JP5081131B2 - 電動機の相電流推定装置および電動機の磁極位置推定装置 - Google Patents

電動機の相電流推定装置および電動機の磁極位置推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、電動機の相電流推定装置および電動機の磁極位置推定装置に関する。
従来、例えば指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる2つの第1および第2基本電圧ベクトル成分を、1PWM周期(搬送波周期の1周期)をなす第1の期間内に出力すると共に、第1および第2基本電圧ベクトル成分に対しそれぞれ180度位相が異なる2つの第3および第4基本電圧ベクトル成分を、第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に出力することで、例えば変調度が小さい場合や出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態において所望の長さのパルス幅を確保するインバータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−12934号公報
ところで、上記従来技術に係るインバータ装置においては、変調方式が2相変調のみで有効であり、変調方式の切り替えに対応することができず、汎用性を向上させることができないという問題が生じる。また、1PWM周期内では1相分の相電流のみを検出可能であって、3相分の相電流を推定するためには、複数のPWM周期が必要となり、迅速な推定ができないという問題が生じる。さらに、所望の長さのパルス幅を確保するために、指令電圧ベクトルを2つの第1および第2の期間の各PWM周期内のベクトルに分解したときに発生する1PWM周期分の高調波成分(つまり、分解により得られるベクトルと指令電圧ベクトルとの差)を、数式などにより定量的に把握していないことから、高調波成分を制御して相電流の推定精度を向上させることはできないという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、相電流の推定精度を適切に向上させることが可能な電動機の相電流推定装置および磁極位置の推定精度を適切に向上させることが可能な電動機の磁極位置推定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る電動機の相電流推定装置は、パルス幅変調信号により3相交流の電動機(例えば、実施の形態でのモータ11)への通電を順次転流させるインバータ(例えば、実施の形態でのインバータ13)と、前記パルス幅変調信号を搬送波信号により生成するパルス幅変調信号生成手段(例えば、実施の形態でのPWM信号生成部25)と、前記インバータの直流側電流を検出する直流側電流センサ(例えば、実施の形態での直流側電流センサ31)と、前記直流側電流センサにより検出された前記直流側電流に基づいて相電流を推定する相電流推定手段(例えば、実施の形態での相電流推定部23)と、前記電動機の指令電圧ベクトルの大きさが所定下限電圧未満であるか否かを判定する判定手段(例えば、実施の形態での制御装置24、ステップS01)と、前記判定手段の判定結果において前記指令電圧ベクトルの大きさが前記所定下限電圧未満である場合に、前記指令電圧ベクトルを搬送波周期の隣り合う2周期毎で前記所定下限電圧と等しい大きさを有し、かつ、前記指令電圧ベクトルから進角側および遅角側に同一の所定位相差を有する2つのベクトル成分に分解するベクトル分解手段(例えば、実施の形態での制御装置24、ステップS02)と、前記ベクトル成分の位相が基本電圧ベクトルの位相を含む所定位相範囲内の値となるか否かを判定する位相判定手段(例えば、実施の形態での制御装置24、ステップS05、ステップS10)と、前記位相判定手段の判定結果において前記ベクトル成分の位相が前記所定位相範囲内の値である場合に、前記ベクトル成分の位相が前記所定位相範囲外の値となるように、かつ、前記ベクトル成分の位相の余弦値と前記ベクトル成分の大きさとの積が前記指令電圧ベクトルの大きさに等しくなるようにして、前記ベクトル成分の位相および大きさを変更するベクトル成分変更手段(例えば、実施の形態での制御装置24、ステップS06、ステップS11、ステップS08)とを備える。
さらに、本発明の第2態様に係る電動機の相電流推定装置は、前記ベクトル成分に係る高調波成分を算出する高調波成分算出手段(例えば、実施の形態での制御装置24)を備える。
さらに、本発明の第3態様に係る磁極位置推定装置は、本発明の第2態様に係る電動機の相電流推定装置と、前記電動機に前記高調波成分を印加した際のインダクタンス変化に基づいて、前記電動機の磁極位置を推定する推定手段(例えば、実施の形態での磁極位置推定部)とを備える。
本発明の第1態様に係る電動機の相電流推定装置によれば、指令電圧ベクトルを、搬送波周期の隣り合う2周期毎で所定下限電圧と等しい大きさを有し、かつ、指令電圧ベクトルから進角側および遅角側に同一の所定位相差を有する2つのベクトル成分に分解する。
これにより、例えば指令電圧ベクトルの大きさが所定下限電圧未満となることでインバータの直流側電流を適切に検出するための所望の長さのパルス幅(つまりパルス幅変調におけるパルス幅)を確保することが困難となる場合などであっても、インバータの直流側電流を検出する直流側電流センサによって、搬送波周期の1周期の期間内において2相分の相電流を適切に取得することができる。
