JP5078867B2 - 永久磁石型回転電機およびそれを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents

永久磁石型回転電機およびそれを用いた電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

この発明は永久磁石型回転電機に関するものであり、特に例えば自動車の電動パワーステアリング装置などに用いるのに適した永久磁石型回転電機に関するものである。
永久磁石型回転電機には一般にトルク脈動が発生する。トルク脈動の原因として、電機子巻線の起磁力高調波や回転子の永久磁石が発生する磁束の高調波成分が考えられる。
永久磁石モータのトルク脈動を低減する技術の一つとして、従来からスキュー(異なる極性の磁極部分間の境界の方向を軸方向に対して斜めにすること)によって高調波の影響を低減する手法が提案されており、例えば特許文献1には隣接する異極間の境界を中心軸方向から一定角度だけ傾斜させた例、すなわち一定のスキュー角度を設けた例が開示されている。
また、特許文献2では、回転軸方向両端部に回転軸方向中央部のスキュー角よりも傾きの小さい、又は逆方向に傾けたスキューを設けた例が開示されている。また、特許文献3には、スキュー角度が回転軸方向両端部において回転軸方向中央部よりも大きくされた永久磁石型モータ用の永久磁石が開示されている。
特開平2−74136号公報 特開平11−136893号公報 特開2003−169452号公報
このような、従来の永久磁石モータにあっては、コギングトルクの低減にはそれぞれ一定の効果があるが、トルク脈動の原因となる無負荷誘起電圧の高調波成分を十分低減することができないため、自動車の電動パワーステアリング装置に組み込む用途として用いられるほどの低トルク脈動のモータを得ることはできなかった。
従って本発明の目的は、無負荷誘起電圧の高調波成分を十分に低減した低トルク脈動の永久磁石モータを得ることである。
この発明によれば、複数相の電機子巻線を有する固定子と、前記固定子に対向するリング形状の永久磁石を有する回転子とを備え、前記永久磁石は、前記永久磁石の回転軸方向両端部における磁極境界のスキュー角が、回転軸中央部における磁極境界のスキュー角よりも大きい角度とされた永久磁石型回転電機において、前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、L1の長さの領域のスキュー角をθ1(電気角)とし、L2の長さの領域のスキュー角をθ2(電気角)としたときに、L1とL2とθ1とθ2で定義されるn次高調波に対するスキュー係数K(n)
Figure 0005078867
ただし、nは自然数、について、K(5)=K(7)を満たすL1とL2とθ1とθ2を選定したことを特徴とする永久磁石型回転電機が得られる。
また、L1とL2とθ1とθ2の選定条件として、同様のスキュー係数K(n)について、K(5)=K(7)の代わりに、(7/5)×K(5)=K(7)、あるいはK(5)とK(7)の2乗和が最小となるようにした永久磁石型回転電機が得られる。
この発明によれば、無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波を大幅に低減することができるのでトルク脈動の大幅な低減効果を得ることができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の永久磁石型回転電機を用いた車両用の電動パワーステアリング装置30を示す概略図である。電動パワーステアリング装置30は、ステアリングホイール31と、一端がステアリングホイール31に取り付けられたコラムシャフト32と、コラムシャフト32の他端に連結されたウォームギヤ33と、ウォームギヤ33を介してコラムシャフト32に連結されたハンドルジョイント34と、ハンドルジョイント34の他端に連結され、ウォームギヤ(図示してない)を内蔵するステアリングギア35と、ステアリングギア35に連結されて、ステアリングホイール31の回転に応じて図示してない操舵車輪を操作するステアリングラック36とを備えている。ウォームギヤ33にはコントローラ37によって制御されて操舵力をアシストするアシストトルクを発生するためのモータである永久磁石型回転電機38が連結されている。
このような本発明の永久磁石型回転電機38を用いた電動パワーステアリング装置30においては、モータ38にて発生するトルクに殆ど脈動が無いため、滑らかなステアリング感覚を得ることが出来、電動パワーステアリング装置における操舵感覚が改善される。
