0とし、倒立姿勢制御を行わないようにしてもよい。
数式5では、積分ゲインKL3を与えることで、重力や乾性摩擦の影響を補償している。但し、フィードフォワード的に、入力付加を与えるようにしてもよい。
主制御ECU21は、決定した各指令値を各制御システムに与えてメインルーチンにリターンする(ステップ8)。すなわち主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22に駆動輪11のトルク指令値τWを供給し、ロッド制御ECU23に両ロッドアクチュエータF62、R63の駆動推力指令値TF、TRを供給する。
これにより、駆動輪制御ECU22は指令値τWに対応する駆動電圧を駆動輪アクチュエータ52に供給し、駆動輪11に駆動トルクτWを与え、ステップ4で決定した駆動輪角速度の目標値{θW *}、車体傾斜角の目標値θ1 *となるようにフィードバック制御される。
また、ロッド制御ECU23は、駆動推力指令値TF、TRに対応する駆動電圧を両ロッドアクチュエータF62、R63に供給し、ステップ6で決定したロッド伸縮量の目標値λF *、λR *となるようにフィードバック制御される。これにより、補助輪15の位置がステップ5で決定した補助輪位置の目標値b*となる。
次に第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、閾値αMaxを決定する最大車体傾斜角θ1,Maxは設計者が予め設定した一定値である。
これに対して第2実施形態では、搭乗者による車体傾斜の許容範囲は異なることを考慮して、最大車体傾斜角θ1,Maxを搭乗者が選択出来るようにしている。例えば、車体を傾けて走行したい搭乗者には最大車体傾斜角θ1,Max(閾値αMax)を大きくすることで、できるだけ車体傾斜でバランスをとるような制御を行う。逆に車体を傾けないで走行したい搭乗者には、最大車体傾斜角θ1,Max(閾値αMax)を小さくすることで、できるだけ補助輪15で姿勢を保持するような制御を行う。このように搭乗者の好みに応じた車体傾斜角度に制限することで倒立型車両を実現するものである。
図6は、第2実施形態における制御ユニットの構成を表したものである。
第2実施形態の制御ユニットは、入力装置30に車体傾斜度指令装置32が配設されている。車体傾斜度指令装置32は、搭乗者が車体傾斜の好みを指定するための入力装置であり、その操作量が傾斜度指令として主制御ECU21に供給されるようになっている。
図7は、車体傾斜度指令装置32から供給される傾斜度指令と最大車体傾斜角θ1,Maxとの関係を表したものである。主制御ECU21は、所定の記憶部に図7に対応する変換テーブル又は変換式を備えており、これに基づいて最大車体傾斜角θ1,Maxを決定するようになっている。
なお、本実施形態では、図7の直線で示すように、車体傾斜角度として搭乗者が0から最大値までの任意の値を選択し得るようになっているが、離散的な車体傾斜角度を選択可能なシステムとしてもよい。例えば、最大車体傾斜角θ1,Maxが小さいスムーズモードと、大きいアクティブモードの2モードを選択可能にしてもよい。また、より多段階に選択可能にしてもよい。離散的な最大車体傾斜角θ1,Maxの選択を可能にする場合には、選択可能なモードや車体傾斜度に対応する各最大車体傾斜角θ1,Maxの値が予め記憶される。
第2実施形態における制御ユニットの他の構成部分については、図2で説明した第1実施形態と同様である。
次に第2実施形態の動作について説明する。
主制御ECU21は、本実施形態における減速走行処理とは別に、搭乗者の車体傾斜角度の入力により車体傾斜度指令装置32から、傾斜度指令値が供給されたか否かを監視しており、傾斜度指令が供給されると、RAM等の記憶部に車体傾斜指令値を保存する。
なお、車体傾斜指令については、RAMではなく不揮発性の記憶部に保存し、一度入力された車体傾斜指令値を後日の走行に対しても継続して使用するようにしてもよい。もちろん、搭乗者が変わった場合にはその搭乗者により新たに車体傾斜角度を入力することが可能であり、この場合、記憶部のデータは更新されることになる。
