JP4402600B2 - 同期電動機の駆動システム及び同期電動機の駆動方法 - Google Patents
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Description
なお、軸誤差Δθを用いて、d−q座標とdc−qc座標のベクトル量の座標変換は、式(4)によって計算できる。ここでは、電圧ベクトルVd、Vq、Vdc、Vqc、及び電流ベクトルId、Iq、Idc、Iqcで例を示した。
なお、式(8)では、dc―qc座標上の電圧指令Vdc*、Vqc*を用いたが、電動機電圧Vdc、Vqcを用いてもよい。その場合、Vdc、Vqcの値は、電動機電圧Vu、Vv、Vwを検出してdc−qc座標へ変換することで得られる。式(9)に、電動機電圧Vdc、Vqcを用いる場合の計算式を示す。
インバータなどの電力変換器で駆動する場合、電動機電圧はPWM波形になるため、電圧指令値を用いる式(8)のほうが扱いやすい。
ここで、前述のd―q座標における電圧方程式(7)を、式(10)に代入すれば、瞬時無効電力Qが式(11)により表されることがわかる。
−KEωrId・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
ここで、式(11)の右辺第1、第2項は、式(4)を用いて式(12)のように変形できる。
本実施例では、式(14)、式(15)を基に、瞬時無効電力推定値Qhatの演算式を式(16)のように決めた。なお、式(16)は、瞬時無効電力推定器10の計算で使う演算式である。
なお、式(16)中のImは、モータ電流の大きさである。式(17)にId、Iq、Idc、IqcとImの関係を示す。
式(16)における重要な項は、右辺第2項の誘起電圧による無効電力成分(KE*・ω1・Idc)である。式(21)までに詳細を後述するように、この第2項があることによって、位置センサレス制御を実現するのに必要な軸誤差Δθや、角周波数ω1とωrのずれの情報が導かれる。
−{−ω1L・Im 2−KEωr・Id} ・・・・・・・・・(18)
制御系が用いる電動機定数のパラメータが、実際の電動機定数に等しいと仮定する。すなわち、Lx*=L、KE*=KEとする。また、式(5)の関係により、角周波数ωrをω1とΔθの時間微分に置き換える。以上により、式(18)は式(19)のように変形できる。
極性設定器22は、励磁電流指令Id*の極性を正に設定し、Id*=Idsetとなる。電圧ベクトル演算器3には補償器があり、dc軸、qc軸の電流値Idc、Iqcが、それぞれの指令値Id*、Iq*に一致するように動作している。このため、Id*>0、Iq*≧0であれば、Idc>0、Iqc≧0になる。軸誤差Δθが零近傍であれば、d軸電流Idの極性はIdcと同様にId>0となる。従って、式(21)のΔQ近似式において、各項の係数の極性は、式(22)に示すようになる。
誤差ΔQの符号設定器12は、dc軸電流Idcが正であれば、入力ΔQの極性を変えず、そのまま出力する。増幅器13では正のゲインKiが乗じられ、ΔQ2が出力される。最終的なΔQ2の極性は、Δθの反対の極性となる。同様に、ΔQ2の極性は、dΔθ/dtの反対の極性となる。
極性設定器22は、励磁電流指令Id*の極性を負に設定し、Id*=−Idsetとなる。電圧ベクトル演算器3には補償器があるため、Id*<0、Iq*<0であれば、Idc<0、Iqc<0になる。軸誤差Δθが零近傍であれば、d軸電流Idの極性はIdcと同様にId<0となる。従って、式(21)のΔQ近似式において、各項の係数の極性は、式(23)に示すようになる。
誤差ΔQの符号設定器12は、dc軸電流Idcが負なので、入力ΔQの極性を反転して出力する。増幅器13では正のゲインKiが乗じられ、ΔQ2が出力される。なお、式(23)の極性は、式(22)の極性とちょうど逆であるから、符号設定器12で入力ΔQの極性を反転すると、最終的な出力であるΔQ2は、Δθの反対の極性となる。同様に、ΔQ2の極性は、dΔθ/dtの反対の極性となる。
Claims (18)
