JP6318845B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Al含有量が微量な鋼の鋳片を湾曲型又は垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて製造する鋼の連続鋳造方法に関する。
近年、厚鋼板等の鉄鋼材料において、機械的特性の向上を目的として、Ti、Nb、Ni、Cu等の合金元素を含有する低合金鋼が多く製造されている。
しかし、これらの合金元素の添加に伴い、連続鋳造により製造された鋳片において、表面の横ひび割れや表皮下割れ等の欠陥が発生することが多い。このような欠陥の発生は、連続鋳造の操業上及び製品の品質上の問題となる。
ここで、横ひび割れとは、鋳片表面から鋳片表面を基準に深さ3mm未満の領域に発生する粒界に沿った鍵状の割れである。また、表皮下割れとは、鋳片表面を基準に深さ3mm以上の領域における粒界に沿った割れである。
このような鋳片表面の横ひび割れや表皮下割れは、鋳片表層の旧オーステナイト粒界に沿って発生する。ここで、「表層」とは鋳片表面から鋳片表面を基準に深さ15mmまでの領域を意味する。具体的には、これらの割れは、AlNやNbC等の析出により脆化したオーステナイト粒界や、旧オーステナイト粒界に沿って生成するフィルム状フェライトに、矯正応力が集中することで発生する。矯正応力は、湾曲型又は垂直曲げ型の連続鋳造機中の矯正点において付与される。
これらの割れは、特に、オーステナイトからフェライトへの相変態領域近傍の温度域において発生しやすい。これらの割れの発生を抑制するため、通常は、鋳片の表面温度を制御し、矯正点における鋳片表層の温度を延性が低下する温度域(脆化温度域)から回避させて矯正を行う方法が採用されている。しかし、鋳片の表面温度を制御するのみでは、必ずしもこれらの割れの発生を抑制することはできない。
鋳片表面の横ひび割れや表皮下割れに関し、従来から種々の提案がなされており、例えば、特許文献1及び2がある。特許文献1で提案される連続鋳造方法は、鋳片を鋳型から引き抜いた後、鋳片の表面温度がA3点以下となるよう一旦冷却し、その後、A3点を超えて復熱させる。これにより、表面割れ(横ひび割れ等)発生の起点となるフィルム状フェライトの生成を防止することができ、表面割れ防止効果があるとしている。
特許文献2で提案される連続鋳造方法は、鋳型から引き抜いた鋳片の表面温度をAr3点未満で、かつ、オーステナイト相の変態が完了しない温度まで急冷した後、950〜1200℃に復熱させ、その後、矯正を行う。これにより、割れの起点となるAlNの粒界に沿った析出を防止し、横ひび割れ等の表面割れを防止できるとしている。
特開平9−47854号公報 特開平11−33688号公報
ところで、近年では、特に、Alに代えてTi、Mn、Si等の弱脱酸元素によって脱酸した鋼のニーズが増えている。そのため、Alが脱酸支配元素とならない程度のAl含有量である鋼、すなわち、Al含有量が微量(数十質量ppm以下)である鋼を鋳造する機会が増えている。このような微量Al含有鋼では、AlNが生成し得ない程度のAl含有量であるものの、表面の横ひび割れや表皮下割れが発生する場合がある。
しかしながら、特許文献1及び2には、このような微量Al含有鋼に関する記載も示唆もない。そのため、微量Al含有鋼に対して、特許文献1及び2に記載の技術を適用しても、同様に表面の横ひび割れや表皮下割れ等の欠陥の発生を抑制することができるかどうかは不明である。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、Al含有量が微量である鋼の連続鋳造鋳片において、表面の横ひび割れ及び表皮下割れの発生を抑制することができる鋼の連続鋳造方法を提供することである。
本発明の要旨は、次の通りである。
(1)質量%で、C:0.03〜0.2%、Mn:0.1〜3.0%、Ti:0.005〜0.02%、Si:0.05〜1.0%、Ni:0.2〜2.0%、及び、Cu:0.1〜2.0%を含有し、さらにNb:0〜0.01%、V:0〜0.05%、Cr:0〜0.1%、及び、Mo:0〜0.1%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、前記不純物中、P:0.04%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、及び、sol.Al:0.005%未満である化学組成を備える鋼の鋳片を、湾曲型又は垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて製造する方法であって、当該連続鋳造方法は、前記化学組成が下記式(1)を満足し、かつ、鋳型から引き抜かれた鋳片を、前記鋳片の表面温度がAr3点以下の急冷温度T1(℃)となるまで3〜20℃/sの冷却速度で急冷するステップと、前記急冷温度T1の鋳片をその表面温度をAr3点以上の復熱温度T2(℃)に上昇させるステップと、前記復熱温度T2の鋳片をその表面温度が矯正温度T3(℃)となるまで冷却するステップと、前記矯正温度T3の鋳片に矯正歪み量ε(%)を付与して矯正を行うステップと、の一連のステップを含み、前記急冷温度T1、前記復熱温度T2、前記矯正温度T3及び前記矯正歪み量εが下記式(2)を満足する、鋼の連続鋳造方法。