図2には、図1に示す永久磁石型回転電機38の断面を示す。永久磁石型回転電機38は、ハウジング39とハウジング39に固定されたフレーム40と、フレーム40内に支持された固定子42と、固定子42の内周側に設けられて、ハウジング39とフレーム40に設けられた軸受43および44によって回転自在に支持された回転子45とを備えている。固定子42は、フレーム40の内周面に設けられて径方向内側に伸びたティース46を持つ固定子鉄心47と、固定子鉄心47に巻回された電機子巻線48とを備えている。回転子45は、軸受43、44で支持された回転軸49と、回転軸49に取り付けられて固定子42に対面する中空円筒形の永久磁石1と、永久磁石1を回転軸49上に支持する回転子鉄心2とを備えており、また回転子45の回転角度を検出するための回転センサ50も回転軸49上に設けられている。
図3は図2に示す永久磁石型回転電機38の回転子の永久磁石1の斜視図である。永久磁石1の形状はリング形状あるいは筒型であり、周方向にN極とS極が交互に配置されるように着磁された磁極部分3および4を持っている。それぞれの磁極部分3、4の間の境界5は全体としてスキューしていて、N極およびS極の磁極部分3、4の境界5が全体とし回転軸CLに対して傾けられている。また、N極の磁極部分3とS極の磁極部分4の切り替わり部分すなわち境界5のスキュー角すなわち回転軸CLに対する傾き角度が、永久磁石の軸方向の位置に応じて変えられていて、回転軸方向両端部における領域の磁極の境界部分5a、5cのスキュー角が、回転軸方向中央部における磁極の境界部分5bのスキュー角よりも大きい角度とされている。
図示の例では、それぞれの境界5は、図3において永久磁石1の上端の点Aから点Bまでのスキュー角θ1の境界部分5aと、点Bから点Cまでのスキュー角θ2の境界部分5bと、点Cから図3において下端の点Dまでのスキュー角θ1の境界部分5cとで構成されている。
図4は図2に示す本発明の永久磁石型回転電機の線IV−IVに沿った断面図である。固定子42は固定子鉄心47とティース46に巻きまわされた電機子巻線48を有し、回転子42は回転子鉄心2と永久磁石1を有する。電機子巻線48に3相交流が通電されて回転磁界が発生し、この回転磁界と永久磁石1が発生する磁束が同期すれば回転子45が回転する。
以下に、本発明の構成によって、無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波の両方を低減し、電気角60度周期のトルクリップルを低減できることを説明する。
まず、本発明の構成におけるスキュー係数を導出する。スキュー係数は無負荷誘起電圧に高調波がどれだけ含まれるかを評価するための指標であり、各次数に対して定義され、スキュー係数の絶対値が小さいほど高調波が低減されることを示す。
今回スキュー係数を導出する図3に示す永久磁石1のS字スキューの概念図を図5に示す。永久磁石1の軸方向の両端部1aおよび1bでは軸方向の長さLに渡って電気角θの角度でスキューされており、軸方向中心から正の方向、負の方向両方に長さLに渡って電気角θの角度でスキューされた状態を考える。図5においてzは回転軸方向を示し、θは周方向の角度(電気角)を示す。点Aは永久磁石1の回転軸方向端部1aにおける磁極の境界5上の点を示し、点Dは他方の回転軸方向端部1bにおける磁極の境界5上の点を示す。さらに、点BおよびCは境界5上のスキュー角が変化する点を示している。
周方向の角度θで磁束密度がcosθに比例するものとすると、−L−L≦z≦−Lの範囲における磁束密度のz方向の積分値φ
Figure 0005078867
と定義できる。同様に、−L≦z≦Lの範囲における磁束密度のz方向の積分値φは、
Figure 0005078867
と定義できる。
また、L≦z≦L+L の範囲における磁束密度のz方向の積分値φは、
Figure 0005078867
と定義できる。一方、スキューがない場合の軸方向全域にわたる積分値φは、
Figure 0005078867
と定義できる。したがってスキュー係数をKとすると
Figure 0005078867
と定義できるので、式(1)〜(3)を式(5)に代入して、
Figure 0005078867
を得る。一般化してn次高調波に対するスキュー係数K(n)は
Figure 0005078867
となる。
L1=L2とし、θ2=16.5(deg)としたときの5次と7次に対するスキュー係数K(5)とK(7)を横軸スキュー角に対してプロットしたのが図6である。ここで横軸は永久磁石の軸方向両端部でのスキュー角となるので2×(θ1+θ2)としている。これは図5では点Aから点Bまでの角度に相当する。
図6では5次高調波のスキュー係数K(5)は2×(θ1+θ2)=90°付近まで減少し、90°付近でほぼゼロとなり以降増加に転じている。一方、7次高調波のスキュー係数K(7)は90°付近でゼロとなっている。これはすなわち、5次高調波のスキュー係数も7次高調波のスキュー係数も同じスキュー角においてほぼゼロとなっていることになる。これは無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波を同時に大幅に低減できることを示している。
