JP5712575B2 - 連続鋳造鋳片の凝固完了位置検出方法及び制御方法 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造機における連続鋳造鋳片の凝固完了位置を検出する方法及び凝固完了位置を制御する方法に関する。
鋼の連続鋳造機においては、水冷鋳型内に注入した溶鋼を水冷鋳型内で一次冷却して鋳型内壁に凝固殻を形成させ、この凝固殻を鋳型下方に設置した多数の鋳片支持ロールにて支持しつつ下方に連続的に引き抜きながら、スプレー冷却水などにより凝固殻表面を二次冷却し、鋳片中心部まで完全に凝固させた後に鋳片を所定長さに切断している。
このような連続鋳造機の最大鋳造能力は、鋳片の凝固完了位置を連続鋳造機出側の最下流の鋳片支持ロールの位置とする引き抜き速度で鋳片を鋳造した場合に達成される。また、熱エネルギーの削減を目的として鋳造直後の連続鋳造鋳片を圧延工程に搬送して高温の状態で圧延する場合にも、鋳片温度を可能な限り高くするためには、鋳片の凝固完了位置を連続鋳造機出側の最下流の鋳片支持ロールの位置とすることが好ましい。
しかし、鋳片の凝固完了位置は、鋳片引き抜き速度を一定にしても、二次冷却用冷却水の水温や吹き付け圧力、及び、鋳型注入時の溶鋼温度などの変化により常に変動しており、凝固完了位置を連続鋳造機の最下流側とした場合には、凝固完了位置が鋳片支持ロールの範囲を超える場合が発生する。この場合には、鋳片が溶鋼静圧によりバルジングして鋳片品質が劣化するばかりか、鋳片切断時に内部の未凝固層が流出するという設備トラブルの危険性さえもある。この危険性を回避するため、実際には、凝固完了位置を連続鋳造機出側の機端よりも十分に上流側とした条件で鋳造することが一般的である。
そこで、このような問題を解決して連続鋳造機の最大鋳造能力を安定して確保するべく、鋳片の凝固完了位置を検出する種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、鋳片支持ロールの軸受部基端に歪みゲージを貼付してロール負荷を検出し、凝固完了前と凝固完了後との溶鋼静圧の有無に起因するロール負荷を検出して凝固完了位置を判定する方法が開示されている。また、特許文献2には、鋳造中の鋳片に送信子から横波超音波を透過させ、透過した横波超音波を受信子にて受信し、横波超音波の透過強度から鋳片の凝固状態を検出する方法が開示されている。また更に、特許文献3には、連続鋳造中の鋳片を一対以上のロールにて圧下し、鋳片を圧下しているそれぞれのロールの変位量を計測し、計測した変位量からロールによる鋳片の圧下量を求め、求めた圧下量に基づき鋳片の凝固完了位置を判定する方法が開示されている。
特開平9−225611号公報 特開平11−83814号公報 特開2002−66704号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、軸受部基端に貼付した歪みゲージを用いてロールの負荷を検出するが、連続鋳造設備は本来堅固で丈夫な設備であり、溶鋼静圧の有無に起因して起こる軸受部基端の歪みは極めて少なく、また、歪みゲージが貼付される位置は高温雰囲気であり、温度によるロール歪みも発生するので、歪みゲージではロール負荷の変化を正確に捉えきれない場合が発生する。
特許文献2では、前述のように、鋳片引き抜き速度を一定にしても凝固完了位置は常に変動し、このような凝固完了位置を捉えるためには、横波超音波の発信子及び受信子を各ロール間に設置する必要がある。更に、鋳片引き抜き速度を変化させた場合にも凝固完了位置を捉えようとすると、多数の送信子及び受信子を配置する必要があり、設備費が増大する。
