JP4265299B2 - 3相電圧型pwmインバータ装置 - Google Patents

3相電圧型pwmインバータ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3相電圧型PWMインバータ装置に関し、特に、インバータ主回路の電流検出を高精度に行うようにした3相電圧型PWMインバータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、3相電圧型PWMインバータ装置では、半導体スイッチング素子への過電流安全対策としてインバータ主回路上に電流検出器を設ける構成が採用されている。ところが、出力電圧が低い場合や電圧指令ベクトルの位相角が基本電圧ベクトルの位相角に近い場合には、直流母線電流を検出するのに十分なパルス幅を得ることができないという問題がある。そこで、従来、直流母線電流に1つの電流検出器を設けるとともにPWMキャリアの1周期内で120度位相の異なる2つの大きさを持つ基本電圧ベクトルと大きさを持たないゼロ電圧ベクトルとの組み合わせ、又は、各々60度位相が異なる3つの大きさをもつ基本電圧ベクトルの組み合わせを発生させることでパルス幅を広げて、電流検出精度を向上させる旨の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−298631号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的なマイコンのアーキテクチャで特許文献1に記載されたPWM変調を行おうとすると、目的とするベクトル成分以外のベクトル成分が出現するため、一般的なマイコンでの実現が困難であるという問題がある。一方、このような問題を解決するためには、ハードウエア上の追加部品が必要となり、回路構成や制御方法が複雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、変調度が小さい場合や単一の基本電圧ベクトルの位相に近い場合等においても簡単且つ安価な構成で高精度に電流検出が可能な3相電圧型PWMインバータ装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に記載の3相電圧型PWMインバータ装置は、半導体スイッチング素子を用いたインバータ主回路と、そのインバータ主回路における直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置において、指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分を、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、前記基本電圧ベクトル成分に対しそれぞれ180度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分のうち少なくとも1つを、前記第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成され、前記第1の期間及び前記第2の期間と、通常の変調状態となる期間とを切り換える制御を行うことを特徴とする。
【0007】
従って、第2の期間において第1の期間における基本電圧ベクトル成分と180度位相が異なる基本電圧ベクトル成分を利用するため、変調度が小さい場合や出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態においても十分な長さのパルス幅となり、直流母線電流検出手段によって高精度に直流母線電流を検出することができ、これにより、半導体スイッチング素子のスイッチングパターンによって決まる特定相の相電流を高精度に検出することができる。
特に、第1の期間及び第2の期間と通常の変調状態となる期間とを所定条件で切り換える(換言すれば、第1の期間及び第2の期間を間引きして発生させる)ことによって、第1の期間及び第2の期間を作成するためのマイコンにおけるソフトウェア処理の負荷が軽減される。
【0008】
また、請求項2に記載の3相電圧型PWMインバータ装置は、半導体スイッチング素子を用いたインバータ主回路と、そのインバータ主回路における直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置において、指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、 前記第1の基本電圧ベクトル及び前記第1の基本電圧ベクトルに対して60度位相が異なり且つ前記第2の基本電圧ベクトルとは別の第3の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成され、前記第1の期間及び前記第2の期間と、通常の変調状態となる期間とを切り換える制御を行うことを特徴とする。
【0009】
従って、第1の期間内に第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルを出力し、第2の期間内に第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルとは別の第3の基本電圧ベクトルを出力するため、出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態においても十分な長さのパルス幅となり、直流母線電流検出手段によって高精度に直流母線電流を検出することができ、これにより、半導体スイッチング素子のスイッチングパターンによって決まる特定相の相電流を高精度に検出することができる。
特に、第1の期間及び第2の期間と通常の変調状態となる期間とを所定条件で切り換える(換言すれば、第1の期間及び第2の期間を間引きして発生させる)ことによって、第1の期間及び第2の期間を作成するためのマイコンにおけるソフトウェア処理の負荷が軽減される。
【0010】
