JP2021164377A - 電動機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機の制御装置において、電動機の停止にかかる時間の短縮化を図りつつ、電動機が逆回転することを防止する。【解決手段】トルク指令値T*がゼロ以上である場合、または、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、回転数ωが一定の回転数より大きい場合、位置θによりd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*をU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*に変換し、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、回転数ωが一定の回転数以下である場合、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*をゼロにする。【選択図】図1
Description
本発明は、電動機の制御装置に関する。
電動機の制御装置として、電動機の停止時に電動機に負のトルクをかけて電動機の回転数を比較的早く低下させるものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
ところで、電動機に流れる電流や電圧指令値に含まれるノイズをフィルタにより除去した後、その電流や電圧指令値を用いて電動機の回転数を推定する場合、フィルタの時定数により回転数の推定が遅れ、推定された回転数が実際の回転数と異なるおそれがある。
また、レゾルバなどにより検出される電動機の回転子の位置に含まれるノイズをフィルタにより除去した後、その位置を用いて電動機の回転数を演算する場合、フィルタの時定数により回転数の演算が遅れ、演算された回転数が実際の回転数と異なるおそれがある。
そのため、上記制御装置では、フィルタによりノイズが除去された電流や電圧指令値を用いて電動機の回転数を推定する場合またはフィルタによりノイズが除去された位置を用いて電動機の回転数を演算する場合で、かつ、電動機の停止時に電動機に負のトルクをかける場合、実際の回転数がすでにゼロになっているにもかかわらず推定または演算された回転数がまだゼロになっていないために電動機に負のトルクをかけ続けて実際の回転数が負の値になる可能性、すなわち、電動機を逆回転させてしまう可能性がある。
本発明の一側面に係る目的は、電動機の制御装置において、電動機の停止にかかる時間の短縮化を図りつつ、電動機が逆回転することを防止することである。
本発明に係る一つの形態である電動機の制御装置は、電動機の回転数と回転数指令値との差によりトルク指令値を算出するトルク制御部と、トルク指令値をd軸電流指令値及びq軸電流指令値に変換する第1の変換部と、電動機の回転子の位置により電動機に流れる電流をd軸電流及びq軸電流に変換する第2の変換部と、d軸電流とd軸電流指令値との差が小さくなるようにd軸電圧指令値を算出するとともにq軸電流とq軸電流指令値との差が小さくなるようにq軸電圧指令値を算出する電流制御部と、トルク指令値がゼロ以上である場合、または、トルク指令値がゼロより小さい場合で、かつ、回転数が一定の回転数より大きい場合、回転子の位置によりd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値を電動機の各相に対応する電圧指令値に変換し、トルク指令値がゼロより小さい場合で、かつ、回転数が一定の回転数以下である場合、電動機の各相に対応する電圧指令値をゼロにする第3の変換部と、搬送波と各相に対応する電圧指令値との比較結果により電動機を駆動させるドライブ回路とを備える。
これにより、電動機の停止時に電動機に負のトルクをかけつつ、回転数が一定の回転数まで低下した後、電動機にトルクをかけることを止めて回転子にかかる摩擦力などで実際の回転数をゼロまで低下させることができるため、電動機の停止にかかる時間の短縮化を図りつつ、電動機が逆回転することを防止することができる。
また、本発明に係る一つの形態である電動機の制御装置は、d軸電流、q軸電流、d軸電圧指令値、及びq軸電圧指令値により電動機の回転数及び電動機の回転子の位置を推定する推定部を備えるように構成してもよい。
これにより、推定される回転数及び位置を用いて電動機の駆動を制御する場合において、電動機の停止にかかる時間の短縮化を図りつつ、電動機が逆回転することを防止することができる。
本発明によれば、電動機の制御装置において、電動機の停止にかかる時間の短縮化を図りつつ、電動機が逆回転することを防止することができる。