[Ti(%)]/[sol.Al(%)]≧2 ・・・(1)
3/ε≧−110×(T2/T1)+770 ・・・(2)
ここで、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[sol.Al(%)]:sol.Al含有量(質量%)である。
(2)上記(1)に記載の鋼の連続鋳造方法であって、前記式(2)に代えて下記式(3)を用いる、鋼の連続鋳造方法。
3/ε≧−110×(T2/T1)+830 ・・・(3)
本発明の鋼の連続鋳造方法は、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(2)を満足する。これにより、T2/T1の値が適正となり、Ti及びNb系炭窒化物が粒界のみならず、粒内にも分散して析出するとともに、急冷却に伴う熱歪みが解消される。このため、鋳片の割れ感受性が鈍化する。また、T3/εの値が適正となることよっても、割れが発生しにくくなる。その結果、横ひび割れや表皮下割れといった表層での割れ発生を防止できる。また、表層より内側の領域で矯正歪みによる割れが発生するのも防止できる。
図1は、基礎試験で使用した試験連続鋳造機を示す模式図である。 図2は、基礎試験におけるT2/T1の値及びT3/εの値による割れ発生状況の変化を示す図である。 図3は、実施例におけるT2/T1の値及びT3/εの値による割れ発生状況の変化を示す図である。
[本発明に至る着想]
連続鋳造で製造される鋳片では、前述の通り、曲げあるいは矯正時にかかる応力により、鋳片表面の横ひび割れや表皮下割れが発生する。鋳片表面の横ひび割れや表皮下割れの発生には、鋼中で析出するAlN等が大きな影響を与えることが明らかにされている。しかしながら、Al含有量が微量(数十質量ppm以下)である鋼は、AlNがほとんど生成されないが、連続鋳造で横ひび割れや表皮下割れが発生する場合がある。
そこで、本発明者らは、連続鋳造鋳型直下での冷却パターンと矯正時の歪み量と矯正温度に着目し、試験連続鋳造機による連続鋳造鋳片の曲げ試験(後述の基礎試験)を行い、検討を重ねた。その結果、下記(1)〜(4)の知見を得た。
(1)微量Al含有鋼における横ひび割れ及び表皮下割れの原因は、Ti及びNbの炭窒化物がγ粒界に集中して析出することである。
(2)Ti及びNb系炭窒化物がγ粒界に集中して析出することを防止するためには、鋳片の表面温度を一旦フェライトの析出し始めるAr3点以下の急冷温度T1(℃)まで3〜20℃/sの冷却速度で急冷却した後、Ar3点以上の復熱温度T2(℃)まで復熱させることが有効である。これにより、Ti及びNb系炭窒化物が粒界のみならず、粒内にも分散して析出する。そのため、急冷及び復熱の影響を受ける表層領域で割れ感受性が鈍化する。また、急冷及び復熱する際のT2/T1の値が大きいほど、急冷却に伴う熱歪みが解消されることから、割れ感受性が鈍化する。
(3)上記(2)の知見に従い、T1とT2が所定の関係を満足するようにして鋳造を行っても、割れ感受性が鈍化した表層又は表層より内側の領域で矯正歪みによる割れが発生する場合がある。
(4)上記(3)の割れを防止するには、表層及び表層より内側の領域で延性を確保すること、又は、表層に付与される矯正に伴う歪み量を小さくすることが必要となる。すなわち、矯正温度T3と矯正歪み量εの比(T3/ε)を大きくすれば、上記(3)の割れが低減される。このため、上記(2)の知見に従ってT1とT2が所定の関係を満足するように鋳造を行う際、矯正温度T3と矯正歪み量εも所定の関係を満足する必要がある。具体的には、T2/T1及びT3/εが、前記式(2)の関係を満足する必要がある。
ここで、矯正温度T3は、矯正時の鋳片の表面温度であり、矯正歪み量εは、湾曲型又は垂直曲げ型の連続鋳造機における矯正点で鋳片表面にかかる引張歪み量である。矯正歪み量εは、例えば、後述する式(4)を用いて算出することができる。
上記(1)〜(4)の知見に従い、T2/T1及びT3/εが前記式(2)の関係を満足すると、横ひび割れ及び表皮下割れの防止が可能である。
[基礎試験]
本発明者らは、本発明の鋼の連続鋳造方法を完成させるため、試験連続鋳造機による連続鋳造鋳片の曲げ試験を行った。
基礎試験で鋳造された鋼(鋳片)の化学組成を表1に示す。表1に示す鋼は、Al含有量がsol.Alで20質量ppmであり、Ar3点が744℃であった。
Figure 0006318845
図1は、基礎試験で使用した試験連続鋳造機を示す模式図である。同図には、垂直式の試験連続鋳造機10とともに、連続鋳造される鋳片21を示す。試験連続鋳造機10が備える鋳型11は、そのキャビティの寸法が幅500mm、厚み200mm、長さ800mmであった。その鋳型11の下方に、複数対の支持ロール12、ピンチロール13、支点ロール14及び曲げロール15をその順に設けた。