また、請求項3に記載の3相電圧型PWMインバータ装置は、前記第1の期間及び前記第2の期間におけるキャリア周波数を、通常の変調制御時よりも高く設定したことを特徴とする。
【0011】
従って、第1の期間及び第2の期間におけるキャリア周波数が通常の変調制御時よりも相対的に高く設定されることにより電流リップルの発生が低減される。
【0012】
また、請求項4に記載の3相電圧型PWMインバータ装置は、半導体スイッチング素子を用いたインバータ主回路と、そのインバータ主回路における直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置において、指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分を、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、前記基本電圧ベクトル成分に対しそれぞれ180度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分のうち少なくとも1つを、前記第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成され、大きさを持つ基本電圧ベクトルが出力される各PWMキャリア周期の各々の時間幅がそれぞれ所定値以上である第1の状態では、前記各PWMキャリア周期で電流値の検出を行い、前記各PWMキャリア周期のいずれかの時間幅が所定値未満である第2の状態では、電流値の検出を禁止したことを特徴とする。
【0013】
従って、第2の期間において第1の期間における基本電圧ベクトル成分と180度位相が異なる基本電圧ベクトル成分を利用するため、変調度が小さい場合や出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態においても十分な長さのパルス幅となり、直流母線電流検出手段によって高精度に直流母線電流を検出することができ、これにより、半導体スイッチング素子のスイッチングパターンによって決まる特定相の相電流を高精度に検出することができる。
特に、出力電圧ベクトルの位相が基本電圧ベクトルに近い位相となるPWMキャリア周期の時間幅が小さい状態では電流値が誤検出されやすいため、各PWMキャリア周期の各々の時間幅がそれぞれ所定値以上である第1の状態においてのみ電流値の検出を行い、各PWMキャリア周期のいずれかの時間幅が所定値未満である第2の状態では電流値の検出を禁止することにより電流値の誤検出を防止することができる。
【0014】
また、請求項5に記載の3相電圧型PWMインバータ装置は、半導体スイッチング素子を用いたインバータ主回路と、そのインバータ主回路における直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置において、指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、 前記第1の基本電圧ベクトル及び前記第1の基本電圧ベクトルに対して60度位相が異なり且つ前記第2の基本電圧ベクトルとは別の第3の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成され、大きさを持つ基本電圧ベクトルが出力される各PWMキャリア周期の各々の時間幅がそれぞれ所定値以上である第1の状態では、前記各PWMキャリア周期で電流値の検出を行い、前記各PWMキャリア周期のいずれかの時間幅が所定値未満である第2の状態では、電流値の検出を禁止したことを特徴とする。
【0015】
従って、第1の期間内に第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルを出力し、第2の期間内に第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルとは別の第3の基本電圧ベクトルを出力するため、出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態においても十分な長さのパルス幅となり、直流母線電流検出手段によって高精度に直流母線電流を検出することができ、これにより、半導体スイッチング素子のスイッチングパターンによって決まる特定相の相電流を高精度に検出することができる。
特に、出力電圧ベクトルの位相が基本電圧ベクトルに近い位相となるPWMキャリア周期の時間幅が小さい状態では電流値が誤検出されやすいため、各PWMキャリア周期の各々の時間幅がそれぞれ所定値以上である第1の状態においてのみ電流値の検出を行い、各PWMキャリア周期のいずれかの時間幅が所定値未満である第2の状態では電流値の検出を禁止することにより電流値の誤検出を防止することができる。
【0016】
また、請求項6に記載の3相電圧型PWMインバータ装置は、前記第1の状態において検出した各々の相電流値及びロータ位置情報より算出した回転座標軸上のq軸電流、d軸電流、特定相の印加電圧位相を基準とする電流位相、又は電流振幅の内、少なくとも1つの情報をメモリに保存するように構成されたことを特徴とする。
【0017】
従って、電流値の検出が禁止される第2の状態においては、メモリに保存されたq軸電流、d軸電流、特定相の印加電圧を基準にした電流位相、電流振幅の内、少なくとも1つの情報を読み出してモータ制御に使用することが可能となる。
【0018】
また、請求項7に記載の3相電圧型PWMインバータ装置は、3相中の2相の半導体スイッチング素子のみを所定のPWM周期でスイッチングする2相変調制御を行うように構成されると共に、前記直流母線電流検出手段によって検出された電流値をPWMキャリア信号の山近傍又は谷近傍のタイミングで取り込む電流値取り込み手段、を備えたことを特徴とする。
【0019】
従って、直流母線電流検出手段によって検出された電流値を、電流値取り込み手段によりPWMキャリア信号の山近傍又は谷近傍のタイミングで確実に取り込むことができる。また、PWMキャリア信号の山又は谷にて割り込みを発生させる一般的且つ安価なマイコンを電流値取り込み手段として用いることができるので、3相電圧型PWMインバータ装置を簡単且つ安価とすることができる。
