JP5071025B2 - 連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法及び鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法及び鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造鋳片の横割れの発生を評価する高温脆化評価方法、及び、この評価結果を利用した鋼の連続鋳造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造においては鋳片の曲げや曲げ戻しの際に、鋳片に応力が作用する。このとき、作用する応力に起因して鋳片表面に、鋳片幅方向に沿った割れ(「横割れ」という)が発生することがある。この横割れの発生機構の解明及び防止方法の開発のために、鋼の高温脆化の実体解明や鋳片の力学的挙動の解析が行われてきた。その結果、二次冷却条件の最適化、水スプレーからエアーミストスプレーへの変更、連続鋳造機の1点矯正から多点矯正への改造などの対策が実施され、横割れの発生は大幅に減少した。
現在の横割れ防止方法は、当該鋼種の高温引張試験で測定した断面収縮率(Reduction of area :以下「RA」と記す)と温度との関係に基づいて脆化温度域を評価し、この脆化温度域を回避するように鋳造中の鋳片表面温度を制御する方法が行われている。特に、曲げ部や矯正部で鋳片表面温度が脆化温度範囲に入らないようにするために、二次冷却条件を制御している。尚、断面収縮率は「絞り値」とも呼ぶ。
しかしながら、従来からこのようにして鋳片の脆性をRAで評価しているが、鋳片表面に割れが発生する限界のRAには統一的な見解がない。例えば、非特許文献1では、横割れが発生した鋼種について、そのRAのデータと横割れの発生とを照合し、RAが60%以下の場合に横割れの発生する頻度が高いことを経験的に見出し、RAが60%以上になる範囲内に鋳片表面温度を制御して横割れを防止している。これに対して、特許文献1及び特許文献2では、横割れの発生しない範囲をRA50%以上の範囲としている。
このように、RAは脆化状態を定性的に表すことはできるが、横割れ発生の限界RAとしては異なる数値が報告されている。このような不一致は、横割れの発生が連続鋳造機の型式や鋳造条件の違いなどに影響されること、及び、RAそのものが高温引張試験時の熱履歴による金属組織や析出物形態の違いなどの影響を受けるために起こると考えられる。これらを勘案すれば、横割れの発生を評価する指標としてRAだけでは不十分といえる。
特開平6−246411号公報 特開平8−33964号公報 H.G.Suzuki、S.Nishimura、Y.Nakamura:Trans.ISIJ,24(1984),54
現在では鋳片に対する品質要求レベルが高まり、鋳片表面の微小な横割れも防止することが求められている。また、従来の対策だけでは、特に、鋳造後の鋳片の表面検査や表面手入れを実施せずに、鋳造した鋳片を高温のまま次工程の熱間圧延工程に搬送する直送圧延の場合には、横割れを完全に防止できていないのが現状である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造鋳片の横割れの発生を、短時間に且つ少ない試験片の測定で、的確に評価することのできる高温脆化評価方法を提供するとともに、この評価方法に基づいて横割れの発生しない鋳片を製造することのできる連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法は、連続鋳造鋳片の横割れの発生を評価する高温脆化評価方法であって、鋳造中の鋳片の組成と同一鋼種の試験片であり、且つ一回の圧縮を加えることで異なる歪量を与えることのできる形状の試験片にて予め測定した割れ発生限界歪に基づいて鋳片の横割れ感受性を評価することを特徴とするものである。
第2の発明に係る連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法は、連続鋳造鋳片の横割れの発生を評価する高温脆化評価方法であって、鋳造中の鋳片の組成と同一鋼種の試験片であり、且つ一回の圧縮を加えることで異なる歪量を与えることのできる形状の試験片にて予め温度別に測定した割れ発生限界歪と、鋳造中の鋳片の表面温度と、を照らし合わせ、前記温度別に測定した割れ発生限界歪を参照して鋳片表面温度から当該温度における割れ発生限界歪を推定し、推定した割れ発生限界歪に基づいて鋳片の横割れ感受性を評価することを特徴とするものである。
第3の発明に係る連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法は、第1または第2の発明において、前記試験片は、中央部に、上部及び下部の円形形状よりも大きな横断面面積を有する楕円形形状の突出部を有することを特徴とするものである。