また、特許文献3では、未凝固を含む領域でのそれぞれのロールの変位量を計測する必要があり、鋳片の引き抜き速度が変更された状態であっても凝固完了位置を判定しようとすると、各ロールの変位量を計測するための変位計の設置数が膨大になり、設備費が増大する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造鋳片の凝固完了位置を、設備費を抑えて簡便な方法で正確に検出する方法を提供するとともに、この検出方法を用いて凝固完了位置を所定の位置に制御する方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1) 複数対の鋳片支持ロールが組み込まれ、上フレームと下フレームとを連結する4本のタイロッドを有するロールセグメントで鋳片を支持しながら鋳片を連続的に引き抜いて溶鋼を連続鋳造するにあたり、前記ロールセグメントの圧下勾配を0.3mm/m以上に設定した状態で、前記ロールセグメントの上フレームと下フレームとを連結する4本のタイロッドに取り付けられた、過負荷防止のための皿バネの撓み量を測定し、測定される皿バネの撓み量が0.3mm以上となり、且つ、その撓みの振動ストロークが0.05mm以上、振動周期(分)が鋳片支持ロールのロールピッチR(mm)と鋳片引き抜き速度Vc(mm/分)との比(R/Vc)の整数倍の±10%以内であるときに、当該ロールセグメントの領域内で鋳片の凝固が完了したと判定することを特徴とする、連続鋳造鋳片の凝固完了位置検出方法。
(2) 上記(1)に記載の凝固完了位置検出方法によって鋳片の凝固完了位置を検出し、この検出結果に基づき鋳片引き抜き速度を変更して、凝固完了位置を所定範囲内に制御することを特徴とする、連続鋳造鋳片の凝固完了位置制御方法。
本発明によれば、連続鋳造中の鋳片の凝固完了位置を、ロールセグメントのタイロッドに取り付けられた皿バネの撓み量を測定するという簡便な方法で正確に検出することが可能となり、また、この方法では、鋳片支持ロール毎に変位量などを測定する必要はなく、少ない撓み量計測器で検出することができ、設備コストを抑えることができる。また、この方法を用いて凝固完了位置を制御しつつ連続鋳造することにより、連続鋳造機の鋳造能力を最大まで増加させることが実現される。
ロールセグメントの例を示す概略断面図である。 本発明を実施する際に用いるスラブ連続鋳造機の側面概略図である。 実施例におけるNo.8セグメントでの皿バネの撓み量の測定結果を示す図である。 実施例におけるNo.9セグメントでの皿バネの撓み量の測定結果を示す図である。 図4の一部の拡大図である。
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明に至った経緯を説明する。
連続鋳造中に鋳片を長辺面側から圧下した場合、圧下される部分、即ち圧下抵抗となる部分は、鋳片厚み方向の中心部まで凝固が完了している部分であり、鋳片厚み方向の中心部に未凝固層が残留している部分は圧下抵抗とならない。
従って、内部に未凝固層が残留している状態の鋳片を圧下した場合には、圧下抵抗となる部分は、鋳片の短辺面側から凝固が進行した鋳片短辺側のみであり、鋳片長辺面全幅に対して圧下抵抗となる範囲の比率は小さい。この比率は、幅の広いスラブ鋳片のように、鋳片短辺長さ(「鋳片厚み」ともいう)に対する鋳片長辺長さ(「鋳片幅」ともいう)の比率が大きな鋳片ほど小さくなる。一方、鋳片厚み中心までの凝固が完了した鋳片を圧下した場合には、鋳片長辺面全幅が圧下抵抗となる。
鋳片を支持するためのロールセグメントは、複数本の鋳片支持ロールが配置されたフレームを相対させて構成されたものであり、図1に、ロールセグメントの1例の概略断面図を示す。尚、図1は、八対の鋳片支持ロール7が1つのロールセグメント15に配置された例を示す図であるが、鋳片支持ロール7は二対以上であれば何対配置されていても構わない。
図1において、ロールセグメント15は、それぞれ8本の鋳片支持ロール7を軸受部20により固定して保持した一対のフレーム16、フレーム16′からなり、このロールセグメント15においては、フレーム16及びフレーム16′を貫通させて合計4本(鋳造方向上流側の部位の両サイド及び下流側の部位の両サイド)のタイロッド17が配置され、このタイロッド17に設置されているウオームジャッキ18をモーター(図示せず)にて遠隔駆動させることにより、フレーム16とフレーム16′との間隔の調整、つまり、ロールセグメント15における鋳片支持ロール7のロール間隔の調整が行われるようになっている。