JP6149711B2 - 極細鋼線用線材及びその製造方法 - Google Patents

極細鋼線用線材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間圧延によって製造された線材であって、スチールコード、スチールベルトコード、ソーワイヤ等の極細鋼線の素材に使用される伸線加工前の線材、即ち、極細鋼線用線材及びその製造方法に関するものである。
自動車用タイヤ、産業用各種ベルト類などの補強材としてスチールコードやスチールベルトコードが使用されており、半導体インゴットなどの切断にはソーワイヤが使用されている。スチールコード、スチールベルトコード、ソーワイヤ等の極細鋼線を製造する際には、素材となる熱間圧延線材に伸線加工及びパテンティング処理が繰り返し施される。
素材となる高炭素鋼線の熱間圧延線材に、乾式伸線加工及び中間パテンティング処理を繰り返して施し、所定の線径とした後、最終パテンティング処理を行い、所定の線径まで湿式伸線加工を行い、極細鋼線が製造される。極細鋼線の性質(強度及び延性)は最終パテンティング後の湿式伸線加工によって決定される。
一方、最終パテンティング処理以前の工程では、品質の向上よりも生産コストの削減や生産の安定性が求められている。そのため、熱間圧延線材には、中間パテンティング処理の省略や、伸線機モーターの負荷低減が可能になるように、伸線加工性の向上が求められている。
このような要求に対して、パーライトブロックとラメラ間隔を制御して伸線加工性を向上させた線材が提案されている(例えば、特許文献1及び2、参照)。また、極細鋼線とは用途及び強度が異なるが、高強度ばね用線材のコイルの密部と疎部の温度差を考慮し、冷却速度を制御して、線材長手方向のばらつきを抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献3及び4、参照)。
特開2012−126954号公報 特開2012−126955号公報 特開平03−079719号公報 特開2012−072492号公報
しかし、本発明者らが試験した結果、特許文献1及び2の方法では、線材長手方向にパーライトブロックのばらつきが大きくなることが確認された。一方、特許文献3の方法では、コイル載置後の冷却速度が遅く、特許文献4の方法では、コイル載置後に除冷して低強度化しており、これらの方法を、そのまま極細鋼線の素材となる線材に適用すると伸線加工性が低下することが解った。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、コストの削減と生産安定性との両立を可能とする、伸線加工性に優れる極細鋼線用線材及びその製造方法を提供することを課題とする。
図1に、載置したコイル状の線材の密部及び疎部を示す。2が密部で1が疎部である。極細鋼線用線材のコイルを載置した後の冷却速度が遅い場合、図1に示すコイル状の線材の密部2では冷却速度が遅くなって、旧オーステナイト粒径が大きく粗大化し、それに伴い、パーライトブロックも粗大化して、伸線加工性が低下することが解った。
そして、本発明者らは、コイル状の線材の密部2でのパーライトブロックの粗大化を抑制するには、熱間圧延後の線材をコイル状に巻き取り、衝風冷却、ミスト冷却、水冷などの手段で、冷却速度を15℃/s以上にする必要があるとの知見を得るに至った。また、本発明者らは、伸線加工性を向上させるには、高強度化を抑制する必要があり、そのためには、Si含有量を制限する必要があるとの知見を得るに至った。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]熱間圧延によって製造されたコイル状の線材であって、質量%で、
C :0.60〜1.10%、
Mn:0.20〜2.00%
を含有し、
Si:0.50%未満
に制限し、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
金属組織が、面積率で95%以上のパーライトからなり、
コイル1巻内のパーライトブロックの平均径が10〜25μmで、かつ、コイル1巻内のパーライトブロックの径差が6μm以下であり、
引張強さが1080MPa以下である
ことを特徴とする極細鋼線用線材。