なお、指令電圧ベクトルの大きさが所定下限電圧未満となる状態とは、例えば電動機の回転速度が小さい場合、あるいは、電動機の負荷トルクが小さい場合、あるいは、インバータに印加される直流電圧が大きい場合(つまり、インバータの変調率が所定値未満に小さい場合)などである。
さらに、指令電圧ベクトルの分解により得られるベクトル成分の位相が所定位相範囲外の値となるように、かつ、ベクトル成分の位相の余弦値とベクトル成分の大きさとの積が指令電圧ベクトルの大きさに等しくなるようにして、2つのベクトル成分の位相および大きさを変更する。
これにより、指令電圧ベクトルの分解により得られる2つのベクトル成分の何れか一方の位相が基本電圧ベクトルの位相を含む所定位相範囲内の値となることでインバータの直流側電流を適切に検出するための所望の長さのパルス幅を確保することが困難となる場合などであっても、2つのベクトル成分の位相および大きさを変更することでインバータの直流側電流を検出する直流側電流センサによって、搬送波周期の1周期の期間内において2相分の相電流を適切に取得することができる。
これらにより、2相変調または3相変調などの変調方式の切り替えや搬送波周波数の切り替えにかかわらずに、直流側電流センサによって相電流を適切に取得することができる。
さらに、本発明の第2態様に係る電動機の相電流推定装置によれば、指令電圧ベクトルの分解により得られるベクトル成分に係る高調波成分を数式などにより定量的に容易に把握することができる。しかも、2つのベクトル成分に対応する2つの高調波成分は、互いに大きさが同一で符号が異符号となることから、2つの高調波成分の和はゼロとなり、指令電圧ベクトルの分解により発生する高調波成分を容易に制御することができる。
さらに、本発明の第3態様に係る電動機の磁極位置推定装置によれば、指令電圧ベクトルの分解により発生する高調波成分を容易に制御することができることから、相電流の推定に加えて、インダクタンス変化に基づく磁極位置の推定をおこなうことができる。
以下、本発明の電動機の相電流推定装置および電動機の磁極位置推定装置の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施形態による電動機の相電流推定装置10(以下、単に、相電流推定装置10と呼ぶ)は、例えば3相交流のブラシレスDCモータ11(以下、単に、モータ11と呼ぶ)に通電される各相電流を推定するものであって、このモータ11は、界磁に利用する永久磁石を有する回転子(図示略)と、この回転子を回転させる回転磁界を発生する固定子(図示略)とを備えて構成されている。
そして、相電流推定装置10は、例えば図1に示すように、バッテリ12を直流電源とするインバータ13と、モータ制御装置14とを備えて構成されている。
この3相(例えば、U相、V相、W相の3相)交流のモータ11の駆動はモータ制御装置14から出力される制御指令を受けてインバータ13によりおこなわれる。
インバータ13は、スイッチング素子(例えば、MOSFET:Metal Oxide Semi-conductor Field Effect Transistor)を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路13aと平滑コンデンサCとを具備し、このブリッジ回路13aがパルス幅変調(PWM)された信号によって駆動される。
このブリッジ回路13aでは、例えば各相毎に対をなすハイ側およびロー側U相トランジスタUH,ULと、ハイ側およびロー側V相トランジスタVH,VLと、ハイ側およびロー側W相トランジスタWH,WLとがブリッジ接続されている。そして、各トランジスタUH,VH,WHはドレインがバッテリ12の正極側端子に接続されてハイサイドアームを構成し、各トランジスタUL,VL,WLはソースがバッテリ12の接地された負極側端子に接続されてローサイドアームを構成している。そして、各相毎に、ハイサイドアームの各トランジスタUH,VH,WHのソースはローサイドアームの各トランジスタUL,VL,WLのドレインに接続され、各トランジスタUH,UL,VH,VL,WH,WLのドレイン−ソース間には、ソースからドレインに向けて順方向となるようにして、各ダイオードDUH,DUL,DVH,DVL,DWH,DWLが接続されている。
インバータ13は、例えばモータ11の駆動時等においてモータ制御装置14から出力されて各トランジスタUH,VH,WH,UL,VL,WLのゲートに入力されるスイッチング指令であるゲート信号(つまり、PWM信号)に基づき、各相毎に対をなす各トランジスタのオン(導通)/オフ(遮断)状態を切り替えることによって、バッテリ12から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、3相のステータ巻線への通電を順次転流させることで、各相のステータ巻線に交流のU相電流IuおよびV相電流IvおよびW相電流Iwを通電する。
モータ制御装置14は、回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御(ベクトル制御)をおこなうものであり、目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcを演算し、目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcに基づいて各相電圧指令Vu,Vv,Vwを算出し、各相電圧指令Vu,Vv,Vwに応じてインバータ13に対するゲート信号であるPWM信号を出力すると共に、実際にインバータ13からモータ11に供給される各相電流Iu,Iv,Iwをdq座標上に変換して得たd軸電流Ids及びq軸電流Iqsと、目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcとの各偏差がゼロとなるように制御をおこなう。