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の電動機の制御装置の一例を示す図である。
図1に示す制御装置1は、例えば、車両(電動フォークリフトやプラグインハイブリッド車など)に搭載される電動機M(永久磁石同期電動機など)を駆動するための制御装置であって、インバータ回路2と、制御回路3とを備える。
インバータ回路2は、電源Pから供給される直流電力を交流電力に変換して電動機Mを駆動するものであって、コンデンサCと、スイッチング素子SW1〜SW6(IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など)と、電流センサSi1、Si2とを備える。すなわち、コンデンサCの一方端が電源Pの正極端子及びスイッチング素子SW1、SW3、SW5の各コレクタ端子に接続され、コンデンサCの他方端が電源Pの負極端子及びスイッチング素子SW2、SW4、SW6の各エミッタ端子に接続されている。スイッチング素子SW1のエミッタ端子とスイッチング素子SW2のコレクタ端子との接続点は電流センサSi1を介して電動機MのU相の入力端子に接続されている。スイッチング素子SW3のエミッタ端子とスイッチング素子SW4のコレクタ端子との接続点は電流センサSi2を介して電動機MのV相の入力端子に接続されている。スイッチング素子SW5のエミッタ端子とスイッチング素子SW6のコレクタ端子との接続点は電動機MのW相の入力端子に接続されている。
コンデンサCは、電源Pからインバータ回路2に出力される電圧を平滑する。
スイッチング素子SW1は、制御回路3から出力されるパルス幅変調信号S1がハイレベルであるときオンし、パルス幅変調信号S1がローレベルであるときオフする。スイッチング素子SW2は、制御回路3から出力されるパルス幅変調信号S2がハイレベルであるときオンし、パルス幅変調信号S2がローレベルであるときオフする。スイッチング素子SW3は、制御回路3から出力されるパルス幅変調信号S3がハイレベルであるときオンし、パルス幅変調信号S3がローレベルであるときオフする。スイッチング素子SW4は、制御回路3から出力されるパルス幅変調信号S4がハイレベルであるときオンし、パルス幅変調信号S4がローレベルであるときオフする。スイッチング素子SW5は、制御回路3から出力されるパルス幅変調信号S5がハイレベルであるときオンし、パルス幅変調信号S5がローレベルであるときオフする。スイッチング素子SW6は、制御回路3から出力されるパルス幅変調信号S6がハイレベルであるときオンし、パルス幅変調信号S6がローレベルであるときオフする。
スイッチング素子SW1〜SW6がそれぞれオン、オフすることで、電源Pから出力される直流の電圧が、互いに位相が120度ずつ異なる交流電圧Vu、Vv、Vwに変換される。そして、交流電圧Vuが電動機MのU相の入力端子に印加され、交流電圧Vvが電動機MのV相の入力端子に印加され、交流電圧Vwが電動機MのW相の入力端子に印加されることで、電動機Mに互いに位相が120度ずつ異なる交流電流Iu、Iv、Iwが流れ、電動機Mの回転子が回転する。
電流センサSi1は、ホール素子やシャント抵抗などにより構成され、電動機MのU相に流れる交流電流Iuを検出して制御回路3に出力する。また、電流センサSi2は、ホール素子やシャント抵抗などにより構成され、電動機MのV相に流れる交流電流Ivを検出して制御回路3に出力する。
制御回路3は、記憶部4と、ドライブ回路5と、演算部6とを備える。
記憶部4は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)などにより構成され、後述する一定の回転数などを記憶する。
ドライブ回路5は、IC(Integrated Circuit)などにより構成され、演算部6から出力されるU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*と搬送波とを比較し、その比較結果に応じたパルス幅変調信号S1〜S6をスイッチング素子SW1〜SW6のそれぞれのゲート端子に出力する。なお、搬送波は、三角波、ノコギリ波(鋸歯状波)、逆ノコギリ波などとする。