【0020】
また、請求項8に記載の3相電圧型PWMインバータ装置は、前記第1の期間と前記第2の期間との切り替えを、PWMキャリア信号の山近傍又は谷近傍のタイミングで各相の変調度を変更することによって行うことを特徴とする。
【0021】
従って、PWMキャリア信号の山、谷の割り込みを利用することにより、簡単なソフトウェア処理で第1の期間と第2の期間とを切り替えることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した3相電圧型PWMインバータ装置の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
まず、第一の実施形態の3相電圧型PWMインバータ装置(以下、インバータ装置と称する)1の全体構成について、図1の回路図を参照しつつ説明する。
【0024】
インバータ装置1は、PWMスイッチング信号に基づいて三相交流電動機(以下、モータと称する)MのU相,V相,W相の各相へ駆動電力を供給するインバータ主回路2と、インバータ主回路2を介してモータMへ電力を供給する直流電源3と、インバータの出力電圧指令に比例したデューティ比のPWM信号を生成すると共に相電流検出のためのA/D変換器(ADC)を内蔵したマイコン4と、マイコン4から入力されたPWM信号に基づいてPWMスイッチング信号を発生するデッドタイム発生回路5と、PWMスイッチング信号に基づいてインバータ主回路2の上アームの各スイッチング素子2u,2v,2wをオンオフする上段ゲートドライブ回路6と、PWMスイッチング信号に基づいてインバータ主回路2の下アームの各スイッチング素子2x,2y,2zをオンオフする下段ゲートドライブ回路7と、電流検出回路8とから構成されている。尚、本実施形態において、3相電圧型PWMインバータ装置1は、3相中の2相のスイッチング素子のみを所定のPWM周期でスイッチングする2相変調制御方式を採用するが、他の変調制御方式を採用する構成としてもよい。また、マイコン4が、本発明の電流取り込み手段を構成するものである。
【0025】
インバータ主回路2は、直流母線2a,2b間に、U相上段のスイッチング素子2u、U相下段のスイッチング素子2x、V相上段のスイッチング素子2v、V相下段のスイッチング素子2y、W相上段のスイッチング素子2w、及びW相下段のスイッチング素子2zからなる6個のスイッチング素子をブリッジ接続した周知構成の三相インバータ回路である。また、インバータ主回路2の直流母線2b上には電流検出用のシャント抵抗10が設けられている。
【0026】
デッドタイム発生回路5は、マイコン4から入力されたPWM信号に対し短絡防止のデッドタイムを設けてインバータ主回路2のアーム上下のスイッチング素子2u,2v,2w,2x,2y,2zへの駆動信号(オンオフ指令)としてのPWMスイッチング信号を発生する。
【0027】
電流検出回路8は、オペアンプと2個の抵抗とからなり、シャント抵抗10の一端側の電圧を検出することによって、直流母線2bを流れる直流母線電流を検出する回路である。尚、シャント抵抗10及び電流検出回路8が本発明の直流母線電流検出手段を構成するものである。
【0028】
次に、シャント抵抗10を流れる直流母線電流の検出によって各相の相電流の検出が可能となる原理について説明する。
【0029】
始めに、PWMスイッチング信号の生成方式について空間ベクトル法を用いて説明する。空間ベクトル法とは、指令電圧ベクトルを8個の基本電圧ベクトルで表現し、時間に換算して6個のスイッチング素子のオン/オフを決定するものである。基本電圧ベクトルとは、電圧型インバータにおいて6個のスイッチング素子のオン/オフの組合わせで決まる23 =8種類の電圧ベクトルである。また、8種類の基本電圧ベクトルV0〜V7は、図2に示すように、互いに60度だけ位相が異なり且つ大きさの等しい6種の電圧ベクトルV1〜V6と、大きさを持たない2種のゼロ電圧ベクトルV0及びV7とからなる。ここで、8種のベクトル(Sa,Sb,Sc)は、8通りのスイッチングモードに対応し、各相の正側のスイッチング素子2u,2v,2wがオンであるときに、Sa,Sb,Scを「1」と表し、逆に負側のスイッチング素子2x,2y,2zがオンであるときに「0」と表したものである。そして、本実施形態では、8種の基本電圧ベクトルを任意の組合わせで合成することにより3相PWM電圧を発生させる。
【0030】
次に、図3に示す表を参照しつつ、基本電圧ベクトルV1〜V6と、各基本電圧ベクトルに対応する各スイッチング素子のスイッチングパターンと、直流母線電流の検出値によって検出される相電流の種類との関係について説明する。尚、図3の表ではゼロ電圧ベクトルV0及びV7が除外されているのは、ゼロ電圧ベクトルV0又はV7時は還流モードが発生するため相電流の検出を行わないからである。
【0031】
図3の表で、U相アーム,V相アーム,W相アームの各欄は、表の左端に示した各基本電圧ベクトルV1〜V6を発生させる場合にオンされるU,V,W各相のスイッチング素子の上下アームのいずれかを表しており、「High」は上アームのスイッチング素子が、「Low」は下アームのスイッチング素子がそれぞれオンされることを表している。また、検出相電流(Idc)の欄は、左端に示した各基本電圧ベクトルV1〜V6発生時における直流母線電流の検出値Idcに等しい相電流の種類を表しており、Iu,Iv,Iwは、それぞれインバータ主回路2からモータMのU相,V相,W相へ流れる相電流を、−Iu,−Iv,−Iwは、それぞれモータMのU相,V相,W相からインバータ主回路2へ流れる相電流を表している。
【0032】
例えば、基本電圧ベクトルV2の発生時は、図4に示すように、U相上アームのスイッチング素子2u、V相上アームのスイッチング素子2v及びW相下アームのスイッチング素子2zがそれぞれオンされ、その瞬間にシャント抵抗10を流れる直流母線電流IdcはW相の相電流−Iwと等しくなっている。