ロールセグメント15に配置される鋳片支持ロール7で鋳片11に圧下力を加える場合には、鋳片支持ロール7のロール間隔を、鋳造方向下流側に向かって順次狭くなるように設定する必要があり(ロール間隔が鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定された状態を「圧下勾配」と称する)、このロール間隔の設定、つまり圧下勾配の設定も、ウオームジャッキ18を介して遠隔で操作できるように構成されている。但し、それぞれの鋳片支持ロール7のロール間隔を独立して行うことはできず、全ての鋳片支持ロール7のロール間隔が一括して行われる。鋳造中は、ウオームジャッキ18はセルフロックされ、未凝固層を有する鋳片11のバルジング力に対抗しており、鋳片11が存在しない条件下で、即ち、鋳片支持ロール7に鋳片11からの負荷が作用しない条件下で、ロール間隔の調整が行われるように構成されている。
この構成のロールセグメント15で鋳片11に圧下力を付与すると、4本のタイロッド17に鋳片11を圧下することによる反力(圧下反力)が作用する。4本のタイロッド17にかかる荷重を測定すれば、ロールセグメント15にはたらく圧下反力を把握することができる。鋳片11が凝固完了していない場合には、前述したように、圧下抵抗が小さく圧下反力は小さいが、厚み中心までの凝固が完了した場合には、鋳片長辺面全幅が圧下抵抗になり、凝固が完了した位置のタイロッド17においては大きな圧下反力が作用する。通常、ロールセグメント15は、過大な負荷による設備破壊を防止する目的で、例えば鋳片長辺面全幅に亘って厚み中心までの凝固が完了したスラブ鋳片を圧下する場合のように、耐荷重を超える負荷がロールセグメント15にかかった場合には、タイロッド17の上部に配置した皿バネ19が過剰な力を吸収するように構成されている。つまり、耐荷重以上になると、皿バネ19が動き始めるように構成されている(通常は、皿バネ19が収縮する)。
これらの結果から、連続鋳造中に、ロールセグメント15で鋳片11を圧下しながら、そのロールセグメント15の皿バネ19の撓み量を監視すれば、皿バネ19の撓み量に基づいて、このロールセグメント15の領域内で鋳片11が凝固完了したか否かを判定できることを知見した。
この場合、ロールセグメント15による鋳片11の圧下量が少ないと圧下反力が小さく、凝固の完了を正確に検出することができない。様々な実験の結果から、凝固の完了を正確に検出するためには、ロールセグメント15の圧下勾配を0.3mm/m以上に設定する必要のあることが分った。
更に検討を加えた結果、連続鋳造機には或る一定のガタが存在し、皿バネ19にもそれぞれのロールセグメントで固有に決まるガタが存在することが分った。但し、凝固伝熱計算から、明らかに未凝固層が存在していると想定されるロールセグメントでの皿バネ19のガタの調査結果や、鋳造開始時のダミーバー通過時の皿バネ19のガタの調査結果などから、鋳造開始前を基準値として、皿バネ19の撓み量が前記基準値に対して0.3mm以上となった場合には、ガタの範囲を超えており、鋳片11の凝固完了と関係することが分かった。
また、ロールセグメント15の負荷が耐荷重以上になると、皿バネ19が動き始め、バネによる振動が始まることを知見した。このバネによる振動を詳細に調査した結果、耐荷重以上の負荷がかかった場合には、このバネ振動のストローク、つまり、皿バネ19の撓みのストローク(変位の山谷差)が、0.05mm以上になり、且つ、皿バネ19の撓みの振動周期(分)が、鋳片支持ロール7のロールピッチR(mm)と鋳片引き抜き速度Vc(mm/分)との比(R/Vc)の整数倍に近い値になることが分った。ここで、振動周期(分)が比(R/Vc)の整数倍に近い値になるとは、皿バネ19の撓みの振動周期(分)は測定による誤差を含むことがあり、この誤差を含めて、撓みの振動周期(分)が比(R/Vc)の整数倍の±10%以内であるという意味である。