例えば、ドライブ回路5は、U相電圧指令値Vu*が搬送波以上である場合、ハイレベルのパルス幅変調信号S1を出力するとともにローレベルのパルス幅変調信号S2を出力し、U相電圧指令値Vu*が搬送波より小さい場合、ローレベルのパルス幅変調信号S1を出力するとともにハイレベルのパルス幅変調信号S2を出力する。また、ドライブ回路5は、V相電圧指令値Vv*が搬送波以上である場合、ハイレベルのパルス幅変調信号S3を出力するとともにローレベルのパルス幅変調信号S4を出力し、V相電圧指令値Vv*が搬送波より小さい場合、ローレベルのパルス幅変調信号S3を出力するとともにハイレベルのパルス幅変調信号S4を出力する。また、ドライブ回路5は、W相電圧指令値Vw*が搬送波以上である場合、ハイレベルのパルス幅変調信号S5を出力するとともにローレベルのパルス幅変調信号S6を出力し、W相電圧指令値Vw*が搬送波より小さい場合、ローレベルのパルス幅変調信号S5を出力するとともにハイレベルのパルス幅変調信号S6を出力する。
演算部6は、マイクロコンピュータなどにより構成され、減算部7と、トルク制御部8と、トルク/電流指令値変換部9(第1の変換部)と、座標変換部10(第2の変換部)と、減算部11と、減算部12と、電流制御部13と、座標変換部14(第3の変換部)と、推定部15とを備える。例えば、マイクロコンピュータが記憶部4に記憶されているプログラムを実行することにより、減算部7、トルク制御部8、トルク/電流指令値変換部9、座標変換部10、減算部11、減算部12、電流制御部13、座標変換部14、推定部15、及び後述する推定部15内のフィルタが実現される。
減算部7は、外部から入力される回転数指令値ω*と推定部15から出力される回転数ωとの差Δωを算出する。
トルク制御部8は、減算部7から出力される差Δωを用いて、トルク指令値T*を求める。例えば、トルク制御部8は、記憶部4に記憶されている、電動機Mの回転数と電動機Mのトルクとが互いに対応付けられている情報を参照して、差Δωに相当する回転数に対応するトルクをトルク指令値T*として求める。
トルク/電流指令値変換部9は、トルク制御部8から出力されるトルク指令値T*を、d軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*に変換する。例えば、トルク/電流指令値変換部9は、記憶部4に記憶されている、電動機Mのトルクとd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*とが互いに対応付けられている情報を参照して、トルク指令値T*に相当するトルクに対応するd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を求める。
座標変換部10は、電流センサSi1により検出される交流電流Iu及び電流センサSi2により検出される交流電流Ivを用いて、電動機MのW相に流れる交流電流Iwを求める。なお、電流センサSi1、Si2により検出される電流は、交流電流Iu、Ivの組み合わせに限定されず、交流電流Iv、Iwの組み合わせ、または、交流電流Iu、Iwの組み合わせでもよい。電流センサSi1、Si2により交流電流Iv、Iwが検出される場合、座標変換部10は、交流電流Iv、Iwを用いて、交流電流Iuを求める。また、電流センサSi1、Si2により交流電流Iu、Iwが検出される場合、座標変換部10は、交流電流Iu、Iwを用いて、交流電流Ivを求める。
また、座標変換部10は、推定部15により推定される位置θ(回転子の基準位置から現在の位置までの位相)を用いて、交流電流Iu、Iv、Iwをd軸電流Id(弱め界磁を発生させるための電流成分)及びq軸電流Iq(トルクを発生させるための電流成分)に変換する。例えば、座標変換部10は、下記式1に示す変換行列C1を用いて、交流電流Iu、Iv、Iwを、d軸電流Id及びq軸電流Iqに変換する。
また、インバータ回路2において、電流センサSi1、Si2の他に、電動機MのW相に流れる交流電流Iwを検出する電流センサSi3をさらに備える場合、座標変換部10は、推定部15から出力される位置θを用いて、電流センサSi1〜Si3により検出される交流電流Iu、Iv、Iwをd軸電流Id及びq軸電流Iqに変換するように構成してもよい。
減算部11は、トルク/電流指令値変換部9から出力されるd軸電流指令値Id*と、座標変換部10から出力されるd軸電流Idとの差ΔIdを算出する。
減算部12は、トルク/電流指令値変換部9から出力されるq軸電流指令値Iq*と、座標変換部10から出力されるq軸電流Iqとの差ΔIqを算出する。
電流制御部13は、減算部11から出力される差ΔId及び減算部12から出力される差ΔIqを用いたPI(Proportional Integral)制御によりd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を算出する。例えば、電流制御部13は、下記式2を用いてd軸電圧指令値Vd*を算出するとともに、下記式3を用いてq軸電圧指令値Vq*を算出する。なお、KpはPI制御の比例項の定数とし、KiはPI制御の積分項の定数とし、Lqは電動機Mを構成するコイルのq軸インダクタンスとし、Ldは電動機Mを構成するコイルのd軸インダクタンスとし、ωは推定部15から出力される回転数とし、Keは誘起電圧定数とする。
