JP5082683B2 - 連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造機の二次冷却帯における力学的条件及び鋼の高温延性低下に起因して発生する連続鋳造鋳片表面割れの発生を予測する方法に関するものである。
鋼の連続鋳造鋳片において、表面割れは代表的な欠陥であり、製品の品質を低下させるので回避しなければならない。鋳片の表面割れには幾つかの原因があるが、鋳型内での初期凝固に起因して発生し、割れの面が主に鋳造方向に平行な縦割れと、二次冷却帯での力学的条件と鋼の高温延性低下とに起因して発生し、割れの面が主に鋳造方向に直交する横割れとに大きく2つに分けられる。
このうち、横割れの防止方法としては、鋳片に大きな変形が加わる二次冷却帯の曲げ帯または矯正帯における鋳片の表面温度が、その鋼の熱間延性低下温度域に差し掛からないようにするべく、鋳片の表面温度を制御することが広く行われている。鋳片の表面温度の制御は、伝熱凝固計算に基づき二次冷却帯の冷却水量を調節することが基本であり、これに加えて連続鋳造機内で鋳片の表面温度を測定し、この温度が所定の温度域に入るように二次冷却水量を調整したり、その温度域に入らなかったときには表面割れ発生の可能性大として鋳片の表面手入れを行ったりしている。
この場合、鋳片の表面温度の測定は、表面割れの生じやすい鋳片コーナーの1点を測定することや、赤外線サーモグラフで画像情報として測定しており、熱間延性低下域に入っている鋳片部位を検出することなどが行われている。例えば、特許文献1には、鋳片をピンチロールにより引抜矯正する際に、ピンチロール前における鋳片表面温度の推移を測定し、局所的な温度降下の検出によって鋳片における異常な水掛かりを検知することが開示されている。
しかしながら、局所的な表面温度の測定のみでは鋳片の表面割れ発生を適確に予知できない場合がある。なぜなら、鋳片の横割れは、前述のように二次冷却帯における力学的条件と鋼の高温延性低下との2つの要因に起因して発生するので、表面温度を測定して鋼の高温延性の低下のみを監視していても不十分であり、力学的条件をも監視してはじめて横割れの発生条件に至ったかどうかが判定可能となるためである。
従って、横割れの発生を監視するには、力学的条件すなわち鋳片に加わる、曲げや矯正による歪及び鋳片の表面温度分布による熱歪を求める必要がある。このうち、曲げ歪及び矯正歪は連続鋳造機のプロファイルから幾何的に計算可能であるが、熱歪については鋳片の表面温度分布測定から求めなければならない。尚、ここでは、曲げ歪、矯正歪及び熱歪による鋳片表面の歪をまとめて表面歪と称する。表面歪が大きくなるほど割れが発生しやすくなる。
熱歪を求める先行技術として、特許文献2には、鋳型内における表面割れの検知技術であり、二次冷却帯の割れを対象とする本発明とは違いがあるが、連続鋳造用鋳型に、その鋳造方向及び/または幅方向に複数の温度測定素子を設置して鋳型温度を計測し、同時に計測した溶鋼の湯面レベル及び鋳造速度からオンラインで伝熱凝固計算を行い、凝固シェル厚み及び凝固シェル内の温度分布を計算し、この値に基づき、鋳造方向及び鋳型周方向の鋳片の変形及び応力状態を計算して求め、引張り応力値または歪みが所定値以上になったときに、鋳片の表面疵の発生を検知或いは予知する技術が開示されている。
特開2000−246412号公報 特開2000−317595号公報
上記のように、二次冷却帯における鋳片の表面割れを予測するには、二次冷却帯における鋳片の表面温度分布から鋳片のどの部位が熱間延性低下域にあるのかを知るとともに、その部位にどの程度の表面歪が加わるかを知る必要がある。
表面歪のうち、熱歪の測定は、前述の特許文献2の方法を連続鋳造機の二次冷却帯において応用すれば測定できるが、特許文献2では、鋳型の鋳造方向及び/または幅方向に複数の温度測定素子を設置して表面温度を計測し、表面温度分布を計算し、この値に基づき、鋳造方向及び鋳型周方向の鋳片の変形及び応力状態を計算している。従って、二次冷却帯において、この方法を採用するには、鋳片の幅方向及び鋳造方向の温度分布を二次元的に測定する必要がある。しかしながら、鋳片表面の鋳造方向の温度分布の測定は、鋳片を支持するためのガイドロールが設置されているために極めて困難である。また、温度分布測定値からオンラインで鋳片の変形及び応力状態を計算しており、このオンラインの計算も計算が煩雑であり、そのためには高価な計算装置を必要とする。