試験連続鋳造機10は、支点ロール14を支点とし、曲げロール15によって鋳片に歪みを付与することにより、鋳片を曲げることが可能である。このような曲げロール15により、試験連続鋳造機10は垂直型でありながら、鋳片21に1点曲げによる曲げ歪みを付与することができる。また、曲げロール15を前後(同図の破線矢印参照)に移動させることで、曲げ時の歪み量を任意の値に変更できる。このため、湾曲型又は垂直曲げ型の連続鋳造機による矯正時において、鋳片に付与される曲げ歪みを模擬でき、それに伴う横ひび割れ及び表皮下割れの評価が可能となる。
試験連続鋳造機10には、鋳型11側から鋳造方向に、急冷ゾーンA、復熱ゾーンB、放冷ゾーンC及び曲げゾーンDをその順に設けた。基礎試験では、急冷ゾーンAの最下段に設置された放射温度計17aにより、鋳片21の表面温度を測定し、測定された温度を急冷温度T1とした。また、復熱ゾーンBの最下段に設置された放射温度計17bにより、鋳片21の表面温度を測定し、測定された温度を復熱温度T2とした。さらに、支点ロール14の直上に設置された放射温度計17cにより、鋳片21の表面温度を測定し、測定された温度を矯正温度T3とした。放射温度計(17a〜17c)による鋳片21の表面温度の測定では、代表温度を測定するため、いずれも、鋳片の幅方向の中央部を測定した。
急冷ゾーンAでは、スプレー(図示なし)を用いて冷却水を鋳片21の表面に供給することにより、鋳片に急冷を施した。復熱ゾーンB及び放冷ゾーンCでは、いずれも、冷却水の鋳片表面への供給を停止した。鋳片21の表面温度が上昇している区間を復熱ゾーンBとし、鋳片21の表面温度が下降している区間を放冷ゾーンとした。
基礎試験では、鋳型11から引き抜かれた鋳片を、急冷ゾーンAでフェライト変態の開始温度のAr3点以下の急冷温度T1まで冷却した。その下流側の復熱ゾーンBで、Ar3点以上の復熱温度T2まで復熱し、放冷ゾーンCで支点ロール14直上が所定の矯正温度T3になるまで機内に保持・放冷した。その後、鋳片21を再度引き抜きながら曲げロール15を前進させ、曲げ歪みを付与した。付与した曲げ歪みは、曲げロール15の前進位置を変更することにより、湾曲半径6〜8m相当の曲げ歪みとした。この時の鋳片表面における曲げ歪み量εは、後述の式(4)により計算できる。基礎試験の曲げ歪み量εは1.2〜1.7%であり、汎用連続鋳造機の矯正時の曲げ歪み量と同程度である。
連続鋳造では、2.5tonの溶鋼から約3200mmである鋳片を得た。その際の鋳造速度は1m/minとした。
基礎試験では、計8本の鋳片を得た。各鋳片の連続鋳造では、曲げ歪み量を変化させるとともに、急冷ゾーンの冷却条件や放冷ゾーンの保持時間を変更することにより、急冷温度T1、復熱温度T2及び矯正温度T3を変化させた。表2に、鋳片に付与した曲げ歪みに相当する湾曲半径R、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び曲げ歪み量εを示す。
Figure 0006318845
鋳片の割れ(例えば鋳片表面の横ひび割れや表皮下割れ)をダイチェック(染色浸透深傷試験)により調査した。割れの調査では、得られた鋳片の湾曲部(長さ約1m)を鋳造方向に4分割し、各横断面の全幅に亘ってダイチェックを行い、割れを目視観察により検出した。表2に割れ発生の有無を併せて示す。
前述の通り、割れを防止するには、T2/T1の値を大きくするとともに、T3/εの値を大きくすることが有効である。これを確認するため、表2に、復熱温度T2と急冷温度T1の比(T2/T1)、及び、矯正温度T3と曲げ歪み量εの比(T3/ε)を併せて示す。
図2は、基礎試験におけるT2/T1の値及びT3/εの値による割れ発生状況の変化を示す図である。同図より、T3/ε≧−110×(T2/T1)+770を満たす場合、割れの発生がないことが確認される。このことから、T3/ε≧−110×(T2/T1)+770を満たせば、割れを防止できるきることを知見した。
この基礎試験の結果をさらに検討したところ、微量Al含有鋼における割れの発生要因は、γ粒界に析出したTi及びNb系炭窒化物であることが判明した。Ti及びNb系炭窒化物がγ粒界に集中して析出することを防止するためには、鋳片表面温度を一旦フェライトの析出し始めるAr3点以下の急冷温度T1(℃)まで3〜20℃/sの冷却速度で急冷却した後、Ar3点以上の復熱温度T2(℃)まで復熱させることが有効である。
これにより、Ti及びNb系炭窒化物が粒界のみならず、粒内にも分散して析出する。そのため、冷却及び復熱の影響を受ける表層領域で割れ感受性が鈍化する。また、T3/εが同程度であれば、冷却及び復熱する際のT2/T1の値が大きいほど、急冷却に伴う熱歪みが解消されることから、前記図2からも確認されるように、割れ感受性が鈍化する。また、矯正温度T3を例えば約700℃〜1000℃とする場合、T2/T1が同程度であれば、T3と矯正歪み量εの比が大きいほど、前記図2からも確認されるように、割れが発生しにくいことが判明した。