モータ制御装置14は、例えば電流センサI/F(インターフェース)21と、過電流保護装置22と、相電流推定部23と、制御装置24と、PWM信号生成部25とを備えて構成されている。
電流センサI/F(インターフェース)21は、インバータ13のブリッジ回路13aとバッテリ12の負極側端子との間において、インバータ13のブリッジ回路13aの直流側電流Idcを検出する直流側電流センサ31に接続され、直流側電流センサ31から出力される検出信号を過電流保護装置22および相電流推定部23に出力する。
なお、直流側電流センサ31はインバータ13のブリッジ回路13aとバッテリ12の正極側端子との間に配置されてもよい。
過電流保護装置22は、直流側電流センサ31により検出される直流側電流Idcに応じて所定の過電流保護の動作をおこなう。
相電流推定部23は、PWM信号生成部25から出力されるゲート信号(つまり、PWM信号)に応じた検出タイミングで直流側電流センサ31により検出される直流側電流Idcに基づき、実際にインバータ13からモータ11に供給される各相電流Iu,Iv,Iwを推定する。なお、この相電流推定部23の動作の詳細は後述する。
制御装置24は、角度センサ32から出力されるモータ11の回転角に応じて、相電流推定部23から出力される各相電流Iu,Iv,Iwをdq座標上に変換して得たd軸電流Ids及びq軸電流Iqsと、目標d軸電流Idc及び目標q軸電流Iqcとの各偏差がゼロとなるように電流のフィードバック制御(ベクトル制御)をおこない、各相電圧指令Vu,Vv,Vwを出力する。
なお、角度センサ32は省略されて、代わりに、モータ11の回転子の磁極位置を推定する装置を備えてもよい。
また、制御装置24は、後述するように、指令電圧ベクトルVdqの位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲内の値となって、各相電圧指令Vu,Vv,Vw同士間の電圧差が所定値未満となることに起因して、直流側電流センサ31による各相電流Iu,Iv,Iwの所望精度での推定が困難となる場合には、指令電圧ベクトルVdqをキャリア信号の周期の隣り合う2周期毎のベクトル成分に分解する。
PWM信号生成部25は、正弦波状の電流を3相のステータ巻線に通電するために、各相電圧指令Vu,Vv,Vwと、三角波などのキャリア信号とを比較して、インバータ13の各トランジスタUH,VH,WH,UL,VL,WLをオン/オフ駆動させるゲート信号(つまり、PWM信号)を生成する。そして、インバータ13において3相の各相毎に対をなす各トランジスタのオン(導通)/オフ(遮断)状態を切り替えることによって、バッテリ12から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、3相のモータ11の各ステータ巻線への通電を順次転流させることで、各ステータ巻線に交流のU相電流IuおよびV相電流IvおよびW相電流Iwを通電する。
PWM信号生成部25からインバータ13に入力されるゲート信号は、各相毎に対をなす各トランジスタUH,ULおよびVH,VLおよびWH,WLのオン/オフ状態の組み合わせに応じて、例えば下記表1および図2(A)〜(H)に示すように、8通りの各スイッチング状態S1〜S8(つまり、60度ずつ位相が異なる基本電圧ベクトルV0〜V7の状態)に応じたPWM(パルス幅変調)信号となる。なお、下記表1においては、ハイ側(High)およびロー側(Low)の各トランジスタのうちオン状態となるトランジスタを示しており、図2(A)〜(H)においてはオン状態となるトランジスタが網掛け表示されている。
そして、インバータ13のブリッジ回路13aの直流側には各スイッチング状態S1〜S8に応じて断続的に各相電流Iu,Iv,Iwが発生し、直流側電流センサ31により検出される直流側電流Idcは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつ、あるいは、各相電流Iu,Iv,Iwの何れかひとつの符号が反転したもの、あるいは、ゼロとなる。
Figure 0005081131
相電流推定部23は、例えば、三角波などのキャリア信号の1周期の期間において、上述した各スイッチング状態S2〜S7(つまり、60度ずつ位相が異なる基本電圧ベクトルV1〜V6の状態)のうちの所定の2組の状態において直流側電流センサ31により検出される直流側電流Idcから3相の相電流のうち2相の相電流を取得する。そして、これらの2相の相電流に基づき、3相の相電流のうち他の1相の相電流を推定する。そして、直流側電流センサ31により検出される直流側電流Idcから推定して得た3相の相電流の各推定値を制御装置24に出力する。
例えば図3に示すように、三角波のキャリア信号を用いた3相変調時においては、三角波のキャリア(搬送波)信号の谷側の頂点(キャリア頂点)に対して対称な電圧パターンでのキャリア信号の1周期Tsの期間において、2相分の各相電流の検出値を2回取得することができる。
つまり、相電流推定部23は、キャリア頂点に対して対称な2回の基本電圧ベクトルV1の状態において、キャリア頂点に対して対称な時刻tu1,tu2(つまり、谷側のキャリア頂点の時刻tpに対して、同一の時間間隔T1を有する時刻)で直流側電流センサ31により検出される直流側電流Idcから、第1U相電流Iu1および第2U相電流Iu2を取得し、さらに、キャリア頂点に対して対称な2回の基本電圧ベクトルV3の状態において、キャリア頂点に対して対称な時刻tw1,tw2(つまり、谷側のキャリア頂点の時刻tpに対して、同一の時間間隔T2を有する時刻)で直流側電流センサ31により検出される直流側電流Idcから、第1W相電流Iw1および第2W相電流Iw2を取得する。
