JP5504646B2 - 鋼材の均熱拡散処理方法 - Google Patents

鋼材の均熱拡散処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5504646B2
JP5504646B2 JP2009044474A JP2009044474A JP5504646B2 JP 5504646 B2 JP5504646 B2 JP 5504646B2 JP 2009044474 A JP2009044474 A JP 2009044474A JP 2009044474 A JP2009044474 A JP 2009044474A JP 5504646 B2 JP5504646 B2 JP 5504646B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel material
steel
temperature
soaking
dimension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009044474A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010196136A (ja
Inventor
善道 日野
清史 上井
秀途 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2009044474A priority Critical patent/JP5504646B2/ja
Publication of JP2010196136A publication Critical patent/JP2010196136A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5504646B2 publication Critical patent/JP5504646B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

本発明は、SUJ2をはじめとする軸受鋼などのクロム含有率の高い高炭素鋼の鋳造に伴う中心偏析を均熱拡散処理によって低減化する方法に関するものである。
軸受鋼は、熱処理を施した際、最終凝固する中心部に共晶炭化物が晶出する。そのままでは、後工程の圧延後も炭化物として残留するため、その機械的特性を下げてしまう。
この共晶炭化物の中心偏析を解消するために、従来では、非特許文献1に示されているような1200℃程度の温度で保持して均熱拡散処理を施し、共晶炭化物を消滅させる手法を取っていた。
この時、同じく非特許文献1に示されているように、炭化物の大きさが大きくなると、長時間の熱処理を必要とし、例えば、大きさが1mmの場合は、最低でも10時間という長い保持時間を必要としていた。さらに、この方法は炭化物の大きさを推定にて行うため、実際には過剰な保持時間にならざるを得なかった。
一方、特許文献1には、鋳造において中心偏析を抑制する方法が提案されている。それは、鋳片内部中で凝固が進まないうちに軽圧下を加えることで、炭化物の析出を抑制し、後工程の均熱拡散処理の保持時間を短縮する方法である。
しかし、特許文献1に記載の方法によれば、均熱保持時間(ソーキング時間)の短時間化は、もっぱら、鋳造の条件を制御し軸受鋼中の巨大炭化物を消失させようとするものであるため、その実施には、鋳造設備の多大な投資を必要とした。
さらに、この特許文献1に記載の方法は、軸受鋼の均熱拡散処理において、その保持の時間にのみ着目しており、処理全体の時間を短縮するという観点に欠けている。つまり、高温で均熱保持する工程以前の鋳造した鋼材を徐々に加熱していく昇温過程は、鋼材の割れによる欠陥を回避するために長い時間を必要とし、結果的に処理全体の時間が長いという問題が依然として残っていた。
特開平7−299550号公報
「鉄と鋼第52年(1966)第13号軸受鋼巨大炭化物の均熱拡散」Fig.7,8
本発明は、上記の問題の解決、特に、鋼材を加熱する昇温過程の短縮化を狙ったものであり、さらには、鋼材の寸法を考慮した統一的な処理方法を提案することを目的とする。
発明者らは、まず、現在の加熱時間が必要かつ十分であるか否かの確認試験を実施した。その結果、鋼材の割れを伴わない適正な時間で処理されていた場合もあったが、大部分は必要以上に長い時間をかけて処理されていた。この、加熱時間が長かったものにつき、鋼材の種類、形状、昇温のパターン等を詳細に調査した結果、重要な因子があることが分かった。
