JP5080314B2 - 歯車構造体及び時計 - Google Patents
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第一の従来例としては、圧入部の形状は、歯車穴部、軸圧入部、外形形状はともに円形をしており、軸の回転軸と歯車の回転軸が重なるように圧入されるものがある。
また、軸が圧入される時に歯車穴部と干渉する部分の径と歯車穴の径は、しまりばめとなる径をしており、軸が圧入される時に歯車穴部と干渉する部分と歯車穴部の間に生じる摩擦力によって、トルクが発生したときに軸と歯車が相対的に回転しないように構成されている。
この歯車構造体が、歯車と軸が嵌合されるとき、歯車穴の軸凸部と干渉する箇所は嵌合前の歯車穴径よりも大きくなるように変形し、さらに、変形した歯車穴の一部は、軸の凹部へ嵌合前の歯車穴径よりも小さくなりながら凸部と形成し軸の凹部へ入り込む様を変形する。このようにして、軸に形成された凹部と嵌合することにより軸の凸部によって形成された歯車穴の凸部が、軸に形成された凸部と嵌合することにより軸の凸部によって形成された歯車穴の凹部が、係合しトルクの伝達がなされることで、軸と歯車の間で生じる摩擦力だけでなく凹凸の噛み合いにより、歯車と軸に生じるトルク差に対してより強固に締結することが可能となる。よって、初めに示した歯車穴とそこに圧入される軸の形状が円形のものよりトルクを伝達させることが出来る。
しかし、軸に直接加工を加えて凸部を形成しまったことにより、その隣り合わせにある軸凹部の回転方向に生じるトルクに対して強度が低くなってしまい、軸に大きなトルクを生じさせた際に、そのトルクに耐えることが出来ずに、軸の凸部が変形しまうことになり、大きなトルクを伝達させることが出来ないという課題がある。
そこで本発明は、歯車と軸とが相対回転することなく高トルクの伝達が可能な歯車構造体及びこれを備えた時計を提供することを目的とする。
従来の圧入部の形状が、歯車穴部、軸圧入部外形形状ともに円形をしており、軸の回転軸と歯車の回転軸が重なるように圧入されるものではトルクが加えられたときに軸と歯車穴の接触面で生じる摩擦力のみで軸と歯車が相対回転をしないようにしていた。この軸圧入部とそこに圧入される歯車穴部の形状は、接触面上において確実に合致するように加工を施すようにすることは大変困難である。そのため軸を歯車穴に圧入したとしても、歯車穴と軸圧入部の接触面の間で滑りが生じてしまったり、歯車穴部に軸が圧入された際に歯車穴径に歯対して軸径が大きいために歯車が軸方向に反りを生じてしまい、歯先が隣り合う歯車と噛み合わないために、十分にトルクの伝達を行うことはできない。
また、歯車穴に軸が圧入されたとき、歯車穴に形成された突起部と軸圧入部では、突起部先端により形成される凸部先端により形成される円径が軸圧入部の径よりも小さいので、その軸圧入部は歯車穴に形成された突起部先端部から軸中心に向かって変形する。このとき、歯車回転方向にも突起部の持つ幅と同じ程度の変形が生じることになる。このときの変形が隣り合う突起部による変形部分と重なってしまう場合、両突起部の間にくる歯車穴部も、軸中心方向へ変形してしまい、歯車穴に形成された突起部先端と軸圧入部との接触面部分が少なくなってしまう。よって、歯車穴に形成された突起部と、軸が圧入されたことにより形成された突起部間の噛み合いが少なくなってしまい、軸圧入部と歯車穴部の噛み合いにより軸と歯車を回転方向に押さえる力は生じなくなってしまう。よって、歯車穴に形成する突起部先端の間隔は、軸圧入部に生じる変形部が歯車穴に形成されている隣り合う突起部によって生じる変形部と干渉し合わないだけの間隔で形成するものとする。
歯車穴に形成される突起部の突起先端までの長さは、軸が歯車穴に圧入されたときに、軸の圧入部外径が歯車穴に接することがないものとし、軸回転方向にトルクが生じたときに、突起部が軸圧入部から受けるトルクで軸と歯車部に所定の機能に影響を及ぼす量の相対回転を生じない長さとする。
歯車穴に形成される突起部の形状は、歯車中心の向きに凸となった形状であり、その凸形状は、歯車穴に軸が圧入されたときに、その先端部が圧入される軸と締め代をもつ状態あればよい。
凸部の形状としては、台形形状や円形状、三角形状などが挙げられるが、これらは、軸が圧入されたときに、軸と歯車が相対回転を起こすことなく、圧入方向・回転方向に変形することがなければこの限りではない。
(2)実施形態の詳細
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る、軸と歯車を示す説明図である。