搭乗者を識別することにより、搭乗者毎に車体傾斜指令値を記憶するようにしてもよい。この場合、荷重計を座面部131に配置し計測した荷重から搭乗者を推定したり、搭乗者自身が自己の識別データを入力するようにしてもよい。
図8は、第2実施形態における減速走行制御処理の内容について表したフローチャートである。
なお、以下の実施形態を含め、図4のフローチャートに従って第1実施形態で説明した処理と同一部分には同一のステップ番号を付してその説明を適宜省略し、異なる部分を中心に説明する。
主制御ECU21は、第1実施形態と同様に、センサから各状態量θW、θ1、λF,λRを取得し(ステップ1)、搭乗者の操縦操作量を取得し(ステップ2)、減速度の目標値α*を決定し(ステップ3)、駆動輪角速度の目標値{θW *}を決定する(ステップ4)。
そして主制御ECU21は、車体傾斜度指令装置32から入力された傾斜度指令値が入力装置記憶部に存在するか否かを判断する(ステップ41)。
車体傾斜度指令値が記憶されている場合(ステップ41;Y)、主制御ECU21は、図8に示した関係から、車体傾斜度指令値に対応する最大車体傾斜角θ1,Maxを決定し、数式1、数式2で使用する最大車体傾斜角の値を更新する(ステップ42)。
一方、車体傾斜度指令値が記憶されていない場合(ステップ41;N)、すなわち、搭乗者が車体傾斜度指令装置32の操作による車体傾斜度の設定をしていない場合、主制御ECU21は、ステップ42を飛ばしてステップ5に移行する。この場合の最大車体傾斜角θ1,Maxは、第1実施形態と同様にして決定される値がデフォルト値として使用される。
以降、主制御ECU21は、第1の実施形態と同様に、車体傾斜角と補助輪位置の両目標値θ1 *、b*を決定し(ステップ5)、ロッド伸縮量の目標値λF *、λR *を決定し(ステップ6)、各アクチュエータの出力指令値τW、TF、TRを決定し(ステップ7)、各制御システムに出力指令値τW、TF、TRを供給し(ステップ8)、メインルーチンにリターンする。
次に第3実施形態について説明する。
第1実施形態で説明したように、補助輪15は、フィードバック制御により目標位置b*に移動する。このため、移動の遅れが発生すると、補助輪15が補助輪の目標位置b*に到達する前に制動(ブレーキ)がかかるため、一時的に車体が前方に傾斜する、あるいは、駆動輪がスリップする可能性がある。
そこで第3実施形態では、補助輪15の移動の「遅れ」に対して、補助輪15が目標の位置b*に到達するまで、目標減速度α*を制限する。具体的には、実際の補助輪位置bによって、目標減速度α*を制限する。
これにより、車体傾斜と補助輪接地とによる減速時のバランスが崩れることが防止され、車両の前方傾斜やスリップを防ぐことができる。また、補助輪15の移動システムが故障した場合のフェイルセーフとしても機能することができる。
第3実施形態における制御ユニットの構成は第2図で説明した第1実施形態と同一である。
図9は第3実施形態における減速走行制御処理の内容について表したフローチャートである。
主制御ECU21は、第1実施形態と同様に、センサから各状態量θW、θ1、λF,λRを取得し(ステップ1)、搭乗者の操縦操作量を取得し(ステップ2)、減速度の目標値α*を決定する(ステップ3)。
そして主制御ECU21は、現在の補助輪位置bを次の数式6から決定する(ステップ31)。
なお、数式6は図1に示した補助輪位置制御機構(ロッドアクチュエータF62、R63)に対応するものであり、第1実施形態でも説明したように、別の機構を採用した場合には、数式6に代えて採用した構造に応じた数式により補助輪位置bを決定する。
(数式6)
b=((λR+l02−(λF+l02)/(4dcosθ1)+(RW−rW)tanθ1
次に主制御ECU21は、現在の補助輪位置bに対応する減速度の限界値αlimを決定する(ステップ32)。
数式7におけるtanηは、現在の補助輪位置bを使用して数式7−2から決定し、Mbは数式7−3から決定する。
(数式7)
αlim=(sinθ1+tanη)/(cosθ1+tanγ)
(数式7−2)
tanη=(Mbb)/(m11
(数式7−3)
b=(1−(α*/μ))M