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋼の連続鋳造時、連続鋳造機の二次冷却帯での力学的条件と鋼の高温延性低下とに起因して発生する鋳片表面割れの発生を、二次元的な鋳片表面温度の測定を必要とせず、しかも高価な計算装置を使用しなくても適確に予測することのできる、連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法は、鋼を連続鋳造するに際し、連続鋳造機の二次冷却帯で鋳片表面の幅方向温度分布を測定し、表面温度の高低の山谷区間での表面温度山谷差が、該表面温度山谷差から定まる前記鋼の表面熱応力が当該鋼の前記山谷区間内での温度における表面割れ発生臨界応力を上回る値となる温度差以上であり、且つ、前記山谷区間内に前記鋼の延性低下温度域が存在するときに、鋳片に表面割れが発生したと予測することを特徴とするものである。
第2の発明に係る連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法は、第1の発明において、前記鋳片が0.02〜0.04質量%のNbを含有する鋼であって、前記表面温度山谷差が100℃以上のときに、鋳片に表面割れが発生したと予測することを特徴とするものである。
本発明によれば、鋳片の表面温度の分布を測定することにより、二次冷却帯における表面割れの発生原因である二次冷却帯での力学的条件及び鋼の高温延性低下の双方の条件の充足度を一度に監視できるので、適確な表面割れの予測が可能となる。また、鋳片表面の幅方向温度分布のみを測定して表面割れを予測するので、鋳造方向に複数の測温装置を設置する必要がなく、設備費の増大を避けることができ、また、複数の測温装置の測定結果に基づいて複雑な熱応力計算を行う必要もなく、煩雑で且つ設備費用も要する工程を経ずに済むという利点がある。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者等は、連続鋳造機の二次冷却帯での力学的条件と鋼の高温延性低下とに起因して、鋳片表面で発生する表面割れを防止することを目的として、この表面割れの発生位置と鋳片幅方向の表面温度分布との関係を調べた。
その結果、連続鋳造機内で鋳片幅方向の表面温度の高低差が大きくなる箇所は、鋳片のコーナー部、及び、鋳片の二次冷却スプレー強度の幅方向不均一が存在する部分であることが分った。鋳片コーナー部は抜熱が二方向であり、温度が低下しやすいので、温度高低差が生じやすい。また、二次冷却スプレーの設計が不適であると鋳片の幅方向で冷却の熱流束に差が生じ温度差が生じる場合がある。この場合、水スプレー或いはエアーミストスプレーを問わず、冷却水の噴霧による冷却では、鋳片の表面温度に応じて水の沸騰モードが変化し、鋳片表面温度が低下すると熱伝達係数が急上昇して加速的に冷却され、その他の冷却部位に比べて大きな温度低下となる場合が発生する。
このような原因で生じる鋳片表面での温度高低差部位と表面割れ発生位置との関係を調査したところ、表面割れは温度高低差の山谷の間で生じることが多いことが分った。これは、この温度高低差の山谷間で熱応力が発生し、且つ、熱間延性の低下域もこの山谷間に存在することが多いことによる。従って、この部位でどの程度の熱歪が生じているかが推測できれば表面割れの検知が可能となる。
そこで、発明者等はこれらの温度高低差部位の山谷の温度勾配を調査した。その結果、鋳片コーナー部、水スプレー冷却不均一部ともに、ほぼ一定範囲の温度勾配であり、温度の山谷差と温度勾配とは一定の関係があることが分った。鋼の熱間線膨張率はオーステナイト/フェライト変態の影響を除くと温度に対してほぼ直線状の変化を示すので、温度勾配が分れば熱歪量は推測できることが分った。つまり、温度の山谷差が大きければ熱歪量が大きくなり、表面温度山谷差が所定値以上、つまり、表面温度山谷差から定まる鋼の表面熱応力が該鋼の温度山谷区間内での温度における表面割れ発生臨界応力を上回る値となる温度差以上になると、表面割れが発生することを知見した。尚、本発明における表面温度山谷差とは、単に隣り合う温度の高低の山谷差ではなく、後述するように或る所定の定義によって定められるものであり、これ以降、「表面温度山谷差ΔT(L)」と記す。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、連続鋳造機の二次冷却帯で鋳片表面の幅方向温度分布を測定し、表面温度の高低の山谷区間での表面温度山谷差ΔT(L)が、該表面温度山谷差ΔT(L)から定まる前記鋼の表面熱応力が当該鋼の前記山谷区間内での温度における表面割れ発生臨界応力を上回る値となる温度差以上であり、且つ、前記山谷区間内に前記鋼の延性低下温度域が存在するときに、鋳片に表面割れが発生したと予測することを特徴とする。