それは、鋼材の昇温速度であり、その昇温速度は、鋼材の形状に関係し、とりわけ、角材に関しては、その短辺寸法、また、丸材にあっては、その径に対して関係があることが認められた。
表1に本調査の昇温試験に供した鋼材の寸法を示す。同表の矩形断面の鋼材および円形断面の鋼材について、炉温1300℃に加熱を施し、それぞれの鋼材について中心部の昇温速度を調査した。その結果を表1に併記する。同表より、矩形断面の場合、中心部の昇温速度は、その長辺寸法ではなく、短辺寸法に依存し、また、円形断面の場合、中心部の昇温速度は、その直径寸法に依存することが分かる。
Figure 0005504646
そこで、寸法と昇温速度の関係についてさらに検討を重ねた。その結果、鋼材の横断面が矩形である場合は短辺を、円形状である場合は円相当径を代表寸法とすると、変態点の近傍の昇温速度との相関が認められ、その相関は、代表寸法の2乗に反比例していることが分かった。さらに、鋼材の割れ限界を考慮して昇温時間を設定すると、最も効率が良いことが分かった。
以上の実験、考察等の結果、凝固により発生する共晶炭化物の偏折を伴う鋼材の加熱方法につき、変態点の近傍の昇温速度を代表寸法の2乗に反比例して設定することが特に重要であるとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
(1)凝固により発生する共晶炭化物の偏析を伴う鋼材に対して、均熱拡散処理を施すに際し、該鋼材の横断面が矩形である場合は短辺寸法を、円形状である場合はその円相当径を代表寸法とし、該鋼材の変態点Ac1 を用いてAc 1 -10℃を下限温度とし、Ac 1 +80℃を上限温度とした温度領域の昇温速度を該代表寸法の2乗に反比例させることを特徴とする鋼材の均熱拡散処理方法。
(2)前記昇温速度を、鋼材の入熱側表面と該鋼材の中心部の温度差が該鋼材の割れ限界温度差ΔT0℃以下であって、0.3×ΔT0℃以上の範囲となるように設定することを特徴とする前記(1)に記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
(3)前記均熱拡散処理中、複数の形状の異なる鋼材を同時に処理するに当たり、該鋼材中の最大の代表寸法を前記代表寸法とすることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
(4)前記鋼材がSUJ1〜5のいずれかであって、前記代表寸法がLmmの時、前記昇温速度を、{(0.3×54×105)/(L)}℃/時以上、{(54×105)/(L)}℃/時以下とすることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
(5)凝固により発生する共晶炭化物の偏析を伴う鋼材に対して、均熱拡散処理を施すに際し、該鋼材の横断面が矩形である場合は短辺寸法を、円形状である場合はその円相当径を代表寸法とし、該鋼材の変態点Ac1 を用いてAc 1 -10℃を下限温度とし、Ac 1 +80℃を上限温度とした温度領域の昇温速度の上限値および下限値を該代表寸法の2乗に反比例させることを特徴とする鋼材の均熱拡散処理方法。
(6)前記昇温速度の上限値を、鋼材の入熱側表面と該鋼材の中心部の温度差が該鋼材の割れ限界温度差ΔT0℃となるように設定し、前記昇温速度の下限値を、鋼材の入熱側表面と該鋼材の中心部の温度差が0.3×ΔT0℃となるように設定することを特徴とする前記(5)に記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
(7)前記鋼材がSUJ1〜5のいずれかであって、前記代表寸法がLmmの時、前記昇温速度の上限値を、{(54×105)/(L)}℃/時、前記昇温速度の下限値を{(0.3×54×105)/(L)}℃/時とすることを特徴とする前記(5)に記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
本発明は、加熱によって生じる鋼材内の温度分布が、その寸法が異なっても同程度になるような加熱速度を選ぶことにより、内部の温度差とそれに伴う熱応力を全ての寸法について均一化することができる。その結果、熱応力に伴う疵の発生を、安定して防ぐことができ、また、析出炭化物が分散化するため、従来のような高価な設備を用いないで、短時間の均熱拡散処理を行うことができる。