[2]更に、質量%で、
Cr:1.00%以下
を含有する
ことを特徴とする前記[1]に記載の極細鋼線用線材。
[3]前記[1]又は[2]に記載の極細鋼線用線材を製造する方法であって、
(i)前記[1]又は[2]に記載の成分組成の鋼片を加熱し、1100〜900℃で熱間圧延を施した後、直ちに、650〜800℃に加速冷却してコイル状に巻き取り、
(ii)そのまま、15℃/秒以上で冷却して、550〜650℃の温度範囲内で20秒以上滞留させ、その後、空冷する
ことを特徴とする極細鋼線用線材の製造方法。
本発明によれば、極細鋼線のコストの削減と生産の安定性の両立が可能な、伸線加工性に優れる極細鋼線用線材と、その製造方法を提供することができる。
載置したコイル状の線材の密部及び疎部を示す図である。 評価用試料のサンプリング位置を示す図である。 伸線真歪と累積破断率の関係を示す図である。 コイル内パーライトブロック径と伸線加工性の関係を示す図である。 コイル内パーライトブロック径差と伸線加工性の関係を示す図である。
本発明の極細鋼線用線材(以下「本発明線材」ということがある。)は、熱間圧延によって製造されたコイル状の線材であって、質量%で、
C :0.60〜1.10%、
Mn:0.20〜2.00%
を含有し、
Si:0.50%未満
に制限し、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
金属組織が、面積率で95%以上のパーライトからなり、
コイル1巻内のパーライトブロックの平均径が10〜25μmで、かつ、コイル1巻内のパーライトブロックの径差が6μm以下であり、
引張強さが1080MPa以下である
ことを特徴とする。
また、本発明の極細鋼線用線材の製造方法(以下「本発明方法」ということがある。)は、
本発明線材を製造する方法であって、
(i)請求項1又は2に記載の成分組成の鋼片を加熱し、1100〜900℃で熱間圧延を施した後、直ちに、650〜800℃に加速冷却してコイル状に巻き取り、
(ii)そのまま、15℃/秒以上で冷却して、550〜650℃の温度範囲内で20秒以上滞留させ、その後、空冷する
ことを特徴とする。
以下、本発明線材及び本発明方法について説明する。
図1に示すように、コイル載置時には、コイルが重なり合う部位(密部2)と、コイルが重なり合わない部位(疎部1)があるので、冷却速度に差異が生じる。そのため、冷却速度が遅い密部2と冷却速度が速い疎部1においては、組織、特に、パーライトブロック径に差異が生じる。
一方、コイル状に巻き取った線材では、密部と疎部を、目視によって確認することができないが、コイルの周方向の位置によって、パーライトブロック径のばらつきが生じている。
そこで、本発明者らは、コイルの周方向において、パーライトブロック径のばらつきを評価した。図2に、評価用試料のサンプリング位置を示す。図2に示すように、コイルの周方向の8箇所(a〜h)で、コイル1巻内のパーライトブロック径の平均値(平均径)、及び、最大値と最小値との差(径差)を求めて、平均的な特性、及び、ばらつきを評価した。
線材がコイル状でなく、伸ばされた状態である場合は、400mm間隔で8箇所の位置で評価を行い、その結果を、コイル1巻内のパーライトブロック径の平均径及び径差とした。
図2に示す8箇所(a〜h)の測定視野全てのパーライトブロック径の平均値を、コイル1巻内のパーライトブロックの平均径(以下「コイル内パーライトブロック径」ということがある。)という。また、図2に示す8箇所(a〜h)の測定視野全てのパーライトブロック径の最大値と最小値との差を、コイル1巻内のパーライトブロックの径差(以下「コイル内パーライトブロック径差」ということがある。)という。
パーライトブロック径は、電子線後方散乱(Electron BackScatter Diffraction、EBSD)法によって測定した。極細鋼線用線材のコイルの図2に示す位置から試料を採取し、圧延方向に平行な断面をコロイダルシリカ粒子により鏡面研磨し、径方向の中心部近傍で測定を行い、フェライト結晶方位のマップを作成する。マッピングの領域は1辺がいずれも500μm以上の矩形領域で行い、ピクセル形状は正6角形要素配置、ステップは0.5μm間隔で行った。
