JP6488684B2 - 連続鋳造鋳片およびその製造方法 - Google Patents
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Description
C:0.03〜0.2%、
Mn:0.1〜3.0%、
Ni:0. 2〜2.0%、
B:0.0002〜0.0030%、および
Ti:0.005〜0.1%
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
前記不純物中、
P:0.04%以下、
S:0.01%以下、
N:0.01%以下、かつ
sol.Al:0.005%未満であり、
下記式(1)を満たす、連続鋳造鋳片。
[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)] (1)
ただし、[B(%)]:B含有量(質量%)、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[N(%)]:N含有量(質量%)、[Ni(%)]:Ni含有量(質量%)、[S(%)]:S含有量(質量%)である。
鋳片(鋼)の横ひび割れおよび表皮下割れの発生には、鋳片中で析出するAlNが大きな影響を与えることが知られている。しかし、AlNが生成し得ないような数十質量ppm以下のAl含有量を有する鋼においても、横ひび割れおよび表皮下割れは発生する。本発明者らは、この問題を解決するために、高温引張試験により、鋼の高温延性の詳細な調査を行い、以下の知見を得た。
割れ指数は、表面割れの程度を示す指標であり、割れ指数の数値が小さいほど、割れの程度が小さいことを示す。
[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)] (1)
[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)]+0.0002 (2)
以下、本発明の連続鋳造鋳片の化学組成について、成分ごとに説明する。以下、成分元素の含有量について、「質量%」を、単に「%」とも記す。
炭素(C)は、鋳造された鋳片である鋼、そして、これを素材として得られる鋼材(たとえば、鋼板)の強度を高める。C含有量が0.03%未満では、鋼板の十分な強度が得られない。一方、C含有量が0.2%を超えると、スポット溶接性が低下する。したがって、C含有量は、0.03〜0.2%とする。鋼の強度を保ち、かつ良好な靱性および溶接性を確保するためには、C含有量は、好ましくは、0.05〜0.15%とする。
マンガン(Mn)は、鋼の強度を顕著に高める効果を有する元素である。鋼を高温にすると、Mnが炭化して炭化物が生成する。Mn含有量が0.1%未満では、相対的に、炭化するMnの割合が大きくなり、金属状態のMnの割合が少なくなるので、鋼の強度が低下する。一方、Mn含有量が3.0%を超えると、鋼の組織が低温変態相主体となるため、鋼の延性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.1〜3.0%とする。鋼材の強度を保ち、かつ良好な靱性を確保するためには、Mn含有量は、好ましくは、0.5〜2.5%とする。
ニッケル(Ni)は、鋼の強度と低温靱性とを顕著に高める効果を有する元素である。強度と低温靱性とは、Ni含有量が0.2%以上で顕著に上昇する。一方、Ni含有量が2.0%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。したがって、Ni含有量は、0.2〜2.0%とする。鋼材について、強度を高く保ち、かつ高い靱性を確保するためには、Ni含有量は、好ましくは、0.5〜1.5%とする。
ホウ素(B)は、耐表面割れ感受性を向上し、鋼の強度を顕著に高める効果を有する元素である。耐表面割れ感受性の向上のためには、B含有量は、0.0002%以上である必要がある。一方、B含有量が、0.0030%を超えると、上記効果が飽和するとともに、靱性が低下する。したがって、B含有量は、0.0002〜0.0030%とする。B添加の上記効果を明確に発現させるためには、B含有量は、好ましくは、0.0004〜0.0020%である。
チタン(Ti)は、溶鋼中の酸素と結合してTi酸化物を生成することにより、溶鋼から脱酸する。さらに、Tiは、溶接熱影響部の靭性を向上させる。Ti含有量が0.005%未満では、これらの効果が得られない。一方、Ti含有量が0.1%を超えると、生成するTi酸化物が粗大となり、靭性および加工性が低下する。したがって、Ti含有量は、0.005〜0.1%とする。溶鋼中で脱酸元素として働きかつ、かつ良好な靱性および加工性を確保するためには、Ti含有量は、好ましくは、0.008〜0.05%である。
上記不純物中のP、S、N、およびsol.Alの含有量は、次の通りである。
りん(P)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。しかし、鋼の強度上昇等を目的として、積極的に含有させてもよい。P含有量が0.04%を超えると、溶接性が著しく低下する。したがって、P含有量は、0.04%以下とする。P含有による鋼の強度上昇は、0.02を超えると飽和するため、P含有量は、好ましくは、0.02%以下とする。
硫黄(S)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。S含有量が0.01%を超えると、この鋼を用いた製品の加工性および溶接性が著しく低下する。さらに、Sは高温延性にも影響を与え、鋳造時の表面割れを引き起こす。したがって、S含有量は、0.01%以下とする。製品の加工性および溶接性を高くするためには、S含有量は、0.005%以下で可能な限り低くすることが好ましい。