d軸電圧指令値Vd*=Kp×差ΔId+Ki×∫(差ΔId)−ωLqIq・・・式2
q軸電圧指令値Vq*=Kp×差ΔIq+Ki×∫(差ΔIq)+ωLdId+ωKe・・・式3
すなわち、電流制御部13は、d軸電流Idとd軸電流指令値Id*との差ΔIdが小さくなるようにd軸電圧指令値Vd*を算出するとともにq軸電流Iqとq軸電流指令値Iq*との差ΔIqが小さくなるようにq軸電圧指令値Vq*を算出する。
座標変換部14は、トルク制御部8から出力されるトルク指令値T*がゼロ以上である場合、または、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、推定部15から出力される回転数ωが一定の回転数より大きい場合、推定部15から出力される位置θを用いて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*に変換する。例えば、座標変換部14は、下記式4に示す変換行列C2を用いて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*に変換する。なお、一定の回転数は、例えば、回転数ωの正の最大値の1%未満の回転数とする。
また、座標変換部14は、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、推定部15から出力される回転数ωが一定の回転数以下である場合、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*をゼロにする。
推定部15は、座標変換部10から出力されるd軸電流Id及びq軸電流Iq、並びに、電流制御部13から出力されるd軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*を用いて、回転数ω及び位置θを推定する。例えば、推定部15は、下記式5に示す電圧方程式を用いて回転数ωを求め、その求めた回転数ωに所定時間(演算部6の動作クロックなど)を乗算することにより位置θを求める。なお、Rは電動機Mを構成するコイルの抵抗成分とし、pは微分演算子とする。
図2は、座標変換部14の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、座標変換部14は、トルク指令値T*がゼロ以上である場合(ステップS1:No)、または、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、推定部15から出力される回転数ωが一定の回転数より大きい場合(ステップS1:Yes、ステップS2:No)、推定部15から出力される位置θを用いて、d軸電圧指令値Vd*及びq軸電圧指令値Vq*をU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*に変換する(ステップS3)。
一方、座標変換部14は、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、推定部15から出力される回転数ωが一定の回転数以下である場合(ステップS1:Yes、ステップS2:Yes)、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*をゼロにする(ステップS4)。これにより、パルス幅変調信号S1〜S6のそれぞれのデューティ比をゼロにすることができるため、インバータ回路2を停止させることができ、電動機Mにトルクがかからないようにすることができる。
すなわち、座標変換部14は、力行制御により電動機Mを駆動させている場合、または、回生制御により電動機Mを駆動させている場合で、かつ、推定された回転数ωが比較的大きい場合、電動機Mにトルクをかけ続ける。
一方、座標変換部14は、回生制御により電動機Mを駆動させている場合で、かつ、推定された回転数ωが比較的小さくなると、電動機Mにトルクをかけることを止める。これにより、回転子が惰性で回転するため、回転子にかかる摩擦力などにより実際の回転数を徐々に低下させることができる。
図3は、回転数ωとトルク指令値T*との関係を示す図である。なお、図3に示す2次元座標の横軸は回転数ωを示し、縦軸はトルク指令値T*を示している。また、+ωは回転数ωの正の最大値を示し、+T*はトルク指令値T*の正の最大値を示し、−T*はトルク指令値T*の負の最大値を示している。また、回転数ω及びトルク指令値T*は+ω、+T*、及び−T*を通る破線枠内において変化するものとする。