なお、この第3実施形態では、スリップ限界によって減速度限界αlimを定義しているが、転倒限界によって減速度限界を定義してもよい。この場合、数式7−3においてMb=Mとする。
また、上数式7によって得られた減速度限界を安全係数で除することで、制御の安全性を高めるようにしてもよい。
主制御ECU21は、現在の補助輪位置bに対応して決定した減速度の限界値αlimが、ステップ3で決定した減速度の目標値α*よりも小さい場合、ステップ4で使用する減速度の目標値α*を決定した限界値αlimまで減少させる(ステップ33)。
例えば、ステップ3で決定した減速度が0.4Gで、現在の補助輪位置bに対応する減速度の限界値αlimが0.3Gである場合、ステップ4で使用する減速度の目標値α*を0.3Gまで減少させる。
主制御ECU21は、ステップ33で修正した減速度の目標値α*から駆動輪角速度の目標値{θW *}を決定する(ステップ4)。
以降主制御ECU21は、第1の実施形態と同様に、車体傾斜角と補助輪位置の両目標値θ1 *、b*を決定(ただし、この場合のα*の値はステップ3で決定した制限前の減速度目標値を使用する)し(ステップ5)、ロッド伸縮量の目標値λF *、λR *を決定し(ステップ6)、各アクチュエータの出力指令値τW、TF、TRを決定し(ステップ7)、各制御システムに出力指令値τW、TF、TRを供給し(ステップ8)、メインルーチンにリターンする。
次に第4実施形態について説明する。
この第4実施形態では、スリップ検出手段により駆動輪11のスリップを検出した場合、車体傾斜角を維持したまま補助輪15の接地位置をより前方に移動する。これにより車体重心が相対的に補助輪15側から駆動輪11側に移動し、駆動輪11の接地荷重が増加することで、スリップ状態から脱出することができる。
第4実施形態における制御ユニットの構成は第2図で説明した第1実施形態と同一である。
図10は第4実施形態における減速走行制御処理の内容について表したフローチャートである。
主制御ECU21は、第1実施形態と同様に、センサから各状態量θW、θ1、λF,λRを取得し(ステップ1)、搭乗者の操縦操作量を取得し(ステップ2)、減速度の目標値α*を決定し(ステップ3)、駆動輪角速度の目標値{θW *}を決定する(ステップ4)。
そして主制御ECU21は、駆動輪11がスリップ状態にあるか否かを判断する(ステップ43)。
駆動輪11がスリップ状態にあるか否かを判断する方法については、例えば、駆動輪11の回転運動についての力学モデルに基づくオブザーバを用いる方法や、車両に搭載した加速度センサの値と駆動輪11の回転速度を比較する方法などにより判断する。
ついで主制御ECU21は、現在の補助輪位置bを決定する(ステップ44)。
この処理は、第3実施形態のステップ31と同様であり、主制御ECU21は、現在の補助輪位置bを上記した数式6から決定する。
そして、主制御ECU21は、数式2、3で使用する静止摩擦係数μの値を、数式8から得られる値に修正する(ステップ45)。
(数式8)
μ=α/(1−(m11/Mb)((cosθ1+tanγ)α−sinθ1))
数式8における加速度αは、スリップ直前における駆動輪回転速度の履歴、あるいは、車両に搭載した加速度センサの値から取得する。
また、数式8の計算値をローパスフィルタにかけることで、その推定手法(推定値)を安定化させてもよい。
以降、主制御ECU21は、第1の実施形態と同様に、車体傾斜角と補助輪位置の両目標値θ1 *、b*を決定し(ステップ5)、ロッド伸縮量の目標値λF *、λR *を決定し(ステップ6)、各アクチュエータの出力指令値τW、TF、TRを決定し(ステップ7)、各制御システムに出力指令値τW、TF、TRを供給し(ステップ8)、メインルーチンにリターンする。
なお、第4実施形態では、一度車両がスリップし、静止摩擦係数推定値が減少すると、制御を一度終了しない限り、その値は回復しないが、入力装置にリセット信号送信装置を備え、その入力信号で値を初期化してもよい。
また、時間経過と共に、値を徐々に回復させてもよい。
次に第5実施形態について説明する。
この第5実施形態は緊急制動時に対応した処理である。緊急制動時には、大きな制動力が必要になると共に、なるべく早く減速する必要がある。