EBSD法によるフェライト結晶方位の同定により、それぞれの6角形状ピクセルにはフェライトの結晶方位の情報が与えられ、その結果、隣接ピクセルの境界には、結晶方位の角度差の情報が定義される。二つのピクセル間の境界で、9°以上のフェライト結晶方位傾角差があり、それと隣接するピクセル境界も、9°以上というように、9°以上の傾角差のあるピクセル境界が連続する場合、それらをつなげて、パーライトブロック粒界として定義する。
ピクセルの3重点で、そこから伸びるピクセル境界がいずれも9°以上の場合、パーライトブロック粒界は分岐する。ピクセル境界の結晶方位差が9°以上の条件が途中で途切れる場合、このピクセル境界はパーライトブロック粒界とは見なさず、無視する。
以上の考え方に従って、9°以上のフェライト方位差を持つピクセル境界を全矩形領域にわたって定義し、パーライトブロック粒界がひとつの閉じた領域を包囲する場合、この領域を一つのパーライトブロックとして定義する。ただし、定義されたパーライトブロック粒が25ピクセル以下で構成される場合は、ノイズとして扱い、無視する。
伸線加工性は、長さ10mの試験材を塩酸に浸漬してスケールを除去し、水洗後、ボンデ処理を施し、乾式伸線加工を行って評価した。伸線加工は、ダイスアプローチ(全)角度20°、ベアリング長さが径の0.3倍程度の形状を有するWC−Co超硬合金製ダイスを用いて行った。伸線速度は50m/minとし、ステアリン酸ナトリウム及びステアリン酸カルシウムを主体とする乾式伸線潤滑剤を用いた。
断線が発生しなかった場合は、断面減少率が20%となるようにダイス径を小さくし、断線が発生するまで伸線加工を行った。通算の断線回数が20回となった時点で評価を終了し、試験材の線径(伸線開始前の線径)D0と、断線が発生したダイス径Dから、伸線真歪を求めた。
伸線真歪(ε)=2×ln(D0/D)
それぞれの伸線真歪で、破断が発生した回数を20(全試験数)で除して求めた破断率を求め、これに、それまでの累積破断率を加え、各伸線加工度での累積破断率を求めた。
図3に、伸線真歪と累積破断率の関係を示す。
伸線加工度が1.7のとき、破断回数は1回で、縦軸の累積破断率は0.05(1/20)である。伸線加工度が1.9のとき、破断回数は5回で破断率は0.25であり、それ以前(伸線加工度1.7)の累積破断率0.05を加えると、累積破断率は0.3となる。そして、20回の試験で伸線加工率が最大になる時、累積破断率は100%となる。
本発明では、累積破断率が50%となる伸線真歪を図から求め、伸線加工性と定義する。図3に示すように、伸線加工性を良好と判断する基準となる線材(基準材)の伸線加工性は2.23である。したがって、本発明では、伸線加工性が2.23以上を良好と評価する。更に、累積破断率が90%となる伸線真歪は3.0であり、累積破断率が100%となる伸線真歪は3.12である。
伸線加工性が良好になると、累積破断率が50%となる伸線真歪が大きくなり、図3と同様に、累積破断率を伸線真歪に対してプロットすると、全体が図3の線よりも右側にシフトする。
伸線加工性が3.0の場合、基準材の累積破断率が90%であるのに対し、累積破断率が50%ということになる。伸線加工性が3.12の場合、基準材の累積破断率が100%であるのに対し、累積破断率が50%ということになる。
したがって、伸線加工性が3.0以上であると伸線加工性は非常に良好、伸線加工性が3.12以上になると伸線加工性は極めて良好と評価することができる。
次に、鋼片を加熱して1100〜900℃で熱間圧延を施し、直ちに、650〜800℃に水冷してコイル状に巻き取り、衝風冷却、ミスト冷却、水冷などの手段で冷却速度を変化させて冷却し、20〜180秒保持した後、空冷して、組織及び伸線加工性を評価した。
その結果、コイル状に巻き取った後の冷却速度が遅いと、コイル内パーライトブロック径、及び、コイル内パーライトブロック径差が大きくなる傾向が見られた。
ここで、図4に、コイル内パーライトブロック径と伸線加工性の関係を示し、図5に、コイル内パーライトブロック径差と伸線加工性の関係を示す。
図4に示すように、コイル内パーライトブロック径が25μm以下になると、伸線加工性が3.12以上となり、極めて良好と評価することができる。また、図5に示すように、コイル内パーライトブロック径差が6μm以下になると、伸線加工性は3.12以上となり、極めて良好と評価することができる。