以下、本発明の具体的な実施方法について説明する。図1に、本発明を実施するための垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概略図を示す。
図1において、垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機1には、溶鋼9を冷却して凝固させ、鋳片10の外殻形状を形成するための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼9を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。タンディッシュ2の底部には、溶鋼9の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、浸漬ノズル4が設置されている。一方、鋳型5の下方には、サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる複数対の鋳片支持ロール6が配置されている。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール6の間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置された二次冷却帯が構成され、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される冷却水(「二次冷却水」ともいう)によって鋳片10は引抜かれながら冷却されるようになっている。また、鋳片支持ロール6の下流側には、鋳造された鋳片10を搬送するための複数の搬送ロール7が設置されており、この搬送ロール7の上方には、鋳造される鋳片10から所定の長さの鋳片10aを切断するための鋳片切断機8が配置されている。
鋳型5の出口から1mないし4m程度離れた位置に配置される複数対の鋳片支持ロール6は、鋳片10の支持・案内方向が鉛直方向から湾曲方向へと方向を変える曲げ帯(「上部矯正帯」ともいう)13を構成している。つまり、鋳型5から鉛直方向に引抜かれた平板上の鋳片10は曲げ帯13で次第に円弧状に曲げられ、半径が一定の湾曲部へと曲げられるようになっている。同様に湾曲部が水平線に接触する位置の近傍に配置される複数対の鋳片支持ロール6は、鋳片10の支持・案内方向が湾曲方向から水平方向へと方向を変える矯正帯(「下部矯正帯」ともいう)14を構成している。つまり、円弧状の鋳片10は矯正帯14で次第に平板上に曲げ戻され、水平部へと矯正されるようになっている。尚、図1では、曲げ帯13及び矯正帯14ともに複数対の鋳片支持ロール6で構成されているが、一対の鋳片支持ロールのみで構成してもよい。
そして、曲げ帯13及び矯正帯14には、鋳片10の表面温度を測定するための表面温度計15が、鋳造方向の二箇所にそれぞれ設置されている。表面温度計15としては、赤外線カメラ、赤外放射計、輻射温度計、二色温度計などの慣用の装置を用いることができる。但し、本発明においては鋳片10の表面温度を幅方向全体で測定する必要があることから、表面温度計15を鋳片幅方向でラインスキャン(走査)可能とする必要がある。表面温度の二次元分布を測定できる赤外線カメラの場合には、複数の赤外線カメラを設置するなどして鋳片幅全体の表面温度が測定できる限り、鋳片幅方向でラインスキャンしなくても構わない。
鋳片10に鋳造方向の引張り応力が大きくなるのは、換言すれば、鋳片10に表面割れが発生しやすいのは、曲げ帯13では鋳片10の下面側、矯正帯14では鋳片10の上面側であるので、その側に表面温度計15を設置する。尚、図1は垂直曲げ型連続鋳造機の例であるが、湾曲型連続鋳造機の場合には、曲げ帯13は存在しないので矯正帯14のみに表面温度計15を設置すればよい。また、鋳片10の引抜き方向で見ると、それぞれ曲げ帯13及び矯正帯14で、表面温度計15は少なくとも一つは設置する必要があり、引抜き方向に複数の表面温度計15を設けた場合には、曲げ帯13及び矯正帯14における熱歪量をより正確に求めることができる。また、鋳片幅方向の温度測定範囲は、一般に横割れが鋳片コーナー部で生じやすいことから、コーナー部近傍範囲は測定が最も必要である。
この構成のスラブ連続鋳造機1において、先ず、取鍋からタンディッシュ2に溶鋼9を注入してタンディッシュ2に所定量の溶鋼9を滞留させ、次いで、タンディッシュ2に滞留した溶鋼9を、浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入する。鋳型5に注入された溶鋼9は、鋳型5で冷却されて凝固シェル11を形成し、外殻を凝固シェル11とし、内部に未凝固相12を有する鋳片10として、鋳片支持ロール6に支持されながらピンチロールによって鋳型5の下方に連続的に引抜かれる。鋳片10は、鋳片支持ロール6を通過する間、二次冷却水で冷却され、凝固シェル11の厚みを増大し、内部までの凝固を完了する。鋳片10は、鋳片切断機8によって切断されて鋳片10aとなる。このようにして鋼の連続鋳造操業が行われる。
