JP5678682B2 - 連続鋳造における二次冷却強度評価ならびに制御方法 - Google Patents

連続鋳造における二次冷却強度評価ならびに制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、より高生産性、高品質が要求される現在の連続鋳造技術において鋳片の表面ならびに内部の欠陥を防止するための二次冷却を、より高精度に実施するための方法に関するものである。
第1図に模式図を示すように鋼の連続鋳造方法は、鋳型1内で形成した凝固シェルをサポートロール3でサポートしながら二次冷却スプレイ4で冷却し、凝固を進行させながら鋳片2を引き抜くものであり、一般的に垂直曲げ型、湾曲型などで、矯正位置5において鋳片2に凝固途中で応力を加えて曲げ・矯正することが実施されている。
Nb、V、Al、Mn、S、Nなどの含有量の高い鋼は、脆化温度域で鋳片に応力が加わると表面割れの発生が問題となることが一般的に知られている(例えば非特許文献1参照)。
表面割れに対しては、
(1)Nb、V、Al、Nなどの粒界脆化元素の含有量が高いものについては、連続鋳造機の曲げもしくは矯正歪が付与される位置で脆化温度域(700〜800℃)を回避するような二次冷却パターンに最適化する方法
(2)亜包晶C濃度を回避したC量やTi、Caなどの元素を添加することによる高温延性改善方法
などが一般的に知られ、実施されている。
しかしながら近年、鋼板の高機能化や高品質化が進むにつれ、高張力鋼や特殊な成分を多量に含有する成分の鋼の開発が重要となり、連続鋳造における鋳片温度制御は表面割れ防止の観点からも従来以上に高精度化が望まれてきている。
ここで、一般的な連続鋳造における表面割れ防止のための対策法について言及すると、連続鋳造において鋳片表面割れの防止のためには、以下の項目を踏まえた対策が一般的に実施されてきた。
(1)鋼の高温延性評価による、連続鋳造時の脆化温度域の特定
(2)連続鋳造時の鋳片温度のシミュレーションによる、曲げ、矯正位置で脆化温度域を回避可能な二次冷却条件の決定
(3)連続鋳造時の鋳片温度測定による、シミュレーション結果の評価ならびに、測定結果とシミュレーション結果とで鋳片温度が合致しない場合はシミュレーション補正ならびに二次冷却条件の再調整
(1)鋼の高温延性評価:目標成分の鋼より作製した試験サンプルに対して連続鋳造時の歪速度にあわせた高温引張試験あるいは高温圧縮試験を実施し、高温引張試験の場合には破断時の断面積Aと引張試験前の断面積Aoより算出される絞り値(%)を指標にして割れ感受性を評価するのが一般的である。
絞り値(RA:Reduction of Area)=
(Ao−A)/Ao×l00(%)
(2)連続鋳造時の鋳片温度の予測としては、凝固伝熱解析を実施するのが一般的である。近年はコンピュータ技術の進歩がめざましく、3次元解析や鋳造速度の変化に対応した非定常部の解析も短時間での計算が実施できるようになってきているが基本的には凝固モデルと伝熱モデルの組合せからなる差分計算により鋳片温度と凝固シェル厚みを算出するものである。本解析において二次冷却における鋳片温度を決定付ける因子は熱伝達率の推算値であり、熱伝達率の取り扱い次第では鋳片温度の計算値が大きく変化するのが実情である。
鋼の連続鋳造の凝固伝熱解析においては、以下に示す熱伝達率αの推算式が一般的に使用されている。
[水スプレイの式]
Figure 0005678682

[ミストスプレイの式]
Figure 0005678682
W:水量密度(L/min/m)、
Ts:鋼板表面温度(℃)、
Va:液滴衝突速度(m/sec)
このほかにも幾つかの式が提案されており、あるいは使用者側で上記に類似した推算式を実験的に算出したり、実測値との補正を行ったりすることで使用することが一般的に行われている(例えば非特許文献2参照)。