第4の発明に係る鋼の連続鋳造方法は、連続鋳造機を用いて鋼を連続鋳造する際に、連続鋳造機の曲げ部または矯正部における鋳片の表面温度を、第1ないし第3の発明の何れか1つに記載の連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法において測定された割れ発生限界歪が5%以上となる温度範囲に制御しながら鋳造することを特徴とするものである。
本発明によれば、連続鋳造鋳片の横割れ感受性を的確に評価することができ、鋳片の横割れ発生を防止することが可能となる。その結果、横割れの発生によって生ずる鋳片の表面手入れなどの工程を省略することができ、また、鋳片の歩留りも向上する。これにより、省資源、省エネルギー、コストダウンなどの工業上有益な効果がもたらされる。また、本発明では、一回の圧縮を加えることで異なる歪量を与えることのできる試験片を用いるので、横割れ感受性の評価を迅速に行うことが可能となり、新規開発鋼種の鋳造可否判断を迅速に且つ低コストで行うことができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、連続鋳造鋳片の横割れの発生を評価する指標として、従来のRA(断面収縮率)に代わって、鋼の高温圧縮試験により測定される割れ発生限界歪を採用する。即ち、種々の温度で測定した鋼の割れ発生限界歪に基づき、連続鋳造鋳片の横割れの発生を評価する。ここで、「割れ発生限界歪」とは、高温圧縮試験において試験片に微細な割れが発生したときの歪量であり、割れ発生限界歪よりも大きな歪が鋳片に作用すれば割れが発生し、鋳片に作用する歪が割れ発生限界歪よりも小さい場合には割れは発生しないことになる。
図1に、高温圧縮試験に使用される試験片の形状の一例を示す。この試験片18は、図1に示すように、中央部に、上部及び下部の円柱部の直径よりも大きな直径の円柱からなる突出部18aを有する形状を呈している。因みに、図1には各部位の寸法を記入している。高温圧縮試験に用いる高温圧縮試験装置は、高温引張試験装置と同一である。この高温圧縮試験装置を用い、試験片18を一旦Ar3点以上に加熱してオーステナイト組織に変態させた後に、試験温度まで温度を降下させ、試験温度に保持して圧縮試験を実施する。
試験片18を円柱軸心方向に圧縮すると、突出部18aの表面には円周方向に引張力が作用するので、この引張力により突出部18aの表面に割れを発生させることができる。この場合、突出部18aの表面における歪量は圧縮量を調整することで制御することができるが、突出部18aの表面における歪量は下記の(1)式を用いて算出されるように、圧縮量に応じた或る特定の歪が突出部18aの表面円周方向に均一に作用することになる。即ち、一回の圧縮試験では試験片18に作用する歪量を種々変えることはできず、圧縮量に応じた或る特定の歪量が負荷されることになる。尚、(1)式において、εは歪(%)、D0 は試験前の突出部18aの直径(m)、Di は試験後の突出部18aの直径(m)である。
Figure 0005071025
従って、試験片18を用いた場合には、高温圧縮試験の都度、圧縮量を変化させて突出部18aの表面における円周方向の歪量を変える必要がある。そして、試験後の試験片18の突出部18aの表面を観察して割れの有無を判定する。割れの有無が目視では困難な場合には、試験片18を切断し研磨して、顕微鏡によって割れの有無を調査する。
図2に、高温圧縮試験後の試験片18の表面を模式的に示す。図2に示すように、高温圧縮試験後の試験片18を、表面形状から、(A)割れなし、(B)亀裂あり(微細な割れ)、(C)割れあり(拡大した割れ)の3種類に分類し、亀裂が発生する歪を「割れ発生限界歪」と定義している。具体的には、図2の(B)の亀裂が生成する時点の歪を「割れ発生限界歪」としている。圧縮量を変化させ更に測定温度を変更して、割れ発生の有無を調査し、図3に示すように、温度別に歪量と割れとの関係を求め、温度別の割れ発生限界歪を推定する。例えば、図3において、800℃における割れ発生限界歪は10%程度であることが分かり、また、900℃における割れ発生限界歪は13%から28%の間であることが分かるが、900℃の測定値だけでは判定できないので、前後の温度の試験データを参考にして推定する。
しかしながらこの手法では、圧縮量を変化させる必要があることから、何度も試験を繰り返す必要がある。因みに図3における一点のプロットが一回の実験で得られた結果であることから、図3を作成するには、14回もの試験を実施する必要があることになる。多数の試験片を切り出し加工しなければならず、コスト上のデメリットも大きい。