一方、従来例のスキューについて説明する。図7に一定のスキュー角度を設けた例を示す。この場合のスキュー係数は知られているように、スキュー角をθsとすれば、
sin(nθs/2)/(nθs/2)
で定義される。このスキュー係数を5次高調波、7次高調波について示したのが図8である。この例では、5次高調波と7次高調波がほぼ同時にゼロになることはない。すなわち無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波を同時に大幅に低減することはできない。さらに、特許文献2の図1で示された例では、式(7)においてθ1が負のときである。このときの例を図9に示す。こちらも同様に5次高調波と7次高調波がほぼ同時にゼロになっていない。しかしながら、本発明の構成にすることで、5次高調波のスキュー係数も7次高調波のスキュー係数も同じスキュー角において、ほぼゼロとすることが可能となる。
実際に無負荷誘起電圧を従来例と比較したのが図10と図11である。図10は無負荷誘起電圧の波形を基本波で規格化して示している。横軸は電気角の角度である。従来例としては一定角度のスキューにおいてθs=90°とした例であり、本発明は図6の例の2×(θ1+θ2)=90°とした例である。波形自体は大きな差異はないように見えるが、周波数分析すると差異が明確になる。図11は周波数分析し、各次数について基本波に対して何%含まれるのか示した図である。本発明の構成の方が5次、7次高調波ともに低減できているのが確認できる。
次に本発明の構成により、トルク脈動が低減できることと、スキュー角度のばらつきに対するロバスト性が向上する効果が得られることを説明する。無負荷誘起電圧に5次高調波と7次高調波が含まれると、トルク脈動として電気角60度周期の成分(6次成分)が発生する。磁気エネルギーの変動の6次成分は磁束密度の1次成分と5次成分の相互作用と磁束密度の1次成分と7次成分の相互作用に依存するからである。これを考え方を応用し、次のようなパラメータを考案した。スキューを設けないとした場合の無負荷誘起電圧に含まる5次高調波と7次高調波の基本波に対する割合をそれぞれV5、V7とする。このとき、本発明のスキュー構造にしたときの無負荷誘起電圧に含まる5次高調波と7次高調波の基本波に対する割合は、それぞれV5×K(5)、V7×K(7)となる。これらの差V5×K(5)−V7×K(7)の絶対値をトルクリップル評価用パラメータと定義する。すなわち、パラメータを
X=|V5×K(5)−V7×K(7)| (||は絶対値記号) (8)
と定義する。縦軸に本パラメータX、横軸にスキュー角をプロットしたのが図12である。図12は従来例についてもプロットした。図12から、本発明の構造にした場合はパラメータXがゼロになる点は従来例とは異なるが、全体的に値は小さく、特にゼロとなる90°周辺においては非常に小さい値を示すことがわかる。また、ゼロになる点の前後での曲線の傾きは、本発明の方が小さい。これは、スキュー角が製造ばらつきなどの原因で最適値からずれたとしても、トルク脈動があまり増加しない効果があるものと考えられる。すなわち、スキュー角のばらつきに対してロバスト性の高い永久磁石型回転電機が得られるものと考えられる。
そこで、スキュー角度を横軸に、トルク脈動を縦軸にプロットした図を図13に示す。図13から、本発明の構成にすれば従来例よりもトルク脈動が小さくなることが確認できる。従来例では80°付近で最小値をとっているが、本発明では90〜110°付近にて最小となっておりさらにその値は、本発明の方が3割程度小さい。さらに、従来例ではトルク脈動が最小となるスキュー角からずれたときのトルク脈動が増加するが、本発明では90〜110°付近でグラフが平坦となっているのでスキュー角がずれたときのトルク脈動の増加が抑制される。このことから、本発明の構成にすればスキュー角が製造ばらつきなどの原因で最適値からずれたとしても、トルク脈動があまり増加しない効果があるといえる。
トルク脈動が小さくなるスキュー角はパラメータXがX=0をみたす角度とほぼ一致している。ただし、スキューを設けないとした場合の無負荷誘起電圧に含まる5次高調波と7次高調波の基本波に対する割合が分からない場合などは、永久磁石の表面磁束密度の5次成分、7次成分の基本波に対する割合としてV5、V7をそれぞれ定義してもよい。さらに、簡易的な方法として理想的な矩形波着磁を想定するとn次高調波の振幅は1/nに比例するとして5次高調波、7次高調波の基本波に対する割合はV5:V7=1/5:1/7となる。したがってV5=(7/5)V7となりこれを式(8)に代入しV7で規格化した
X‘=|(7/5)×K(5)−K(7)| (||は絶対値記号) (8)
について
X‘=0となるスキュー角に設定してもよい。
さらに、もっと簡単にK(5)=K(7)となるスキュー角としても上記のスキュー角と大きく外れることはなくトルク脈動は低減できる効果は得られる。