熱伝達率の算出については、その多くが加熱炉内で加熱された鋼板を抽出後、スプレイによる冷却を実施し、鋼板内に埋め込まれた熱電対の温度より熱伝達率を計算する方法で算出されている(例えば非特許文献3参照)。
(3)連続鋳造実施時の鋳片温度の測定は、
(A)連続鋳造機の機端などのスプレイ冷却完了後の位置でのサーモグラフィー、放射温度計による測定
(B)連続鋳造機内のセグメント間の隙間等への光ファイバー温度計の挿入、放射温度計による測定
(C)測温部先端を鋳片に圧着あるいは溶着させたシース熱電対による測定
によるものが一般的である。連続鋳造機内は水蒸気が大量に発生しているため温度測定が困難であり、温度測定負荷や測定精度の問題もあり、実操業の恒久的な測定では(A)での温度測定が一般的である。
ところで従来、上記(C)により鋳片表面の温度を測定し、その測定点における温度の計算値が実測値と一致するように鋳片表面からの抜熱量あるいは表面熱伝達率を補正することにより、鋳片上のある点の表面温度を目標値にコントロールし、ひいては凝固パターンそのものをコントロールすることを目的とした技術が知られている(特許文献1参照)。
この技術では、測温部先端を鋳片に圧着させた複数のシース熱電対からの熱起電力信号を温度検出部に取り込み、この信号をチャンネル切替えし、A/D変換し、インターフェイスを介してコンピュータに送信し、数値計算プログラムが格納されたコンピュータが、鋳込温度、引抜き速度等の操業条件下において凝固計算を行い、温度測定値と計算値とが一致するように表面熱伝達率を補正している。算出された凝固進行状況は信頼性の高いデータであり、これをモニタ等の表示装置に表示することによって鋳片内部の凝固状況をリアルタイムで知ることができる。
また従来、アルミニウムの連続鋳造の初期段階に、鋳型下部から引き出された鋳塊底部の表面を膜沸騰冷却し、鋳塊表面からの熱抽出を熱伝導率で特定することにより、複雑な設備を使用せずに簡便な方法で連続鋳造の初期段階における鋳塊底部の欠陥の発生を抑制することを目的とした技術も知られている(特許文献2)。
この技術では、連続鋳造の初期段階において冷却水が鋳塊の底部に衝突する際の膜沸騰冷却を維持するために、鋳塊内部に表面からの深さを異ならせて埋め込んだ複数の熱電対で求めた温度変化から熱伝導率を求め、鋳塊表面からの熱抽出を熱伝導率で4000W/mK以下に制御して、鋳塊の表面温度を低下させないようにしている。これにより鋳塊底部の膜沸騰冷却が維持されるから、鋳塊表面からの熱抽出が抑制されて冷却速度が小さくなり、熱応力が緩和されるため、鋳塊底部に反り上がりを生ずることがなく、反り上がりに起因する種々の鋳塊欠陥が防止される。
特開平10−291060号公報 特開平09−122860号公報
鈴木洋夫ら、「鉄と鋼」65(1979)、P2038 日本鉄鋼協会発行「鉄鋼製造プロセスにおける冷却技術」、P59 三塚正志、「鉄と鋼」54(1968)、P1457
連続鋳造において前述した表面割れの対策技術は、鋼種の割れ感受性や鋳造条件を示すことが可能なため極めて有用であるが、いくつかの課題、問題も存在する。
凝固伝熱解析においては、前述した熱伝達率により鋳片温度が求められるが、熱伝達率の推算式は、水量密度、表面温度、液滴の衝突速度により決定されるものが過去一般的に用いられてきた。しかしながら近年は高鋳造速度化に伴い、鋳片をより強冷却する二―ズが高まってきたことから、従来の熱伝達率の推算式では実情と整合しない場合が顕著となっている。
熱伝達率が従来の推算式で合わない理由の一因に、伝熱モードの変化の考慮に対する問題があげられる。鋼板の冷却時には第2図に冷却曲線の模式図を示すように膜沸騰領域、遷移沸騰領域、核沸騰領域と伝熱モードが存在することが一般的に知られており、鋼板の冷却条件によって核沸騰領域から遷移沸騰領域に変化する表面温度である局所熱流束点(MHF点:Minimum Heat Flux Temperature)を境に熱伝達率が急変することが極めて重要である。