そして、相電流推定部23は、各相毎に、各相電流Iu1,Iu2およびIw1,Iw2に基づき平均値を算出し、各平均値を谷側のキャリア頂点の時刻tpでの電流値とする。
そして、相電流推定部23は、同一タイミングでの各相電流の電流値の総和はゼロであることを用いて、2相の相電流(例えば、U相電流およびW相電流)の電流値(つまり、谷側のキャリア頂点の時刻tpでの電流値)から、他の1相の相電流(例えば、V相電流)の電流値を算出する。
なお、相電流推定部23は、各相電流Iu1,Iu2およびIw1,Iw2に基づき平均値を算出して、2相の相電流から他の1相の相電流を推定するとしたが、これに限定されず、他の推定方法によって各相電流を推定してもよい。
制御装置24は、指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow以上であるか否かを判定する。そして、この判定結果において指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow以上である場合には、さらに、指令電圧ベクトルVdqの位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲(例えば、図4に示すように、所定の大きさの電圧ベクトルが各基本電圧ベクトルV1〜V6から進角側または遅角側に所定位相β以内となる範囲)内の値となるか否かを判定する。
そして、この判定結果において指令電圧ベクトルVdqの位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲内の値となる場合には、指令電圧ベクトルVdqを、指令電圧ベクトルVdqから進角側および遅角側に同一の所定位相差γを有する2つのベクトル成分Vdq1,Vdq2に分解する。そして、これらのベクトル成分Vdq1,Vdq2に応じた各相電圧指令Vu,Vv,VwをPWM信号生成部25に出力すると共に、所定位相差γに基づき各ベクトル成分Vdq1,Vdq2に係る高調波成分を算出する。
制御装置24は、例えば図5に示すように、指令電圧ベクトルVdqの位相が基本電圧ベクトルV1の位相と一致することで、指令電圧ベクトルVdqの位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲Aβ内の値であると判定すると、指令電圧ベクトルVdqを、指令電圧ベクトルVdqに対して少なくとも所定位相βよりも大きい所定位相差γ(>β)を有する2つのベクトル成分Vdq1,Vdq2に分解する。これらの2つのベクトル成分Vdq1,Vdq2は、キャリア信号の周期の隣り合う2周期毎のベクトルであって、2つのベクトル成分Vdq1,Vdq2の大きさは、例えば下記数式(1)に示すように記述される。
なお、所定位相範囲Aβは、例えば、後述する所定下限電圧Vlowが各基本電圧ベクトルV1〜V6から進角側または遅角側に所定位相β以内となる範囲であって、指令電圧ベクトルVdqの位相が所定位相範囲Aβ内の値となる状態は、インバータ13の直流側電流を直流側電流センサ31によって適切に検出するための所望の長さのパルス幅(つまりパルス幅変調におけるパルス幅)を確保することが困難となる状態である。
Figure 0005081131
また、dq座標上でのd軸に対する指令電圧ベクトルVdqの位相差αにより、指令電圧ベクトルVdqのdq座標上でのd軸成分Vdおよびq軸成分Vqは、例えば下記数式(2)に示すように記述される。
Figure 0005081131
そして、指令電圧ベクトルVdqを2つのベクトル成分Vdq1,Vdq2に分解することに起因して発生する高調波成分Vdqhは、大きさが同一であって符号が異なり、この高調波成分Vdqhのdq座標上でのd軸成分(d軸高調波成分Vdh)およびq軸成分(q軸高調波成分Vqh)と、指令電圧ベクトルVdqのd軸成分Vdおよびq軸成分Vqとは、例えば下記数式(3),(4)に示すように記述される。
Figure 0005081131
Figure 0005081131
つまり、d軸高調波成分Vdhおよびq軸高調波成分Vqhは、例えば下記数式(5),(6)に示すように記述される。
Figure 0005081131
Figure 0005081131
また、制御装置24は、指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow未満である場合には、指令電圧ベクトルVdqを、キャリア信号の周期の隣り合う2周期毎で所定下限電圧Vlowと等しい大きさを有し、かつ、指令電圧ベクトルVdqから進角側および遅角側に同一の所定位相差γを有する2つのベクトル成分V’dqに分解する。
なお、指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow未満となる状態とは、例えばモータ11の回転速度が小さい場合、あるいは、モータ11の負荷トルクが小さい場合、あるいは、インバータ13に印加される直流電圧が大きい場合(つまり、インバータ13の変調率が所定値未満に小さい場合)などであり、インバータ13の直流側電流を直流側電流センサ31によって適切に検出するための所望の長さのパルス幅(つまりパルス幅変調におけるパルス幅)を確保することが困難となる場合である。