また図14に基本波に対するスキュー係数K(1)を示す。トルク脈動が最小となるスキュー角は従来例に比べてやや大きかったが、基本波に対するスキュー係数は従来例と比べてほとんど同じであることが分かる。このことから、従来例とほぼ同じトルクの大きさを確保しながら、トルク脈動を低減する効果が得られることがわかる。
以上説明したように、この発明の永久磁石型回転電機においては、複数相の電機子巻線48を有する固定子42と、固定子2の固定子鉄心47のティース46に対向するリング形状の永久磁石1を有する回転子45とを備え、この永久磁石1は、永久磁石1の回転軸方向両端部1a、1bにおける磁極境界5aのスキュー角θ1が、回転軸中央部L2における磁極境界5bのスキュー角θ2よりも大きい角度とされていて、永久磁石1の軸方向の端部1a、1bから軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、L1の長さの領域のスキュー角をθ1(電気角)とし、L2の長さの領域のスキュー角をθ2(電気角)としたときに、L1とL2とθ1とθ2で定義されるn次高調波に対するスキュー係数K(n)
Figure 0005078867
ただし、nは自然数について、K(5)=K(7)を満たすL1とL2とθ1とθ2を選定とされている。この構成により、無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波の両方を低減することができ、電気角60度周期のトルク脈動を十分小さくすることができる。また、スキュー角がばらついてもトルク脈動が増加しにくく、スキュー角に対してロバスト性の高い永久磁石型回転電機を得ることができる。
実施の形態2.
図15に本実施の形態2にかかる永久磁石型回転電機の永久磁石における磁極の切り替わり部の説明図を示す。図5では磁極の切り替わり部をすべて直線で示したが、回転軸方向でスキュー角を変化させる場合、磁極の切り替わり部のスキュー角が変化する点付近、すなわち図5の点B、点C付近において理想的な折れ線状にすることは、着磁時に着磁ヨークにて磁場分布を折れ線状に変化させなければならず実現するのが難しく、量産が困難となる。そこで図15で示すように点C付近に曲線状となった磁極の切り替わり部5eを設けた。このようにすることで、磁極の切り替わり部は磁極の切り替わり部5a、磁極の切り替わり部5e、磁極の切り替わり部5bから構成されるようになり、滑らかな曲線によってつながる。これにより、着磁が容易となり量産性に優れた永久磁石型回転電機を得ることができるという効果が得られる。
また、この磁極の切り替わり部5eの軸方向長さL3が長いとスキュー係数に影響がでるため短い方が望ましい、そこでL3をL1とL2の和の10%程度に収めるとスキュー係数への影響は小さくなり、無負荷誘起電圧の5次、7次高調波の両方の低減とトルク脈動の低減効果が得られる。
また、それぞれの領域の軸方向長さL1とL2のいずれか一方が小さすぎる場合、曲線状の部分の影響を受けてスキューの効果が十分得られない可能性がある。したがって、0.3≦L1/(L1+L2)≦0.7の範囲にしておけばスキューの効果を発揮させることができる。
また、磁極の切り替わり部が曲線のみで構成される場合は、式(7)のような数式で巻線係数を表現するのが困難であるという課題があった。したがって、無負荷誘起電圧の5次、7次高調波を両方とも大幅に低減するようなスキュー角を決定することは困難である。しかしながら、本願で式(7)のような数式で各高調波次数に対する巻線係数が定義できるので、無負荷誘起電圧の5次、7次高調波を両方とも大幅に低減するスキュー角の決定が容易であるという効果もある。
なお、ここで、回転子45の永久磁石1の回転軸方向の長さは固定子鉄心47の回転軸方向の長さとほぼ一致している。実施の形態1の式(1)〜(7)に基づくスキュー係数は永久磁石1の軸方向全域にわたる積分によって導出しているが、固定子鉄心47の回転軸方向の長さとほぼ一致している場合、望ましくは一致している場合に成立する。長さが異なっている場合には、スキューの効果が十分に得られない。特許文献3の例では永久磁石の方が固定子鉄心よりも軸方向に長いため、永久磁石の端部が固定子鉄心と対向しないので、スキュー角の影響がほとんど現れないという課題があった。また、逆に永久磁石の方が固定子鉄心よりも軸方向に短い場合にも、負荷時には永久磁石の軸方向端部では磁束密度の軸方向成分が増大し、トルク脈動低減が十分実現できないという課題があった。
しかしながら、固定子鉄心の軸方向長さと永久磁石の軸方向長さ2×(L1+L2)がほぼ一致している場合、望ましくは一致している場合に、無負荷誘起電圧の第5、第7高調波が両方とも十分に低減でき、コギングトルクのみならず、電気角60度周期のトルク脈層の低減もできるといった本発明の効果が得られる。
実施の形態3.