減速をする場合、駆動輪11を車体を後ろに傾けてバランスを保つが、車体を後ろに傾ける駆動輪トルクの反作用によって車両が一時的に加速してしまうと共に、車体を傾ける時間が緊急制動開始までの遅れ(タイムロス)となる。
そこで第5実施形態では、緊急制動時に、車体姿勢制御よりも走行制御(減速制御)を優先させる。具体的には、緊急制動の要求を検出した場合には、車体を後方に傾けることをせず、補助輪15を直ちに目標位置に接地させることで車体姿勢を保持しつつ、車両を減速させる。
第5実施形態における制御ユニットの構成は第2図で説明した第1実施形態と同一である。
図11は第5実施形態における減速走行制御処理の内容について表したフローチャートである。
主制御ECU21は、第1実施形態と同様に、センサから各状態量θW、θ1、λF,λRを取得し(ステップ1)、搭乗者の操縦操作量を取得し(ステップ2)、減速度の目標値α*を決定し(ステップ3)、駆動輪角速度の目標値{θW *}を決定する(ステップ4)。
そして主制御ECU21は、搭乗者が緊急制動を要求しているか否かを判断する(ステップ46)。本実施形態において緊急制動が要求されているか否かについては、入力装置30から供給される加減速指令値やその変化率から判断するが、入力装置30に緊急制動指令入力装置による信号から判断するようにしてもよい。
緊急制動が要求されていなければ(ステップ46;N)、主制御ECU21は処理をステップ5に移行し、この場合には第1実施形態と同一の処理となる。
一方、緊急制動が要求されている場合(ステップ46;Y)、主制御ECU21は、数式1、数式2で使用する最大車体傾斜角θ1,Maxの値をθ1,Max=0に修正する。
これにより、車体傾斜傾斜角の目標値θ1 *=0となり、車体傾斜による一時的な加速と時間ロスが無くなる。
以降、主制御ECU21は、第1の実施形態と同様に、車体傾斜角と補助輪位置の両目標値θ1 *、b*を数式1、数式2(修正の有無によりθ1,Maxの値を変更)から決定し(ステップ5)、ロッド伸縮量の目標値λF *、λR *を決定し(ステップ6)、各アクチュエータの出力指令値τW、TF、TRを決定し(ステップ7)、各制御システムに出力指令値τW、TF、TRを供給し、メインルーチンにリターンする。
説明した第5実施形態では、緊急制動時において、車体傾斜角の目標値θ1を零とし、補助輪15で直立姿勢を保持しつつ減速させるが、車体傾斜角の目標値θ1を負として、前傾させながら減速させるようにしてもよい。これにより車体前傾トルクの反力を減速トルクとして補償することができる。
また、数式4のフィードバックゲインKW3,KW4を零とすることにより、姿勢制御を行わない(放棄する)ようにしてもよい。
説明した各実施形態では、図5及び数式2で表されるように、減速度の目標値α*が閾値αMax以上の場合に、補助輪位置の目標値b*を減速度の目標値α*と共に増加させているが、目標値b*を一定値としてもよい。
すなわち、数式2において、α*≧αMaxの場合、b*=b0とすることで、減速度の目標値α*が閾値αMax以上になった場合に、減速の場合には前方の、加速の場合には後方のそれぞれ駆動輪11から所定距離の位置b0に補助輪15を接地させる。
所定値b0には、たとえば、想定される最大加減速の値に応じた位置の値を予め与えておく。
この場合、加減速に応じて補助輪15を前後に任意の量だけ移動する必要がない。そこで、例えば、想定される最大の加減速に対応する前後の位置のそれぞれに出没可能な補助輪15F、15Rを配置するようにしてもよい。
また、説明した各実施形態では、未接地時における補助輪15の目標位置をb*=0(数式2)とし、減速度の目標値α*<閾値αMaxの任意の車体傾斜角θ1に対して、常に補助輪15を、最も駆動輪11に近い接地位置の直上δで待機させている(数式3)。従って必要なときに素早く適切な位置に接地させることができ、早期に補助輪15の接地による効果を得ることができる。
これに関して、加減速の変化により早く対応できるようにするため、車両走行速度に応じて、補助輪の待機位置を変えてもよい。たとえば、停止時には補助輪を予め後方に動かすことで急加速に備え、最高速度付近での走行時には補助輪を予め前方に動かすことで急制動に備えるようにしてもよい。