さらに、制御装置24は、2つのベクトル成分V’dqの何れかの位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲Aβ(例えば、所定下限電圧Vlowが各基本電圧ベクトルV1〜V6から進角側または遅角側に所定位相β以内となる範囲)内の値となるか否かを判定する。
この判定結果において、例えば図6に示すように、2つのベクトル成分V’dqの各位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲Aβ外の値となる場合には、制御装置24は、2つのベクトル成分V’dqに応じた各相電圧指令Vu,Vv,VwをPWM信号生成部25に出力すると共に、所定位相差γに基づき各ベクトル成分V’dqに係る高調波成分を算出する。
一方、この判定結果において、例えば図7に示すように、2つのベクトル成分V’dqの何れかの位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲Aβ内の値となる場合には、制御装置24は、ベクトル成分V’dqの位相が所定位相範囲Aβ外の値となるように、かつ、ベクトル成分V’dqの指令電圧ベクトルVdqに対する位相差の余弦値とベクトル成分V’dqの大きさとの積が指令電圧ベクトルVdqの大きさに等しくなるようにして、ベクトル成分V’dqの位相および大きさを変更する。そして、変更後の2つのベクトル成分V’dqに応じた各相電圧指令Vu,Vv,VwをPWM信号生成部25に出力すると共に、変更後のベクトル成分V’dqの位相に基づき各ベクトル成分V’dqに係る高調波成分を算出する。
例えば図6、図7に示すように、制御装置24は、指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow未満である場合には、指令電圧ベクトルVdqを、キャリア信号の周期の隣り合う2周期毎で所定下限電圧Vlowと等しい大きさを有し、かつ、指令電圧ベクトルVdqから進角側および遅角側に同一の所定位相差γを有する2つのベクトル成分V’dqに分解する。このとき制御装置24は、例えば下記数式(7)に示すように、所定位相差γの余弦値とベクトル成分V’dqとの積が指令電圧ベクトルVdqの大きさに等しくなるように設定する。
Figure 0005081131
つまり、例えば図6、図7に示す電圧ベクトル図において、指令電圧ベクトルVdqによる座標位置P(Vdq)を含み指令電圧ベクトルVdqに直交する直線L(Vdq)と、所定下限電圧Vlowの大きさを半径とする電圧円(下限電圧円Clow)との交点Paが、各ベクトル成分V’dqによる座標位置となる。
そして、例えば図6に示すように、2つのベクトル成分V’dqの各位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲Aβ外の値となる場合には、制御装置24は、各ベクトル成分V’dqに係る高調波成分を所定位相差γと上記数式(1)〜(6)とに基づき算出する。
一方、例えば図7に示すように、2つのベクトル成分V’dqの何れかの位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲Aβ内の値となる場合には、例えば図8に示すように、基本電圧ベクトルの所定位相範囲(基本電圧ベクトル領域)Aβの境界点、つまり基本電圧ベクトルから進角側または遅角側に所定位相βの位置PEの位相を、ベクトル成分V’dqの新たな位相とする。例えば指令電圧ベクトルVdqから進角側のベクトル成分V’dqに対しては、このベクトル成分V’dqを含む基本電圧ベクトル領域Aβの進角側の境界点PEの位相が新たな位相として設定される。同様にして、例えば指令電圧ベクトルVdqから遅角側のベクトル成分V’dqに対しては、このベクトル成分V’dqを含む基本電圧ベクトル領域Aβの遅角側の境界の位相が新たな位相として設定される。これらに伴い、位相変更後のベクトル成分V’dqは指令電圧ベクトルVdqに対して新たな位相差(γ’)を有することになる。
そして、位相変更後のベクトル成分V’dqの大きさは、例えば下記数式(8)に示すように、位相差(γ’)の余弦値と、ベクトル成分V’dqの大きさとの積が、指令電圧ベクトルVdqの大きさに等しくなるように設定され、所定下限電圧Vlowよりも大きくなる。
Figure 0005081131
つまり、位相および大きさが変更された後の新たなベクトル成分V’dqの座標位置は、原点Oおよび基本電圧ベクトル領域Aβの境界点PEを含む直線L(PE)と、指令電圧ベクトルVdqによる座標位置P(Vdq)を含み指令電圧ベクトルVdqに直交する直線L(Vdp)との交点Pbとなる。
なお、2つのベクトル成分V’dqの何れか一方のベクトル成分V’dqの位相が所定位相範囲Aβ内の値となることに起因して、一方のベクトル成分V’dqの位相および大きさが変更されると、これに伴って、他方のベクトル成分V’dqの位相および大きさが変更されることになる。このとき、他方のベクトル成分V’dqの新たな位相が所定位相範囲Aβ内の値となる場合には、さらに、他方のベクトル成分V’dqの位相および大きさが変更され、これに伴い、一方のベクトル成分V’dqの位相および大きさが、さらに変更されることになる。
例えば図8に示す電圧ベクトル図のように、位相θvの指令電圧ベクトルVdqから所定位相差γだけ進角側のベクトル成分V’dqが、基本電圧ベクトルV3に対する所定位相範囲Aβ内の値となる場合には、先ず、基本電圧ベクトルV3から進角側に所定位相βの境界点PEの位相(つまり、(60×(m+1)+β))が、進角側のベクトル成分V’dqの新たな位相として設定される。