即ち、圧下勾配を0.3mm/m以上とするロールセグメント15で鋳片11を支持しながら引き抜く連続鋳造において、ロールセグメント15に配置した皿バネ19の撓み量が0.3mm以上となり、且つ、その撓みの振動ストロークが0.05mm以上、振動周期が鋳片支持ロール7のロールピッチR(mm)と鋳片引き抜き速度Vc(mm/分)との比(R/Vc)の整数倍の±10%以内であるときに、当該ロールセグメント15の領域内で鋳片11の凝固が完了したと判定できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、ロールセグメント15の圧下勾配を0.3mm/m以上に設定した状態で、上フレーム16´と下フレーム16とを連結する4本のタイロッド17に取り付けられた皿バネ19の撓み量を測定し、測定される皿バネ19の撓み量が0.3mm以上となり、且つ、その撓みの振動ストロークが0.05mm以上、振動周期(分)が鋳片支持ロール7のロールピッチR(mm)と鋳片引き抜き速度Vc(mm/分)との比(R/Vc)の整数倍の±10%以内であるときに、当該ロールセグメント15の領域内で鋳片11の凝固が完了したと判定する。
皿バネ19の撓み量の測定については、皿バネ19は上フレーム16´と同期して変動することから、図1に示すように、撓み量を測定するための渦流式距離計、レーザー距離計、作動トランスなどの撓み量計測器21を、取付冶具22を介して上フレーム16´に固定して設置することが好ましい。このように配置した撓み量計測器21で測定することで、上フレーム16´の変動に関係なく、皿バネ19の撓み量のみを正確に測定することが可能となる。撓み量計測器21は、各皿バネ19にそれぞれ設置することが好ましいが、ロールセグメント15の鋳造方向上流側の2つのタイロッド17はそれぞれ同様な挙動を示し、また、鋳造方向下流側の2つのタイロッド17はそれぞれ同様な挙動を示すので、鋳造方向上流側で一箇所、下流側で一箇所としても構わない。但し、鋳片引き抜き速度を変更する場合にも凝固完了位置を検出するためには、鋳片引き抜き速度の変更範囲に応じて複数のロールセグメントにおいて、皿バネ19の撓み量を測定するための撓み量計測器21を設置する必要がある。
次いで、本発明の具体的な実施方法を、図面を参照して説明する。図2は、本発明を実施する際に用いるスラブ連続鋳造機の1例の側面概略図である。
図2に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼10を注入して凝固させ、鋳片11の外殻形状を形成するための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼10を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。タンディッシュ2の底部には、溶鋼10の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、浸漬ノズル4が設置されている。一方、鋳型5の下方には、クーリンググリッド6が配置され、このクーリンググリッド6の下流側に、サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる複数対の鋳片支持ロール7が配置されている。クーリンググリッド6の範囲、並びに、鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール7の間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置された二次冷却帯が構成され、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される冷却水(「二次冷却水」ともいう)によって鋳片11は引き抜かれながら冷却されるようになっている。また、鋳造方向最終の鋳片支持ロール7の下流側には、鋳造された鋳片11を搬送するための複数の搬送ロール8が設置されており、この搬送ロール8の上方には、鋳造される鋳片11から所定の長さの鋳片11aを切断するための鋳片切断機9が配置されている。サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる鋳片支持ロール7は、全てロールセグメント構造となっている。尚、クーリンググリッド6を設置せずに、鋳型5の直下に鋳片支持ロール7を配置しても構わない。