窒素(N)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。N含有量が0.01%を超えると、鋼の強度および延性が著しく低下する。したがって、N含有量は、0.01%以下とする。製品の強度および靱性を高くするためには、N含有量は、0.006%以下で可能な限り低くすることが好ましい。
アルミニウム(Al)は、不純物として鋼中に不可避的に含有される。Al含有量が0.005%以上であると、Al酸化物の生成量が多くなり、Ti酸化物の生成が妨げられ、その結果、溶接熱影響部の靱性が低下する。したがって、Al含有量は、0.005%未満とする。
シリコン(Si)は、任意添加元素であり、含有しなくてもよい。含有する場合は、Siは、鋼の強度を高め、延性を向上させる。しかし、Si含有量が0.5%を超えると、製品表面に、いわゆる赤スケール(ストライプ状のスケール模様)が発生することによる外観の劣化、および化成処理性の低下が顕著となる。したがって、Si含有量は、0〜0.5%とする。Si含有量が0.4%を超えると、Si含有により強度が増大する効果がほぼ飽和するとともに、赤スケールの発生が目立つようになる。このため、Siを含有する場合は、Si含有量は、好ましくは、0.4%以下とする。
銅(Cu)は、任意添加元素であり、含有しなくてもよい。含有する場合は、Cuは、鋼の強度と耐候性とを高める。しかし、Cu含有量が2.0%を超えると、鋼材の熱間加工性が低下する。したがって、Cu含有量は、2.0%以下とする。鋼の強度および耐候性は、Cu含有量を、0.2%以上にすると顕著に向上するが、この効果は、Cu含有量が1.5%以上になるとほぼ飽和する。したがって、Cuを含有する場合は、Cu含有量は、好ましくは、0.2〜1.5%とする。
ニオブ(Nb)は、任意添加元素であり、含有しなくてもよい。含有する場合は、鋼の強度を高める。しかし、Nb含有量が0.05%を超えると、靱性の低下が無視できなくなる。したがって、Nb含有量は、0〜0.05%とする。Nbは、0.005%以上含有させることにより、鋼の強度を顕著に上昇させるが、この効果は、Nb含有量が0.03%以上になるとほぼ飽和する。したがって、Nbを含有する場合は、Nb含有量は、好ましくは、0.005〜0.03%とする。
クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)は、いずれも任意添加元素であり、含有しなくてもよい。含有する場合は、これらの元素は、いずれも、鋼の焼入れ性を高め、また、鋼の強度および靭性を向上させる。しかし、これらの元素のそれぞれの含有量が0.1%を超えると、溶接熱影響部の靭性を低下させる。したがって、Cr含有量は、0〜0.1%とし、Mo含有量は、0〜0.1%とする。Cr含有量およびMo含有量は、それぞれ0.01%以上で、鋼の強度および靱性が顕著に上昇するが、この効果は、Cr含有量およびMo含有量が、それぞれ0.05%以上になるとほぼ飽和する。したがって、Crを含有させる場合、Cr含有量は、好ましくは、0.01〜0.05%であり、Moを含有させる場合、Mo含有量は、好ましくは、0.01〜0.05%である。
上述のように、本発明の連続鋳造鋳片の製造方法は、本発明の連続鋳造鋳片の化学組成に対応する化学組成を有する溶鋼を用いて、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機で、連続鋳造鋳片を製造する方法である。この製造方法により、Al含有量が微量で、表面割れが抑制された連続鋳造鋳片を製造することができる。
Claims (4)
- 質量%で、
C:0.03〜0.2%、
Mn:0.1〜3.0%、
Ni:0. 2〜2.0%、
B:0.0002〜0.0008%、および
Ti:0.005〜0.1%
を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
前記不純物中、
P:0.04%以下、
S:0.01%以下、
N:0.01%以下、かつ
sol.Al:0.005%未満であり、
下記式(1)を満たす、連続鋳造鋳片。
[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)] (1)
ただし、[B(%)]:B含有量(質量%)、[Ti(%)]:Ti含有量(質量%)、[N(%)]:N含有量(質量%)、[Ni(%)]:Ni含有量(質量%)、[S(%)]:S含有量(質量%)である。 - 請求項1に記載の連続鋳造鋳片であって、
Feの一部に代えて、Si:0〜0.5%、Cu:0〜2.0%、Nb:0〜0.05%、Cr:0〜0.1%、およびMo:0〜0.1%からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する、連続鋳造鋳片。 - 請求項1または2に記載の連続鋳造鋳片であって、
前記式(1)に代えて下記式(2)を満たす、連続鋳造鋳片。
[B(%)]×([Ti(%)]/[N(%)]−2)≧0.1×[Ni(%)]×[S(%)]+0.0002 (2) - 請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造鋳片の化学組成に対応する化学組成を有する溶鋼を用いて、湾曲型または垂直曲げ型の連続鋳造機で、連続鋳造鋳片を製造する方法。
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