さらに、必要最小限の時間を寸法に応じて設定することができるため、生産性の向上およびコスト低減を図ることができる。
本発明の熱処理を施す鋼材例の形状を示す斜視図である。 従来法で基準となる鋼材の形状に対する熱処理のパターンを示す図である。 本発明の熱処理を施す別の鋼材例の形状を示す斜視図である。 本発明で基準となる鋼材の形状を示す斜視図である。 本発明に従う熱処理のパターンを示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
この発明は、鋼材の昇温時に鋼材が変態(オーステナイト変態)し、その熱膨張率が負になる温度領域においては、鋼材の表面に引張りの熱応力が生じる。これに対する有効な対策を講じた点に本発明の特徴がある。
上記した鋼材表面に引張りの熱応力が発生する原因は、鋼材を加熱した場合、鋼材表面の温度が高く、鋼材中心の温度は低くなる、この時、鋼材の熱張率が負であるために、表面の方がより収縮してしまうからである。
従って、本発明では、変態点の近傍である熱張率が負となる温度領域で、鋼材の温度差がなるべく小さくなるように加熱速度を規定している。
さらに、上記した変態点は、オーステナイト生成開始温度を選、上記した近傍の(昇温温度を制御する)範囲は、Ac1-10℃を下限温度とし、Ac1+80℃を上限温度とするこの範囲が前記した鋼材の熱張率が負となる範囲であり、本発明の対象とする温度範囲である。
次に代表寸法の考え方であるが、軸受鋼は、近年連続鋳造によって鋳造されており、その鋼材形状は一定の断面形状を有した長尺ものが一般的である。
その断面形状は、矩形であったり、円形(楕円形状も含む)であったりするが、本発明で問題となる表面と中心の温度差は、矩形断面の場合、より短い辺に並行で、断面中心を横切る方向で考えるのが良く、円形の断面の場合は直径方向、(楕円の場合は短径方向)で考えるのが良い。
上記の理由は、以下のように考えられる。
矩形断面の場合、その短辺を取るのは、例えばアスペクト比が極端に大きい場合を想定すれば良い。すなわち、断面の長辺が短辺の10倍も長い場合を仮想的に考えれば、断面の温度は短辺方向に同様な分布が長辺方向に続いており、代表性は短辺方向にあると言える。
完全な円形の場合、どこから入熱したとしても、径方向に垂直となるため、代表は直径方向となり、楕円であれば、短径方向、さらに、円形状では、円相当径を考えればよい。
ついで、以下に本発明の最大の特徴である、代表寸法の2乗に反比例する数値について、矩形断面の場合を例にとって説明する。
代表方向の温度分布を、矩形断面の中心を原点として、短辺長さ2L方向の座標x(−L≦x≦L)について式1で示す伝熱方程式
Figure 0005504646
を用いて、表面から入ってくる熱流速qがほぼ一定とみなせるような状況を仮定する。ここに、λ:熱伝導率,ρ:密度,Cp:比熱については、本発明の場合、一定とみなせる。
つまり、式1は、一様な温度の時間変化が期待されるため、次に示す式2
Figure 0005504646
のように表すことができる。
また、式2の解は、空間分布だけの解Tと時間変化だけの解Tの和と考えれば、適当な定数A、B、Cを使って、次に示す式3
Figure 0005504646
と表せる。ここで、熱流束qと鋼材表面の関係は次に示す式4
Figure 0005504646
であり、上記のBは、温度上昇速度(昇温速度)となる。
一方、短辺方向の温度差ΔTは、最も高温となる入熱側表面(x=L)(以下単に表面とする)と中心(x=0)との差であるから、ΔT=AL×Lとなる。
このΔTで発生する、表面と中心の熱歪の差εは、熱膨張率をαとすれば、ε=α×ΔTとなり、弾性率Eから算出されるσ=E×α×ΔT程度の熱応力σが発生することが分かる。
ここで、熱応力は、場所による温度差によって生じるため、各鋼材形状での最大の生産効率となる最大の昇温速度は、表面の引張り応力が割れの限界を超えないようにしなければならず、表面と中心の温度差を形状によらない同じ値、鋼材割れ限界温度差ΔT以下になるように設定する必要がある。例えば、鋼材がSUJ2の場合、ΔT=70℃である。
これは、SUJ2を鋼材として、熱電対を、表面と穴あけ加工により中心部とに据付けて、表面と中心部との温度差ΔTを測定しながら、種々の昇温速度で加熱を行い、その時の割れ発生率から限界温度差ΔTを求めた結果であり、ΔTが70℃である場合には、割れ発生率は1%であり、ΔTが50℃では0%であったことによるものである。