例えば、回転数ω及びトルク指令値T*がそれぞれ正の値である状態(力行制御により電動機Mが駆動している状態)から回転数指令値ω*が急峻にゼロに変化して電動機Mが停止する状態に遷移する場合を想定する。
この場合、トルク制御部8は、図3に示す実線の矢印のように、トルク指令値T*を負の最大値に変化させる。これにより、電動機Mに負のトルクをかけることができるため、すなわち、回生制御により電動機Mを駆動させることができるため、電動機Mに負のトルクをかけずに回転子にかかる摩擦力などで電動機Mを停止させる場合に比べて、実際の回転数を早く低下させることができる。
一般に、フィルタによりノイズが除去されたd軸電流Id、q軸電流Iq、d軸電圧指令値Vd*、及びq軸電圧指令値Vq*を用いて、回転数ωが推定される場合、フィルタがもつ時定数により回転数ωの推定が遅れる。特に、回転数ωが比較的小さいとき、回転数ωの推定が遅れ易くなる。そのため、推定された回転数ωがゼロに近づくに従ってトルク指令値T*が負の最大値からゼロに変化していく場合では、実際の回転数がすでにゼロになっているにもかかわらず、推定された回転数ωがまだゼロになっていないと、電動機Mに負のトルクをかけ続けてしまい、図3に示す破線の矢印のように、実際の回転数が負の値になる可能性、すなわち、電動機Mが逆回転する可能性がある。
そこで、本実施形態の制御装置1では、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、推定部15から出力される回転数ωが一定の回転数以下である場合、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*をゼロにする構成である。これにより、電動機Mの停止時に電動機Mに負のトルクをかけて回転数ωを一定の回転数まで低下させた後、電動機Mにトルクをかけることを止めて回転子にかかる摩擦力などで実際の回転数をゼロまで低下させることができるため、電動機Mの停止にかかる時間の短縮化を図りつつ、電動機Mが逆回転することを防止することができる。
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
<変形例>
図4は、実施形態の制御装置1の変形例を示す図である。なお、図4において、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4は、実施形態の制御装置1の変形例を示す図である。なお、図4において、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4に示す制御装置1において、図1に示す制御装置1と異なる点は、推定部15の替わりに回転数演算部16を備えている点である。なお、電動機Mは、回転子の位置θを検出し、その検出した位置θを制御回路3に出力する電気角検出部Sp(レゾルバなど)を備えているものとする。また、図4に示す制御装置1では、例えば、回転数演算部16に入力される位置θに含まれるノイズを除去するフィルタの時定数により回転数ωの演算が遅延するものとする。そのため、実際の回転数がすでにゼロになっているにもかかわらず演算された回転数ωがまだゼロになっていないために電動機Mに負のトルクが継続してかかり実際の回転数が負の値になる可能性、すなわち、電動機Mを逆回転させてしまう可能性がある。
回転数演算部16は、電気角検出部Spにより検出される位置θを用いて、回転数ωを演算する。例えば、回転数演算部16は、位置θを所定時間(演算部6の動作クロックなど)で除算することにより回転数ωを求める。
また、図4に示す減算部7は、外部から入力される回転数指令値ω*と回転数演算部16から出力される回転数ωとの差Δωを算出する。
また、図4に示す座標変換部14は、トルク制御部8から出力されるトルク指令値T*がゼロ以上である場合、または、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、回転数演算部16から出力される回転数ωが一定の回転数より大きい場合、電気角検出部Spにより検出される位置θを用いて、d軸電圧指令値Vd**及びq軸電圧指令値Vq**を、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*に変換する。