これらの知見から、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(2)を満足するように、鋼の連続鋳造を行うことに想到し、前述の要旨である本願発明を完成させた。急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(2)を満足することにより、横ひび割れや表皮下割れといった割れを防止できる。
[化学組成]
本発明の鋼の連続鋳造方法では、Al含有量が微量であり、Tiによって脱酸される、
割れ感受性の高い鋼を対象とする。その鋼の化学組成は、質量%で、C:0.03〜0.2%、Mn:0.1〜3.0%、Ti:0.005〜0.1%、Si:0.05〜1.0%、Ni:0.2〜2.0%、及び、Cu:0.1〜2.0%を含有し、さらにNb:0〜0.05%、V:0〜0.05%、Cr:0〜0.1%、及び、Mo:0〜0.1%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中、P:0.04%以下、S:0.01%以下、N:0.01%以下、及び、sol.Al:0.005%未満である。
以下に、鋼の化学組成の限定理由について説明する。なお、以下の説明において、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
C:0.03〜0.2%
炭素(C)は、鋳造された鋳片を素材として得られる鋼材(例えば鋼板)の強度を高める。C含有量が0.03%未満では、十分な鋼材の強度が得られない。一方、C含有量が0.2%を超えると、スポット溶接等の溶接性が低下する。したがって、C含有量は0.03〜0.2%である。C含有量の好ましい下限は、鋼材の強度をより向上させる観点から、0.04%である。一方、C含有量の好ましい上限は、靱性および溶接性をより向上させる観点から、0.15%である。
Mn:0.1〜3.0%
マンガン(Mn)は鋼の強度を上昇させるのに重要な元素である。Mn含有量が0.1%未満では、高温における鋼の強度上昇に寄与する炭化物が高温で生成する効果が発現することなく、鋼の強度が低下する。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、鋼の組織が低温変態相主体となるため、鋼の伸びが低下する。したがって、Mn含有量は、0.1〜3.0%である。Mn含有量の好ましい下限は、鋼材の強度をより向上させる観点から、0.3%である。一方、Mn含有量の好ましい上限は、鋼材の靱性をより向上させる観点から、2.5%である。
Ti:0.005〜0.1%
チタン(Ti)は、Ti酸化物を生成し、鋼を脱酸する。さらに、Tiは、溶接熱影響部の靭性を向上させるため必須の元素である。Ti含有量が0.005%未満では、これらの効果が得られない。一方、Ti含有量が0.1%を超えると、生成するTi酸化物が粗大となり、靭性や加工性が低下する。したがって、Ti含有量は0.005〜0.1%である。Ti含有量の好ましい下限は0.008%である。一方、Ti含有量の好ましい上限は0.05%である。
Si:0.05〜1.0%
シリコン(Si)は、鋼の強度を上昇させ、伸び特性を向上させる。これらの効果を得るため、Si含有量は0.05%以上とし、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.15%以上である。一方、Si含有量が1.0%を超えると、製品表面にいわゆる赤スケールが発生することによる外観の劣化や、化成処理性の低下が顕著となる。このため、Si含有量は1.0%以下とし、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.4%以下である。
Ni:0.2〜2.0%
ニッケル(Ni)は鋼の強度と低温靭性を上昇させる。強度と低温靱性はNi含有量が0.2%以上で顕著に上昇するので、Ni含有量は0.2%とし、好ましくは0.4%である。一方、Ni含有量が2.0%を超えると、溶接熱影響部の靭性が低下する。このため、Ni含有量は2.0%以下とする。強度と低温靱性はNi含有量が1.5%でほぼ飽和するので、Ni含有量の好ましい上限は1.5%である。
Cu:0.1〜2.0%
銅(Cu)は、鋼の強度と耐候性を上昇させる。この効果を得るため、Cu含有量は0.1%以上とし、好ましくは0.2%以上である。一方、Cu含有量が2.0%を超えると、鋼の材質に悪影響を及ぼす。したがって、Cu含有量は、2.0%以下である。また、Cu含有による鋼の強度と耐候性は1.5%でほぼ飽和する。したがって、Cu含有量の好ましい上限は1.5%である。