この連続鋳造操業において本発明を適用するが、本発明を適用するには、鋳造される鋼における熱間延性の低下域を予め把握しておく必要がある。鋼の高温強度データが公知であって且つその高温強度データから熱間延性の低下域が把握できる場合には、そのデータを用いることが可能であるが、公知データが存在しない場合には、予め高温引張り試験などを実施して、熱間延性の低下域を確認しておく必要がある。
ここで、Nbを0.02〜0.04質量%含有する、表1に示す化学成分規格の鋼(以下「Nb含有鋼」とも記す)の熱間延性の低下域を調査した例を説明する。
Figure 0005082683
表1に示す化学成分規格の鋼種の既鋳造鋳片から試験片を作成して熱間引張り試験を行った。1300℃、Arガス雰囲気にて試験片の溶体化処理を行った後、試験片を試験温度まで徐冷し、試験温度で保持した後に3×10-3/sの歪速度で引張り試験を行った。試験片破断時の断面積を試験前の断面積で除算して破断面の面積絞り率を算出した。図2にその結果を示す。図2に示すように、この鋼種の場合、750℃付近で熱間延性が極小値を示すことが分る。つまり、この鋼種の場合、750℃の近傍が熱間延性の低下域であり、しかも熱間延性低下域における破断面の面積絞り率は25%程度と低いことから、少ない歪量であっても容易に割れが発生することが分る。このようにして、鋳造対象とする鋼の熱間延性の低下域を予め把握しておく。
また、本発明においては、鋳片表面温度の幅方向分布の測定結果から温度の高低の山谷差、つまり、表面温度山谷差ΔT(L)を求めることが必要であり、この表面温度山谷差ΔT(L)を求める方法を以下に説明する。
図3は、前述した表1に示す化学成分規格の鋼種を、前述した図1に示す垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1を用いて、鋳造速度を2.0m/minとして鋳造したときに、矯正帯14に設けたラインスキャン式の表面温度計15によって測定した、鋳片10の幅方向全体の表面温度のプロファイルである。表面温度計15としては赤外放射計を使用した。垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1の具体的な仕様を表2に示す。
Figure 0005082683
図3において、鋳片表面温度は鋳片10の一方のコーナーで612℃であり、そこから鋳片10の幅方向中央部に向って上昇し、鋳片10の中央部では幾つかの山谷を経て、鋳片10の他方のコーナーでは566℃であった。尚、図3に示すように、表面温度の幅方向プロファイルは10mmピッチで数値化した。
このような表面温度プロファイルから、表面温度山谷差ΔT(L)を以下のようにして求める。
鋳片10の鋳造長手方向位置Y=Lにおいて、鋳片10のエッジを起点として鋳片幅中央に向かう方向に10mmピッチのデータがあるときに、添え字を起点からx=1,2,3…i…Nとすると、温度の測温値T(x)について:
(1)鋳片両エッジ部の表面温度をそれぞれTE1=T(1)、TE2=T(N)とする。
(2)T(i−1)<T(i)且つT(i)>T(i+1)の場合、T(i)を鋳片表面温度の極大値とする。
(3)上記の方法で求めた極大値の中から、上位2つを求めてそれぞれTmax1、Tmax2とする。
(4)T(i−1)>T(i)且つT(i)<T(i+1)の場合、T(i)を鋳片表面温度の極小値とする。
(5)上記の方法で求めた極小値の中から、最低値を求めてTmin とする。
また、鋳片両エッジ部での表面温度差を:
(6)ΔTE1=(Tmax1、Tmax2のうち鋳片幅方向での位置がTE1の位置に近い方)−TE1
(7)ΔTE2=(Tmax1、Tmax2のうち鋳片幅方向での位置がTE2の位置に近い方)−TE2
として求める。
また、鋳片両エッジ部以外での表面温度差を:
(8)ΔTC =(Tmax1、Tmax2のうち鋳片幅方向での位置がTmin の位置に近い方)−TC
として求める。
このようにして得られた鋳片表面温度差を用いて、鋳片10の鋳造長手方向の位置Y=Lでの幅方向の表面温度山谷差ΔT(L)を:
(9)ΔT(L)=(ΔTE1、ΔTE2、ΔTC の3つから最も絶対値の大きなもの)