一般に昇温のパターンは、区間を一定の昇温速度で設定するステップで構成され、時間tからtまでを温度TからTになるように設定する。
この温度TからT区間での温度上昇速度を式1と式3からΔTを使って解くと、次に示す式5
Figure 0005504646
となる。式5より、ΔTを常に限界のΔTに固定しておくためには、Lの2乗に反比例して温度上昇速度を変える必要があることが分かる。
上述したことは、Lの2乗に比例して時間t−tを大きくする必要があることも同時に意味している。
短辺長さL´=2Lであるから、L=L´/2を式5に代入すると、短辺長さL´の2乗に反比例して昇温速度を変える必要があることになる。
以上から、加熱する鋼材の代表寸法の2乗に比例して昇温する時間を長くすることが、取りも直さず、熱応力による割れを鋼材に生じる事無しに加熱できる最小限の時間延長であることが分かる。
ここで、加熱パターン区間が複数で構成されているときは、区間の切り替わりの時点で昇温速度が変動し、鋼材の温度分布が複雑に変動する。そのために、区間の切り替わりの時点では、鋼材を一旦等温保持して、その温度を一様にすることが上記の変動の影響による内部の温度差を小さくとどめる上で有利である。但し、処理時間に影響を与えることから、上記保持も最小限の時間とすることが望ましい。
上述してきたように、加熱に伴う鋼材の断面方向の温度分布を、その断面形状の代表寸法を選び、加熱する時間、すなわち昇温速度を代表寸法の2乗に反比例して設定すると、寸法にともなう温度差を同じ程度にコントロールができる。その結果、熱応力を鋼材の寸法にかかわらず制御できるようになる。
なお、上記した代表寸法の2乗に反比例させるにしても、その係数があまりに大きかったり、小さかったりすると、本発明の目的が達成できないおそれがあるので、この係数は、鋼材ごとに適宜設定することが望ましい。
本発明の目的からは、昇温速度の下限値も重要である。すなわち、昇温速度が遅いと割れ防止には有用であるにしても、処理の長時間化を招く不利があるので、割れが発生しない範囲でできるだけ速い昇温速度を設定することが有利である。この観点からは、昇温速度の下限を、鋼材の入熱側表面と鋼材の中心部との温度差が0.3×ΔT℃となる昇温速度とすることが好ましい。
と言うのは、鋼材の入熱側表面と鋼材の中心部との温度差が0.3×ΔT℃未満となるまで昇温速度を遅くすると、鋼材は割れないが、前記した本発明の目的である最も効果的な処理時間が達成できないからである。
ここで、具体的な実施形態を例示すれば、鋼材がSUJ2であって、代表寸法が300mmの時、昇温速度の上限値は60℃/時であった。すなわち、昇温速度が60℃/時より大きくなると割れが発生しやすくなり、この鋼材では、この昇温速度が、前述したように、この鋼材を鋼材割れ限界温度差ΔT以下となるように設定していることとなる。
昇温速度の上限値Bmaxは、代表寸法Lの2乗に反比例させればよいから、
Bmax=60×(3002)/L2
=54×105/L2
に設定すればよい。
また、昇温速度の下限値Bminは、上述したとおり、鋼材の表面と中心部との温度差ΔTが0.3×ΔT℃となるように設定することが好ましいから、式5よりBmin=0.3×Bmaxと設定するのが好ましい。すなわち、この実施形態では、昇温速度の代表寸法Lに反比例して設定する際の係数を、0.3×54×105〜54×105の範囲に設定すればよいこととなる。
なお、代表寸法の異なる複数の鋼材を処理する場合には、全ての鋼材について昇温速度を代表寸法Lに反比例した値に設定することができない場合もある。このような場合には、昇温速度の上限値および下限値を、あらかじめ、ある代表寸法Lの2乗に反比例させた値Bmax、Bminとして設定しておき、この温度に入るように、昇温速度を設定してもよい。
さらに、複数の鋼材を同時に処理する場合において、代表寸法の差が大きい鋼材を、同時に処理する場合には、その昇温速度を代表寸法Lの2乗に反比例させた値として設定した上限値Bmax、下限値Bminの範囲内とすることができない場合も想定される。
このような場合には、代表寸法が最も大きい値を示す鋼材の代表寸法Lを用いて、その代表寸法Lの2乗に反比例させた値として昇温速度の上限値および下限値を設定することで、全ての鋼材について割れを発生させることなく、鋼材を昇温することが可能となる。すなわち、昇温過程において最も表面と中心部の温度差が大きくなる、代表寸法が大きい値の鋼材についてAC1変態点近傍の昇温温度の上限値以下となっていれば、全ての鋼材について、割れ発生を回避できる。