本発明の鋼の連続鋳造方法で対象とする鋼の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ又は製造環境などから混入されるものであって、本発明の対象とする鋼に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
このような不純物には、例えば、P、S、N、及び、sol.Alが該当し、それらの含有量は、次のとおりである。
P:0.04%以下
りん(P)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。しかし、鋼の強度上昇等を目的として含有させてもよい。P含有量が0.04%を超えると、溶接性が著しく低下する。したがって、P含有量は0.04%以下である。P含有による鋼の強度上昇はその含有量が0.02%を超えると飽和するので、P含有量を0.02%以下とするのが好ましい。一方、鋼の強度上昇等を目的として含有させる場合、P含有量を0.002%以上とするのが好ましい。
S:0.01%以下
硫黄(S)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。S含有量が0.01%を超えると、製品の加工性や溶接性が著しく低下する。したがって、S含有量は0.01%以下である。製品の加工性及び溶接性の観点から、好ましい上限は0.005%であり、S含有量はなるべく低い方が好ましい。
N:0.01%以下
窒素(N)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。N含有量が0.01%を超えると、強度及び伸びが著しく低下する。したがって、N含有量は0.01%以下である。製品の強度及び靱性確保の観点から、好ましい上限は0.006%であり、N含有量はなるべく低い方が好ましい。
sol.Al:0.005%未満
アルミニウム(Al)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。Al含有量が0.005%以上であると安定なAl酸化物が生成し、Ti酸化物の生成が妨げられる。したがって、Al含有量は0.005%未満である。製品の靱性確保の観点から、好ましい上限は0.003%であり、Al含有量はなるべく低い方が好ましい。本明細書でいうAl含有量は、sol.Al(酸可溶Al)の含有量を意味する。
本発明の鋼の連続鋳造方法で対象とする鋼の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Nb、V、Cr及びMoからなる群から選択される1種又は2種以上を含有してもよい。
Nb:0〜0.05%、
V:0〜0.05%
ニオブ(Nb)及びバナジウム(V)は、いずれも任意元素であり、含有されなくてもよい。含有された場合、これらの元素はいずれも、鋼の強度を上昇させる。しかしながら、これらの元素は、それぞれ含有量が0.05%を超えると靱性に悪影響を及ぼす。したがって、Nb含有量は0〜0.05%であり、V含有量は0〜0.05%である。Nb及びV含有による鋼の強度はそれぞれ0.005%以上で顕著に上昇し、0.03%でほぼ飽和する。したがって、Nb含有量及びV含有量の好ましい下限はそれぞれ0.005%である。また、Nb含有量及びV含有量の好ましい上限はそれぞれ0.03%である。
Cr:0〜0.1%
Mo:0〜0.1%
クロム(Cr)及びモリブデン(Mo)は、いずれも任意元素であり、含有されなくてもよい。含有された場合、これらの元素はいずれも、鋼の焼入れ性を高める。また、いずれの元素とも鋼の強度及び靭性を向上させる。しかしながら、これらの元素は、それぞれ含有量が0.1%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。したがって、Cr含有量は0〜0.1%であり、Mo含有量は0〜0.1%である。Cr及びMo含有による鋼の強度と靱性はそれぞれ0.01%以上で顕著に上昇し、0.05%でほぼ飽和する。したがって、Cr含有量及びMo含有量の好ましい下限はそれぞれ0.01%である。また、Cr含有量及びMo含有量の好ましい上限はそれぞれ0.05%である。
本発明の鋼の連続鋳造方法で対象とする鋼の化学組成はさらに、下記式(1)を満足する。
[Ti(%)]/[sol.Al(%)]≧2 ・・・(1)
ここで、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[sol.Al(%)]:sol.Al含有量(質量%)である。
本発明で対象とする鋼は、Al含有量が微量であることから、Tiによって脱酸され、割れ感受性が高い。鋼中でのAlの脱酸力はTiの脱酸力よりも強いため、Ti及びAlの含有量がそれぞれ上記範囲内であっても、Al含有量がTi含有量に対して過剰である場合、すなわち、上記式(1)を満足しない場合、主にAlによって脱酸されるため、本発明の対象外となる。また、上記式(1)を満足しない場合、割れの起点となるTi及びNb系の炭窒化物のみならず、AlNも粒界に析出し、割れの起点となる。したがって、本発明で対象とする鋼は式(1)を満足するものとする。