そして、原点Oおよび境界点PEを含む直線L(PE)と、座標位置P(Vdq)を含み指令電圧ベクトルVdqに直交する直線L(Vdp)との交点Pbにより、ベクトル成分V’dqの大きさが変更される。
そして、位相および大きさが変更された後の2つのベクトル成分V’dqの各位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲Aβ外の値となる場合には、制御装置24は、各ベクトル成分V’dqに係る高調波成分を位相差(γ’)と上記数式(1)〜(6)とに基づき算出する。
本実施の形態による電動機の相電流推定装置10は上記構成を備えており、次に、この相電流推定装置10の動作、特に、指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow未満である場合に指令電圧ベクトルVdqを分解する処理について説明する。
先ず、例えば図9に示すステップS01においては、指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、エンドに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS02に進む。
そして、ステップS02においては、指令電圧ベクトルVdqを、キャリア信号の周期の隣り合う2周期毎で所定下限電圧Vlowと等しい大きさを有し、かつ、指令電圧ベクトルVdqから進角側および遅角側に同一の所定位相差γを有する2つのベクトル成分V’dqに分解する。これにより、ベクトル成分V’dqは、上記数式(7)に示すように記述される。
そして、ステップS03においては、指令電圧ベクトルVdqから進角側のベクトル成分V’dqと、基本電圧ベクトル領域Aβの進角側の境界点PEとの位相差Δγpを算出する。
このとき、例えば図10に示すステップS21〜S23のように、ベクトル成分V’dqの位相(θv+γ)が、任意の自然数mによる境界点PEの位相(60×(m+1)+β)よりも小さいか否かに応じて、位相差Δγpの算出を切り換える。
つまり、例えば図10に示すステップS21においては、ベクトル成分V’dqの位相(θv+γ)が、任意の自然数mによる境界点PEの位相(60×(m+1)+β)よりも小さいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS22に進み、このステップS22においては、位相差Δγp={60×(m+1)+β}−(θv+γ)、とする。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS23に進み、このステップS23においては、位相差Δγp={60×(m+2)+β}−(θv+γ)、とする。
そして、ステップS04においては、指令電圧ベクトルVdqから遅角側のベクトル成分V’dqと、基本電圧ベクトル領域Aβの遅角側の境界点PEとの位相差Δγnを算出する。
このとき、例えば図11に示すステップS31〜S33のように、ベクトル成分V’dqの位相(θv−γ)が、任意の自然数mによる境界点PEの位相(60×(m)−β)よりも大きいか否かに応じて、位相差Δγnの算出を切り換える。
つまり、例えば図11に示すステップS31においては、ベクトル成分V’dqの位相(θv−γ)が、任意の自然数mによる境界点PEの位相(60×(m)−β)よりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS32に進み、このステップS32においては、位相差Δγn=(θv−γ)−{60×(m)−β}、とする。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS33に進み、このステップS33においては、位相差Δγn=(θv−γ)−{60×(m−1)−β}、とする。
そして、ステップS05においては、位相差Δγpに応じて進角側のベクトル成分V’dqの位相は基本電圧ベクトル領域Aβ内の値となるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり位相差Δγpが0よりも大きくかつ所定位相βの2倍よりも小さい(0<Δγp<2×β)場合には、ステップS06に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS10に進む。
そして、ステップS06においては、所定位相差γに位相差Δγpを加算して得た値を位相差(γ’)として、進角側および遅角側の各ベクトル成分V’dqが指令電圧ベクトルVdqに対して位相差(γ’)を有するようにして、進角側および遅角側の各ベクトル成分V’dqの位相を変更する。
そして、ステップS07においては、進角側のベクトル成分V’dqの位相変更に伴い、位相差Δγpによって遅角側のベクトル成分V’dqの位相が変更された場合に、遅角側のベクトル成分V’dqの新たな位相は基本電圧ベクトル領域Aβ内の値となるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり位相差Δγnから位相差Δγpを減算して得た値(Δγn−Δγp)が0よりも大きくかつ所定位相βの2倍よりも小さい(0<(Δγn−Δγp)<2×β)場合には、後述するステップS08に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS09に進む。
そして、ステップS09においては、所定位相差γに位相差Δγnを加算して得た値を位相差(γ’)として、進角側および遅角側の各ベクトル成分V’dqが指令電圧ベクトルVdqに対して位相差(γ’)を有するようにして、進角側および遅角側の各ベクトル成分V’dqの位相を変更する。