- 同期電動機と、この電動機に任意の交流を供給する電力変換器と、与えられた電流指令Id*,Iq*及び検出電流値Idc,Iqcに基き電圧指令Vdc*,Vqc*をベクトル演算する電圧指令演算手段と、前記電力変換器が出力すべき交流の出力角周波数ω1を演算する周波数演算手段と、この出力角周波数ω1に基づいて、前記電動機の推定磁極位相θdcを演算する手段と、この推定磁極位相θdcと前記電圧指令Vdc*,Vqc*とに基いて前記電力変換器が出力すべき3相交流電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を演算する3相交流電圧指令演算手段と、この3相交流電圧指令に基いて前記電力変換器をPWM制御するPWM制御手段とを備えた同期電動機の駆動システムにおいて、前記3相交流電圧指令演算手段に至る制御系から得られた入力側信号と、前記電力変換器から前記電動機に給電した結果から得られた出力側信号とから任意の第1値を演算する第1値演算手段と、前記入力側信号と前記出力側信号との異なる組合せに基いて任意の第2値を演算する第2値演算手段と、これら第1値及び第2値とから前記電動機の巻線抵抗値を含まず前記同期電動機の軸誤差Δθの関数である軸誤差関数値を求め、この軸誤差関数値が小さくなるように前記出力角周波数ω1を調整する周波数制御手段を備えたことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項1において、前記入力側信号は、前記電圧指令Vdc*,Vqc*及び/又は前記出力角周波数ω1に相当する信号を含み、前記出力側信号は、前記検出電流値Idc,Iqcに相当する信号を含むことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項1において、前記第1値又は第2値演算手段は、前記出力角周波数ω1と、前記電動機の誘起電圧定数の制御パラメータKE、及び電流検出値のdc軸成分Idcの3値の積(KE・ω1・Idc)を演算する手段を含むことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項1において、前記第1値及び第2値は、それぞれ瞬時無効電力の検出値Q及び推定値Qhatであることを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項1において、前記軸誤差関数は、軸誤差Δθの比例項と微分項とを含むことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項1において、dc軸電流Idcの極性に基づいて、前記軸誤差関数値の極性と、前記出力角周波数ω1の増減の方向を反転させる手段を備えたことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 同期電動機と、この電動機に任意の交流を供給する電力変換器と、与えられた電流指令Id*,Iq*及び検出電流値Idc,Iqcに基き電圧指令Vdc*,Vqc*をベクトル演算する電圧指令演算手段と、前記電力変換器が出力すべき交流の出力角周波数ω1を演算する周波数演算手段と、この出力角周波数ω1に基づいて、前記電動機の推定磁極位相θdcを演算する手段と、この推定磁極位相θdcと前記電圧指令Vdc*,Vqc*とに基いて前記電力変換器が出力すべき3相交流電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を演算する3相交流電圧指令演算手段と、この3相交流電圧指令に基いて前記電力変換器をPWM制御するPWM制御手段とを備えた同期電動機の駆動システムにおいて、前記電圧指令Vdc*,Vqc*及び検出電流値Idc,Iqcを入力して瞬時無効電力検出値Qを求める無効電力検出手段と、前記出力角周波数ω1及び検出電流値Idc,Iqcを入力して瞬時無効電力推定値Qhatを演算する瞬時無効電力推定手段と、この瞬時無効電力の推定値Qhatと前記瞬時無効電力検出値Qとの偏差ΔQが小さくなるように前記出力角周波数ω1を調整する周波数制御手段を備えたことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項7において、前記瞬時無効電力推定手段は、前記出力角周波数ω1と、前記電動機の誘起電圧定数の制御パラメータKE、及び電流検出値のdc軸成分Idcの3値の積(KE・ω1・Idc)を演算する手段を含むことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項7において、トルク電流指令Iq*が正で前記電動機が力行状態であるとき、励磁電流指令Id*を正の所定値に設定し、前記トルク電流指令Iq*が負で前記電動機が回生状態であるとき、前記励磁電流指令Id*を負の所定値に設定する手段を備えたことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項7において、dc軸電流Idcの極性に基づいて、前記偏差ΔQの極性と、前記出力角周波数ω1の増減の方向を反転させる手段を備えたことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 