また、突起部4により歯車穴31の軸圧入部に凹凸部が形成されることで、軸21、もしくは歯車11に回転方向にトルクがかけられたときに、軸21と歯車11間では、歯車穴31に形成されている凹凸と、歯車穴31に形成された凹凸部が圧入されたことによって軸21に形成された凹凸が噛み合うことによって、歯車と軸のトルクの伝達のされ方が、圧入部の形状が、歯車穴部31、軸圧入部外形形状ともに円形をしているときのような歯車穴31と軸21の間に生じる摩擦力だけでなく、歯車穴31と軸圧入部に形成された凹凸部の回転方向と垂直をなす面に生じる力によって、直接歯車穴31にある突起部4と軸圧入部に形成された突起部が押し合うことで、相対回転することなく、トルク伝達をすることが可能となる。
(実施の形態2)
図2は、この発明の実施の形態2に係る、軸と歯車を示す説明図である。
一方、突起部5bは長さの短い面部53は、歯車穴32の内面と略垂直をなすように形成されている。突起部5bの長い面部54は、両面部53と54の交点を中心として、短い面部53を反時計回りbの方向に45度回転させた位置に形成されている。
このように形成された突起部5a、5bはそれぞれ軸が圧入されると、5aは軸22がa方向にトルクを受けたとき、突起部5aによって軸中心方向cに押し込まれており突起部の短い面部52と回転方向と垂直な面で面接触している状態となっている。これより、軸22と歯車12が直接回転方向にトルクを発生させることができるようになり、軸22と歯車穴32の間で生じる静止摩擦力よりも大きな力が発生しても、相対回転することなくトルクを発生させることができる。突起部5bについては、軸22がb方向にトルクを受けたときに同様にトルクを発生させることが出来る。このように、a方向、b方向の両回転方向の相対回転を抑えるためには、5a、5bの両突起部を必要とする。しかし、一方向のみの相対回転を抑える場合には、5aのみ、もしくは5bのみの突起部を3個以上、歯車穴32に形成すればよい。
突起部5a、5bの両突起部を形成するとき、その設置間隔は突起部5aの頂点部55が軸22と接触することで、歯車中心方向cに変形する。このとき軸は中心方向だけでなく、回転方向にも幅をもって変形することになる。突起部5aと隣り合う突起部5bの頂点部56と軸22が接触することで、同様に軸22は歯車中心方向cに変形する。この変形幅が隣り合う突起部による変形部分と干渉すると頂点部55による歯車中心方向の変形部と頂点部56による変形部が干渉してしまい、頂点部55は反時計回りb方向に、頂点部56では時計回りa方向に、軸22と嵌合する部分がなくなってしまう。よって、両変形部分が干渉しないだけの間隔を空けて突起部5a、5b設置するものとする。
(実施の形態3)
図3は、この発明の実施の形態3に係る、軸と歯車を示す説明図である。
(他の実施の形態)
図4に示すように、上述した本実施形態の突起部5a、5bと突起部6を同じ歯車穴上に形成してもよい。他形状同士が同じ歯車穴上に形成されたとしても、軸と歯車が相対回転を起こすことはなく、軸と歯車の回転中心がずれた状態になることもなく、トルクを発生させることが出来る。
11、12、13、14 歯車
21、22、23、24 軸
31、32、33、34 歯車穴
41、55、56 頂点部
51、54 長い面部
52、53 短い面部
61 上底部(軸接面部)
100、200、300、400 歯車構造体
a 時計回り
b 反時計回り
c 軸中心方向
d 軸中心逆方向
Claims (3)
- 歯車と、
前記歯車の中心部に形成された歯車穴に圧入される軸とで構成され、
前記歯車は前記歯車穴の中心方向に凸となっている3つ以上の突起部を有し、前記軸の圧入により前記突起部または前記軸が変形されて前記歯車と前記軸が固定される歯車構造体であって、
前記突起部の先端部を結んで出来る歯先円の径より大きく前記歯車穴の径より小さい軸が圧入された際、圧入により変形された前記突起部の先端部を結んで出来る歯先円の径が前記歯車穴の径より小さくなることによって、前記軸と前記変形された前記突起部の先端部が嵌合され、
前記突起部は、それぞれ線対称の一対の突起からなり、前記一対の突起のそれぞれが歯車平面において長い面部と短い面部を有し、前記短い面部は前記歯車穴の内面と略垂直に構成されることを特徴とする歯車構造体。 - 前記突起部の間隔が略等間隔である請求項1記載の歯車構造体。
- 請求項1又は2に記載の歯車構造体を備えた時計体。
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