【0033】
次に、指令電圧ベクトルが小さい場合の一駆動例について、図5及び図6を参照しつつ説明する。
【0034】
図5(a)は、通常の制御における指令電圧ベクトルの基本電圧ベクトル成分を、同図(b)は本実施形態の制御における指令電圧ベクトルの基本電圧ベクトル成分をそれぞれ表す図であり、同図(c)は第1の期間及び第2の期間におけるベクトルの合成を説明する図である。また、図6(a)は、通常の制御における各相のPWM変調度信号、PWMキャリア信号、PWMスイッチング信号、基本電圧ベクトル、直流母線電流の一例及びA/D変換割り込みのタイミングを表すタイミングチャート、同図(b)は本実施形態の制御におけるタイミングチャートである。
【0035】
通常の制御では、図5(a)に示すように、指令電圧ベクトルを1PWM周期内に基本電圧ベクトルV4及びV5を出力する。ここで、図5(a)に示すように、基本電圧ベクトルV5は、パルス幅が小さいため電流検出が困難である。
【0036】
一方、本実施形態の制御では、図5(b),(c)に示すように、1PWM周期をなす第1の期間内に、通常よりも大きな基本電圧ベクトルV4,V5を出力し、第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に、基本電圧ベクトルV4、V5に対してそれぞれ180度位相が異なる基本電圧ベクトルV1、V2を出力することによって指令電圧ベクトルが作成される。そして、図6に示すように、第1の期間では基本電圧ベクトルV5が、第2の期間では基本電圧ベクトルV1がそれぞれ十分なパルス幅となるため、それぞれについて直流母線電流を高精度に検出することができる。
【0037】
次に、本実施形態における相電流検出処理の流れについて、図6のタイミングチャートを参照しつつ説明する。まず、PWMキャリア信号の山近傍のタイミングで、マイコン4が、図7〜8に示す変調度計算ルーチンを内蔵するROMから呼び出して実行することにより、第1の期間における各相の変調度が設定される。尚、変調度計算ルーチンにおける処理内容の詳細については後述する。第1の期間内に基本電圧ベクトルV5が発生すると、シャント抵抗10に流れる直流母線電流Idcが電流検出回路8によって検出される。そして、マイコン4は、PWMキャリア信号の谷近傍のタイミングでA/D変換割り込みを発生し、電流検出値を取り込んでA/D変換する。ここで、基本電圧ベクトルV5発生時は、図3の表より明らかなように、インバータ主回路2のU相下アーム、V相下アーム、W相上アームがそれぞれオンされ、シャント抵抗10には相電流Iwに等しい直流母線電流Idcが流れているため、電流検出値をA/D変換することによってW相の相電流Iwを検出することができる。
【0038】
次に、PWMキャリア信号の次の山近傍のタイミングで、マイコン4が、変調度計算処理ルーチンを実行して各相の変調度を変更することにより、第1の期間から第2の期間への切り換えが行われる。
【0039】
第2の期間内に基本電圧ベクトルV1が発生すると、シャント抵抗10に流れる直流母線電流Idcが電流検出回路8によって検出される。そして、マイコン4は、PWMキャリア信号の谷近傍のタイミングでA/D変換割り込みを発生し、電流検出値を取り込んでA/D変換する。ここで、基本電圧ベクトルV1発生時は、図3の表より明らかなように、インバータ主回路2のU相上アーム、V相下アーム、W相下アームがそれぞれオンされ、シャント抵抗10には相電流Iuに等しい直流母線電流が流れているため、電流検出値をA/D変換することによってU相の相電流Iuを検出することができる。
【0040】
次に、各相の変調度計算処理の流れについて、図7〜8のフローチャート及び図9の表を参照しつつ説明する。
【0041】
PWMキャリア信号の山のタイミングで図7〜8に示す変調度計算ルーチンが呼び出されると、まず、フラグN=0か否かを判定する(ステップ1。以下S1と略記する。他のステップも同様。)。ここで、N=0は第1の期間である場合を、N=1は第2の期間である場合をそれぞれ表している。N=0(第1の期間)である場合(S1:Yes)、変調度の大小関係がmod−u>mod−v>mod−wを満たしているか否かを判定する(S2)。ここで、mod−uはU相PWM変調度を、mod−vはV相PWM変調度を、mod−wはW相PWM変調度をそれぞれ表している。この判定が満たされている場合(S2:Yes)、Countに4を代入する(S3)。尚、Count(カウント)と各相の変調度及び基本電圧ベクトルの組合わせとの関係は図9の表に示されるとおりである。次に、mod−vとmod−wとの差が所定値未満であるか否かを判定する(S4)。S4が満たされている場合(S4:Yes)、U相変調度補正値Reg−u、V相変調度補正値Reg−vにそれぞれ所定値を設定すると共に、Nに1を代入する(S5)。S4の判定が満たされない場合(S4:No)、S5の処理はスキップされる。次に、mod−uとmod−vとの差が所定値未満であるか否かを判定する(S6)。S6が満たされている場合(S6:Yes)、U相変調度補正値Reg−uに所定値を加算すると共に、Nに1を代入する(S7)。S6の判定が満たされない場合(S6:No)、S7の処理はスキップされる。続いて、U相PWM変調度mod−uに補正値Reg−uを、V相PWM変調度mod−vに補正値Reg−vをそれぞれ加算し(S8)、本ルーチンの処理を終了してリターンする。
【0042】
S2の判定が満たされない場合(S2:No)、各相の変調度の大小関係がmod−v>mod−u>mod−wを満たしているか否かを判定し、満たされている場合は、Countに5を代入すると共に、S4〜S8と同様の処理によりV相PWM変調度mod−v及びU相PWM変調度mod−uをそれぞれ補正値Reg−v、補正値Reg−uによって補正し、本ルーチンの処理を終了してリターンする。
【0043】