近年の高鋳造速度化に伴う強冷却実施時には前述のMHF点近傍での冷却条件が必要となるが、図2に示すように、強冷却時にはMHF点自体がより高温側に移行することが知られており、鋳片温度の変化もMHF点を境に急変することとなる。
また上述した伝熱モードの変化は鋼板の表面粗度や水温の影響も受けることから、より正確な鋼板温度の算出には、鋼板成分の差によるスケール生成の影響や冷却水の水温の影響を考慮した熱伝達率の使用が重要となる。
従来法における熱伝達率は、加熱炉内で加熱後抽出したサンプルにスプレイ冷却を実施する際に、先の特許文献2記載の技術のようにサンプル中に埋め込んだ熱電対の温度の変化を測定して算出するのが一般的である。MHF点変化、冷却水水温、鋼板成分の影響を考慮するために、これらの条件を変化させた条件で実験を行うことで、熱伝達率値の高精度化を図ることも可能であるが、下記の理由により現実的とはいえない。
すなわち従来法では、冷却面のサンプル断面積900〜10000cm、サンプル厚み3〜10cmといった重量10kg超の大きな鋼板サンプルを用いるのが一般的である。これは加熱炉抽出後の温度低下防止ならびにスプレイ冷却時の温度の急低下を避けるため、鋼板サンプルの含熱量を大きくする必要から避けられないものであった。したがって従来法ではサンプル作製のための納期やコストも莫大となり、サンプル種類(成分)を変えて多数の実験を実施するにはコスト面や作業面の負荷が非常に大きいことが課題といえる。
本発明は、これらの影響因子をより簡便、高精度に評価することを可能とする方法を確立し、鋳片の割れ欠陥の発生無しに高速鋳造を達成することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の連続鋳造における二次冷却強度評価方法は、
[1]連続鋳造における二次冷却の冷却強度を定量化して評価するにあたり、鋼板サンプルの下方にバーナーを配置するとともに前記鋼板サンプルの上方にスプレイを配置した加熱および冷却装置を用い、あらかじめ前記バーナーで所定温度に加熱した断面積サイズが20〜100cm、厚み0.5〜1.5cmの前記鋼板サンプルを前記スプレイで冷却する際の、前記鋼板サンプルに設置した熱電対の温度変化より算出される熱伝達率を用いて定量化することを特徴とするものである。
また、上記目的を達成する本発明の連続鋳造における二次冷却制御方法は、
[2〕連続鋳造において鋳片の凝固状態、鋳片温度を凝固伝熱計算で算出して、その算出結果に基づき二次冷却を制御するにあたり、[1]に示す評価方法による測定値あるいはその測定値より決定される推算式を用いて算出することを特徴とするものである。
さらに、本発明の連続鋳造における二次冷却強度評価方法は、
[3]実機連続鋳造設備で新たな成分の鋼種を鋳造するにあたり、あらかじめ小型溶解炉で目標成分相当の鋼塊を作製し、鋼板サンプルを製造した後、[1]に示す評価方法により算出される熱伝達率を用いて二次冷却強度を定量化することを特徴とするものである。
そして、本発明の連続鋳造における二次冷却強度評価方法は、
[4][1]に示す評価方法において、前記加熱および冷却装置に、前記鋼板サンプルに対し曲げ応力を外部から加える機構を付加することにより、連続鋳造時の鋳片の割れ発生を予測可能とすることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記のように構成したので、連続鋳造時の鋳片温度ならびに割れ感受性の高精度な予測が可能となり、鋳片での割れ発生防止が高速鋳造時にも達成可能となる。したがって、鋳片の割れ発生無しに高速鋳造が可能となることから、省エネルギー、生産効率の改善を達成することができる。