実施の形態1では、スキュー係数のK(5)とK(7)を用いたパラメータによりトルク脈動を評価したが、無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波が両方同時に低減できているかどうかを判断する指標としてK(5)の2乗とK(7)の2乗の平方根によって判断する方法が考えられる。すなわちパラメータYとして
Figure 0005078867
を定義しその大きさで判断すればよい。
L1/(L1+L2)=0.3、0.5、0.7としたときのYの値をθ1−θ2平面上に描いたグラフを図14、15、16にそれぞれ示す。
図16では点Aで示す(θ1、θ2)=(33°、33°)付近
図17では点Aで示す(θ1、θ2)=(16°、29°)付近
図18では点Aで示す(θ1、θ2)=(7°、36°)付近
において、それぞれYが小さくなり、この付近にスキュー角を設定すれば無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波が両方同時低減できてトルク脈動が大幅に低減できるという効果が得られる。また、スキュー角は小さい方が回転電機のトルクが大きいことから
θ1≦40°、θ2≦40°の両方がみたされる条件においてYが最小値となるようにスキュー角を設定するのが望ましい。
実施の形態4.
図19はスロット数12、永久磁石の極数8の永久磁石型回転電機の例である。電機子巻線6は三相となっており、U相、V相、W相の巻線が図示するようにU相、V相、W相の順に並んで配列されている。このような極数:スロット数=2:3のモータは電機子起磁力の5次、7次高調波が大きくトルク脈動が大きい傾向にある。また、極数:スロット数=4:3も同様である。図19の永久磁石型回転電機の回転子の永久磁石1はラジアル異方性のリング磁石である。ラジアル異方性は磁石の配向が径方向(ラジアル方向)に向いている特徴を有している。そのため、ラジアル異方性のリング磁石は着磁波形が矩形波状となり、極異方性のリング磁石などに比べて発生する磁束密度波形に高調波が多く含まれる。したがって、ラジアル異方性のリング形状を用いたモータでトルク脈動を低減するにはスキューなどの対策が必要である。
そこで、本発明では、回転子の永久磁石において回転軸方向両端部における領域の磁極の切り替わり部分のスキュー角度が、回転軸中央部における磁極の切り替わり部分のスキュー角度よりも大きい角度としている。
さらに、電気角60度周期のトルク脈動の低減を目的としてティース46の幅をTwとし、永久磁石1の外周の半径をRmとしたとき、磁極ピッチに対するTwの割合とトルク脈動の関係について検討した。その結果が図20のグラフである。ここで、永久磁石型回転電機の極数をPとすると磁極ピッチは2πRm/Pとなるので、磁極ピッチに対するTwの割合はTwP/2πRmで表される。横軸は磁極ピッチに対するTwの割合(TwP/2πRm)とし縦軸にトルク脈動(%)を示した。図20のグラフから磁極ピッチに対するTwの割合が0.4前後で急激にトルク脈動が変化していることが確認できる。このことからトルク脈動の効果がより一層得られるのは、磁極ピッチに対するTwの割合が0.4以上であることがわかる。
以上に図示して説明した永久磁石型回転電機は単なる例であって様々な変形が可能であり、またそれぞれの具体例の特徴を適宜全てあるいは選択的に組み合わせて用いることもできる。
本発明の実施の形態1の永久磁石型回転電機を用いた電動パワーステアリング装置の概略図である。 図1の永久磁石型回転電機の回転軸に沿った断面図である。 本発明の実施の形態1による回転子の永久磁石の斜視図である。 図2の永久磁石型回転電機の固定子と回転子を示す回転軸に垂直な面に沿った断面図である。 図3に示す永久磁石におけるスキューの説明図である。 図3に示す永久磁石におけるスキュー係数のグラフである。 従来の回転子の永久磁石の斜視図である。 図8の従来の永久磁石におけるスキュー係数のグラフである。 別の従来例によるスキュー係数のグラフである。 本発明の永久磁石における無負荷誘起電圧の波形を従来例と比較して示すグラフである。 本発明の永久磁石における無負荷誘起電圧の高調波成分を従来例と比較して示すグラフである。 スキュー係数から算出したパラメータのグラフである。 スキュー角に対するトルク脈動のグラフである。 本発明のスキュー係数に関するグラフである。 本発明の実施の形態2による永久磁石におけるスキューの説明図である。 スキュー角と無負荷誘起電圧の高調波に関する説明図である。 スキュー角と無負荷誘起電圧の高調波に関する説明図である。 スキュー角と無負荷誘起電圧の高調波に関する説明図である。 本発明の実施の形態4による永久磁石型回転電機の概略断面図である。 図19の永久磁石型回転電機におけるトルク脈動のグラフである。