次に、本発明線材の成分組成について説明する。以下、%は質量%を意味する。
C:0.60〜1.10%とする
Cは、組織を伸線加工性に優れたパーライトとし、極細鋼線の引張強さの向上にも寄与する元素である。0.60%未満であると、粒界フェライトなどの非パーライト組織が生成して伸線加工性が劣化し、極細鋼線の引張強さも低下するので、0.60%以上とする。好ましくは0.70%以上である。
一方、1.1%を超えると、初析セメンタイトなどの非パーライト組織が生じて、伸線加工性が劣化するので、1.10%以下とする。好ましくは1.00%以下である。
Mn:0.20〜2.00%
Mnは、脱酸や脱硫に用いる元素である。添加効果を得るため、0.20%以上とする。好ましくは0.50%以上である(必要?)。一方、2.00%を超えると、パーライト変態が遅延し、パテンティング処理の時間が長くなるので、2.00%以下とする。好ましくは1.00%以下である。
Si:0.50%未満
Siは、鋼の脱酸に用いる元素であり、固溶強化にも寄与する元素である。添加効果を得るためには、0.10%以上が好ましい。しかし、0.50%以上であると、引張強さが1080MPaを超え、伸線加工性が低下するので、0.50%未満に制限する。好ましくは0.30%以下である。
本発明線材においては、上記元素の他、Crを含有してもよい。
Cr:1.00%以下
Crは、極細鋼線の強度の上昇に有効な元素である。鋼の加工硬化率を高め、より少ない伸線加工歪で引張強さを高めるには、0.01%以上が好ましい。一方、Crもパーライト変態を遅延させる元素であり、1.00%を超えると、パテンティング処理の時間が長くなるので、1.00%以下が好ましい。より好ましくは0.70%以下である。
次に、本発明線材の金属組織及び引張強さについて説明する。
初析フェライトや初析セメンタイトなどの非パーライト組織は、伸線加工の際に亀裂が発生する原因となる。本発明線材では、伸線加工性を高めるため、パーライトの面積率が95%以上の金属組織とする。
また、コイル1巻を8等分した部位(又は、400mm間隔で8箇所の位置)で測定したパーライトブロック径から求めた平均径及び径差は、伸線加工性の重要な指標であり、それぞれ、25μm以下及び6μm以下とする。
線材の引張強さは、伸線加工性及び生産安定性の重要な指標である。引張強さが1080MPaを超えると、伸線加工限界歪が悪化するだけでなく、伸線機のモーターの負荷を低減することができない。したがって、線材の引張強さを1080MPa以下とする。
次に、本発明方法について説明する。
本発明線材は、鋼片を熱間圧延して製造される。熱間圧延後、線材をコイル状に巻き取る。鋼片は、常法で溶製し、鋳造して製造する。
鋼片を加熱し、900〜1100℃で熱間圧延を施し。圧延温度が1100℃を超えるとパーライトブロック径の微細化が困難になり、圧延温度が900℃未満では変形抵抗が大きくなるので、圧延温度は900〜1100℃とする。好ましくは950〜1050℃である。
熱間圧延後、800℃以下に加速冷却してコイル状に巻き取る。巻取温度が800℃を超えると、パーライトブロック径が粗大になり、コイルの疎部と密部との径差も大きくなり、伸線加工性が低下する。一方、650℃未満まで加速冷却すると、線材の曲げ剛性が高くなり、座屈し易くなるので、巻取温度は650℃以上とする。巻取温度は、仕上げ圧延後に加速冷却され、コイル載置される際の温度である。加速冷却は水冷が好ましい。
巻取り後の冷却速度は重要であり、15℃/秒未満であると、コイルの粗部と密部との温度差が大きくなる。その結果、コイル内パーライトブロック径差が大きくなり、伸線加工性が低下する。したがって、巻取り後の冷却速度は15℃/秒以上とする。好ましくは20℃/秒以上である。
冷却後、パーライト変態させるために、550〜650℃の温度範囲内で20秒以上滞留させる。550〜650℃の温度範囲内に20秒以上滞留させれば、温度は一定でも、低下しても、上昇しても構わない。保温カバーを使用して、徐冷してもよい。