連続鋳造機を示す模式図である。 高温鋼板の水冷却時の冷却曲線を示す説明図である。 (a)は、本発明の方法の一実施形態を実施する装置の構成を示す模式図、(b)は、サンプルへの熱電対の設置方法を例示する説明図である。 上記実施形態の方法におけるサンプルへの応力付加方法を示す模式図である。 上記実施形態の方法における熱伝達率算出ならびに凝固伝熱計算の手順を示すフローチャートである。 従来の方法と上記実施形態の方法とによる鋳片表面温度計算結果の比較例を示す説明図である。 従来の方法と上記実施形態の方法とによる冷却曲線(熱伝達率と表面温度との関係)の比較例を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、図3(a)は、本発明の方法の一実施形態を実施する装置の構成を示す模式図、図3(b)は、サンプルへの熱電対の設置方法を例示する説明図、図4は、その実施形態の方法におけるサンプルへの応力付加方法を示す模式図、そして図5は、上記実施形態の方法における熱伝達率算出ならびに凝固伝熱計算の手順を示すフローチャートである。
本実施形態は、スプレイ冷却における熱伝達率を算出するに当り、サンプル加熱方法として従来一般的に用いられている抵抗加熱式、誘導加熱式などの方法を用いない点に特徴がある。
すなわち、本実施形態の方法では図3(a)に示す加熱および冷却装置を用いる。この装置は、中央部に開口を持つスタンド11を具えており、ここではそのスタンド11の上に、あらかじめ二本の熱電対を設置した鋼板サンプルSを固定し、そのスタンド11の開口部を介して下方から鋼板サンプルSの反冷却面(後述するスプレイ冷却を実施しない下面)をバーナー12で加熱することで、サンプル温度を高温まで短時間で上昇させ、次いで上方から鋼板サンプルSの冷却面(上面)にノズル13で、例えば冷却水ポンプPから供給される冷却水をスプレイして、鋼板サンプルSのスプレイ冷却を実施する。
バーナー12の種類としては、プロパン/酸素混合ガス、アセチレン/酸素混合ガスなどの火力の強いものであれば使用可能であるが、爆発やサンプル溶解の危険の面から市販の加熱用のプロパン/酸素混合ガスによるバーナー加熱が好ましい。
鋼板サンプルSのサイズについては、本発明者らは試行錯誤により、以下の用件を何れも満たすように最適なサイズを決定した。
・バーナー加熱時に鋼板サンプルS全体が均一温度となる大きさ(サンプル面積)
・バーナー加熱時に鋼板サンプルの温度が1200℃程度まで数分で上昇し、200L/min/m以上の水量密度での強力なスプレイ冷却時も500℃程度の温度を保持できるサンプル厚み
上記の用件を何れも満たす鋼板サンプルSのサイズを見出すため、本発明者らはバーナー12として市販のプロパン/酸素混合ガス用加熱バーナー(酸素0.5MPa、プロパン0.04MPa)を用い、図3(a)に示す装置構成でサンプルSのサイズを種々に変えて加熱、冷却実験を実施した。それより断面積サイズが20〜100cm、厚みが0.5〜1.5cmのディスク状の鋼板サンプルSの使用が適正であることを決定した。
上記の鋼板サンプルSは、重量が0.1〜1kg/個と非常に小さく、作業性も良好であるため、短時間に多くの条件を実施することが可能となる。
また新規成分の鋼種については、溶解量30〜50kgの真空もしくは大気溶解炉にて成分を合わせた鋼塊を事前に作製しておけば、その鋼塊より数十個の鋼板サンプルSの採取が可能なため、冷却特性の評価が従来法に比べて簡単に出来ることが利点となる。
鋼板サンプルSへの熱電対の設置は、測定精度が確保できれば取付け方法にはよらないが、本発明者らは以下の方法を推奨する。
すなわち、図3(b)に示すように、鋼板サンプルSの加熱面および冷却面の表面から1mm下方の位置にドリルもしくは放電加工による穴あけ加工を行って、その穴内に外径1.0mm程度のシース熱電対を埋め込む方法が好ましい。