与えられた電流指令Id*,Iq*及び検出電流値Idc,Iqcに基き電圧指令Vdc*,Vqc*をベクトル演算するステップと、電力変換器が出力すべき交流の出力角周波数ω1を演算するステップと、この出力角周波数ω1に基づいて、同期電動機の推定磁極位相θdcを演算するステップと、この推定磁極位相θdcと前記電圧指令Vdc*,Vqc*とに基いて前記電力変換器が出力すべき3相交流電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を演算するステップと、この3相交流電圧指令に基いて前記電力変換器をPWM制御するステップと、このPWM制御に基く交流を前記電力変換器から前記同期電動機に供給するステップとを備えた同期電動機の駆動方法において、前記3相交流電圧指令に至る制御系から得られた入力側信号と、前記電力変換器から前記電動機に給電した結果から得られた出力側信号とから任意の第1値を演算するステップと、前記入力側信号と前記出力側信号との異なる組合せに基いて任意の第2値を演算するステップと、これら第1値及び第2値とから前記電動機の巻線抵抗値を含まず前記電動機の軸誤差Δθの関数である軸誤差関数値を求めるステップと、この軸誤差関数値が小さくなるように前記出力角周波数ω1を調整するステップを備えたことを特徴とする同期電動機の駆動方法。
- 請求項11において、前記入力側信号は、前記電圧指令Vdc*,Vqc*及び/又は前記出力角周波数ω1に相当する信号を含み、前記出力側信号は、前記検出電流値Idc,Iqcに相当する信号を含むことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
- 請求項11において、前記第1値及び第2値は、それぞれ瞬時無効電力の検出値Q及び推定値Qhatであることを特徴とする同期電動機の駆動方法。
- 請求項11において、前記軸誤差関数は、軸誤差Δθの比例項と微分項とを含むことを特徴とする同期電動機の駆動方法。
- 請求項11において、前記第1値又は第2値は、前記出力角周波数ω1と、前記電動機の誘起電圧定数の制御パラメータKE、及び電流検出値のdc軸成分Idcの3値の積(KE・ω1・Idc)を演算するステップを含むことを特徴とする同期電動機の駆動方法。
- 請求項11において、トルク電流指令Iq*が正で、電動機が力行状態である場合は、励磁電流指令Id*を正の所定値に設定するステップと、トルク電流指令Iq*が負で電動機が回生状態である場合は、前記励磁電流指令Id*を負の所定値に設定するステップを備えたことを特徴とする同期電動機の駆動方法。
- 請求項11において、dc軸電流Idcの極性に基づいて、前記軸誤差関数値の極性と、前記出力角周波数ω1の増減の方向を反転させるステップを備えたことを特徴とする同期電動機の駆動方法。
- 同期電動機と、この電動機に任意の交流を供給する電力変換器と、電圧指令Vdc*,Vqc*をベクトル演算する電圧指令演算手段と、前記電力変換器が出力すべき交流の出力角周波数ω1を演算する周波数演算手段と、この出力角周波数ω1に基づいて、前記電動機の推定磁極位相θdcを演算する手段と、この推定磁極位相θdcと前記電圧指令Vdc*,Vqc*とに基いて前記電力変換器が出力すべき3相交流電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を演算する3相交流電圧指令演算手段と、この3相交流電圧指令に基いて前記電力変換器をPWM制御するPWM制御手段とを備えた同期電動機の駆動システムにおいて、前記3相交流電圧指令演算手段に至る制御系から得られた入力側信号と、前記電力変換器から前記電動機に給電した結果から得られた出力側信号とから任意の第1値を演算する第1値演算手段と、前記入力側信号と前記出力側信号との異なる組合せに基いて任意の第2値を演算する第2値演算手段と、これら第1値及び第2値とから前記電動機の巻線抵抗値を含まず前記同期電動機の軸誤差Δθの関数である軸誤差関数値を求め、この軸誤差関数値が小さくなるように前記出力角周波数ω1を調整する周波数制御手段を備えたことを特徴とする同期電動機の駆動システム。
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