[鋼の連続鋳造方法]
本発明の鋼の連続鋳造方法は、上述の化学組成を備える鋼の鋳片を、湾曲型又は垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて製造する。また、本発明の鋼の連続鋳造方法は、鋳型から引き抜かれた鋳片を、その表面温度がAr3点以下の急冷温度T1(℃)となるまで3〜20℃/sの冷却速度で急冷するステップと、急冷温度T1の鋳片をその表面温度をAr3点以上の復熱温度T2(℃)に上昇させるステップと、復熱温度T2の鋳片をその表面温度が矯正温度T3(℃)となるまで冷却するステップと、矯正温度T3の鋳片に矯正歪み量ε(%)を付与して矯正を行うステップと、の一連のステップを含む。
このような一連のステップにおいて、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが下記式(2)を満足する。
3/ε≧−110×(T2/T1)+770 ・・・(2)
鋳片を急冷するステップでは、鋳片表面における冷却速度の下限を3℃/sとする。これにより、初析フェライトの内部及び界面に、炭窒化物を分散して析出させることができ、炭窒化物に起因する割れの発生を抑制することができる。一方、鋳型から引き抜かれた鋳片において、冷却速度が3℃/s未満の場合には、初析フェライトが生成する前に、オーステナイト域の温度範囲で、粒界に沿って炭窒化物が点列状に析出する。この炭窒化物は鋳片の割れの原因となる。
急冷の効果を高める場合、2次冷却のスプレーやミストに用いる水量を増加させる必要がある。しかし、水量を過度に増加させると、水圧により鋳片の凝固シェルが破れる等の大きな事故が発生することがある。そのため、冷却速度の上限を20℃/sとする。また、冷却速度が20℃/sを超える場合、鋳片表面の温度分布にむらが生じやすくなり、熱応力による割れの発生等の危険性が高くなる。
以上のことから、鋳片の鋳型から引き抜いた後の冷却速度は、3〜20℃/sとする。
鋳片の表層での割れの発生を抑制する効果を高めるとともに、操業を安定させる観点から、Ar3点までの冷却速度は7〜15℃/sとすることが好ましい。
鋳片を急冷するステップでは、急冷温度T1で冷却を停止する。この急冷温度T1は、Ar3点以下とする。Ar3点以下まで急冷しないと、初析フェライトが生成しないため、オーステナイト粒界への集中した炭窒化物の析出を抑制することができない。
実際の鋼の連続鋳造における2次冷却では、鋳片をガイドするロールが存在するため、ロール間、ロール接触部、放熱部、スプレー部、たまり水部等の部位によって冷却効果の強弱がある。そのため、厳密には、2次冷却時においても冷却と復熱が繰り返され、表面温度の上下変動が生じている。しかし、2次冷却時における表面温度の変動は、変動幅が小さく、析出物の析出への影響は小さい。このため、本発明で規定する冷却速度は、連続鋳造機のストランド内における平均的な表面温度の変化に基づくものとすればよい。
鋳片表面の温度をオーステナイト相が完全に変態を終了する温度以下まで下げた後も継続的に冷却すると、鋳片を矯正するステップで表面温度が著しく低下する。この場合、鋳片の強度が高くなりすぎて矯正操作が不可能となる問題が生じる。鋳片表面の温度をオーステナイト相が完全に変態を終了する温度以下まで下げた後で、冷却水量を減少したとしても、復熱しなければ徐々に表面温度が低下することが避けられず、同様の問題が生じる。そのため、鋳片を矯正する前に、鋳片の表面温度をAr3点以上の復熱温度T2まで復熱させる必要がある。
復熱温度T2は、鋳片の表面温度が上昇を停止する温度である。すなわち、鋳片の表面温度を復熱により上昇させた後、鋳片の表面温度を冷却により下降させる。この鋳片を冷却するステップは、鋳片の表面温度が矯正温度T3となるまで行う。
矯正を行うステップでは、矯正温度T3の鋳片に矯正歪み量εを付与して矯正を行う。本発明において、矯正温度T3は、矯正開始時の表面温度であり、多点矯正の場合は最も上流側の矯正点における表面温度とする。
矯正歪み量ε(%)は、例えば、下記式(4)を用いて算出することができる。
ε=(D/2)×{1/(Ri−D/2)−1/(Ri+1−D/2)}×100 ・・・(4)
ここで、Dは鋳片の厚み(mm)、Riは矯正点i前の鋳片の湾曲半径(mm)、Riは矯正点i後の鋳片の湾曲半径(mm)である。
ただし、多点矯正の場合、矯正歪み量εは、下記式(5)を用いて各矯正点での矯正歪み量(ε1〜εn)を積算することにより算出する。各矯正点での矯正歪み量(ε1〜εn)は、前記式(4)を用いて算出できる。
ε=ε1+ε2+・・・+εn-1+εn ・・・(5)