以上、本発明に従えば、各部分による熱応力が同じとなり、加熱に伴う割れに起因した庇の発生の防止対策を容易に行えるようになる。これは、許容される疵発生確率以下での寸法に応じた最短時間で、鋼材を加熱することができ、かつその保持時間も短くなり、結果として高い能率で熱処理を行うことが出来ることを意味する。
基準となる鋼材(軸受鋼:材種SUJ2)として、図1に示す幅:400mm、高さ:300mm、長さ:7000mmの鋼材を、1200℃まで加熱するときに、AC1変態点近傍の温度領域における昇温速度を変化させて、割れ限界昇温速度(割れが実質的に問題とならないレベルとなる最大昇温速度)を求めた結果、60℃/時であることがわかった。
ここで、AC1変態点近傍の温度領域は、別途行った熱膨張の測定から700〜850℃とした。また、AC1変態点近傍の温度領域以外の昇温速度は、100℃/時とした。したがって、基準材(幅:400mm、高さ:300mm、長さ:7000mmのSUJ2)に対する均熱拡散処理は、図2に示す温度パターンを基準とした。
次に、図3に示す形状の矩形断面の軸受鋼(材種:SUJ2)、および、図4に示す形状の円形断面の軸受鋼(材種:SUJ2)の鋼材を、図5に示す温度パターンに従い均熱拡散処理を施した。図中、Bは以下の実施例で適宜設定される値である。
この時、矩形断面の軸受鋼は、寸法が、幅:400mm、高さ:350mm、長さ:8500mmであるので、その代表寸法として、最も小さい350mmを選んだ。また、円形断面の軸受鋼は、寸法が、直径:150mm、長さ:5000mmであるので、その代表寸法として、直径:150mmを選んだ。
この代表寸法での昇温速度に対し、本発明で規定の代表寸法による修正をかけた昇温速度の熱処理と修正をしていない昇温速度の熱処理での割れの状態を調べた結果を表2に示す。
上記の熱処理の良否は、加熱後に鋼材のスケールを除去し、目視観察によって割れ(疵)個数を測定して、鋼材の表面積で除す事で単位面積あたりの割れの発生頻度を算出し、基準と比較して判定した。
Figure 0005504646
同表中の発明例1、2は、基準となる鋼材の代表寸法:300mmでAC1変態点近傍の昇温速度60℃/時という基準から、B=60×(3002)/L2に従い、昇温速度を設定した例である。これらの発明例では、単位面積当たりの割れ発生頻度は低い値を示している。
発明例3、4は、AC1変態点近傍の昇温速度の上限値をBmax=60×(3002)/L2とし、昇温速度の下限値をBmin=0.3×60×(3002)/L2と設定し、この範囲での昇温速度を採用した例である。いずれも、単位面積当たりの割れ発生頻度は低い値を示している。
発明例5は、矩形断面の鋼材と円形断面の鋼材とを同数ずつ混在させ、同時に処理した場合の例である。この例では、代表寸法が大きい矩形断面の鋼材の短辺寸法:350mmを代表寸法Lに採用し、この値に基づいてB=60×(3002)/L2よりB=44℃/時に設定したものであり、この発明例では、矩形断面の鋼材と円形断面の鋼材のいずれにおいても、単位面積当たりの割れ発生頻度は低い値を示している。
一方、比較例1、2は、代表寸法Lが350mmと基準よりも大きいにもかかわらず、昇温速度は基準パターンの60℃/時とした例である。これらの場合、単位面積当たりの割れ発生頻度が大きい値を示した。
比較例3は、代表寸法Lが150mmと基準よりも小さいものであるが、昇温速度は基準パターンの60℃/時とした例である。この場合、単位面積当たりの割れ発生頻度は低いが、発明例2に比べ昇温時間は長くなることから、処理効率が悪くなる。また、比較例3における昇温速度は、発明例4で設定した下限値をBmin=0.3×60×(3002)/L2=72℃/時よりも低い値であり、発明例4と比べても処理効率が悪くなる。
比較例4は、代表寸法Lが150mmと基準よりも小さいものであり、AC1変態点近傍の昇温速度を300℃/時に設定したが、この場合、発明例4で設定した上限値Bmax=60×(3002)/L2=240℃/時よりも大きい値であるため、単位堆積当たりの割れ発生頻度が大きくなっている。
比較例5は、発明例5と同様に矩形断面の鋼材と円形断面の鋼材とを同数ずつ混在させ、同時に処理した場合の例であり、代表寸法が大きい矩形断面の鋼材の短辺寸法:350mmに対しては、昇温速度の上限値は、B=44℃/時となるが、それを超える60℃/時にてAC1変態点近傍を昇温している。この例では、矩形断面の鋼材について割れ発生頻度が高くなったことが起因して、全体としても割れ発生頻度が大きくなっている。