また、図3の900℃の調査結果に示すように、少ない試験数では発生限界歪を正確に定めることができないという問題もある。また更に、割れ発生限界歪を求めるためには割れが発生するまで試験を行う必要があるが、鋼種によっては大きな歪を与えても割れが発生せず、試験装置で与えられる限界の歪量を超えて、試験装置を損壊してしまう恐れもある。
そこで、本発明では、高温圧縮試験で用いる試験片として、上記の試験片18に代わって、一回の圧縮を加えることで異なる歪量を突出部の表面に与えることのできる形状の試験片を用いることとした。この形状の試験片の例を図4に示す。この試験片19は、図4に示すように、中央部に、上部及び下部の円柱部よりも大きな横断面面積を有する楕円柱形状の突出部19aを有する形状を呈している。因みに、図4には楕円柱形状の長円及び短円の寸法を記入しているが、記入のない部分は図1に示す試験片18と同一寸法である。上記の円柱形状の試験片18の代わりに、このような形状の試験片19を用いることにより、高温圧縮試験の回数を大幅に削減することが可能となる。尚、図4は、本発明で用いた高温圧縮試験片の一例を示す図であり、図4(A)は斜視図、図4(B)は側面図、図4(C)は平面図である。
楕円柱形状の突出部19aを有する試験片19を用いることにより、突出部19aの円周方向の位置に応じて与えられる歪量が変化する。試験片19において、前述した図2(B)で示すような亀裂(微細な割れ)の発生した位置における歪量を求めれば、その求めた歪量が割れ発生限界歪に該当することから、割れ発生限界歪を適確に且つ容易に求めることができ、また、一回ないし二回の程度の少ない試験回数で、その温度における割れ発生限界歪を求めることができる。
突出部19aの表面の円周方向各位置における歪量は、応力数値解析によって求めることができる。一例として図4に示す試験片19を、900℃の試験温度にて5mm圧縮したときの突出部19aの表面の円周方向各位置に与えられる歪量を、有限要素法を用いて数値解析した結果を図5に示す。図5に示すように、歪量は、突出部19aの位置に応じて、約1%から約17%まで変化することが分かる。高温圧縮試験で亀裂の発生した位置(水平位置)において数値解析により求められる歪が割れ発生限界歪となる。尚、図5の横軸は、突出部19aの楕円の長径20mmを、水平方向に投影したときの位置である。
図6に、図3に示される、割れと歪量との関係を調査した鋼種と同一の鋼種において、試験片19を用いた高温圧縮試験により得られた割れ発生限界歪と温度との関係を示す。図6には、試験片18を用いた前述の図3の結果も合わせて表示している。図6に示す割れ発生限界歪(●印)は、高温圧縮試験を、700℃、800℃、840℃、900℃、1000℃、1100℃の各温度にてそれぞれ一回行い、試験毎に試験片19の表面を詳細に観察し、亀裂の発生した位置とその位置における算出歪との関係をプロットしたものである。試験回数は各温度において一回ずつ、合計6回の試験回数でありながら、試験片18を用いた場合のように閾値判定によることなく、正確な割れ発生限界歪を求めることが可能となる。また、図6からも明らかなように、試験片19を用いた場合には、試験片18を用いた場合に比較して、正確に割れ発生限界歪を測定することが確認でき、試験片19を使用することで、割れ発生の無い連続鋳造鋳片を製造するための連続鋳造操業をより実現可能にすることが示唆される。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、連続鋳造鋳片の横割れの発生を評価する高温脆化評価方法であって、鋳造中の鋳片の組成と同一鋼種の試験片であり、且つ一回の圧縮を加えることで異なる歪量を与えることのできる形状の試験片にて予め測定した割れ発生限界歪に基づいて鋳片の横割れ感受性を評価することを特徴とする。
以下に、本発明における高温圧縮試験結果の例として、3種類の鋼種の測定データを説明する。試験に用いたスチールA〜Cの3種類の鋼の化学成分を表1に示す。
Figure 0005071025
スチールA〜Cの連続鋳造鋳片から切り出し、加工して作製した試験片19を、一旦1200℃以上のAr3点以上に加熱してオーステナイト組織に変態させた後、試験温度まで温度降下させ、圧縮試験を実施した。
スチールA〜Cにおいて得られた割れ発生限界歪を図7に示す。図7に示すように、割れ発生限界歪は、鋼種によって大幅に異なり、また、同一鋼種であっても、温度によって大幅に異なることが分かった。割れ発生限界歪が高い鋼種ほど、横割れ感受性が低く、連続鋳造機で横割れが発生しにくいことを示している。また、連続鋳造機で鋳片に作用する歪が割れ発生限界歪よりも小さければ、横割れが発生しないことを示している。
金属材料が破断する過程は、(1)亀裂発生、(2)割れの伝播、(3)破断の順である。亀裂の発生はボイドの生成と、それが連結する過程である。高温引張試験において測定されるRAは、(3)の状態における測定値であるのに対し、高温圧縮試験において測定される割れ発生限界歪は(1)や(2)の段階における測定値であるので、実際の連続鋳造における横割れ発生のメカニズムに近く、より正確に鋳片の横割れ感受性の評価を行うことができる。