特に、鋳片11の凝固完了位置14を挟んだ上流側及び下流側には、凝固完了位置14を判定する目的で、鋳片11を挟んで対向する鋳片支持ロール間の間隔(この間隔を「ロール間隔」と呼ぶ)を鋳造方向下流側に向かって順次狭くなるように設定された、つまり圧下勾配が設定されたロールセグメントが設置されている。図2では、スラブ連続鋳造機1の水平帯に並んで配置される3基のロールセグメントに圧下勾配が設定されている。
圧下勾配は、鋳造方向1mあたりのロール間隔絞り込み量、つまり「mm/m」で表示されており、ロールセグメントによる鋳片11の圧下速度(mm/分)は、この圧下勾配(mm/m)に鋳片引き抜き速度(m/分)を乗算することで得られる。本発明においては、凝固完了位置14の近傍のセグメントでは、鋳片11を圧下する必要があることから、ロールセグメントの圧下勾配を0.3mm/m以上に設定する。但し、ロールセグメントによる圧下速度が1.5mm/分を超えると、濃化溶鋼が鋳造方向とは逆方向に絞り出され、鋳片中心部には負偏析が生成される虞があるので、圧下速度が1.5mm/分を超えないように、鋳片引き抜き速度に応じて圧下勾配の上限を決めることが望ましい。
ここで、図2に示すロールセグメントの構造は、鋳片支持ロール7が三対であること以外は、図1に示すロールセグメント15と同一構造である。つまり、下フレーム(フレーム16に相当)及び上フレーム(フレーム16′に相当)を貫通するタイロッドの上部に設置された皿バネ19の撓み量を撓み量計測器21で測定できるようになっている。
このような構成のロールセグメントでは、三対の鋳片支持ロール7のロール間隔が一括して調整される。この場合、遠隔操作による上フレーム(フレーム16′に相当)の移動量は、ウオームジャッキの回転数により測定・制御されており、それぞれのロールセグメントの圧下勾配が分るようになっている。尚、図2では、1基のロールセグメントに配置する鋳片支持ロール7が三対であるが、三対とする必要はなく、二対以上であれば幾つであっても構わない。
このように構成されるスラブ連続鋳造機1を用い、取鍋からタンディッシュ2に溶鋼10を注入してタンディッシュ2に所定量の溶鋼10を滞留させ、次いで、タンディッシュ2に滞留した溶鋼10を、浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入する。鋳型5に注入された溶鋼10は、鋳型5で冷却されて凝固シェル12を形成し、外殻を凝固シェル12とし、内部に未凝固層13を有する鋳片11として、クーリンググリッド6及び鋳片支持ロール7に支持されながらピンチロールによって鋳型5の下方に連続的に引き抜かれる。鋳片11は、鋳片支持ロール7を通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル12の厚みを増大し、凝固完了位置14で内部までの凝固を完了する。その後、凝固完了した鋳片11は、鋳片切断機9によって切断されて鋳片11aとなる。
このようにして鋳片11を鋳造する際に、凝固完了位置14の近傍のロールセグメント(図2では3基のロールセグメント)において、タイロッドに設置した皿バネの撓み量を測定する。測定される皿バネの撓み量が0.3mm以上となり、且つ、その撓みの振動ストロークが0.05mm以上、振動周期(分)が鋳片支持ロール7のロールピッチR(mm)と鋳片引き抜き速度Vc(mm/分)との比(R/Vc)の整数倍の±10%以内であるときに、当該ロールセグメントの領域内で鋳片11の凝固が完了したと判定する。
また、凝固完了位置14を所定の範囲内に制御したい場合には、上記のようにして凝固完了位置14を検出し、この結果に基づき鋳片引き抜き速度を変更しつつ、フィードバック制御することで、凝固完了位置14を所定範囲内に制御することができる。また更に、皿バネのバネ定数から、ロールセグメントにかかる荷重も推測することが可能となり、操業条件の変更時の問題などを同時に把握することができる。
