JP2010154672A - 永久磁石型回転電機およびそれを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ティースを有する固定子鉄心を具備し、ティースに電機子巻線が巻きまわされており、上記電機子巻線を接続し複数相の電機子巻線を構成する固定子と、回転子鉄心の固定子鉄心に対向する面に永久磁石を配置した回転子とを備えた永久磁石型回転電機であって、前記永久磁石はリング形状の永久磁石を有し、上記永久磁石の回転軸方向両端部におけるスキュー角が、回転軸中央部のスキュー角よりも大きい角度とした。
【選択図】図3
Description
図1は、この発明の永久磁石型回転電機を用いた車両用の電動パワーステアリング装置30を示す概略図である。電動パワーステアリング装置30は、ステアリングホイール31と、一端がステアリングホイール31に取り付けられたコラムシャフト32と、コラムシャフト32の他端に連結されたウォームギヤ33と、ウォームギヤ33を介してコラムシャフト32に連結されたハンドルジョイント34と、ハンドルジョイント34の他端に連結され、ウォームギヤ(図示してない)を内蔵するステアリングギア35と、ステアリングギア35に連結されて、ステアリングホイール31の回転に応じて図示してない操舵車輪を操作するステアリングラック36とを備えている。ウォームギヤ33にはコントローラ37によって制御されて操舵力をアシストするアシストトルクを発生するためのモータである永久磁石型回転電機38が連結されている。
また、L2≦z≦L1+L2 の範囲における磁束密度のz方向の積分値φ3は、
sin(nθs/2)/(nθs/2)
で定義される。このスキュー係数を5次高調波、7次高調波について示したのが図8である。この例では、5次高調波と7次高調波がほぼ同時にゼロになることはない。すなわち無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波を同時に大幅に低減することはできない。さらに、特許文献2の図1で示された例では、式(7)においてθ1が負のときである。このときの例を図9に示す。こちらも同様に5次高調波と7次高調波がほぼ同時にゼロになっていない。しかしながら、本発明の構成にすることで、5次高調波のスキュー係数も7次高調波のスキュー係数も同じスキュー角において、ほぼゼロとすることが可能となる。
X=|V5×K(5)−V7×K(7)| (||は絶対値記号) (8)
と定義する。縦軸に本パラメータX、横軸にスキュー角をプロットしたのが図12である。図12は従来例についてもプロットした。図12から、本発明の構造にした場合はパラメータXがゼロになる点は従来例とは異なるが、全体的に値は小さく、特にゼロとなる90°周辺においては非常に小さい値を示すことがわかる。また、ゼロになる点の前後での曲線の傾きは、本発明の方が小さい。これは、スキュー角が製造ばらつきなどの原因で最適値からずれたとしても、トルク脈動があまり増加しない効果があるものと考えられる。すなわち、スキュー角のばらつきに対してロバスト性の高い永久磁石型回転電機が得られるものと考えられる。
X‘=|(7/5)×K(5)−K(7)| (||は絶対値記号) (8)
について
X‘=0となるスキュー角に設定してもよい。
さらに、もっと簡単にK(5)=K(7)となるスキュー角としても上記のスキュー角と大きく外れることはなくトルク脈動は低減できる効果は得られる。
図15に本実施の形態2にかかる永久磁石型回転電機の永久磁石における磁極の切り替わり部の説明図を示す。図5では磁極の切り替わり部をすべて直線で示したが、回転軸方向でスキュー角を変化させる場合、磁極の切り替わり部のスキュー角が変化する点付近、すなわち図5の点B、点C付近において理想的な折れ線状にすることは、着磁時に着磁ヨークにて磁場分布を折れ線状に変化させなければならず実現するのが難しく、量産が困難となる。そこで図15で示すように点C付近に曲線状となった磁極の切り替わり部5eを設けた。このようにすることで、磁極の切り替わり部は磁極の切り替わり部5a、磁極の切り替わり部5e、磁極の切り替わり部5bから構成されるようになり、滑らかな曲線によってつながる。これにより、着磁が容易となり量産性に優れた永久磁石型回転電機を得ることができるという効果が得られる。
しかしながら、固定子鉄心の軸方向長さと永久磁石の軸方向長さ2×(L1+L2)がほぼ一致している場合、望ましくは一致している場合に、無負荷誘起電圧の第5、第7高調波が両方とも十分に低減でき、コギングトルクのみならず、電気角60度周期のトルク脈層の低減もできるといった本発明の効果が得られる。
実施の形態1では、スキュー係数のK(5)とK(7)を用いたパラメータによりトルク脈動を評価したが、無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波が両方同時に低減できているかどうかを判断する指標としてK(5)の2乗とK(7)の2乗の平方根によって判断する方法が考えられる。すなわちパラメータYとして
L1/(L1+L2)=0.3、0.5、0.7としたときのYの値をθ1−θ2平面上に描いたグラフを図14、15、16にそれぞれ示す。
図16では点Aで示す(θ1、θ2)=(33°、33°)付近
図17では点Aで示す(θ1、θ2)=(16°、29°)付近