として求める。すなわち、上記の(1)から(9)までの工程を経て、鋳片10の鋳造長手方向の位置Y=Lにおける幅方向の表面温度山谷差ΔT(L)を定める。
図4に、図3に示す表面温度の幅方向プロファイルから上記の条件によって定まるΔTE1、ΔTE2、ΔTC を示す。この場合の表面温度山谷差ΔT(L)はΔTE2となる。
前述した表1に示す化学成分規格の鋼種を、前述した図1及び表2に示す垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1を用いて、鋳造速度を1.4〜2.4m/minの範囲で変更し、上記の方法を用いて鋳片10の幅方向温度プロファイルの表面温度山谷差ΔT(L)を求め、求めた表面温度山谷差ΔT(L)と鋳片10aの表面割れの個数密度との関係を調査した。この場合、表面温度山谷差ΔT(L)は、鋳込み長さ方向に100mm単位で算出し、表面温度山谷差ΔT(L)の代表値としては鋳片10aの切断単位毎に平均値を求め、また、鋳片10aの表面割れは、鋳片10aを冷却後に無手入れの状態で、全幅にわたって、長さ20mm以上の割れを計数し、個数を鋳片長さで除して個数密度を個/mの単位で表した。
図5は、上記の方法で求めた表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係である。この図のプロットでは何れも表面温度山谷差ΔT(L)を求めた山谷区間の範囲内に、図2に示す熱間延性が最小となる温度である750℃を含む場合である。図5によれば表面温度山谷差ΔT(L)が100℃以上になると表面割れが認められるようになり、その個数密度は表面温度山谷差ΔT(L)にほぼ比例していることが分る。
一方、図6は、上記の方法で求めた表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係であるが、この図のプロットでは何れも表面温度山谷差ΔT(L)を求めた山谷区間の範囲内に、図2に示す熱間延性が最小となる温度である750℃を含まない場合である。図6によれば、図5において表面割れの発生が認められた表面温度山谷差ΔT(L)が100℃以上の鋳片においても、表面割れはほとんど認められないことが分る。
図5及び図6に示すように、表面温度山谷差ΔT(L)の大きさと、表面温度山谷差ΔT(L)の間にその鋼の熱間延性低下温度域が存在するかどうかを把握することによって、鋳片表面割れの発生を予知できることが分る。すなわち、Nb含有鋼の場合には、表面温度山谷差ΔT(L)が100℃以上になり、且つ、この表面温度山谷差ΔT(L)を求めた山谷区間の範囲内に、熱間延性が最小となる温度である750℃が存在する場合には、表面割れが発生したと予測することができる。
次に、Nbを含有しない、表3に示す化学成分規格の一般的な鋼(以下「SS400 相当鋼」と記す)の例を説明する。
Figure 0005082683
表3に示すSS400 相当鋼の既鋳造鋳片から試験片を作成して、上記と同一の方法で熱間引張り試験を行った。図7に、熱間引張り試験における、試験片破断時の断面積を試験前の断面積で除算して求めた破断面の面積絞り率を示す。図7に示すように、このSS400 相当鋼の場合、700℃付近で熱間延性が極小値を示すが、極小値の面積絞り率は45%程度であり、図2に示すNb含有鋼に比べて極小値の面積絞り率が高いことが分る。つまり、このSS400 相当鋼は、前述したNb含有鋼に比較して鋳片表面割れが発生しにくいことが分る。
そして、このSS400 相当鋼を、前述した図1及び表2に示す垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1を用いて、鋳造速度を1.4〜2.4m/minの範囲で変更し、上記の方法を用いて鋳片10の幅方向温度プロファイルの表面温度山谷差ΔT(L)を求め、求めた表面温度山谷差ΔT(L)と鋳片10aの表面割れの個数密度との関係を調査した。この場合、表面温度山谷差ΔT(L)は、鋳込み長さ方向に100mm単位で算出し、表面温度山谷差ΔT(L)の代表値としては鋳片10aの切断単位毎に平均値を求め、また、鋳片10aの表面割れは、鋳片10aを冷却後に無手入れの状態で、全幅にわたって、長さ20mm以上の割れを計数し、個数を鋳片長さで除して個数密度を個/mの単位で表した。