このようにして定まる割れ発生限界歪に基づき、連続鋳造機で鋳造される鋳片の横割れを防止する方法は、以下のようにして行うことができる。図8に、近年の一般的な連続鋳造機である垂直曲げ型スラブ連続鋳造機の側面概要図を示す。
図8に示すように、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1には、溶鋼11を注入するための鋳型5が設置され、鋳型5の上方所定位置には、タンディッシュ2が設置されている。一方、鋳型5の下方には、サポートロール6、ガイドロール7及びピンチロール8からなる複数対の鋳片支持ロールが配置されており、鋳型5から引き抜かれる鋳片12は、これらの鋳片支持ロールに支持されながら引き抜かれる。鋳片支持ロールの間隙には、水スプレーノズルやエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置(「二次冷却帯」という)され、スプレーノズルから噴霧される冷却水によって鋳片12は引き抜かれながら冷却される。
鋳型5の出口から1mないし5m程度離れた位置に配置される複数対のガイドロール7は、鋳片12の支持・案内方向が鉛直方向から湾曲方向へと方向を変える曲げ部16を構成している。つまり、鋳型5から鉛直方向に引き抜かれた平板上の鋳片12は曲げ部16で次第に円弧状に曲げられ、半径が一定の湾曲部へと矯正されるようになっている。同様に湾曲部が水平線に接触する位置の近傍に配置される複数対のガイドロール7は、鋳片12の支持・案内方向が湾曲方向から水平方向へと方向を変える矯正部17を構成している。つまり、円弧状の鋳片12は矯正部17で次第に平板上に曲げ戻され、水平部へと矯正されるようになっている。尚、図8では、曲げ部16及び矯正部17ともに複数対のガイドロール7で構成されているが、一対のガイドロールのみで構成してもよい。
タンディッシュ2に注入された溶鋼11は、スライディングノズル3で流量を調整されながら、浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入され、鋳型5に鋳造された溶鋼11は鋳型5で冷却されて凝固シェル13を形成し、内部に未凝固層14を有する鋳片12として、鋳片支持ロールに支持されつつ下方に連続的に引き抜かれる。鋳型5の溶鋼湯面上には、モールドパウダー(図示せず)を添加する。鋳片12を引き抜きながら、二次冷却帯によって冷却する。冷却された鋳片12は、凝固シェル13の厚みを増大して、やがて凝固完了位置15で凝固を完了する。このようにして鋳造した鋳片12を、搬送ロール9で搬送しながら鋳片切断機10により切断して鋳片12aを得る。鋳片12aは、次工程の熱間圧延工程に搬送される。
尚、湾曲型スラブ連続鋳造機は、鋳型自体が湾曲部と同一半径で湾曲しており、従って、曲げ部16が設置されていないが、それ以外は、垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1と同様の構造である。
垂直曲げ型スラブ連続鋳造機1で鋳造される鋳片12の表面には、応力つまり歪が付与されるが、主に歪の作用する部位は曲げ部16及び矯正部17である。その他の部位では、例えば鋳片12のバルジングなどによって歪が作用するが、曲げ部16及び矯正部17の歪に比べれば小さく、横割れの可能性は低い。湾曲型スラブ連続鋳造機の場合には、矯正部17のみとなる。
そこで、本発明では、少なくとも、曲げ部16及び矯正部17を通過する時点の鋳片12の表面温度を、鋳片12と同一鋼種において予め温度別に測定した割れ発生限界歪を参照して、割れ発生限界歪が5%以上好ましくは10%以上である温度範囲に制御しながら鋳造する。当然ながら、横割れを防止する観点からは、連続鋳造機の全ての領域で割れ発生限界歪が5%以上好ましくは10%以上である温度範囲に制御することが好ましい。
本発明者等は、割れ発生限界歪が5%以上の範囲内に表面温度を制御すれば、横割れが発生しないことを確認している。但し、その他の外乱などの影響もあるので、可能ならば、割れ発生限界歪が10%以上の範囲内に表面温度を制御することが好ましいことも確認している。
スチールCを例とし、図7に示す割れ発生限界歪を参照して具体的な鋳造方法を説明する。スチールCでは、850〜900℃の範囲は割れ発生限界歪が5%未満であり、鋳片表面温度を850〜900℃の範囲内として曲げ部16及び矯正部17を通過させると、横割れが発生する。従って、これを防止するために、曲げ部16及び矯正部17を通過する時点の鋳片12の表面温度が850〜900℃の範囲にならないように、二次冷却帯の冷却水や鋳造速度を調整する。鋳片12の表面温度は実際に鋳造し且つ測定しなくても伝熱計算などから求めることができるので、二次冷却帯の冷却水量や鋳造速度を変更して伝熱計算を実施し、最適な鋳造条件を求め、それに基づいて鋳造すればよい。