図18では点Aで示す(θ1、θ2)=(7°、36°)付近
において、それぞれYが小さくなり、この付近にスキュー角を設定すれば無負荷誘起電圧の5次高調波と7次高調波が両方同時低減できてトルク脈動が大幅に低減できるという効果が得られる。また、スキュー角は小さい方が回転電機のトルクが大きいことから
θ1≦40°、θ2≦40°の両方がみたされる条件においてYが最小値となるようにスキュー角を設定するのが望ましい。
図19はスロット数12、永久磁石の極数8の永久磁石型回転電機の例である。電機子巻線6は三相となっており、U相、V相、W相の巻線が図示するようにU相、V相、W相の順に並んで配列されている。このような極数:スロット数=2:3のモータは電機子起磁力の5次、7次高調波が大きくトルク脈動が大きい傾向にある。また、極数:スロット数=4:3も同様である。図19の永久磁石型回転電機の回転子の永久磁石1はラジアル異方性のリング磁石である。ラジアル異方性は磁石の配向が径方向(ラジアル方向)に向いている特徴を有している。そのため、ラジアル異方性のリング磁石は着磁波形が矩形波状となり、極異方性のリング磁石などに比べて発生する磁束密度波形に高調波が多く含まれる。したがって、ラジアル異方性のリング形状を用いたモータでトルク脈動を低減するにはスキューなどの対策が必要である。
Claims (7)
- 複数相の電機子巻線を有する固定子と、前記固定子に対向するリング形状の永久磁石を有する回転子とを備え、前記永久磁石は、前記永久磁石の回転軸方向両端部における磁極境界のスキュー角が、回転軸中央部における磁極境界のスキュー角よりも大きい角度とされた永久磁石型回転電機において、
前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、L1の長さの領域のスキュー角をθ1(電気角)とし、L2の長さの領域のスキュー角をθ2(電気角)としたときに、
L1とL2とθ1とθ2で定義されるn次高調波に対するスキュー係数K(n)
K(5)=K(7)を満たすL1とL2とθ1とθ2を選定としたことを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 複数相の電機子巻線を有する固定子と、前記固定子に対向するリング形状の永久磁石を有する回転子とを備え、前記永久磁石は、前記永久磁石の回転軸方向両端部における磁極境界のスキュー角が、回転軸中央部における磁極境界のスキュー角よりも大きい角度とされた永久磁石型回転電機において、
前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、L1の長さの領域のスキュー角をθ1(電気角)とし、L2の長さの領域のスキュー角をθ2(電気角)としたときに、
L1とL2とθ1とθ2で定義されるn次高調波に対するスキュー係数K(n)
(7/5)×K(5)=K(7)を満たすL1とL2とθ1とθ2を選定としたことを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 複数相の電機子巻線を有する固定子と、前記固定子に対向するリング形状の永久磁石を有する回転子とを備え、前記永久磁石は、前記永久磁石の回転軸方向両端部における磁極境界のスキュー角が、回転軸中央部における磁極境界のスキュー角よりも大きい角度とされた永久磁石型回転電機において、
前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、L1の長さの領域のスキュー角をθ1(電気角)とし、L2の長さの領域のスキュー角をθ2(電気角)としたときに、
L1とL2とθ1とθ2で定義されるn次高調波に対するスキュー係数K(n)
K(5)とK(7)の2乗和が最小となるようにL1とL2とθ1とθ2を選定としたことを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の永久磁石型回転電機であって、前記永久磁石の軸方向の端部から軸方向の長さL1の領域と回転軸方向の中心位置から軸方向に長さL2の領域にスキューが施され、
回転軸方向両端部の長さL1の領域におけるスキュー角度を、回転軸中央部の長さL2
領域におけるスキュー角度よりも大きい角度とし
磁極の切り替わり部に曲線状の領域を設けたことを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の永久磁石型回転電機であって
0.3≦L1/(L1+L2)≦0.7
としたことを特徴とする永久磁石型回転電機。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の永久磁石型回転電機であって、極数とスロット数の比が極数:スロット数=2m:3m(mは自然数)であり、永久磁石はラジアル異方性のリング形状の永久磁石であり、磁極ピッチに対するティース幅の割合が0.4以上であることを特徴とする永久磁石型回転電機。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の永久磁石型回転電機を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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