以上説明したように、本発明によれば、続鋳造中の鋳片11の凝固完了位置14を、ロールセグメントの皿バネの撓み量を測定するという簡便な方法で正確に検出することが可能となり、また、この方法では、鋳片支持ロール毎に変位量などを測定することは必要なく、少ない撓み量計測器で検出することができ、設備コストを抑えることができる。また、この方法を用いて凝固完了位置14を制御しつつ連続鋳造することにより、連続鋳造機の鋳造能力を最大まで増加させることが実現される。
低炭素アルミキルド鋼を、鋳片厚みが250mm、鋳片幅が2100mmのスラブ鋳片に鋳造する際に、メニスカスから21〜23mに設置されたNo.8セグメント、メニスカスから23〜25mに設置されたNo.9セグメントのそれぞれのタイロッドに設置した皿バネの撓み量を渦流式距離計によって測定し、皿バネの撓み量と凝固完了位置との関係を調査した。鋳造試験の二次冷却水の比水量は1.61L/kg.steelの一定値とし、鋳片引き抜き速度Vcを1.4m/分の一定値とした。No.8セグメント及びNo.9セグメントに配置される鋳片支持ロールの直径は230mmで、ロールピッチRは310mmであり、セグメントの圧下勾配は0.9mm/mとした。
このようにして鋳造したときの皿バネの撓み量の測定結果を図3(No.8セグメントの測定結果)及び図4(No.9セグメントの測定結果)に示す。予め行った凝固伝熱計算の結果から推定される凝固完了位置は、1.4m/分の鋳片引き抜き速度においてはNo.9セグメント内のメニスカスから24.2mの位置であった。
図3に示すように、No.8セグメントでは、ロールセグメントの上流側及び下流側ともに皿バネの撓み量は0.3mm以下のガタの範囲内であり、鋳片は未凝固であることが推察された。一方、図4に示すように、No.9セグメントでは、上流側の皿バネの撓み量は、No.8セグメントと同様の挙動であったが、下流側の皿バネの測定データは撓み量が1.0mm程度と大きく、また、0.05mm程度の振動ストロークで振動していることが確認できた。
また、図5は、No.9セグメントの下流側の皿バネの測定データの拡大図であり、振動の周期を調査すると、図5に示すように、約3分間で14個の山があり、つまり約3分間で13回の振動があり、皿バネの振動の周期は0.23分(=3/13、13.8秒)であった。理論上のR/Vcは0.22分(=310/1400、13.3秒)であり、誤差±10%以内の4.0%であった。この結果から、凝固伝熱計算結果と同様に、No.9セグメント内に凝固完了位置が存在していると判定できた。
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 クーリンググリッド
7 鋳片支持ロール
8 搬送ロール
9 鋳片切断機
10 溶鋼
11 鋳片
12 凝固シェル
13 未凝固層
14 凝固完了位置
15 ロールセグメント
16 フレーム
17 タイロッド
18 ウオームジャッキ
19 皿バネ
20 軸受部
21 撓み量計測器
22 取付冶具

Claims (2)

  1. 複数対の鋳片支持ロールが組み込まれ、上フレームと下フレームとを連結する4本のタイロッドを有するロールセグメントで鋳片を支持しながら鋳片を連続的に引き抜いて溶鋼を連続鋳造するにあたり、前記ロールセグメントの圧下勾配を0.3mm/m以上に設定した状態で、前記ロールセグメントの上フレームと下フレームとを連結する4本のタイロッドに取り付けられた、過負荷防止のための皿バネの撓み量を測定し、測定される皿バネの撓み量が0.3mm以上となり、且つ、その撓みの振動ストロークが0.05mm以上、振動周期(分)が鋳片支持ロールのロールピッチR(mm)と鋳片引き抜き速度Vc(mm/分)との比(R/Vc)の整数倍の±10%以内であるときに、当該ロールセグメントの領域内で鋳片の凝固が完了したと判定することを特徴とする、連続鋳造鋳片の凝固完了位置検出方法。
  2. 請求項1に記載の凝固完了位置検出方法によって鋳片の凝固完了位置を検出し、この検出結果に基づき鋳片引き抜き速度を変更して、凝固完了位置を所定範囲内に制御することを特徴とする、連続鋳造鋳片の凝固完了位置制御方法。
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