また割れ感受性の評価として、鋼板サンプルSの加熱もしくは冷却時に所定温度に達したところで外部からその鋼板サンプルSに曲げ応力を加えるような装置を組合せることで、加熱・冷却実験にあわせて割れ感受性の評価も可能となる。外部から与える歪量は、連続鋳造における曲げ・矯正部に相当する1.0〜2.0%(歪速度10−4〜10−3 1/sec)で行うのが好ましい。この方法によれば、前述した高温引張試験よりも歪付与面積も大きく、実際の連続鋳造に近い温度分布を与えられることから、より実現象に対応した割れ感受性を定量化することが可能となる。
図4に、本発明者らが実施した鋼板サンプルSへの応力付加方法の模式図を示す。この応力付加方法では、サンプル固定金具としての二つのバイト14と、それらのバイト14を図中矢印で示すように下向きに付勢する例えば図示しない油圧シリンダーとを具える応力付加機構を上記スタンド11(ここでは図示せず)に付加し、二つのバイト14で鋼板サンプルSの両側部をそれぞれ挟持して、油圧シリンダーでバイト14を介して鋼板サンプルSに曲げ応力を付与することにより、鋼板サンプルSに表面割れを発生させる。
スプレイ冷却時の熱伝達率の算出は、上記の熱電対温度から伝熱解析にて逆算することで可能となる。従来の加熱炉抽出後の冷却テストでは1000℃以上の高温域の測定は困難であったが、本実施形態の方法では、冷却開始後もバーナー加熱を続けて温度測定可能なため、1000℃以上の高温領域の熱伝達率も算出可能となる。
また冷却条件に応じて、加熱バーナー12のガス流量を調整しながら、スプレイ冷却による抜熱とバーナー加熱による入熱とを同等に行うことで、サンプル表面温度を一定値とし、定常状態を達成できるという利点もある。
運用法としては、図5に示すフローチャートの手順により、凝固伝熱シミュレーションへ熱伝達率を組み込み、より高精度に実際の連続鋳造時の凝固シミュレーションが可能とすることができる。
すなわちこのフローチャートでは、先ずステップS1で、鋳造する鋼の鋼種成分について調べ、次いでステップS2で、従来成分で近いものがあるか否か確認し、ない場合にはステップS3で、ラボ(研究室)溶解炉で目的成分の鋼塊を作成して鋼板サンプルPを数十個採取し、続くステップS4で、本実施形態の方法のサンプル加熱・冷却実験を実施し、続くステップS5で、熱伝達率データを算出して、ステップS6で、熱伝達率データベースにその熱伝達率データを加える。なお、上記ステップS2での、鋳造する鋼の鋼種成分に近い従来成分か否かの判断には、例えば複数種類の従来成分での熱伝達率データおよび鋳造実績と、それらの従来成分を補間する成分の鋼板サンプルPについて上述の方法で求めた熱伝達率データおよび割れ感受性評価データの蓄積とに基づき作成した判断基準を用いることができ、このような判断基準での判断が難しい場合には、上記ステップS2〜S6によって、その鋳造する鋼の鋼種成分の鋼板サンプルPについて上述の方法で熱伝達率データおよび割れ感受性評価データを採取して用いればよい。
ステップS2で、従来成分で近いものがある場合にはステップS6で、熱伝達率データベースからその鋳造する鋼の鋼種成分に近い従来成分についてのデータを読み出し、続くステップS7で、その読み出したデータから鋳造条件および冷却条件を設定し、続くステップ8で、上記読み出したデータ中の熱伝達率測定値または推算式を用いて凝固伝熱解析を行い、続くステップS9で、鋳片温度の計算結果を求め、さらにステップS10で、曲げ・矯正点温度や最終凝固位置は目標範囲内か否かを判断し、目標範囲内でない場合にはステップS7に戻るとともに、そこでの鋳造条件および冷却条件の設定を変更し、ステップS8〜S10を繰り返す。
そしてステップS10で、曲げ・矯正点温度や最終凝固位置が目標範囲内の場合にはステップS11で、実機鋳造を行うとともに、サンプル加熱・冷却実験で求めた鋳片温度を検証する。
本実施形態の方法は、表面割れの防止のための冷却条件の提案だけでなく、内部割れ防止のための冷却条件の提案、最終凝固位置(クレーターエンド位置)の推算などへも展開可能であり、この方法によれば実操業への有効な指針を得ることができる。