以下、順次、各相の変調度の大小関係がmod−u>mod−w>mod−vを満たす場合はCountに3を、mod−w>mod−u>mod−vを満たす場合はCountに2を、mod−v>mod−w>mod−uを満たす場合はCountに6を、mod−w>mod−v>mod−uを満たす場合はCountに1をそれぞれ設定する。そして、それぞれの場合について、S4〜S8と同様の処理により、U相PWM変調度mod−u、V相PWM変調度mod−v、W相PWM変調度mod−wを、それぞれ補正値Reg−u、補正値Reg−v、補正値Reg−wによって補正し、本ルーチンの処理を終了してリターンする。尚、Count=5,3,2,6又は1の場合における変調度計算処理(図7の点線で囲んだ部分)の内容はS2〜S8と同様であるので、詳細な記載を省略している。
【0044】
一方、PWMキャリア信号の山近傍のタイミングで再び変調度計算ルーチンが呼び出された場合、N=1となっているため、S1においてNoと判定される。次に、Count=4か否かが判定される(S11)。Count=4である場合(S11:Yes)、U相PWM変調度mod−uより補正値Reg−uを、V相PWM変調度mod−vより補正値Reg−vをそれぞれ減算する(S12)。U相PWM変調度mod−uが0未満であるか否かを判定し(S13)、この判定が満たされている場合(S13:Yes)、mod−u、mod−v、mod−wにそれぞれ1を加算する処理を行う(S14)。以下、S13の判定がNoとなるまで、S13〜S14を繰り返す。mod−uが0以上となった場合(S13:No)、mod−vが0未満であるか否かを判定する(S15)。mod−vが0未満である場合は(S15:Yes)、S14へ進み、mod−vが0以上である場合は(S15:No)、フラグNに0を代入し(S16)、本ルーチンの処理を終了してリターンする。
【0045】
S11の判定が満たされない場合(S11:No)、Count=5を満たしているか否かを判定し、満たされている場合は、S12〜S16と同様の処理によりU相PWM変調度mod−u、V相PWM変調度mod−v及びW相PWM変調度mod−wをそれぞれ補正し、本ルーチンの処理を終了してリターンする。
【0046】
以下、同様に、Countの値が3,2,6,1であるかをそれぞれ判定してS12〜S16と同様の処理によりU相PWM変調度mod−u、V相PWM変調度mod−v及びW相PWM変調度mod−wをそれぞれ補正し、本ルーチンの処理を終了してリターンする。尚、Count=5,3,2,6又は1の場合における変調度計算処理(図8の点線で囲んだ部分)の内容はS11〜S16と同様であるので、詳細な記載を省略している。
【0047】
次に、指令電圧ベクトルが小さい場合の他の駆動例について、図10及び図11を参照しつつ説明する。
【0048】
図10(a)は、通常の制御における指令電圧ベクトルの基本電圧ベクトル成分を、同図(b)は本実施形態の制御における指令電圧ベクトルの基本電圧ベクトル成分をそれぞれ表す図であり、同図(c)は第1の期間及び第2の期間におけるベクトルの合成を説明する図である。また、図11(a)は、通常の制御における各相のPWM変調度信号、PWMキャリア信号、PWMスイッチング信号、基本電圧ベクトル、直流母線電流の一例及びA/D変換割り込みのタイミングを表すタイミングチャート、同図(b)は本実施形態の制御におけるタイミングチャートである。
【0049】
通常の制御では、図10(a)に示すように、指令電圧ベクトルを1PWM周期内に基本電圧ベクトルV4及びV5を出力する。ここで、図11(a)に示すように、基本電圧ベクトルV5は、パルス幅が小さいため電流検出が困難である。
【0050】
一方、本実施形態の制御では、図10(b),(c)に示すように、1PWM周期をなす第1の期間内に、通常よりも大きな基本電圧ベクトルV4,V5を出力し、第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に、基本電圧ベクトルV5に対して180度位相が異なる基本電圧ベクトルV2を出力することによって指令電圧ベクトルが作成される。そして、図11(b)に示すように、第1の期間では基本電圧ベクトルV5が、第2の期間では基本電圧ベクトルV2がそれぞれ十分なパルス幅となるため、それぞれについて電流を高精度に検出することができる。尚、相電流検出処理の流れは上述した例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0051】
次に、指令電圧ベクトルが単一の基本電圧ベクトルで構成される場合の一駆動例について、図12及び図13を参照しつつ説明する。
【0052】
図12(a)は、通常の制御における指令電圧ベクトルの基本電圧ベクトル成分を、同図(b)は本実施形態の制御における指令電圧ベクトルの基本電圧ベクトル成分をそれぞれ表す図であり、同図(c)は第1の期間及び第2の期間におけるベクトルの合成を説明する図である。また、図13(a)は、通常の制御における各相のPWM変調度信号、PWMキャリア信号、PWMスイッチング信号、基本電圧ベクトル、直流母線電流の一例及びA/D変換割り込みのタイミングを表すタイミングチャート、同図(b)は本実施形態の制御におけるタイミングチャートである。
【0053】
通常の制御では、図12(a)に示すように、1PWM周期内に基本電圧ベクトルV4のみを出力することにより指令電圧ベクトルを作成する。ここで、図13(a)に示すように、基本電圧ベクトルV4は、パルス幅が小さいため電流検出が困難である。
【0054】