図8は、上記の方法で求めた表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係である。この図のプロットでは何れも表面温度山谷差ΔT(L)を求めた山谷区間の範囲内に、図7に示す熱間延性が最小となる温度である700℃を含む場合である。図8によれば表面温度山谷差ΔT(L)が250℃以上になると表面割れが認められるようになり、その個数密度は表面温度山谷差ΔT(L)にほぼ比例していることが分る。但し、Nb含有鋼に比較して、表面温度山谷差ΔT(L)が大きくなっても割れの発生率は小さく、これは、図7の熱間引張り試験データからも明らかなように、Nb含有鋼に比べて脆化時の面積絞り率が大きく、つまり、割れに至る際の臨界歪量が大きいので、より大きな温度差が生じないと割れに至らないことを示している。
一方、図9は、上記の方法で求めた表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係であるが、この図のプロットでは何れも表面温度山谷差ΔT(L)を求めた山谷区間の範囲内に、図7に示す熱間延性が最小となる温度である700℃を含まない場合である。図9によれば、表面割れはほとんど認められないことが分る。
このように、本発明によれば、鋳造される鋼における熱間延性の低下域を予め把握するとともに、表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係を予め把握しておくことで、鋳造中の鋳片10の表面温度の分布から求めた表面温度山谷差ΔT(L)から容易に鋳片10の割れを予測することができる。すなわち、本発明によれば、鋳片10の表面温度の分布を測定することにより、二次冷却帯における表面割れの発生原因である二次冷却帯での力学的条件及び鋼の高温延性低下の双方の条件の充足度を一度に監視できるので、適確な表面割れの予測が可能となる。
本発明を実施するための垂直曲げ型スラブ連続鋳造機の側面概略図である。 Nb含有鋼における試験片破断面の面積絞り率と試験温度との関係を示す図である。 鋳造中の鋳片の幅方向全体の表面温度のプロファイルを示す図である。 図3に示す表面温度の幅方向プロファイルから表面温度の山谷差を求める例を示す図である。 Nb含有鋼において、表面温度の山谷差の範囲内に鋼の熱間延性が最小となる温度が含まれるときの表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係を示す図である。 Nb含有鋼において、表面温度の山谷差の範囲内に鋼の熱間延性が最小となる温度が含まれないときの表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係を示す図である。 SS400 相当鋼における試験片破断面の面積絞り率と試験温度との関係を示す図である。 SS400 相当鋼において、表面温度の山谷差の範囲内に鋼の熱間延性が最小となる温度が含まれるときの表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係を示す図である。 SS400 相当鋼において、表面温度の山谷差の中に鋼の熱間延性が最小となる温度が含まれないときの表面温度山谷差ΔT(L)と表面割れ発生個数との関係を示す図である。
符号の説明
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 鋳片支持ロール
7 搬送ロール
8 鋳片切断機
9 溶鋼
10 鋳片
11 凝固シェル
12 未凝固相
13 曲げ帯
14 矯正帯
15 表面温度計

Claims (2)

  1. 鋼を連続鋳造するに際し、連続鋳造機の二次冷却帯で鋳片表面の幅方向温度分布を測定し、表面温度の高低の山谷区間に前記鋼の延性低下温度域が存在し、且つ、表面温度山谷差が、該表面温度山谷差から定まる前記鋼の表面熱応力が当該鋼の前記山谷区間内での前記延性低下温度域における表面割れ発生臨界応力を上回る値となる温度差以上であるときに、鋳片に表面割れが発生したと予測することを特徴とする、連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法。
  2. 前記鋳片が0.02〜0.04質量%のNbを含有する鋼であって、前記山谷区間内に0.02〜0.04質量%のNbを含有する鋼の延性低下温度域である750℃が存在し、且つ、前記表面温度山谷差が100℃以上であるときに、鋳片に表面割れが発生したと予測することを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法。
JP2007222755A 2007-08-29 2007-08-29 連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法 Active JP5082683B2 (ja)

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