以下、本実施形態に基づく一実施例について説明する。
本発明者らは、従来の熱伝達率推算式を用いた場合と、本実施形態の方法により熱伝達率を測定した場合との凝固シミュレーションの比較を行い、実機鋳造時の鋳片表面温度との整合性を調査した。
実施例に用いた溶鋼成分はC/0.10%、Si/2.0%、Mn/1.8%、Nb/0.050%、N/0.0040%の鋼種であり、実機スラブの鋳造は、鋳片幅1500mm、鋳片厚.215mm、鋳造速度0.9m/min、スプレイ冷却方式:水スプレイの条件で行った。
本実施例の方法では、予め30kg溶解炉で上記成分の鋼塊を作製し、鋼塊より熱伝達率測定用サンプルを採取し、加熱冷却テストを実施した。
鋳片表面温度の評価は、連鋳機出側位置において幅中央部をサーモグラフィーで測定して凝固伝熱結果と比較した。
図6に、従来法と本実施例の方法とでの凝固伝熱シミュレーション結果を実機鋳近時の表面温度測定結果と併せて示す。それより本実施例の方法での凝固伝熱シミュレーション結果と鋳片表面温度の実測値が良く対応していることがわかる。
図7に、例として水量密度168L/min/mにおける従来法と本実施例の方法との熱伝達率と表面温度の関係を示すが、従来法に比較して本実施例の方法では高温部での値に大きな差がみられることがわかる。これはその後の詳細調査により、本実施例のようにSi濃度が高い場合には表面スケールの生成状況が大きく変化することでMHF点が高温側に移行し冷却曲線が変化することに由来することが確認できている。
上述したように本実施例の方法によれば、従来法では考慮できないような現象についても、事前の簡便な熱伝達率の評価により実現象を予測可能であることが確認できた。
かくして本発明によれば、従来法では予測が困難であった新鋼種や強冷却時の冷却条件を高精度に凝固シミュレーシヨンにより予測できることから、手入れ処理等の付加による歩止りの低下や熱ロス無しに次工程へスラブを直送することが可能となり、コストやエネルギー面で大きな効果が得られる。
1 鋳型
2 鋳片
3 サポートロール
4 二次冷却スプレイ
5 矯正位置
11 スタンド
12 バーナー
13 ノズル
14 バイト
P 冷却水ポンプ
S 鋼板サンプル

Claims (4)

  1. 連続鋳造における二次冷却の冷却強度を定量化して評価するにあたり、
    鋼板サンプルの下方にバーナーを配置するとともに前記鋼板サンプルの上方にスプレイを配置した加熱および冷却装置を用い、
    あらかじめ前記バーナーで所定温度に加熱した断面積サイズが20〜100cm、厚み0.5〜1.5cmの前記鋼板サンプルを前記スプレイで冷却する際の、前記鋼板サンプルに設置した熱電対の温度変化より算出される熱伝達率を用いて定量化することを特徴とする二次冷却強度評価方法。
  2. 連続鋳造において鋳片の凝固状態、鋳片温度を凝固伝熱計算で算出して、その算出結果に基づき二次冷却を制御するにあたり、
    請求項1に示す評価方法による測定値あるいはその測定値より決定される推算式を用いて算出することを特徴とする二次冷却制御方法。
  3. 実機連続鋳造設備で新たな成分の鋼種を鋳造するにあたり、
    あらかじめ小型溶解炉で目標成分相当の鋼塊を作製し、鋼板サンプルを製造した後、請求項1に示す評価方法により算出される熱伝達率を用いて二次冷却強度を定量化することを特徴とする二次冷却強度評価方法。
  4. 請求項1に示す評価方法において、
    前記加熱および冷却装置に、前記鋼板サンプルに対し曲げ応力を外部から加える機構を付加することにより、連続鋳造時の鋳片の割れ発生を予測可能とすることを特徴とする二次冷却強度評価方法。
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