本発明の鋼の連続鋳造方法は、上述の一連のステップにおいて、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(2)を満足する。これにより、T2/T1の値が適正となり、Ti及びNb系炭窒化物が粒界のみならず、粒内にも分散して析出するとともに、急冷却に伴う熱歪みが解消される。このため、鋳片の割れ感受性が鈍化する。また、T3/εの値が適正となることよっても、割れが発生しにくくなる。その結果、横ひび割れや表皮下割れといった表層での割れ発生を防止できる。また、表層より内側の領域で矯正歪みによる割れが発生するのも防止できる。
急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εは、前記式(2)に代えて、下記式(3)を満足するのが好ましい。これにより、後述する実施例で示すように、表層及び表層より内側の領域での割れをさらに防止できる。
前記式(2)又は式(3)を満足させる観点から、鋳片を復熱させるステップでは、冷却水の供給を停止するのが好ましい。また、復熱温度T2の鋳片を矯正温度T3まで冷却するステップでは、可能な限り緩やかに冷却するのが好ましく、具体的には放冷するのが好ましい。
本発明の効果を確認するため、垂直曲げ型連続鋳造機により鋳片を得て、得られた鋳片について割れを評価した。
表3に、本試験に用いた溶鋼A〜Dの化学組成と、Ar3点の温度と、TiとAlとの含有量の比([Ti(%)]/[sol.Al(%)])の値とを示す。なお、溶鋼A〜Dは、いずれも、各元素の含有量は本発明で規定する含有量を満足する。そのうちの溶鋼A〜Cはさらに式(1)を満足し、溶鋼Dは式(1)を満足しない。また、表3の各元素の含有量欄における「−」は、その含有量が検出限界未満であったことを示す。
Figure 0006318845
本試験では、5点矯正型の連続鋳造機を使用し、本発明例1〜6及び比較例1〜6の計12種類のケースを設けた。鋳片の寸法は、幅を2000mmで一定として、厚みを240〜320mmで変化させ、これに伴って矯正歪み量を変動させた。また、鋼種を変更するとともに、2次冷却条件を変化させることにより、急冷温度T1、復熱温度T2及び矯正温度T3を変動させた。
いずれのケースでも、鋳造速度は0.8m/minとした。鋳型から引き抜いた鋳片は、表面温度がAr3点以下の急冷温度T1となるまで急冷した後、Ar3点以上の復熱温度T2となるまで復熱させ、その後、緩やかに冷却し、矯正温度T3で矯正した。急冷の際の冷却速度は3〜20℃/sとした。また、緩やかに冷却する過程で鋳片に曲げを付与した。
表4に、試験区分、鋳片の厚みD、溶鋼の鋼種、Ar3点温度、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3、矯正歪み量ε、T2/T1の値、及び、T3/εの値を示す。
Figure 0006318845
鋳片の表面温度は、連続鋳造機内の湾曲部外周側に設置した複数の放射温度計により測定した。この実測値とともに冷却水やロールによる抜熱条件を与えて伝熱凝固解析を行い、鋳片の表面温度分布を求めた。この鋳片の表面温度分布に基づき急冷温度T1、復熱温度T2及び矯正温度T3を得た。急冷温度T1、復熱温度T2及び矯正温度T3は、いずれも、湾曲部外周側の長辺面のうちで幅方向の中央部の表面温度とした。その際、伝熱計算で求めた表面温度と放射温度計から得られた実測値が互いにかい離しないことを確認した。また、表4に示す矯正歪み量εは、前記式(4)及び式(5)を用いて算出した。
得られた鋳片について、割れの発生状況をダイチェック(染色浸透探傷試験)により調査した。割れの調査では、横断面の全幅に亘ってダイチェックを行い、割れを目視観察により検出した。このような割れの検出処理を、各鋳片で鋳造方向に5m間隔で計4回行った。
検出した割れは、横ひび割れと表皮下割れに分類した。鋳片表面から深さ3mm位置を基準に、表面側に発生している割れを横ひび割れに分類し、内側に発生している割れを表皮下割れに分類した。その際、鋳片表面から深さ3mm位置にある割れは、表皮下割れに分類した。
このように分類した横ひび割れと表皮下割れについて評価を行った。割れの評価を表2に併せて示す。表2に示す「割れ評価」欄の記号の意味は、次の通りである。
◎:横ひび割れ及び表皮下割れがいずれも検出されることなく、優良であったことを示す。
○:横ひび割れが深さ1.5mm未満の領域で検出されたが、手入れによって容易に除去できる程度であったことを示す。すなわち、良であったことを示す。
△:横ひび割れが深さ1.5mm以上の領域で検出され、又は、表皮下割れが深さ5mm未満の領域で検出され、除去に重度の手入れが必要な程度であったことを示す。すなわち、不可であったことを示す。
×:表皮下割れが深さ5mm以上の領域で検出され、除去に重度の手入れが必要、かつ、歩留りが大幅に悪化する程度であったことを示す。すなわち、不可であったことを示す。
図3は、実施例におけるT2/T1の値及びT3/εの値による割れ発生状況の変化を示す図である。図3は、表4に示す試験結果をプロットしたものである。ただし、比較例3は、溶鋼が本発明が対象とする鋼でないことから、すなわち、前記式(2)及び前記式(3)の対象でないことから、除外した。