また、図4に示す座標変換部14は、トルク制御部8から出力されるトルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、回転数演算部16から出力される回転数ωが一定の回転数以下である場合、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*をゼロにする。
このように、図4に示す制御装置1は、図1に示す制御装置1と同様に、トルク指令値T*がゼロより小さい場合で、かつ、回転数ωが一定の回転数以下である場合、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、及びW相電圧指令値Vw*をゼロにする構成である。これにより、電動機Mの停止時に電動機Mに負のトルクをかけて回転数ωを一定の回転数まで低下させた後、電動機Mにトルクをかけることを止めて回転子にかかる摩擦力などで実際の回転数をゼロまで低下させることができるため、電動機Mの停止にかかる時間の短縮化を図りつつ、電動機Mが逆回転することを防止することができる。
1 制御装置
2 インバータ回路
3 制御回路
4 記憶部
5 ドライブ回路
6 演算部
7 減算部
8 トルク制御部
9 トルク/電流指令値変換部
10 座標変換部
11 減算部
12 減算部
13 電流制御部
14 座標変換部
15 推定部
16 回転数演算部
2 インバータ回路
3 制御回路
4 記憶部
5 ドライブ回路
6 演算部
7 減算部
8 トルク制御部
9 トルク/電流指令値変換部
10 座標変換部
11 減算部
12 減算部
13 電流制御部
14 座標変換部
15 推定部
16 回転数演算部
Claims (2)
- 電動機の回転数と回転数指令値との差によりトルク指令値を算出するトルク制御部と、
前記トルク指令値をd軸電流指令値及びq軸電流指令値に変換する第1の変換部と、
前記電動機の回転子の位置により前記電動機に流れる電流をd軸電流及びq軸電流に変換する第2の変換部と、
前記d軸電流と前記d軸電流指令値との差が小さくなるようにd軸電圧指令値を算出するとともに前記q軸電流と前記q軸電流指令値との差が小さくなるようにq軸電圧指令値を算出する電流制御部と、
前記トルク指令値がゼロ以上である場合、または、前記トルク指令値がゼロより小さい場合で、かつ、前記回転数が一定の回転数より大きい場合、前記位置により前記d軸電圧指令値及び前記q軸電圧指令値を前記電動機の各相に対応する電圧指令値に変換し、前記トルク指令値がゼロより小さい場合で、かつ、前記回転数が前記一定の回転数以下である場合、前記電動機の各相に対応する電圧指令値をゼロにする第3の変換部と、
搬送波と前記電動機の各相に対応する電圧指令値との比較結果により前記電動機を駆動させるドライブ回路と、
を備える電動機の制御装置。 - 請求項1に記載の電動機の制御装置であって、
前記d軸電流、前記q軸電流、前記d軸電圧指令値、及び前記q軸電圧指令値により前記回転数及び前記位置を推定する推定部を備える
ことを特徴とする電動機の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020067199A JP2021164377A (ja) | 2020-04-03 | 2020-04-03 | 電動機の制御装置 |
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WO2024053167A1 (ja) * | 2022-09-07 | 2024-03-14 | 日本精工株式会社 | モータ制御装置、電動アクチュエータ製品及び電動パワーステアリング装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH11299276A (ja) * | 1998-04-09 | 1999-10-29 | Kokusan Denki Co Ltd | 電動機の停止制御方法 |
JP2012196104A (ja) * | 2011-03-18 | 2012-10-11 | Ntn Corp | モータ駆動装置 |
JP2018174631A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 株式会社豊田自動織機 | モータ駆動用インバータ装置 |
-
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- 2020-04-03 JP JP2020067199A patent/JP2021164377A/ja active Pending
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