一方、本実施形態の制御では、図12(b),(c)に示すように、1PWM周期をなす第1の期間内に、通常よりも大きな基本電圧ベクトルV4,V5を出力し、第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に、基本電圧ベクトルV5に対して180度位相が異なる基本電圧ベクトルV2を出力することによって指令電圧ベクトルが作成される。そして、図13(b)に示すように、第1の期間では基本電圧ベクトルV5が、第2の期間では基本電圧ベクトルV2がそれぞれ十分なパルス幅となるため、それぞれについて直流母線電流を高精度に検出することができる。尚、相電流検出処理の流れは上述した例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0055】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分を、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、前記基本電圧ベクトル成分に対しそれぞれ180度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分のうち少なくとも1つを、前記第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に出力する。そして、電流検出回路8がインバータ主回路2のシャント抵抗1を流れる直流母線電流を検出し、マイコン4は、電流検出回路8によって検出された電流値を、PWMキャリア信号の山近傍又は谷近傍のタイミングで、スイッチング素子のスイッチングパターンによって決まる特定相の相電流として検出する。よって、第2の期間において第1の期間における基本電圧ベクトル成分と180度位相が異なる基本電圧ベクトル成分を利用するため、変調度が小さい場合や出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態においても十分な長さのパルス幅となり、電流検出回路8によって高精度に直流母線電流を検出することができ、これにより、スイッチング素子のスイッチングパターンによって決まる特定相の相電流を高精度に検出することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、PWMキャリア信号の山又は谷にて割り込みを発生させる一般的且つ安価なマイコンを電流値取り込み手段として用いることができるので、3相電圧型PWMインバータ装置を簡単且つ安価とすることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、3相中の2相のスイッチング素子のみを所定のPWM周期でスイッチングする2相変調制御を行うように構成する共に、第1の期間と第2の期間との切り替えを、PWMキャリア信号の山近傍又は谷近傍のタイミングで各相の変調度を変更することによって行うことを特徴とする。従って、PWMキャリア信号の山、谷の割り込みを利用することにより、マイコン4における簡単なソフトウェア処理で第1の期間と第2の期間とを切り替えることが可能となる。
【0058】
次に、本発明の3相電圧型PWMインバータ装置の第二の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の3相電圧型PWMインバータ装置の全体構成は、上述した第一の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0059】
以下、本実施形態における指令電圧ベクトルが単一の基本電圧ベクトルに近い位相である場合の一駆動例について、図14及び図15を参照しつつ説明する。
【0060】
図14(a)は、通常の制御における指令電圧ベクトルの基本電圧ベクトル成分を、同図(b)は本実施形態の制御における指令電圧ベクトルの基本電圧ベクトル成分をそれぞれ表す図であり、同図(c)は第1の期間及び第2の期間におけるベクトルの合成を説明する図である。また、図15(a)は、通常の制御における各相のPWM変調度信号、PWMキャリア信号、PWMスイッチング信号、基本電圧ベクトル、直流母線電流の一例及びA/D変換割り込みのタイミングを表すタイミングチャート、同図(b)は本実施形態の制御におけるタイミングチャートである。
【0061】
通常の制御では、図14(a)に示すように、1PWM周期内に基本電圧ベクトルV4及びV5を出力することにより指令電圧ベクトルを作成する。ここで、図15(a)に示すように、基本電圧ベクトルV5は、パルス幅が小さいため電流検出が困難である。
【0062】
一方、本実施形態の制御では、図14(b),(c)に示すように、1PWM周期をなす第1の期間内に、基本電圧ベクトルV4及び60度位相が異なる通常よりも大きな基本電圧ベクトルV5を出力し、第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に、基本電圧ベクトルV4及びV4と60度位相が異なる他の一つの基本電圧ベクトルであるV3を出力することによって指令電圧ベクトルが作成される。そして、図15(b)に示すように、第1の期間では基本電圧ベクトルV5が、第2の期間では基本電圧ベクトルV3がそれぞれ十分なパルス幅となるため、それぞれについて直流母線電流を高精度に検出することができる。尚、相電流検出処理の流れは上述した例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0063】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態によれば、指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、 前記第1の基本電圧ベクトル及び前記第1の基本電圧ベクトルに対して60度位相が異なり且つ前記第2の基本電圧ベクトルとは別の第3の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成されたことを特徴とする。従って、第1の期間内で第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルを出力し、第2の期間内で第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルとは別の第3の基本電圧ベクトルを出力するため、出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態においても十分な長さのパルス幅となり、電流検出回路8によって高精度に直流母線電流を検出することができ、これにより、スイッチング素子のスイッチングパターンによって決まる特定相の相電流を高精度に検出することができる。