そして、ステップS08においては、この時点で設定されている位相差(γ’)により、ベクトル成分V’dqを、上記数式(8)に示すように記述して、エンドに進み、処理を終了する。
また、ステップS10においては、位相差Δγnに応じて遅角側のベクトル成分V’dqの位相は基本電圧ベクトル領域Aβ内の値となるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり位相差Δγnが0よりも大きくかつ所定位相βの2倍よりも小さい(0<Δγn<2×β)場合には、ステップS11に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、エンドに進み、処理を終了する。
そして、ステップS11においては、所定位相差γに位相差Δγnを加算して得た値を位相差(γ’)として、進角側および遅角側の各ベクトル成分V’dqが指令電圧ベクトルVdqに対して位相差(γ’)を有するようにして、進角側および遅角側の各ベクトル成分V’dqの位相を変更する。
そして、ステップS12においては、遅角側のベクトル成分V’dqの位相変更に伴い、位相差Δγnによって進角側のベクトル成分V’dqの位相が変更された場合に、進角側のベクトル成分V’dqの新たな位相は基本電圧ベクトル領域Aβ内の値となるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合、つまり位相差Δγpから位相差Δγnを減算して得た値(Δγp−Δγn)が0よりも大きくかつ所定位相βの2倍よりも小さい(0<(Δγp−Δγn)<2×β)場合には、後述するステップS13に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS08に進む。
そして、ステップS13においては、所定位相差γに位相差Δγpを加算して得た値を位相差(γ’)として、進角側および遅角側の各ベクトル成分V’dqが指令電圧ベクトルVdqに対して位相差(γ’)を有するようにして、進角側および遅角側の各ベクトル成分V’dqの位相を変更する。
上述したように、本実施形態による電動機の相電流推定装置10によれば、指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow未満となる場合には、指令電圧ベクトルVdqを、キャリア信号の周期の隣り合う2周期毎で所定下限電圧Vlowと等しい大きさを有し、かつ、指令電圧ベクトルから進角側および遅角側に同一の所定位相差γを有する2つのベクトル成分V’dqに分解する。これにより、インバータ13の直流側電流を検出する直流側電流センサ31によって、キャリア信号の1周期の期間内において2相分の相電流を適切に取得することができ、さらに、同一タイミングでの相電流の3相の総和がゼロであることを用いて、他の1相分の相電流を推定することができ、3相の相電流Iu,Iv,Iwを迅速かつ精度よく取得することができる。
しかも、指令電圧ベクトルVdqの分解により得られるベクトル成分V’dqの位相は、基本電圧ベクトルの位相を含む所定位相範囲外の値となるように、かつ、ベクトル成分V’dqの位相の余弦値とベクトル成分V’dqの大きさとの積が指令電圧ベクトルVdqの大きさに等しくなるようにして、2つのベクトル成分V’dqの位相および大きさを変更する。これにより、指令電圧ベクトルVdqの分解により得られる2つのベクトル成分V’dqの何れか一方の位相が基本電圧ベクトルの位相を含む所定位相範囲内の値となることでインバータ13の直流側電流を適切に検出するための所望の長さのパルス幅を確保することが困難となる場合などであっても、2つのベクトル成分の位相および大きさを変更することでキャリア信号の1周期の期間内において2相分の相電流を適切に取得することができる。
しかも、指令電圧ベクトルVdqを2つのベクトル成分V’dqに分解することに起因して発生する高調波成分を数式によって定量的に把握することにより、高調波成分を容易に制御することができる。
なお、上述した実施の形態においては、ベクトル成分V’dqの位相が基本電圧ベクトル領域Aβ内の値となる場合には、例えば図8に示すように、新たなベクトル成分V’dqの座標位置を、原点Oおよび基本電圧ベクトル領域Aβの境界点PEを含む直線L(PE)と、指令電圧ベクトルVdqによる座標位置P(Vdq)を含み指令電圧ベクトルVdqに直交する直線L(Vdp)との交点Pbとしたが、これに限定されず、例えば図12に示す上述した実施の形態の変形例のように、新たなベクトル成分V’dqの座標位置を、基本電圧ベクトルに平行であって基本電圧ベクトル領域Aβの境界点PEを含む直線LE(つまり、基本電圧ベクトル領域Aβの境界線)と、直線L(Vdp)との交点Pcとしてもよい。
なお、上述した実施の形態において、制御装置24は、指令電圧ベクトルVdqの位相が基本電圧ベクトルV1〜V6の位相を含む所定位相範囲内の値となる場合に、指令電圧ベクトルVdqを2つのベクトル成分Vdq1,Vdq2に分解するとしたが、これに限定されず、常に、指令電圧ベクトルVdqを2つのベクトル成分Vdq1,Vdq2に分解してもよい。
また、上述した実施の形態において、制御装置24は、指令電圧ベクトルVdqの大きさが所定下限電圧Vlow未満である場合に、指令電圧ベクトルVdqを2つのベクトル成分V’dqに分解するとしたが、これに限定されず、常に、指令電圧ベクトルVdqを2つのベクトル成分V’dqに分解してもよい。