また、エネルギー節約のために、未使用時には、補助輪待機位置の制御を一切行わないようにしてもよい。
本実施形態における車両について、乗員が乗車した状態の外観構成図である。 制御ユニットの構成図である。 本実施形態における車両姿勢制御系の力学モデルを表した図である。 第1実施形態における減速走行制御処理を表したフローチャートである。 減速度の目標値α*に対する、車体傾斜角の目標値θ1 *と、補助輪位置の目標値b*の関係図である。 第2実施形態における制御ユニットの構成図である。 傾斜度指令と最大車体傾斜角θ1,Maxとの関係図である。 第2実施形態における減速走行制御処理を表したフローチャートである。 第3実施形態における減速走行制御処理を表したフローチャートである。 第4実施形態における減速走行制御処理を表したフローチャートである。 第5実施形態における減速走行制御処理を表したフローチャートである。
符号の説明
11 駆動輪
12 駆動モータ
13 搭乗部
14 支持部材
15 補助輪
131 座面部
132 背もたれ部
133 ヘッドレスト
16 制御ユニット
20 制御ECU
21 主制御ECU
22 駆動輪制御ECU
23 ロッド制御ECU
30 入力装置
31 操縦装置
40車体制御システム
41 角度計
50 駆動輪制御システム
51 駆動輪回転角度計
52 駆動輪アクチュエータ
60 ロッド制御システム
61 ロッド駆動モータ回転角度計
62 ロッドアクチュエータF
63 ロッドアクチュエータR

Claims (5)

  1. 一軸上に配置された駆動輪と、
    搭乗部を含む車体と、
    車両の要求加速度を取得する要求加速度取得手段と、
    前記駆動輪のトルクを制御することで搭乗部を含む車体を倒立状態に保持し、前記取得した要求加速度に応じて走行する走行制御手段と、
    前記駆動輪よりも前方又は後方において接地状態と非接地状態の選択が可能に配設された接地部材と、
    前記取得した要求加速度の絶対値が所定閾値以上である場合に、前記駆動輪に対して加速度の方向と逆方向側に前記接地部材を接地させる接地部材制御手段と、
    前記接地した接地部材の位置を取得する位置取得手段と、
    前記取得した接地部材の位置に対応する限界加速度の絶対値が、前記取得した要求加速度の絶対値より小さい場合に、前記走行制御手段で使用する前記要求加速度を前記限界加速度以下の値に修正する修正手段と、
    を具備したことを特徴とする車両。
  2. 前記接地部材制御手段は、前記取得した加速度の絶対値が大きくなるほど前記駆動輪から離れた位置に前記接地部材を接地させる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両。
  3. 前記接地部材制御手段は、前記接地部材の非接地状態において、前記駆動輪の回転軸を通る鉛直線上の位置、又は、前記要求加速度の絶対値が所定閾値である場合の接地位置において前記接地部材を所定距離だけ浮かせて待機させる、ことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の車両。
  4. 前記車体の車体傾斜角の最大値を選択する選択手段を備え、
    前記接地部材制御手段は、前記選択された車体傾斜角の最大値に対応する加速度を前記所定閾値とする、ことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載の車両。
  5. 前記接地部材の接地状態において、前記駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段を備え、
    前記接地部材制御手段は、前記駆動輪のスリップが検出された場合に、前記接地部材を、前記駆動輪から離れる方向に移動する、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の車両。
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