以上、表2に示したとおり、本発明の熱処理に従えば、鋼材の均熱拡散処理を、従来よりも短時間で、かつ、外観の割れも無く実施することができることが分かる。
本発明による均熱拡散処理方法は、鋼材の寸法に応じて、割れの発生しない最短の昇温温度で、均熱温度まで昇温できる。その結果、軸受鋼をはじめとした共晶炭化物の偏析を伴う鋼材を、再現性に優れかつ効率よく提供することができる。

Claims (7)

  1. 凝固により発生する共晶炭化物の偏析を伴う鋼材に対して、均熱拡散処理を施すに際し、該鋼材の横断面が矩形である場合は短辺寸法を、円形状である場合はその円相当径を代表寸法とし、該鋼材の変態点Ac1を用いてAc1-10℃を下限温度とし、Ac1+80℃を上限温度とした温度領域の昇温速度を該代表寸法の2乗に反比例させることを特徴とする鋼材の均熱拡散処理方法。
  2. 前記昇温速度を、鋼材の入熱側表面と該鋼材の中心部の温度差が該鋼材の割れ限界温度差ΔT0℃以下であって、0.3×ΔT0℃以上の範囲となるように設定することを特徴とする請求項1に記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
  3. 前記均熱拡散処理中、複数の形状の異なる鋼材を同時に処理するに当たり、該鋼材中の最大の代表寸法を前記代表寸法とすることを特徴とする請求項1または2に記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
  4. 前記鋼材がSUJ1〜5のいずれかであって、前記代表寸法がLmmの時、前記昇温速度を、{(0.3×54×105)/(L)}℃/時以上、{(54×105)/(L)}℃/時以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
  5. 凝固により発生する共晶炭化物の偏析を伴う鋼材に対して、均熱拡散処理を施すに際し、該鋼材の横断面が矩形である場合は短辺寸法を、円形状である場合はその円相当径を代表寸法とし、該鋼材の変態点Ac1 を用いてAc 1 -10℃を下限温度とし、Ac 1 +80℃を上限温度とした温度領域の昇温速度の上限値および下限値を該代表寸法の2乗に反比例させることを特徴とする鋼材の均熱拡散処理方法。
  6. 前記昇温速度の上限値を、鋼材の入熱側表面と該鋼材の中心部の温度差が該鋼材の割れ限界温度差ΔT0℃となるように設定し、前記昇温速度の下限値を、鋼材の入熱側表面と該鋼材の中心部の温度差が0.3×ΔT0℃となるように設定することを特徴とする請求項5に記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
  7. 前記鋼材がSUJ1〜5のいずれかであって、前記代表寸法がLmmの時、前記昇温速度の上限値を、{(54×105)/(L)}℃/時、前記昇温速度の下限値を{(0.3×54×105)/(L)}℃/時とすることを特徴とする請求項5に記載の鋼材の均熱拡散処理方法。
JP2009044474A 2009-02-26 2009-02-26 鋼材の均熱拡散処理方法 Active JP5504646B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009044474A JP5504646B2 (ja) 2009-02-26 2009-02-26 鋼材の均熱拡散処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009044474A JP5504646B2 (ja) 2009-02-26 2009-02-26 鋼材の均熱拡散処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010196136A JP2010196136A (ja) 2010-09-09
JP5504646B2 true JP5504646B2 (ja) 2014-05-28

Family

ID=42821149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009044474A Active JP5504646B2 (ja) 2009-02-26 2009-02-26 鋼材の均熱拡散処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5504646B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5760755B2 (ja) * 2011-06-30 2015-08-12 Jfeスチール株式会社 Cr含有高炭素鋼材の均熱焼鈍処理方法