なお、上述した実施の形態において、相電流推定部23は、三角波のキャリア信号を用いた3相変調時に対して、キャリア信号の1周期Tsの期間において2相分の各相電流の検出値から各相毎に平均値を算出し、各平均値を谷側のキャリア頂点の時刻Ts/2での電流値とするとしたが、これに限定されず、例えば2相変調時に対しても、キャリア信号の1周期Tsの期間において2相分の各相電流の検出値から各相毎に平均値を算出し、各平均値を谷側のキャリア頂点の時刻tpでの電流値としてもよい。
つまり、上述した実施の形態によれば、指令電圧ベクトルVdqを指令電圧ベクトルVdqから進角側および遅角側に同一の位相差を有する2つのベクトル成分に分解し、この分解に起因して発生する高調波成分を数式によって定量的に把握することで、2相変調または3相変調などの変調方式の切り替えやキャリア信号の周波数の切り替えにかかわらずに、キャリア信号の1周期の期間内において2相分の相電流を適切に取得することができる。
なお、上述した実施の形態においては、角度センサ32を省略して、高調波電圧を印加した際のインダクタンス変化に基づきモータ11の磁極位置を推定する磁極位置推定部(図示略)を備えて電動機の磁極位置推定装置を構成してもよい。
この電動機の磁極位置推定装置によれば、指令電圧ベクトルVdqを2つのベクトル成分に分解することに起因して発生する高調波成分を数式によって定量的に把握することにより、高調波成分を容易に制御することができ、磁極位置の推定に対して所望の推定精度を確保することができる。
本発明の実施形態に係る電動機の相電流推定装置の構成図である。 図1に示すインバータの各スイッチング状態S1〜S8を示す図である。 本発明の実施形態に係る搬送波と各トランジスタUH,ULおよびVH,VLおよびWH,WLのオン/オフのパターンと各相電流の検出タイミングの例を示す図である。 本発明の実施形態に係る各基本電圧ベクトルV1〜V6の例を示す図である。 本発明の実施形態に係る指令電圧ベクトルVdqと2つのベクトル成分Vdq1,Vdq2とd軸高調波成分Vdhおよびq軸高調波成分Vqhの例を示す図である。 本発明の実施形態に係る指令電圧ベクトルVdqと2つのベクトル成分V’dqの例を示す図である。 本発明の実施形態に係る指令電圧ベクトルVdqと2つのベクトル成分V’dqの例を示す図である。 本発明の実施形態に係る指令電圧ベクトルVdqと進角側のベクトル成分V’dqの例を示す図である。 本発明の実施形態に係る電動機の相電流推定装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る電動機の相電流推定装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る電動機の相電流推定装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の変形例に係る指令電圧ベクトルVdqと進角側のベクトル成分V’dqの例を示す図である。
符号の説明
10 電動機の相電流推定装置
11 モータ
13 インバータ
23 相電流推定部(相電流推定手段)
24 制御装置(判定手段、ベクトル分解手段、位相判定手段、ベクトル成分変更手段、高調波成分算出手段)
25 PWM信号生成部(パルス幅変調信号生成手段)
31 直流側電流センサ
ステップS01 判定手段
ステップS02 ベクトル分解手段
ステップS05、ステップS10 位相判定手段
ステップS06、ステップS08、ステップS11 ベクトル成分変更手段

Claims (3)

  1. パルス幅変調信号により3相交流の電動機への通電を順次転流させるインバータと、前記パルス幅変調信号を搬送波信号により生成するパルス幅変調信号生成手段と、
    前記インバータの直流側電流を検出する直流側電流センサと、前記直流側電流センサにより検出された前記直流側電流に基づいて相電流を推定する相電流推定手段と、
    前記電動機の指令電圧ベクトルの大きさが所定下限電圧未満であるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果において前記指令電圧ベクトルの大きさが前記所定下限電圧未満である場合に、前記指令電圧ベクトルを搬送波周期の隣り合う2周期毎で前記所定下限電圧と等しい大きさを有し、かつ、前記指令電圧ベクトルから進角側および遅角側に同一の所定位相差を有する2つのベクトル成分に分解するベクトル分解手段と、
    前記ベクトル成分の位相が基本電圧ベクトルの位相を含む所定位相範囲内の値となるか否かを判定する位相判定手段と、
    前記位相判定手段の判定結果において前記ベクトル成分の位相が前記所定位相範囲内の値である場合に、前記ベクトル成分の位相が前記所定位相範囲外の値となるように、かつ、前記ベクトル成分の前記指令電圧ベクトルに対する位相差の余弦値と前記ベクトル成分の大きさとの積が前記指令電圧ベクトルの大きさに等しくなるようにして、前記ベクトル成分の位相および大きさを変更するベクトル成分変更手段と
    を備えることを特徴とする電動機の相電流推定装置。
  2. 前記ベクトル成分に係る高調波成分を算出する高調波成分算出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の電動機の相電流推定装置。
  3. 請求項2に記載の電動機の相電流推定装置と、
    前記電動機に前記高調波成分を印加した際のインダクタンス変化に基づいて、前記電動機の磁極位置を推定する推定手段と
    を備えることを特徴とする電動機の磁極位置推定装置。
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