曲げ部16及び矯正部17において、鋳片12に作用する歪(εU )は、幾何学的には下記の(2)式で表すことができるが、(2)式では、鋳片12のオシレーションマークの深さや凝固時に形成される粒界偏析などを考慮しておらず、歪は小さく算出されるので注意が必要である。尚、(2)式において、Dは鋳片の厚み(m)、xは鋳片表面からの距離(m)、Ri+1及びRi は、多点曲げ及び多点矯正時の曲げ部16及び矯正部17における隣り合うそれぞれの湾曲半径(m)である。
Figure 0005071025
以上説明したように、本発明によれば、鋳片12の横割れ感受性を的確に且つ少ない試験回数で評価することができ、また、鋳片12の横割れ発生を防止することが可能となる。その結果、横割れの発生によって生ずる鋳片12の表面手入れなどの工程を省略することができる。
前述したスチールA〜Cの3種類の溶鋼を、図8に示す垂直曲げ型スラブ連続鋳造機で鋳造した。鋳造速度は2.0m/分の一定としたが、二次冷却水量を変化させて、曲げ部及び矯正部の鋳片表面温度を変更した。鋳造後、鋳片の表面を浸透探傷法により調査し、横割れ発生状況を調査した。鋳片の表面温度及び横割れ発生状況を表2に示す。
Figure 0005071025
試験No.5、試験No.7及び試験No.8で横割れが発生した。これは、試験No.5、試験No.7及び試験No.8ともに矯正部での鋳片表面温度が、割れ発生限界歪が5%未満となる温度範囲であり、これにより横割れが発生したものである。その他の試験では、曲げ部及び矯正部ともに割れ発生限界歪が5%以上の温度範囲であり、横割れの発生は認められなかった。
高温圧縮試験に使用される試験片の一例を示す図である。 高温圧縮試験後の試験片の表面を模式的に示す図である。 高温圧縮試験から得られる温度別の割れ発生と歪量との関係を示す図である。 本発明で用いた高温圧縮試験片の一例を示す図である。 本発明で用いた試験片の突出部表面に与えられる歪量を、有限要素法を用いて数値解析した結果を示す図である。 本発明により得られた割れ発生限界歪と温度との関係を示す図である。 本発明により得られた割れ発生限界歪の測定値を鋼種別に示す図である。 垂直曲げ型スラブ連続鋳造機の側面概要図である。
符号の説明
1 垂直曲げ型スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 サポートロール
7 ガイドロール
8 ピンチロール
9 搬送ロール
10 鋳片切断機
11 溶鋼
12 鋳片
13 凝固シェル
14 未凝固層
15 凝固完了位置
16 曲げ部
17 矯正部
18 試験片
19 試験片

Claims (4)

  1. 連続鋳造鋳片の横割れの発生を評価する高温脆化評価方法であって、鋳造中の鋳片の組成と同一鋼種の試験片であり、且つ一回の圧縮を加えることで異なる歪量を与えることのできる形状の試験片にて予め測定した割れ発生限界歪に基づいて鋳片の横割れ感受性を評価することを特徴とする、連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法。
  2. 連続鋳造鋳片の横割れの発生を評価する高温脆化評価方法であって、鋳造中の鋳片の組成と同一鋼種の試験片であり、且つ一回の圧縮を加えることで異なる歪量を与えることのできる形状の試験片にて予め温度別に測定した割れ発生限界歪と、鋳造中の鋳片の表面温度と、を照らし合わせ、前記温度別に測定した割れ発生限界歪を参照して鋳片表面温度から当該温度における割れ発生限界歪を推定し、推定した割れ発生限界歪に基づいて鋳片の横割れ感受性を評価することを特徴とする、連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法。
  3. 前記試験片は、中央部に、上部及び下部の円形形状よりも大きな横断面面積を有する楕円形形状の突出部を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法。
  4. 連続鋳造機を用いて鋼を連続鋳造する際に、連続鋳造機の曲げ部または矯正部における鋳片の表面温度を、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法において測定された割れ発生限界歪が5%以上となる温度範囲に制御しながら鋳造することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
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