図3及び表4より、比較例1及び2は、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(2)を満足しない条件とした。その結果、鋳片表面の横ひび割れの発生は防止できたが、表皮下割れが深さ5mm未満の領域で検出された。検出された表皮下割れについて調査したところ、旧オーステナイト粒界に沿って発生していた。
比較例3は、前記(1)式を満足しない溶鋼を用いた。その結果、表皮下割れが深さ5mm未満の領域で検出され、その評価は不可となった。
比較例4は、前記式(2)を満足しない条件とした。その結果、表皮下割れが深さ5mm以上の領域で検出され、その評価が不可となった。
比較例5及び6は、前記式(2)を満足しない条件とした。その結果、鋳片のコーナー部で表皮下割れが深さ5mm以上の領域で検出され、その評価が不可となった。
一方、本発明例1〜6は、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(2)を満足する条件とし、その結果、割れの評価が優良又は良となった。これらから、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(2)を満足すれば、表面の横ひび割れ及び表皮下割れの発生を抑制できることが明らかになった。
また、本発明例1〜3は、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(3)も満足する条件とし、その結果、割れの評価が優良となった。これらから、急冷温度T1、復熱温度T2、矯正温度T3及び矯正歪み量εが前記式(2)に代えて前記(3)式を満足すれば、表面の横ひび割れ及び表皮下割れの発生を完全に抑制できることが明らかになった。
本発明の鋼の連続鋳造方法は、Al含有量が微量である鋼の連続鋳造鋳片において、表面の横ひび割れ及び表皮下割れの発生を抑制することができる。このため、Al含有量が微量である鋼の連続鋳造において、本発明の鋼の連続鋳造方法は、手入れに要するコストを削減できるとともに、歩留りを向上できる。したがって、本発明の鋼の連続鋳造方法は、Al含有量が微量である鋼の連続鋳造において有効に利用できる。
10:試験連続鋳造機、 11:鋳型、 12:支持ロール、 13:ピンチロール、
14:支点ロール、 15:曲げロール、 17a〜17c:放射温度計、
21:鋳片、 A:急冷ゾーン、 B:復熱ゾーン、 C:放冷ゾーン、
D:曲げゾーン

Claims (2)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.2%、
    Mn:0.1〜3.0%、
    Ti:0.005〜0.02%、
    Si:0.05〜1.0%、
    Ni:0.2〜2.0%、及び、
    Cu:0.1〜2.0%を含有し、さらに
    Nb:0〜0.01%、
    V:0〜0.05%、
    Cr:0〜0.1%、及び、
    Mo:0〜0.1%からなる群から選択される1種又は2種以上を含有し、残部はFe及び不純物からなり、
    前記不純物中、
    P:0.04%以下、
    S:0.01%以下、
    N:0.01%以下、及び、
    sol.Al:0.005%未満である化学組成を備える鋼の鋳片を、湾曲型又は垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて製造する方法であって、
    当該連続鋳造方法は、前記化学組成が下記式(1)を満足し、かつ、鋳型から引き抜かれた鋳片を、前記鋳片の表面温度がAr3点以下の急冷温度T1(℃)となるまで3〜20℃/sの冷却速度で急冷するステップと、
    前記急冷温度T1の鋳片をその表面温度をAr3点以上の復熱温度T2(℃)に上昇させるステップと、
    前記復熱温度T2の鋳片をその表面温度が矯正温度T3(℃)となるまで冷却するステップと、
    前記矯正温度T3の鋳片に矯正歪み量ε(%)を付与して矯正を行うステップと、の一連のステップを含み、
    前記急冷温度T1、前記復熱温度T2、前記矯正温度T3及び前記矯正歪み量εが下記式(2)を満足する、鋼の連続鋳造方法。
    [Ti(%)]/[sol.Al(%)]≧2 ・・・(1)
    3/ε≧−110×(T2/T1)+770 ・・・(2)
    ここで、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[sol.Al(%)]:sol.Al含有量(質量%)である。
  2. 請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法であって、
    前記式(2)に代えて下記式(3)を用いる、鋼の連続鋳造方法。
    3/ε≧−110×(T2/T1)+830 ・・・(3)
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