符号の説明
1 永久磁石、1a、1b 両端部、5、5a、5b、5c 磁極境界、42 固定子、45 回転子、48 電機子巻線、CL 回転軸、θ1、θ2 スキュー角、L1、L2 長さ。

Claims (7)

  1. 複数相の電機子巻線を有する固定子と、前記固定子に対向するリング形状の永久磁石を有する回転子とを備え、前記永久磁石は、前記永久磁石の回転軸方向両端部における磁極境界のスキュー角が、回転軸中央部における磁極境界のスキュー角よりも大きい角度とされた永久磁石型回転電機において、
    前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、L1の長さの領域のスキュー角をθ1(電気角)とし、L2の長さの領域のスキュー角をθ2(電気角)としたときに、
    L1とL2とθ1とθ2で定義されるn次高調波に対するスキュー係数K(n)
    Figure 0005078867
    ただし、nは自然数、について、
    K(5)=K(7)を満たすL1とL2とθ1とθ2を選定としたことを特徴とする永久磁石型回転電機。
  2. 複数相の電機子巻線を有する固定子と、前記固定子に対向するリング形状の永久磁石を有する回転子とを備え、前記永久磁石は、前記永久磁石の回転軸方向両端部における磁極境界のスキュー角が、回転軸中央部における磁極境界のスキュー角よりも大きい角度とされた永久磁石型回転電機において、
    前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、L1の長さの領域のスキュー角をθ1(電気角)とし、L2の長さの領域のスキュー角をθ2(電気角)としたときに、
    L1とL2とθ1とθ2で定義されるn次高調波に対するスキュー係数K(n)
    Figure 0005078867
    ただし、nは自然数、について、
    (7/5)×K(5)=K(7)を満たすL1とL2とθ1とθ2を選定としたことを特徴とする永久磁石型回転電機。
  3. 複数相の電機子巻線を有する固定子と、前記固定子に対向するリング形状の永久磁石を有する回転子とを備え、前記永久磁石は、前記永久磁石の回転軸方向両端部における磁極境界のスキュー角が、回転軸中央部における磁極境界のスキュー角よりも大きい角度とされた永久磁石型回転電機において、
    前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、L1の長さの領域のスキュー角をθ1(電気角)とし、L2の長さの領域のスキュー角をθ2(電気角)としたときに、
    L1とL2とθ1とθ2で定義されるn次高調波に対するスキュー係数K(n)
    Figure 0005078867
    ただし、nは自然数、について、
    K(5)とK(7)の2乗和が最小となるようにL1とL2とθ1とθ2を選定としたことを特徴とする永久磁石型回転電機。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の永久磁石型回転電機であって、前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、
    回転軸方向両端部の長さL1の領域におけるスキュー角度を、回転軸中央部の長さL2
    領域におけるスキュー角度よりも大きい角度とし
    磁極の切り替わり部に曲線状の領域を設けたことを特徴とする永久磁石型回転電機。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の永久磁石型回転電機であって
    0.3≦L1/(L1+L2)≦0.7
    としたことを特徴とする永久磁石型回転電機。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の永久磁石型回転電機であって、極数とスロット数の比が極数:スロット数=2m:3m(mは自然数)であり、永久磁石はラジアル異方性のリング形状の永久磁石であり、磁極ピッチに対するティース幅の割合が0.4以上であることを特徴とする永久磁石型回転電機。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の永久磁石型回転電機を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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