【0064】
尚、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【0065】
例えば、前記各実施形態の3相電圧型PWMインバータ装置1において、第1の期間及び前記第2の期間と、通常の変調状態となる期間とを切り換える制御を行うように構成してもよい。ここで、図16は、本変形例におけるPWMキャリア信号の波形の一例を示している。第1の期間及び第2の期間と通常の変調状態となる期間とを所定条件で切り換える(換言すれば、第1の期間及び第2の期間を間引きして発生させる)ことによって、第1の期間及び第2の期間を作成するためのマイコン4におけるソフトウェア処理の負荷が軽減される。
【0066】
また、前記各実施形態の3相電圧型PWMインバータ装置1において、第1の期間及び第2の期間におけるキャリア周波数を、通常の変調制御時よりも高く設定するように構成してもよい。ここで、図17は、本変形例におけるPWMキャリア信号の波形の一例を示している。第1の期間及び第2の期間におけるキャリア周波数が通常の変調制御時よりも相対的に高く設定されることにより電流リップルの発生が低減される。
【0067】
また、前記各実施形態の3相電圧型PWMインバータ装置1において、大きさを持つ基本電圧ベクトルが出力される各PWMキャリア周期の各々の時間幅がそれぞれ所定値以上である第1の状態では、各PWMキャリア周期で電流値の検出を行い、各PWMキャリア周期のいずれかの時間幅が所定値未満である第2の状態では、電流値の検出を禁止するように構成してもよい。本変形例によれば、出力電圧ベクトルの位相が基本電圧ベクトルに近い位相となるPWMキャリア周期の時間幅が小さい状態では電流値が誤検出されやすいため、各PWMキャリア周期の各々の時間幅がそれぞれ所定値以上である第1の状態においてのみ電流値の検出を行い、各PWMキャリア周期のいずれかの時間幅が所定値未満である第2の状態では電流値の検出を禁止することにより電流値の誤検出を防止することができる。
【0068】
さらに、上述した変形例において、第1の状態で各PWMキャリア周期において検出した各電流値及びロータ位置情報より算出した回転座標軸上のq軸電流、d軸電流、特定相の印加電圧位相を基準とする電流位相、又は電流振幅の内、少なくとも1つの情報をメモリに保存するように構成してもよい。本変形例によれば、電流値の検出が禁止される第2の状態においては、メモリに保存されたq軸電流、d軸電流、特定相の印加電圧を基準にした電流位相、電流振幅の内、少なくとも1つの情報を読み出してモータ制御に使用することが可能となる。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の3相電圧型PWMインバータ装置によれば、変調度が小さい場合や出力電圧ベクトルの位相が単一の基本電圧ベクトルに近い位相となる状態においても十分な長さのパルス幅となり、直流母線電流検出手段によって高精度に直流母線電流を検出することができ、これにより、半導体スイッチング素子のスイッチングパターンによって決まる特定相の相電流を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施形態の3相電圧型PWMインバータ装置の電気的回路構成を示す回路図である。
【図2】 基本電圧ベクトルを示す図である。
【図3】 基本電圧ベクトル、スイッチングパターン及び検出相電流の関係を示す表である。
【図4】 基本電圧ベクトルV2発生時における直流母線電流の検出によって相電流−Iwが検出される原理を説明する図である。
【図5】 指令電圧ベクトルが小さい場合における基本電圧ベクトルの発生パターンの一例を説明する図であり、(a)は通常の基本電圧ベクトル成分を、(b)は第一の実施形態における基本電圧ベクトル成分をそれぞれ示す図であり、(c)は(b)におけるベクトルの合成を説明する図である。
【図6】 図5における相電流取り込みタイミングと各信号の一例とを示すタイミングチャートである。
【図7】 変調度計算ルーチンのフローチャートである。
【図8】 変調度計算ルーチンの図7の続き部分を示すフローチャートである。
【図9】 カウントと、変調度の大小関係及び基本電圧ベクトルの組合わせとの関係を示す表である。
【図10】 指令電圧ベクトルが小さい場合における基本電圧ベクトルの発生パターンの他の一例を説明する図であり、(a)は通常の基本電圧ベクトル成分を、(b)は第一の実施形態における基本電圧ベクトル成分をそれぞれ示す図であり、(c)は(b)におけるベクトルの合成を説明する図である。
【図11】 図10における相電流取り込みタイミングと各信号の一例とを示すタイミングチャートである。
【図12】 指令電圧ベクトルが単一の基本電圧ベクトルの位相に近い場合における基本電圧ベクトルの発生パターンの一例を説明する図であり、(a)は通常の基本電圧ベクトル成分を、(b)は第一の実施形態における基本電圧ベクトル成分をそれぞれ示す図であり、(c)は(b)におけるベクトルの合成を説明する図である。
【図13】 図12における相電流取り込みタイミングと各信号の一例とを示すタイミングチャートである。
【図14】 指令電圧ベクトルが単一の基本電圧ベクトルの位相に近い場合における基本電圧ベクトルの発生パターンの一例を説明する図であり、(a)は通常の基本電圧ベクトル成分を、(b)は第二の実施形態における基本電圧ベクトル成分をそれぞれ示す図であり、(c)は(b)におけるベクトルの合成を説明する図である。
【図15】 図14における相電流取り込みタイミングと各信号の一例とを示すタイミングチャートである。
【図16】 第1の期間及び第2の期間と通常の変調を行う期間とを切り換える制御を行うようにした変形例におけるPWMキャリア信号の波形例を示す図である。