JP5760754B2 (ja) * 2011-06-30 2015-08-12 Jfeスチール株式会社 Cr含有高炭素鋼材の均熱焼鈍処理方法
JP5760757B2 (ja) * 2011-06-30 2015-08-12 Jfeスチール株式会社 Cr含有高炭素鋼材の均熱焼鈍処理方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59182911A (ja) * 1983-03-31 1984-10-17 Sanyo Tokushu Seikou Kk 鋼塊加熱方法
JP2667344B2 (ja) * 1992-10-29 1997-10-27 川崎製鉄株式会社 竪型誘導加熱炉における温度制御方法
JP2006070305A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Jfe Steel Kk 高Ni合金鋼の熱間加工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010196136A (ja) 2010-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4690995B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法及び連続鋳造設備
JP5082683B2 (ja) 連続鋳造鋳片の表面割れ予測方法
JP6354481B2 (ja) 鋼線材及び鋼線材の製造方法
JP5504646B2 (ja) 鋼材の均熱拡散処理方法
JPWO2014054756A1 (ja) 海底ケーブル保護管用異形鋼線及びその製造方法並びにケーブル
JP5041282B2 (ja) マルテンサイト系ステンレス鋼管の製造方法
JP2009000705A (ja) 鋳片の連続鋳造方法
JP7188187B2 (ja) 鋳片の冷却方法
JP2006342377A (ja) 大物金型の焼入れ方法
JP7334829B2 (ja) 鋳片の冷却方法
JP4462440B2 (ja) 軸受鋼熱間圧延材の製造方法
JP5447770B2 (ja) 高炭素鋼材の均熱焼鈍処理方法
JP2012152764A (ja) 連続鋳造における二次冷却強度評価ならびに制御方法
JP6582892B2 (ja) 鋼材の熱間圧延方法
JP6533648B2 (ja) 調質高張力鋼板の熱処理方法
CN105642675B (zh) 防止磷非平衡晶界偏聚热轧工艺控制方法
JP6149711B2 (ja) 極細鋼線用線材及びその製造方法
JP2012125828A (ja) 連続鋳造における鋳片の表面割れ判定方法
JP2012026011A (ja) 連続式熱処理炉の炉温決定方法
JP5071025B2 (ja) 連続鋳造鋳片の高温脆化評価方法及び鋼の連続鋳造方法
JP5673171B2 (ja) 高炭素高Mn鋼材の製造方法
JP5760757B2 (ja) Cr含有高炭素鋼材の均熱焼鈍処理方法
JP5839177B2 (ja) 方向性電磁鋼板の仕上焼鈍設備と仕上焼鈍方法
CN108237148B (zh) 一种用于消除目标钢毛刺链缺陷的方法
JP2006255771A (ja) 鋼管の冷却方法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111025

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130618

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130816

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131022

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140303

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5504646

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250