本発明線材の成分組成では、パーライト変態が促進される温度域が550〜650℃の範囲であり、これ以外の温度では、パーライト変態が十分に進まず、パーライト面積率が低下する。また、550〜650℃の温度範囲内でも、パーライト面積率を95%以上にするためには、20秒以上の時間が必要である。好ましくは30秒以上である。滞留時間の上限は特に限定しないが、生産性の観点から、180秒以下が好ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
表1に示す成分組成となるように、鋼を転炉で溶製して鋳造し、鋼塊を分解圧延して155mm角の鋼片とした。鋼片を1150℃程度に加熱して、表2に示す条件で熱間圧延を行い、加速冷却してコイル状に巻き取り、更に冷却して、直径5.5mmの線材を得た。
熱間圧延終了後の加速冷却は、圧延ラインに設けた冷却帯で、冷却水をノズル噴射して行い、巻取温度を水量と水冷時間を変化させて制御した。巻取り後は、衝風冷却によって冷却速度を制御し、到達温度まで冷却し、保温カバーを使用して、550〜650℃の温度範囲内の滞留時間を調整した。
これらの鋼線材のパーライト面積率(%)、コイル内パーライトブロック径、コイル内パーライトブロック径差、引張強さを測定した。パーライト面積率は、線材を切断して横断面を鏡面研磨した試料を硝酸とエタノールの混合液でエッチングし、線材の表面と中心の間の中央部を2000倍で観察することで求めた。
3600mmの線材を採取し、400mmごとの8箇所の位置(図2、参照)でのパーライトブロック径を測定した。これら8箇所の測定値を平均してコイル内パーライトブロック径を求め、最大値と最小値との差をコイル内パーライトブロック径差とした。
引張試験は、JIS Z 2241に準拠して行った。伸線加工性は、上述のように、乾式伸線加工を行い、通算の断線回数を20回として伸線真歪と累積破断率との関係をプロットし、累積破断率が50%となる伸線真歪で評価した。結果を表2に示す。PBSはパーライトブロック径の平均、PBS差はパーライトブロック径の最大値と最小値との差である。
No.1〜6は発明例であり、伸線加工性が良好である。一方、No.7〜11は比較例である。No.10はC量が低く、パーライトの面積率が低下して、伸線加工性が低下している。No.11は、Si量が多く、強度が上昇して、伸線加工性が低下している。
No.7は巻取温度が高く、No.8は更に冷却速度も遅いため、PBS差が大きくなり、伸線加工性が低下している。No.9は、巻取後の冷却速度が遅いため、PBS差が大きくなり、伸線加工性が低下している。
前述したように、本発明によれば、極細鋼線のコストの削減と生産の安定性の両立が可能な、伸線加工性に優れる極細鋼線用線材と、その製造方法を提供することができる。よって、本発明は、線材製造産業及び線材利用産業において利用可能性が大きいものである。
1 コイル状の線材の疎部
2 コイル状の線材の密部

Claims (3)

  1. 熱間圧延によって製造されたコイル状の線材であって、質量%で、
    C :0.60〜1.10%、
    Mn:0.20〜2.00%
    を含有し、
    Si:0.50%未満
    に制限し、残部はFe及び不可避的不純物からなり、
    金属組織が、面積率で95%以上のパーライトからなり、
    コイル1巻内のパーライトブロックの平均径が10〜25μmで、かつ、コイル1巻内のパーライトブロックの径差が6μm以下であり、
    引張強さが1080MPa以下である
    ことを特徴とする極細鋼線用線材。
  2. 更に、質量%で、
    Cr:1.00%以下
    を含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の極細鋼線用線材。
  3. 請求項1又は2に記載の極細鋼線用線材を製造する方法であって、
    (i)請求項1又は2に記載の成分組成の鋼片を加熱し、1100〜900℃で熱間圧延を施した後、直ちに、650〜800℃に加速冷却してコイル状に巻き取り、
    (ii)そのまま、15℃/秒以上で冷却して、550〜650℃の温度範囲内で20秒以上滞留させ、その後、空冷する
    ことを特徴とする極細鋼線用線材の製造方法。
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