【図17】 第1の期間及び第2の期間におけるPWMキャリア周波数を通常の変調時よりも高く設定した変形例におけるPWMキャリア信号の波形例を示す図である。
【符号の説明】
1…3相電圧型PWMインバータ装置、2…インバータ主回路、2u,2v,2w,2x,2y,2z…半導体スイッチング素子、4…マイコン(電流取り込み手段)、8…電流検出回路(直流母線電流検出手段)、10…シャント抵抗(直流母線電流検出手段)。

Claims (8)

  1. 半導体スイッチング素子を用いたインバータ主回路と、そのインバータ主回路における直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置において、
    指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分を、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、前記基本電圧ベクトル成分に対しそれぞれ180度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分のうち少なくとも1つを、前記第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成され
    前記第1の期間及び前記第2の期間と、通常の変調状態となる期間とを切り換える制御を行うことを特徴とする3相電圧型PWMインバータ装置。
  2. 半導体スイッチング素子を用いたインバータ主回路と、そのインバータ主回路における直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置において、
    指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、 前記第1の基本電圧ベクトル及び前記第1の基本電圧ベクトルに対して60度位相が異なり且つ前記第2の基本電圧ベクトルとは別の第3の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成され、
    前記第1の期間及び前記第2の期間と、通常の変調状態となる期間とを切り換える制御を行うことを特徴とする3相電圧型PWMインバータ装置。
  3. 前記第1の期間及び前記第2の期間におけるキャリア周波数を、通常の変調制御時よりも高く設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の3相電圧型PWMインバータ装置。
  4. 半導体スイッチング素子を用いたインバータ主回路と、そのインバータ主回路における直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置において、
    指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分を、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、前記基本電圧ベクトル成分に対しそれぞれ180度位相が異なる2つの基本電圧ベクトル成分のうち少なくとも1つを、前記第1の期間に連続する1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成され
    大きさを持つ基本電圧ベクトルが出力される各PWMキャリア周期の各々の時間幅がそれぞれ所定値以上である第1の状態では、前記各PWMキャリア周期で電流値の検出を行い、前記各PWMキャリア周期のいずれかの時間幅が所定値未満である第2の状態では、電流値の検出を禁止したことを特徴とする3相電圧型PWMインバータ装置。
  5. 半導体スイッチング素子を用いたインバータ主回路と、そのインバータ主回路における直流母線電流を検出する直流母線電流検出手段とを備えた3相電圧型PWMインバータ装置において、
    指令電圧ベクトルを作成可能な60度位相が異なる第1の基本電圧ベクトル及び第2の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第1の期間内に出力すると共に、 前記第1の基本電圧ベクトル及び前記第1の基本電圧ベクトルに対して60度位相が異なり且つ前記第2の基本電圧ベクトルとは別の第3の基本電圧ベクトルを、1PWM周期をなす第2の期間内に出力するように構成され、
    大きさを持つ基本電圧ベクトルが出力される各PWMキャリア周期の各々の時間幅がそれぞれ所定値以上である第1の状態では、前記各PWMキャリア周期で電流値の検出を行い、前記各PWMキャリア周期のいずれかの時間幅が所定値未満である第2の状態では、電流値の検出を禁止したことを特徴とする3相電圧型PWMインバータ装置。
  6. 前記第1の状態において検出した各々の相電流値及びロータ位置情報より算出した回転座標軸上のq軸電流、d軸電流、特定相の印加電圧位相を基準とする電流位相、又は電流振幅の内、少なくとも1つの情報をメモリに保存するように構成されたことを特徴とする請求項4又は5に記載の3相電圧型PWMインバータ装置。
  7. 3相中の2相の半導体スイッチング素子のみを所定のPWM周期でスイッチングする2相変調制御を行うように構成されると共に、
    前記直流母線電流検出手段によって検出された電流値をPWMキャリア信号の山近傍又は谷近傍のタイミングで取り込む電流値取り込み手段、
    を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ装置。
  8. 前記第1の期間と前記第2の期間との切り替えを、PWMキャリア信号の山近傍又は谷近傍のタイミングで各相の変調度を変更することによって行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の3相電圧型PWMインバータ装置。
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